《「@水手服爺爺」数日で2万5千人のフォロワー!》
■Otaku ワールドへようこそ![211]
幕張と西麻布と広州で度胸が試されたゴールデンウィーク
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幕張と西麻布と広州で度胸が試されたゴールデンウィーク
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< https://bn.dgcr.com/archives/20150515140100.html
>
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気を張って臨まなくてはならないイベントが三つ、たて続けに来た。
4月25日(土)、26日(日)は幕張メッセで「ニコニコ超会議」が開かれ、二つのブースに出演した。初日はスマホゲーム『戦国炎舞』のステージ。スノーボードの日本代表としてトリノオリンピックに出場した成田童夢氏とともに出演し、ヲタ芸の指導を受けた。
二日目は『ニコニコ学会βシンポジウム』の「現実をハックする異性装」セッション。東京大学名誉教授の原島博氏ほかと五人で登壇し、討論した。
4月29日(水)は西麻布の「音楽実験室 新世界」にて『爆音カラオケ Vol.7』と称するイベントが開かれた。主催するのは都築響一氏。日本の写真界における最高栄誉である「木村伊兵衛賞」を1997年度に受賞した写真家であり、文筆家でもある。ゲストは音楽評論家の湯浅学氏。
ステージ下手に着席するお二方と客席の30人ほどの方々を前に、上手にソロで立ち、『セーラー服を脱がさないで』を振りつきで歌ってきた。ほんの数年前まで人前では歌えないほどシャイだった私だが、いつの間にこんな糞度胸がついたんだか。
その翌日 4月30日(木)から5月3日(日)は中国広州に行ってきた。金曜と土曜に「広州南豊国際会展中心」で『D.L 動漫遊戯嘉年華広州 01』と称する漫画・アニメ・ゲームのイベントが開かれ、私はステージに立ち、インタビューを受けた。
ステージ後は、予定外ながら、自然な流れでサイン会のようなことになり、まるでスターのような歓待を受けた。100人ほどの待ち行列がちっとも減っていかず、たいへんであった。
●豪華メンバーと楽しくニコニコ超会議
ラーメンのときの三番手である勅使河原由美さんに紹介していただいた、あしやまひろこさんを通じてニコニコ超会議への出演の話が来て、偉い方々と一緒に登壇することになってビビっている旨、4月3日(金)のこの欄に書いた通りである。
< https://bn.dgcr.com/archives/20150403140000.html
>
ニコニコ超会議の「第8回ニコニコ学会βシンポジウム」ブースにおいて、ステージと客席が設けられ、6つのセッションが開かれる。第5セッション「現実をハックする異性装」で五人が登壇することになった。
くとの氏は、第5セッションの座長であるとともに、ニコニコ学会β全体の運営委員長でもあり、準備段階からイベント終了まで常に超多忙そうであった。A面のときとB面のときとでは、名前も使い分けて別人のごとく振舞っているので同一人物だとは気づいていない人も多いそうだが、B面では筑波大学哲学科の助教である。
あしやまひろこ氏は、筑波大学の哲学科を学類総代として去年の春、卒業している。在学時代、ゼミの指導教官がくとの氏であった。また、学園祭のミスコンに唯一の男性としてエントリし、並み居る美女たちをしのいで優勝している。
そのときの初音ミクの電飾ドレスをくとの氏が制作している。くとの氏が女装を始めたのは、あしやま氏の影響によるという。すごい師弟愛だね。
あしやま氏は、『女装と思想』という同人誌を制作してコミケなどで販売している。Vol.5で私との対談記事を書いてくれている。くとの氏は前々からこの同人誌に寄稿している。そのあたりのつながりから、私に声がかかったようである。
原島博氏は、東大の名誉教授で、「日本顔学会」の発起人・前会長である。個人的な趣味で女装するわけではないが、イベントなどで、これまでに1.5回、女装しているという。どういうことかは、ニコニコ学会βで明かされる。
三橋順子氏は、早稲田大学、明治大学等で非常勤講師を務め、トランスジェンダーをテーマに講義している。戸籍上の性別は男性だが、女装姿で教壇に立つ。著書に『女装と日本人』があり、女装が深く浸透していた日本の文化史から、現代の新宿界隈の事情に至るまで、幅広く解説している。
4月5日(日)に渋谷の居酒屋の個室に五人が集まり、打合せした。私の左隣には三橋氏、右隣には原島氏、向かいにはくとの氏とあしやま氏。初っ端からビールを注文し、どちらかというと飲み会だ。豪華メンバーに囲まれてわくわくする。
