[4048] 2016年 気になるガジェットいろいろ

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《「プログラミング教育」から「STEM教育」へ》

■おかだの光画部トーク[149]
 2016年 気になるガジェットいろいろ
 岡田陽一

■crossroads[01]
 プログラミング教育の現状
 若林健一




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■おかだの光画部トーク[149]
2016年 気になるガジェットいろいろ

岡田陽一
https://bn.dgcr.com/archives/20160119140200.html

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2016年明けてまもない6日〜9日まで、ラスベガスで開催された「CES 2016」で、気になる製品がいろいろと発表された。それらの中からいくつかご紹介する。
http://www.cesweb.org/


まずは、ニコンのカメラ。久々にフラッグシップ機の「D5」を発表。3月に発売だそうだ。
http://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d5/


価格はボディが75万円程度と、相当稼げるプロか、趣味にお金に糸目を付けずつぎこめるカメラマニア向けの価格。わたしのギャラではとうてい手が出せないハイスペックな機種なので、この機種は射程外であるが、同時に発表されたAPS-Cセンサーの「D500」に興味深々だ。
http://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d500/


かつてD3と同時に発表されたD300と同様な位置づけなので、このD500が長年待ち続けたD300sの後継機のようだ。

昨年11月にD7200を新調したばかりだが、発売されたら、D500もじっくりと調査してみたいと思う。

同じくニコンから、「Nikon KeyMission 360 Action Camera」というGoProのような動画が撮れるアクションカメラが出るようだ。
http://www.nikon.co.jp/news/2016/0106_ces_01.htm


水深30mまで対応する防水性能や、耐衝撃、耐寒、防塵性能も装備。前後にレンズとセンサーを搭載し、360度全方位を4Kで撮影できる本格的なカメラなので、さまざまなシーンで活躍しそう。

プロトタイプで撮影されたプロモーションムービーはこちら。


カールツァイスのiPhoneレンズ!
http://lenspire.zeiss.com/en/zeiss-and-fellowes-brands-launch/


普段撮りの写真は、ほぼiPhoneになってしまってる人にとって、かなり欲しくなる商品じゃないだろうか。iPhone 6/6s/6Plus/6sPlusに対応しマクロ・広角・望遠のセットになっているようだ。これは、発売されたら即ゲット予定(価格がいくらになるのかわからないが……)。

ここからは、海外のクラウドファンディングのプロダクトで最近気になっているものや、実際に購入手続きを終えて、完成し届くのを心待ちにしているものをいくつか紹介する。

KICKSTARTERに出ている、こちらもアクションカメラだが、GoProよりもかなりコンパクトなので、アイデア次第でおもしろいものが撮れそうな「YoCam」。
https://www.kickstarter.com/projects/2121748736/yocam-the-worlds-most-versatile-waterproof-life-ca


同じくKICKSTARTERから、「Lumu Power」というプロダクト。
https://www.kickstarter.com/projects/lumulabs/lumu-power-a-light-meter-for-the-future


iPhoneのLightningコネクタに付けると、iPhoneが露出計とカラーメーターになるという夢のようなガジェット。

通常、単体露出計は安いもので2万円程度。カラーメーターは軽く10万円を超えるので、その2つの機能が合わさって300ドルというのはかなりお買い得。商品撮影など、ホワイトバランスをしっかり合わせておく必要がある場合に重宝しそうだ。

こちらは、Indiegogoというクラウドファンディングサイトから「Pinout」というプロダクト。
https://www.indiegogo.com/projects/pinout-a-smart-versatile-gadget-for-your-camera/x/12948545#/


一眼レフカメラ(のターミナル端子)に取り付けると、スマホからいろいろとコントロールできるようになる。スマホとBluetooth LEで繋がり、スマホからシャッターが切れるのは当然のこと、その他にGPSでジオロギング。

稲光の写真を撮るときなど威力を発揮する、センサーで光に反応したときにシャッターを切るなど、すでに持っているカメラの機能を数段アップしてくれるような面白いコンセプトの商品だ。

カメラとは関係ないが、カバン好きなわたしが届くのを心待ちにしているのがこちらの「G-RO」
https://www.indiegogo.com/projects/g-ro-revolutionary-carry-on-luggage--7/x/12948545#/


いわゆるゴロゴロのキャリーバッグだが、かなり革新的なアイデアが盛り込まれて設計されている。

ガタガタ道でも、多少の段差でも気にならない、バランスのとれた大きなタイヤ。コンパクトなのに収納力抜群のコンパートメント。スマホやタブレット端末が充電可能な充電バッテリーモジュールも搭載し、充電用のUSB端子まで付いている。

早くこれで出張に行きたい!

