●ビデオカメラ遍歴
今回は、ようやく購入できたビデオカメラの話です。ビデオカメラの話といっても、プロではない上に詳しく学んだわけではないので、単に使ってみたけどこんな感じだった、といった軽いノリで読んでもらえばOKです。ついでに言うと、カメラやビデオカメラは趣味でもありません。
ビデオカメラは8mm(Hi8)の時代より前に、仕事で関わっていました。関わっていたと言っても、バッテリーとライト持ちなので、ビデオカメラそのもので撮影したことはありませんでした。
実写とCG合成も他の女性がやっていて、映像に関しては本当にバッテリーとライト、よくてレフ板持ちでした。部署が違うからというのが大きな理由で、印刷関係だったのですが、人員が不足するとかり出されるというパターンでした。
自分用のビデオカメラを買ったのは、1998年頃です。Hi8のテープがまだありますが、ビューファインダーを覗かないと、撮影した映像を見ることができませんでした。まあ、テレビにつなげば当然見ることはできますが。
その後、miniDVテープが登場したので、SONYのハンディカムを買いました。テープが小さくなり使いやすくはなったのですが、画角が狭くて風景を撮影するには不向きでした。
ワイコン(ワイドコンバージョンレンズ)でもつければいいのですが、しばらくするとNTSC DVサイズ(当時のテレビサイズ)から、ハイビジョンサイズへとビデオカメラが対応していきました。
ビクターのGR-HD1というカメラが、miniDVテープでハイビジョン撮影を可能にしました。このカメラがきっかけで、その後miniDVにハイビジョン映像を記録する規格ができあがります。
GR-HD1は発売日あたりに買ったのですが、当時としてはきれいでした。何と言ってもハイビジョンなので。ただ、ダイナミックレンジが狭く、日中で花とか撮影すると、すぐに白飛びしたりしてしまっていました。
ということで、次はminiDVテープでハイビジョン記録できる規格で撮影できる、SONYのHDR-FX1を買いました。このカメラは非常によくて、空気感は出るし、高精細だし、当時はまったく文句なしのカメラでした。これで撮影して稼ごうということで、2台買いました。
しかし、使っていくうちに内部のセンサーか何かが劣化していって、あまり鮮明に写らなくなってしまいました。2台で同じものを撮影しても、精細度が違いました。ということで、1台を売却しキヤノンのXH-A1にしました。
キヤノンと言えばDIGIC。撮影した映像はSONYとは違い、素人受けするきれいさがありました。いかにもキヤノンといった感じで撮影できました。ただ、このカメラは細かいほこりまで撮影されてしまうので、気遣いが必要なカメラでした。
そして、この後に購入したのがPanasonicのAG-HMC45です。初のPanasonicのビデオカメラを購入、ということで期待しつつ撮影したのですが、緑に弱すぎて森とか自然風景の撮影には向いていませんでした。ベタっと潰れちゃう上に、黒く沈んでしまいます。
ということで、このカメラはあきらめて、次のカメラを探すことにしました。前々から知っていたけど、高額すぎて手の出なかったカメラがありました。それはREDの4Kカメラです。
・RED Digital Cinema Campany
https://www.red.com/
24フレーム撮影できるRED Oneが以前から出ていましたが、今度は4K/30fps撮影できるRED Scarlet-X、4K/60fps撮影できるRED EPICが販売されるとのこと。RED EPICは5Kまで撮影できますが、さすがにそこまでは必要ないので、結局のところRED Scarlet-Xを購入しました。
なんで購入できたのかというと、民主党のおかげで「円高」だったためです。米国のカメラなので、今と比べても2/3程度の金額で購入できました。安倍政権になってからは円安にされているため、もう海外のものはあきらめました。
高額なRED Scarlet-Xですが、これまでの国内のビデオカメラとは比較にならない性能でした。とにかくダイナミックレンジが広く、何と言ってもRAWデータで記録されていくため、後からいかようにでも調整がききます。
つまりREDは、失敗する可能性が低いカメラです。Wikiを見ると、戦隊モノなどの特撮も結構多く撮影されています。5K/120fpsとかで撮影しておけば、後々の編集でどうにでもなるので、気が楽なのかもと思ったりもしますが、本当の理由はわかりません。合成しやすいのかもしれませんし、前々からHDR撮影できるからかもしれません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニー
高性能で素晴らしいREDのビデオカメラですが、いかんせんRED Scarlet-Xは古くなり、カードなども製造されなくなりました。REDのビデオカメラは8KでRAW撮影できるので、お金があれば欲しいところですが、あいにくと長年の円安で貧乏になりました(円安になると生活コストが上がるため)。
RED Scarlet-Xは4K/30fpsしか撮影できません。現在求められているのは、最低でも4K/60fps(4K/60p)です。
過去にも4K/60pビデオカメラが必要だろうと、SONYのビデオカメラを購入したことがあります。が、やはり出井伸之体制からの長年の失敗が続いたせいか、あまりに駄目すぎる画質に数か月と持たずに売却しました。
カードも特殊で、まあどうしようもない。もうSONYは駄目だ、ということで他のメーカーを探すことにしました。キヤノンも4K/60pのビデオカメラがありますが、いかんせん高額だから無理。
ビクターもビデオカメラを出していますが、さすがにビクターを選択するというのは冒険すぎるので、それはありません。他にはBlackmagicという選択肢もありました。でも、過去に買って失敗した人がいるので、これも選択肢から外しました。
