《やっぱフリーランスってカッコイイじゃん!》
■ゆずみそ単語帳[18]
スター・ウォーズと21世紀のフェミニズム
TOMOZO
■グラフィック薄氷大魔王[556]
「フリーランス保護法」「インク残量が微妙」他、小ネタ集
吉井 宏
■ゆずみそ単語帳[18]
スター・ウォーズと21世紀のフェミニズム
TOMOZO
■グラフィック薄氷大魔王[556]
「フリーランス保護法」「インク残量が微妙」他、小ネタ集
吉井 宏
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■ゆずみそ単語帳[18]
スター・ウォーズと21世紀のフェミニズム
TOMOZO
https://bn.dgcr.com/archives/20180228110200.html
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●日本のフェミニズム
1970年代のフェミニストアーティストって、超過激でめっちゃ面白いんだよ…という話をしようとしたら、知人の白人男性(40代)が急に話をさえぎって、「フェミニストなんかがいるから世の中が悪くなるんだ」みたいなことをいきなりの剣幕で言い始めたので驚いた。
この人は大学も出てるし、普通にそこそこの大企業で働いてる中間管理職なのだけど。リベラルな「青い町」シアトルにも、内輪になると急にこういうことを言い出す人が一定数いる。
どうやら彼は、「フェミニスト」がやたらに自分たちの権利だけを主張して無理スジばかりを通し、世の中のほかの部分はまったくかえりみないモンスタークレーマーか、カルト信者のような人々なのだと思っているらしかった。
でも日本でも、ネットで流れてくるコメントを時々覗くと、「いわゆるフェミニスト」「いわゆるフェミニズム」については、そういう解釈の人がけっこう多いのだと思い知らされる。
というか、日本の「フェミニズム」っていう言葉の解釈が、なんだか大変に奇妙なことになってるっぽくて、検索するとやたら田嶋陽子さんの名前が出て来るんだけど、ここ15年ばかりは日本のテレビをほとんど見ていないので、その辺の事情はよくわからない。
勝手な推測では、なんだか田嶋さんが一人で果敢にたたかいを繰り広げている間に、フェミニズム=田嶋陽子という図式が多くの人の頭に貼られてしまったのではないかと思われる。
良かれと思ってすることが、180度裏目に出ることはよくあることだ。
「フェミニスト」もしくは田嶋陽子さんに対するネットの悪口を読んでいると、遠藤周作先生の『沈黙』に出てくるフェレイラ神父の「日本という国は泥のようなものである」という(いま手元に本が見つからないので超うろ覚え)言葉が、なぜかふと思い出される。
日本のテレビこそ、まさになんでものみ込んでしまう泥沼のようなものなんじゃないかな。しかも、なんであれ思想をバラエティ番組で布教しようとするのは、砂漠でスキーを売ろうとするようなものではないかと思う。
しかも日本では「フェミニスト」が単に「女にやたらに優しい男」という意味で使われていた時期もあったので、よけいにややこしい。
今でもその意味で使う人がいるのか? と思ったけど、今年1月に改訂された『広辞苑』にもまだ、「女に甘い男。女性尊重を説く男性」という定義が残っているそうだ。うーん。その説明文に続いて「坂口安吾、市井閑談『このおやぢの美点は世に稀な(フェミニスト)であることである。先天的に女をいたはる精神をもち』」という例文が引かれているそうである。
(参照:ハフポス)http://www.huffingtonpost.jp/2018/01/11/kojiengafeminisutonosetsumeiwohenko-onnaniamaiotoko-kawatta_a_23330758/
あらまあ。まあこれで、この用法は坂口安吾の時代に使われてたものなんですよってことは示されているわけですね。しかし「先天的に女をいたわる精神」て何なんだよw。
この用法は、「女性は社会的にも実際の能力も弱くて守ってやらねばならないかわいそうな立場の存在である」という前提があってはじめて意味をなすのであって、次回の改訂のときには(「…と昭和時代には使われていた」)とつけ加えられてるかもしれませんね。
ちなみに広辞苑の新版では「フェミニズム」も、以前の「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする思想・運動」から
「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、性差別からの解放と両性の平等とを目指す思想・運動」という定義に変わったのだという。
「男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする」に代わる「性差別からの解放と両性の平等を目指す」という一文は、20代前半の若いフェミニストの子たちからの呼びかけに応えて検討されたものだそうで、フェミニズムの焦点が変わっていることを受け、時代の流れをきちんと汲み取ったものだと思う。
(ちなみにこの子たちは、自分たちを「第4世代フェミニスト」と呼んでいる。こういう子たちがいることにおばちゃんは安心したよ)
http://ashitashoujo.com/
●アメリカのフェミニズム
もともと、フェミニズムの元祖は19世紀末から20世紀末の婦人参政権運動だったんでした。これが「ファーストウェーブ」のフェミニズム。
貧しい中に子どもがどんどん生まれてしまい、貧乏スパイラルに陥って困っている女性たちに避妊教育をする運動をして逮捕された、マーガレット・サンガーさんという人もいました。
20世紀のはじめには女性には参政権もなかったし、避妊(中絶じゃなくて避妊ですよ!)教育も違法だったんでしたね。避妊の方法を宣伝するなど猥褻であり、もってのほかである! と、多くの人が思っていた時代もあったのです。
それから二つの大戦を経て、戦後のアメリカはぐっと保守に振れ、白人中流社会では核家族が郊外の住宅に住む図式ができて、ビバ専業主婦の時代がしばらく続いたあとで、公民権運動の時代がやってきたのでした。
南北戦争のあと、奴隷は解放されたものの100年たってもあまり暮らし向きは変わらず、南部では「ジム・クロウ」法とよばれる悪名高い一連の法律で、黒人の人権がむちゃくちゃに踏みにじられていたところ、1950年代になってようやく活動家たちの地道な努力がみのり、少しずつ裁判所が黒人の権利を認めた判例が増えてきて、有名なローザ・パークスさんのバスボイコット事件あたりから一気に公民権運動が広まり、1964年にやっと連邦政府によって、たちの悪いローカルルールで人権を侵害することが禁止されたのでした。
