[4762] 模型店で買うプラモは教材◇生きる伝説 イチローとSamさん

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《えっ、Samさんって誰?》

■わが逃走[236]
 量販店で扱うプラモは玩具だが、模型店で買うと教材になる。の巻
 齋藤 浩

■もじもじトーク[104]
 生きる伝説、イチローとSamさん
 関口浩之




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■わが逃走[236]
量販店で扱うプラモは玩具だが、模型店で買うと教材になる。の巻

齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20190328110200.html

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北陸のとある街にて、美術教育に関する意見交換ということで(ということにして)友人Tと飲んだくれたのだが、開始時間まで余裕があったため、ちょいと地元のステキな店に行ってみようということになり、案内してもらった。

ステキな店とは、星2つのマークが掲げられた個人経営の模型店のことである。

ガラス戸の向こうには、箱がぎっしり。営業中の札がかかってはいるものの、店内は暗い。客がいないときは店の照明を切っているのだ。

引き戸を開けると奥から店主(オヤジ)が現れ、蛍光灯をつけてくれた。こういう店は何も買わずに出るのが難しい。

店内は子供の頃に通った昭和の模型店そのものである。

棚を見上げると、いつか作りたいデカイ箱が、紐でふんじばって鎮座している。1/6のバイクや1/350の戦艦なんかだ。

手の届かないところにある「あこがれ」が、自身の成長とともに近づいてくる構造。

さらに、懐かしい絶版モノも多数。しかしそれらが私にとって必要かといえば、そうでもないところも絶妙だ。

車、戦車、ヒコーキ、キャラクターものから鉄道模型までなんでもある。塗料や工具も充実しており、ある種の「夢の空間」だった。ガンダムに偏る都会の量販店にはない、教育的文化を感じる。

ガンダムを否定するわけではない。模型製作の楽しさを万人に知らしめたガンプラ(ガンダムのプラモデルの意)の功績は大きい。

しかし、ガンダムを入口とし、そこから先に進む道が開かれていることこそ、人が成長する上で重要なのだ。と言いたい。

よい書店とは、売れる本だけでなく、イイ本が置いてある。

漫画を買いに来た少年が、たまたま隣の棚にあった洋書と出会い建築家になった、なんてことを聞いたことがある。

模型店にも同じことが言えるのではないか。目の前の興味の対象=ゲームのメカデザインや、アニメ設定の“元ネタ”を、隣に積まれている戦車や飛行機から学び、それらを組み立てることで歴史や構造を学ぶ。

例えばあの赤いモビルスーツは、第一次大戦時の戦闘機乗りが使った赤い飛行機にアイデアのルーツを見ることができるし、連邦軍とジオン軍の対立は第二次大戦の連合国と枢軸国の図式になぞられる。

また動力モデルに目を向ければ、そのギミックから機構自体の仕組み(回転運動を往復運動に変換するなど)を知り、力の伝達を視覚的にも触覚からも学べるわけだ。

興味を持ったら、次のステップが隣に積んであるという高揚感・安心感は、模型を通して文化を育てようという、送り手側の心意気によるものだろう。

これぞ真の教育! 重要なのは「それがなにか」ではなく、「そこから何を学ぶか」なのである。学びの機会と出会う場所、それこそが町の模型店なのだ。

圧倒的な量の積み箱に囲まれながらしばし店内を歩く。まさに至福の時間。

さて、とくに気になるものがなければ消耗品(接着剤や塗料)でも買って帰るか、と思ったところ友人Tが1/35の恐竜を手に取った。タミヤのトリケラトプスだ。

タミヤの恐竜シリーズは地味ながらも息の長い商品で、たしか私が小学生の頃にはすでにあったはず。その後、ジュラシックパーク公開のタイミングでさらにラインナップが拡張されたと記憶している。

恐竜プラモの面白いところは、発売時の学説がプロポーションに反映されている点だ。

たとえばティラノサウルス。シリーズ初期のものはゴジラのように直立していたのに対し、後発のものは地面と背骨が並行になるような姿勢になっている。その両方がいまでも手に入るのだ。

