[3770] 開発者に必要なザル英語

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《自宅からでも噴煙は見えます》

■新連載・ライル島の彼方[01]
 開発者に必要なザル英語
 薬師寺 聖

■クリエイター手抜きプロジェクト[402]イベント編 
 マッシュアップアワード(Mashup Awards)10
 古籏一浩

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■新連載・ライル島の彼方[01]
開発者に必要なザル英語

薬師寺 聖
< https://bn.dgcr.com/archives/20140929140200.html
>
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〜新連載開始にあたって〜

2010年12月より開始した連載「データ・デザインの地平」は、9月1日の第44回をもって、一時中断とした。

理由はふたつ。ひとつは、タイトルに縛られて、データ・デザイン以外のテーマについて取り上げにくい、ということ。もうひとつは、堅苦しい内容になりそうだったので、せめて柔らかい印象にしようと、敬体(です、ます調)で書き始めたものの、毎回筆が進まず、呻吟していたこと。

そこで、今回からは常体(だ、である)で書く。連載のタイトルは、「ライル島の彼方(Beyond Insula)」とした。

このタイトルなら、どんなテーマでも吸収できるはずである。

ライルの島。それは我々の脳の中にある。

●英語版アプリ開発に、会話力は要らない

碁をたしなむ人にはおなじみの言葉「ザル碁」。戦略も戦術もない打ち方のことである。それでも、碁には違いない。ザル碁打ち同士なら、その楽しさは以心伝心。

これをもじって「ザル英語」。それでも、英語には違いない。そして、英語を母語としない国のユーザー数は、圧倒的に多い。ザル語使い同士なら、穴からこぼれる応酬でも、意図は通じようというものだ。

重要なのは、ザルであっても、一歩を踏み出すということだ。英語が海外発信への障壁になっているとしたら、もったいないことである。......と、ザルの主が書いても説得力はないかもしれないが。

英語版アプリの開発には、ヒアリング力も会話力もビジネス英語の語彙も必要ない。ユーザー数を考えれば、海外公開を躊躇すべきでない。世界のユーザーは、あなたのアプリを待っている(★1)。

●開発環境を英語化して、英語に慣れる

筆者は以前、記事やイベントのサンプル用に、英語版のWindows Phoneアプリを開発した。現在も毎日数10本コンスタントにダウンロードされていて、累計は61か国約30,000本になっている。

アプリ開発において英語が必要な部分は、アプリのタイトル、アプリ内のテキスト、概要説明、操作手順、動作環境や禁止事項、の5つである。このうち、機能に直接かかわるものは、アプリ内のテキストだ。メニュー名やボタンの表面のテキスト、メッセージなどだ。

その程度なら機械翻訳を使うほうが手っ取り早いと思うかもしれない。実際、アプリの内容によっては、機械翻訳で事足りることもある。

だが、英語版のみを開発したり、英語版を先に公開する方法には、適しているとは言い難い。正確で翻訳しやすい日本語の原文を用意する、という一手間が必要になるからだ。加えて、機械頼みでは、何本開発しようと、英語が頭の中を素通りしてしまうのではなかろうか。

開発者が一日のうち最も長時間接する開発環境を英語化すれば、開発本数が増えるにつれ、英語に慣れてくるにちがいない(★2)。

また、開発ツールのメニュー名などは参考になる。

たとえば、Visual Studioは、気軽な日曜プログラミングから大規模な業務用システム開発まで、幅広く対応するツールであり、多くの有用な語彙を含んでいる。

メニュー名は、それが表す機能が同じであるならば、アプリが異なっても、むしろ同じほうがよい。たとえばファイルやコピーの機能に、FILEやCOPY以外の単語を使ったら、ユーザーが戸惑ってしまうのだから。記憶した単語は、そのまま開発に役立てることができる。

しかしながら、OSまで英語版を使うとなると、トラブルが発生した時に、何かと面倒かもしれない。それなら、日本語版OSの上に、英語版の開発ツールをインストールする方法がある。

