[4156] 強制撤去の日

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《「4Kテレビ」で見られない「4K放送」がある》

■羽化の作法[19]
 強制撤去の日
 武 盾一郎

■ところのほんとのところ[145]
 所 幸則『瞬間と永遠』の展示が始まりました
 所 幸則 Tokoro Yukinori

■crossroads[20]
 4Kテレビにご注意
 若林健一




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■羽化の作法[19]
強制撤去の日

武 盾一郎
https://bn.dgcr.com/archives/20160705140300.html

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◎1月19日(金)
オネエサンにきつい事を言われた。
:制作ノートより

この日は「ケンさん」に誘われて、ケンさんの巨大段ボールハウス「サロン」で、すき焼きをご馳走になった。幾人かのホームレスの人たちの宴に加えて貰ったのだ。

大きな鍋を囲んで、僕たちはホームレスの人達とすき焼きをつついた。お酒もすすめられたがこれからも制作するのでお断りした。

制作ノートに出てきた「オネエサン」とは、とあるホームレスの女性のことでちょくちょく挨拶を交わす人だった。

すき焼き宴でオネエサンは、冗談なのか本気なのかよく分からないツッコミを入れてくる。

「あんたら、ホームレスのためにやってるって言うんだったら、今持ってるお金全部ここに出しな」

ギョッとしたけど僕は答えた。

「今僕はお金を持っていますが、これは全部ペンキ代に使います」

自分は慈善をやってるのではなくて「絵を描いている」のだ、と正直に伝えた。自分の気持ちは段ボールハウスを絵で埋め尽くすことだったが、タケヲとヤマネは少々落ち込んでいる様子だった。

◎1月20日(土)
朝、雪が積もっている。地下から見る出口はとても美しかった。昨夜の8:00から今日の昼12:00まで16時間制作した。しかし、僕も含め3人のオーラは不思議なことに良い。
:制作ノートより

この日も夜から朝にかけて制作し、翌21日の朝にヤマネと僕は引き上げ、タケヲは新宿西口地下道に残った。

21日の夜から僕は「ケンさん」の家のゲストルームに寝泊まりすることにした。これで完全に24時間態勢になった。

◎1月22日(月)
朝、通勤の人間から「オニイサンいいウデしてるねえー、他にすることあるんじゃないー」と言われる。
:制作ノートより

これはタケヲが通行人から話し掛けられた言葉だった。タケヲは過労のせいだろう、風邪をひき始めていた。

◎1月23日(火)
皆ボロボロ
:制作ノートより

●強制撤去の日

1996年1月24日の早朝。

三人は「ケンさん」の家の巨大群像絵を、『スウィートホーム』と名付けて制作していた。元旦から描き始めて24日目。あと少しで完成という段階まで来ていた。

この日のことはクリアな風景の断片が散りばめられてるようにしか思い出せない。ヤマネとタケヲがどうしていたかもほとんど思い出せない。恐らく、三人して『スウィートホーム』にひたすら筆を入れていたのだろう。

ものすごい喧噪が響き渡ってくる。

「わっしょい! わっしょい!」と列を組んで、ヘルメットを被った人たちがドタドタと通り過ぎる。

カメラを背負ったマスコミの群れがバタバタ、ガシャガシャと、足音と機材音が駆け抜けて行く。

遠くで騒ぎ声が聴こえる。

(強制撤去始まった?)

