《トマソンとはそういうものなのだ》
■わが逃走[233]
瀬戸内の構造美の巻 その2
齋藤 浩
■もじもじトーク[101]
街中で見つけた素敵な書体探険記 その1 ~春日駅フォント~
関口浩之
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■わが逃走[233]
瀬戸内の構造美の巻 その2
齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20190207110200.html
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気がつけば一年の12分の1が過ぎ去ってしまいました。
このままいくと、すぐ夏になってしまう。
私は夏はキライなのです。暑いから。
嗚呼、早く秋にならないものだろうか。
さて前々回、因島で散歩中に発見した物件について書きましたが、
今回はその続きであります。
運転中、視界の端に妙なものが映り、たまたま信号で停車したので凝視すると、なにかとても不思議なものを発見。
かなりなトマソンである。
鉄筋コンクリート建築二階建の公民館なのだが、
その二階部分、屋外へ通じる扉が左右ひとつずつ、計二つある。
扉を出ると、それぞれ上に登る階段があり、中央の踊り場とおぼしきところで合流している。それだけ。
つまり、ふたつの「高所ドア」を「純粋階段」が繋いでいるダブルトマソンといえよう。この存在感はスゴイ。




隣の部屋に行くための廊下を付け忘れたので、外廊下にしたとか?
でもわざわざ階段で上り下りする必然性があるだろうか。
バリアフリーとか言う以前の問題である。
最初見たときはヒサシとして機能しているかとも思ったのだが、その下には何もないのだ。
さて、後にGoogleマップで見てみたところ、つい先ごろまで手前の敷地には消防署があったらしい。
これはそこと行き来するための通路だったのだろう。
謎が解けると、ちょっとワクワク感が減っちゃうものだなあ。
おそらく手前にはすぐ新しい建物がつくられるので、
この物件が見られるのも今だけかもしれない。
トマソンとはそういうものなのだ。
それにしても、近くで見ても離れて見てもその強さは圧倒的だ。
その後、向島へ。
昨年話題になったこの島はけっこう広い。
私も尾道通いが長いわりに、この島で歩いたことのある場所は、ごく一部だ。
今回は島の東側に向かって(ほとんど)あてもなく歩いてみたわけだが、そこで、ものすごいカワイイ物件と出会ったのである。


この壁にくっついてる蛇口とちいさな水鉢。
これはなんとも「佇まいの美」といえましょう。
周囲に人影もなく、
今はもう使われていないっぽいけど、
かつてはここから打ち水や(井戸じゃないけど)井戸端会議がなされたりしたのだろうか。
近づいてみる。
この小ささはどうなのよ!
もう、かわいすぎます。
当然職人さんの手作りでしょう。風情があふれ出ています。
作った人も使ってた人もイイ人にちがいない!
そう思わずにはいられない。
そして、そう思わせる力ってすごい。
こういうデザインを超えた物件による「数値化できない力」、
偶然とか、無作為とか、そういったものの持つ力ってなんなんだろう。
これこそ理力ってやつなのかしら。
「おもしろいね」だけで終わらない、コトワリの力を
世のため自分のために活かせないものかのう。
と思うのだった。
【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
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■もじもじトーク[101]
街中で見つけた素敵な書体探険記 その1 ~春日駅フォント~
関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20190207110100.html
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。
新しい年が始まりました、って思っていたら、すでに2月がやってきました。
毎年、そう感じる、恒例の出来事ですね……。歳をとると時間が経つのが早く感じる、と聞いたことがありますが、まさにそれです。
●まちもじ特集が復活
過去に、不定期で「まちもじ特集」を何度かやりました。好評だったので(のはず…笑)、復活したいと思います。
気分を改めるために、シリーズ名を「街中で見つけた楽しい書体探険記」にします。フォントマニアの視点でなく、フォント初心者目線のゆるい探険記です。
新装開店の第一弾として、「春日駅フォント」をご紹介します。
●「春日駅フォント」と命名
一昨年7月、都営大江戸線の春日駅で降りて、東京ドーム方面へ行こうとしたら、こんな看板を発見しました。じゃーん!