プロジェクトに参加する場合は制約もあるだろうが、単独作業の場合はどのような環境を構築しようと問題ないだろう。

ちなみに筆者の環境は 3台、Windows 8.1 Pro 64bit(日)+ Visual Studio
2013 Ultimate(英)、Windows 8 Enterprise 64bit(日)+ Visual Studio
2012 Ultimate(英)、Windows 7 Professional 32bit(日)+ Visual Studio
2010 Ultimate(英)、である(★3)。

Microsoft Expressionも、ずっと英語版を使っている。日本語版の Windows Phoneアプリも、英語版のVisual Studioで開発した。ストアアプリについては、まだ開発に着手したばかりだが、まず問題はないだろう。

もっとも、読者が本稿を参考にした結果について、筆者は一切の責任を負うものではない。インストールは自己責任でお願いしたい。

さて、英語版のみの開発環境に移行してしまうと、ひとつだけ困ることがある。技術解説記事を書く際の、画面キャプチャと、解説文中のメニュー名である。商用サイトに寄稿するとなると、画面キャプチャはまだしも(編集者に要相談)、メニュー名は日本語版の表記にする必要がある。

記事を寄稿している開発者は少なくないので、Visual Studio 2013のメニュー名の日英対照表を、次のURIにアップした。

csv ファイルなので、Excelで開いて適当に利用してください。
< http://sei.seindesign.net/default.htm
>

●Visual Studioのメニュー名から学ぶ

Visual Studio 2013(以下、VSと略す)の日本語版と英語版のメニュー名を眺めると、いろいろと気付く点がある。大きくは次の3つである。

(1)単数形と複数形を使い分ける

日本語と異なり、英語では単数形と複数形が厳密に使い分けられている。

「最近使ったファイル」や「最近使ったプロジェクトとソリューション」は、「Recent Files」や「Recent Projects and Solutions」のように複数形である。つまり、表示される候補は 1 個とは限らない。

「エラー一覧」は、複数のエラーがあった場合でも、ひとのリストとして表示されるから「Error List」である。

「MSDN フォーラム」は、多数のフォーラムがあるので、「MSDN Forums」だ。

(2)品詞にはこだわらない

記事の見出しなどでは、体言止めにするか動詞を使うか、どちらか一方に揃えることは、統一感のために重要である。

が、アプリのメニューでは、あまりこだわらなくてもよいみたいである。たとえば、Bookmarks(ブックマーク)と Enable Bookmark(ブックマークを有効にする)が混在している。

(3)機能を表す言葉を選択する

類似の意味を持つ日本語も、英語版では異なる場合がある。「前に戻る」は「Navigate Backward」、「次に進む」は「Navigate Forward」だが、「前のタスク」は「Previous Task」、「次のタスク」は「Next Task」だ。日本語では、同じ「前」「次」だが、何に対して前なのか次なのかによって、英語の表現は異なる。

「ジャンプ」は、英語版では「Go To」だ。Jumpではない。

「削除」は、慎重な使い分けを要する。VSのメニュー名では、Deleteではなく「Remove」である。「ヘルプの追加と削除」は、「Add and Remove Help Content」だ。

「変換」は、Translationではなく「Convert」で、互換や転換といった意味合いが強い。「検索」は、Searchではなく「Find」、探索というよりも発見である。

「ソース管理」は「Source Control」、Managementではない。「ページ設定」は「Page Setup」、Settingsではない。一方、「デバッグ」の「オプションと設定」は、「Options and Settings」だ。

「表示/ツールバー」の「標準」は、初期値を表すDefaultではなく「Standard」。「ウィンドウ」の「非表示」は、Invisible ではなく「Hide」である。非表示という状態ではなく、開発者が隠すという主体的な動作だ。

「テスト」の「実行」は「Run」、プログラマーにはなじみのある言葉である。

また、前置詞を使ったものもある。「ツール」の「プロセスにアタッチ」や「データベースへの接続」の「〜に」や「〜への」は、「to」である。

なごみ系のメニュー名もある。「気に入った機能の報告」は、顔文字付きの「Send a Smile」で、「問題点、改善点の報告」は「Send a Frown」だ。

「Microsoft Visual Studioのバージョン情報」は、「About Microsoft Visual Studio」だが、開発ツールの全般的な情報よりもバージョンの表示が主機能であり、日本語メニュー名の方が狭義である。