私は三橋氏の著書やあしやま氏の同人誌や、ネットで見つけた原島氏の記事を読んで予習して臨んだ。また、4月3日(金)のデジクリはくとの氏とあしやま氏に読んでもらっている。
イベントでは、一時間枠の中で、最初に各登壇者が7分間ずつスピーチをして、残った時間で全員でディスカッションしようと決まった。
この飲み会、いや、打合せ、いやいややっぱり飲み会、私の中ではオールタイムベストだろうというくらいおもしろかった。学術界のビッグネームたちが、それぞれのまったく異なる視点から、女装というひとつのテーマについて語り合うと、かくも活発な議論になるものかと。そういう場に同席させてもらえる幸せをかみしめる私であった。
帰り、みんなでセンター街を歩いて渋谷駅に向かい、もう少しで抜けてスクランブル交差点というところで、私が通行人に呼び止められた。「写真を撮らせてください」と。
通りすがりの人たちも便乗して我も我もと撮りたがり、あっという間にすごい人だかりに。人がどんどん入れ替わっていくが、人だかり自体はいつまで経っても消えない。予告していた通りの事態である。四人は少し距離を置いて、30分ほど眺めていた。
翌日、勤め先の大代表に私宛ての電話がかかってきた。用件はニコニコ超会議への出演依頼だという。あ、きっと超会議全体の運営から、あらためて正式に出演依頼ってことなんだろうと思い、「その話はすでに聞いていて、昨日、打合せしました」と答えた。が、どうも話が合わない。なんと、別件であった。
スマホアプリゲーム『戦国炎舞』のブースへ出てくれませんか、と。学会βへの出演は26日(日)だが、こっちのブースは 25日(土)だ。掛け持ちできるではないか。やりましょう。
ゲームでは戦国武将が対決するが、イベントではそれに縛られずにいろんな対決を繰り出しましょうって企画のようだ。私は誰かと対決できるような特技はありませんが、と言ったら、ヲタ芸対決を見て感想を言う役が振られた。まぁ、こう見えてもアイドルやってたころもあるからね。
対決するヲタ芸師グループは「下僕界隈」と「蛍光党」。メインの論評&審査役は成田童夢氏。スノーボードの日本代表として2006年のトリノオリンピックに出場しているスポーツマンであるが、一方ではオタクでもあり、スノーボードを「痛板」にしちゃったりしている。
「JIBA: 日本痛板協会」なんて組織があるそうで。
< http://jiba-itaita.com/
>
成田氏はヲタ芸の打ち手としても名高い。司会の一人である関口愛美氏もちょっとしたネットの有名人である。女性専用車両が導入された当時、街角で通行人をつかまえて意見を聞く映像のキャプチャ画面を縦に四つ並べて、四コマ漫画のようにした画像が出回っている。
1〜3コマ目ではごついおばさんなどが「男性がいないと安心ですね」のように肯定意見を述べているが、最後のコマで若くてチョーかわいい子が出てきて「私は特にどこでもいいです」と言う。その人。適当なキーワードで検索すると画像が出てくる。
我々が出演するステージは30分間だが、事前に送られてきた台本は27ページもある。これを読んで頭に入れとけ、ってことですかい? こんな緻密なの、初めて見たよ。テレビのなんて、適当な質問例に対して、私の台詞は「(答える)」だったもんなぁ。
異性装のほうの七分間スピーチのパワポ資料も作らなきゃならないし。その後にはカラオケがあるし。その後は中国だし。なんか立て込んできたぞ。とりあえず、後のことは考えないことにしよう。ダチョウは危機に瀕すると、砂に首を突っ込んで、問題を見えなくするというアプローチで解決する。それだそれだ。オストリッチ大作戦。
さてさて。4月25日(土)当日。遅刻厳禁と釘を差されていたのに、海浜幕張駅のホームはごった返していて、なかなか改札口にたどり着けなくてアセる。過去のニコニコ超会議は見に行ったことがないので、勝手がよく分からない。
待合せ場所はどこかと迷っていると、「写真撮らせてください」攻勢にあい、さらにアセる。写真を撮ってくれた人からケータイを借りて担当者に電話。すでに遅刻だ。
ばたばたばたばたっと打合せして、すぐに本番。いくら台本が緻密でも、台詞棒読みじゃしょうがないので、始まっちゃえば、ノリと勢いで流れを止めずにアドリブで押していくことのほうが重要だ。オジンオズボーンのお二人のマシンガントークに押され気味ではあったが、なんとか自分の役をこなせたのではないかと思う。
「下僕界隈」と「蛍光党」がそれぞれヲタ芸の演技を披露して、成田氏が講評して、私が感想を述べて、オジンオズボーンがツッコんで、成田氏が勝敗を決めて、さらにヲタ芸の模範演技と指導をして、以上。ものすごい勢いで進行して、あっという間に終わった感じ。
