[4817] 脆すぎたはぐれの神経◇エッセイ:くじ引き特等 超短編:泉のほとり

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《初めての海外旅行が西安》

■はぐれDEATH[80]
 脆すぎたはぐれの神経
 藤原ヨウコウ

■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[37]
 くじ引き特等
 泉のほとり
 松岡永子




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■はぐれDEATH[80]
脆すぎたはぐれの神経

藤原ヨウコウ
https://bn.dgcr.com/archives/20190627110200.html

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目先のお金に釣られた副業三昧の日々に、一度ケリをつけることにしました。心身の壊れ方がシャレにならないから。

前に一度、神経をやられて死にかけたことがあったのですが、これは完全にボク自身の問題なのでしゃぁなしです。無駄なやる気と無茶ぶりで、自己崩壊しただけの話。

ところが、あからさまな外因性となると話は別であります。しかも、ほとんど狂気の世界ですし……。

ボクは自分がキチガイであることを公言して憚らない人なので、それなりに気をつけているつもりなのですが(それでも周囲に迷惑を掛けている可能性は高い)、「自分は正しい」と信じて疑わない危ない人がややこしい事件を起こしては、本来無関係なはずの周囲にまで炎上範囲を拡大させる事例を目の当たりにすると、「ヤバい、ヤバい、怖い、怖い」となりますよ。

詳細は省きます。実際まだ現場では進行中の事案ですから。

昨年の副業で両手に腱鞘炎を患いました。幸い本業に支障はありません。ボクは絵を描く時に指を動かさないので(固定するだけ)、腱鞘炎になりようがないのです。

とにかく、びっくりするぐらい右手の指が動かないのですよ。どんくさいにもほどがある。当然、指を細かく動かして絵を描くというような、運動律は成立しません。結果論にすぎないのですが、おかげで色々助かっています。

ですが、本来は左利きです。実際、使っていなかっただけで、少し訓練すれば、大概のことは左手ですぐにできるのですよ。これは前にも書いた気がしますから、飛ばします。ヤバいのはこの左なんです。

3月まで通っていた所で、諸事情があり別の場所に異動になったのですが(雇われている会社は同じ)、異動先の環境が酷すぎました。これまた詳細は省きますが。知人もいるし、変な炎上とか起こしたくないから、話はボク個人に限るのです。

初日から散々な目に遭って疲労困憊、食欲皆無の状態で帰って来るなり布団に潜り込もうとしたら、左足と左手が痙攣(ほとんどつってたなー)を断続的に起こし始めたのです。

身体を動かす職場なので、ストレッチは欠かさずしていたのですが(この日も就労前と帰宅前に、がっつりストレッチをしました)、この体たらくです。

最初は「慣れない環境に身体が拒否反応を起こしているのか?」と軽く考えていました。とにかくつりまくりで痛くて眠れません。しかも、なんの前触れもなく、いきなりくるので質が悪いのです。

とにかくマッサージをして、ツボを押しまくって薬を塗って、どうにかこうにか誤魔化すのに2時間近くかかりました。

手がつるという経験をしたことがある人なら、ご理解いただけると思うのですが、指が外側に反ったっきり戻らなくなるのですよ。痛みをこらえて、無理矢理もとに戻すんですがね。

左利きのボクは、日常生活の何気ないことを結構左手でやっていたりします。これはほとんど無意識です。もちろん右手も使いますが。

本を読む時はほとんど左手で本を持っているのですが(こっちの方が色々楽)、この時に左手がつる。まぁ、持ち方も個人差はあると思うのですが(本を左手でもって、右手でメモするという場面は容易に想像できます)、ボクの場合は本格的に(?)左手で持つのでかなりつらいんです。

問題は翌日です。左の肘から先が痺れている。おまけに、また左側のあちらこちらが変なつりかたするし。

一日おいて再び出勤。この日の朝にはおさまっていたので安心したのですが、帰ってからまたまた左側だけつりまくり事件が勃発。この日は先日の件があって念のため腓返りの薬を買っておいたのですが、これが効かない。正しい用量を無視してやっとおさまった。もちろんセルフ・マッサージとツボ押しの併用です。

