[4194] 生まれて初めて絵が売れた日

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《中小企業のIT化は遅れている》

■羽化の作法[23]
 生まれて初めて絵が売れた日
 武 盾一郎

■crossroads[28]
 仕事がはかどるITの活用法
 若林健一

■はぐれDEATH[09]
 はぐれ関東滞在記3 神奈川県辻堂・鬱々の日々
 藤原ヨウコウ




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■羽化の作法[23]
生まれて初めて絵が売れた日

武 盾一郎
https://bn.dgcr.com/archives/20160920140300.html

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テレ朝の人が来た。

カナダ人と話す。Bob 26歳、言葉通じず、でも思いはなんとなく分かった。

スイートホームの前のあんちゃんの家(ブルー)の戸がなくなる。

制作ノートに書いてあるこれら三行について、順を追って説明していこうと思います。

一行目、「テレ朝の人が来た」について。

強制撤去直前、たくさんのマスコミの人たちを見かけたが、撤去後はスーッといなくなっていた。多分、強制撤去の瞬間の「争いごとの絵」が欲しかっただけなのだろう。

だが「その後、野宿してる人たちはどうなるのか?」と後を追う人もほんの少しだけどいたようだった。実際には、むしろ強制撤去後にさまざまなことが起こるのだ。

東京都との対立を明確化する意志を持った「段ボール村」というコミュニティの出現がその最たるものだと言えるだろう。

コミュニティには吸引力があるようで、「段ボール村」になってから僕たちは、急激に様々な人たちと出会うようになって行く。

なので、二行目の「カナダ人と話す。Bob 26歳、言葉通じず、でも思いはなんとなく分かった」みたいに、「意見」ではなくて「思い」を話してくる人も多くなった。

意見や質問は言葉が違うと分からないが、「思い」はなんとなく分かるのだ。僕も「I can not speak English」と書いたTシャツを着ることはなくなった。

そして三行目。「スイートホームの前のあんちゃんの家(ブルー)の戸がなくなる」について。

「あんちゃん」というのは若いホームレスの男性のことである。見た目はどう見ても二十代なのだ。しばしば話すこともあり、親しみをこめて「あんちゃん」と僕らは呼んでいた。あんちゃんの家にも当然絵を描いていたのだ。絵の写真はないのだが。

「スイートホーム」とは強制撤去前に24日間かけて描いていた「けんさん」の家のサロンで、段ボール村の住民たちが撤去後に都の倉庫から取り返して建て直した家である。

https://www.facebook.com/junichiro.take/posts/1273577059353845



参照:羽化の作法22 段ボール村になってからの変化
http://take-junichiro.blogspot.jp/2016/09/22.html

https://bn.dgcr.com/archives/20160906140300.html


FLASHの記事の写真を見ると「スイートホーム」は壁を背に建てられている。その前にあんちゃんの家があるということは、段ボールハウスが壁伝いに一列に並んでるだけではないことを示している。

段ボールハウスが西口地下広場に広がって建っているのだ。家と家の隙間は路地となり、街の様相を呈していたのだ。新宿のゴールデン街やションベン横丁の一角をイメージして頂けると分かるだろう。新宿はフラクタルなのだ。

「段ボールハウスの戸がなくなる」について。

段ボールハウスの建築様式は「羽化の作法21」で紹介したように、扉は最後に作り被せるフタのようになる。

参照:羽化の作法 21 段ボール村と段ボールハウス建築
http://take-junichiro.blogspot.jp/2016/08/21.html

https://bn.dgcr.com/archives/20160823140300.html


なので取り外して持っていくことが可能だし、また新たに作ることも割と簡単なのだ。

この日、あんちゃんは僕に話し掛けてきた。

「実は昨夜、イタリア人が4000円で家の扉を買っていったんだよ」

見るとあんちゃんの段ボールハウスの扉はなく、横穴式住居みたいに穴の空いた状態になっていた。

あんちゃんは続けた。

「そのイタリア人は三日間、家に通って来たんだ」

と言って、あんちゃんは2000円を僕に差し出して言った。

「半分づつでいいよね?」

まさかお金を自分に渡すとは思ってなかったので、面食らったまま2000円を受け取ったのだった。

なぜイタリア人だと分かったのか、その価格はどうやって決まったのか、そしてあんちゃんはこのことを僕に正直に伝える必要などなかったのに、とか、そういう正直な人がホームレスになってしまうのかも知れない、とか、その後ぐるぐると考えることは様々あったが、ともかく、