さらに現在の学説を取り入れるとすれば、今後羽毛が生えたものが登場するかもしれない。

また、恐竜プラモは塗装の自由度も高い(なにせホンモノの恐竜を見た人は存在しないので)。

昔の図鑑風に地味なグレイ系で塗るのも迫力があって面白いだろうし、南国の鳥や熱帯魚のようなパターンを極彩色で入れてみても楽しいと思う。

調べて、作ることで進化の過程や骨格の構造を知り、わからないところは想像で補いながら。モノとしての完成度を高めてゆく。イイねえ。これぞ醍醐味。

友人Tは迷った挙句、トリケラトプスとステゴサウルスを購入した。私はそれをうらやましそうに眺める。そんなぼくらはアラフィフである。

その後、店を後にした我々は超実力派居酒屋にて北陸の幸を味わいつつ、美術教育に関する真面目な話から、彫刻とフィギュアの境界線はどこかといった話になり、「スター・ウォーズ」はミニチュアで撮るからこそリアリティがあったのだ、あたりでヘベレケになり、もしもエイリアンの「あの」シーンがボツになってなかったら、あたりでグデングデンになったのでした。


後日、実家の物置を片付けていたところ、タミヤ製「トリケラトプス」が出てきた。中学生のときに買って安心して、そのまま寝かせていたものだ。

なつかしいタミヤマークのチューブ入り接着剤も同包されている(現在は接着剤別売)。

パーツを見ると、思った以上にメリハリがある。背中の皮膚の表現が繊細。かと思えば、腰の筋肉やツノの付け根は、ノミの痕跡を感じるほど荒々しい。

こういった「動き」を「止め」で表現する工夫、何を生かし何を省くかといった彫刻的な表現を、タミヤはプラモデルというマスプロダクトに落とし込んでいたのだ。

パーツを切り取る前の状態で、すでに原型師や設計者の考え方がわかる。当時(35年前)は気づかなかったメーカーの心意気を感じてしまうのだった。というわけで、タミヤのトリケラトプス、当時価格は500円。今でも500円!


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/


1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[104]
生きる伝説、イチローとSamさん

関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20190328110100.html

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

本日のもじもじトークは「生きる伝説、イチローとSamさん」をお送りします。えっ、Samさんって誰っ? 後半で登場します!

●生きる伝説、イチロー

生きる伝説といえば、先日、現役引退を表明したイチローさんが、頭に浮かぶのではないでしょうか。引退会見の中で、心に残るフレーズがたくさんありました。僕にとって、この二つが印象的でした。

『できるかどうかじゃなくてやりたいかどうかで挑戦すればいい。やりたいと思ったことに向かっていきたい』

『野球人生で貫いたことは野球を愛していたこと。野球に限らず熱中できるものを見つけて突き詰めろ』

この二つのメッセージは、スポーツに限らず、仕事に対する考え方やライフワーク全般にあてはまることだと感じました。

とてもシルプルなことだけど、それを実行できるかといえば、簡単でなかったりします。

とくに大企業で働いていると、社長や上司の顔色を伺いながら仕事している人も少なくありません。やりたくない仕事が降ってくるのも当たり前です。

でも、やらされ仕事と考えず、自分ごとに捕まえて、情熱を注いでいると、いつの間にか、やりたい仕事になっていることもあります。(でも、本当に理不尽なことばかりなら、配置転換を願いでるか、転職するか独立しましょう……)

同じ仕事を複数人のチームでやっていても、目をキラキラさせて情熱を注いでいる人と、暗い顔して「うまくいくわけないじゃん」とぶつぶつ言い訳しながらやる人がいます。どうせ、やるなら、情熱をもって楽しくやったほうがいいよね。

僕が今、携わっている仕事、8年前にゼロからスタートした新規事業でした。当初、成功するかどうかまったくわかりませんでした。

ゼロスタートの新規事業が成功する確率は、正直、非常に低いんです。でも、失敗するイメージは持たないようにしてたし、楽天家な性格も手伝って、その事業は今でもしっかり生き残り、成長しています。

理不尽なこともたくさんあったし、精神的にボロボロになったときもありましたが、「どうせやるなら楽しくやろう」って決めて、コツコツ続けていたら結果が出ました。そして、その事業は8年目迎えました。

そして、昨今、僕は『フォントおじさん』という、新たな称号も入手に入れました(笑)

ゴールを明確に決めて結果をだすこと、そして、その結果を出すために好奇心と情熱を注いで毎日取り組むって感覚は、スポーツも仕事も同じだなぁと感じた一週間でした。

イチローさん、おつかれさまでした。素敵な会見、ありがとう!

