[4485] ルーブリック・言語は思考を変える

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《2018年はちゃんとやろう!》

■ユーレカの日々[64]
 ルーブリック・言語は思考を変える
 まつむらまきお

■グラフィック薄氷大魔王[549]
 「クリッピングマスク使えた!」他、小ネタ集
 吉井 宏



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■ユーレカの日々[64]
ルーブリック・言語は思考を変える

まつむらまきお
https://bn.dgcr.com/archives/20180110110200.html

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<著者のご意向により削除いたしました>


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■グラフィック薄氷大魔王[549]
「クリッピングマスク使えた!」他、小ネタ集

吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20180110110100.html

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●ワコムさんの正式回答

『ペンタブレットの替え芯に「パスタ」や「爪楊枝」 ワコムさんにリスクを聞いてみた』http://otakei.otakuma.net/archives/2017122105.html


↑だそうです。ペンは比較的壊れやすい消耗品と考えれば、何でも試して合うものを見つければいいと思う。直径1.7mmなら樹脂でも金属でも。

僕も金属芯は何本か手に入れて、ときたま使ってる。パスタや爪楊枝は取れ出せなくなるキケンはあるけど、知った上でやるならどうぞw

パスタは1.7mmのものを使うんだろうけど、湿度で太くなったり細くなったりするかも。抜けなくなったりスコスコだったりw ダニが発生するって話はネタかなあ……。

そういえば、液タブ上でペンの摩擦をできるだけ上げようと、先端をヤスリで削って鋭く尖らせたことがある。芯抜きが引っかからず、抜けないのは盲点だった! ハサミで注意深く挟んで抜いたのだった。

考えたら、芯の横にカッターかヤスリで凹みを作っておけば、爪で抜けて便利かも。

摩擦調整に敷くものは、基本的に1992年からLIONカッティングマット。裏側が最高。ただし、新品は摩擦が大きすぎて描きにくい。しばらく使ってると最適な摩擦になる。早くエージング(?)するために、金属の棒で表面をこすったりもする。

しばらく使ってると滑らかになりすぎるので、粗いサンドペーパーでガリガリに毛羽立ててみたことあるけど、具合良くなかった。テカった表面だけ削れば元の感触に戻るかと中目で削ってみたが、今度はスルスルすぎてダメだった。

まあ、これもどんどん新調すればいい。90cmくらいの大きなカッティングマットを買って必要なサイズに切って使ってる。

ただ、最近は描画面に直接描くのも悪くないと感じてて、たまにカッティングマットを外して描いてる。摩擦がないとペンを動かすのに力を入れなくてよく、細かい部分が描きやすくて新鮮だったりする。

Intuos Proの換えシートはスムーズを使用。粗いのは黒板を引っ掻くような摩擦で気持ち悪い。

●クリッピングマスク使えた!

Adobe Illustratorのクリッピングマスクの使い方を初めて理解したぞ〜〜〜!
http://www.yoshii.com/dgcr/clippingmask

Illustratorを使い始めて四半世紀、クリッピングマスクはなんかめんどくさいし思い通りにならないからと、ずっと避けてた。なあんだ、一番上のオブジェクトがクリッピングマスクになり、切り抜き範囲内に入れたいものはその下に入れるだけだったのか〜〜。

今まで、どうしてもクリッピングマスク的に切り抜きたいものは、手動で切ったりパスファインダーで抜いてた。今回、キャラクターの服に模様を入れようと、しかたなくクリッピングマスクをいじったら、意外に簡単に出来ちゃった。