1960年代は世界中でワカモノが爆発した時代であったけれど、アメリカ人の意識を決定的に変えたのは、なんといっても公民権運動だった。
1970年代にピークを迎えた「セカンドウェーブ」のフェミニズム運動も、公民権運動なくしてはあり得なかったのです。
この時代に書かれたものを読むと、怒涛の勢いで刻々と変わっていく社会と価値観を目の当たりにしている人たちの、すさまじい高揚感と混乱が感じられてクラクラする。
アメリカは、その建国当初から「自由、民主、機会の平等」をうたっていたわりに、奴隷制というとんでもない矛盾をかかえていた国で、だから国民同士のたたかいで百万人以上が死んだ内戦を経ねばならなかったし、その後も、制度としての人身売買はなくなっても、所有者と所有される側の経済格差と価値観その他ほとんどの枠組みは、20世紀の冷戦時代にまで温存されたのでした。
そしてもちろん、今にいたるまで完全には解消されずに、あちこちでいろんな問題になっている。
ある意味、アメリカは奴隷制とその結果としての人種問題という矛盾をかかえていたからこそ、人間社会の理性や理想の矛盾を率先して体験する壮大な実験の国となって、そこからいろんなものが飛び出してきたといえる。
「これはこういうふうに決まってるものだから」「これが社会の当たり前だから」という議論に対し、「だってこれは自由、民主、機会の平等に反してるじゃん」という議論が、法廷で、街角で、学校で、職場で、200年以上かかって行われてきた。
1960年代の公民権運動は、自由と機会の平等という、それまで有色人種にとっては絵に描いたモチだったアメリカの建国理念の約束を、ひとまずきちんと約束しなおさせるという勝利を得た。
もちろん、それですべてが解決したわけじゃなく、それが始まりだったのであって、その後半世紀のあいだにも押したり引いたりがずっと続いているわけだけど。
公民権運動の勝利は、1960年代まで社会のあらゆる面で従属的な役割を押しつけられていた女性にも、公の場に出てくることができなかったLGBTQの人たちにも、活躍の場がきわめて限られていた障がいを持つ人にも可能性をひらき、「社会ってほんとに変えられるんだ」という確信とエネルギーを与えた。
もちろん何度も挫折や揺り返しはあり、お前らが勝手なことを言うせいで世の中が悪くなったのだと言い出す人はどの時代にもいたし、今でもいる。
トランプ支持者の多くはアンチ多様性、アンチフェミニストで、誰もがきまりを守って秩序正しく暮らしていた昔はグレートだったと、本気で信じている人もいるらしい。
時代にとりのこされた不安と腹いせを、よくわからないけど自分とは違う「他のやつら」「外の人たち」に向けたい気持ちはある程度わかるような気がしないでもない。そういった人々の不満は、20世紀はじめの政治家に利用されたし21世紀にも利用されている。
アメリカの中心には、今でもがっつり保守のメンタリティが残っているし、それは都市部のリベラルのものよりもたぶん足腰が強い。
アメリカやヨーロッパが、第二次大戦前のナチスを生んだ第三帝国みたいなことに絶対にならないとは言い切れないけれど、同時多発テロのあとのブッシュの時代、オバマの時代、そしてこのトランプの時代の始まりを見てきて、マイノリティ、女性、LGBTQの権利を守るビバ多様性&インクルーシブな方向への流れは、よほどのことがない限り逆戻りはしないに違いないし、なんだか知らないうちに分水領を超えていたのではないかと思えてきた。
特に、映画やテレビのメディアでは、フェミニズムと多様性が気づかない間にほんっとにデフォルトになったなあ、とつくづく思う。特にここ数年間の変化は目をみはるべきものがある。
数年前までは男性優位なCMが多かったスーパーボウルのCMでも、急激にフェミニズムとインクルーシブを踏まえることがもう絶対的基準みたいになってきたし、今回のオリンピック中継の間に流れていたCMも、ビバ多様性なものが目についた。
●映画に見るフェミニズム
最近の映画でフェミニストぶりにびっくりしたのは、『マッドマックス』『ゴーストバスターズ』、そして『スターウォーズ』の3本だった。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)は、性的道具と子作り要員として監禁されていたガールズが、片腕の女性戦士と砂漠のおばちゃんライダーたちとともに気持ちの悪い独裁おやじたちをたおすという、単刀直入なフェミニスト映画だった。
『ゴーストバスターズ』(2016)はビル・マーレイ&ダン・エイクロイドの1984年版オリジナルのキャストを、3人の女性科学者を主人公に入れ替えた男女逆転映画で、頭は悪いがむちゃくちゃ可愛くてセックスアピールがあるという、昔のマリリンモンロー的なステレオタイプを男の子にあてはめた、受付のハンサム君がおかしかった。
そして2017年公開の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』。これは正直、ここまで変わったのか! と驚いた。
前年度のスピンオフの『ローグ・ワン』がわたしは凄く好きで、これを観て、そうかー、スター・ウォーズってもともと多様性VS画一性のプロパガンダ映画だったんだなあ、と思っていたのだけど、『最後のジェダイ』はさらに単刀直入だった。
1977年の第一作では、レイア姫は救出されるのを待っているプリンセスだった。確かに活動的な姫ではあったけれど、おもな活躍をするのは白人男性であるルークであり、ハン・ソロであり、オビワンだった。
40年後の新作『最後のジェダイ』では、主人公のヒーローが女の子(しかも、最下層階級の出で、とくに王家とかそういう特別な血筋でもないことが、映画のなかで明らかにされる)というだけではなくて、メインキャラクターの中で白人男性といえば老境にさしかかったルークを除けば、ハン・ソロの息子のカイロ・レンだけ。そして、彼は苦悩しながらもダークサイドに行っちゃっているところがきわめて象徴的。
お姫様だったレイアは反乱軍の将軍になってるし、レイアが戦闘不能になったあと代理を務める提督は紫の髪の毛で、フェミニンなロングドレスを着こなしたおば様。
その司令官に逆らって単独行動を取ろうとする血気盛んなパイロットは、レイアと紫ヘアのおばちゃん提督に制圧され、「困った子ね。こういう子好きだけどw」「私もよ♪」なんて言われてしまう。
『スタートレック』のカーク船長的な、ひとむかし前のステレオタイプだった、やんちゃで跳ねっ返りのヒーローキャラクターが、おばちゃん二人に簡単に制圧されてしまうというこの場面に、わたしはかなりの衝撃を受けた。しかもこの俳優さんはラティーノだし。戦闘機パイロットにも女の子が目立ったし、アジア人も登用されていた。
