[5052] ウンコの話の巻◇「推測力」を強化しよう

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《98%がスマートフォンでした》

■わが逃走[264]
 ウンコの話の巻
 齋藤 浩
 
■ネタを訪ねて三万歩[185]
 「推測力」を強化しよう
 海津ヨシノリ
 


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■わが逃走[264]
ウンコの話の巻

齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20200716110200.html

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授業中にウンコがもれそうになったことはありませんか。

誰でも必ず似たような経験があるものだと思っていたのですが、必ずしもそうではないということを最近知りました。

ごく親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)に尋ねたところ、そんな経験は一度もない。あんたは異常だ、という。

ちなみにAさんは自宅以外でウンコはしない主義だそうで、出先で便意をもよおしたことなど一度もないという。

なんということだろう。

この人は、〈逆上がりができない子の気持ちがわからない体育教師〉ような女だったのだ。

私が育ったS玉県のO宮というところは、牛乳を飲まないと強い子になれない。すなわち、飲まない奴は弱虫だという論理で糾弾される社会だったので、幼い頃はとても苦労をした。

何食わぬ顔で牛乳を飲み、5時間目以降は常に怯える日々だった。

そう、私は牛乳やヨーグルトを食べると、通常の3倍の確率でウンコしたくなる体質なのだ。今でも、もし電車に乗ってるときにウンコしたくなったらと思うと気が気じゃない。

外出の予定のある日は、絶対に乳製品を摂取しないなどの対策をしている。

また私が育ったS玉県のO宮というところでは、一度でも学校でウンコをした奴は、一生後ろ指をさされるという慣習がある。

もらすわけにはいかないし、トイレでウンコすることすら許されなかったのだ。

なぜそんな話をしているかというと、実は先日、授業中にウンコがもれそうになったのだ。まさか教える側になってこのようなことが起きるとは!

幸い自宅からのリモート授業で、トイレはすぐそこだ。

何食わぬ顔で、では、制作に入ってくださいとか言ってカメラとマイクをOFFにし、事なきを得たわけだが。

で、便座に座りながら、この便器とも長い付き合いだなあ。もしコイツが人間だったら、もう高校生か。
などと感慨にふける。

17年前のことを思い出したのだ。

あの日あの時。新居を35年ローンで購入したのだが、新築の集合住宅であるにもかかわらず、納品された便器にはなんとウンコがついていたのだ!

新築のマンション買って、最初にウンコをするのは世帯主である私でなければならない。にもかかわらず、この便器はなんだ!

現場をそのままにし、翌日施工会社の担当者と建築士立会いのもと文句を言ったら、これはウンコによく似た泥だと言い張る。

玄関やベランダ付近ならまだわかる。泥がなんで室内の、しかもトイレの便器の中心部に沿ってこびりつくのだ?

電話で友人の建築雑誌編集者に相談したら「舐めてみろと言えば?」とアドバイスをもらった。さすがに上品な私には言えなかった。

いや、問題はそこじゃない。それが泥でも味噌でもクソでも、この際良しとしよう。とにかく私は新品の便器を買ったのだ。汚れている便器は新品とは言えない。なので交換しろと迫り、交換してもらった。

無事新品の便器で新居初のウンコをすることができた。

交換された便器は集合住宅の共用部にしばらく仮置きされ、いつのまにかなくなっていた。

施工会社にしてみれば、あれは泥がついただけの新品ということなので、どこか他の物件に設置されたのかもしれない。その後施工会社は経営破綻したので、それを調べる術はもはやないといえよう。


【さいとう・ひろし】
saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/


1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
 
 
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■ネタを訪ねて三万歩[185]
「推測力」を強化しよう

海津ヨシノリ
https://bn.dgcr.com/archives/20200716110100.html

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●道具に振り回されない自分磨き

大学で講師をするようになって、気付いたことがあります。まっ、これは誰にもあてはまることなので、特別、今の学生は〜という意味ではありません。

その気付いたこととは「推測力」です。ITの世界で説明すると、たとえば自分が最初にある程度マスターしたソフトがあったとします。新しく使い始めたソフトの使い方は、メニューの位置や意味などから推測するはずです。

「多分このあたりだろう」と。これがとっても大切な事なのです。「そんなの当たり前でしょ」と突っ込まれそうですが、まったく推測しない人は意外と多いのですね。

世の中の道具や事例に、まったく同じは存在しません。推測できるか否かが、マスターあるいは理解の近道なのです。ここまで説明したのだから、わかるでしょ? というシーンに出くわしたことがありませんか。

とはいうものの、「わからない人にとってはすべてが疑問符」と言い返されそうですが、言い方を換えれば、言われた範囲の中だけで結論を出す受け身よりは、言われた範囲に推測を働かせて攻撃的に結論を絞り出して欲しい? かな。

便利さは必要ですが、過度に便利すぎると人間はオバカになりますね。そこそこ不自由な環境が一番ではないかといつも感じています。

少し脱線しますが、前々回に紹介したVisual Studio Code(VS Code)のオプションで、文章校正ができる「テキスト校正くん」では、格助詞、接続助詞だけでなく、読点などの繰り返しのチェックや漢字多用への注意などを、いろいろ突っ込んでくれるので、文章を書くことが今までよりも楽になっています。

