Otaku ワールドへようこそ![283]成都──重慶間の新幹線は2ルートあった!
── GrowHair ──

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北朝鮮の和平に向けた動きがまだまだ流動的で、予断を許さない情勢にあって、アジア諸国の外交が重要な局面に差し掛かっているこの折、日中の友好の絆を深める重い使命を帯びて、6月15日(金)〜18日(月)、成都と重慶に行ってきた。

金曜は成田から成都へ。土曜は成都でイベントに出て、晩飯を食べて、新幹線で重慶に移動。日曜は重慶でイベントに出て、新幹線で成都に戻り、晩飯。月曜は成都から成田へ。駆け足なスケジュールなのは毎度のことだ。イベント出演が目的で、費用はすべて先方持ちなので、遊びに行くのとは違うのだ。

まあ、ついでに観光もしたいと言えば、そういう日程を組んでくれるだろうけど、限りある有給休暇をちびちび使わなきゃならん、こっちの事情もあるのだ。幸い、新幹線に乗れて、火鍋が食べられたのが、旅らしさを引立たせてくれた。





●よみがえるトラブルの記憶も二年経てばなつかしい

成都も重慶も、呼ばれるのは二度目になる。二度呼んでくれるのは、たいへんうれしい。一回目のに及第点をもらえた気がするので。

中国からはあちこちのイベントに呼ばれてきたので、帰ってきてからは記憶がごちゃごちゃになっているのだが、再訪すれば思い出す。どちらのイベントも、前回と同じ会場だった。

前回、重慶に行ったのは2015年のこと。10月2日(金)から10月6日(火)までの日程で、南昌、重慶、広州と回っている。移動はすべて飛行機。

成都に行ったのは、2016年のこと。1月29(金)から1月31(日)までの日程で、成都だけだった。

重慶から成都まで、あまり間が空いていないけど、その間に、12月25日(金)から29日(火)までのシンガポールと、31日(木)から2016年1月2日(土)までの南通と、1月15日(金)から18日(月)のホーチミンが挟まっている。けっこうな頻度で海外からお呼びがかかっていた。

ネットで画像が拡散しただけの、何の芸もないただの変態のおっさんなので、話題がそうそう長続きするはずがなく、呼ばれるうちが花、どうせ今だけのことだからと思ってほいほい承諾した。

今もって引っ張れているのが不思議でしょうがない。けど、さすがに頻度は落ちてきた。

南昌ではステージがバグった。事前の打ち合わせやリハーサルがちゃんとできていなくて、本番が見るも無残な大混乱に陥ることを中国ではこう言うのだ。

ステージでごあいさつと質疑応答があり、引き続いて、物販と写真撮影会があるところまでは事前に聞いていた。

だが、二度目のステージがあるなんて、まったく知らされていなかった。来場者たちとじゃんけん大会をするのだそうで。司会者は、その前からずっとステージに立ちっぱなしで、打ち合わせする暇もとれず、いきなり本チャン。

じゃんけん大会は、簡単にできて、それなりに盛り上がり、間が持つので、ついつい多用する。ステージ前の観客全員を対象とし、一回目のじゃんけんで私に勝った人だけが残り、あいこと負けは座る。これを繰り返し、10人くらいが勝ち残ったところで、賞品をお渡しする。

ところが、司会者はこの流れを知らなくて、参加希望者の中から30人くらいを選抜して、ステージに上げてしまった。各参加者と一対一でじゃんけんをして、勝った人にだけ賞品を渡すという形式で進めようとしたようだ。

これだと間延びしちゃって、参加せずに客席から見ている人たちにとっては退屈で耐えられないものになる。

ちょっと待ったぁ! 私が流れを止めて、通訳を介して説明する。伝わったけど、じゃ、すでにステージに上げちゃった人たちをどうしよう? この間、5分ほどだったか。観客も参加者も放ったらかしで、出演者たちがステージ上で額をつき合わせて協議するという、超みっともないことになった。