地下通路にいる人たちが、通路から追い出されていく。まずマスコミ、そしてボランティア、さらに段ボールハウスの住民、、、

住民は家から追い出されていった。職員が、残っている住民がいないか確認しながら通路を歩いてる。

「みなしごハッチになっちゃよ…」と去っていく人。僕らの後ろを通り過ぎる時に、「ありがとな」と小声で言って去っていくおっちゃん。

僕たちは通路の真ん中あたりにいて、ひたすらにダンボールに向かって『スウィートホーム』の絵を描いている。

いつの間にか通路には誰もいなくなっている。

誰もいない。僕たち三人の絵描きだけだ。僕たち三人だけが「強制撤去」という騒ぎから取り残されている。

1月の空気が凍り付いている。段ボールをこする筆の幽かな音が通路に染み渡る。

機動隊が後ろを一糸乱れぬリズムで行進して行く。

向こうの方で噴煙が上がっている。騒ぎ声が聴こえる。

再び静寂が訪れる。

抵抗運動は鎮圧されてしまっているようだ。

僕たちは絵を描いてる。タイトルは『スウィートホーム』。群像だ。

通路の両側から清掃用のトラックが入ってきた。野宿者の家と荷物を、飲み込むようにしてトラックの荷台に全てが積まれて行く。

僕たちは描く。

トラックは段ボールハウスの暮らしを食べながら、両側から徐々に迫って来る。

『スウィートホーム』が完成した。

両側からやってきたトラックはちょうど『スウィートホーム』を挟んだ。

絵から離れて見つめ、三人で「完成」と頷きあった。その瞬間、段ボールハウスは崩され、手前に倒され、バラバラにされ、トラックに積みこまれた。

トラックの荷台に段ボールが積まれていく。めくれて「涙」を描いた絵が表面になる。撤去物の山には絵に描いた「スウィートホーム」の文字が見える。

強制撤去は大方終わった。

この間、どれくらいの時間の長さだったのか全く分からない。

その後、三人で居酒屋「三平酒寮」で食事をした。座敷席でコーナーの上にテレビがあった。強制撤去のニュースが流れていた。

ヤマネは、これで新宿西口地下道段ボールハウス絵画制作はやめる、と言った。ここで僕たちは三人は解散した。

気が付くと僕は西口地下広場にふらふらと歩いていた。

そこにはバリケードの現場にいた人たちと、強制撤去で段ボールハウスを失った人たちでお祭り騒ぎのようにごった返し、興奮と落胆が渦巻いていた。

「よお兄ちゃん、こんなところでウロウロしてると捕まるぞ!」突然見知らぬ人に言われる。

ぼんやりとその人の顔を見つめると、僕は夢遊病者のようにホームレスの人達でごった返す西口地下広場を彷徨った。

顔見知りのホームレスのおっちゃんを見つけた。向こうも僕に気が付いた。怪我はしてなかったようで少しホッとした。帰る所のない人達の住処であった段ボールハウスが撤去されてしまった。

そのおっちゃんに僕はこう言った。「ごめんなさい。僕には帰る家がある。帰ります」。一礼しておっちゃんに背を向けて俯くと涙が出てきた。

とぼとぼと歩いて行くと、ホームレスの人混みの隙間から初期の段ボールハウス絵画の大作、『新宿の左目』が現れてきた。強制撤去されてなかったのだ。(つづく)

参照:羽化の作法05 新宿の左目
https://bn.dgcr.com/archives/20151106140100.html



【武盾一郎(たけじゅんいちろう)/線譜画家】

真面目に肩書を書いてしまった。

小説家の星野智幸コレクション全四巻(人文書院)の装画を担当することになりました。いよいよ最後のIV巻『フロウ』を制作。制作過程はフェイスブック、ツイッターにアップしてます。夏以降に出版となります。乞うご期待!
https://twitter.com/hashtag/%E6%98%9F%E9%87%8E%E6%99%BA%E5%B9%B8?f=tweets


独り酒をやめました。今年は瞑想始めて、早朝散歩始めて、お酒辞めて、次に来るのは貧乏神ときちんと別れること。アーティスト収入だけで暮らすのが目標です。

Facebookページ http://www.Facebook.com/junichiro.take

Twitter http://twitter.com/Take_J

take.junichiro@gmail.com


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■ところのほんとのところ[145]
所 幸則『瞬間と永遠』の展示が始まりました

所 幸則 Tokoro Yukinori
https://bn.dgcr.com/archives/20160705140200.html

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EXPOSURE #7 所 幸則『瞬間と永遠』
会期:7月5日(火)〜7月31日(日)11:30〜15:00 18:00〜23:00 土・日・祝 12:00〜16:00 18:00〜22:00(L.O.21:30)
会場:Cafe Terrasse MIMOSA 東京都品川区西五反田3-8-3町原ビル 1F TEL.03-6431-9960
http://exposure.mimoza.jp/


