[3793] イノベーションを起こせるエンジニアとは?

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《変人ぶりが足りないのだろうか》

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 イノベーションを起こせるエンジニアとは?
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イノベーションを起こせるエンジニアとは?

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10月25日(土)、品川シーサイド楽天タワーにて「楽天テクノロジー・コンファレンス 2014」が開催され、楽天の社長である三木谷浩史氏、東京大学生産技術研究所教授である喜連川優氏、UIEvolutionのチーフソフトウェアアーキテクトである中島聡氏ほかが、日本のイノベーション(技術革新)の展望などについて45分間ずつ講演した。

ここ数年、日本はものづくりが振るわない。技術力において欧米アジア諸国に比べて劣るとは考えづらい日本において、なぜイノベーションがなかなか起こせないのかがよく取りざたされている。

何かヒントになるような話が聞けるのではないかという期待で聴講したところ、中島氏の熱意あふれる公演にインスパイアされるところ大なるものがあり、レポートしたい。

●イノベーションを生み出す土壌作りが急務とよく言われるが

バブル経済の崩壊から20年以上経っても日本の景気は浮かび上がれそうな気配もなく、特にここ数年は半導体を始めとするものづくりがどうにも振るわない。

技術力では諸外国の後塵を拝するとも思えない日本にあって、なぜヒット商品がなかなか出てこないのか。iPhoneのようなぱっとした製品が日本の企業から生み出されて来ないのは、何が問題なのか。スティーブジョブズと日本のメーカーの経営者とはどこが違うのか。

そのあたりの原因を徹底的に探り出すことによって、イノベーションを起こせる国に生まれ変わらないことには、日本はグローバル市場を生き残っていけないぞ。経済評論家たちがそこをかまびすしくつつき回している。

いわく、変人に対して冷たい日本の企業風土がいけないのではないか。スティーブジョブズは、一般的な社会人としてはそうとうな変わり者の部類だったようで、もしああいう人が日本のメーカーの社員にいたりなんかした日にゃ、まわりから疎まれて、次第次第に隅っこのほうに追いやられていくんじゃなかろうか。

おそらく日本の企業の中にもそういう人はいたんだけど、活躍の場が与えられずに才能が腐らされているのではあるまいか。

2013年7月17日(水)の日経ビジネスオンラインで、明治大学商学部教授の富野貴弘氏が「“変人”を生かす経営を取り戻せ」題するコラムを書いている。
< http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130711/250988/
>

  スペックで勝負する製品は、他社製品との比較がしやすく、良さが分かり
  やすいため、恐らく社内でも企画が通りやすいのでしょう。これに対し、
  定量化しづらい意味的な価値を持った製品は、ライバルメーカーからまね
  されることも少ない代わりに、自社内を説得してゴーサインをもらうのが
  難しい。「この製品はワクワク感があります」と強調しても、本当にそれ
  で他社製品に勝てるのかどうかが分からないからです。そういう場合、ゴ
  ーサインを出せるのはトップしかいません。

まあ、仮に「イノベーションを起こす人は変人である」が真であったとしても「逆は必ずしも真ならず」と言って「変人は必ずイノベーションを起こす」が真であるとは限らないわけで、変人をやたらと持ち上げてしまうのも考えものではあるのだけれど。

総務省はまじめに取り上げた。2014年2月18日(火)に発表したイノベーション振興策の案の中で、「独創的な人向け特別枠」を新設する計画が盛り込まれている。企業や大学、研究機関など所属を問わず「変わったことを考える人材」「変わったことをする人材」を公募して、一年間の研究費を「上限300万円+間接経費」まで支援するという、なかなか奇抜な施策である。

画一的で忠誠なることを尊ぶ日本の企業文化に埋もれてくすぶっているスティーブジョブズがきっといるはずだから、発掘してあげましょう、ってわけだ。

よくよく考えてみると、いや、考えてみなくても、私もまたエンジニアの一員である。日本がイノベーションを起こせない責任の一端は私にもあるわけだ。変人ぶりが足りないのだろうか。どういうふうに努力すると立派な変人になれるのだろうか。

楽天株式会社では、変人がどれだけ尊重される企業風土が育まれているかはよく知らないが、私の中では、先々起こりうる社会環境や価値観の変化に対して感度の鋭いアンテナを張り巡らしていて、そうとうしっかりとした将来ビジョンを描いている会社とみえている。