ちなみに、買った薬は筋弛緩剤系ではありません。これは怖かったので漢方にしました。今にして思えば、筋弛緩剤系にしておけばよかったのかもしれないのですが、さすがにこっちは専門医の処方が欲しい。

それでも筋弛緩剤で以前、けっこう酷い目に遭っているので(これまた神経をやられてた時に仕方なく)余計に警戒しますよ。だって動けなくなるんですよ。本当にシャレにならないし。

翌日、ついに左半身が麻痺。身動き取れないほどではなかったので、とにかく出社するだけして、事情を説明、話し合った末に退職することになりました。ボクだけで済むならどうでもいいのですが、それこそ二次被害を招きかねないような現場なので、リスク管理という面から辞退した次第です。

原因は、引き継ぎも説明も皆無の状態で現場に出されるという、杜撰で無責任すぎる中間管理職の無能さの招いたストレス。これは断言してもいい。

実際、ボクが辞職した日に担当部署で事故が発生。しかも、事故発生時にすぐ対処ができなかったようです。くどいようですが詳細は省きますが、事故=死に繋がってしまう可能性が非常に高い現場で、ボクの危惧がここまでそっこーで事例として現れるとは……。

まったく分からない職場ではないので、ある程度推察はできるのですが、異動前にやっていた環境でオッケーだったことが、そのまますんなり通ることは普通あり得ません。

それぞれの現場にそれぞれのローカル・ルールがあって当然なのです。このローカル・ルールに関する、引き継ぎなり情報提供なりがまったくない。とにかく「行け」の一言であります。旧大日本帝国軍か …(- -;)

戦争ネタで例えるなら203高地、カミカゼ、インパール作戦に等しい愚挙であります。まさか自分が似たような目に遭うとは、夢にも思わなかったよ。

とにかく神経から来る異変であることは、過去の経験上明白なので、翌日から安静に努めました。

それでも左半身の異常は一週間以上続きました。ちなみに、まだ完全に治ったわけではありません。しっかり後遺症めいたモノはありますよ。

強烈な腓返りの連続で、脹ら脛の筋肉が損傷してるような痛みもあるし。こっちはとりあえず、プロテイン飲んで復旧を目指しましたが、こんなアホなプロテインの使い方は普通ないと思います。

知人からは脳の検査を奨められるわ、奧さんにいたってはCTとか言い出したのには正直ビックリしました。

まぁ、脳が何らかの形で絡んでいるのはボクも否定しません。でも脳梗塞とか、脳溢血の可能性は低いと見ています。いや検査したワケじゃないから、実際はどうか分かんないけど。

とにかく血管系ではない。ほぼ確実に神経である。そう思いこんでいます。

右脳・左脳に関する様々な話はよく聞くし、特に左半身に集中しているのはおかしすぎる。それでも左右どちらかの脳や、それに関わる神経が直接的な原因とは正直思えません。

ボクが疑っているのは脳幹です。多分、異常にバランスが悪い状態がでふぉなのでしょうが、今回の件でキャパをオーバーしたような気がしています。

以前、自律神経の薬が切れた時に見られた、急激な血圧低下状態(仮死レベル)が恐らく本来のボクの姿なのでしょう。要は半分死にかけてる(笑)

元々おかしい神経に、違うストレスが加われば、おかしくなるのはむしろ当然であり、必然ですらあります。「生きている」という状態が、どれほど繊細なバランスの上に成立しているのかを、むしろ再確認した気がします。

で、さすがにお医者さんに行きましたよ。もちろん神経内科。

それでも一応、血液検査もしました。「カリウムが不足すると痙攣しやすい」という症例があるそうです。カリウム不足だけで治るならこれに越したことはないので、サクサク検査していただいただきましたが、驚きの結果に……。

血中カリウム値は基準値よりもむしろ多い。おまけで中性脂肪値は低すぎ。その他の値はキレイに基準値内。いわゆる「成人病」になりそうな気配は、この血液検査からは全く見られなかったのです。

先生は中性脂肪値の異常な低さに驚き、「油ものをもう少し摂るようにしてください」と言い出す始末。普通なら「油ものは控えましょう」なはずですが、どうやらボクにはまったく通用しません。