海外のクラウドファンディングは、魅力的なアイデアがつまった商品が次々と出てきて、とても面白い。


【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
mailto:okada@fuwhat.com
Twitter:http://twitter.com/okada41



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■crossroads[01]
プログラミング教育の現状

若林健一
https://bn.dgcr.com/archives/20160119140100.html

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こんにちは、若林です。昨年7月から休載しておりましたが、今月からまた復帰することになりました。どうぞ、よろしくお願いいたします。

今回は、昨年ぐらいから教育番組のテーマとなったり、街にプログラミング教室が増えたりと、最近注目の「プログラミング教育」についてとりあげてみたいと思います。

●CoderDojo

CoderDojoとは、ボランティアによる子どものためのプログラミングコミュニティです。まだまだご存知のない方の方も多いとは思いますが、昨年後半ぐらいから認知が進んでおり、今年はさらに加速すると感じています。

これも「プログラミング教育」のひとつの要素ではあるのですが、CoderDojoには学校のような授業も宿題もありません。ボランティアによる活動ですし、一定の基準に達することを約束できません。

どちらかというと「プログラミング教室」というよりは「クラブ活動」のようなものとして受け取っていただければと思います。

初めてDojoに来られた保護者の方や、関心のある保護者の方からは「Dojoに参加すると、何ができるようになりますか?」と聞かれることも多いのですが、Dojoに参加したから何かができるようになるということはありません。

あくまでも「プログラミング」という方法を通して、ものづくりに接する機会であって、実際にそこからどうステップアップしていくのかは本人次第と考えてください、と説明しています。

とはいえ、関心を持った子どもの成長は速く、要求レベルはどんどん上がっていくので、メンター(子ども達をサポートするボランティアの大人や学生)も必死で頑張って、共に成長しているコミュニティ活動なのです。

CoderDojo(英語)
https://coderdojo.com/


CoderDojo Japan
http://www.coderdojo.jp/


●学校教育におけるプログラミング教育

義務教育でも、技術家庭科などでプログラミング教育が取り入れられ、今後さらに強化されると言われています。保護者の方はここに敏感で、CoderDojoに対する関心と期待が高まっている要因にもなっています。

しかし、ここにも過度な期待は禁物で、技術家庭科での取り組み程度であれば、それで何らかのスキルが身につくということは考えにくいと思います。

技術科の時間に椅子を作ったから大工になれるわけではなく、家庭科でポテトサラダを作ったからレストランを開けるわけではありません。

それらもまた、新しい世界を知るきっかけに過ぎず、本格的に取り組むのであれば、自分で勉強したり、高校や大学などで専門的に取り組まなければなりません。義務教育でのプログラミング教育も、当面はこのレベルのものになるように思います。

●STEM教育

私も知ったばかりですが、「プログラミング教育」と同様に最近注目をされつつある言葉に「STEM教育」というものがあります。

"STEM"とは、"Science"(サイエンス)、"Technology"(テクノロジー)、"Engineering"(エンジニアリング)、"Math"(数学)の頭文字で、これらについて特に重点をおいた教育のことをさしています。

「プログラミング教育」というとプログラム言語を学ぶようなイメージになりがちですが、言語を覚えただけではプログラムを作れるようにはなりません。

例えば、3Dのアニメーションを描くプログラムを作るのであれば、数学の知識が必要ですし、ゲームでキャラクターがジャンプして落下するプログラムを作るのであれば、最低限の物理の知識も必要になります。

プログラムを作って動かすためには、コンピュータの基礎的な知識も必要ですし、センサーを扱う場合には、各センサーが扱う情報に関する知識も必要になります。

今年は「プログラミング教育」から「STEM教育」へとシフトする年になりそうです。


【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/

Twitter: https://twitter.com/kwaka1208


CoderDojo奈良
http://coderdojo-nara.org/


【お知らせ】2月に無線LAN機能を搭載したマイコンボードによる、初心者向けIoTセミナーを開催します。初心者向けの内容になっていますので、IoTの世界に触れてみたいという方、是非ご参加ください。