トランプ支持者の中にはこの映画を嫌うあまり、評価サイトの「Rotten Tomatoes」に悪い評価をつけるボット攻撃を仕掛けて、平均以下の評価にすることに成功した(と吹聴していた)人もいるとか。『ニューズウィーク』の記事では、その当人が自分のFacebookのアカウントでそれを自慢したと報告されている。
http://www.newsweek.com/did-alt-right-tank-star-wars-last-jedi-rotten-tomatoes-score-trump-fan-unhappy-754901
この記事によると、この人はハフポスの取材にこたえて「『ゴーストバスターズ』観ただろ? 男がバカみたいに描かれるのを見るのはもうウンザリなんだよ。おれたちが社会のてっぺんにいた時代もあっただろ。それをもう一回見たいんだよ」といったそうです。正直だな。
『マッドマックス』は第一作が1979年封切りで、シリーズが80年代に大ヒットしたマッチョなアクション映画だったし、『ゴーストバスターズ』は1984年のコメディ映画。80年代のコメディにはミソジニスト的な、強い女をバカにするものが多かった。
いずれも70年代から80年代のアイコン的な大ヒット映画だったこの3本が、こうまで見事にフェミニスト映画に変身して登場するとは、そして別にフェミ映画であることがさほど大騒ぎもされずにさらっと受け入れられるとは、10年前にはちょっと考えられなかったと思う。そしてこの3本はいずれも興行的に成功している。
どれだけトランプとその支持者が気炎を上げても、トランプが支持基盤に向かって煽っているアンチ多様性、アンチ・フェミニズム、アンチ移民的なメッセージはメインストリームの大企業のCMには一切採用されていないし、その逆のビバ多様性的な精神を押し出しているものが突出している。いまのところは。
映画制作会社も、CMを作る大企業も、アメリカではフェミニズムやマイノリティの権利に理解を示すことが得策であり、お金を持っていてこれからの消費動向を左右する消費者層に支持される方向であると認識してる、ということだ。いまのところは。
社会はちょっとしたことでびっくりするくらい変わるし、この傾向に対してもまた数年先に反動が来るのかもしれない。政情不安や戦争や経済危機がたくさん人の価値観を変えるかもしれない。
でも、過去200年の歴史を振り返ると、アメリカが約束してしまったものが、あっちにぶつかりこっちにぶつかりしながら、何世代もの人を動かしてきた事実に圧倒される。フェミニズムもその中の大きな軸のひとつだった。あと10年後の常識は、いったいどうなっていることやら。
【TOMOZO】yuzuwords11@gmail.com
米国シアトル在住の英日翻訳者。在米そろそろ20年。
マーケティングや広告、雑誌記事などの翻訳を主にやってます。
http://livinginnw.blogspot.jp/
http://www.yuzuwords.com/
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■グラフィック薄氷大魔王[556]
「フリーランス保護法」「インク残量が微妙」他、小ネタ集
吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20180228110100.html
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●フリーランス保護法
政府がフリーランスを労働法の対象として、保護する検討をしてるそうだ。非正規や派遣の、そのまた下の労働階級を作ろうとしてるように見えなくもないが……。
なんちゅうか、「フリーランス」っていう名称というか肩書き(?)に「保護する必要のあるかわいそうな人たち」ってニュアンスが入りつつあるようだw
フリーランスって「たった一人で企業と同等の立場だったりすることもある、一騎当千の誇り高きプロフェッショナル」と思ってたのだがw もちろん、あまりに酷い使い捨てや囲い込み防止や、「下請法」的なものは必要だけどね。
語源は「未契約時は組織に拘束されない自由な立場の傭兵。槍(ランス)1本」という戦闘力の単位として数えられる」。イラストレーターという仕事を知った、中学の頃に覚えた栄光の用語w
「いつかフリーランスになるんだ!」って思ってたもん。
フリーランスは、仕事がなければ失業者と同等。雇ってもらうために腕を磨き実力をアピールして仕事を得ない限り、いつまでも失業者のまま。そうでない状態を保っていることが誇りなのだ。
あと、傭兵は戦争をやってる国に行かなきゃ仕事はない。人気のある領主に雇ってほしい傭兵が大勢いたら競争もあるだろうし、誰も持っていない特殊能力などがアピールポイントになるし。
仕事を求めて戦場から戦場へと転戦、需要や状況によっては武器も戦法も変えて戦い続ける傭兵。って、やっぱフリーランスってカッコイイじゃん! あんまり弱くてかわいそうなイメージついてほしくないなあw
●インク残量が微妙
A3プリントできるエイさんカラリオを買ったので、A4カラリオ(4年前のモデル)を処分しようと思ったのだが、インク残量が微妙w 3本は新品を入れたばかり。Yも多い。
6色パックでちょうど残ってるBKとLMの買い置きを入れれば、Yが無くなる頃にだいたい全色使い切れるかもしれないが、いつもの使い方だと数か月とか半年先になってしまう。
インクはA3と共通の「目印はとうもろこしのインク」なので、A4カラリオから抜いてA3カラリオに差し替えりゃいいんだろうけど、以前は途中で差し替えると「インク残量が正確に表示されない」とか「空気やチリが入って不具合が出る」とか言われてたので、新品のプリンタに差すのはちょっと抵抗ある。
インクの使用期限もあることだし、もったいないとか関係なく処分しちゃうのがややこしくなくて良さそう。
エコタンク搭載モデルにすりゃよかったかなとも思うけど、4色モデルしかないし、相当大量にプリントしなきゃお得じゃないそう。
●複合機の残念なスキャナ
A3カラリオでちょっと期待してたのが、付属のA4スキャナの読み取り速度。以前のカラリオのスキャナはどうかしてるくらい遅かった。プレビューでさえ、モアレ軽減600dpiの本番スキャンしてるかと思うくらい遅い。
試してみたら、以前よりはマシだけどやはり「このA4の書類を10枚スキャンしてね!」って言われたら、「イヤだ!」って言いたくなるだろう遅さ。
なんでエプソンは複合機のスキャナの性能上げないんだろう。キヤノンの安い
PIXUS複合機は、実家で使ってるけどぜんぜん速いぞ?