何かいい話が聞けるのではないかという期待から、今回のコンファレンスを聴講しに行った。

●変化していく社会のキーはグローバル化とビッグデータ

10月25日(土)、コンファレンスは11:00amから5:00pmまで、楽天タワーの4フロア、8部屋で同時進行した。講演は質疑応答含めて各々45分。休憩15分を挟んで一時間サイクル。聴講には事前登録が必要だが、無料である。

私は、三木谷浩史氏、喜連川優氏、中島聡氏の3講演を聴講した。いずれも一番広いA会場で行われ、300席が用意されていた。三木谷氏の基調講演はほぼ全席が埋まっていた。他は半分程度の入りであった。

ポロシャツ姿で現れた三木谷氏は、立ち居振る舞いからしゃべり方まですべてにおいてバイタリティがみなぎっている。三木谷氏が1997年に設立して5人からスタートした楽天は、15,000人を擁するまでになり、来年には二子玉川に新しいオフィスをオープンするという。

オフィスの進化形を狙い、美容室あり、指圧施設あり、カラオケセンターあり、デイケアセンターあり。デイケアセンターは、バイリンガルで運営するという。英語によるコミュニケーションをベースにしたグローバル化はたいへんな優位性だという。

もたもたして進まない英語教育の低学年化を尻目に、このデイケアセンターから有能な国際ビジネスマンが育っていくことであろう。ちょっと恐い。

そこの角を曲がった先にある景色がどうなっているのか、いち早く見たいという、近未来予測に対する意欲があふれんばかりに満ち満ちているのが伝わってきた。曲がり角の先の景色は、いま見ている景色とはがらっと違うはずだ、という確信をもっている。

今の潮流がずっと続くと思うな。将来の景色は現在とがらっと異なる。自分たちも常に変化している必要がある。ルールを変えろ。

その感覚は、私も共感できる。未来が劇的に変化するに違いないという確かな予感を私は「カタストロフ」という言葉で表現してきている。30年前の日本のムードと今とを比べると、まるで別の国かというほどがらっと違っている。今後30年で、今まで以上に変わるであろうことは、容易に想像がつく。ただ、どういうふうに変わるのかは、いまひとつ見えていない不安がある。

ビッグデータが大きな役割を果たすことは、すでに多くの人の間で共通認識となっている。私は 2012年10月19日(金)のこの欄で、「ウェブという名の大海に釣り糸を垂れてみる」と題して「巨大知」について書いている。

その中で、楽天技術研究所の森正弥氏の著書『ウェブ大変化 パワーシフトの始まり』の中で述べられている「サードリアリティ」というビジョンを取り上げた。「爆発的に氾濫する情報から意味や関係性をマイニング(発掘)して価値を生み出していくことが知の変革をもたらす」。
< https://bn.dgcr.com/archives/20121019140100.html
>

三木谷氏の講演では、ビッグデータに基づいて、内閣府の発表する景気総合指数を予測した結果が示された。わずか0.4%の誤差でほぼ的中させている。主観はまったく入っておらず、純粋に機械的なデータ分析手法によって得られているという。

ビッグデータの重要性は多くの企業が認識しつつも、実践的にはなかなか効果的に活用できていないイメージがある中にあって、楽天は先陣をきって走っている感じがする。

●世界に変化をもたらす当事者たるエンジニアは最高の職業!

三木谷氏の講演は未来を切り開いていこうという力強い意志が伝わってきて聞き応えがあったが、中島氏の講演は情熱がこめられてさらに感動的であった。標題は「未来を発明しよう」。

冒頭で、話したいことはいろいろあるけれど、ごちゃごちゃ言わずに、ひとつのメッセージだけに絞ることにすると宣言する。また、詳細に気をとられる必要はないという。

本題の前に、自己紹介として、3つの経歴が述べられた。

第一に、ソフトウェア・アーキテクトとしてシアトルのマイクロソフト社にいて、Windows 95/98とInternet Explorer(IE)3.0/4.0の開発、およびIEの Windows への統合に携わっている。

第二に、やはりシアトルでUIEvolution社を立ち上げ、1,100万ドルの資金を集めている。

第三に、ブロガーあるいはライターとして、"Life is Beautiful" というブログとメルマガに文章を書いている。

本題。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の計算機科学の准教授である計算機科学者アラン・ケイ氏のよく知られた言葉を引用。「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」。

中島氏も同じ考え。若手技術者は、iPhoneの次期バージョンはどんなのが出るか、いち早く情報をキャッチしようと、うわさばかり気にしている。そんな若手技術者にいつも言っている。もし自分が設計するとしたら、どんなのを作るか考えろ、と。

エンジニアは世界で一番いい仕事。未来を作っていき、世界を変えていく当事者だ。その特権を無駄にするな!

