[4284] 卒業の時

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《今思えばどこが「フランス」なのかよくわからない》

■装飾山イバラ道[194]
 雛まつりとフランス人形
 武田瑛夢

■crossroads[45]
 卒業の時
 若林健一





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■装飾山イバラ道[194]
雛まつりとフランス人形

武田瑛夢
https://bn.dgcr.com/archives/20170214140200.html

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節分の日の朝、夫に起こされた。「鬼は外!」などと言いながら、私に豆の小袋をぶつけている。

まだ目が覚めていなかったので、「なんだー?」っと思っていると、私の手にも豆の小袋が握らされていた。一方的に攻めると、私が怒って恐ろしいことになると思ったので、まずは私にも豆の袋を握らせたそうだ。

別に私は鬼嫁ではないつもりだけれど、それは確かに怒るかもね。今年も節分用の煎り大豆の小袋タイプは買っておいたけれど、奇襲攻撃とは思っていなかったので迂闊だった。

本来は家の内と外に豆をまきながら福を呼び込むもののはずが、うちではこのように相手にぶつけている。雪合戦ならぬ豆合戦。そういう人も多いと思う。

次の行事はバレンタインデーと雛まつりかな。雛まつりというと女の子の節句だから良い思い出がありそうなのに特にない。女姉妹の家なのにね。

●昭和の人形

うちには雛人形はなく、小学校の頃買ってもらった「フランス人形」がある。大きなガラスケース入りで、模様替えや断捨離で捨てられそうな危機を何度も乗り越えて、まだ実家にあるのだ。

カールした金髪で、黒いベルベットのロングドレスの立ち姿の人形だ。おそらく母の趣味で、雛人形ではなく、当時流行っていたフランス人形を買ったのだと思う。

昭和の家にはどこでも置いてあった人形といえば、他に「起き上がり小法師の赤ちゃん人形」も懐かしい。さすがにもうこれはうちにはないけれど、画像検索してあの丸いフォルムを久しぶりに見た。

「フランス人形」で検索すると、本格的なフランスの人形が出てきてしまって怖いので、「フランス人形 昭和」で検索すると、レトロで懐かしいタイプの人形が見られる。

今思えばどこが「フランス」なのかよくわからないけれど、きっと「フランス」という響きに憧れた世代の人形なのだと思う。

画像検索で画面を人形で埋め尽くしてみると、ありとあらゆるバージョンのフランス人形があったのだとわかる。メイクも髪型もドレスもバッチリ決めて気取っていて、どの子も大好きだ。

しかし、うちにあるのは友達の家にあるようなピンクや黄色のヒラヒラドレスのフランス人形ではなく、黒のベルベット。そういえば、趣味に合うような人形を相当こだわって探していた母を思い出す。

ガラスの人形ケースって割れそうで繊細だけれど、このケースのおかげか汚れることなく、中の人形は今でも綺麗だ。画像検索で出てくる人形たちも、古いわりに綺麗だけれど激安で売られていたりして、哀愁を感じてしまう。

実家にあるこの人形ほど、私たちの暮らしをじっと見続けててきたものは他にはない気がする。美術系で受験をすることになった時も、絵のモチーフとして描いた記憶がある。

もはや捨てるつもりもない。もしうちのマンションに移動させることになったら、壁掛けケースでも特注して省スペースに飾ろうかなと思っている。

●ハマグリのお吸い物

雛まつりにはハマグリのお吸い物を作る。このシーズンは、魚屋さんでも良いものが必ず入荷しているので作りたくなる。しかし、いつものアサリと違って、ハマグリは高い。しかも殻が重たいので、グラム売りの場合は相当重さのことを考慮に入れておかないといけない。

魚屋さんに聞いてみればいいのだけれど、聞いた以上は買わないと悪い気がする。今までの感じだと、魚屋さんは値段を聞くとすぐに、生簀からビニール袋にハマグリを入れ始めてるし(作戦?)、思ってた以上に高い買い物になることばかりだった。今年こそ買いすぎないようにしたい。

理想は一人あたりに二つになるように買って、開いた一個の貝殻に二つ分の身を入れる盛り付けだ。

この料理番組で見る雛まつりっぽい盛り付けは、大きいハマグリでないとサマにならない。それでもハマグリの白く濁った出汁とミツバの味は素晴らしくて、高いのも納得するしかないんだよな。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/