あっ、そうそう、Facebookでたまたま見かけたパロディ記事が面白かったので、シェアします。

・もしイチローが意識の高い就活生で、面接を受けたら
https://note.mu/kzwtnb/n/ncc36c1f73faa


この記事、イチロー独特の言い回しを、入社面談に置き換えてパロディにしてます。僕は電車の中で読んで、思わず爆笑してしまいました。恥ずかしい……。オモロかった。

●生きる伝説、Samさん

ぼくが尊敬する、もう一人の生きる伝説、Samさんをご紹介します。

えっ、Samさんって誰?

古川亨さん(通称、Samさん)です。ご存知ではないですか?

ウィキペディアでは、「古川享(ふるかわ すすむ、1954年7月12日 - )は、日本の実業家。マイクロソフト初代代表取締役社長。慶應義塾大学教授」と紹介されています。

通称Samさん、こと古川亨さんは、マイクロソフト株式会社の初代社長(1986─1991)です。1991年から会長職等を歴任し、2005年6月にマイクロソフトを退社。

※マイクロソフト株式会社は、現在は日本マイクロソフト株式会社。「MSKK」と表記することもあります。

かつて暴れ馬として(←褒めてます)有名だったビルゲイツを手なずけた、唯一の男だと思います。古川さんもビルゲイツもたくさんの伝説をもっています。

Samさんは、パソコンの父であり、鉄道模型マニアであり、世界的に有名な鉄道写真家であり、そして、破天荒なナイスガイなのです。

好きすぎて、古川さんではなく、親しそうにSamさんと表現しちゃっいました。お許しください。

僕も鉄道模型やってたし、小さい頃から家電を分解したり、ラジオ製作するのも趣味だったし、カメラも好きなので、Samさんのブログや記事を読むのがすごく楽しみなんです。

Samさんの伝説に比べれば、僕の伝説は、まだまだ、1/100ぐらいではありますが……。

先日、ソニー本社ビルで開催されたセミナーに、古川享さんが出演すると聞いて、速攻、申し込みました。

イベントの様子を公開します。ぜひ、ご覧になってください。ツーショット写真も撮らせていただきました!
http://bit.ly/legend-sam


僕は一般参加者でしたが、大好きな古川享さんや澤円さんが出演すると聞いて、ボランティアでセミナーのお手伝いしました。会場の音響設備、マイク担当をやりました。集合写真では右端にいます。ピンボケですが、Tシャツで立っているのが僕です。

古川さんのお話は共感することがあり過ぎたので、一番大切だなと思ったフレーズをひとつ紹介します。

『大切にしなければいけない順番は、「1.自分自身 2.家族と知人 3.会社」である』

「10年後はどんな時代になるのでしょうか?」とよく質問されるそうですが、「その答えは、自分自身の中にあるんだよ」と答えるそうです。

自分自身がどうしたいかが大事であって、自分自身がどう時代を変えていくかが重要なんです。

古川さんから、たくさんの失敗談や、数々の伝説話、裏話などをお聞きしましたが、Samさんのトークでは、押し付けるような話は一切なくて、若い人がより良く生きるためヒント、つまり、「触媒になりたい」ということなんです。さすが、レジェンド。

古川さんとビルゲイツとの伝説のエピソードは、ウェブ上にたくさん掲載されているので、ぜひ、"Sam FURUKAWA"で検索してみてください。

新幹線の切符事件、コピーマシンのコスト談義、メイリオフォントの誕生秘話など、勉強になる記事がたくさんでてきます。おすすめの記事は、このあたりかな。

・ビル・ゲイツが起こした4つの事件とこの上なく誠実で熱い物語
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1408/13/news109.html


