[3820] 祝日を増やそう!

投稿:  著者:


《ケーキで景気対策》

■ショート・ストーリーのKUNI[165]
 祝日を増やそう!
 ヤマシタクニコ

■3Dプリンター奮闘記[50]
 完璧な出力設計と大分解掃除メンテナンスと......
 織田隆治

--PR------------------------------------------------------------------
   ↓↓↓ デジクリ電子文庫第一弾! マイナビより発刊 ↓↓↓

  怒りのブドウ球菌 電子版 〜或るクリエイターの不条理エッセイ〜
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00CIOU68M/dgcrcom-22/
>

◎デジクリから2005年に刊行された、永吉克之さんの『怒りのブドウ球菌』が
電子書籍になりました。前編/後編の二冊に分け、各26編を収録。もちろんイ
ラストも完全収録、独特の文章と合わせて不条理な世界観をお楽しみ下さい。
-----------------------------------------------------------------PR---




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ショート・ストーリーのKUNI[165]
祝日を増やそう!

ヤマシタクニコ
< https://bn.dgcr.com/archives/20141211140200.html
>
───────────────────────────────────
ある日あるとき、総理大臣が閣議を招集した。総理大臣は言った。

「大臣諸君、本日集まってもらったのはほかでもない。私は新しく祝日を作ろうと思うのだ。その名も『日本のクリスマス』」

「なんですと?! クリスマスを祝日に?!」

「ありえません、総理。クリスマスはキリスト教のイベントです。特定宗教のイベントを我が国の祝日になど」

「ありえません!」

「まったくありえません!」

「絶対ありえません!」

全員一致でありえないところを総理大臣は言った。

「勘違いしてもらっては困るなあ。だれがクリスマスを祝日にと言ってるのだ。『日本のクリスマス』だよ」

「はあ?」

「大臣諸君の指摘通り、クリスマスはキリスト教のおまつりだ。だが、我が国ではほとんどの人は、そんなことはどうでもいいと思っている。早い話が、ケーキとチキンを食べてプレゼントをして、あとはどんちゃん騒ぎをするだけ。私はそういう、キリスト教と全然関係ない『日本のクリスマス』を祝日にしようと思っているのだ」

「で、それは何月何日に」

「もちろん12月25日だ。『日本のクリスマス・イブ』が24日」

「ふつうのクリスマスと同じじゃないですか」

「たまたまだよ。何か問題でも」

「いったいなんのためにそんな祝日を」

「何を言ってるのだ財務大臣。国民にお金をどんどん使ってもらうために決まってるではないか。ちょうどボーナスも出た後だ。休みにすれば思い切り遊べる。おいしいものもゆっくり味わえる。飲食店もデパートも繁盛する。内需拡大だ。わはははは」

「さすが総理。つまらないことを...いや、すばらしいことをお考えになるもんですな。まさか、これも景気対策だとでも」

「もちろんだとも文科大臣。ハッピーマンデーで三連休が増えて、旅行に行く人も増えたではないか。そもそも、我が国の国民はお金を持ってるくせになかなか使わないのだよ。使い方を知らないのだから困ったもんだ。お金はぱーっと使うためにあるのに」

「総理。お言葉ですが、世の中リア充ばかりではないのです。非モテという言葉をご存知ですか」

「知ってるさ厚労大臣。美女が桶でシャンプーするやつだろ」

「それはティモテです。クリスマスにいい思いをしているのは、ひとにぎりのリア充だけ。恋人もいない、お金もない非モテの怨念がたまりにたまって、今しも爆発しそうになっているというのに火に油を注ぐようなっ」

「心配するな。私は非モテ対策もちゃんと考えておる」

「といいますと」

「非モテの人には国がケーキを配る。国民みんなで楽しむのが目的だからそれくらい当然だろ。そうだ。非モテ歴の長い人ほど大きなケーキをプレゼントすることにしよう」

「ええっ」

「さぞかしご苦労されたのだろうから、国としてそれ相応のねぎらいの気持ちを表すのが当然だ。製菓業界ももうかるし、小麦粉や卵、バター、いちごやチョコレートのメーカーももうかる。あ、断っておくがケーキで景気対策などというおやじギャグをかましているつもりはないからな。はっはっは」

