《超バタバタ汗だくヘロヘロで》
■わが逃走[177]
無駄な超能力の巻
齋藤 浩
■もじもじトーク[37]
日本語Webフォント最新事情・その1 縦組みWebサイト
関口浩之
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■わが逃走[177]
無駄な超能力の巻
齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20160317140200.html
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どうやら私は超能力者らしい。
そもそも超能力とは何か。
ものの本によると「人間の力ではできないようなことをする特別な力。」とある。これだけ。
ちなみに、ものの本とは広辞苑のことだ。
このところネット検索ばかりしているのでたまには開いてやろうと思ったのに、このやる気のない一文。
編者は絶対信じてないよね、超能力。
●予知夢
さて、なんでこんなことを書こうと思ったかというと、つい先日話題になったシャラポワのドーピング問題を二日前に当てたのだ。
いや、当てたというと語弊があるな。
「国際的に活躍する女子スポーツ選手が薬物が原因で失脚する」という内容の夢を見た。
夢の中で私は、テレビから流れてくるニュースを聞くともなしに聞いていたのだが、目がさめたら、それが誰だったか思い出せない。
たぶん澤穂希かシャラポワのようだった。髪が長かったのは確かなのだが。
で、そんな夢のことも忘れていたその日の夜、極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)と酒を飲んでいるときに
たまたま、なでしこジャパンの話になり、ぼんやりと記憶の輪郭が蘇った。
「澤穂希ってドーピングが発覚したんだっけ?」
「そんな話聞かないけど…」
「あ、それ今朝見た夢の記憶だ。澤じゃなかったか」
「なに? また予知夢見たの??」
“また”という言葉からわかるように過去にも同じような事があったのだ。
なんと、極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)の元同僚F津さんの転勤を当てたのである。
「なんと」の後に来る内容がなんともどうでもいい話である。
その日、極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)が会社から帰ってくるなり
「ねえ、F津さんが転勤だって」
「知ってる。名古屋でしょ」
「何で知ってるの? あたしだってさっき聞いたばかりなのに」
「あれ? なんでだろう……あ、夢で見たんだ!」
転勤だけならまだしも、名古屋まで当てたところに信憑性を感じたらしい。
それ以来、極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)は、もっと人類の役に立つような事や、宝くじに当たるような夢を見るよう強要するのだが、なかなかそう都合よくいくものではない。
で、その日は夢の話題もどっかに行っちゃって、へべれけに酔っぱらった後、すぐに寝てしまった。
翌日、テレビをつけると髪の長い女性の記者会見が放送されていた。
「あ!このシーン見た事がある! シャラポワだったか〜!!」
いかがでしょうか。……非常に微妙なセンですね。
●テレパシー
私には人の心を読む能力があるらしい。
突然ある単語が脳裏にひらめき、思わず声に出してしまうと、近くにいた人がそれについて考えているところだった、ということが何度かあった。
そもそも、前後の文脈と無関係に突然単語を発する人はアブナイ奴である。
私の場合、いずれも居酒屋でほどよく酔っぱらい、少々気が緩んだときの話だということをお断りしておく。
お断りしたところでねえ、普通そんなことしませんよね……。
その日、近所の超ハイクオリティ居酒屋で、極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)と静かに日本酒を飲んでいた。
いつもは混み合う人気店なのだが、そのとき店内は、我々と店主の三人だけだった。
突然私が
「…ずんだあずき!!」
声に出すと同時に、店主がビクッとして飛び上がった。
「齋藤さん、なんで僕がずんだあずき食べたいのわかったんですか??」
「いやあ、なんか突然脳裏に浮かんだもので……」
その日も近所の超ハイクオリティ居酒屋で、極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)と静かに日本酒を飲んでいた。
私が突然
「…利尻昆布!!」