人形の話とは私には珍しくなかなか女性っぽいけれど、今年の雛まつりはゼルダのゲームが届く日だ(笑)。ゲームというと男の子っぽいし、雛まつりとは真逆のイメージ。でも違うのです。ゼルダってゼルダ姫を救うゲームなので、雛まつりには合っていると思う(笑)。ゲームの主人公はリンクという男子で、今回の設定だとちょうどかっこいい青年風。とにかく、雛まつりの日に無事にゼルダが始められるといいなと思う。


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■crossroads[45]
卒業の時

若林健一
https://bn.dgcr.com/archives/20170214140100.html

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こんにちは、若林です。

今年は久しぶりに海外にも行ってみたい、ということで長らくやってなかった英語を再開しているのですが、友人にこんなアプリ(サービス)があるというのを教えてもらいました。

HiNative
https://hinative.com/ja


自分が習得したい言語のネイティブの人に、「こういう時はなんていえばいいの?」「この文章って変じゃない?」といった質問ができる、言語学習ソーシャルネットワークです。

自分の母国語もしくは得意な言語と、自分が習得したい言語を登録し、質問したり他の国の人の質問に答えたりしながら、外国語のスキルを上げられるというもの。

私も自分の英語学習にと登録したのですが、海外の人の日本語に対する質問に答えるのが楽しくて、答える方ばかりをやってしまっています。

それぞれが自分の知識を出し合って、全体がよくなっていくというのが、オープンソース的で素敵だなと思います。日本の会社が運営しているのですが、あまりやってるという人を見かけないので、もっと広まって欲しいし継続して欲しいと思うサービスなので、知らなかったという方、ぜひお試しください。

●大人にとっての卒業とは

年が明けて受験が始まり、2月に入ってあちらこちらで「サクラサク」の声を聞く時期になりました。「あぁ、あの子はもうそんな年になったのか」と、あらためて年月の速さを感じる時期でもあります。

日ごろ子供たちと接していると、子供たちには日々変化がやってきているなということを感じます。新しい体験に出会い、新しい自分に出会った時が今までの自分からの卒業であり、次のステージへの一歩。

そこに明確な境目はなく、連続的にやってきます。生まれたばかりの赤ん坊をイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。昨日まで寝返りのできなかった子がある日突然できるようになり、寝返りできずにもがいていたのは既に過去のものです。

でも、大人になると違います。「卒業」は自分で決めなければなりません。誰も卒業を言い渡してはくれませんし、子供の頃のように自然なステップアップは少なくなっていきます。

いつ、何を、卒業するのかしないのか、全部自分で決めなければならない。年を重ねるごとに、そのことが難しくなっていることを、最近特に感じます。

「いつまでもこれでいいのか」と自問しながらも、日々の忙しさを理由に毎日を過ごしているだけで、いつまでも経っても同じままの自分がいる。

次のステップに進むための努力を、今と分かれるための決断をしなければならない。若い時と同じことを続けていてはいけない。

過去の栄光に浸っていては時代遅れになる。分かってはいるけれど、もっともらしい理由をつけては先延ばしにしてしまっている。

今やっていることの目標を決め、自分を評価して次のステップに進まなければならないとは思いつつも、自分の判断を周りの人はどう思うだろうか? 自己満足に陥ってはいないだろうか? 今の仕事は自分が負うべき役割ではないのだろうか? これをやめてしまうことは、仕事を投げ出してしまうことにはならないだろうか? ということが気になってしまう。

年を重ねるということは、こんなに大変なことなのか、あれこれ悩んでいる自分から卒業したいと思う今日この頃です。

「四十にして惑わず、五十にして天命を知る」といいますが、12月に五十を迎える今年、僕は天命を知ることはできるのだろうか?