以上からわかるように、メニュー名を考えるときは、機能から言葉を引き出す姿勢が重要になる。

●ラフデザインの時点から、日英両方を意識する

アプリ開発に必要な英語は、プログラマーだけでなく、デザイナーも知っておいたほうがよい。なぜなら、英語版と日本語版の両方を開発する場合、言語が画面のデザインに関わってくるからだ。

英語と日本語では、テキストの長さが異なる。英語は書体によっても幅が大きく異なる。それらがレイアウトに影響するのである。Windows 系のアプリ開発でいえば、画像作成だけでなく、各種コントロールのプロパティの設定や、XAML のコーディングにも影響が及ぶ。

英語を意識することなく先に日本語版を開発すると、英語化の際にボタンなどの領域にテキストが収まらず、回り込んでしまいかねない。かといって無理やり詰め込むと、ユーザーには不親切なフォントサイズになってしまいかねない。

逆に、日本語を意識することなく英語版を開発すると、日本語化の際に、空間が空きすぎて間抜けな印象になるおそれがある。

一方、漢字の画数が多いメニュー名を読みやすくするために、フォントサイズの調整が必要になることもある。

デザインは、配置する対象ではなく空間を見て行うものであるから、ボタン内に占める文字以外の部分の割合、といった空間の面積が異なると、ビジュアルイメージが変わる可能性すらある。

だからといって、英語版と日本語版で異なるレイアウトにしてしまったら、ひとつのアプリとしての統一感に欠けることになる。

どの国のユーザーにとっても、より見やすく、より操作しやすく、より分かりやすい UI を実現するには、ラフの段階から、日本語と英語の両方を意識して、部品のレイアウトを考えるほうがよい(★4)。それはデザイナーの仕事だ。

だから本稿のタイトルは「開発者のための」とした。英語が必要なのは、プログラマーだけではない。いや、むしろデザイナーにこそ必要なのかもしれない。


★1「ITエンジニアに必要な英語力」(2013/05/27 配信)も参照。
< https://bn.dgcr.com/archives/20130527140000.html
>

★2 筆者は30年ほど前の数年間、サービスマニュアルの編集に従事していた。図面担当だったため翻訳には無縁だが、就業時間中は日本語を目にすることのない職場だった。その経験から、海外生活経験のない人が外国語に慣れるために必要なのは、「一定の期間、母語が目からも耳からも入ってこない環境」だと思う。

★3 Windows 8.1 は Surface Pro にインストールして、マイクロソフト純正 Mini DisplayPort - VGA アダプターで、21インチディスプレイに接続している。Surface の画面上端がちょうどディスプレイの下端になる。視線移動は上下で済む。

★4 英語版と日本語版のデザインの妥協点については、筆者アプリの英語版と日本語版の画面を見比べると参考になるかもしれない。ただし、動作環境がバージョンアップしているので、現バージョンは公開停止する可能性がある。その場合は、http://sei.seindesign.net/default.htm
から、必要なアイテムをダウンロードしてください。

【英語版】Sensors Set Ver.0.8 (En)
< http://www.windowsphone.com/en-us/store/app/sensors-set/9037bee0-5112-47c2-996e-8875d75fc029
>

【日本語版】センサー計測セット
< http://www.windowsphone.com/ja-jp/store/app/%e3%82%bb%e3%83%b3%e3%82%b5%e3%83%bc%e8%a8%88%e6%b8%ac%e3%82%bb%e3%83%83%e3%83%88/b1fb5d00-b6cf-4db2-821d-473261bcc00b
>

【英語版】Visual Clinometer (En)
< http://www.windowsphone.com/en-us/store/app/visualclinometer/959e05e0-a2b9-45fc-ae6a-098624547c71
>

【日本語版】ビジュアル傾斜計 (日)
< http://www.windowsphone.com/ja-jp/store/app/%e3%83%93%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%82%a2%e3%83%ab%e5%82%be%e6%96%9c%e8%a8%88/20d2ddba-eb83-44d6-a853-c412394bcc33
>

【英語版】Sound Clinometer Ver.0.8 (En)
< http://www.windowsphone.com/ja-jp/store/app/soundclinometer/37856de6-6c26-4c49-97b2-c7e1b035dbeb
>