私のステージは出たとこ勝負のアドリブトークが主体だけど、ひとたび上がったら、多少のことがあっても誤魔化しきる姿勢なので、ここまで派手にバグることはめったにない。苦情を言う人はなく、みんな辛抱強く待ってくれて、素直に従ってくれたおかげで、バグはなんとかフィックスされた。

南昌から重慶へのフライトは遅い時間だった。
22:10 南昌─23:55 重慶、西部航空 PN6256。
空港からタクシーでホテルに向かい、着いたのは2:00amごろだった。

やっと寝れるぞと思ったら、部屋が予約されていなかった。満室でどうにもできないという。イベントのスタッフが上の階に宿泊しているので、電話で起こして一階フロントまで降りてきてもらった。

イベント運営側が、出演者のために、何日かにわたって部屋を予約していた。ところが、昨日宿泊した人が、朝、ホテルを出るときに「チェックアウト」と言ってしまった。で、残りの日の予約はキャンセル扱いにされた。落ち度は完全にホテル側にある。

イベントスタッフ氏は、帽子をフロントにばんばんばんばん叩きつけて、ブチキレている。しかし、ホテル側は何もしてくれなかったという。

イベント運営側は、もうひとつ別のホテルに宿泊している部隊もいた。車で30分ほどかかるが、そっちへ移ることにした。私はツインの広々とした部屋に一人で宿泊。

マネージャとして同行してくれたひよ子さんと通訳のカンちゃんは、見届けると、元のホテルへ戻っていった。女性ばかり何人かでひとつの部屋をセマゼマとシェアしたんだとか。

ルームサービスでワインとピザを頼もうと思ったが、英語が通じない。メニューには24時間受け付けるとあったのに。翌日のイベントでは、午前中に出演の予定になっていたが、午後に変更してくれた。こういう臨機応変さは中国のすばらしいところだ。重慶でのじゃんけん大会は非常にスムーズに進行した。

成都のイベント会場は、古い工場群の建物を生かした幻想的で深い味わいのパーク内にあった。イベントを終えて散歩していると、メイド喫茶があった。ゆっくりしている時間がなかったので、ごあいさつだけして、何も注文せずに立ち去った。

そしたら、だいぶ行ったところで、後から追いかけてきたメイドさんが追いつき、ガラス瓶に入った暖かい飲み物を差し出してくれた。口の広い瓶で、コルク栓がしてある。大きな菊のような花の入ったお茶だった。

●中国の新幹線の日本との差異を堪能

今回、成都─重慶間を新幹線で往復した。乗った列車はこれ。
19:36 成都東駅(始発)─21:17 重慶北駅(終着)、G8535。
16:21 重慶西駅─18:28 成都東駅(終着)、D1807。

Wikipediaに「成渝旅客専用線」の項目があり、それによると、成都─重慶間の距離は307kmある。東京─名古屋間の366.1kmよりやや短い程度。

往きは1時間41分、帰りは2時間7分かかっている。所要時間にずいぶん差がある。切符の値段は、乗車券、特急券込みで、往きが154元、帰りが96元と、これまた差がある。

1元あたり17円で換算すると、2,618円と1,632円だ。東京─名古屋間を、のぞみの普通車指定席で行くと11,090円かかる。中国の新幹線、安すぎて心配になるぞ。

ある程度速度が上がると、デッキへ出る自動ドアの上部に速度が表示される。往きはずっと294〜296km/hと出ていた。途中、内江北駅と璧山駅に停車した。帰りは潼南駅にだけ停車、前半は150km/h前後、後半は193km/h前後と出ていた。

途中駅を見て気がついた。なんと、帰りは別ルートをとっていた。どうやら在来線の軌道に乗っかって走っていたようである。道理で時々、新幹線じゃない車両とすれ違ったわけだ。電気機関車が客車を牽引する編成の列車をよく見かけた。客車はダークグリーンの地に、黄色い横線が2本、窓の上下に引かれている。

6:00東京発ののぞみ1号は7:34に名古屋に到着する。所要時間は1時間34分。あれ? 遠いのに早いとか。平均時速を計算してみよう。

成都 → 重慶:
307 [km] ÷ 101 [min] × 60 [min/h] = 182.3 [km/h]