AIはいやいや使ってるから、機能とか探索しなくて知らずに来ちゃう。

●Illustrator表示の崩れ

上のクリッピングファイルのAIファイルの表示がおかしい。ズームに応じて動的に崩れる(右図)。http://www.yoshii.com/dgcr/AI_GPU

MacBook Pro 13で作業してたのだが、もしかして! と環境設定の「GPUパフォーマンス」をオフにしてみたら正常に表示された。

先日のPhotoshopと同じく、GPUがないマシンでGPUを使う設定だと不具合出るんだ。やっぱGPUって大切なのね……。

●Thunderbolt3接続の外付けGPU

MacBook Pro 13とLGの21インチ4Kディスプレイの組み合わせは最高の使い勝手なんだけど、表示が重いことがある。

MBP13含めGPU無し(というかインテルプロセッサ内蔵GPU)のパソコンは何台も使ってきたけど、3DCGでも重いと感じたことはなかったのでGPUに興味わかなかった(ただし、表示が重いと感じるのは主にPhotoshopだけど)。

Thunderbolt3接続の外付けGPUが話題になってたのは知ってるけど、秋葉館のサイトを見たらすでにいろいろ出てるのね。GPU込みでもずいぶん安い。
http://www.akibakan.com/thunderbolt/thunderbolt-egpu/


ただ、ディスプレイの電源を使いケーブル一本で繋がってる究極のシンプル接続が、こんなボックスつけたらケーブルうじゃうじゃになって、台なしになるのは明らかだがw

先日も書いたけど、3DCGやPhotoshopそのものの作業ではなく、4K表示自体が重いのは確認済み。なので、GPU追加は有効なはず。でもまあ、シンプル構成を壊すのはもったいない。来年にでも15インチMBPを新調してLG4Kに繋ぐほうが現実的かな。

調べたら、MacBook Pro 13に搭載の内蔵GPU「Intel Iris 550」ってそこそこ性能いいらしい。「ローエンドGPU並み」だそう。いくつかのグラフでも飛び抜けた性能、GeForce 940MXを凌駕してるグラフもある。それでも4Kで重いのは確かなんだから気休めにならないけどwhttp://chimolog.co/2017/11/bto-intel-gpu.html


あ、AppleがGPU内蔵のディスプレイを出すって話もあったな。
次期Mac Proといっしょに出てくる?


【吉井 宏/イラストレーター】
HP http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/


ニュースなんかで「年末年始10連休の方もいらっしゃると思いますが」と聞いて「そんなやついねえよ!」とか言ってたけど、身近に10連休の人がいることが判明。しっかりした会社だったり、業種によってはそれほど珍しくもないらしい……。

まあ、僕なんかきつい締切がないかぎり、毎日が日曜日というか週休7日だけどねw

で、僕的にもクリスマス以降は10連休に匹敵する長さで、比較的自由な時間をゆったり過ごせるはずだったのだが、イマイチそういう気分でもない。

世間が休みの間に、誰も追いつけない遙か彼方へ到達してやろうと、計画を立てたり、延び延びになってる件に着手したのに、休みが終わってみると大した成果は上がってない。毎年こうだw

昨年はなんか年始の決意とか目標って書いたっけ? 2017年1月10日号には特に書いてなかった。2006年分まで確認してみたけど具体的には何も書いてないやw 2017年前半のバタバタに紛れてすっかり忘れてたいろいろを、2018年はちゃんとやろう! くらいかな。

・スワロフスキー干支モチーフの「ZODIAC」
https://www.fashion-press.net/news/33277


・スワロフスキーのLovlotsシリーズ「Hoot the Owl」
http://bit.ly/2ruVM9x


・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500


・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii



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編集後記(01/10)

●短編でよかった。こういう純文学とやらがかなり苦手だ。一番近い(徒歩で5分)図書館の棚にあった「文藝春秋」9月号、特集は「安倍総理でいいのか」である。いつの間にかこの雑誌は、極端に左旋回してとんでもない偏向特集ばかりなので、全然読まなくなったのだが、芥川賞発表だからそこだけ読んだ。

沼田真佑「影裏」。語り手の主人公(今野)は、二年前に盛岡市に赴任した、釣り好きの30代前半男性。二年前に別れた同性の恋人がいる。感情の起伏が抑えめなのがよい。かなりマイナスともいえる事態に淡々と対応している。というか、そのへんに踏み込まない。同僚の日浅とは同性・同世代で独身同士、共に酒好きで釣り好き。すぐに親密になって、余暇の殆どを連れ立って過ごす。