http://bit.ly/2RLKPcw
なんか、楽しいでしょ! 実際に、文字を触ってみると、ガムテープよりも厚みがあってしっかりとした素材でした。
『春日駅フォント』と命名したいと思います。以下、僕の個人的な感想です。
良いと思った点
・なんか、楽しそう
・駅員さんの手作り感がある
・文字の混み具合によって、線の太さを変えているのが面白い
・デジタルフォントを使用していないことが、かえって新鮮だね
・「ドーム」の文字、愛嬌があってよろしい
気になる点
・左側のサインシステムとアンバランスな感じがする
・「TOKYODOME」の文字が全角英数なので、案内用文字組みとしてはバランスが悪い
・文字に興味がいってしまい、出口がどっちか忘れた(僕のケース)
この案内版、僕は好きなので親しみを込めて、「この看板、面白いよね」「ウエイトが統一されてないは変だよね」とか、ここ数年、Facebookで写真といっしょに投稿したことがあります。
ある日、知り合いから、「春日駅フォントがなくなっているらしい」という情報を入手しました。えっ、ほんとなの……。
気になってしょうがないので、さっそく探険してきました。あれっ、ガーン。
http://bit.ly/2ShVoJP
本当にありませんでした。ショックでした。
もしかして、僕がおもしろおかしく、Facebookで取り上げてしまったからなのかな……。そんなことはないよね。
●春日駅構内をさらに探索
春日駅フォントの看板がもう一か所、掲示されていることを思い出したので、探索してみました。
それがこちらです。
http://bit.ly/2GcnNKI
おおぉ、ここもなくなっている。ガーン。さみしい……。
この看板についても、Facebookで「チルダ(にょろ)の形がおかしくね?」とか、コメント書きました。すみませんでした。
春日駅構内をもう少し、探索してみたら、おもしろい看板をいつくか発見しました。
http://bit.ly/2DUUEBd
「ATM」と書かれていると思われる壁文字ですが、その周辺には何もありませんでした。前に銀行ATMがあったのかしら……。
A4用紙に印刷された複数の文字を貼りあわせた、気になる看板も発見しました。そのような看板を作る時は、文字と文字の間隔をうまく調整しないと、読みずらくなるので、その点をもう少し頑張って欲しかったです。
改行位置を適切に区切ったほうが、 読みやすい看板になるのでは? と感じた看板も発見しました。改行位置を間違うと大変なことになりますよね。少し古い記事ですが、とても楽しい記事なので、共有しますね。とにかく、おもしろいです。
・なぜそこで改行したんだ! とつっこみたくなる貼り紙12選
http://bit.ly/2HXgRCW
●CSS Nite ベスト10セッション 2018
最後に、お知らせです。
昨日発表された『CSS Niteベスト・セッション2018』の「ベスト10セッション」に選ばれました。わーい。ぱちぱちぱち!
https://cssnite.jp/archives/best-session2018.html
昨年12月22日開催「CSS Nite Shift12『Webデザイン行く年来る年』」のフォントセッションでは、前年度に引き続き、鷹野雅弘さんとのコンビでお送りしました。
今回のフォントおじさんは、正しい暴走ってノリで、フォントまわりのトレンドをお話させていただきました。
CSS Nite(シーエスエス・ナイト)は、当初、CSSをはじめとしたウェブ標準にまつわるテーマ中心とした、ウェブデザイナー対象のイベントでしたが、現在ではウェブデザインやウェブマーケティングに関するテーマを総合的に扱う、業界最大規模のイベントになりました。
主催は株式会社スイッチという会社です。代表は、「フォントセッション」を一緒に担当した鷹野雅弘さんです。
CSS Niteというイベントセミナーは、2005年10月から開催しています。すごいでしょ!