振り返れば、思うところは多々ある。「何してる人ですか?」と聞かれて真面目にサラリーマンと答えるのではなく、アイドルと言っておいたほうがヲタ芸と結びついてよかったかな、とか。でもあの流れじゃ、落ち着いて考えている暇もなく、しょうがない。これでよかったとしよう。
ブースひとつ隔てたすぐご近所にLIVE DAMのブースがあり、やのあんなさんが出演するので見に行く。ごった返す観客の後ろのほうに立ち、やのさんが登場するとジャンプして合図を送った。本人よりも目立ってる人、と司会がツッコんでくれて、やのさんが「MVに一緒に出た人です」と紹介してくれた。
そう言えば、前日の夜、そのMVを制作してくれたディレクタのK田氏とばったり会ったのであった。ウチの近くのコンビニで。K田氏は近くにある和食のお店で一万円のコース料理を平らげて帰るところだった。その店には前に一緒に行ったことがある。黒田氏は毎週ぐらい来てるらしい。
やのさんの以降、有名どころのタレントさんの映像を何本も作ってるからなぁ。羽振りがいいわけだ。いつも「殺人的な忙しさ」と嘆きつつ、逃げないところに屈強な精神が表れている。
もし私がいたら面白いなと思いつつコンビニに入ったらいた、と。私は私で、翌日やのさんのステージを見に行く旨、K田氏に伝えておくほどのことでもないかー、と思っていたところだ。
お互いに脳から直接電波が送受信できると、ケータイを使わずとも、軌道が合ってしまうらしい。ならば一杯と、台本読み込みそっちのけで飲みに行っちゃったのであった。
Live Dam からブースひとつ隔てたご近所に Hangame のブースがあり、Ladybeard 氏が出演するのだが、異性装のリハがあるので、見れず。タカラトミーのブースでは、リカちゃん人形になりきる。
ホールを移り、米軍や自衛隊のブースを見て回る。お姫様だっこされたり、壁ドンされたり、みんなで一緒に「うにゃっ」とポーズとったり。ニッポンの国防は、敵に戦意を喪失させれば勝ちだ。
二日目、4月26日(日)。一番の心配事は、自分の独演が7分間に収まるかどうかであった。パワポ資料を作ったら90枚になった。自宅で練習したら8分間になった。もうひとがんばりで収まるかな、と。
開始前、ブースの近くで来場者たちからの撮影リクエストに応えながら、異性装のセッションの宣伝をしていた。数学のセッションを背中で聞きつつ。慶応義塾大学の中村伊知哉教授が、いつもの和服姿で現れ、ちょこっと立ち寄ってくれた。原島先生とはお知り合いだったようで、あしやまさん、原島先生、私の三人が並んだ写真を撮って、ツイッターに上げてくれた。
中村先生は、ロックバンド「少年ナイフ」のディレクター、マサチューセッツ工科大学メディアラボ、郵政省という不思議なキャリアをもつ。歯に衣着せず、偉い人にもガンガン突っ込んでいくパワフルな人だ。東京・竹芝にコンテンツ産業集積地を造るCiP構想に取り組んでいる。
われわれのセッションが始まると、聴講者がどんどん膨れあがっていった。座席はもとより全部埋まっていたが、周辺の立ち見がすごいひしめき合いになって、スタッフが交通整理に苦労していた。
私の7分間スピーチ、やっぱり収まらなかった。精一杯の早口でしゃべるが、目の前で「あと○分」の紙芝居表示がどんどん減っていき、7割くらいのところで持ち時間を使い果たしてしまった。結局、10分ぐらいしゃべってしまった。その分、原島先生が後半を省略して時間調整してくれた。たいへん申し訳ないことになった。
しかし、われわれのトークに会場の人々はよく笑ってくれて、ニコ生のコメントも好評であった。後で動画をチェックすると、このセッションに対する評価はこんな感じで。おお、けっこう高い。
66.7% とても良かった
22.2% まぁまぁ良かった
7.7% ふつうだった
1.7% あまり良くなかった
1.7% 良くなかった
後半は五人でディスカッションだったが、あっちこっちに話題が移り、ばたばたばたばたっと進行した。あっという間の一時間で、もっと時間が欲しいくらいであった。問題点は多々あったけど、全体的にはうまくやり遂げたかなって感じ。
すぐ隣りは「日本うんこ学会」のブース。痛便器などが展示されていた。早稲田塾のYouTube CMを作ってくれたディレクタのM田氏とばったり遭遇。スタッフとして立ち働いていた。M田さんもやっぱり電波な人でしたか。
ニコニコ超会議全体についても、リアル来場者数151,115人、ネット来場者数7,940,495人と、去年よりも大幅増で、大成功と言えるのではないか。翌朝、テレビでもこのイベントがレポートされていたようだし。私もちょこっと映ったらしい。
ニコ生放送された映像は、後からでも視聴できるよう設定してもらっています。期限を切らず、しかも、無料会員でも視聴できます。異性装セッションは3:02:30〜4:00:00。
< http://live.nicovideo.jp/watch/lv217015496