「同性の恋人」という時点で、そういう人なのかと思うが、この物語では深い記述はない。全体に曖昧で、リアル感がないのだが、それはそれなりの味がある。「そもそもこの日浅という男は、それがどういう種類のものごとであれ、何か大きなものの崩壊に脆く感動しやすくできていた」という記述が重なる。

日常生活に見聞きする喪失の諸形態に、日浅はすんなり反応し、いちいち感じ入る。大規模な林野火災など強い反応を示す。ここまでの記述から、きっとあの大震災が出てくる、そう予想するのは容易である。果たして、休みをとってわざわざ釜石まで出かけ、あの時刻にあの海岸で、日浅は迫り来る大津波を見ながら動けずに立ち尽くす。この神の目線の記述が妙だが、まあいいでしょう。

「釣に興味がない人が途中で読むのをやめないように、迫力というか、ちょっと丁寧に描いた」という釣のシーンは、釣にまったく興味のないわたしでも理解できる。性的マイノリティのことをさらりと書くのは、「別に異常なことじゃないよ」と言いたいだけだという。違和感あるけど、まあいいでしょう。

大震災から三か月後、主人公は日浅の実家を訪ね、日浅を行方不明者のリストに載せるよう、父親を説得しようとする。ところが、父親は「あのばか者のためにどなたの手も、わたしは煩わせる気は起こらんですよ」と激しく拒否する。彼は次男とは縁を切ったと言う。信じる者を裏切った、そんな不実なあの男を、真っ当な生活者の方々と同じリストに載せるなんておこがましい、と言う。

聞けば日浅は親も騙した大嘘つきだといい、証拠も見せる。日浅の釣りのスタイルや自然に関する知識の豊富さから、岩手でただ一人心を許せる友人だと思っていた(と思い込んでいた)主人公は驚くのだが、父親は「息子なら死んではいません」「何らかの事件であの男の名前は新聞に出ますよ」と断言する。

なにもかも曖昧なまま物語は終わる。タイトル「影裏」は禅の世界の言葉「春風影裏春風を斬る」という言葉に由来するというが、その詳しい説明はない。主人公の他者との微妙な距離の取り方は筆者そのものらしい。まわりくどい、そのくせ曖昧、さすがは純文学である。断じてエンタメではない。(柴田)

沼田真佑「影裏」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163907289/dgcrcom-22/



●ルーブリックすごい。「手間かけなくていいから」の度合いも、人によって曖昧だが、具体的に段階が提示できるなら想像しやすい。

だいたい依頼する側は、それとは言わずに「叩き台作ってね」なことが多い。依頼側に想定イメージがないので、絞り込むための具体的な質問をしたって正しい回答なんて返ってこない。後からひっくり返されたり、追加されたり。

回答やもらったラフとは違うけど、こっちの方が良さげよねと提案した方が通ったり。何回かやり取りするからと見積に上乗せしておいたら、高いと言われて断られることも多々。でも実際そのぐらいはかかるのよ〜。

担当者と決裁権のある人、代理店担当者とのズレもある。代理店で蹴られたアイデアが決裁者に受け入れられることだってあって、「それ、最初に入れておきましたよね……」という言葉を飲み込む。

制作する上で、知っておきたい情報と、特に必要でない情報があって、聞いても教えてくれないことや、食い下がっても濁されて終わることがある。全体金額すら教えてくれなくて、それが後で「手間かけなくて良かったのに」に繋がるのだが、忖度するための情報すらないのに、どうやれば良かったのかと。

先に項目をルーブリックで出せたらお互いやりやすいはず。もしくは、それすら必要のない「型」にするか。つまりこちらのやり方がまずかったわけだな。うむ。(hammer.mule)