「要するにバラマキ...。私はいいですが、野党が納得しません」

「うるさいなあ国交大臣。バラマキでもはらまきでもいいじゃないか。最近はヒートテックの」

「だいたい、非モテかどうかどうやって調べるのです。何を基準にするのです」

「そりゃあまあ、本人に申請してもらうのがいいだろうよ法務大臣」

「本人の申請を鵜呑みにするのですか。世の中もらえるなら何でももらおうという人がいっぱいいるのです。そんな輩にもほいほいとケーキをわたすのですか」

「転売目的でもらう輩もいるかもしれません。いや、絶対います」

「非モテの方には小麦アレルギーや卵アレルギーの方もいると思われます。国が配ったケーキでアレルギー症状が出たらどうするのです」

「和菓子業界から猛反発必至です」

「非モテ歴の長い人には大きなケーキですと。ものすごく年季の入った非モテの方は巨大なケーキをもらうのですか。絶対胸焼けします」

総理大臣がいらいらして言った。

「うるさいなあ。ケーキは転売禁止、違反したものは懲役、なんならGPSでもつけておけ。アレルギー除去ケーキももちろん作るさ。作ればいいんだろ作れば。オプションで『日本のクリスマスまんじゅう』も選べるようにする。巨大ケーキには...漬け物も添えよう。さっぱりするように。個人的には千枚漬けだが、しば漬けでも奈良漬けでもいい。漬け物業界も潤う。これでいいだろっ」

「待ってください。本人申請ではやはり問題があります。証人が必要でしょう。確かにこの人は友だちも恋人もいない、お金もない、さびしい非モテであることを保証するという」

「賛成です。税金を投入するからには慎重にしなければ。証人は最低5人は必要かと思います」

「住所・氏名の記入および捺印は不可欠ですな」

「あーもううるさいなあ。じゃあそうしよう、それでいい。決まりだ。法制化を急ごう。国民はきっと喜ぶぞ!」総理大臣が言った。

「ちょっと待ってください、みなさん! みなさん全然わかっておられない。非モテの方々はお友達が少ない、もしくは、いないのです。親身になって考え、あなたのためなら証人になってあげようと言ってくれる友人や身内が5人もいれば、そもそも苦労しないのです」

「それは言えてる。簡単に5人の証人が集められるようなら、非モテではないといえるかもしれないような、まあなんともいえないような」

「いや、集められたとしても...なんだか楽しくないですけど」

「ええい、うるさい、やかましい! 一体どうしろというんだ!」


ある日ある街に住むヤマダくんに電話がかかってきた。

「もしもし、ヤマダさんでしょうか。ご存知かと思いますが、先の国会で『日本のクリスマス』祝日化および非モテの人に一律ケーキ支給案が通りまして、さっそく実行されることになりました」

「はあ? おれ、新聞もテレビも見ないから知らないんだけど」

「知らなくてもいいのです。とにかくあなたに、クリスマス、じゃない『日本のクリスマス』の日に政府からケーキが贈られるのです。正確にはケーキ引換券ですが。別途郵便でお送りしましたので、期日までに手続きのうえ市役所の福祉課でお受け取りください」

「ちょっと待てよ。なんでおれが非モテだなんてわかるんだ。どっから情報が」

「えっと、その件につきましても報道されている通り、非モテの認定につきましては『推薦制』となっております」

「推薦制?」

「はい、当初は申請方式の案もあったようですが紆余曲折の末に推薦制に...。プライバシーの問題もありまして明らかにできないのですが、複数の地域住民代表の方に、この方こそは非モテであるという推薦をしていただきました。その結果、ヤマダさんが多数の支持を得て、みごとその中の一人に選ばれました。ぜひ特大のケーキを...」

「いらねえよっ!」

【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
< http://midtan.net/
>
< http://koo-yamashita.main.jp/wp/
>

会社に行かなくなって思いっきり朝寝をしていたら、お得意さんからの電話で起こされるということが数日続いた。自分は出勤しなくても、世間の出勤時間に合わせて起きておかないとだめなんだと、思い知らされた新米フリーとは私のことだ(それにしても10時や11時は寝過ぎだろうという声もあり)。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3Dプリンター奮闘記[50]
完璧な出力設計と大分解掃除メンテナンスと......