せっかく複合機があるのに、いつまでたっても単体のフラットベッドスキャナを処分できないのだ。使ってるのはEPSON GT-X820だけど、読み取りがめちゃくちゃ速い。モアレ軽減してもぜんぜん遅くない。このくらいのスキャナをつけてほしい。
https://www.epson.jp/products/scanner/gtx830/
って、GT-X820、調べたら発売は2009年なのね。9年前。むしろ、こっちを買い換えるか。もうスキャンするポジないから、透過原稿ユニットなしのでいいのだが。
●テキストファイルのUTF-16とUTF-8
High Sierra上のテキストエディットや、JeditΩで書いたUTF-8のテキストファイルをQuickLookすると、Finderが確実に落ちる。3台のMacで同様。なのでUTF-16にしてる。
ところが、柴田編集長に送ったUTF-16の原稿は読めないとのこと。しかたないので、しばらくUTF-8で保存し直して送ってたのだが。
柴田編集長「え? みなさんメールに原稿コピペして送ってきてるよ」。えええ〜!! なんだあ! そうすりゃよかったのかw
いや、「メールで原稿を送ると、強制改行とかされて文字原稿としては使いにくい」と思ってたからテキストファイルを送ってたのだが、試してみたら強制改行なんてされないわ。何の思い込みだったんだろう?w
【吉井 宏/イラストレーター】
HP http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/
ところで、例えばフリーランスのイラストレーターを労働力と見ちゃった場合、「5分で一枚上げられる作風の人」と「同じギャラの仕事に5日かかる人」の違いをどう捉える?
5日の人は時間をかけて描くことが、他の人との差別化になってて、それでずっと食えてるとしたら、最低報酬が決められると仕事できなくなる可能性も。
そっか。保護してほしい人が申告して認定してもらう仕組みならいいかも。保護無しがステイタスになるぞw
・スワロフスキー「招き猫」と「HOOT HAPPY BIRTHDAY」が出ました。
http://bit.ly/2ni8HaD
http://bit.ly/2orkDIs
・スワロフスキー干支モチーフの「ZODIAC」
https://www.fashion-press.net/news/33277
・スワロフスキーのLovlotsシリーズ「Hoot the Owl」
http://bit.ly/2ruVM9x
・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500
・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii
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編集後記(02/28)
●泉谷渉「日・米・中IoT最終戦争 日本はセンサーとロボットで勝つ」を読んだ(2017/東洋経済新報社)。日米中が激突する世界IoT革命の中で、日本がモノづくりの強みを生かし、とくにセンサー、ロボット、半導体メモリなどの分野で一気に抜け出して行くというストーリーは、かなり誇らしい気分に浸れる。
非常に興味深い話が展開するが、早くもちょっと情報が古くなっているような気がする。そこで主に中国事情を摘出してみる。2018年に中国の産業用ロボットの保有台数は40万台を超え、世界一という予測がある。全世界のロボットの1/3以上が中国で稼働する。2025年には保有台数は180万台になるとのこと。
中国では10年ほど前から労働力が慢性的に不足し、日本の少子高齢化以上に深刻な状態にある。しかも、中国の若者は肉体労働を嫌う傾向にある。知的労働へのこだわりが日本の若者以上に大きい。多くの肉体労働の作業現場ではロボットに頼らざるを得ない。中国当局は企業のロボット導入を支援している。
中国には金はあるが最先端技術の明るい人材が不足、プロセス技術も遅れていて、いくら「メモリー基地プロジェクト」で量産体制を構築しても、最先端という意味では東芝やサムスンに到底及ばない。筆者の分析では、そもそも中国に海外進出や世界制覇のような意図はない、ということが分かってきたという。
このプロジェクトは巨大な公共投資だ。体制維持のためには、一定以上の成長率を保つ必要がある。政府が金を突っ込んで活性化するしかない。結果的に生産過剰と値崩れを起こし、世界の市場もろとも苦境に立つ。絶対そうなる。とにかく政府が巨額を投じて、経済を回すしかないという苦肉の経済政策なのだ。
つまり、雇用確保こそ最優先の課題ということだ。景気減速は相当に激しく、雇用も厳しい。失業者が増えれば経済が悪化し、社会不安も大きくなる。そんな事態を避けるために空前の大工場の建設を進めたのだろう。失業者の受け皿として大量に雇用すれば、それだけ社会不安も抑えられるはずだ。
中国は2015年10月に「一人っ子政策」を撤廃した。失業率も気になるが、生産年齢人口の減少、少子高齢化も大きな懸案事項である。人口を維持しつつ雇用も確保し、なおかつ成長率も維持するという奇妙なパズルを、果たして中国当局は解けるのか。少なくともその答えは「世界制覇」ではない。
中国には一つだけ強力な「武器」=大量の資金がある。それで日米欧のAIや部品のベンチャー企業を積極的に買収している。だが、本当に高度の技術を持つ企業は絶対に買えない。軍事・政治の問題だから、日米欧は政治的にブロックするからだ。ロボットが増えれば雇用が減る。ロボット導入を控えるとIoT時代に逆行し、人件費が嵩んで世界と戦えない。どうするんだ、中国。(柴田)
泉谷渉「日・米・中IoT最終戦争 日本はセンサーとロボットで勝つ」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492762329/dgcrcom-22/
●前にも書いた「週刊ハリウッドエクスプレス」。黒人映画や黒人スタッフの話に触れることはあったが、去年ぐらいから女性問題が増えた。「ワンダーウーマン」と「#MeToo」。
/トイレ高速点滅の続き。「INAXのトイレのLEDが点滅・・・故障?」というページには、お客様相談センターとのやり取りがある。コメント欄が熱くて、斜め読みなんだが、この仕組みの問題点や必然性が書かれてあった。
「古い便座が火災になるケースが多発」していて、定期点検を自動的に知らせるようになったようなのだ。が、コメント欄にもあったが、火災になるケースってリコール対象にならないのか? そんなに危ないものなら、ユーザー登録させる必要があるんじゃないのか? 続く。 (hammer.mule)
INAXのトイレのLEDが点滅・・・故障?