人と違った考え方をしろ。現状維持を尊ぶな。そんなものは無視せよ。ものごとを変えていけ!

情熱をもて! クレイジーであれ。そのクレイジーさをもって世界を変えろ!

中島氏は、エンジニアであることがかくも幸運だとずっと思ってきたという。学生時代からルールが嫌いで、現状維持が嫌いだった、と。

次に、文化のことを取り上げている。日本からなぜイノベーションが生まれづらいかという話と関係してくる。問題は文化にあるという。

そして、「閉塞感」というキーワードを出してくる。それは、行く手が阻まれている感覚だという。イノベーションを起こすことが自分には許されていない、そんなことが可能な環境に置かせてもらえていないという感覚。

日本の若手のエンジニアに聞いてみると、個別の製品開発に追われて日々が忙しく過ぎていき、いつまで経ってもイノベーションなんて出てきそうにないという。イノベーションのデッドロック状態。

イノベーションが起こせないことに対して誰も責任をとらなくていい体制。たくさんの会社がこの状態に陥っている。特に大きな会社。

しかし、本当は、イノベーションは会社の組織構造や会社の戦略の問題ではない。個人の問題である。

会社にはビジョンも情熱もない。それらを持っているのは個人だ。スティーブジョブズは組織からではなく、何もないところから斬新な製品を生み出した。
「閉塞感」はただの感覚。そんなものに縛られている必要はない。

イノベーションを起こすことに関して、企業は、元来、乗り物、あるいは環境にすぎない。

中島氏のたったひとつのメッセージとは、「ビジョンと情熱は個人のものであって、保守的な企業文化からくる閉塞感を跳ね返してイノベーションを起こせるのは個人である」ということであろう。

先ほど参照した日経ビジネスオンラインの変人礼賛記事では、個人から提示された量的評価しづらいアイデアを吸い上げることに尻込みしているトップの問題を指摘していたが、中島氏は、その逆で、個人の問題に重きを置いている。

体制を変えることよりも、個人が考え方を改めて、取り組み姿勢を変えることがイノベーション創出につながるとしている。さて、私自身も一個の個人であるわけだが、考え方を改めるとイノベーションを生み出せるようになるのだろうか。

●チャンスはあった?

多くのエンジニアは、組織の一員として、イノベーションを起こす役目を負っていない。上からそんな期待が表明されたことはなく、自分でもそんな指向をもっていない。

満たすべき仕様や解決すべき技術課題が天から降りてきて、それを何とかするのが、与えられた役目。それが最終製品のどの部分でどのように活用される予定になっているのか聞かされてはいるが、最終製品そのものを企画・設計する役目を自分が負っているわけではない。

任務遂行に必要な知識は、しっかり勉強して身に着けるし、身に着けた知識を土台に据えた上で、創意工夫を凝らして独自技術を編み出すことに努めもする。

それがうまくいって成果が上がれば、論文を書いて学会発表したり、特許を出願したりできる。創造性・独自性はそういうところで発揮すればよいと思っている。

これによって成し遂げられるのは、どちらかというと、既存製品の性能向上や小型化、軽量化、静音化など、連続的な進化であって、イノベーションとはちょっと違う。イノベーションというと、斬新性、大飛躍、発想の大転換、既存製品とはがらっと異なるパラダイム、大ヒットといった非連続のイメージがる。

イノベーションを起こす能力というのは、天から特別の命を受けた、選ばれし人にだけ与えられた特殊なものなのであろうか。

ニュートンが万有引力を発見するきっかけはリンゴが木から落ちるのを見たことにあったと聞かされたところで、急にインスパイアされて万人が物理学者になれるってもんでもあるまい。

中島氏の話の後半は、氏がどういうふうにしてエンジニア界のスターダムを駆け上がってきたかという具体的な事例紹介であった。

これは、ヒントに富んでいた。確かに中島氏は並々ならぬ情熱と実行力と、それらを持続させる粘り強さを備えた超人ではある。けど、リンゴを見て万有引力を思いつくようなタイプではない。

中島氏は、高校時代にNECのPC8001というほぼ初代のパソコンの上で走るGAMEというプログラミング言語を開発した。BASIC言語の簡易版のような仕様であったという。

みずから開発したGAME言語を使ってゲームアプリを制作したという。さらに、このインタプリタ言語をGAME80というコンパイラ言語へと進化させて、実行速度を著しく向上させたという。

