[3669] 具象の女たち、抽象の男たち

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《こんな便利なメガネがあったのね〜!》

■ユーレカの日々[31]
 具象の女たち、抽象の男たち
 まつむらまきお

■グラフィック薄氷大魔王[383]
 「近近メガネで新世界」他、小ネタ集
 吉井 宏


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■ユーレカの日々[31]
具象の女たち、抽象の男たち

まつむらまきお
< https://bn.dgcr.com/archives/20140402140200.html
>
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<著者のご意向により削除いたしました>


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■グラフィック薄氷大魔王[383]
「近近メガネで新世界」他、小ネタ集

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20140402140100.html
>
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●近近メガネで新世界

織田隆治さんが「今日、中近メガネを初めて使ってる」とツイートしてた。「え? 中近メガネって何?」。遠近両用メガネみたいなもんだろうと検索してみたところ、「中近メガネ」は手元〜室内用のメガネ。似たような「近近メガネ」は手元〜机の上用といった感じ。え〜〜! そんな便利なメガネがあったのね〜! 初めて知った。

僕的に「手に持った雑誌やiPad、ノートパソコンの距離、そして液晶タブレットCintiq 22インチの距離がものすごく見にくい」という問題が近近メガネで解決するんじゃないか?

そのままメガネ屋に直行、近近メガネを注文してきた。レンズを合わせてもらって具合を確認したんだけど、手元のタブレットや本と、目を上げて机の上のディスプレイで焦点が合うようになってる。確認用に置いてある新聞やiPhoneで見てみると、めちゃくちゃ見やすい。いろいろ仕事しやすくなりそう!

数日後、出来上がってきたメガネ。今まで一番苦手だったノートパソコンや雑誌を見る距離がめちゃくちゃよく見える見える!! SDからフルHDになった感じ! いや、4Kテレビ!

いや〜な距離だったCintiq22インチがようやくまともに使えるようになった。近眼メガネでは近すぎて見にくく、メガネなしでは全体がボケて見えなかったのでした。机の上のフィギュアとかも鮮明! 細かいところまでしっかり見える。立体制作とかでも役立ちそう。

実は、ワンフェスなどへ行っても、フィギュアがちゃんと見えないのでぜんぜん楽しくなかったのでしたw 夕方近くになるともう薄暗くて何も見えず、ほとんど興味なくしてた。もちろんメガネをはずして20cm以内で見ればちゃんと見えるけど、会場でそんなことできないもんね。

手元とディスプレイくらいの距離はめちゃくちゃ快適。13インチMacBook Airも見やすくなったけど、見えすぎて画面が粗く感じる。Retina画面の機種に買い換えたい! ただやはり、中距離以上はボケボケ。リビングの椅子でテレビを見れる感じじゃない。机を離れる時は普通のメガネで。

昼食べる時などに机の上にiPad置いて本読んだりするとき、近近メガネ、めちゃくちゃ快適〜! 遠くだと見にくいし、近くだと皿とかと位置がかぶって食べにくいのでしたw

中近メガネってアラブっぽいし、近近メガネは愛川欽也っぽい。あ、すいませんw

●ブルーライト軽減って色変わるんじゃ?

関連で、ずっと疑問に思ってた件がメガネ屋で聞けた。レンズを選ぶときに「ブルーライト軽減」を選べるんだけど、「色が変わって見えませんか?」と聞いてみたら、「色を扱う仕事ですか、じゃあダメですね」って。やっぱブルーライト対策のPCメガネは色が変わるんだ〜。色の確認の時だけはずすってのはアリだと思いますけどね。

●ハズキルーペ

あと、カウンターにあったハズキルーペ(石坂浩二が宣伝してるやつ)を試してみた。単に老眼鏡の一種かと思ってたけど、あくまでルーペなのね。メガネの上から使える。手元がすごく見やすくなる。近近メガネでなくてこれでいいかもと思ったけど、手元しか見えないのでダメ。

ルーペだけあって、ほんのちょっと大きく見える。本や雑誌やiPad見るときに良さそう。鉛筆でスケッチ描いたり、立体造形とかやってるときに、ちょっと見やすくするためにハズキルーペを使うのはアリだなと思った。