https://imp.webike.net/diary/82842/
■ゆずみそ単語帳[18]
スター・ウォーズと21世紀のフェミニズム
TOMOZO
https://bn.dgcr.com/archives/20180228110200.html
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●日本のフェミニズム
1970年代のフェミニストアーティストって、超過激でめっちゃ面白いんだよ…という話をしようとしたら、知人の白人男性(40代)が急に話をさえぎって、「フェミニストなんかがいるから世の中が悪くなるんだ」みたいなことをいきなりの剣幕で言い始めたので驚いた。
この人は大学も出てるし、普通にそこそこの大企業で働いてる中間管理職なのだけど。リベラルな「青い町」シアトルにも、内輪になると急にこういうことを言い出す人が一定数いる。
どうやら彼は、「フェミニスト」がやたらに自分たちの権利だけを主張して無理スジばかりを通し、世の中のほかの部分はまったくかえりみないモンスタークレーマーか、カルト信者のような人々なのだと思っているらしかった。
でも日本でも、ネットで流れてくるコメントを時々覗くと、「いわゆるフェミニスト」「いわゆるフェミニズム」については、そういう解釈の人がけっこう多いのだと思い知らされる。
というか、日本の「フェミニズム」っていう言葉の解釈が、なんだか大変に奇妙なことになってるっぽくて、検索するとやたら田嶋陽子さんの名前が出て来るんだけど、ここ15年ばかりは日本のテレビをほとんど見ていないので、その辺の事情はよくわからない。
勝手な推測では、なんだか田嶋さんが一人で果敢にたたかいを繰り広げている間に、フェミニズム=田嶋陽子という図式が多くの人の頭に貼られてしまったのではないかと思われる。
良かれと思ってすることが、180度裏目に出ることはよくあることだ。
「フェミニスト」もしくは田嶋陽子さんに対するネットの悪口を読んでいると、遠藤周作先生の『沈黙』に出てくるフェレイラ神父の「日本という国は泥のようなものである」という(いま手元に本が見つからないので超うろ覚え)言葉が、なぜかふと思い出される。
日本のテレビこそ、まさになんでものみ込んでしまう泥沼のようなものなんじゃないかな。しかも、なんであれ思想をバラエティ番組で布教しようとするのは、砂漠でスキーを売ろうとするようなものではないかと思う。
しかも日本では「フェミニスト」が単に「女にやたらに優しい男」という意味で使われていた時期もあったので、よけいにややこしい。
今でもその意味で使う人がいるのか? と思ったけど、今年1月に改訂された『広辞苑』にもまだ、「女に甘い男。女性尊重を説く男性」という定義が残っているそうだ。うーん。その説明文に続いて「坂口安吾、市井閑談『このおやぢの美点は世に稀な(フェミニスト)であることである。先天的に女をいたはる精神をもち』」という例文が引かれているそうである。
(参照:ハフポス)http://www.huffingtonpost.jp/2018/01/11/kojiengafeminisutonosetsumeiwohenko-onnaniamaiotoko-kawatta_a_23330758/
あらまあ。まあこれで、この用法は坂口安吾の時代に使われてたものなんですよってことは示されているわけですね。しかし「先天的に女をいたわる精神」て何なんだよw。
この用法は、「女性は社会的にも実際の能力も弱くて守ってやらねばならないかわいそうな立場の存在である」という前提があってはじめて意味をなすのであって、次回の改訂のときには(「…と昭和時代には使われていた」)とつけ加えられてるかもしれませんね。
ちなみに広辞苑の新版では「フェミニズム」も、以前の「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする思想・運動」から
「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、性差別からの解放と両性の平等とを目指す思想・運動」という定義に変わったのだという。
「男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする」に代わる「性差別からの解放と両性の平等を目指す」という一文は、20代前半の若いフェミニストの子たちからの呼びかけに応えて検討されたものだそうで、フェミニズムの焦点が変わっていることを受け、時代の流れをきちんと汲み取ったものだと思う。
(ちなみにこの子たちは、自分たちを「第4世代フェミニスト」と呼んでいる。こういう子たちがいることにおばちゃんは安心したよ)
http://ashitashoujo.com/
●アメリカのフェミニズム
もともと、フェミニズムの元祖は19世紀末から20世紀末の婦人参政権運動だったんでした。これが「ファーストウェーブ」のフェミニズム。
貧しい中に子どもがどんどん生まれてしまい、貧乏スパイラルに陥って困っている女性たちに避妊教育をする運動をして逮捕された、マーガレット・サンガーさんという人もいました。
20世紀のはじめには女性には参政権もなかったし、避妊(中絶じゃなくて避妊ですよ!)教育も違法だったんでしたね。避妊の方法を宣伝するなど猥褻であり、もってのほかである! と、多くの人が思っていた時代もあったのです。
それから二つの大戦を経て、戦後のアメリカはぐっと保守に振れ、白人中流社会では核家族が郊外の住宅に住む図式ができて、ビバ専業主婦の時代がしばらく続いたあとで、公民権運動の時代がやってきたのでした。
南北戦争のあと、奴隷は解放されたものの100年たってもあまり暮らし向きは変わらず、南部では「ジム・クロウ」法とよばれる悪名高い一連の法律で、黒人の人権がむちゃくちゃに踏みにじられていたところ、1950年代になってようやく活動家たちの地道な努力がみのり、少しずつ裁判所が黒人の権利を認めた判例が増えてきて、有名なローザ・パークスさんのバスボイコット事件あたりから一気に公民権運動が広まり、1964年にやっと連邦政府によって、たちの悪いローカルルールで人権を侵害することが禁止されたのでした。
1960年代は世界中でワカモノが爆発した時代であったけれど、アメリカ人の意識を決定的に変えたのは、なんといっても公民権運動だった。
1970年代にピークを迎えた「セカンドウェーブ」のフェミニズム運動も、公民権運動なくしてはあり得なかったのです。