生まれて初めて絵が売れたのである。(つづく)


【武盾一郎(たけじゅんいちろう)/経済面で画家として自立】

「星野智幸コレクション全四巻(人文書院)」四巻の制作が終わるやいなやガブリエルガブリエラの制作です。今までで最も大きい絵画作品となりますので乞うご期待。

アートラッシュ『カオスな夜〜カーニバル』にて。
2016年11月16日(水)〜12月5日(月)
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13月世の物語・ガブリエルガブリエラ
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目指せジャケ買い『星野智幸コレクション』
I・II巻9月下旬刊行! III・IV巻12月刊行予定。

星野智幸コレクションI スクエア
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星野智幸コレクションII サークル
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星野智幸コレクションIII リンク
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■crossroads[28]
仕事がはかどるITの活用法

若林健一
https://bn.dgcr.com/archives/20160920140200.html

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こんにちは、若林です。立て続けにやってくる台風のせいで、悪天候が続きますね。雨好きな私でも、これだけ降られるのは困ります。

北海道では農作物に多大な被害があったとのこと。さすがに北海道まで復旧支援に駆けつけることは難しいのですが、傷んだ農作物でも進んで購入することぐらいとはできると思いますので、何らかの形で支援をしたいと思っています。

●文化の異なる企業間での共通点

26年半同じ会社に勤めた後の3年間で何度かの転職を経験した中で、それぞれの文化の違いというものを感じる一方、中小企業の場合いわゆるIT系の企業であっても、ITの活用が遅れているところがほとんどです。

何をもって遅れているというのかは難しいところですが、私の周りは私を含めて予定はGoogleカレンダーで共有し、ファイルのやり取りはメールの添付やファイル保管サービスではなくクラウドドライブ、タスクの管理はBacklogやredmineで行い、打ち合わせは画面共有で資料を見ながらのビデオカンファレンス、といったことを仕事以外でもやっています。

そういった環境と比べてなので、ややハードル高めな基準であることは否めませんが、それらをいくつか差し引いてもやはり中小企業のIT化は遅れています。

●組織で使いたいITツール

IT化といってもそんな大げさなことではなく、以下のようなことを組織で導入するだけでよく、これだけでも日々の業務の効率が飛躍的に向上します。

1)webベースの予定や社内の通達的な情報の共有

予定の共有は基本だと思うのですが、意外と浸透していないことに驚きます。今なら個人ではGoogleカレンダーに予定を入れている方も多いのに、仕事になると机上のカレンダーに手書きという方が多い。

予定の共有といっても難しいことはなにもなく、予定を入力する共通の手段(グループウェアやクラウドのカレンダー)に日々入れていくだけなんですけどね。

これをやっておくだけで、会議の招集の手間が大幅に減らせる。手間が減らせるどころか、すべての人の予定が共有されていれば、参加予定者の空いている日時をすぐに見つけられるわけですから、即決です。

メールでの会議の調整なんて、参加者全員の返事を待っている間に別の予定が決まってしまって再調整、みたいなことが起こりがちですからね。

2)ファイルのやり取りはメール添付ではなく、共有フォルダ。できればクラウドドライブ

これ、ITを苦手とする方が多い組織では必ずやるべきです。メールの添付ファイルって、つまりファイルを各個人任せにしている状態なので、後から改訂版を送ったのにそちらを見てもらえていないとか、最悪のケースでは古い方のファイルにガッツリ変更作業をやってて、一からやり直しということにもなりかねません。

いわゆる共有フォルダを作って管理でもいいのですが、できればGoogle Driveのようなクラウドサービスの方がいいですね。URLをクリックするだけでファイルが開けますし、他の人が開いているかどうか気にすることなくいつでも編集ができます。

最近は、インストール型のオフィスソフトウェアでも、共有ファイルの同時編集が可能になっているようですが、やや力づくで実現しているという印象が否めず、何かの拍子に壊れてしまいそうな気がして、あまり積極的に使いたくないなというのが私の印象です。根拠はないのですが。

3)会議の議事録は、共有ドキュメントを同時に編集しながら、会議の終わりと同時に完成

会議の議事録って、確認が回ってきた時に「あれ? こんな話になってたっけ?」ということが起こることも少なくなく、次の会議の時に前回の認識不一致を解消するところから始めるケースも多々有りますので、会議の終わりのタイミングで、出席者全員が議事録の確認を終わっているというのは、実際に体験してみるとその良さがわかります。