>
●度胸が試されるカラオケ
超会議から三日後の4月29日(水)は西麻布の「音楽実験室 新世界」にて『爆音カラオケ Vol.7』。前々から分かってるんだったら、前々から練習しとけばいいものを、常に目先のことにしか頭にない私は、ちっとも手がついていない。
こういうことって、前にもあったな。って、去年の 12月6日(土)『第1回 浅草紅白歌合戦』のときだ。教訓がまったく生きていないでなはいか。
日曜は打ち上げでへべれけに酔って帰ったので、練習できず。月、火の仕事帰りと水曜当日しか練習の時間が作れなかった。そんな間際になってにわか覚えしたところで、ちっとも身に着いちゃいない。本番で忘れてつっかえるのが関の山だ。
いつ参加を決めたんだっけ? 3月21日(土)、恵比寿の「NADiff a/p/a/r/t」で開かれた宮間英次郎氏の個展の初日だ。都築さんとのトークイベントがあり、まだ宮間さんとも都築さんともお会いしたことがなかったので、お姿を拝見しておこうと行ったのであった。そしたら、両者とも私のことを知っていて、たいへん喜んでくれたのであった。
で、都築さんから、カラオケのイベントにぜひ来てください、と。私にとって雲の上の高〜いところにおわしましまするお方であるからして、気後れはあるけれど、じきじきに遊んでくださると言うのだから、ありがたくお受けしない手はない。
泥縄練習でプロ歌手みたくなれるわけでもあるまいが、しかし、せめて聞き苦しくない程度にはなっておかねばなるまい。と思いつつ、さぼってる私である。
しかし、まあ、イベントの趣旨からすると、歌が上手いかどうかは関係ないのである。『爆カラ』のご案内サイトには次のように書いてある。
〈今、カラオケと言えばそれは通信カラオケを指す。ハードディスクに記録された、曲とはなんの関係もない環境映像。それが歌詞と関係なくても、だれも奇妙とは思わない。曲ごとに映像と音声が制作されたレーザーカラオケは、その一曲一曲が3分間の短編映画だった。
歌の世界を映像で補強する、ヴィジュアル・ランゲージだった。
たった10年間かそこらのうちに、何万曲ものカラオ ケのために何万本もの短編映画が作られて、何万ものロケーションと、何万人もの俳優たちの演技が記録されて、そしてそのすべてが見事に捨て去られて、いまはだれひとり保存しようとすらしない。
もう存在しない、日本各地の貴重な風景が数多く収録されながら、図書館もフィルムセンターも興味を持とうとすらしない。〉
< http://shinsekai9.jp/2015/04/29/bakukara7/
>
商用利用でご用済みになったレーザーディスクが、中古店に流れて売っている。それを都築さんが個人的に買い集めたコレクションがある。みなさん、どうか面白い映像を発掘してください、って趣旨なんである。歌を、ではなく、映像を都築さんが論評するのである。
そうは言っても、そんな場で歌うなんてハードルが高くて、度胸が試される。ゲストは音楽評論家の湯浅学氏である。もうビビりまくりだ。案外シャイな私である。
開場時間に行っておそるおそる階段を降りていくと、いきなり都築さんがいて、たいへん喜んでくださった。まだあんまり人が来ていない。「練習する時間があんまりとれなくて」と言い訳すると、「練習してきたんだってー」と驚かれてしまった。
ステージ下手に斜めに机と椅子二脚が設置され、都築氏と湯浅氏が並んで座る。上手にスタンドマイク。ステージと客席との間には深い溝がある。各テーブルに収録曲目リストの冊子が置いてある。これが面白い。私が高校時代にすでに懐メロの範疇に入ってた曲がいっぱい。古すぎて知らないなら、もはや懐かしくもないぞ。一番新しくて松田聖子とか中森明菜とか。
しかも代表曲みたいなのがあんまり入ってなくて、歌手名は分かるのに曲名は知らないぞ、なんてのがいっぱいある。松田聖子『旅立ちはフリージア』って、分かります? 自分が歌ったとして何とかなりそうな曲目は全部で7曲ぐらいしかないではないか。
結局、30人ほど来て、全員が歌った。私はただでさえうろ覚えなのに、飲んだらぜったいに崩壊する。自分の番が来るまでは飲めないぞ。前座でいいんだけど。早く歌って早く飲みたい。三人目くらいのときに「次、誰いきますか?」と言われて、「はいはいはいはい」と答えてしまった。
案の定、ぼろぼろだった。例によっておニャン子クラブ『セーラー服を脱がさないで』をやったわけだが。当時の歌の振り付けなんて、ごく簡単な部類ではあるのだけれど、にわか練習程度じゃ、歌と振りの両方に集中するのはなかなか大変なんである。最後のほうなんて、パニクって、どっちも崩壊していた。それでも「すばらしい、すばらしい」とたいへんほめてくださった。
で、客席に戻ったらワインを次から次へとおかわりしてがぶ飲み。これが飲まずにいられるかいっ!
