今回は、前回のマイクロビットの講座のつづきです。
https://bn.dgcr.com/archives/20181203110100.html
(4)数枚の講座テキストでは後が続かない
講座によりけりですが、基本的に講習用テキストは数ページ、多くても40ページほどです。数枚では物足りないのは確かです。
イベント展示した時に、子どもたちから言われたのが、講座で作ったけどその後どうしたらいいか分からなかった、とのこと。家に帰ってから学習したり、楽しめるものが用意されていなかったということです。
ここらへんは、講座の関係で仕方ない面もあります。そういう点で、Scratch(スクラッチ)やマイクロビットは、世界中で作られたコンテンツを見ることができるので、上手にクリアしていると思います。
とはいっても、見てどうにかしろというのも不親切だと思ったので、それなりのテキストを用意することにしました。基本一枚で一つのネタにしました。表には説明文章を、裏面にはブロックエディタの画面キャプチャーしたものをレイアウトしました。説明を読んでから裏面だけ見ればプログラムが作れる、というわけです。
ネタは以下のものを用意しました。
001_準備
002_文字や数字を表示しよう
003_LEDを1秒ごと光らせよう
004_計算してみよう
005_温度を表示しよう
006_音楽を演奏させよう
007_ボタンを押したら音を出そう
008_カウントダウンタイマーを表示しよう
009_乱数を使って星空を表示しよう
010_部屋の明るさに応じてLEDの明るさも変えよう
011_画像をスクロールしてみよう
012_マイクロビットをゆらしたら音を出そう
013_LEDの点をボタンで動かしてみよう
014_反射ゲームを作ってみよう
015_○×ゲームを作ってみよう
016_サイコロを作ってみよう
017_ルーレットゲームを作ってみよう
018_方角を矢印で示してみよう
019_LED表示を反転させよう
101_抵抗入りLEDを光らせてみよう
201_無線通信をしてみよう
202_リモート温度計を作ってみよう
203_無線でメッセージを送ろう
301_電気が通るか調べてみよう
401_ブレッドボードを使ってみよう
501_信号機ボードを使ってみよう
601_ピアノボードを使ってみよう
701_サーボモーター使ってみよう
801_液晶モジュールを使ってみよう
ブロックエディタでもいろいろ作れますが、将来的なことも考えてPython版のテキストも用意しました。ただし、これは興味あれば家に帰って学習してね、という性格のものです。実際の講座内ではAIのディープラーニングなどで使われてます、といった説明をした後で配りました。
Python版では以下のネタを用意しました。
001_準備
002_文字を表示してみよう
003_マークを表示してみよう
004_画像を表示してみよう
005_画像をアニメーションさせてみよう
006_乱数を使って星空を表示しよう
007_ボタンを押したらLEDに数字を表示しよう
008_カウントダウンタイマーを表示しよう
009_LEDの点をボタンで動かしてみよう
010_傾きセンサーを使ってみよう
101_抵抗入りLEDを光らせてみよう
201_音を出そう
202_音楽を鳴らそう
203_しゃべらせてみよう
301_電気が通るか調べてみよう
ブロックエディタのテキストが76ページ、Python版が36ページです。これだけあれば数日は楽しめるかなといったところです。
(5)開発環境のインストールから始めてはいけない
講座によっては開発環境のインストール&構築で、大半の時間が終わってしまうことがあります。というか、何度かこのパターンがありました。
開発環境は各自がマシンを持ち込むために、うまく構築できないこともあり、それで多くの時間を浪費してしまいます。さすがに、子供向けの講座でそれをやってはいけません。
手伝ったIchigoJamの講座でもっとも優れているのは、この開発環境のインストールが不要で、電源を入れればすぐにプログラミングできるという点です。実際見ていてなるほど、と感じました。電源を入れてすぐに使えるのは重要なポイントです。
幸いマイクロビットは、ブラウザさえあればよいので、開発環境のインストールは不要です。ところが、運の悪いことに11月初めにブロックエディタがバージョンアップされ、ブロックの形状や機能が変わってしまいました。
購入したモジュールが最新版で使えるかテストしたところ、動かないものがいくつかありました。そこで、一つ前のバージョンのブロックエディタを使うことにしました。URLとしては以下のようになります。
https://makecode.microbit.org/v0
また、パソコンの電源を入れたり、ブラウザを起動して下さい、というのも時間コストがかかるので、講座が始まる前にブロックエディタが使える状態にしておきました。このようにしておけば、すぐにプログラミングに取りかかれるからです。
失敗から学んだことを教訓にして、マイクロビットの講座にのぞみました。まあ、学校の授業ではないので楽しみながら作りましょう、という感じで話を進めました。