声に出すと同時に、隣に座っていたオヤジがビクッとして飛び上がった。
「何故私が利尻昆布のことを考えているとわかったのですか?」
「いやあ、何故かわかりません。突然そう言いたくなってしまって……」
そこへ極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)がフォロー(?)に入る。
「すみません、この人ちょっと変なんです」
書いていて思ったけど、やっぱり変だよね、こういうの。
そのオヤジは近所の居酒屋のマスターで、たまたま休みの日にここへ飲みに来ていたとのこと。
北海道出身の人脈をいかし、地元の漁師さんから直送される新鮮な海の幸が売りだという。
利尻昆布煮が人気メニューで、仕込みのことを考えた途端、隣から「利尻昆布!」と声がしたのでたいそう驚いたと語った。
うーん、そりゃ驚くわな。
この奇行がご縁となり、以後私はその店にも顔を出すようになった。
●逆瞬間移動
その名の通り瞬間移動の真逆である。
私の場合、恐ろしい確率で、東急線が目の前で発車してしまうのだ。
ホームに着いた瞬間、扉が閉まる。
偶然にしてはできすぎている。確率にして9割を超えるのではなかろうか。
当初、知らぬ間にCIAの実験対象に選ばれてしまったのでは? と心配したが、
それが何の役に立つかといえば何の役にも立たないという結論に達した。
従ってこれは私が持って生まれた才能なのかもしれない。
運が悪いと言ってしまえばそれまでかもしれないが、
世の中には運がいい奴というのも存在するわけで、
それが研ぎすまされていったものが超能力者と呼ばれるのではなかろうか。
であるならその逆もまたしかり、
と思うのであった。
【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
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■もじもじトーク[37]
日本語Webフォント最新事情・その1 縦組みWebサイト
関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20160317140100.html
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。
今日はテーマは「日本語Webフォント最新事情 その1」です。
●デジクリデビューした頃
今日はデジクリにデビューした頃を振り返ってみました。2014年7月11日が最初だったので、今から1年と8か月前ということです。
第1回テーマが「デジタルフォントが豊富に手に入る時代」、そして、第2回と第3回が「日本語Webフォント基礎講座」でした。
そうか…、最初のテーマは自分が関わっている仕事のテーマだったんですね。なので、今回より数回にわたり、日本語Webフォントに関するお話を書くことにしました。
日本語Webフォントって何かいいことあるの? 身近な存在なの? と思う方も多いと思います。
でも、みなさんが日頃みているWebサイトで、Webフォントを使用していることが、最近すごく増えてきているんです。
「もじもじトーク」第1回の冒頭部分をコピペさせてください。
『わたくし、現在、フォントの仕事に携わっています。日本語Webフォントサービス「FONTPLUS」を立ち上げて苦節3年。表示が遅いとか、文字詰めできないなどの問題を、いろいろと改良しつづけ、今年やっと市民権を得られつつある状況になりました。
毎週、全国各地でWeb関連のセミナーやイベントで、日本語Webフォントのエバンジェリング活動してますので(地方巡業ってやつですね)、どこかでお会いしているかもしれませんね。』
そうか…、自分はWebフォントエバンジェリストという仕事を5年間ずっとやっているんですね。会社勤務で5年同じ仕事をし続けるケースは少ないかもしれませんね。
●汗だくヘロヘロのセミナーイベント
昨日、下記イベントを開催しました。自分の会社が主催で、自社セミナールームで定期開催するセミナーイベントを1月に立ち上げました。そして、昨日が2回目のイベントだったんです。
・FONTPLUS DAYセミナー Vol.2
[筑紫書体 〜書体デザイナー藤田重信氏をお招きして〜]
http://fontplus.connpass.com/event/27301/
会社主催ですが、いまやっている事業を東京で担当しているのは僕ひとりなので、実質、自分が企画しているということになります。技術メンバーは開発センターで仕事しているので結果的にそうなってしまうんです。。
自分が主催するセミナーイベントって書きましたが、共同主催しているグラフィックデザイナーさん、関連会社の社員、ボランティア的にお手伝いしてくれるパートナーさんの協力があってこそ、成り立っているイベントなのです。