【解説記事】
インプレス"ThinkIT" 「アプリ制作からマーケットプレイス公開までを完全ガイド!」第11回、第12回
< http://thinkit.co.jp/story/2012/05/07/3537
>

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・The Microsoft Conference 2014

2014年10月23日(木)、24日(金)開催。

マイクロソフトが提供するプロダクティビティ & プラットフォーム テクノロジに触れることができるイベント。

クラウド、Microsoft Azure、IoT、機械学習、IE11、Office 365、SQL Server 2014、Active Directory、Surface Pro 3、モバイル、マルチデバイス、Visual Studio などなど......いま知っておくべき旬の技術をテーマに、2日間で70のセッションが開催される。

< http://www.microsoft.com/ja-jp/events/msc/2014/default.aspx
>

・Surface Pro 3

タブレットサイズのハイエンドPC、登場。
< http://www.microsoft.com/surface/ja-jp/products/surface-pro-3
>

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【薬師寺聖/個人事業所 セイザインデザイン】
個人事業所 < http://www.seindesign.net/
>
ブログ < http://blogs.itmedia.co.jp/seindesign/
>
< infosei@seindesign.net >

絵を描き、詩を書き、曲を書き、文を書き、企画書と仕様書を書き、コードを書く、在野の思索家。科学・医療・福祉分野のXML案件を手掛ける傍ら、XML資格試験の初発本など、書籍や連載を多数執筆(主にPROJECT KySS名義)。現在は、受託業務から独自発信にシフト中。
Microsoft MVP for Client Development (Oct 2003-Sep 2014)


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■クリエイター手抜きプロジェクト[402]イベント編
マッシュアップアワード(Mashup Awards)10

古籏一浩

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今回はイベントネタです。今月、長野県塩尻市(信州)で行われたマッシュアップアワード10(Mashup Awards 10)について書きます。

マッシュアップアワードは、複数のWeb APIを組み合わせて新しいサービスを作る、という主旨のイベントです。これまでは、使用するWeb APIに多少の制限がありましたが、今回からは何の制限もなくなりました。

ソフトウェアだけでなく、ハードウェアを使って何かを実現しても問題ありません。かなり自由に開発することができます。もともと、アイデア重視のイベントなので自由度が高くなるのは大歓迎です(技術重視ではないのがポイント)。

・マッシュアップアワード
< http://mashupaward.jp/
>

・Mashup Hackathon 信州 in 塩尻
 〜MA10一次予選ハッカソン 最新APIでMashup!!〜
< http://mashupawards.doorkeeper.jp/events/13748
>
< http://mashupaward.jp/events/5
>

このマッシュアップアワードに関しては毎年行われており、長野県塩尻市でイベントが開催されるのは3回目です。今回も塩尻市にあるSIP(塩尻インキュベーションプラザ)を会場として使わせていただきました。

・SIP(塩尻インキュベーションプラザ)
< http://sip.shiojiri.com/access/
>

1回目と2回目は私も参加していて考える側でした。しかし、今回は地元での審査員という役割を担うことになってしまいました。人材がいないから? という理由なのか、このイベントを引っ張ってきている人の都合によるものなのか。まあ、なりゆきで審査員になってしまったというわけです。

審査する側になると、考える側/作る側とはちょっと違った立場になります。まず、アドバイスはできるものの作る側には参加できないことです。自分で作って自分で審査する、というのはNGだからです。

マッシュアップアワードは2日間に分けて行われます。1日目はアイデアを出し、どこに参加するかを決めることです。ここで、チームが決まるわけですが、当然ながら審査員は傍観しているだけです。話したりするのは自己紹介程度。

あと、Web APIで分からない部分があれば回答する、というところなのですが、これはメーカーの方が行うため、審査員は事実上出番がありません。

なお、今回塩尻市に来ていただいたメーカーは、SEIKO EPSON、TOYOTAの2社でした。本当はマイクロソフト社も来る予定だったのですが、都合により来られなくなってしまったようです。