・「私の原点はアスキーにあります」元マイクロソフトの古川享氏が“これから”を語る
https://weekly.ascii.jp/elem/000/000/304/304009/


・マイクロソフト時代は日々プレッシャーと戦い、髪も真っ白になりました。でも、今じゃ仏のサムと呼ばれています
http://www.ewoman.co.jp/winwin/116


・脳梗塞で倒れた古川享さんの頭の中はどうなっていたのか
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1612/09/news075.html


●僕がお話したことがある、生きる伝説たち

生きるレジェンドは世の中に何人もいますが、実際に会ってお話したり、一緒に仕事したことある人は少ないですね。

僕は、ラッキーなことに、ビル・ゲイツ、ジェリーヤンとは直接お話したことがありますし、孫正義社長とは一緒に仕事したことがあります。

生きるレジェンドに直接お会いすると、文章で読んだ伝説がリアリティになり、身近に感じられるようになります。

ビル・ゲイツ氏には、1998年に名刺交換しお話もしました。彼の人柄は、先程の古川さんの記事からわかるかと思いますが、とても気さくでフレンドリーでした。でも、社員には怖い顔をして罵声を浴びせるんだろうなぁ、と想像がつきました。

ジェリーヤン氏は、米ヤフー創設者の一人です。1995年に、まだ米ヤフー社員が数十名だったときに、仕事で何度かお会いしました。すき焼きも一緒に食べたし、とにかくフレンドリーで、ナイスガイでした。

僕は1995年にソフトバンクに転職したんですが、その年末にヤフージャパンの立ち上げプロジェクトに参画し、一緒に仕事した孫正義さんも、尊敬する生きる伝説です。

●生きる伝説の共通点

1990年代、パソコンが世の中に普及し、インターネット黎明期で、いろんな変化があった楽しい10年間でした。なんでもありの時代でした。会社に何日も寝泊まりしても叱られなかったし(笑)

そんな変化の激しい時代に、伝説の人たちに出会い、いろんなことを学べたことは奇跡であり、この上ないギフトだと感じています。

彼らには、共通点があります。
・偉ぶらない
・愛がある
・ユーモアがある
・茶目っ気がある
・熱中すると時間を忘れる
・前向き
・少年みたいな好奇心のかたまり
・変態である(←超褒め言葉)

ぼく、来年で60才。古川さんのような変態でナイスなガイを目指してがんばります。

では、2週間後の木曜日にお会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
フォントおじさん
https://event.fontplus.jp/about/hiroyuki_sekiguchi.html


1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。

現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして、日本全国を飛び回っている。

日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、オトナンサー等のWebメディアにて、文字に関する記事を連載中。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。

フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/



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編集後記(03/28)

偏屈BOOK案内:「浮気」を「不倫」と呼ぶな─動物行動学で見た「日本型リベラル」考 川村二郎・竹内久美子

川村二郎は元「週刊朝日」編集長、竹内久美子は動物行動学研究家・随筆家。タテマエの朝日新聞、ホンネの週刊朝日といわれていた頃、新聞の世界に戻ると、タテマエの新聞は国旗国歌法反対のキャンペーンを始めた。おなじみ「軍靴の響きがする」というアレである。朝日の最大の催し夏の高校野球では、開会式も閉会式も国歌吹奏、国旗掲揚の儀式を行っているのになぜソレをやる。

言行不一致も極まる。子供でも分かることが分からない編集委員たち。そのうちの一人が「会場に『君が代』が流れると、席を立つ観衆が多い」と書いたので「あれはホントかよ」と聞くと「あれはウソですよ。でも、今はああ書いておくほうがいいんですよ」。リベラル派の牙城の実態はそんなものだった。

戦後の日本をミスリードした進歩的文化人とやらが、いまは「リベラル」という仮面をつけている。彼らの正体は現実離れの空理空論を弄ぶ子供、無責任でいざとなると逃げ隠れする卑怯者である。こういう考え方は間違っているのか、動物行動学の立場からは現代の人間社会の諸相がどう見えるか、そして動物世界の異性関係とか親子関係はどうなっているのか、研究家の竹内に聞く構成だ。