●心理的障壁と経済的障壁

こんなに便利なのに導入が進まない、導入に積極的にならないのには二つの障壁があります。

ひとつは、使う人の心理的障壁。今までと違うやり方をすることにより面倒になるんじゃないか? 結局やらないんじゃないか? という印象。

そう、あくでも印象であって、実際にやってみてどうなるかは別なのです。「ひとりでも使わなかったら使えなくなる」という声もよく聞くのですが、そんなことはないんですけどね。

なんだか、「うまくいくかどうかわからない」ということだけがひとり歩きしている感じです。

もうひとつは経済的障壁、導入と運用コストです。例えば500円/月のサービスを100人で使うと5万円/月、60万円/年となります。これを高いとみるか妥当と見るか。先にあげた心理的障壁と合わせると、やはり高いってなってしまうみたいですね……。

こういったことと戦っている担当者はたくさんいると思うのですが、私もまだまだ戦っていきます。これからの方が同じ思いをしなくて済むように。


【若林健一 / kwaka1208】
http://kwaka1208.net/aboutme/


CoderDojo奈良・生駒の開催予定
http://coderdojo-nara-ikoma.github.io/

奈良:10月16日(日)午後
生駒:10月 1日(土)午後


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■はぐれDEATH[09]
はぐれ関東滞在記3 神奈川県辻堂・鬱々の日々

藤原ヨウコウ
https://bn.dgcr.com/archives/20160920140100.html

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神奈川県辻堂に実家があるのだが、この頃母が膝を悪くして、ちょっと放っておけない状態になっていたので、これを機に実家の近所へ転居することにした。

新基地はロフトつき二階の角部屋という、物件としてはそう悪くなかったのだが、欠点は窓から見えるお隣の墓地と米軍戦闘機のエンジン音である。

前者はまだ無視できるのだが、戦闘機のエンジン音というのは無視をしようにもしようがない、とんでもない爆音だった。ボクは夏でも滅多にエアコンを使わず、窓を全開にするのが常なのだが、この爆音にはとにかく参った。

多分、厚木から飛んできてると思うのだが、訓練飛行の離発着コースのほぼ真下で、特に着陸時は高度がぐっと下がってパイロットの顔が見えそうな所を飛ぶのである。

これが通常訓練時は午前、午後、夜、と来る上に中国やら北朝鮮やらISやらが何かをやらかす度に回数は倍増する。夜なんか21時頃に訓練を終えた戦闘機が帰ってくるのだ。

はっきり言ってかなりキツイ。防音ガラスなどという洒落たものは当然入っていないので、窓はほとんど役に立たない。この基地に行くまでは一日中音楽をかけていたのだが、エンジン音で何も聞こえないのでいつしか音楽を聴くのは止めてしまった。

サックスの方も潮風で管体がやられるのが怖くて、練習出来なくなった。セッションも辻堂から阿佐ヶ谷となると、交通費だけでも馬鹿にならない。これまた中断である。

爆音の影響は就寝前、読書にも及んだ。おちおち読書もできないような態である。こっちは極端に読書量が落ちてしまった。数少ない趣味を封印された形になったボクは、鬱々しながら部屋に閉じこもってしまうという不健康極まりない生活に突入することになったのだ。

サチ坊(実家のネコ)が唯一の楽しみになったのだが、こいつは男の子なのでボクがイマイチのれない。

毛も尻尾ももふもふしていて実に気持ちイイのだが、とにかくこいつほどアホで鈍くさい猫は初めて見た。腹を上に向けて寝そべり、テレビのサッカー観戦(プレミア・リーグだ)をしている姿を見たときは腰が抜けそうになった。

老夫婦しかいないのと室内飼いのせいなのかもしれないが、ももちをずっと眺めてたボクにすると堕落しきった猫である。で、こういう雰囲気にはやつらはめちゃめちゃ敏感なので、ボクにはあまり懐かなかった。

辻堂に移って約一年後、昨年の4月に胃潰瘍で吐血し入院すると(もっとも、とっとと逃げ出したが)引きこもり度は更に上がった。生まれて初めて輸血されたぐらいだから、かなり失血していたのだろう。それでもしばらくは貧血に悩まされた。