・トヨタITC クルマ情報Web API
< https://www.vehicle-bigdata.com/jp/home/
>

・エプソン MOVERIO(モベリオ)
< http://www.epson.jp/products/moverio/bt200/
>

トヨタ車はプリウスでなくAQUAで車の情報を取得するという具合でした。マッシュアップアワード向けとして、ダミーの走行データが用意されていました。

エプソンのMOVERIOは眼鏡型のデバイスで、眼鏡部分に画像や映像などを半透明で投影できます。Google Glassなどと同じような種類のデバイスです。MOVERIOはAndroidなので、いろいろと遊べます。

1日目(9/10)はアイデア出しとチーム決めだけで、実際に作るのは2日目です。とは言っても、2日目に全部作るというのは難しいため、2週間ほどの猶予期間があります。この間にチームで開発を進めます。

2日目である9/23に実際にプレゼンを行います。この日は午前9時半から会場入りしました。前日に準備が終わっていたため、私がやることは何もありません。審査員なので座っているだけ、という状況です。開発状況を見守るという感じです。

ところが、都合により本の校正の締め切りが迫っていたので、見守るふりをしてひたすら校正PDFとにらめっこ、というオチ。おかげで、だいぶ校正が終わってめでたし、といったところです。

あとは、ちゃんと見ているふりをするため、会場の写真を撮ってTwitterにアップしたりしていました。ちなみに、マッシュアップアワード 10 in 信州のまとめは以下にアップされています。

・Mashup Hackathon 信州 in 塩尻
 〜MA10一次予選ハッカソン 最新APIでMashup!!〜 2日目
< http://togetter.com/li/722897
>

午後4時からプレゼンタイムになりました。持ち時間は5分。最初は「MY HERO」。これは困っている誰かを助けにいくためのサービスです。「助けてくれ、ボタン」を押すと半径1km以内にいる誰かが助けに来てくれるというもの。

Android Ware(時計)を使って、アニメのヒーローっぽく確認し助けに向かうという感じのサービスです。ヒーローポイントなど未実装のものが多かったのですが、役立ちそうなサービスです。プレゼンは一番よかったのですが、完成予定がまだ先ということで落選。

次は「名前・おぼえてますか?」。ターゲットとなる声優さんとかに自動的にメッセージを返信して、名前を覚えてもらおうというサービスです。が、どう見てもスパムサービスなので……。ただ、こういう使い方ではない他の使い道もありそうな感じ。でも基本的にはスパム状態なので落選。プレゼンはエクセル方眼紙(笑)でした。

次は「OMBaaS」。これは短いメッセージ(One Message)を送信、記録するサービス。一番お金を稼げそうなサービスなのですが、バックエンドサービスでフロントエンドがないので落選。稼げるかという視点なら一番かもしれないけど、マッシュアップアワードはそういう主旨ではないので落選。

次は「ガスどこ?」。これは人気のあるガソリンスタンドを案内してくれるサービス。何を以て人気があるかを判断するかですが、給油回数が多いところだそうです。なおかつ、満タンになっていれば「安い」というのも成り立つらしいので、これらを満たせば人気のガソリンスタンドと判断するようです。

満タンにしたかどうかなどはトヨタ車のWebAPIを使うのですが、これだと他の車に対応できません。軽トラなどには使えないことになります。

そこで、開発者がとった方法がUSBカメラでガソリンメーターなどをスキャンし二値化して、ガソリンがどのくらい入っているかを判断するというもの。数千円のハードでトヨタに対抗しようと試みたわけです。完成度も高く、このハードがあったがために優勝候補筆頭になったわけです。

最後は「魔法少女メグ・スリン」。これはエプソンのメガネ(スマートグラスと書いた方がよさそうですね)とトヨタの車APIとAndroid Wareを組み合わせたゲーム。

デバイスの連携が面倒そうですが、それでも無事に作成しプレゼンまでこぎつけたというところ。このゲームはつまらなくなってしまった車の運転をゲームを使って面白くしようというもの。

通常、ゲームは室内で行われるタイプのものと、ソートでプレイするフィールドタイプのゲームがあります。このゲームは車を利用して通勤途中にモンスターが出現したらやっつけるというもので、モンスターはスマートグラスに表示され、そのモンスターを倒すのにAndroid Ware(スマートウォッチ)を使うという仕組みです。スマートウォッチはタッチでモンスターを倒すだけでなく、音声で呪文を唱えて倒すこともできます。