"EXPOSURE"とはEXPOSEの名詞形で、感光、可視化、露出、公開などの意味を持った、極めて多重的な言葉です。ここに五反田にあるカフェレストランMIMOSA
の壁をお借りして一か月に一度、写真作家を中心に取り上げてEXPOSEして行きます。

[ところ]にとっての代表的な3シリーズ「Shibuya One second」「アインシュタインロマン」「お散歩ジャンプ」からのセレクトによる展示になります。

「渋谷ワンセコンド」からは、写真集にも収録されていない2008年の渋谷の作品を、ドレスにプリントしモデルに着せ、一年以上の時を経て同じところをバックに、またワンセコンドの技法で撮っています。150cm×100cmの大型作品です。

7月23日(土)16時から、展示会場にて
所 幸則×杉山武毅 トークショー『所幸則総分析』を行います。

杉山氏は神戸にて写真専門ギャラリーを運営、世界各国から招聘した作家の展示を行われています。3年前からは六甲山上にて「六甲山国際写真祭」を企画し、やはり国内海外を問わず作家を紹介し、写真にワークショップやポートフォリオレビューを開催されています。また、アメリカで写真作家にとって重要なイベント、レビューサンタフェのレビュアーをされています。

この杉山氏の持つ多面的な視点から、作家(所 幸則)の作品群を分析してもらい、写真史における作家の立ち位置やユニークな点、そしてその価値をわかりやすく解説して頂きます。

トークショー後には、そのまま会場にて食事会の予定です。ふるってご参加ください。

さて、今日はちょっとショックな物件を見てしまいました。

[ところ]が小学生の頃から、カメラやカメラ機材を買っていたカメラ屋さんが、営業を3月末日までで終わっていたのです。

その店の前を通る機会が今ほとんどなかったので、Facebook上で知りました。故郷の高松で「フォトラボk」という講義を時々やっているのですが、その修了生がアップしていたのです。

ついさっき、[ところ]もお店の前に行ってみました。カメラというものに初めて触れた、原点の店だったので、かなりショックも大きかったです。

個人商店だったし、小さなカメラ屋さんだったので、時代には抗えないんだろうことは容易に想像できます。

店も人も、どんどんいなくなっていく。僕の卒業した小学校も今はありません。大人になってからでさえ、一番好きだったイタリアンの店もなくなってしまったし、カフェももうないです。

渋谷駅ですら、もう30年見つめていた建物はどんどん壊されて、形はもう全く残らないでしょうね。

長く生きると、いろんなものを失っていくのを目の当たりにすることになります。それがこの世の無常というものなんでしょうが、みんなこれに耐えて生きていくんだなあ。

ブッダが、この世のものは一切が無常と言ったそうですが。年をとらないと実感できないんでしょうね。

[ところ]は渋谷を撮り始めた頃から、そういうことをよく考えるようになっていました。

今は7歳の娘と父親、この限られたかけがえのない時間を作品にし始めていますが、これも、いつかこの先の人へとバトンをつなぐためなんだろうなと思っています。


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則  http://tokoroyukinori.seesaa.net/

所幸則公式サイト   http://tokoroyukinori.com/



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■crossroads[20]
4Kテレビにご注意

若林健一
https://bn.dgcr.com/archives/20160705140100.html

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こんにちは、若林です。夏休みまで二週間となり、「親子で○○」「小学生のための○○」と題されたワークショップや、体験会の告知をよく見かけるようになりました。

一方で大人の方はというと「○○女子会」「○○ガールズ」といった女性向けのセミナーやワークショプを耳にします。

「大人の男性向け」ってないんですよね、まぁ「大人の男性向け」を謳ったところで、アピールにはならないのでしょうけれど……。大人の男性のひとりとしては寂しい限りです。