東京 → 名古屋:
366.1 [km] ÷ 94 [min] × 60 [min/h] = 233.7 [km/h]

東海道新幹線のほうがずっと速いではないか。まあいい。事故られても困るので、ゆっくり走ってくれたまえ。というか、どなたかスマホを持っている方、スピードメーターのアプリを走らせて、表示されている速度と照合してきてくれないだろうか。

通訳のカンちゃんは、トラブルを心配し、新幹線に乗るときはB面になってほしいと事前に言ってきた。いやいや、飛行機でも問題なく、天安門広場でも、民主革命を扇動しそうになってちょっと冷やっとする場面はあったものの、だいじょうぶだったのに、新幹線で問題が起きるはずがないでしょう。

けど、現地在住の、しかも、お世話になる予定の人に逆らうのも何なので、B面も用意して行った。

カンちゃんは、南昌でお世話になっている。前回の成都では、羊羹氏が通訳担当だったが、カンちゃんも会いに来てくれた。お二人とも成都在住で、同じ会社に勤めている。

成都のイベントの出演終了後に会場で着替えた。中国では初めてのB面で、ちょっと緊張した。手抜きして、えらい中途半端な姿。リボンは外したけど、三つ編みは編みっぱなし。靴はローファーのまま。かわいいストラップがじゃらじゃらついたスクールバッグを持っている。

こっちのほうが、なんだかワケが分からなくてアヤシくないか?

車が緩やかに湾曲した坂を上がると、現代的な造形の四角い巨大な建造物が現れ、2階の一側面に横づけする形で道路がまっすぐに走り抜けている。駅舎があって、駅前ロータリーがあるような構造ではない。空港に到着したのかと思ったくらい。

乗る列車はオンラインで予約しておいてくれたけど、ロビーへ入る前に紙の切符に引き換える必要がある。自動の発券機が設置されているのだが、外国人に対応していない。

カンちゃんは、ちょっと待っててね、と言うと、我々からパスポートを預かって有人の窓口へ向かったが、待てど暮らせど帰って来ない。よほど混んでいたのだろう。

チャイナ服のような感じのコスプレ姿の若い女性がいたが、公安から職質を受けていた。カンちゃんの言うとおりで、私ももしA面だったら同じ目に遭っていただろう。かの女性はしばらく言葉を交わした後、逃がしてもらえてたけど。

切符を受取ると、氏名とパスポート番号が印字されていた。駅の建物に入る際、切符とパスポートを提示し、さらにX線検査装置に手荷物を通す。人は金属探知機のゲートを通る。

ロビーは広々とした空間になっている。天井が高く、側面はガラス張り、空港の搭乗ゲート前のようにたくさんの椅子が並べられている。土産物屋や飲食店などもある。

列車を待つ人で大半の椅子が埋まっており、東京駅のように人がせかせかと往来するのではなく、のんびりしていて、そこも空港のムードに近い。

10分おきぐらいに列車が発車するが、行き先はまちまち。下の階がホームになっており、26番線まである。ホームへ降りるそれぞれの階段の手前に自動改札機がある。新幹線だけでなく、在来線の列車も発着するが、長距離列車ばかりのようで、東海道本線や中央線のような日常的な電車は見ない。

車は右側通行だけど、列車は左側通行だ。新幹線の車両は外観も内装も日本のと大差ない。二等車両は2列+3列だ。走ると差が歴然とする。

走り出しのスムーズな加速には、身体が気づかないほどだ。モーター音が静かだ。高速で走っていても、ほとんど揺れない。トンネルに入るときや、対向列車とすれ違う際、風圧による衝撃が来ない。上下線の間隔が広く取ってあったり、トンネルの径が上部に広く掘ってあるからのようで、技術力というよりは、力技によるところのようだけど。

見た限り、すべての分岐器において、クロッシング部が可動式になっていた。軌道が分岐する箇所において、直進する場合は減速しなくて済むが、横へ出る場合は、曲率半径が小さければ小さいほど、低速でしか通過できなくなる。高速通過を可能にするためには、カーブを緩くするしかないのだが、そうすると分岐器自体が長くなっていく。