竹内が入学した京大は民青の巣であった。政治的な思想についてはよく分からなかったが、民青の男は揃いも揃って救いがたいブ男で暗かった。動物行動学を勉強していろいろ分ってきたのは、彼らの本質はモテない男が平等や貧富の差の解消を叫んでいるに過ぎないんじゃないかということだった。人は外見で判断してはいけないというのがポリティカル・コレクトネスだが、それは違う。

外見は中身の反映である。きれいな羽をもつクジャクのオスに、メスの人気が集中する。優秀な子孫を残したい本能があるメスとしては、声やルックスがよく、ケンカが強い、より完璧に近いオスに惹かれるのは当然だ。人を外見で判断してはいけないというのは、外見も中身も冴えない、モテない男たちのプロパガンダだ。「自由・平等・平和」が典型で、それが正しいと刷込まれている。

動物の最も重要な課題は、次の世代、そのまた次の世代に自分の遺伝子をいかに多く残すかにある。浮気をしてあちこちばらまくタイプと、手堅く奥さんをガードし、子育てもしっかりやるタイプもいる、ということである。竹内は、浮気を通じて人間は脳が発達し、言語能力が高まったという「浮気人類進化論 きびしい社会といいかげんな社会」を著し、浮気推奨本だと批判された。

竹内は「浮気」という言葉が嫌いだ。単なる「浮気」に「倫理に反する」という価値観を導入しているのは人間だけだ。「浮気」は動物学では「ペア外交尾」と表現される。人間は非常に特殊な生物だ。なぜなら一夫多妻でも、一夫一妻でも、その夫婦がしょっちゅう別行動をとるのは、哺乳類の中では人間だけだからだ。ほかの哺乳類はペアになったらずっと一緒に行動する。なぜなのか?

そうしなければ、メスが他のオスと交尾をするおそれがあるからだ。だから、オスが必死になってガードする。そういう自然界の常識とは裏腹に、人間はなぜか別行動をとる。浮気が発生するのは当然だ。だから、浮気がいけない、倫理に反するというのは、言葉によって他者をコントロールできるようになった人間の特有な価値観であり、単に浮気に成功できない、冴えない男たちのプロパガンダではないかと思う、という竹内。そーだったのか。つづく。(柴田)

「浮気」を「不倫」と呼ぶな─動物行動学で見た「日本型リベラル」考
川村二郎・竹内久美子 2018 ワック
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4898317863/dgcrcom-22/



●「大切にしなければいけない順番」。全然守られてない。それから「べき」が先になって、「したい」はいつも後回し。あかんな……。

/Google Maps(GMap)続き。二ヶ月ぐらい前の検索なので、ゼンリンは関係ないと思うが、GMapは当てにならないなぁと思った事例。

大阪市内から京都のある施設へのルート検索をすると、関空とリムジンバス経由、京都駅まわりでのルートを一番に勧められた。大阪市から関空まで南下し、北上、東に行き、また南下し、西へ。片道9時間かかるらしい。は?

関空経由にならない結果もあったけれど、やはりいったん京都駅へ大回りしてから。2年前にできたその施設近くへの特急バスルートがあって、そっちが優先されているようだ。施設のサイトには、ルートがいくつか記載されており、すぐそばに通常運行バスのバス停があることがわかった。

なので分けて検索してみた。大阪市内から施設最寄り駅へのルートは1時間未満。その駅からバス停までは徒歩40分、車で10分と出るが、実際はバスで15分程度。施設最寄り駅からのバス情報がインプットされていないようだ。施設最寄り駅やバス停は10年以上前に開通している。バス停は地図の検索結果に出てくるというのに。

極端な結果だから気づいたものの、そうでなければGMapの結果によって、実際より時間のかかるルートを使っている可能性があるってことだ。GMapのフォームから投稿しておいたけれど、いつ反映されるんだろうなぁ。(hammer.mule)