織田隆治
< https://bn.dgcr.com/archives/20141211140100.html
>
───────────────────────────────────
ここのところ、年末にかけて3Dプリント業務が目白押しになってます。こういうのって波があるのよねぇ...。

僕は出力サービスはやっていないので、主に本業用のプリントがほとんどです。あんな事やこんな事といった、守秘義務的に言えない物を出力している訳です。

現役で使っているプリンターは、ニュルニュル式(熱溶解型)と光硬化型なんですが、圧倒的にニュルニュル式の方が大活躍。これは、大きい物を出力する事が多いからなんで、今の光硬化型のプリンターでは役不足。

3年間、相棒としてきたBFB 3D TOUCHですが、流石にかなり酷使してきているので、最近調子が悪くなってきました。

素材を入れている代理店さんからは、僕の素材の消費量は普通じゃないという事です(笑)。まあ、それだけ実働しているって事なんですが、出力する時は、24時間交代なしで、4〜5日出力しっぱなし、なんてしょっちゅうです。

僕の場合、サポートを出来るだけ少なくするようにモデリングをし、配置にも気を付けて、出来るだけ素材と時間がかからないようにしてます。これ、3Dプリンターを使う上で、かなりの必須項目です。

たまにしか出力しないのであれば、あまり気にしないで良いのかもしれませんが、大量に出力する僕にとっては、かなりのコストと時間の削減になります。色々考えてモデリングやプリントの配置をするので、そこに時間はかかりますけど、出力時間の削減の方が、はるかにメリットが高い訳です。

最近の3Dプリンターでは、自動的にサポートが生成されるような仕組みやプログラムになっていますけど、僕の場合はサポート部分も一緒にモデリングしてしまいます。

どういうふうに出力すれば、このサポートを減らせるか? って事を考えながらモデリングする訳ですね。これ、レジンキャストなんかのシリコン型の制作にも似ているなぁ、と思います。

このシリコン型っていうのは、樹脂を流し込んで、原型になったものを複製する型の事なんですが、樹脂の流れ、型内部の空気がどういう感じに抜けて行くか、を考えながら配置をする訳です。

ここがうまくいかないと、シリコン型の内部の空気がうまく抜けず、その部分に樹脂が流れ込んでいかない為、気泡だらけの複製品が生まれる訳ですね。

そういった「考えながら」の作業に慣れているためか、この「出力しやすい」モデリングという事が、比較的苦にならないで出来ている気がします。

リアルなモデリングでも、バーチャル(3DCG)のモデリングにしても、その先の工程を考慮に入れながらの作業ってのは、「もの作り」にとってとても大切な事だと思います。ここをちゃんとしておかないと、後でエライ目にあったりする訳です。

で、今回も勿論、色々と出力する角度やサポートを考えながらモデリング、配置をして、「これで完璧やん! あとはよろしくね〜♪」と余裕をかまして他の作業をしていました。

「さて、そろそろ半分くらいは出力出来てるよね〜♪」と、覗きに行ったところ......ノズルが詰まってカスカスになっとるやないけ〜! という状態になっておりました...orz こうなると、ヘッドのメンテナンスをしないといけなくなります...。

いくら、自分なりに完璧なモデリング、モデルの配置を行っていたとしても、
こういったトラブルが出てくる訳ですね...。油断大敵です。

さて、BFBの場合ですが、このヘッドのノズルのメンテが凄く大変なんです。すべてを分解し、電気系のコネクタも外して、ほぼバラバラ状態にしなければなりません...。最近のプリンターは、比較的容易にこのノズルにたどり着けるようになっています。

でも、この分解バラバラが、3Dプリンターの仕組みや構造を知る良い機会になっている気もしています。いえ、決して負け惜しみではないです。多分、、、。

さあ、今日はもうグッタグタに疲れているので、この大分解掃除メンテナンスは、明日にしよう...。昨日から貫徹だったしね...。年末から年始にかけて、色々と出力しないといけないので、ちょうどいいレストアになるかなぁ。また、3Dプリンターの仕組みや構造の勉強も出来るぞ! いえ、決して負け惜しみではないです。多分、、、。

ホント、あっと言う間にクリスマスが来て、正月が来て、気がついた頃には年度末なんだろうなぁ...