昨日のイベントは自分として反省すべき材料がいくつもありました。
まず、予期せぬ機材トラブルにより、司会者であり、最初の登壇者である自分が冒頭の10分間ぐらい、平常心を完全に失ってしまったことです。
日中開催していた別のセミナーが終わって会場が使えるようになってから、聴講者が入場するまで30分しか時間の余裕はありませんでした。事前にやった映像機材のリハーサルでは5分だったので、すぐに設定が完了するはずだったんです。
ところが、複数ある大型スクリーンを同時に表示することができず、結局、聴講者がどんどん着席して、セミナー本編が始まる5分前でやっと映像機材のセッティング完了という、超バタバタな状態だったんです。
また、今回はテレビ局のカメラ取材が入るという特別なセミナーだったので、万全の状態で開場したかったのです。
そんな中、セミナー本編開始直前でなんとか映像機材の準備が整いましたが、汗だくだしヘロヘロ状態だったのです。
セミナー本編が始まって、司会者の立場としてのオープニングトーク、それに続く自分が担当するトークセッション前半は、まったく自分のペースが作れずでした。
焦ってもどうにもならないので、後に続くセッションへのスムーズな橋渡し、そしてゲストスピーカーが心地よく講演いただくための雰囲気づくりすることに注力しつつ、どうにか自分のトークセッションは終了しました。
ゲストスピーカーに「筑紫明朝の生みの親」である藤田さんをお招きしての講義60分、それに続く、質問コーナー30分は聴く人みんなが藤田さんの書体の話に吸い込まれました。
セミナー本編は時間通りにスタートできたし、全プログラムすべて予定通りに進行しました。
ただし、聴講者入場開場からセミナー開演までの30分の間、聴講者にはゆったりとした心持ちで着席してもらい、BGMを聴ききながらセミナー本編の開始を待っていただくという状態ではなかったと思います。気にし過ぎかな……。
無料セミナーといえども、参加して良かった、タメになった、感動した、素敵な仲間と出会えた、というような空間を提供したいと考え、イベントを企画したので今回は反省することしきりです。
セミナー会場は日中、二部屋ともに常に予約が入っているので、パーテーション撤去作業(二部屋を仕切っている防音壁を撤去)から、聴講者入場までの時間が限られています。
だからこそ、しっかりとした準備、人員配置、心のゆとりをもって望むことが重要と痛感しました。
とはいえ、セミナーイベントが本業ではなく、営業活動の一部なわけで、時間もリソースも多くを割けないため、バランス良くが大変だったりします。今回は、次回以降で改善するための良い経験だったと思いました。
●日本語Webフォント最新事情 〜縦組みWebサイト〜
今回のテーマにたどり着くまで、長かったですね(笑)。
まずは、こちらのWebサイトをご覧ください。
株式会社そうさす様
http://sosus.co.jp/
※Firefoxではうまく表示できない場合があります。その他のブラウザでも、古いバージョンではうまく表示できない場合があります。
いままで、縦書きWebサイト、あまり見たことないですよね。スマホで見ている方は、ピンチアウトして文字を大きくしてみてください。どんなに大きくしてもきれいですよね。
パソコンで拡大表示しても、もちろんきれいです。このWebサイトの文字は、すべてWebフォントなのです。
それから、そうさすの文字の雰囲気をよくみてください。普段よくみる明朝体ではないですよね。「筑紫Cオールド明朝」という書体です。味わいのある明朝体でしょ! 昨日のセミナーの藤田重信氏(フォントワークス社)が設計した書体です。
CSS3で「writing-mode」という縦書き表現するためのプロパティがあるのですが、最近、主要ブラウザ最新バージョンは、このプロパティに対応するようになりました。今後、縦書きで表現(ページ全体的または部分的に)するコンテンツが増えてくる気がします。
僕も縦書きWeb推進会議メンバーですが、今年に入り、縦書きWebのコンテストを開催したり、徐々に盛り上がりつつあります。
・縦書きWebデザインアワード
http://tategaki.github.io/awards/
・縦書きWebの技術解説
http://tategaki.github.io/#commentaries
日本語Webフォントをもう少し詳しく知りたい方は、2014年7月24日の記事をぜひご覧ください。
・もじもじトーク[02]Webフォント基本講座(1)
http://goo.gl/mbNyGs
次回から、Webフォントを深堀りしていきますね。