なつやすみ親子でデータサイエンス
http://www.sascom.jp/oyako16/


10代のための人工知能プログラミングワークショップ
http://connpass.com/event/35124/


●4Kテレビをお持ちの方に

家電業界を離れて三年以上が経ち、業界の話題にすっかり疎くなっているのですが、総務省がこんなお知らせを出しているそうです。

現在市販されている4Kテレビ・4K対応テレビによるBS等4K・8K放送の視聴に関するお知らせ
http://bit.ly/29k7gmA


内容を簡単にまとめると、以下の通りとなります。

1)現在4Kテレビ・4K対応テレビが販売されている。

2)現在4Kの番組が観られるのはケーブルテレビ、CS放送、IPテレビ、ネット配信の番組のみ(地上波での4K・8K放送は予定なし)。

3)2018年からBS放送で開始される4K・8K放送は「4Kテレビ」であってもテレビ単体では視聴できない。

●4K・8K放送とは

そもそも4K・8Kって何? ということなのですが、現在、地上波やBS放送で見ているデジタル放送はハイビジョン放送と呼ばれるもので、画面の解像度が横1920×縦1080の細かさで放送されています。

これを更に細かくしたものが4K・8K放送で、4Kが横3840×縦1080、8Kが横7680×縦4320。横の細かさがそれぞれ約4,000、約8,000なので4K、8Kと呼ばれています。

画面のサイズ(面積)が同じなら、4Kテレビの一つの点の大きさは今のハイビジョンの1/4、8Kテレビなら1/16の細かさということになります。

アナログ放送からデジタルハイビジョン放送になった時も、画面の細かさに驚いたものですが、4K・8K放送では更に細かくなります。

細かくなるとどうなるのか? というのは人によって感じ方が違うかもしれませんが、私の場合、画面に映るものの滑らかさの表現が増したり、立体感(奥行き感)が増した印象を受けました。

さらに家庭に置くテレビには、「4Kテレビ」と「4K対応テレビ」の二種類があります。

CSの4K放送を受信できる機能(チューナー)を内蔵したテレビが「4Kテレビ」。テレビ単体では4K放送を受信できないけれど、外部機器を接続すれば4Kの細かさで表示できる性能を持ったテレビが「4K対応テレビ」です。

●今回のお知らせの意味

今回のお知らせは、この「4Kテレビ」であってもBS放送については別途受信用の機械(チューナー)が必要ですよという注意喚起で、おそらく店頭でも同じ告知がされるものと思います。といっても、すでに購入した方にはどうしようもないですよね。

BS放送での4K放送は今年の8月に試験放送が始まり、2018年に本放送が始まる計画です。

もちろん、この試験放送も現在販売中の「4Kテレビ」では観ることができません。どれだけの方がBS放送に期待してテレビを購入されるのかはわかりませんが、「4Kテレビ」ということで買ったもので観られない「4K放送」があるというのは理解に苦しみますね。

●ミライノテレビ

そもそも、今のテレビで4Kほどの細かさでみたい番組がどれだけあるのか? というのも疑問ですし、これだけややこしい話になってくると、「もうテレビなんていいや」ということになり、テレビ離れが加速していきそうな予感がします。

今の若い人たちには、YouTubeやニコニコ動画のようなネット動画の方が人気ですし、子どもにいたっては「テレビって途中からしか観られない変なもの」と思っている子もいますので、ますますテレビ(放送と言った方がいいかもしれません)の人気は下がっていくんじゃないかなと思います。

以前、「ミライノテレビ」と題して記事を書いたことがあるのですが、いよいよテレビは受信機能と表示機能を分けて製品として販売し、利用者が自由に選んで購入し、必要な部分だけを買い換えられるようになるべきだなと、あらためて思います。

ミライノテレビ
http://bit.ly/tv-of-the-near-future


テレビに接続する機器としては、Appleの「Apple TV」やAmazonの「Fire TV」が有名ですが、シャープからも「AQUOSココロビジョンプレーヤー」という製品が出ています。

私も店頭で試してみましたが、使い勝手はなかなか良いと思いますし、音声検索は精度が高くて便利です。

音声検索そのものはスマートフォンなどでもできますし、珍しいものではありませんが、周りを気にせずに声を出せる家の中というのは、音声検索の良い利用方法だなと思います。