あ、今年はこれで最後の掲載になります。それでは、皆さん「良いお年を!」

う〜ん。なんか実感ないなぁ...。

【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
oda@f-d-studio.jp
< http://www.f-d-studio.jp
>


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(12/11)

●早くも12月の1/3が過ぎてしまった。そろそろ年末の大掃除だが、わが家ではすでに11月半ばから始まっている。大がかりなものは晴天の土日に、細かなものは毎日、朝15分くらいやってきたから、残っているのは外回りくらいだ。それはさすがに早すぎるので本当の年末までとっておく。かつては年末の一週間に集中していたが、本格的に寒くなる前にみんな終えてしまおうということで、フライングしたわけだ。じっさい動いていて寒くもない、暑くもない時期に大掃除するのは正解である。今年はちょっと寒かった。10月がベストかもしれない。最大の難関、レンジフード・換気扇はやっつけたから、もう大掃除完了である。

堀江貴文「刑務所わず。」を読んだ(文藝春秋、2014)。「刑務所なう。」「刑務所なう。シーズン2」が面白かったが、あれは塀の中のリアルタイムな記録だから、内部事情をリアルに描くとまずいわけで、ボカシが入っていたそうだ。そりゃそうでしょう。この本は、刑期を満了した昨年11月10日を過ぎ、nowからwasになった段階で、1年9か月におよぶ刑務所生活を書き下ろしたものだ。検閲なしだからタブーなし、ずいぶん赤裸々に体験を語っている。淡々と、しかしコミカルに。花輪和一の獄中記とはまた違った味わいがある。西アズナブルの実録マンガはじつに面白い。刑務所の話ってどうしてこれほど興味深いんだろう。おやつ情報に一喜一憂とか。これから入る人へのアドバイスも貴重である(?)。

デブでゴーマンで金持ちのホリエモンが大きらいだった。証券取引法違反で挙げられたときは天罰だと思った。30キロも体重を落としてシャバにもどった堀江貴文は、みかけも行動もなんとなく好感度が出てきた。発言も非常にまともだ。この人、本当に頭がいいわと思うようになった。ドワンゴの川上量生が面会に来て、「もともと堀江さんは人望のなさで売っていた人なのに、逮捕・収監されてから人望がでちゃったので(求心力ありますよ)」と言っている。同意する。ムショ暮らしで得たことで「人の気持ち」とか「思いやり」とかは、結局、経験値なのだと思うと堀江は強調している。刑務所に行ったのは無駄ではなかった。いまなら堀江「社長」(獄中でもそう呼ばれていた)の下で働きたいとさえ思った。

「刑務所わず。」の記述で、毎朝きちんと独房の清掃をするのだが、いったいどこからわいてくるんだろうというくらい、小さなゴミが必ず出てくるのが不思議とあった。同じことを花輪和一が「刑務所の中」で記していた。わが家は毎朝掃除機がかけられる。そして、毎回ゴミパックを開けて捨てているが、しっかり髪の毛や繊維クズやホコリのような収穫物がある。掃除してよかったなと思う。二人暮らしでさえこうだから、子供がいる家では、二日に一回、三日に一回の掃除ではヤバいのではないだろうか。週一なんて論外だ。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163765107/dgcrcom-22/
>
堀江貴文「刑務所わず。塀の中では言えないホントの話」

< http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/newest/
>
神社本庁未公認! 当落「お御籤占い」(週刊新潮)うまい! うますぎる!


●今日のヤマシタさんのを、政治家に送りたい。そしてきっとどこかのテレビ局が真似ると思うわ。あっ書いたら真似てもらえないわ。うーん。ここ削除しておきます。

ランニング教室続き。

平気そうな顔をしつつ、ようやく公園に到着。へとへと。パーカーを脱ぎ、水分補給。水分は2割ぐらいの人しか持ってきていなかったようなんだけど、元気そう。みんな本当は初心者じゃないんじゃないの(涙)? 

ストレッチをし、フォームの説明へ。腕ふりがいかに大事かを知るために、手を後ろに組んで50mほど走る。次に両手を前で、肩に斜めに置いて走る。普段通りに走った後、肩甲骨を使う腕ふりを教えてもらい、推進力の違いを実感する。

肘の角度は一定にという説明も受ける。大抵の人は、前では鋭角だが後ろで開く。前後にふる間に肘の角度が変わると、余計な力を使うことになり、マラソンでは不利とのことだった。 (hammer.mule)