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。
その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。
小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。
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編集後記(03/17)
●「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘」を読んだ(2010年・文藝春秋刊)。タイトル部分だけを妻に見せると、ゲゲゲって鬼太郎かな、あとは知らない、という。まあ、そんなもんでしょう。この本の広告をどこかで見たとき、なんという好企画、なんという素晴らしいタイトル、と感心したものだが、結局読んだのはつい最近だった。企画・構成が近藤康太郎、三田格とある。三田格の小説はかなり読んできたから、この本は間違いなく面白いはずである。水木しげるの娘・悦子、赤塚不二夫の娘・りえ子、手塚治虫の娘・るみ子が、編集側の巧みなリードの下、おやじの秘密をしゃべっちゃおうか、という鼎談集。
父親の年齢はまったく違うのに、三人の年代がほぼ同じという不思議。二回に分けて行われた座談会の内容を、テーマ別に構成したもので、こんな具合。ずっと父が好きだった/父の仕事場/「普通の家」だった、かな?/「父親」として/父の女性観/父と音楽/作品の中のワタシ/父の仕事を継ぐ……まあキレイにまとめてはいるが、そんなこと活字にしちゃっていいのかというような暴露話はないし、ほとんど予定調和のぬるい鼎談になっている。編集側のリードはいいところを突いているのだが、娘たちの対応はいまいち鈍い。せっかく奇跡的な組み合わせの三人を集めても、この仕上がりでは残念でした。
人気漫画家の娘であることの苦労は想像の範囲だし、これまで三作家それぞれについて書かれた評論などをかなり読んできたから、鼎談の内容はとくに目新しいものはない。三人に共通するのは、けっこう大人になっても父親の仕事に興味がなかったという致命的な事実だ。これではいくら企画がよくても、いい話は引き出せない。よかった発言は、水木悦子の「お父ちゃんはね、赤塚先生の作品も手塚先生の作品も、読まないんですよ。全然、誰の作品も読まないんですよ。『俺は俺』って言ってるから。漫画嫌いって(笑)」。手塚、赤塚の娘は父が活躍中にあまり会話がなかったようだから、こういう話ができない。
鼎談に加えて、娘が選ぶ父の傑作セレクトがあって、水木、赤塚は傑作かどうかわからないが、「猫」と「レッツラゴン」RIMIX、いちおう納得の作品だ。手塚はまさかの「ペックスばんざい」。男性器似の生きものをペットにする社会をユーモラスの描いたもので、手塚の傑作としてこれをもってくるとは。なんだかなー。手塚るみ子は、「『父と娘』だからこそ見えてくるもの、感じられるものは、他の誰にも語れません。どんな評論よりも、それは厳しく愛に満ちているのです」と言うが、それは平凡な一般論で、あなたは本当に分って言っているのか。最高の企画だが素材が期待に応えてくれない。 (柴田)
「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘」
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167801949/dgcrcom-22/
●利尻昆布で染めた人は、美容室で白髪染めを敬遠されるらしい。見たこともない色に染まるらしいよ。ツバキやアジエンスなどは利尻昆布よりマシとはいえ、思った色にならないそうで、流行始めの頃はお断り看板を出す店もあったんだって。/筑紫シリーズ好きだ〜。そうさすさんのサイトきれいだなぁ。/タイトル素晴らしい! らららがわからなかった。
名古屋ウィメンズマラソン続き。バッテリー切れについては、予備バッテリーをiPhoneに最初から繋いでしのいだ。去年は41km地点で落ちてしまい、BGMや音声案内が聞けなかった。
去年は腰にランニング用ボトルポーチを巻き、コールドスプレーやアミノ酸サプリ、補給食を入れていた。今年は腰回りをフリーにするため、トレイルラン用のベストを着用。
家人に借りたんだが、めっちゃ走れる人みたいに見えて恥ずかしい。しかしこれがとてもいい。走れる人みたいってことは、走れる人が選んでるってことなのよね。続く。 (hammer.mule)
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