かなりの力作なのですが、プレゼンがあんまりよくなかった。スマートグラスの映像をプロジェクタに映し出す部分で、カメラのバッテリーが終わってしまったりと(これはプレゼン側のミスではない)トラブルがあったので5分のプレゼン時間で全部説明しきれなかった感じでした。

そして、奥の部屋に主催者とひきこもって審査。用紙に点数をつけていたのですが、やはり残ったのは「ガスどこ?」と「魔法少女メグ・スリン」でした。

マッシュアップアワードは10年の歴史があるのですが、そこからすると「ガスどこ?」は、やはり古い感じがあるというのと、マッシュアップアワードはアイデア次第というのがポイント(特に昨年から)なので、結局「魔法少女メグ・スリン」に賞を差し上げることになりました。

もうひとつ賞があって、これは協賛メーカーから何かもらえるというものです。ちなみにトヨタ賞は「ガスどこ?」になりました。

公平な審査というのはなかなか難しく、クレームが出たりすることもあります。そこで、作成された作品のどこがよくて、何をどう改良すればよいのかを、授賞発表後に説明しました。というのも、マッシュアップアワードは一度駄目でも同じアイデアを洗練させて、何度でも同じ作品で応募できるからです。

ということで、無事審査も終わって一段落。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/
>

と思ったら御嶽山が噴火! ということで見晴らしのよい九蔵峠まで行きました。ちなみに自宅からでも噴煙は見えます。近くの山に行けば、晴れていれば御嶽山が噴火しているのも見えます。家庭用のビデオカメラでもズームすれば、かなり大きく見ることができます。

普段の九蔵峠は、一人いるかいないかの観光ポイント(景観ポイントかな)ですが、噴火したとたんに野次馬がたくさん。岐阜と名古屋からひっきりなしに来ます。
< >

救助のためヘリも3機ほど飛んでました。Twitterにいくつか写真をアップしておきました。
< https://twitter.com/openspc
>

当日の噴火の様子は反対側なので、いまいちですが噴煙はわかるかと思います。
<
>
<
>

映像素材として用意したいところですが、ハードディスクの容量がいっぱいで、大容量のHDDが届くまでアップできない状態です。

・データビジュアライゼーションのためのD3.js徹底入門
< http://www.amazon.co.jp/dp/4797368861
>

・D3.js例文辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/D3.js/
>

・ExtendScript Toolkit(ESTK)基本編
< http://www.amazon.co.jp/dp/B00JUBQKKY/
>

・4K/ハイビジョン映像素材集
< http://www.openspc2.org/HDTV/
>

・JavaScript逆引きハンドブック
< http://www.amazon.co.jp/dp/4863541082
>

・Adobe JavaScriptリファレンス
< http://www.amazon.co.jp/dp/4844395955
>

・Nexus 7(アンドロイドタブレット)使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Android/Nexus7/
>

・クリエイター手抜きプロジェクト
< http://www.openspc2.org/projectX/
>

・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集
< https://www.ddc.co.jp/estore/cgi/item/start.cgi?m=DetailViewer&record_id=243
>
吉田印刷所の「印刷の泉」でも購入できるようになりました。


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編集後記(09/29)

●倉山満「歴史問題は解決しない 日本がこれからも敗戦国でありつづける理由」を読んだ(PHP研究所・2014)。「昭和20年8月15日、この日をもって日本は国名ではなく地名となった。そしていまに至っている。本書の主題は「日本が再び国名に戻れる条件は何か」である。最初に絶望的な結論を下しておけば、安倍晋三内閣が仮に6年続くとしても、日本がまともな国に戻るのは無理だということだ」……なんということを。さらに「歴史問題の解決とは、もう一度戦争に勝たねば解決できないほどの難題なのである」ときては、「戦後レジーム(日本を敗戦国のままにさせる体制)からの脱却」を心から願う者としては、ちょっとシュンとしてしまうのだが、そうはいうものの、きっと素晴らしい処方箋が出てくるのだろうという期待もあった。