この時代に書かれたものを読むと、怒涛の勢いで刻々と変わっていく社会と価値観を目の当たりにしている人たちの、すさまじい高揚感と混乱が感じられてクラクラする。
アメリカは、その建国当初から「自由、民主、機会の平等」をうたっていたわりに、奴隷制というとんでもない矛盾をかかえていた国で、だから国民同士のたたかいで百万人以上が死んだ内戦を経ねばならなかったし、その後も、制度としての人身売買はなくなっても、所有者と所有される側の経済格差と価値観その他ほとんどの枠組みは、20世紀の冷戦時代にまで温存されたのでした。
そしてもちろん、今にいたるまで完全には解消されずに、あちこちでいろんな問題になっている。
ある意味、アメリカは奴隷制とその結果としての人種問題という矛盾をかかえていたからこそ、人間社会の理性や理想の矛盾を率先して体験する壮大な実験の国となって、そこからいろんなものが飛び出してきたといえる。
「これはこういうふうに決まってるものだから」「これが社会の当たり前だから」という議論に対し、「だってこれは自由、民主、機会の平等に反してるじゃん」という議論が、法廷で、街角で、学校で、職場で、200年以上かかって行われてきた。
1960年代の公民権運動は、自由と機会の平等という、それまで有色人種にとっては絵に描いたモチだったアメリカの建国理念の約束を、ひとまずきちんと約束しなおさせるという勝利を得た。
もちろん、それですべてが解決したわけじゃなく、それが始まりだったのであって、その後半世紀のあいだにも押したり引いたりがずっと続いているわけだけど。
公民権運動の勝利は、1960年代まで社会のあらゆる面で従属的な役割を押しつけられていた女性にも、公の場に出てくることができなかったLGBTQの人たちにも、活躍の場がきわめて限られていた障がいを持つ人にも可能性をひらき、「社会ってほんとに変えられるんだ」という確信とエネルギーを与えた。
もちろん何度も挫折や揺り返しはあり、お前らが勝手なことを言うせいで世の中が悪くなったのだと言い出す人はどの時代にもいたし、今でもいる。
トランプ支持者の多くはアンチ多様性、アンチフェミニストで、誰もがきまりを守って秩序正しく暮らしていた昔はグレートだったと、本気で信じている人もいるらしい。
時代にとりのこされた不安と腹いせを、よくわからないけど自分とは違う「他のやつら」「外の人たち」に向けたい気持ちはある程度わかるような気がしないでもない。そういった人々の不満は、20世紀はじめの政治家に利用されたし21世紀にも利用されている。
アメリカの中心には、今でもがっつり保守のメンタリティが残っているし、それは都市部のリベラルのものよりもたぶん足腰が強い。
アメリカやヨーロッパが、第二次大戦前のナチスを生んだ第三帝国みたいなことに絶対にならないとは言い切れないけれど、同時多発テロのあとのブッシュの時代、オバマの時代、そしてこのトランプの時代の始まりを見てきて、マイノリティ、女性、LGBTQの権利を守るビバ多様性&インクルーシブな方向への流れは、よほどのことがない限り逆戻りはしないに違いないし、なんだか知らないうちに分水領を超えていたのではないかと思えてきた。
特に、映画やテレビのメディアでは、フェミニズムと多様性が気づかない間にほんっとにデフォルトになったなあ、とつくづく思う。特にここ数年間の変化は目をみはるべきものがある。
数年前までは男性優位なCMが多かったスーパーボウルのCMでも、急激にフェミニズムとインクルーシブを踏まえることがもう絶対的基準みたいになってきたし、今回のオリンピック中継の間に流れていたCMも、ビバ多様性なものが目についた。
●映画に見るフェミニズム
最近の映画でフェミニストぶりにびっくりしたのは、『マッドマックス』『ゴーストバスターズ』、そして『スターウォーズ』の3本だった。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)は、性的道具と子作り要員として監禁されていたガールズが、片腕の女性戦士と砂漠のおばちゃんライダーたちとともに気持ちの悪い独裁おやじたちをたおすという、単刀直入なフェミニスト映画だった。
『ゴーストバスターズ』(2016)はビル・マーレイ&ダン・エイクロイドの1984年版オリジナルのキャストを、3人の女性科学者を主人公に入れ替えた男女逆転映画で、頭は悪いがむちゃくちゃ可愛くてセックスアピールがあるという、昔のマリリンモンロー的なステレオタイプを男の子にあてはめた、受付のハンサム君がおかしかった。
そして2017年公開の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』。これは正直、ここまで変わったのか! と驚いた。
前年度のスピンオフの『ローグ・ワン』がわたしは凄く好きで、これを観て、そうかー、スター・ウォーズってもともと多様性VS画一性のプロパガンダ映画だったんだなあ、と思っていたのだけど、『最後のジェダイ』はさらに単刀直入だった。
1977年の第一作では、レイア姫は救出されるのを待っているプリンセスだった。確かに活動的な姫ではあったけれど、おもな活躍をするのは白人男性であるルークであり、ハン・ソロであり、オビワンだった。
40年後の新作『最後のジェダイ』では、主人公のヒーローが女の子(しかも、最下層階級の出で、とくに王家とかそういう特別な血筋でもないことが、映画のなかで明らかにされる)というだけではなくて、メインキャラクターの中で白人男性といえば老境にさしかかったルークを除けば、ハン・ソロの息子のカイロ・レンだけ。そして、彼は苦悩しながらもダークサイドに行っちゃっているところがきわめて象徴的。
お姫様だったレイアは反乱軍の将軍になってるし、レイアが戦闘不能になったあと代理を務める提督は紫の髪の毛で、フェミニンなロングドレスを着こなしたおば様。
その司令官に逆らって単独行動を取ろうとする血気盛んなパイロットは、レイアと紫ヘアのおばちゃん提督に制圧され、「困った子ね。こういう子好きだけどw」「私もよ♪」なんて言われてしまう。
『スタートレック』のカーク船長的な、ひとむかし前のステレオタイプだった、やんちゃで跳ねっ返りのヒーローキャラクターが、おばちゃん二人に簡単に制圧されてしまうというこの場面に、わたしはかなりの衝撃を受けた。しかもこの俳優さんはラティーノだし。戦闘機パイロットにも女の子が目立ったし、アジア人も登用されていた。