そのコンパイラは他人にパクられて、いつの間にか販売されていたという。高校生の当時は、弁護士に相談して訴えるなんて考えには及ばなかったそうだ。

次に開発したのは、CANDYという、パソコン上で走る、マウスで操作できる初のCADシステムである。父親が建築士であったことから偶然思いついたという。

これはちゃんと売り物になり、一本400ドルで販売したという。もし同じソフトをいまiPhone のアプリとして書いたら、1ドルにもならないだろうけど、という。

このあたりのこと、私には、すごーーーく馴染みがある。中島氏とはほぼ同世代である。

あのころのパソコンって、最低限の開発環境だけが用意された、ただの箱だった。立ち上げると、画面上部に1行だけ "How many files [0-15]?" とメッセージが表示され、あとは四角いカーソルがべっこんべっこん点滅してるだけで、何も起きない。

アプリなんて概念がなかったのは、そんなものが存在しなかったからだ。ゲームで遊びたいと思ったら、自分でソフトを作るしかない。私も作った。シャープのプログラム電卓上のBASIC言語で。

与えられた常微分方程式と初期値に基づいて、その特殊解をルンゲ-クッタ法で数値的に求めるプログラムなど、誰でもよく使う便利なものについては、BASIC言語で書かれたソースコードが雑誌などに印刷されていて、それを自分でパソコンに打ち込むと実行できる。

1文字でも間違って入力すると、ひどいことになる。それが当時の「パソコンを使う」という概念だった。

ゲームで遊びたいと思ったら、そのアプリの仕様を自分で考えて、みずからプログラミングするしかなかった。BASICだとチャチいもんしか作れなかったので、もっとちゃんと遊べるものを作りたいと思ったら、開発言語から開発するしかない。その発想自体は、それほど特殊なものではない。

思いつくには思いつくけど、気が遠くなるほど面倒くさいので、自分ではしようとしないのが普通だった、ってだけだ。現在のように開発環境がばっちり整備されたところでアプリケーションソフトを書くというのとはわけが違うのだ。

その超めんどくさい作業を実際にやると、いま、楽天に招かれて登壇し、流暢な英語で熱く講演するようになっているってわけだ。

●暇じゃなきゃできない?

私は永谷園という会社を、なかなかやるなぁ、と思って眺めている。

かつて、「ぶらぶら社員プロジェクト」というのがあった。社長みずから実行したかったんだけど、暇がなかったので、有能な営業マンを抜擢して任命した。丸々2年間、ぶらぶらして来い、と。

まじめな営業マンなので、綿密にスケジュールを立て、こういうふうに実施しようと思うのですが、いかがでしょうか、と社長にお伺いを立てた。社長いわく、「大馬鹿者! そういうのをぶらぶらとは言わんじゃろ」。

ぶらぶらするというのも大変だなぁ、と感じつつ、この営業マンはぶらぶらを文字通り実行した。世界を旅して、美味いもんを食い歩いたのである。

2年経って、出てきたのが「麻婆春雨」である。

私は所属部署が移って以来、2年半ばかり、上から任命されたわけでもないのに、みずから進んで、ぶらぶらと過ごしてきた。自慢じゃないが、会社には一銭たりとも貢献していない。

そろそろ麻婆春雨をアウトプットしないと、首のあたりがすーすーするぞ。

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LINEのスタンプが10月24日(金)に発売されました。
10月31日(金)現在(← まだ原稿書き上がってないんかいっ!)、25,064件中34位と、わりかし好位置にランキングされています。
ここに至る経緯は長めのコラム1本分ほど語れるので、回をあらためて。
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11月9日(日)、神戸にて Ladybeard 氏来日一周年記念イベントに出演します。

  イベント: Kawaii Angelic Celebration
       レディービアード来日一周年記念ライブ
  出演:Ladybeard、アレキシ藤原、細胞彼女、「セーラー服おじさん」GrowHair
  日時:11月9日(日)12:00開場、13:00開演
  場所:神戸上屋劇場
     < http://lbkobe.wix.com/lb1kobe
>
  チケット:前売り 2,500 円

11月15日(土)、上尾にある「Outdoor cafe 山小屋」にてトークします。

  演題:理系が語るHAPPY論
  出演:「セーラー服おじさん」GrowHair
     聞き手:武 盾一郎 (画家、上尾市在住)
  日時:11月15日(土)17:30開場、18:00開演 (20:00終了予定)
  場所:Outdoor cafe 山小屋 048-729-5814 
     < http://www.facebook.com/outdoorcafeyamagoya
>
  チケット: 2,000円/人(1ドリンク付) ※高校生以下1,500円