フランジの通る溝が交差するクロッシング部において、固定式だと、相手側の溝をまたぐ幅が長くなっていく。ガッタン。日本においては、ほとんどすべてが固定式だったと思う。高崎駅の北側で上越新幹線と北陸新幹線が分岐するところで可動式を採用している。

成都も重慶も大都会だが、途中はほとんどが農地だ。山もあれば谷もある。空中を走っているかのような、恐ろしく高い高架部分が多い。まあ、高いところを走ったほうが、トンネルが短くて済むのだが。トンネルを抜けると空中だった、っていうのがちょっと恐い。

日本では、1986年に山陰本線の余部鉄橋を通過中の回送列車が日本海からの突風にあおられ、機関車と客車の台車の一部を残して7両が転落する事故が起きている。車掌1人と、直撃を受けた水産加工場の従業員5人が死亡した。これを思い出して、ちょっと心配になる。

重慶西駅は29番線まであるが、22番線以降は作りかけで、線路が敷かれてなく、草が生えていた。

往きは始発駅から終着駅までの乗車だったが、帰りの列車は広州南発の成都東行だった。16:21重慶西駅発だが、16:05ぐらいから乗車開始していた。

後でダイヤを調べると、重慶西駅には16:02から19分間の停車だった。新幹線にしてはずいぶん長い停車だが、広州南駅を出発したのが8:18だから、これくらいは大した違いじゃないのか。
http://www.rakutabichina.com/ChinaTrains/


成都─重慶間の300kmなんて、中国全体の地図の中で見ると、目と鼻の先だ。すんごい長距離の新幹線にも乗ってみたいなぁ、なんて余計なことを言うと実現しちゃいそうで恐い。

飛行機は前進しかできないが、列車は往路と復路とで進行方向が逆になる。往きでA列が右側窓際なら、帰りはE列が右側窓際になる。ところが、今回は往きも帰りもA列で、右側窓際だった。つまり、向きのひっくり返った列車が混在しているのだ。

日本の新幹線は、同じ場所に戻ってきたときに、前後がひっくり返っているようなことは決して起きない配線になっている。特に、東京駅では南側が1号車と決まっていて、在来線までちゃんと守っている。

中国では、車窓から三角線が見えた。京葉線から武蔵野線が分岐する、あの構造だ。東京側から武蔵野線へと分岐した軌道と、蘇我側から武蔵野線へと分岐した軌道とが合流している。この構造が三角線だ。

どこかで必ず、列車の向きが合わなくなる。実際、京葉線の蘇我方面で、混在する。中国の新幹線は、気にしていないようだ。

走行中、窓際の平坦部分にコインを立てて、何分間にもわたって倒れない動画がネットにいくつか上がっていて、日中新幹線揺れない論争みたいなことが起きている。私の体感では、中国のほうが圧倒的に揺れないのだが。よし、試してみよう、と思いついたのが、帰りだったのが残念。

まさかの結果。停車中においてさえ、そもそも立たない。窓ガラスに平行に置くと車内側に倒れるし、垂直に置くと車内側に転がり出す。斜めなんじゃん。車両の型式によるんだろうなぁ。

成都─重慶往復の新幹線で同行した3人はみな女子だった。通訳のカンちゃんと、ダンサーの宮島愛夏さんと、マネージャさん。

新幹線ってこんなにおもしろいのに、誰も関心を示していなかったのが不思議で不思議でしかたがない。いや、待て。女子よりも新幹線に夢中になってた、オレが変なのか?!

●空間が辛い夕食会のお店

日曜日、重慶から成都に戻ってきてから、成都のイベントのスタッフたちが夕食会を催してくれた。ホテルから車に乗り、15分ほどで着いたお店は、「麻辣(まーらー)空間」。名前からして辛そう。

空気がすでに辛い。日本勢3人はくしゃみを連発。火鍋。分厚い大きなビニールのパックに入った真っ赤なスープを一袋丸ごとどばーっと鍋へ。手許のタレは、2種類から選べる。辛いやつと辛くないやつ。迷わず前者。細かく粉砕したピーナツに各種スパイス、そこへ鍋の辣油を注ぐ。