トランプ支持者の中にはこの映画を嫌うあまり、評価サイトの「Rotten Tomatoes」に悪い評価をつけるボット攻撃を仕掛けて、平均以下の評価にすることに成功した(と吹聴していた)人もいるとか。『ニューズウィーク』の記事では、その当人が自分のFacebookのアカウントでそれを自慢したと報告されている。
http://www.newsweek.com/did-alt-right-tank-star-wars-last-jedi-rotten-tomatoes-score-trump-fan-unhappy-754901
この記事によると、この人はハフポスの取材にこたえて「『ゴーストバスターズ』観ただろ? 男がバカみたいに描かれるのを見るのはもうウンザリなんだよ。おれたちが社会のてっぺんにいた時代もあっただろ。それをもう一回見たいんだよ」といったそうです。正直だな。
『マッドマックス』は第一作が1979年封切りで、シリーズが80年代に大ヒットしたマッチョなアクション映画だったし、『ゴーストバスターズ』は1984年のコメディ映画。80年代のコメディにはミソジニスト的な、強い女をバカにするものが多かった。
いずれも70年代から80年代のアイコン的な大ヒット映画だったこの3本が、こうまで見事にフェミニスト映画に変身して登場するとは、そして別にフェミ映画であることがさほど大騒ぎもされずにさらっと受け入れられるとは、10年前にはちょっと考えられなかったと思う。そしてこの3本はいずれも興行的に成功している。
どれだけトランプとその支持者が気炎を上げても、トランプが支持基盤に向かって煽っているアンチ多様性、アンチ・フェミニズム、アンチ移民的なメッセージはメインストリームの大企業のCMには一切採用されていないし、その逆のビバ多様性的な精神を押し出しているものが突出している。いまのところは。
映画制作会社も、CMを作る大企業も、アメリカではフェミニズムやマイノリティの権利に理解を示すことが得策であり、お金を持っていてこれからの消費動向を左右する消費者層に支持される方向であると認識してる、ということだ。いまのところは。
社会はちょっとしたことでびっくりするくらい変わるし、この傾向に対してもまた数年先に反動が来るのかもしれない。政情不安や戦争や経済危機がたくさん人の価値観を変えるかもしれない。
でも、過去200年の歴史を振り返ると、アメリカが約束してしまったものが、あっちにぶつかりこっちにぶつかりしながら、何世代もの人を動かしてきた事実に圧倒される。フェミニズムもその中の大きな軸のひとつだった。あと10年後の常識は、いったいどうなっていることやら。
【TOMOZO】yuzuwords11@gmail.com
米国シアトル在住の英日翻訳者。在米そろそろ20年。
マーケティングや広告、雑誌記事などの翻訳を主にやってます。
http://livinginnw.blogspot.jp/
http://www.yuzuwords.com/
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■グラフィック薄氷大魔王[556]
「フリーランス保護法」「インク残量が微妙」他、小ネタ集
吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20180228110100.html
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●フリーランス保護法
政府がフリーランスを労働法の対象として、保護する検討をしてるそうだ。非正規や派遣の、そのまた下の労働階級を作ろうとしてるように見えなくもないが……。
なんちゅうか、「フリーランス」っていう名称というか肩書き(?)に「保護する必要のあるかわいそうな人たち」ってニュアンスが入りつつあるようだw
フリーランスって「たった一人で企業と同等の立場だったりすることもある、一騎当千の誇り高きプロフェッショナル」と思ってたのだがw もちろん、あまりに酷い使い捨てや囲い込み防止や、「下請法」的なものは必要だけどね。
語源は「未契約時は組織に拘束されない自由な立場の傭兵。槍(ランス)1本」という戦闘力の単位として数えられる」。イラストレーターという仕事を知った、中学の頃に覚えた栄光の用語w
「いつかフリーランスになるんだ!」って思ってたもん。
フリーランスは、仕事がなければ失業者と同等。雇ってもらうために腕を磨き実力をアピールして仕事を得ない限り、いつまでも失業者のまま。そうでない状態を保っていることが誇りなのだ。
あと、傭兵は戦争をやってる国に行かなきゃ仕事はない。人気のある領主に雇ってほしい傭兵が大勢いたら競争もあるだろうし、誰も持っていない特殊能力などがアピールポイントになるし。
仕事を求めて戦場から戦場へと転戦、需要や状況によっては武器も戦法も変えて戦い続ける傭兵。って、やっぱフリーランスってカッコイイじゃん! あんまり弱くてかわいそうなイメージついてほしくないなあw
●インク残量が微妙
A3プリントできるエイさんカラリオを買ったので、A4カラリオ(4年前のモデル)を処分しようと思ったのだが、インク残量が微妙w 3本は新品を入れたばかり。Yも多い。
6色パックでちょうど残ってるBKとLMの買い置きを入れれば、Yが無くなる頃にだいたい全色使い切れるかもしれないが、いつもの使い方だと数か月とか半年先になってしまう。
インクはA3と共通の「目印はとうもろこしのインク」なので、A4カラリオから抜いてA3カラリオに差し替えりゃいいんだろうけど、以前は途中で差し替えると「インク残量が正確に表示されない」とか「空気やチリが入って不具合が出る」とか言われてたので、新品のプリンタに差すのはちょっと抵抗ある。
インクの使用期限もあることだし、もったいないとか関係なく処分しちゃうのがややこしくなくて良さそう。
エコタンク搭載モデルにすりゃよかったかなとも思うけど、4色モデルしかないし、相当大量にプリントしなきゃお得じゃないそう。
●複合機の残念なスキャナ
A3カラリオでちょっと期待してたのが、付属のA4スキャナの読み取り速度。以前のカラリオのスキャナはどうかしてるくらい遅かった。プレビューでさえ、モアレ軽減600dpiの本番スキャンしてるかと思うくらい遅い。
試してみたら、以前よりはマシだけどやはり「このA4の書類を10枚スキャンしてね!」って言われたら、「イヤだ!」って言いたくなるだろう遅さ。
なんでエプソンは複合機のスキャナの性能上げないんだろう。キヤノンの安い
PIXUS複合機は、実家で使ってるけどぜんぜん速いぞ?