●新聞の文字サイズ

日本新聞協会調査:「新聞を読んでいる人」は83.6% - 毎日新聞
< http://bit.ly/1gyzqCL
>

まさか、新聞紙上でアンケートしたんじゃないだろうな? は、おいといて、最近の新聞は文字が大きいね〜。で、思い出したのが、昔の新聞は文字めちゃくちゃ小さかったけど、1980年くらいに文字が一段階大きくなり、その後も何度か大きくなった。その結果が、今の新聞の文字サイズ。実家の押し入れの下に敷いてある新聞紙とか見ると、文字の小ささにびっくりする。小さい文字がビッシリ。

文字が大きくなったときに思ったのは、その分情報量は減ってるんだろ? じゃあ値下げしないといかんだろ? と。今じゃ昔の新聞の情報量の半分くらいになってるんじゃ? と思ったけど、ページ数が増えてるか。昔の新聞は8ページしかなかったらしい。文字を大きくしたのは要するに、新聞を読む層の中心年齢がどんどん上がったってことなんだろうけど。

新聞の文字サイズの記事。「新聞に巨大文字を求めているのは本当に読者か?」

< http://amesei.exblog.jp/7551802/
>

●雑誌の対象年齢

iPadのビューン(定額雑誌読み放題アプリ)の週刊誌とか見てると、もう僕が読むような内容じゃなくなってきてる。年寄りが読む内容。以前からのカンフル剤的な大学受験関連記事はもとより、長寿の話、病院の話、孫関連の話、子供に財産をどう残すかの話とかが話題の中心だもん。

以前買ってた週刊文春や週刊新潮はビューンで読めないけど、内容は週刊朝日やサンデー毎日と似たようなもの。やはり、対象年齢層が60代以上な感じ。僕は27歳で上京した90年くらいから20年くらいそういう週刊誌を買ってた。「大人の話題についていきたい」「大人はこういうのを読むもんだ」と思ったから。

その「大人」ってのは、自分より10〜30歳くらい上の人たちのことで、当時40〜60歳の働き盛りを対象にした雑誌という印象。その世代が平行移動し、現在は60〜80歳代が対象になってるっていう、そのまんまかw

最近も新しい中年女性向け雑誌の創刊が話題になってたけど、雑誌って年齢層によって「卒業」するもんじゃなく、そのまま平行移動すりゃいいじゃんね。「non・no」とか50〜60歳代向けになってたりみたいな。最近のPOPEYEはそれっぽいかも。

●NEXCO東日本「高速道路キッズ ハイウェイ島の大冒険」

が、公開されました〜! 日本最大どころか、たぶん世界最大のキッズサイトとのこと。キャラクターとキャラアニメ部分を担当しました。昨年後半はずっと膨大なアクション数を動かす作業をやってました。

MODOにキャラクターアニメーション機能が搭載されてから、本格的に仕事で使う機会がなかなかなかったのですが、これはその待望の仕事。堪能しました。いやまあ大変だったけど。

こういう「キャラクターデザイン&シンプルなキャラアニメ制作」がセットになった仕事は、僕的に理想形。もっとやりたい! 手に負えないような大がかりなアニメーションは無理だけど。

以下、サイトの説明です。

「『高速道路キッズ ハイウェイ島の大冒険』は、高速道路が持つ役割や維持・管理をしていく方法、環境対策などについて、ゲームや動画を通じて楽しみながら学ぶことができます。また、子どもたちの『わかりやすい』『おもしろい』『やってみたい』を満たすことのできる様々なコンテンツを用意しており、小学校の授業や家庭学習などの場でもご活用いただける工夫を行っています。」

ハイウェイ島の大冒険 < http://kids.e-nexco.co.jp
>
プレスリリース < http://bit.ly/1geQbCY
>

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>

いまだに「笑っていいとも!」って、「笑ってる場合ですよ」の次に始まった新番組、って感覚が抜けない。って後記に書こうと思って、念のため検索したら、おととし9月に一字一句違わずそう書いてた。あぶねー。って結局載せちゃったけど。

・rinkakさんのフルカラー3Dプリント作品販売
< https://www.rinkak.com/shop/hiroshiyoshii
>
・INTER-CULTUREさんの3Dプリント作品販売
< http://inter-culture.jp/Buy/products/list.php?category_id=63
>


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編集後記(04/02)

●「時をかける少女」を三つ見た。たまたま図書館にあった1983年制作「時をかける少女」を見た後で、レンタルショップで発見した2010年制作「時をかける少女」を見た。仕上げに筒井康隆の原作「時をかける少女」をあらためて読んだ。このジュブナイルSF小説は、映画、ドラマ、コミック、アニメなど何度も作品化されている。映画ではいまひとついい加減な説明に思えた、テレポーテーションとタイム・リープと呼ばれる能力については、何10年ぶりかで読み返した小説では矛盾なく説明されていた。しかし、それほど絵になる小説とは思えない。