さて、今回の講座で作るのは「信号機」です。交差点にある赤、黄、緑の信号機です。無線機能を使って信号機を制御するわけです。
信号機だけ作っても面白くないので、二つのグループにわけて、それぞれ街を作ってもらう感じにしました。最終目的は街の交差点を作ることですが、そこに至るまでに、以下のように時間と内容の配分をしました。
1時間目:マイクロビットの説明と、ブロックエディタを使ったプログラミングの説明です。ここは基本になるので、子供だけでなく親が補助するようにお願いしました。基本部分でつまずくと先に進めないからです。
2時間目:講座用のテキストは70ページほどあり、全部作ることはできません。そこで、テキストの中から自分で作りたいものを選んでやってもらうようにしました。この段階でいろいろ試行錯誤したり、プログラミングに慣れてもらうというわけです。ここまではそれぞれ単独でプログラミングします。
3時間目:最後はグループでの街作り、信号機作りです。信号機だけでなく周辺に飾るLEDも作ります。装飾系男子というわけではありませんが、とにかくLEDをブレッドボードに差しまくって点滅させたりと、いろいろです。
グループでの開発なので、誰が何を作るのか、信号機の点滅はどうするのかなどを話し合って作っていきます。
講座はこんな感じでしたが、困った部分もありました。時間を区切っているので、途中に休憩が入ります。ところが、ほとんどの人が休憩しようとしないのです。途中でお菓子が配られるのですが、お菓子はほったらかし……。
また、親の方が真剣に開発してしまっている、というのもありました。ここらへんは仕方ないかなという気もします。
とは言え、全体的にはトラブルもなく時間も切迫することなく終わったので、ほっとしたといったところです。
会場の様子を撮影してツイートしたのがあります。以下のような感じです。
https://twitter.com/openspc/status/1068712492849782785
マイクロビットに関係する雑誌や書籍、マイクロビット以外のシングルボードコンピューターも展示しました。
IchigoJam/IchigoLatte、Raspberry Pi(2,ZERO)、 Arudiono UNO、obniz、M5 Stack、 PINE64、 Orange Piなど。
こういう展示をしておくと、親が興味を持ってくれるというのもあります。子供がうまく学習していくかどうかは親の影響も大きいので、そこらへんアピールしておくのも重要なポイントです。
【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/
講座では、持ち帰ることができるマイクロビットはひとつですが、2時間目からはもうひとつマイクロビットを配ります。無線通信をやりたい場合に必要だからです。
さらに3時間目の街作りでは、必要な分だけ使ってもよいことにしてあります。これは、発想をなるべく制限しないようにといったところからです。時間があればアイデア出しでいけるのですが、そうではないので資金力(?)で解決するという具合です。
こういう講座の成果がいつ出てくるかはわかりませんが、将来的に何か面白いことをしてくれる人が出てくるといいかなと思ってます。
・創って学ぼうプログラミング
https://news.mynavi.jp/series/makeprogram
・みんなのIchigoLatte入門 JavaScriptで楽しむゲーム作りと電子工作
https://www.amazon.co.jp/dp/4865940936
[正誤表]
http://www.openspc2.org/book/error/ichigoLatte/
・After Effects自動化サンプルプログラム 上巻、下巻
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397591
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397605
・IchigoLatteでIoT体験
https://www.amazon.co.jp/dp/B06X3X1CHP
http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/218591
・みんなのIchigoJam入門 BASICで楽しむゲーム作りと電子工作
http://www.amazon.co.jp/dp/4865940332/
・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/
・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/
・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/
・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/