別に油ものを摂取してないワケじゃないんですよ。それなりに食べるけど、量が少ないんだろうなぁ。

それはともかく、これで神経性の痙攣ということがほぼ確定しました。投薬と安静。予想したとおりの結果であります。

おねえちゃんの大学受験に伴うあれやこれやと、本業不振で始めた副業でしたが、取り敢えず親孝行な(?)おねえちゃんはさくっと片付いてくれたので(!)少しホッとしていますが、これまた引き金になっている可能性を否定できません。それなりに神経は張ってましたし。

実質、何もしていないに等しいのです。こうなると、そもそもエカキになったこと自体意味がなくなります。

「今更?」と思う方も少なくないと思いますが、経済的な事情だけを最優先するなら、会社を辞めるという選択肢はないはずです。実際、今思うとそれなりに恵まれた環境にいたし。あくまでも振り返ると、ですよ。当時はそんなこと思いつきもしませんでした。

とにかく重要なのは今である。後も先も関係ない。

副業だけのせいには正直したくないのですが、それでもかなりの部分で影響をこうむったのは事実ですし、身体のあちらこちらに不必要な故障を起こしたのも事実です。インプットされる情報にロクなもんはないし。

再三書いています、がエカキに必要なのは膨大で無駄な情報であります。とにかく量とバリエーションが欲しい。が、インプットする間もなく、アウトプット・オンリーとなると、これはもう相当ボク的には悲惨なのですよ。実際「干涸らびてもう何も出ません」みたいになってますし。

これじゃ困るのです。今まで何回もアホなコケ方をしてきましたし、自分で首を絞めるようなこともしてきましたが、あくまでも本業上の話です。エカキとして後悔は一切していません。むしろ当然だと思っているぐらいなんです。

誤解のないように断っておきますが、ボクは波瀾万丈を望んでいるわけではありません。基本、臆病なので冒険は避けたいのです。結果、周囲から「思い切ったことを」と思われるようなことを散々しでかしていますが、本人的にはまったく冒険とは思っていません。匙加減が普通よりもおかしいだけの話だと思っています。

いい機会なので、せこい「立て直し」発想を捨てる気でいます。それでなくても長生きし過ぎたのです。残りがどれだけあるのか分からないが、絵で発狂死するならそれはそれで構いません。さすがに体力が落ちているので、どこまで追い込めるかは分かりませんが、このままダラダラ行くのは本意ではない。

「限界を超える」と簡単に言う人がいますが、そんなことは不可能なのですよ。限界と思われている領域まで、心身のキャパを広げているに過ぎません。本当に限界を超えれば生命体は壊れるようになっている。不死身じゃないんだから。人間も例外ではありません。

限界状態をキープするだけでも壊れるのですよ。これは実際ボクがそうなったから自信を持って言えます。それでもお医者さんに言わせれば、「異常に高い限界値」らしいのですが。

本来なら、適度な休息と適度な集中力の繰り返しが必要なのでしょう。が、これがボクに不可能なのはよく分かっています。「不可能」と言い切っている時点で十二分に狂っているのですが(普通は意識しなくても身体がそうなるようになっている)、これは目を背けることもできなければ、なかったことにもできない厳然たる事実であり前提なのです。

知らなかった頃とはまったく異なる状態で、どこまでいけるのか正直分からない。実際、ボク自身が一番怖いしね。

理想を言えば、正気を保った状態で死にたいですよ。ただそれがボクの場合、贅沢すぎる望みであるのも事実なんですが。どれだけボロボロになってもエカキで死ねればそれでいい。周りがどう思うかは知らないけど。

とにかく本業だ。そもそも業績不振が招いたのだ。というワケで、当分は極貧生活の中で試行錯誤することになるでしょう。これはこれでかなり神経がまいるのですが、ことここに至った以上は仕方がありません。

ほんと、これからどうなるんだろう???