アメリカの占領期は「戦後」ではなく「戦中」であり、占領政策は戦争行為である。それも「総力戦」の徹底であった。憲法強要、復讐裁判、教育簒奪そのものが、戦勝国の自己正当化である。そのことを日本人に認識させず、むしろ恩恵と意識させて文化的に抱合することに、かなりの部分で成功した。現在の日本は、このような敗戦体制のままでいるのである。……なるほど、そういうことだったのか。戦争を行った国同士の歴史認識に関しては、講和条約の締結により過去の「戦争」に関するあらゆる領土的および金銭的請求権が消滅し、道義的追求はそもそも是認されないのが世界の常識である。だから、日本はどの国からも、自国の歴史認識について文句を言われる筋合いはない。

ところが、わが日本ときたら自らドツボにはまってしまった。教科書騒動における中国と韓国の抗議に対して、政府は教科書検定を近隣諸国に配慮して行うと約束した。さらに、河野談話、細川談話、村山談話と、「過去の侵略と戦争犯罪」を謝罪する政府声明を次々と出し続ける。過去に決着済みの問題を自ら蒸し返す。敗戦国の側から過去の戦争に関する謝罪を申し出ているのである。中国、韓国、そしてアメリカも、日本が自ら言い出した談話を守れと迫る。日本が敗戦国のままでいてくれたほうが、国際社会にとって都合がいいからだ。あの愚かな談話は安倍総理の一言で覆せるような甘いものではなかった。これが、日本が敗戦国から抜け出せない理由だ。

筆者はかなりの紙数をさいて、現代社会における支配的価値観がどのようなものかを考察している。「ウェストファリア体制と反近代の衝動」「ヨーロッパ近代の成立と身勝手な『文明}の押しつけ」などの章は、世界史を学ばなかったわたしには挫けそうになるが、理解できないというほどでもない。日本はどのような歴史をたどって、現在のような国際政治のレジームになったのか、ようやくわかってきた。この本の内容は、敗戦日本に生きる日本人が知らねばならない教養だ。「真に『敗戦国ではない日本』を取り戻したいなら、本書が突きつける現実と向き合って欲しい」……というわけで、本のタイトル通りの内容であった。愚劣なトップが時々現れるのは日本の不幸だ。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569816878/dgcrcom-22/
>
「歴史問題は解決しない 日本がこれからも敗戦国でありつづける理由」


●「ロフトプラスワン・ウエスト」なるものができていたのね! 今年の4月4日オープンだって。ってGrowHairさんが6月に出演されていた……。こんな東京そのものな会場が大阪に出来るなんて思ってもみなかったから、一度は行ってみたいけど機会はなさそうよねと最初から諦めていたから、目が滑っていたか、別のものに置き換えていたか、記憶からすぐに消えてしまっていたかだと思う。

いやほんとに「ハイハイ、ロフトプラスワンですか、楽しそうでいいですね、そちら(ロフトプラスワンに気軽に行ける範囲に住む人)さんは」ってぐらいの拗ね方。オープニングの時期は特に力が入っているだろうと見てみたら、行けなかったことが残念なものが。

サブカル好きだったはずが、今やすっかり……。でもスケジュールを見ると、ワクワクするわ。なにこの学年に一人いるかどうかのピンポイントなターゲット企画の数々。下に列記できなかったものの方が気になっていたり(笑)。大阪の地に根付きますように……。(hammer.mule)

< http://www.loft-prj.co.jp/west/
>
ロフトプラスワン・ウエスト

< http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/26274
>
昭和プロレス秘密集会West

< http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/26240
>
V ZONE〜廃盤、絶版ビデオ祭り〜 Part.4。ホラーは無理……

< http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/26989
>
ナニワのシンセ界の深世界

< http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/27793
>
アート×サウンド×デザインのCrossRoad

< http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/date/2014/04
>
今年4月のスケジュール。行きたかったものがいくつか

< http://m2college.net/fes3/
>
まにフェス。3Fは無料。4Fは有料・予約制。
「強みを活かした『炎上しない』プロジェクト進行」
デジクリ割あり。フォームのメッセージ欄に「デジクリ読者」で2,000円