11月23日(日)、高円寺にてトークします。

  演題:カオスおじさんズ vol.1 〜セーラー服とタワシとアヒル〜
  出演:セーラー服おじさん、タワシおじさん、アヒルおじさん、シロ (アヒル)、MC:わか
  日時:11月23日(日)18:00開場、19:00開演
  場所:高円寺パンディット
  チケット:前売り 1,500円(当日500円アップ) ※ご飲食代別
  < http://pundit.jp/
>
  [イベントスケジュール]をつついて、一枚ページをめくったところに詳しい情報が出ています。


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編集後記(10/31)

●適菜収「日本をダメにした B層用語辞典」を読む(講談社)。本づくりとしてはどうかと思う体裁で、文字は大きく行間広く、写真が大きくて、ページは稼いでいるものの文章量は少ない。しかも、イントロと橋下徹と安倍晋三について書かれたところ三か所は、用紙が赤だからじつに読みにくい。「バカのリトマス試験紙。政界のハエ取り紙」橋下徹、「保守を偽装するグローバリストスト」安倍晋三、と罵倒しているのだから赤紙の使用は悪意を感じる。B層とは、大衆社会のなれの果てに出現した、今の時代を象徴するような愚民をいう。マスコミ報道に流されやすい「比較的」IQが低い人たちのことである。そう定義付けたのは筆者ではない。2005年の郵政選挙のときに、自民党が広告会社に作成させた企画書に登場する概念である。広めたのが筆者である。

筆者のいうB層は、近代的諸価値を盲進するバカ、改革バカである。単なる無知ではないが、歴史によって培われてきた良識、日常のしきたり、中間の知、教養を軽視するので、近代イデオロギーに容易に接合されてしまい、マスコミに永遠に騙され続ける存在だという。この本で筆者は、「近代大衆社会およびその最終的な姿であるB層社会において、ひっくり返された言葉をもう一度ひっくり返す作業をおこなった」という。「歪んだ言葉を正常な位置に戻す。本書はB層社会への抵抗でもある」。だから、用語として出てくる言葉は、我々がなんとなく思っている意味とはまったく違う意味を持っていた。これは辛辣で悪意のこもった「悪魔の辞典」である。例をあげると──。

フェミニズム:女性の価値を劣化させ、性差をイデオロギーで糊塗する社会運動。外圧:反日政治家が利用する原理。客観的:B層が持ち出す根拠。第三者:政策や主張を押し通すために利用する身内のこと。男女共同参画社会:女性を労働力として国家に動員すること。抵抗勢力:常識を残している人たちのこと。民意に従う:議会政治を放棄すること。世論:メディアが恣意的に生み出すもの。絆:震災後に発生したビジネスのひとつ。不退転:「行き詰まった」ということ。法務大臣:名誉職。法の素人が就くことが多い。民主主義:平等権を根拠としたキリスト教カルト。人類を滅ぼすイデオロギー。ゲーテに言わせると、若者がかかる風邪のようなもの。格差社会:普通の社会のこと。格差がない社会は異常。

この用語辞典に出てくる語の意味は、切れ味が鋭いからとてもおもしろい。辞典というよりエンタメだ。筆者は毒舌芸人か。全体を通して筆者は、今の日本は全体主義的状況にすでに突入している、愚民の正義が社会を窮屈なものにしている、今必要なのは保守の復権だ、つまり、われわれ日本人が常識を取り戻すことが大切なのだと強調する。それはわかるが、ずいぶんな高みからB層をバカにしている思う。安倍晋三、橋下徹に対する悪口はみごとなものだが、その裏側はB層への罵倒だ。悪口が大好きなわたしでさえ辟易するほどだ。毒舌芸人、言うだけ番長だったら残念だが、果たして正体は。(柴田)

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「日本をダメにした B層用語辞典」


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阪神が負けた。打線が振るわなかったから、仕方がないといえば仕方がなかったんだが、昨夜のは待てば押し出しだったんではと。ソフトバンクだってあんな勝ち方はしたくなかったろう。

家人がテレビをつけていて、チャンスになったら呼んでくれるんだが、こんなことのために仕事の手を止めたのかと腹が立ってしょうがない。ああもう、すっきりしない。今日から近所のスーパーやジョーシン、百貨店がセールするから、それの恩恵にあずかることにするわ。和田監督の背番号にちなんだ86円均一セールがあるよ。 (hammer.mule)

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