こうなるとそれでなくても狭い行動半径が更に狭くなり、生活習慣レベルで運動不足になる。この深刻さに気がついたのは、ここに引っ越してきてからだが、当時は気にもしていなかった。とにかく外に出たくないのだ。ただ鬱々と日々が過ぎていくのをぼんやり眺めていた、というのが実態だろう。

辻堂に移った結果として、京都にいる時よりもクライアントとの距離が開くというアホな展開になってしまった。本末転倒どころの話ではない。

もっと直接的な言い方をしてしまうと、ボクは最後まで関東という土地に慣れることはなかった。元々が西日本の人なのだ。おまけに若い時に行うべきであったろう、関東移住の機会をものの見事にスルーした。理由はいくらでも後付けできるが、要は東日本が怖かったのだ。

この辺は東日本出身・在住の皆様には大変失礼だとは思うのだが、とにかく自分本位で考えるとそうとしか思えない。逆に関西や西日本が怖い人がいても不思議ではないとも思う。

実際、大学に入学した当時は、関西弁が怖くてしかたなかったのだ。それでも京都に留まり続けたのは若さのなせる業だと思う。結果、はぐれながらも京都で日々を過ごしてきた。

京都が「余所者には厳しいけど学生には優しい」という風土をもっていたのも、留まる理由の一つだったのかもしれない。だから「はぐれ」でありながらも、「余所者」という距離感をボクは今も持ち続けている。

だが東京となると、もうワケが分からないのだ。まず東京の下町が怖い。いい人が大勢いるのは知っていますが、それでも怖いもんは怖い。繁華街はもう戦場であり、気を抜けるところなどほとんどない。

阿佐ヶ谷のライブハウスは数少ない気が抜ける場所だったのだが、結局そこだけである。極端な緊張(東小金井)から極端な弛緩(辻堂)と、加減の無さをモロに露呈したのも必然だったのだろう。

心身共に限界を超えていたのだ。ボクの健康状態と反比例するように、母の膝の具合は良くなっていった。妹もついている。そろそろ京都へ戻ろうと思った。

「東山を越えたらもうあかんなぁ」と思い始めたのは、関東に行って一年もしないうちだっただろう。時代錯誤な価値観に映るかもしれないが、これはボクの生活習慣とか環境に対する耐性の問題であって決して必要以上に京都を賛美しているわけではないし、関東を不当に貶めるつもりも到底ない。

むしろ京都は、時代の流れに翻弄されて一地方都市へと転落していっているようにボクの目には映るのだ。それでもやはり京都へ帰ることを決意した。

今現在、伏見という新しい(?)場所で、いまこのような駄文をダラダラ書き連ねることが出来るようになるところまでは回復した。近くの宇治川でサックスの練習も再開した。

あまりに弱り切った身体のリハビリのために、軽い筋トレとストレッチは欠かせない。幸いこっちはすぐに効果が現れてかなり回復した。サックスとの合わせ技だが、筋肉と関節と骨だけは元々丈夫に出来ているのだ。内臓は知らん。

まだetudeには手をつけていないが、お仕事で描く絵の線に力が戻ってきているのは実感している。etudeに手をつけていない理由は、一度に色々なことを始めて、またおかしくなるのが怖いからだ。

etudeを最後にしたのは、やはり無理をしたくないからである。人生の軸になっているのが絵だ。下手に手を出して、これ以上取り返しのつかないことにはしたくない。幸い「呱呱プロジェクト」で大阪にでる機会も増えそうで「思いついたら即実行」のボクが、ブレーキをかけるのを手助けしてくれる形になっている。

関東での最大の成果は、今年出たにゃんこの本の装画と挿絵を描かせてもらったことだ。かわいいは悲願だったのでめちゃめちゃ嬉しい。こっち方面で更に新しい展開があることを心から願っている。

【フジワラヨウコウ/森山由海/藤原ヨウコウ】
YowKow Fujiwara/yoShimi moriyama
http://yowkow-yoshimi.tumblr.com/

http://blog.livedoor.jp/yowkow_yoshimi/


装画・挿絵で口に糊するエカキ。お仕事常時募集中。というか、くれっ!