AQUOSココロビジョンプレーヤー
http://bit.ly/29h3yeq


Apple TV
http://www.apple.com/jp/tv/


Fire TV
http://www.amazon.co.jp/dp/B00UH6MXT8


話がそれてしまいましたが、これから「4Kテレビ」を買おうという方、ご注意くださいね。


【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/

Twitter: https://twitter.com/kwaka1208


CoderDojo奈良&生駒の開催予定
http://coderdojo-nara.org/

奈良:7月16日(土)午後
生駒:7月30日(土)午後


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編集後記(07/05)

●スティーブン・キング原作の映画、テレビドラマは何本あるのか知らないが、全部見るのは不可能だろう。そんな気はないけれど。今年の1月に「スティーブン・キング 血の儀式」を見たが、まさしく忘れようとしても思い出せない内容だった。祖母を介護する一家の話だが、ぜんぜん介護のリアリティがなく、ただベッドに寝かせているだけ。祖母はしょっちゅう意味不明なことを喚き暴れる。邪悪なものとなんらかの契約をした、ということは後から分かるが、ずいぶん意味不明な話だった。トンデモな出来のスティーブン・キング系作品は相当に多いようで、ベストXとワーストXを列記する記事はよく目にする。

「映画.com」サイトに、英Total Film誌が、スティーブン・キング原作の映画およびテレビドラマ50作品をランキングしたという記事があった。ベスト10では「ショーシャンクの空に」「シャイニング」「グリーンマイル」「スタンド・バイ・ミー」「ミザリー」「キャリー」「黙秘」「ミスト」「デッドゾーン」「ザ・スタンド」と並び、「黙秘」「ザ・スタンド」以外は全部見た。うれしいことに、11位が「イット(It)」である。これが大好きでVHSソフトを買い、いまだに持っている(もう見られないのに)。「クリスティーン」「ペット・セメタリー」が20位までに入っている。昨夜見たばかりの作品は13位だった。

その「アトランティスのこころ」は、「グリーンマイル」系の“超能力”と、「スタンド・バイ・ミー」系の“郷愁”が合体した、なかなか味わい深い物語だった。ボビーが母と二人で住む家の二階に、テッドと名乗る老人が下宿人としてやってくる。たちまちボビーとテッドはうちとける。原題の「Hearts in Atlantis」はテッドが「子どもの頃は、楽しいことばかりで、幻の国にいるようだ。アトランティスにね」と言うことから、隠喩であることがわかった。例の大陸がなぜ出てくるのか、はじめは不思議だった。この映画は長い小説のエッセンスをうまく摘んだものらしい。アンソニー・ホプキンスがいい感じだ。

ボビーにはキャロルとサリーという親友がいる。キャロルとは甘く切ない初恋が生まれる。テッドは人の心を読める。未来が予知できる。その能力を求める政府筋(?)からの追跡が迫る。ボビーの母は浪費家だが吝嗇、疑り深いくせに男に騙される惨めな、しかししたたかな女で、ボビーとテッドを裏切る。テッドはいなくなり、母子は遠くに引っ越していく。物語の始めと終わりが、もういい歳になったボビーが、廃屋となったかつての家を訪ねるシーンである。サリーの葬儀のためにこの地に帰り、キャロルの死も知る。彼女の娘とも遭遇する。苦みに挟まれて、11歳の輝きがいきいきと描かれる。ほろり。 (柴田)

「アトランティスのこころ」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B005HZXHEE/dgcrcom-22/


「スティーブン・キング 血の儀式」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00W1EONQU/dgcrcom-22/



●iPhoneトラブル続き。再起動をかけると電源は切れ、リンゴマークになるがそのまま。リカバリーモードを試す。

バックアップから戻すにも、バックアップ自体が壊れているとか互換性がない
とかで信用できない。なのでTime Machine(Mac自体のバックアップ)で、比較的安定していた一週間前に戻る。

数年に一度あるトラブルのためのバックアップ。やってて良かった。

リカバリーモードで復元を試したが、やはりリンゴマークのまま。再度リカバリモードを試す。 (hammer.mule)