U子さんは、イベントの本来の趣旨に沿って、おもしろい映像を発掘するほうに徹して、大当たりを引いて、それはそれで、たいへんほめられていた。
福島県本宮市にある築101年の木造映画館「本宮映画劇場」の館主である田村修司氏の娘さんである。3月8日(日)に映像収録でおじゃましていて、ひとかたならずお世話になっている。
都築氏の著書『独居老人スタイル』の中で館主が取り上げられており、都築氏とU子さんとは前々から仲がよかったようである。都築氏と私はU子さんがつないでくれたのである。『爆カラ』は皆勤である。なので、もはやまったくプレッシャーに感じていない。
うろ覚えでも平気で入れて、分からなくて詰まったところは、湯浅氏が代わりに歌って、手助けしてくれている。まるで私に対して、「こんなもんでいいんだから。そんなにシャカリキになってがんばることはないのよ」と言ってくれて、プレッシャーを跳ねのけてくれているようである。ほんっと、映画の人たちって、優しいなぁ。
『浅草紅白』のときに主催者だった塩澤政明氏が、このイベントではお客さんとして来ていた。おっさんがデザインしていると知って幻滅する人もいるかもしれないからという配慮から、あんまり前面に掲げてないけれども、メイド服のブランドである「キャンディフルーツ」のデザイナーである。
ニコニコ学会βシンポジウムの写真をfacebookでご覧になっていた。あしやまひろこさんの着ていた衣装は、ご自身がデザインしたものだそうである。
後であしやまさんに聞いてみると「あの衣装は、キャンディフルーツの秋葉原店にて、購入しました。購入の際も、超会議にてステージ衣装として使える服を探しているとお伝えし、お店の方が探して下さいました。ぜひ御礼お伝え下さい!」とのこと。塩澤氏にお伝えすると「色々と繋がりますね。うれしい事です!」と。
さんざん飲みまくってへべれけになったころ、まさかの二巡目。うわぁ、歌える曲、ないぞ。じゃあ、ハイファイセットの『冷たい雨』など。もはや、どうだったかすらぜんぜん覚えてないぞ。
U子さんってば、写真だけじゃなくて動画まで撮ってたのね。んもう、困るなぁ。恥ずかしくて死ぬぞ、これ。
< http://picasaweb.google.com/Kebayashi/Event15042902
>
●サインと写真と握手、スターのような扱いを受けた中国
翌日、4月30日(木)は15:50に成田空港を発つ遅めのフライトなので、爆カラでは特に自制することなく、ワインをがんがんがぶ飲みした。余裕があるつもりでいて、ちょっと油断した。乗ろうと思っていた日暮里発のスカイライナーに乗り遅れたのである。
11:45発なのだが、日暮里駅に着いたのがその2分後だった。その次は11:59発の京成本線経由の無料特急である。アクセス線経由の有料特急は12:25発である。いくら近道とは言え、26分差は取り返せまいと思って早いほうに乗ったのだが、やけに時間がかかった。
後で調べてみたら不正解。本線経由の所要時間は73分、近道は38分で、その差は35分もある。26分後のが9分先に到着していたのである。
5月1日(金)、2日(土)にイベントに出るための広州行きである。話を持ってきてくれたのは、コスプレイヤーのひよ子さんである。鳥取県にある中国庭園「燕趙園」で年二回開催される『中華コスプレプロジェクト』にレギュラー参加しているうちに、運営側の人になっていた。
そのイベントで、本場中国からコスプレイヤーを呼ぶようになり、その人選を担当している。逆に、中国のイベントに日本からコスプレイヤーを送り込むようにもなり、その人選も担当している。結果、イベントのスタッフがほぼ仕事のようになってきている。
中国のビジネスのやり方には独特な点が多々あり、日本のビジネスマンの多くは、中国相手にはやりづらくてしょうがないと嘆いている。一度交わした契約の内容を後から変更してくれと要求してきたり。平気でズルをしようとしてきたり。
しかし、一度気心が知れると、友達のような親しい仲になれたりする。ひよ子さんはそのあたりのあうんの呼吸をよーく心得ており、難しいと言われる中国を相手に非常にうまく切り盛りしており、私は全幅の信頼を寄せている。
去年のゴールデンウィークには中国の杭州で開かれた『第十届中国国際動漫節(CICAF 2014)』に私も行っている。このイベントではコスプレコンテストが行われ、イベントの審査とは別に、秋に鳥取に招待するコスプレイヤーを決める審査に私も参加させてもらった。
杭州では、ネットを通じて私を知っている人が多くてびっくりした。イベントではすごい人だかりができ、写真を撮られまくった。