編集部注:はぐれDEATHシリーズは、時系列を無視した連載です〜

【フジワラヨウコウ/森山由海/藤原ヨウコウ】
YowKow Fujiwara/yoShimi moriyama
http://yowkow-yoshimi.tumblr.com-



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■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[37]
くじ引き特等
泉のほとり

松岡永子
https://bn.dgcr.com/archives/20190627110100.html

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◎くじ引き特等

今年のゴールデンウィーク、中国・西安に行ってきました。初めての海外旅行です。飛行機は嫌い(だって、鉄の塊が飛ぶなんて!)。だから一生海外旅行なんてしないと思っていました。

ところが、あるところで四川航空の大阪ー西安往復航空券(ペア)が当たりました。西安といえば、いにしえの都、長安。憧れもあったし、何かのおぼしめしかもしれないと思って行くことにしました。

関空から西安まで直行便だと4時間半くらい。飛行機に乗っている時間が長くないことも、西安に行くことにした理由のひとつです。

旅行には超短編ナンバーズのメンバーでもある柴田さんを誘いました。柴田さんの西安旅行記は5月30日に掲載されています。
https://bn.dgcr.com/archives/20190530110100.html


西安観光といえばまず兵馬俑ですが、わたしは兵馬俑には行きたくなかったんです、今回は。

わたしが一番したかったのは、「ああ、ここが遣唐使が苦労の末にたどり着いた長安かあ」と、感慨にふけること。だから、城壁と城内をゆっくり歩きたい。兵馬俑を見に行けば一日かかることは分っているから、今回はパスしたかった。

京都でいえば、今日は御所をじっくり味わいたいから嵐山はパス、といった感じでしょうか。スケールはかなり違いますけど。でも、たいていの人は有名観光地に行きたいだろう……

その点柴田さんは、以前西安に行ったことがあって、兵馬俑も見たそうだし。わがままいってもいいかな、と。それに柴田さんは、「中国語、ちょっとだけできるよ」とおっしゃってましたので、日本語はまったく通じないと聞く西安で頼りになるかな、とも思いました。

実際に行ってみて、西安では日本語は通じない、という話は本当でした。柴田さんの、ちょっとだけ喋れる、という話は嘘でした。

全然「ちょっとだけ」ではありません。完全にコミュニケーションが取れてました。柴田さんが流暢にしゃべるから、隣にいるわたしまで話しかけられて、焦りました。

ネットで取ったホテルは素泊まりだったので、朝食を食べに出て(町にお店はたくさんあって少しも困りませんでした)そのまま観光に行きました。

柴田さんおすすめの興慶宮公園にも行きました。玄宗皇帝と楊貴妃が遊んだ宮廷の跡で、阿倍仲麻呂の碑があるところです。

https://blog.goo.ne.jp/nifatadumi/e/449b10560fed86346d2bdb77b3c9d0b8


季候がよかったこともあってか、公園にはたくさんの人がいてそれぞれに楽しんでいました。ランニングやダンス、バドミントンなど、日本の公園でも見る風景。そのなかに、敷石に水で字を書いている人たちがいました。


◎泉のほとり

水を汲み上げる。きのう雑貨屋で買った安物のポリバケツだけれど、そんなことは関係ないらしい。腕ほどの長さの筆に泉の水を含ませ、敷石に古い詩を書く。向こうでは 錆びたペンキ缶を使っている人がいる。簡素な道具だけれど、筆の入れ方、運び方、止めも払いも端正で、見惚れるほど美しい。

彼が一編の詩を書き終えると、途端に文字は蒸発してしまう。跡形もない。この泉に御座すのは文芸を司る女神だという。嘉せらるればその文辞は即座に召し上げられる。ぼくの足下は水浸しだ。

その昔、人は言葉を永遠に刻むために文字を発明した。今この泉のほとりに集う人々は、文字が刹那に昇華することを願う。


【松岡永子】
mail nifatadumi@gmail.com
blog http://blog.goo.ne.jp/nifatadumi


日本に帰ってから検索したら「地面書道」っていうらしいですね。中国ではわりとポピュラーな風景らしい。きれいな字が書けるって、憧れるなあ。


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編集後記(06/27)

●偏屈映画案内:「父、帰る」2003 ロシア

2003年のロシア映画。ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞・新人監督賞受賞作品。アンドレイとイワンの兄弟は、母親と祖母と共に暮らしていた。家を出ていた父が12年ぶりに帰ってきた。写真でしか見たことのない父の突然の出現に、兄弟は当惑する。父は無口で何の説明もしない。母親と祖母も黙っている。12年間どこで何をしていたのか、なぜ帰ってきたのか、一切語られることはない。