1983年制作の最初の「時をかける少女」は、原田知世の初主演にして代表作でもある。監督は大林宣彦。ほぼ原作に沿っていたが、なんだか全体にとろい展開で退屈だった。ストーリーに関係ないシーンや、思わせぶりで意味不明なシーンもかなり多かった。主人公・和子が下駄履きで尾道のひなびた風景の中を歩くって、いつの時代の女子中学生なんだ。原田知世が全編でキラキラというわけではなく、寝起きの顔は不細工といえるほどで、もっとかわいく撮ってやれよと思う。弓道のシーンは絵になるけれど、原作にはない。なんと2010年版でもこのシーンがあった。崖の上での植物採集なんてのも映画オリジナル、その後の特殊能力場面は今思うとあきれかえるチャチさだったが、30年前はこれでいいのか。

2010年制作「時をかける少女」は仲里依紗の主演。この女優まったく知らなかった。とびきりかわいいわけでもなく、演技がうまいわけでもないが、元気でくるくる変わる表情がいい。原作や原田知世版と共通なのはラベンダーとタイムリープぐらいで、あとは全然別物だ。大学入学目前のあかりは、病床の母・和子から、「1972年4月6日に戻って、中学校の実験室で深町一夫と名乗る人に会う」という約束を、自分の代わりに果たすように頼まれるが、間違って1974年2月16日の大学実験室に着いてしまう。たまたま知り合った大学生・溝呂木と一緒に、若い頃の母と会ったり、8ミリ映画の撮影に協力したり、どたばたじみた行動がそこそこ面白い。だが、見知らぬ役者たち(安田成美しか知らない)がいまいちで、溝呂木のセリフなんかボリューム最大でようやく聞き取れるほどだ。「時をかける少女」の続編みたいな感じ。

というわけで、三つともいちおう楽しめたが、面白さは小説>仲版>原田版かな。映画二本は原田、仲の順で見たのが正解だった。大林宣彦の映画は独自の叙情的な映像表現などともてはやされてきたが、あざとさが感じられて、わたしはあまり好きではない。CMで売れ始めた頃に取材し雑誌で特集を組んだこともあったが、けっきょく正体がつかめなかった。

この人が「特定秘密保護法が成立した6日、僕は怖くて一日中震えていました。いまの空気は戦争が始まる時に近いのです」と朝日新聞に書いていた。一日中震えていた? 無知過ぎる、笑えるコメント。「敗戦で学んだ経験と知恵を失い、半世紀以上守ってきた奇跡的な平和を手放すことは決してなりません」っていうが、現実を見ず、なーんにも考えず、平和念仏唱えてさえいれば外敵は来襲しないってか。思考停止した愚かな人であった。(柴田)

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「時をかける少女」1983
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「時をかける少女」2010


●自分は具象だなと思い、読み進めて抽象だなと思い直し、また具象だと思い。どっちなんだろう。フラットデザインは好きだけど、優しくないし、ごまかしきかないから困るよね、とか、機能を重視して欲しいと思ったり。

Web制作を受注してすぐ、公共系サイトの仕事をしたんだけど、ボタンがボタンに見えないとクレームが出たのを覚えてる。ラベルはたとえば「○○情報」だとしても、凸がないからボタンに見えないと。どこを押したらいいかわからないと。

えー、このぐらいわかるよね、と思ったけれどベベルをつけたら、ほらボタンってわかりやすくなったでしょ、と力説された。普段からWebサイトに接してばかりの私にはわからないけれど、このサイトにアクセスする人はそういう人たちなんだなと学んだ。

コーディング仕事もしていて、えー公共機関なのにこれでいいの? かっこ良くて好きだけど、とか、これ入れなくていいの? とか思うことは多々ある。

しばらく読んでいなかった雑誌。久しぶりに見たら「子育てと仕事の両立」的なコンセプトになってて、目が飛び出た。以前は優しめキャリアウーマンだったのに。同じ雑誌でターゲット年齢は変わっていない。他のその世代の雑誌は軒並み「子育て」「婚活」的なものに。こうやって上の世代と下の世代とで価値観の違いが出てくるんだろうなぁ。罪だよなぁ。(hammer.mule)