中国からは、google、twitter、facebookなどへのアクセスがブロックされており、代わりに、それっぽい「もどき」のサイトがある。「微博(weibo)」はfacebookもどきのサイト。現地にいる間に、試しに「@水手服爺爺」アカウントを作ってみたら、一晩で1万人、数日で2万5千人のフォロワーがついた。人いぱーい。
今回の広州行きの件は、いつ話が来たのかよく覚えていないし、今、ひよ子さんからのメールを読み返してみても、よく分からない。1月ごろ、ゴールデンウィークに重慶でイベントがあるという話が来ていたが、それがいつの間にか広州の話にすり替わっている。4月に台湾に行く話もあって、私はすっかり混乱していた。
3月21日(土)に上野の「アメ横アイドル劇場」にて『YUME☆KATSU 第1回』と称するイベントが開催された。アイドルやDJが主体のイベントであったが、その中で、杭州の中国国際動漫節に招待する日本人コスプレイヤーを決定するコンテストも併せて行われた。私は審査員を務めている。
そこでひよ子さんに会っているのだが、「広州のイベントの宣伝用に私が『行きます』宣言する動画をついでに収録しますよ」と言われ、「あれ? オレ、中国にも行くんだっけ?」と天然でボケをかましてしまい、怒られる。
4月10日(金)〜12日(日)には台北に行ってくることになっているのだが、その航空券もまだ押さえてなくて、これも怒られる。
けど、広州のイベントって何だっけ? 4月21日(火) になっても情報がほぼゼロなので、ひよ子さんにメールを送って聞いてみた。翌日、返信が来て、予定と内容は一か月くらい前に一度送ってるとのことだったが、それは重慶の情報だ。あらためて送ってもらって、やっと概要が分かった。
5月1日(金)、2日(土)に「広州南豊国際会展中心」で開かれる「D.L 動漫遊戯嘉年華広州 01」というイベントで、コスプレコンテスト、ダンスコンテスト、企業交流展示会、同人誌即売会、ミニライブなどが行われ、来場者数は一日あたり一万人の見込みとのこと。
私はステージインタビューと、30分程度のファンとの交流タイムがあり、それ以外は会場で来場者と記念撮影していればいいらしい。費用は先方持ちで、航空券、四つ星ホテルでの宿泊、有名レストランの食事、専用車送迎、現地通訳兼ねアシスタントを手配してもらえるという。
航空券の情報が来たのが4月24日(金)、出発の6日前だ。ひよ子さんも私もこの程度のばたばたにはすっかり慣れっこになっていて、少しもあせらない。ひよ子さんは、私より一日早く杭州に向かうので、同時期に杭州と広州とにバラけることになる。広州では、私の知り合いは、上野のときに一度会っただけのT氏しかいない。
広州は初めてだが、下調べをしている時間はなく、ガイドブックすら買わずに行った。完全にお任せ。去年の杭州では大人気を博したが、今年の台湾ではそれほどでもなかった。広州はどうなんだろう。来場者が百万人の杭州のに比べて、イベントの規模も小さそうだし。
ギャラが出るわけではないので、仕事と意識する必要はないのかもしれないが、そうとうなコストをかけてくれるので、それに見合う程度の働きはしなければ。
イベントに日本から呼ばれて行ったのは私のほかに二人だけだった。一人は歌手の工藤真由さん。『プリキュア』の主題歌等を歌っている。事務所には所属していないが、イベントプロデューサーT氏がその役目を負って同行している。
もう一人はコスプレイヤーの五木あきらさん。「パナシェ!」という三人組のコスプレイヤーアイドルユニットとして、ソニーミュージックからメジャーデビューしたが、現在はフリーとなってソロで活動している。
コスプレイヤーが職業たりうるものだとは思ってもみなかったが、五木さんほどのカリスマレイヤーになると、写真を収録したCDをコミケなどで売ることで食っていけているという。
アマチュア写真家のカメコの中にもプロはだしな腕の立つ人がいて、非常にクオリティの高い写真が掲載されている。この春、短大を卒業したが、海外のイベントに出る機会を減らしたくないという理由から、勤め人としての就職はしなかった。広州の直後には台湾が控えているという。
広州は、香港から100kmばかり内陸に入ったところにある。内陸と言っても、珠江(しゅこう)の周辺にあり、これが川なんだか湖なんだかってほどの大河である。地図でみるとそこらじゅうで分岐したり合流したりしていて、陸地が実は中州なんだという見方もできる。
現地はおそろしく暑かった。湿度が高く、空気がむわっとまとわりついてくる。私は冬服で行ったのだが、夏服も持っていっていた。正解だった。
広州白雲国際空港でスーツケースが出てくるのを待っている間に、次から次へと声をかけられ、写真を撮られた。いい感じのスタートだ。