箸につけてちょいとなめただけで激烈に辛い。というか、シビレる。このシビレる辛さの元は「花椒(ホワジャオ)」という山椒みたいなやつだ。

まだ、サソリとか食ったことないんだけど、とカンちゃんに言ったら、すごーくイヤな顔をされた。南のほうでは虫とか食べるらしいけど、成都では食べません、とキッパリ。広い中国、ひとくくりに考えちゃいかんってことか。

じゃ、成都で食べられるめずらしい食材は何? って聞いたら、いろいろ注文してくれた。

・アヒルの腸。平たい麺みたい。コリコリしてる。
・豚の腎臓。まぐろみたいに赤くて、いかにも内臓。豚のにおいが強い。
・豚の脳。あの脳丸ごとな形で出てきた。全脳アーキテクチャ。とぅるーん、とした食感。パテみたいに抵抗ないやわらかみ。
・中国野菜萵笋(ウォスン)。中国南部にしかない野菜。肉厚なところがキュウリみたい。
・冰粉 [米子] [米子]。※米ヘンにツクリが子という漢字。その同じ漢字がふたつ続きますデザート。寒天みたいなのに黒蜜がかかっている。すでに満腹なのに、けっこう重量感あって、こりゃ無理かと思ったけど、案外入るもんだ。いわゆる別腹というやつで。

食った食った。大満足。成都よいとこ。

成都に二度行ったのに、まだパンダを見てないのは若干心残り。うわさによると、飼育場へ行って7万円ほど払うとパンダを抱っこできるのだとか。

7万円かぁ。自由競争市場において、価格は需要曲線と供給曲線との交点として決まるらしいが、パンダ市場はなかなかいい値段で均衡している。そりゃ、供給がめっちゃ限られてるからなぁ。

キャバクラでケバいねーちゃんに相手してもらうよりは、こっちのほうが癒されそう。パンダに水割りの作り方をトレーニングできないかなぁ。

●イベントは私以外のゲストがすばらしかった

ついでのように言うのもナンだけど、成都と重慶のイベントはどうだったのか。

名称:首届 CCCC 国際動漫嘉年華
開催期間:2018年6月16日(土)〜17日(日)
     ケバヤシの参加日:16日(土)のみ。
開催場所:成都東郊記憶
告知サイト:https://weibo.com/u/6447790308


名称:CWA 氾亜二次元動漫遊戯展
開催期間:2018年6月16日(土)〜17日(日)
     ケバヤシの参加日:17日(日)のみ。
開催場所:重慶南坪国際会展中心
告知サイト:https://weibo.com/u/6392707540


日本からゲストを呼ぶなら、中国国内で知名度が高い人を呼んだほうが、客寄せパンダとしての効果が高いはずだ、って計算は間違っていないと思うけど、中国から日本へは本物のパンダを送り込んでくるのに、返礼パンダがセーラー服を着たおっさんでいいのだろうか。姿で言うなら、デザフェス名物のオレパンダーさんもよいのではないかと。

……って、そういうことじゃなく。姿形の問題ではなく、観賞する価値のある、しっかりした芸を持った人を送り込むべきだと前々から思っていた。今回、成都のイベントに呼ばれたダンサー二人は、たいへんよかった。“ぶらっくすわん”こと宮島愛夏さんと神沢有紗さん。

宮島さんは富山在住だが、YouTubeによく上げていた「踊ってみた」動画が、本人も知らないうちに、bilibili動画に転載されていて、中国でも知られるようになり、お声がかかったのだとか。

成都のイベントでは、人がいっぱい来ていて、会場外の歩行者専用ストリートでもたくさんのコスプレイヤーさんたちが、思い思いに写真を撮り合っていた。建物内に設置されたステージを観客が三方から取り囲み、ひしめき合っていた。ざっと500人ほどいたか。

私の出番はたったの10分間。「その格好を始めたきっかけは?」といった、ごくふつうの質問を司会者が投げてきたのに答えた後、ポーズをとって、来場者に写真撮影してもらった。