・Blackmagic Design
https://www.blackmagicdesign.com/jp
●消去法で買ったAG-CX350だったが
こうなると、残ったのはPanasonicしかありません。4Kではないハイビジョンカメラに関しては、Panasonicのは何台も買っています。TM700/750、HC-V600M、HC-X900M、HC-X920M。このうち、HC-X920Mは大変いいビデオカメラでした。性能も使い勝手も文句なしでした。
その後、Panasonicもハンディカムタイプの4Kカメラを出してきます。が、これは30fpsしか撮影できません。試しに買ってみて撮影したのですが、4Kなのにビットレートの関係(実際にはSDカードの都合)で、とても満足できるものではありませんでした。仕方ないので、今は車につけてドライブレコーダーとして使っています。
Panasonicは4K/60pのカメラで低価格なものを販売しており、知人が購入したので実機を見せてもらいました。う〜ん……やはりPanasonic画質で、空気感がなくペラペラな映像(パナソニックならぬペラソニック)。結局、そのカメラも選択肢から外しました。
ということで、ちょうどいいビデオカメラが何もなくなってしまいました。そんな時に発売されたのが、AG-CX350です。価格もそこそこで、安価なSDカードにHEVC(H.265)で記録できるというのも重要でした。
SDカードは大量生産されるため、待てば安くなるシロモノです。コスト面でも悪くありません。SDカードなら他の用途にも転用できます。
AG-CX350は欲しくて買ったわけではなく、消去法で仕方なくといったところです。どのみち、今年の秋には8Kカメラが安価で出てくるので、そっちを狙った方がいいのは確かです。でも、4K/60Pの業務用ビデオカメラがないと、やはり困ります。
消去法で買ったAG-CX350ですが、実際に使って見ると実にいいビデオカメラです。こんな感じに撮影できます。ボケ具合も、けっこういい感じになります。
HC-X920M以来、初めてPanasonicのビデオカメラが素晴らしいと思いました。ただ、このカメラの性能を発揮するには、高速書き込みができるV90のSDカードが必要です。ところが、これが高い……。
ということで、性能の半分程度のビットレートで記録することに。半分と言ってもHEVC(H.265)なので、H.264での2倍の記録能力があります。HEVC(H.265)で200M記録なのですが、これはH.264での400Mに相当します。
これだけあれば、水面も申し分なく記録できるはずです。水面はブロックノイズが発生しやすいので、波打つ水面を撮影すれば性能がわかります。で、撮影してみましたが、まったく申し分ありません。ブロックノイズはほとんど出ませんでした。せっかく買ったので月面も撮影しましたが、ふと見ると隣に木星がありました。
試しに木星も撮影してみるか。やってみてビックリ。実際の映像をAdobe Premiereに読み込ませて、100%サイズにしたものを画面キャプチャーしました。
中央の明るい星が木星です。そして、そのまわりに4つの小さい点があります。天文に詳しい人なら、すぐにわかるでしょう。そう、ガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)です。
一応天文関係のページで衛星の位置も確認しました。
何とAG-CX350は、4K/60p映像で木星の衛星が写ります。撮影時は液晶画面でも確認できるほどです。暗いところにはめっぽう強いカメラですが、まさか木星の衛星が写るとは思ってませんでした。久々に感動しました。ハイビジョンサイズにして30fpsにまで落とせば、もっと明るく写るのかもしれません。
金星も満ち欠けが映せそうな感じですが、スタッフに渡してしまったので、手元にビデオカメラはありません。何らかの機会があれば、金星の撮影にもチャレンジしてみたいところです。
AG-CX350は、いいビデオカメラですが、思わぬオチもあります。実際にたくさん撮影してみると、ピント調整(フォーカス)が怪しく、真っ青な空や単色ものの物体を撮影するとピントがずれてしまいます。カメラを動かし終わった後などに結構発生します。インターバル(タイムラプス)撮影でも発生します。
ここらへんは、フォーカスはマニュアルロックするスイッチがあるので、それでロックしてくれということなのかもしれません。ただ、デフォルトの状態ではマニュアルロックできず、PDFの説明書を読みつつ設定しました。
二か所くらい設定しないと、期待する動作にはなりませんでした。というか、デフォルト設定のままでは駄目で、いろいろ設定してから使うのが安全です。他にも単色っぽくなると、自動ホワイトバランスがおかしくなる、という問題もあります。
それでも、価格に見合った十分なビデオカメラじゃないかなと思います。
【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/
でも、最新のiPhoneやAndroidの方がきれいだったりする、というオチも。それでも、ズームとかいろいろビデオカメラならではの機能を使う場合、やはり業務用でないといけないかな、というのが実感です。
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[正誤表]
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・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/
・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/