クリエイター手抜きプロジェクト[607]雑談編 ハードディスクの思い出
── 古籏一浩 ──

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今回は趣向を変えて、実質何も意味のない、ハードディスクの思い出を書いてみます。なぜハードディスクか? というと吉井さんがハードディスクについて書かれていたので、便乗してみようかと思った次第です。

今ではハードディスクは安価な記録媒体ですが、40年くらい前は大変高価なシロモノでした。30年前でも1990年代ですから、それなりに高価と言えば高価でした。

フロッピーディスクよりも大容量で高速な記録媒体として、現在でも多く使われています。速度だけ見ればSSDの方が数倍高速ですが、大容量という点では、まだハードディスクにはかないません。

安価で便利なハードディスクですが、なんと言っても困るのが、壊れやすいことです。ハードディスクは衝撃や細かな埃(タバコの煙など)に弱いのです。今では衝撃にも強く、しっかり密閉されていて、かなり頑丈になりました。それでもハードディスクのデータが飛んでしまい、呆然となった人もいると思います。





さて、そんなハードディスクですが、最初に見たのは、まさにディスクが壊れてデータが飛んでしまった現場でした。小学生の頃なのですが、とにかく会社の業務のデータが飛んでしまったとのこと。当時のコンピュータは東芝のやつで、ハードディスクは大容量の1MB(単位は間違っていません。メガです)だったかと思います。

給与データが入っていたのが、全部飛んだのでしょう。給与データ入力を手伝ったことがあるので、状況がわかりました。ハードディスクは8インチか、それ以上の大きさだった気がします。とにかく巨大でした。

業務用なので、ディスクは一枚ではなく二枚でした。当時からハードディスクはデータが飛ぶことが多かったので、二重化(ミラーリング)されていましたが、なんと二枚とも同時にディスクが飛ぶという事態が発生。

フロッピーディスクを見る前に、きれいに輝く生のハードディスク円板を見るという、ナントモな経験でした。データが飛んだハードディスクは悪魔の輝きです。とてもきれいです。

ちなみに当時のレベルでは、チリはもちろんタバコの煙でも駄目だったかもしれません。今のように、ハードディスクの前でタバコを吸っても壊れなくなったのは技術の進歩です。当時はコンピューターはクリーンルームみたいな専用の部屋に鎮座する、まさに神様のようなものでした。そんなきれいな部屋でも駄目な時は駄目でした。

社会人になった頃、個人でも何とかハードディスクが買えるくらいまで、価格が下がりました。最初に買ったハードディスクは110MBでした(単位は間違っていません。ここでもメガです)。一応まだ頭上にあります。

接続方式はSCSI(スカジー)でした。つなげているコンピュータはMac SE/30。国産のPC-9801などはSASI(サジー)でしたが、その系統のハードディスクは一台も買いませんでした。

これまでにハードディスクは多分100台以上買ったと思いますが、その多くが壊れました。MAXTOR(マックストア)、富士通、SAMSUNG(サムスン)、日立、東芝、SEAGATE(シーゲート)、ウェスタンデジタルなどいろいろ買いました。

この中で、ダントツに不良品が少なかったのが日立でした。とにかく他のメーカーと比べて、壊れません。私が使ってる日立のハードディスクの中で、ずっと動いているものは、もう15年くらいになります。4台とも壊れていません。

他にも同時期のが数台ありますが、みな動いています。これだけ長年使用できるようにするには、それなりのコツがあるようで、おまかせ運用している人に聞いたら「ハードディスクを熱くてしてはいけない」とのことでした。

ちなみに、安定している日立の10TBのハードディスクも、加熱してくると忍者のように消えます(マシンの電源再投入で復活)。

何にしても日立のは壊れにくいので、自分で買うのは全部日立です。最初から入ってるもので、都合により交換できないものは仕方なく使ってます。その中でよく壊れたのが、ウェスタンデジタルでした。買った当日から、もう壊れてしまったのもありました(8TB HDDが壊れた。一日たたずして警告音が出るという状態)。

以下のページに、いろいろなメーカーのハードディスクと型番の不良率の比較があります。

・2018年版
https://www.backblaze.com/blog/hard-drive-stats-for-2018/

https://www.drivedata.jp/column/故障しにくいhddメーカー/

(上のサイトの日本語にしてわかりやすく解説したページ)