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編集後記(09/20)

●嵐山光三郎「老いてますます明るい不良」(新講社、2016)を読む。嵐山氏はわたしの尊敬する不良で、この人の本はだいたい読んできた。2014年の「年をとったら驚いた!」では、毒気も薄れた単なる老人の感想文になっていたのに少しがっかりして、この度の本ではその再確認になった。週刊朝日連載のコラム「コンセント抜いたか!」(まだやっていたのか、このヘタレなタイトルで)を加筆修正し、書き下ろしを加えたという。1997年の「不良中年は楽しい」では大いに感動し勝手に師事したものだが、最近はただの寄せ集めエッセイ集に成り下がった。まあエラそーに言わないから、まだ五木寛之よりベター。

年をとっていきなり過激な不良老人になるのは身体によくないので、のんびりと、明るく、ほがらかにグレていくのがいいのだという。「谷崎と荷風に共通する不良性は、確信に裏付けされた意志に貫かれていますが、共通するのは明るいことです。反骨であることを自覚してニコニコと笑っている、内向して屈折していない。堂々として機嫌がいい」(やれやれ、「共通」をダブって使ってますよ)。やりたい放題したから機嫌がいいのであって、普通の人が彼らのようなグレ方はできないが、とにかく機嫌のいい人のところに人は集まる。無節操に機嫌のいい老人が近所にいるが、なりたいような、なりたくないような。

嵐山氏は「七転び八起き」の意味がわからないという。度重なる失敗に屈せず奮起するということのたとえだが、七回転んだら七回しか起きられない。どうしたら八回起きることができるのか。確かにそういえばそうだ。たぶん、連載の次の回で謎解きが掲載されたと思う。それは「最初に転んだ状態にある」ということ。立っている状態から考えるから数が合わない。まず、勝負に負けて転んでいる。起きて、転び、を七回繰り返せば、七起き七転び。そこに最後に一回起きると「七転び八起き」になる。なるほど、算数に弱いわたしにも納得だ。得意になって妻に講釈すると、くだらない、バカみたいと一蹴された。

年をとると自分の家の電話番号を忘れる。ところが、我が家が訳あって電話番号を変更したとき、電話会社から提示された番号候補のなかに、奇跡的にわたしの誕生日と生まれた時刻が連なった数字があった。それが得られたため、電話番号だけはきっちり刷り込まれ、思い出そうとしなくてもスラスラ出てくるのだ。知人の顔を忘れるのは、ぼけたせいでなく、覚えておく必要がないために忘れるのだという嵐山説は、都合がいいから正しいと思う。でも、市役所での会議やマンションの理事会で話合った人たちの顔と名前を、セットにして思い出せないという症状は、非常にまずいのね〜と痛感している。(柴田)

嵐山光三郎「老いてますます明るい不良」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860815432/dgcrcom-22/



●アメージングモデルエキスポ続き。10時過ぎの入場時にもらったタイムスケジュールを見ると、石破茂、松本零士各氏のトークイベントは14時から。

一時間もあったら帰れるだろうと思っていた。マイドーム大阪1Fを使っているだけで、こぢんまりとしている印象。昼食をとり、気がつくと13時を過ぎていて、どうせならトークイベントを見ようかなという気に。

コンテスト作品を見られるのは面白かった。初心者から超上級者までジャンルは様々(萌え系は少ない)。いろんな人のブログに画像ががっつり上がっていたので興味ある人はそちらをどうぞ。

エアロビクスのインストラクターさん。キン肉マンのファンということで一度お話をしたことがあった。プロレスのマスクを作り、メキシコ(ルチャ)からの受注なんかもされている。
彼がプロレスマスクのブースを出展していたので、応援用マスクのくじ引き(1,000円)をしてきた。私が当たったのはカリスティコ(初代ミスティコ)のもの。ハロウィンの日にかぶってみようかな……。 (hammer.mule)

会場図
http://amazing-model-expo.tumblr.com/image/148744284146


カオスすぎるフィギュアの祭典「AME」に潜入! 圧巻の造形力に脱帽
https://gunosy.com/articles/a6b2J


アメイジングモデルエキスポ2016に行ってきた!!
http://blog.livedoor.jp/jef_godzilla/archives/1060188524.html


セミプロマスクが!(エアロビ仮面のブログ)
http://blogs.yahoo.co.jp/decorman444/17611480.html


物を売ることが!(エアロビ仮面のブログ)
http://blogs.yahoo.co.jp/decorman444/17614194.html


「このイベントの出店者のプロレスのマスク職人で……」
http://blogs.yahoo.co.jp/ivanraitei/14444869.html


カリスティコ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B3