そんな由緒あるイベントにおいて、昨年100本以上のセッションが実施された中、「ベスト10セッション」に選ばれたことは、とても光栄でした。
今年も、日本全国各地で、フォント伝道師として頑張りたいと思ってます。
次回の第2弾は、「ガムテープ文字(修悦体)」をお送りする予定です。
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
フォントおじさん
https://event.fontplus.jp/about/hiroyuki_sekiguchi.html
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。
現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして、日本全国を飛び回っている。
日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、オトナンサー等のWebメディアにて、文字に関する記事を連載中。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。
フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/
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編集後記(02/07)
●偏屈読書案内:
石平「アメリカの本気を見誤り、中国を『地獄』へ導く習近平の狂気」
相変わらず長いタイトルがお好きな石平さんである。カバーのデザイナーも大変だ。一冊全部がタイトルの内容ではないのは当然である。さまざまな問題が取り上げられている。「世界最悪の監視社会の誕生」というテーマが恐ろしい。14億人の中国人は、共産党政権と異なる価値観や意見を持つことは許されない。
習近平が目指すのは、カルト宗教的な全体主義国家の建設である。そのための言論弾圧が凄まじい。「言論監視システム」の恐ろしいほどの完璧さと効率のよさを知らされると、中国人でなくて本当によかったと思う。国会で野党が繰り広げる無礼で愚劣なイチャモンを聞いていると、君たち日本人に生まれて本当によかったね、言いたい放題できるのは日本だけだよ、と言ってやりたい。
ある若者が、夜に自分の微博(ソーシャルメディア)で、「僕がこの程度のことを言って捕まっていたら、国民に言論の自由がないことが証明され、この国は終わりだ」と書いた。翌日には当局により拘束の身となっている。言論監視の厳密さと弾圧の迅速さは、まさに驚嘆すべきものだ。その若者は「終わり」だ。微博で「悪臭支那!」と一言書いただけで、人生を狂わされた女性もいる。
ついに中国では国家権力による国民の監視と、自由の制限のシステム化が始まった。現在、中国全土に2億台以上のAI内蔵・監視カメラが設置され,24時間、人々の動きを監視している。内蔵AIはGPSや顔認証システムを通して、当局がまとめた「犯罪者」のデータベースとリンクしている。警察官は顔認証システムが搭載された特殊ゴーグルを装備しており、データベースとリンクしている。
監視対象は、一般的意味の犯罪者だけではなく、共産党や政府に対して反抗する人や、反政府的デモや抗議活動を行う人は、このシステムによって身元が割り出され、簡単に逮捕されてしまう。中央テレビはシステムのすごさをアピールする番組で、「自分がどこに行っても監視されている」という意識を全国民に植え付ける。国民にデモや抗議活動などへの参加をためらわせるためだ。
ネットは当然、中国政府が重点的に監視する領域のひとつだ。いまではネットユーザーが自分の端末機器から発信する、微博やSNSでのおしゃべりが監視されているのはもちろん、消費者用電子決済システムも政府の監視下にあるから、政府がその気になれば、個人の消費行動を細かくチェックできる。
こうした国民監視のシステム構築の究極は、個人保有携帯電話やスマホなどの端末通信機器に、政府開発の監視用ソフトのダウンロードを『強制』する計画だ。監視用ソフトが入ると、個人が受発信したすべての情報が政府の監視システムに送り込まれる。政府は重点的監視対象になっているウイグル人たちに、このソフトを強要し始めているが、いずれは全国民に広げていくのだろう。
携帯やスマホの購入、保有は「実名制」である。誰かが政府批判のメッセージを発すると、本人の身元は直ちに割り出される。通信機器を使っての政治批判は完全に閉じ込められた。中国では国民全員が24時間、常に誰かに監視されているという恐怖感と憂鬱のなかで生きていくしかない。だが、ガス抜きのできない国民の不平不満が溜まれば、いずれは大爆発。期待しています。(柴田)
石平「アメリカの本気を見誤り、中国を『地獄』へ導く習近平の狂気」
2018 ビジネス社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4828420576/dgcrcom-22/
●旅行する中国人は、監視されない自由を満喫しているのか。
/トイレの電灯続き。/元の電球がつかないので(廊下で試す前だった)、どちらの色だったかわからない。電球色だったような気がするが、掃除をしている時に気になったことはないから、昼白色だったかも。
ネットで調べると、「トイレは電球色がおすすめ」とあった。根拠としては、夜中に薄暗い部屋からトイレに行き、昼白色の強い光がついたら、その差で目が痛くなるとか、その後の睡眠を妨げるとかあった。
夜中にトイレに起きることはほぼないが、今後はわからない。何せLED電球は長持ちするというではないか。(この時はまだ40,000時間の本当の意味は知らなかった)(hammer.mule)