せっかく複合機があるのに、いつまでたっても単体のフラットベッドスキャナを処分できないのだ。使ってるのはEPSON GT-X820だけど、読み取りがめちゃくちゃ速い。モアレ軽減してもぜんぜん遅くない。このくらいのスキャナをつけてほしい。
https://www.epson.jp/products/scanner/gtx830/
って、GT-X820、調べたら発売は2009年なのね。9年前。むしろ、こっちを買い換えるか。もうスキャンするポジないから、透過原稿ユニットなしのでいいのだが。
●テキストファイルのUTF-16とUTF-8
High Sierra上のテキストエディットや、JeditΩで書いたUTF-8のテキストファイルをQuickLookすると、Finderが確実に落ちる。3台のMacで同様。なのでUTF-16にしてる。
ところが、柴田編集長に送ったUTF-16の原稿は読めないとのこと。しかたないので、しばらくUTF-8で保存し直して送ってたのだが。
柴田編集長「え? みなさんメールに原稿コピペして送ってきてるよ」。えええ〜!! なんだあ! そうすりゃよかったのかw
いや、「メールで原稿を送ると、強制改行とかされて文字原稿としては使いにくい」と思ってたからテキストファイルを送ってたのだが、試してみたら強制改行なんてされないわ。何の思い込みだったんだろう?w
【吉井 宏/イラストレーター】
HP http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/
ところで、例えばフリーランスのイラストレーターを労働力と見ちゃった場合、「5分で一枚上げられる作風の人」と「同じギャラの仕事に5日かかる人」の違いをどう捉える?
5日の人は時間をかけて描くことが、他の人との差別化になってて、それでずっと食えてるとしたら、最低報酬が決められると仕事できなくなる可能性も。
そっか。保護してほしい人が申告して認定してもらう仕組みならいいかも。保護無しがステイタスになるぞw
・スワロフスキー「招き猫」と「HOOT HAPPY BIRTHDAY」が出ました。
http://bit.ly/2ni8HaD
http://bit.ly/2orkDIs
・スワロフスキー干支モチーフの「ZODIAC」
https://www.fashion-press.net/news/33277
・スワロフスキーのLovlotsシリーズ「Hoot the Owl」
http://bit.ly/2ruVM9x
・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500
・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii
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編集後記(02/28)
●泉谷渉「日・米・中IoT最終戦争 日本はセンサーとロボットで勝つ」を読んだ(2017/東洋経済新報社)。日米中が激突する世界IoT革命の中で、日本がモノづくりの強みを生かし、とくにセンサー、ロボット、半導体メモリなどの分野で一気に抜け出して行くというストーリーは、かなり誇らしい気分に浸れる。
非常に興味深い話が展開するが、早くもちょっと情報が古くなっているような気がする。そこで主に中国事情を摘出してみる。2018年に中国の産業用ロボットの保有台数は40万台を超え、世界一という予測がある。全世界のロボットの1/3以上が中国で稼働する。2025年には保有台数は180万台になるとのこと。
中国では10年ほど前から労働力が慢性的に不足し、日本の少子高齢化以上に深刻な状態にある。しかも、中国の若者は肉体労働を嫌う傾向にある。知的労働へのこだわりが日本の若者以上に大きい。多くの肉体労働の作業現場ではロボットに頼らざるを得ない。中国当局は企業のロボット導入を支援している。
中国には金はあるが最先端技術の明るい人材が不足、プロセス技術も遅れていて、いくら「メモリー基地プロジェクト」で量産体制を構築しても、最先端という意味では東芝やサムスンに到底及ばない。筆者の分析では、そもそも中国に海外進出や世界制覇のような意図はない、ということが分かってきたという。
このプロジェクトは巨大な公共投資だ。体制維持のためには、一定以上の成長率を保つ必要がある。政府が金を突っ込んで活性化するしかない。結果的に生産過剰と値崩れを起こし、世界の市場もろとも苦境に立つ。絶対そうなる。とにかく政府が巨額を投じて、経済を回すしかないという苦肉の経済政策なのだ。
つまり、雇用確保こそ最優先の課題ということだ。景気減速は相当に激しく、雇用も厳しい。失業者が増えれば経済が悪化し、社会不安も大きくなる。そんな事態を避けるために空前の大工場の建設を進めたのだろう。失業者の受け皿として大量に雇用すれば、それだけ社会不安も抑えられるはずだ。
中国は2015年10月に「一人っ子政策」を撤廃した。失業率も気になるが、生産年齢人口の減少、少子高齢化も大きな懸案事項である。人口を維持しつつ雇用も確保し、なおかつ成長率も維持するという奇妙なパズルを、果たして中国当局は解けるのか。少なくともその答えは「世界制覇」ではない。
中国には一つだけ強力な「武器」=大量の資金がある。それで日米欧のAIや部品のベンチャー企業を積極的に買収している。だが、本当に高度の技術を持つ企業は絶対に買えない。軍事・政治の問題だから、日米欧は政治的にブロックするからだ。ロボットが増えれば雇用が減る。ロボット導入を控えるとIoT時代に逆行し、人件費が嵩んで世界と戦えない。どうするんだ、中国。(柴田)
泉谷渉「日・米・中IoT最終戦争 日本はセンサーとロボットで勝つ」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492762329/dgcrcom-22/
●前にも書いた「週刊ハリウッドエクスプレス」。黒人映画や黒人スタッフの話に触れることはあったが、去年ぐらいから女性問題が増えた。「ワンダーウーマン」と「#MeToo」。
/トイレ高速点滅の続き。「INAXのトイレのLEDが点滅・・・故障?」というページには、お客様相談センターとのやり取りがある。コメント欄が熱くて、斜め読みなんだが、この仕組みの問題点や必然性が書かれてあった。
「古い便座が火災になるケースが多発」していて、定期点検を自動的に知らせるようになったようなのだ。が、コメント欄にもあったが、火災になるケースってリコール対象にならないのか? そんなに危ないものなら、ユーザー登録させる必要があるんじゃないのか? 続く。 (hammer.mule)
INAXのトイレのLEDが点滅・・・故障?
https://imp.webike.net/diary/82842/