「広州喜爾賓酒店(Guangzhou Hilbin Hotel)」にチェックインすると、フロントのホテルマンが "You're famous!" と。よしっ! 去年の杭州同様、広州でもけっこう知られてるっぽいぞ、俺。
イベントでの人々の反応がショボかったらどうしようという心配は、まったくの杞憂であった。公安が目を光らせてずっと見張っている中、私の前には100人ほどの待ち行列ができた。がんばってもがんばっても平衡してちっとも減っていかない。
並んだ人の待ち時間はたぶん一時間以上に及んだであろう。最後は、イベント終了時間にちょうどはけるよう、これより後ろに並ばないでください、とスタッフが切ってくれた。
ここにサインしてくださいと差し出されたものは、ケータイ、電車のICカード、ノート、大きな扇子、財布、ハンドバッグ、女性用のショーツ(差し出したのは男性)、着ているTシャツ、着ているセーラー服の襟や背中や袖、狐のお面、ぬいぐるみのケツ、コスプレアイテムの刀、ただの紙切れなどであった。あ、色紙も何枚かあった。
一緒に写真を撮るときは、割とべたっと密着してもOK。私は気づかなかったが、後で泣いている子がいたという。そんなに感激したのか。べたべた触りすぎたからではないと思う。たぶん。微博で「水手服爺爺」で検索をかけてみたら、画像が450枚ほど拾えた(アルバムのURLは後述)。
広州に三泊しているが、夜はそれぞれ別々の中華料理店に連れていってくれた。到着した木曜に行った「鴻星海鮮酒家」は非常に大きくて活気のあるお店であった。珠江に面して道を隔てたところにあり、一階は海鮮市場になっている。二階の大広間に丸テーブルが並ぶ。下で食べたいものを選んで注文すると、料理して上に持ってきてくれる。
中国人は何でも食べる。四つ足のものは、机と椅子以外何でも食べると言われているほどである。一階の品揃えも相当で、ワニやらヘビまである。水を張った鉢の表面では、大きな水ごきぶりがひしめきあって、元気にくるくる泳いでいる。
通訳を務めてくれた佐倉優さんは、以前に罰ゲームとして食べたことがあるという。想像通りのふつうのゴキブリの味がしたというが、私には想像できん。爬虫類や両生類まではいけるけど、昆虫はちょっと食い物の範疇に属するようには思えない。鳩ぽっぽは美味しくいただいた。
優さんは、もともとは韓国の出身だが、小さいころに雲南省に移り住んでいるので、母国語は中国語だという。日本語は趣味で覚えたというが、まったくよどみなく普通に話せているのが驚きだ。
台湾からMonちゃんというコスプレイヤーが呼ばれていた。台湾ではスーパースターだそうである。言葉の障壁であんまり話せなかったけど、私の手帳にセーラー服のおっさんのイラストを描いてくれた。
至れり尽くせりの歓待を受けた私だが、イベントでの働きぶりは及第点だったようで、帰る前日の夜、イベント全体の主催者から、お土産をどっさりともらった。
ネットから拾い集めた写真はこちら。
< http://picasaweb.google.com/Kebayashi/Event150502
>
【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
< http://www.growhair-jk.com/
>
イベントやメディアへの出演など、大きな露出機会があるたびに、「このあたりがきっとオレの人生のクライマックスだから、あとは死ぬだけ」と何回言ってきたことか。
今回、三つのイベントがばたばたっと過ぎ去った直後、その後の予定が急激にほぼ空白となった。今度こそは上のほうからお迎えが来るのか、と不安に。
そうは許してくれなかった。広州から帰ってきてから、あっちからもこっちからも次の話が......。テレビ出演、海外のテレビCM出演、海外のイベントに出る話がふたつ。どれもまだ確定してないから、実際にどうなるかは分からない。
ゆっくりさせてもらえない日々が続くけど、このコラムネタが尽きないのはありがたい。
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編集後記(05/15)
●七人の作家が競作する短編集「決戦! 関ヶ原」を読んだ(講談社、2014)。これはじつに面白いプロジェクトで、七人の作家が別々の武将を担当し、それぞれの武将の立場、考え、行動を「関ヶ原合戦」の一日に集約して描き出すという、いままでになかった試みである。作家は、伊東潤、吉川永青、上田秀人、矢野隆、冲方丁、葉室麟。武将は、徳川家康から始まり、可児才蔵、織田有楽斎、宇喜多秀家、島津義弘、小早川秀秋、そして石田三成までの七人。可児才蔵、織田有楽斎は今までの「関ヶ原」ものでは、あまり脚光を浴びてこなかった人物だ。また、小早川秀秋が主役を張った小説も珍しい。