・2017年版
https://www.backblaze.com/blog/hard-drive-stats-for-2017/


買った中でダントツで不良率が高いのは、ウェスタンデジタルでした。まあ、何台か買ったけど体感的にもよく壊れます。ただ、サーバー用途の高価なものだと、そこまで壊れることはないようです。ウェスタンデジタルは、価格に見合った性能ということかもしれません。

SEAGATEも、そこそこ壊れました。日立の前に買っていたのは、ほとんどがそれでした。安く低大容量だったという理由もあります。ただ、SEAGATEは壊れたら最後、なかなか復旧しにくいという感じでした。MAXTORも壊れましたが、最初だめでもなんだかそのうち普通に動いてしまったりと謎動作。

ハードディスクが飛んでしまった! 助けて! という電話が私の所に来たことがありました。種類とそれなりの数のハードディスクを持っていたからだと思いますが。電話の内容は、病院のサーバーのハードディスクが飛んだとのこと。

「RAID5でしたよね?」
「でも飛んじゃったんですよ」
「あれ、確かDellのサーバーでしたっけ?」
「はい。まあ、経費節減のため一番安いDellに……」

とまあ、こんな感じ。でも、どんなハードディスクも飛ぶ時は飛びます。代替のハードディスクは微妙に容量が違うらしく、復旧不能とのこと。そこで同じ型番/ロットのを持ってないか? と電話がかかってきた次第です。運良く手持ちで同じのがあったので、それを持って行きました。無事に復旧できたとのこと。ハードディスクの世界は、なかなかシビアでした。

私もRAID5で映像データ飛んだことがあります。今は安全のためRAID5で同じデータを、別々の場所に置いてあります。家が火事になったこともあり、なるべく別の場所に保管するようにしています(親戚も火事で全焼。昨年は家の西側の家も火事で全焼)。

一定年数経過すると、壊れたのが東芝。東芝なのにソニータイマーのようでした。近所のパソコンの場合も、東芝製のハードディスクで、やはり数年で壊れました。面倒だったので、新しいマシンに買い換えましょうということで終わらせました。

ハードディスクも容量が大きくなっているので、データが飛ぶと大変です。10TB以上だと、バックアップは同じ容量のハードディスクに丸ごとコピーという感じです。ただし、同じ容量でもメーカーが違うとバックアップできないことがあるので、同じメーカーの同じ型番のものにコピーするのが基本です。

4TBサイズは、よく丸ごとコピーしました。ハードディスクを丸ごとコピーする機械(HDDデュプリケーター)を売っていて、それを使ってまったく同じディスクを作るわけです。このようにしておけば、飛んでもハードディスクを入れ替えるだけで終わりです。しかし、貧乏になるとその予算が出てこなくて困ってます(^^;

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パソコンが起動しないという電話が来たりする場合は、本体内の音を教えてもらうようにしてました。ハードディスクが壊れた場合、どこが壊れたか音で判断できるためです。

確か日立がハードディスクが壊れた時の音を、Webで公開してました。異音がする場合は円板やモーターに障害があるのですが、ごくまれにハードディスクの基板が壊れてしまうこともあります。過去に2回ほどありました。この場合は、データ復旧サービスに出すしかありません。

今後、5Gでより高速に通信できるようになれば、ハードディスクは要らなくなっていくのかもしれません。OSと最低限のデータは高速なSSDでいいわけですし、クラウドなら実質容量無限で使えます。おまけにバックアップもする必要がありません(でも、重要なデータは手元にバックアップした方が賢明)。

しかし、時代は繰り返すことが多いので、2030年頃までは手元に大容量データを保持しない傾向が続くかもしれませんが、その後は再び手元にデータを持つ時代になるのかもしれません。安価で大容量で、壊れず高速にアクセスできればいいわけですから。

【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


野村監督(野村克也氏)のご冥福をお祈りいたします。(監督としてのイメージが強いので)

「一瞬のやる気なら誰でも持てる。けれども、持続性のあるやる気は、深く認識したものだけに宿るのである」

続けることはとにかく難しい。昔、本を買って勉強しました。ちなみに、炎上対応の参考にしたのは、野村沙知代氏の方でした。今では炎上対応の基本となってますので、さすがだなと。

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