クリエイター手抜きプロジェクト[512]VR編 20メートル歩くだけでVR酔い
── 古籏一浩 ──

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今回は、VR(バーチャルリアリティ)です。VRといっても、CGで作成されるものもあれば写真・動画もあります。ここでは360度全球写真・動画を撮影してみて思ったことを書きます。

VRはやったことがないので、とりあえず手軽に製作体験してみようということで、以下のカメラを購入しました。

・INSTA 360 nano
https://www.insta360.com/product/insta360-nano/





360度写真・動画が撮影できるカメラとしてはリコーのTHETAが有名です。

・THETA
https://theta360.com/ja/


画質もTHETAの方がよいのですが、4K動画が撮影できる新しいモデルが秋にも発売されるみたいなので購入は見送りました。(期待してます)

本命はTHETA 4Kモデルなのですが、今回は練習ということで高速でiPhoneと連携でき、すぐにVR体験できるINSTA 360 nanoを選択しました。INSTA 360だと8Kモデルもありますが、さすがに高いので買えません。

・INSTA 360 pro
https://www.insta360.com/product/insta360-pro


とりあえず、INSTA 360 nanoをiPhone 6に取り付けてVR撮影をしてみました。自分のページでVRビューアーを用意するのは面倒なので、素材サイトにアップロードしてあります。ちなみにFacebookでも360度VR写真を扱えます。

・長野県鉢伏山(見晴らし台。遠くに見えるのが美ヶ原高原)
http://www.motionelements.com/ja/stock-video-10610194-hachibuseyama-20170721-0019


・長野県鉢伏山(展望台。八ヶ岳・富士山〜北アルプスが一望できます)
http://www.motionelements.com/ja/stock-video-10610365-hachibuseyama-20170721-0059


・長野県鉢伏山(登山道)
http://www.motionelements.com/ja/stock-video-10610187-hachibuseyama-20170721-0014


素材サイトの関係で、2Kまで解像度を落とさないと表示できないので、撮影時の解像度の2/3となってます(3Kから2K)。いずれのVR写真を見ても「解像度が足りてない」と思う人が多いのではないでしょうか。

VR絡みの記事で、解像度が不足しているというのは読んだことがありますが、実際に撮影して体験してみると実感できます。確かに解像度が足りていません。

今回使用したINSTA 360 nanoは3K(3072 px)の解像度があります。アマゾンのレビューでは、3Kもあるのに粗いみたいなのがありましたが、3K程度では足りないということです。調べてみると人間の視野角は120度程度。

・視野
https://ja.wikipedia.org/wiki/視野


3Kの解像度というのは360度全体を示すので、実際に見える範囲は横のピクセル数であれば3K(3072px)÷3=1K(1024px)の解像度しかありません(3の数値は360度÷視野角120度です)。フルハイビジョンの解像度の半分です。

さらに、INSTA 360 nanoやGoogleのCardboardなど、箱からのぞき見て体験する場合には、半分程度の解像度になります。1024pxの半分だと512pxです。これはアナログテレビ(NTSC:横は約640 px)よりも、若干少ない程度の解像度です。

・Google Cardboard
https://vr.google.com/intl/ja_jp/cardboard/


さすがに512ピクセルしかないと粗く見えます。それでも、箱の中にはブラウザでのVRビューアーとは違う、リアリティある世界が広がっています。

視差のせいかなとも思いますが、これで解像度が高く完全に外からの光をシャットアウトしてしまえば、かなりの臨場感を体験できそうです。Oculas Riftあたりなら、かなりいい感じになりそうな気はします。(昔のOculasしか知らないので今のがどのくらいよくなっているかは分かりません)

・Oculas RIft
https://www.oculus.com/rift/


120度の視野にフルハイビジョン並の画像を出すなら、2K×3=6Kの解像度が必要になります。4Kではギリギリといったところなのでしょう。となると、最低でも8Kの解像度がないと、よりリアリティある画像・動画にはならないのかもしれません。

INTSA 360 nanoは勉強用に使うには便利です。一式揃っているのと、撮影してすぐにiPhoneで確認できるからです。購入時の箱がなくても、裸眼立体視でも確認できます。