Linino One(ArduinoYun互換)でIoT体験
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=20446



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編集後記(01/19)

●「とめてくれるなおっかさん 背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」わかるかなーわかんねえだろうなー(←これもわからなかったりして)。東大紛争まっさかりの駒場祭、このコピーで注目のポスターを描いたのは橋本治。イラストレーターを経て小説「桃尻娘」で文筆家デビューした、人生で一度も就職したことがない人。バブル期の莫大な借金に追われ、過労で倒れて入院、数万人に一人の難病患者になった。健康保険に入っていないから、入院費用は巨額。そんな彼が自身の「貧・病・老」を、あっけらかんと、かつクドクド語ったのが、「いつまでも若いと思うなよ」(新潮新書、2015)である。

わたしより二歳下の橋本が、たぶん病床で考えたであろうことを縷々と語りのめす。ずっと年上の教養人みたいな感じ。この人、どんなテーマでも易々と語れるみたいだ。無尽蔵のおしゃべり。中年の自分は可愛かったと言うナルシスト。そしてお裁縫の名手でもある。そうか、男オバサンなのだ。「年寄り」をキーワードにしてあれやこれや論じるが、要は自分のことを語りたいのだ。やはり進行中の病気が根本にあるからだろうか、あきらめが早過ぎるような感じがする。やたらと文句が多いが、とりあえずやるだけはやる人らしい。その点は見倣うべきだと思う。わたしも行動より文句が多い普通の年寄りだ。

「たとえて言えば、社会はタイル貼りの大きな部屋で、男は壁に貼られた一枚のタイルです。時間の経過と共に、タイルを壁にくっつけるパテやセメントが劣化して、タイルは壁から剥がれ落ちる。『老い』とはそういうものなんだろうなと、私は病室のベッドで思いました。でも、それで不安になったというわけではありません。逆に、『年をとったら孤独でもいいんだ』と思って、ほっとしました。(略)『もう自由なんだ』と思ったわけです」なんて、並の年寄りにはない思想だ。年寄りと認定されるのは不愉快だが、年寄りであるゆえの特典を受け入れるのは吝かではない、構ってくれという身勝手な人ばかりだ。

「人間にとって『物を考える』というのは、『不安になる要素を探し出す』ということだと思っているので、うっかり『先の心配』をし始めると、『ドミノ倒し』のように『先の心配』が増殖していきます。そんなことをしていいことなどなにもないので、大事なのは『そんな先のことは考えない!』です。考えるべきは、『今日やること』とその先にある『明日やること」です。(略)もう『その先」を考えない。ただ『困ったことが起こるかもしれないけど』と覚悟を決めるだけです」という考え方には激しく共感を覚えた。ところで本書のタイトルは、同じく新潮新書のヒット作、岡田斗司夫「いつまでもデブと思うなよ」のパロディなのか。冒頭の駒場祭コピーより安易に過ぎる。 (柴田)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106106396/dgcrcom-22/

橋本治「いつまでも若いと思うなよ」


●若林さん復帰嬉しい! IoT体験してみたい。が、その日は予定が三件……。/宝塚は退団ありきの劇団で、新陳代謝が売り。どれだけ人気があろうと、いずれは退団。専科という定年まで勤める少数例外はあるものの、基本的には華々しく送り出す。改名は不要だし、「元宝塚」という看板使い放題、系列劇場・事務所で活躍する人もある。タカラジェンヌは退団後に、宝塚はとてもあたたかい場所で……とよく言っているけれど、芸能界って大変なんだなぁと。

仕事中のBGM続き。じゃあ他人の目がなく、トリガーだらけの自宅で気分が乗らない時はどうするかを考えたところ、カフェ音楽とコーヒーでなんとなくカフェにいるような気持ちになればいいんじゃないかと思い至る。そのマイトレンドは数年に一度あり、飽きたらカフェ再現はやめちゃうんだが(笑)。

元の状態に戻る原因は、自分の持っている音楽は好きなものだからじゃないだろうか。こだわって買ったものなので意識がそっちに向かってしまう。口ずさんでしまったり。カフェ音楽カテゴリのアルバムを、シャッフル再生してみても手持ちでは限度があり、飽きてしまうことも。続く。 (hammer.mule)