飛行機代まで出してもらってはるばるやってきて、大勢の観客を前に、こんな安直なステージでいいのか、っていうのが毎度の疑問だ。

続くダンサー二人がすばらしかった。お二人とも動きが素早く、キレッキレ。会場はしーんと静まり返って見守っていたが、一曲終わると、地鳴りのような大歓声が来た。宮島さんは中国に呼ばれるのは初めてだけど、観客の暖かさが伝わってきて、気持ちよくステージに立てたと振り返る。

私が被写体の写真のポスターがなぜ売れるのか、これまた不思議だが、まあまあの売れ行きだった。前回、写真集を買ってくれた人が、今回も来て、ポスターを買ってくれた。

宮島さんと神沢さんは、引き続き、現地の人たちによるダンスコンテストの審査員を務めたが、私はこれで終わり。外へ散歩に出た。メイド喫茶はもうなくなっているという人がいたが、真相はよく分からなかった。探しに行こうかと思っていたのに、写真を撮られまくりでろくに進めず、すぐそこまで往復するだけで1時間経ってしまった。

一方、重慶のイベントは規模が小さく、ステージ前に集まったのは100人ほどだった。宮島さんは、「富山のイベントの規模も大体こんなもん」と余裕だ。

しかし、ちょっとした行き違いが起きた。日本を発つ2日前、6月13日(水)の夜になって、ひよ子さんからダンスのインストラクターによるお手本動画が送られてきた。

中国でめっちゃ流行っているダンスなのだという。宮島さんと一緒にステージ上で踊ってほしいというリクエストが、重慶のイベント側から来ているのだという。

うっ。芸がないのもつらいけど、無理な芸をさせられるのも、これまたつらい。20回ぐらいは再生したけど、ぜんぜん覚えられん。たったの20秒なのに。

重慶での出番前、控室で待機していると、一緒にステージに立つという中国人ダンサーが入って来て、事前指導してくれた。ところが、もらっていた動画と、曲目からして違う。

元のは忘れて、あらためて覚えなおす。こっちのほうが簡単だ。さて、ステージに上がってみると、かかったのは、元の動画のほうの曲だった。まず、インストラクターが動きを教えてくれて、練習するのだけど、その動きがまた、動画と同じではないのである。うわぁ。心の中で大混乱。

ステージに上がってからの1回や2回の練習で覚えられるはずもなく、ボロボロだったが、もとより、私が上手にできるなんて誰も期待していないので、これで問題なかった。こういうのはバグったとは言わない。我々は完璧にごまかし通し、観客は混乱にまったく気づいていないのだ。

んあああっ! そのステージの模様が、動画でネットに上がっているではないかっ! や〜め〜れ〜! 超ハズカシー! 動画へのリンク、ここには張らない。

2018年6月16日(土)、成都の写真:
https://photos.app.goo.gl/kdDJM7ExkXdotZth9


2018年6月17日(日)、重慶の写真:
https://photos.app.goo.gl/G6LtNDo1Y2xwSaC66



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セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
http://www.growhair-jk.com/



《NHKで全国放送される》

私がテレビ映っているのを会社の同僚がたまたま見て、メールで知らせてくれた。私は事前に知っておらず、見ていなかった。おそらく、流れ弾に当たって、ライブを観ているところを後ろから映されたぐらいであろうと思っていた。

番組は『NHKニュース おはよう日本』。7月14日(水)に全国放送された。私が映ったのは、5:18amごろ。

番組の取材対象は、尼僧アイドルとして活動されている光誉祐華さん(旧名:愛$菩薩さん)。
http://idolbosatsu.jp/


私は、5月13日(日)に大阪で開催されたライブと、5月24日(木)に芝の増上寺で開催されたライブを観に行っており、両方でNHK奈良放送局が取材に入っていた。

増上寺のとき、にゃんにゃんポーズで記念撮影しているところがバッチリ映っているではないか! こりゃ、目が覚めるわ。おはよう、日本。

一年間はNHKのウェブサイトで視聴できるとのこと。6分37秒の動画。ケバヤシが映るのは2分30秒あたり。
https://www3.nhk.or.jp/news/cameramanseye/2018_0704.html