さて、撮影してみると4K動画の撮影とは違い撮影条件が厳しい……。なんといっても、撮影者が映ってしまいます。撮影者を排除するためには、以下の方法があります。

(1)撮影時にロゴや黒い画像で撮影者を見えなくしてしまう
(2)後で画像加工して消す

(1)の方法はカメラ側で設定できます。(2)を行うことができるなら、ロゴなどで隠さずに、撮影者も映り込んだままにした方が後処理が楽です。
(2)の後加工の方法は以下の手順になります。(エクイレクタングラー形式の場合)

[1] 撮影した写真を上下反転
[2] フィルタ>変形>極座標 直交座標を極座標に
[3] 撮影者を消す
[4] フィルタ>変形>極座標 極座標を直交座標に
[5] 撮影した写真を上下反転

このようにすると、画像中央に撮影者が映っているので、撮影者をなげなわツールなどで囲んで「コンテンツに応じた塗り潰し」を行います。もしくは、スポット修復ブラシを使って消します。

この時、手早く処理するためには、撮影者の周辺が同じ地面(砂利やアスファルト)であれば一発です。逆に、後処理を考えると足下とその周辺は、同じ模様になるようなところで撮影した方がよいということになります。

また、何時頃に撮影するかというタイミングもあります。一番よいのは太陽が真上にある時です。撮影者の影も一緒に消すことができるからです。朝や夕方では撮影者の影が伸びてしまうので、その部分も消さなければいけません。

さらに、INSTA 360では二つのレンズを使っています。一枚のレンズで撮影しているのではないので、重ね合わせる際にどうしても色味が変わってしまいます。レンズ特性もあるので仕方ないのですが。太陽が真上にある場合は、割と回避できるような感じはあります。

写真・動画のVRだと処理の関係で真上と真下が、どうしても実際とは違うものになってしまいます(ここらへんはCGの方がいい)。以下のVR写真で足下を見れば、真下がつぼんだ感じになっているのがわかります。

http://www.motionelements.com/ja/stock-video-10610187-hachibuseyama-20170721-0014


太陽が真上にある状態、雲で空が覆い隠されている場合などは、うまいことに違和感がある部分が見えなくなります。足下は仕方ありませんが、それでも単色の床のように、一様であれば目立ちません。

次に困るのが、映り込む人間や車などです。他人が映り込んだ場合、顔などにぼかしを入れておく必要があります。車のナンバーなども同様です。

こうなると、誰もいないところ(もしくは人が来ない時間)を狙って撮影することになります。もちろん、人が写り込んでも問題なければ構いませんが。

VR動画の場合は有名なVR酔いが発生することがあります。

https://framesynthesis.jp/tech/motionsickness/


実際に歩きながらVR動画を撮影してみると……酔います……。特にCG系とは違う、視点の高さによる部分もありそうです。VR動画撮影は自分の視点よりも高いことがあり、これがVR酔いの原因のひとつかもしれません。

肩車されて足下がふらついている感じ、と言えばわかるでしょうか。20m歩くだけの動画でも、軽いVR酔いっぽくなります。視点が高く水平をとれないからでしょうけど、かなり早い段階で酔ってしまいます。

CGならプログラムでどうにかできるのでしょうけど、実写ではかなり難しい気がします。

カメラに専用スタビライザーをつけて、とにかく水平を保って視点を高くせずに撮影し、さらに人物など権利が発生するようなものを映さないように……なおかつ、自分がどこかに隠れる場所が必要……と考えると、VR動画撮影はなかなか厳しそうです。

それでも、VRは面白いので、THETAの新しいモデルが出たら再チャレンジしてみたいところです。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


しかし、お金がないのでTHETA 4K買えないかも…… そうだ、困った時はNHKのAIひろしに聞いてみよう!

・NHKスペシャル「AIに聞いてみたどうすんのよ!?ニッポン」
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586960/index.html


・Raspberry Piを楽しもう
http://www.openspc2.org/reibun/RaspberryPI/


・InDesign JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/InDesignCS6/ref/


・みんなのIchigoLatte入門 JavaScriptで楽しむゲーム作りと電子工作
https://www.amazon.co.jp/dp/4865940936

[正誤表]
http://www.openspc2.org/book/error/ichigoLatte/


・After Effects自動化サンプルプログラム 上巻、下巻
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397591

https://www.amazon.co.jp/dp/4844397605


・IchigoLatteでIoT体験
https://www.amazon.co.jp/dp/B06X3X1CHP

http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/218591


・みんなのIchigoJam入門 BASICで楽しむゲーム作りと電子工作
http://www.amazon.co.jp/dp/4865940332/


・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/


・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/


・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/