父は息子と旅行に出かけるという。いやおうなしである。父子水入らずの、初めての旅である。いや、違う。互いに慣れ親しんでいる場合はそういうが、この父子はまったくそうではない。なにしろ、初めて会ったのだから。兄はとりあえず父を受け入れるが、弟は拒絶する。そこが幼いけれど、理解できる。

三人しかいない車中で、父は異常に寡黙であり、不機嫌ではないがやさしくもない。大いに気詰まりである。まともな大人だったら、学校は楽しいか聞くとか、これから行く湖の美しさやキャンプの楽しさを語るとか、いくらでも話のネタはあるはずだが、ぶっきらぼうの短い発言しかない。もしかしたら軍人かもしれないとわたしは思う。それにしても、間の持たないつらい空間だ。

父親だという男は、たまに口を開くときはたいてい命令で、兄は弁えた対応しているが、弟はフテクサレ状態が続いている。子供二人にとって、この旅行は決して楽しいものではない。「今まで何をしていたんだ」「どうして何も語らないんだ」「いったいあんたは何者なんだ」「なんでいまさら帰ってきたんだ」という、兄弟の口には出さない疑問や怒りは、見ているわたしも同じである。

湖に着いた。ボートに外部エンジンをつけて島に渡る。そして不自由なキャンプ生活。好意的に見れば、男になるための試練といえなくもない。兄は次第に父を受け入れていくが、弟はますます依怙地になる。この島に渡った目的はキャンプだけではないらしい。父には謎の行動がある。誰かと頻繁に連絡をとったり、金属の箱を掘り出したりしている。こいつは何者なんだろうと思う。

最終日、兄弟は湖に出て釣りをしたいと言う。父は3時半には島を出るから1時間で戻れと命ずる。湖上の廃船で釣りを始めた。魚釣りに夢中になり戻ったのは7時半。兄弟は父から激しく殴られ、兄もついにキレる。殺したければ殺せと開き直る。弟も泣き叫ぶ。「僕らに近づくな、お前なんか赤の他人だ」。父は「誤解している」と、今更うろたえる。弟は泣いて走り去る。父と兄が追う。

弟は高い櫓のてっぺんまで登り、足場の扉を閉める。父は開けてくれと懇願する。疑いなく本当の父親だと確信する。弟は拒否し飛び降りる体勢。映画の最初の方で、弟が高いところから水に飛びこめないシーンがある。今度こそ飛びこめるのか。地面へ。ここからあとを文字化してしまうのは、なぜかためらいがある。いつもは平気でバラすのに。わたしも父親だ。彼の気持ちが分かる。

それにしても、父親はなぜこんな気詰まりな旅を子供に強いたのか。この七日間にわたるドライブ、キャンプは子供にとって試練であった。父親がなにかの組織とのつながりを意味するらしいシーンがあるが、放り出されたままだ。都合よすぎるのは、兄が外部エンジンのボートや自動車の運転ができること。最後の最後で父親は兄弟から「パパ!」と呼ばれる存在になるが……。(柴田)

「父、帰る」Возвращение 英題:The Return 2003 ロシア
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07HSLVBL4/dgcrcom-22/



●iPhoneを路上で拾った、の続き。自分が落とした場合のことを考えてみた。iCloudから紛失モードにする。「iOSデバイス、Apple Watch、Macで紛失モードをオンにして、他人が個人情報にアクセスできないようにすることができます。また、紛失モードを使うと、iOSデバイスやApple Watchの位置情報の変化も追跡できます。」

「Apple Pay、学生証、エクスプレスカード用に設定されたクレジットカードまたはデビットカードは停止されます」

その後、警察に届け出る。シリアル番号を求められることがあるらしい。検索すると、警察から携帯電話キャリア各社に連絡が行くという話があった。キャリアでiPhone本体も購入していれば、警察とともにキャリアにも問い合わせるといいかもしれない。続く。(hammer.mule)

紛失モードを使用してデバイスをロックおよび追跡する
https://support.apple.com/kb/PH2700


iPhone、iPad、iPod touch を紛失したり盗まれたりした場合
https://support.apple.com/ja-jp/HT201472