【若林健一 / kwaka1208】

http://kwaka1208.net/aboutme/

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編集後記(02/14)

●齋藤充功「小野田寛郎は29年間、ルバング島で何をしていたのか」を、図書館の棚で発見した(2015、学研パブリッシング)。ストレートなタイトルには惹かれるが、あの「ムー」の学研グループである。変な予感も(笑)。なにしろ筆者は、小野田さんに「ルバング島のことで今まで、誰にも話していないことがあるんだ……」と言われたそうだが、取材は一度も成功していないのである。そこで周辺取材と、二次資料(怪しげなものもある)を用いて理論(想像)を展開している。前半でもういいやと思ったが。後半のフィリピンの金塊、GOLDWARRIORS、マル福金貨といった金貨のラビリンスは迷走か瞑想か妄想か。

戦後約30年もの間、ルバング島のジャングルに潜み「残留諜者」として最後は三人の部下とも死別(一人は投降)しながらも、救出されるまでの一年余をたったひとりで闘い「命令を守り抜いた」小野田は、「帝国陸軍最後の軍人」であり「現代の英雄」と称えられた。1954年以降、捜索隊は三度もルバング島に訪れているが、小野田の発見には至らなかった。ところが、1974年2月20日、当時24歳の自称・冒険家の謎の青年・鈴木紀夫が小野田との接触に成功。3月9日、小野田に任務の「命令解除」を伝達するため救出隊が島を訪れ、日本への帰国が実現する。絵に描いたように完璧な「英雄誕生」の経過であった。

小野田救出劇、その後のフィリピンと日本政府の対応、一連のセレモニーや帰国後の小野田フィーバーには、綿密に練り上げられたシナリオがあったのではないか。鈴木という自称冒険家に密かに接触し、小野田救出のため最大限利用した黒幕が存在していたのではないか。無名の青年を利用することによって、救出劇をよりドラマティックに演出できた。鈴木の行動にまつわる謎の数々は、背後にフィリピン軍の関係者や日本政府関係者、そして黒幕の介在があったとすれば。小野田発見からあとのなにもかも、驚くべき手回しの良さは、水面下で綿密な打ち合わせがあったと考えたほうが、その多くが納得できる。

筆者の結論。「小野田の任務とは何だったのか。それは『軍によって隠された軍資金』を守ることだったのではないか。そして、その軍資金とは『マル福金貨』と呼ばれるゴールド・コインだったのではないか」「小野田の実像は残留諜者としての任務を全うした、命令に忠実な、紛うことなき『帝国軍人』であった。(略)と同時に、フィリピンの金塊という『亡霊』に自らの人生を翻弄された、悲劇の軍人だったのではないかと思う」。救出+英雄化劇にディレクター(黒幕)がいた説には同意したいが、フィリピンの金塊説はナントモ。筆者の、小野田さんに対する敬意はないに等しい記述が不快でもある。 (柴田)

齋藤充功「小野田寛郎は29年間、ルバング島で何をしていたのか」
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4054062725/dgcrcom-22/



●恒例の「サラリーマン川柳」の入選作が発表された。100句の中から一位を選ぶ投票は3/17まで。

「新人は ペンを取らずに 写メを撮る」
いや、新人ではないけど撮る……。ペンでのメモもするけど間違いが防げる。

「オレのボス ヤフーでググれと 無理を言う」
聞いたことあるわ。ググるを知ってるだけステキよ。

「『誰の指示?』 数分前の 貴方です」
「『言ったよね?』 初めて聞いた でも言えず」
「効率化 提案するため 日々残業」
「会議する 準備のために また会議」
「俺よりも 先に辞めるな 後任者」
「残業は するなこれだけ やっておけ」
「『ちょっといい』 上司手招き ちょっと嫌」
あるあるすぎる。

「丸投げと バトン渡しは 五輪級」
「我が課長 丸投げだけは 金メダル」
かぶってる。他にも似たようなのはあった。上司や部下ネタは多いなぁ。

「記憶力 ないから楽し 再放送」
「久しぶり! 聞くに聞けない 君の名は」
わかる。
「ものわすれ ふせぐサプリを 飲み忘れ」
たぶんこうなるのよね。

「ポケモンで 希望者増えた 外回り」
あっ!
「待ち合わせ ポケモンよりも 俺探せ!!」
あっ……。
「ジョギングの 振りして探す モンスター」
ああっ……!

「痩せる器具 買ってもすぐに オブジェ化す」
「やせ我慢 いつもしてるが 痩せられず」
「情熱と 一緒に燃えろ 皮下脂肪」
そうなのよ。

「いくつまで 女子会プラン 使えます?」
ですよねぇ……。

                            (hammer.mule)

サラリーマン川柳
http://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/