この企画は、この分野の最高峰、司馬遼太郎「関ヶ原」に七人がかりで挑んだものといっていい。司馬作品の魅力は全体の俯瞰である。今まで何度も読んでいるから、トータルな流れやメインキャラの役柄は把握している。これほど面白くて安心できる「講談」はない。一方、「決戦!関ヶ原」は、作家別に一人の武将に突っ込んで描かれており、しかも司馬「関ヶ原」でひとまず定着している人物像が別の解釈で描かれるところがじつに面白い。司馬「関ヶ原」にも創作部分が多いが、いまや史実っぽく受け取られている。それに対する「異説・関ヶ原」であるから、面白くないわけがない。
競作の最初は、伊東潤の描く徳川家康だ。なんと「関ヶ原」は石田三成の発案に家康が乗ったものだという設定だ。三成は、豊臣家にとってためにならぬ武断派の加藤清正、浅野幸長、福島正則、細川忠興、黒田長政ら七将を戦場に引きずり出して、一気に殲滅してしまうという驚愕のプランを家康に提示する。彼らを除けるのなら、豊臣の天下をそっくり徳川に渡すという。もちろん三成のしかける罠だが、家康はそれを知りながら博打にのる。「関ヶ原」実現と自身の勝利のため、家康は着々と手を打つ。七将と西軍が咬み合って共に斃れるのが家康の思惑だ。小早川秀秋という手札もある。そして......。
競作の最後は、葉室麟の描く石田三成だ。三成は安国寺恵瓊による「家康が上杉討伐で大阪にいない好機に三成を決起させ、家康と争わせ、その間に毛利が大阪城を握り天下を取る」という策(罠)に敢えて乗り、家康を関ヶ原におびき寄せた。そして、秀秋の寝返りで東軍が勝った。これは三成の計画通りであった。自ら負けてやったのだ。獄中にある三成と恵瓊の会話から驚愕の「関ヶ原の真実」が示される。関ヶ原は三成だけでなく、徳川も毛利も負けた。勝った者などいない戦だった。なんという奇想、ほんとに「関ヶ原」って作家にとってどんな創作も可能なお題なんだな。面白かった! 明後日は大阪市の「関ヶ原」だ。お笑い好きの有権者も今回はマジメに投票して下さいね。(柴田)
●マラソン続き。知った時には受付は終わっていて去年は走れなかった。去年9月に今年の募集が開始された。大会が3月ということで、Web業界的には繁忙期なのだが、えいやっ、と。
大規模大会は当日受付してもらえない。手荷物のことを考えると8時には会場にいたい。大阪から名古屋の移動を考えると前泊になる。宿泊つきエントリーだと先着順となり、抽選結果を待たずに済む。
当選してからホテルを探すとなると満室かもしれない。レイトチェックアウトプランなんかも用意されていて、走り終わった後にお風呂に入れるではないか。一年待ったんだから、絶対走りたいぞと宿泊つきにトライ。
しかし土地勘がなく、どこのホテルにして良いかわからない。事前にホテル名やプラン、価格などが出ていて、いくつかなんとなーくピックアップ。受付開始すぐに申し込もうとしたが、混雑していてアクセス不能。
1時間後にもっさりと繋がるようになったが、ピックアップしていたホテルはどこも満室。ままよと選んでいく先々のホテルが満室になっていき、ノーマークだったホテルの申し込み完了。エントリー自体は旅行会社からの受付メール後に。続く。 (hammer.mule)
< http://womens.marathon-festival.com/gift
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ペンダント以外にも化粧品、タオル、Tシャツなど。
< http://instagramzone.com/Media/978958565426713065_586831395
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ペンダント裏面に有料での刻印可能。タイムや名前を入れるみたい。毎年出ている人もいるのね。いいなぁ。
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サンフランシスコ、2011年までのもの。年や場所でデザインが変わるところがすてき。
< http://www.tokushima-marathon.jp/news.html?id=1425399768257
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とくしまマラソンも良い大会なんだって。今年のメダルは特徴的。
< http://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/20150510-OYT1T50054.html
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前田彩里が初優勝...仙台国際ハーフマラソン