言い回しの重複や変更などは、かなり改善できるようになりました。つまり、期せずして、推理力をいつもより強く働かせられるようになったわけです。自分の文章の癖も解るようになりました。まだまだ凡ミスは多いのですが、長い目で見てください。

直しませんけど、実はこの連載のタイトル「ネタを訪ねて三万歩」も「ネタを訪ねて3万歩」にしなさいと指導されました(^o^)。

話を戻すと、つまりは道具に振り回されない自分磨きといったところかも。どんどん便利で安くなるソフトウェアは、ドラえもんのポケットのようですが、それに頼りすぎると、結局は最新環境がないと何もできない人になってしまいます。それ、かなりイタイ人かもね。

学生にWordで地図を作らせると、シンプルな2つの図形をグループ化すればできる形状なのに、「そんな図形はありません」とリアクションが返って来ます。いやいや、少し考えてよ。組合せの話もしたでしょ……と切り返すのですが、受け身過ぎるとこんな流れになっちゃいますね。

●やはり構図とトリミングはとても大切

ある教育機関で写真の授業を担当しているのですが、いきなり「どんなカメラを買った方がいいですか?」と質問を受けます。

そんなときは、質問者が現在スマートフォンで撮影している写真を見せてもらいます。そして、その写真が一定のレベルを超えていたら、購入は勧めません。そして横位置での撮影を推奨します。

逆にイマイチのレベルであったら、まずスマートフォンで、今撮影したい被写体をどうトリミングするのかを、しばらく試行錯誤することを勧めます。

つまり、どちらにしても取り敢えずスマートフォンを勧めます。それでも、どうしてもカメラが欲しいという学生には、中古のミラーレス一眼を推奨します。

フイルムカメラと異なり、デジタルカメラは息が短いですからね。レンズも中古のマニュアルレンズ(24〜35mmなどが安くて明るい)を勧めます。デジタルの標準ズームは、F値が暗すぎて勉強になりません。

そして、このスタート出費であれば、万が一自分に向いていないと悟ったときの「授業料」が少なくて済みます。

どうして24〜35mmかというと、安いミラーレス一眼だとAPS-Cなら焦点距離は1.5倍(メーカー毎に若干異なるので1.5で話を進めます)で、36mm〜52.5mm相当になるからです。

マイクロフォーサーズなら2倍の28mm〜70mm。F値も1.4~2.8ぐらいの明るいレンズが手に入るはずです。この環境で基本をマスターしつつ、ジックリと作品を溜め込むことが一番大切だと思います。

露出計も最近はスマートフォン用に色々なものが出ているので、積極的に活用するといいです。カメラの露出計は反射光測光なので、極端に色味が偏っていたり、逆光だと正しい露出を得られないからです。

スマートフォン用ならば、カメラ設定を自撮りにするだけで入射光測光が可能です。あと、絞り優先で撮影すると勉強になると思います。マニュアルレンズも、絞り優先ならどんなに古くても使えますからね。

Light Meter - Free(Android)
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.willblaschko.android.lightmeterv2.free&hl=ja


Lghtmtr(iOS)
https://apps.apple.com/jp/app/lghtmtr/id956251190


とにかく、写真にはこだわりたいと思います。べつにカメラマンを目指しなさいと言っているワケではありません。

私が学生の頃はデザインを学ぶ上で、一眼レフはマクロレンズと共に必須でした。原稿の複写という第一目的があったからです。それに加え、モノクロ写真で構図とトリミングを学ぶ、という目的がありました。

この構図とトリミングはとても大切です。フレームは決まっています。その中にどう収めるかが、とても勉強になります。

私は今でも指定される場合を除き、どんな状況下でも写真は横位置で撮影します。それがたとえ東京タワーであっても。実は、そんな縛りを設けることは、写真に限らず、色々なシーンで感覚が培われます。

しかし、突然、OLYMPUSがカメラ部門(一般消費者向け製品すべて)を手放すというニュースは、大きなショックですね。

フイルムの時代は、父の愛用していた露出計連動式レンズシャッターカメラ・オリンパスオートから写真に目覚め、XA、OM-1、OM-4。そして初のデジタルカメラはCAMEDIA C-800L、続けてC-4040ZOOM。

そして、PEN Lite E-PL1s、PEN Lite E-PL2と愛用していたので、残念な気持ちでいっぱいです。もちろん、新しい会社から引き続き販売され続けるとは思いますが、会社が変わるのでOLYMPUSの名称はなくなるかもですね。

時代は激変していますね〜。学生に「写真は何で撮る?」というアンケートをしたことがあります、98%がスマートフォンでした。当然の結果ですけれど。


■えこひいきミュージックと映画

"The Aggression Scale" on Directed by Steven C. Miller in 2012(USA)
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邦題「キッズ・リベンジ」。直訳だと「攻撃の尺度」かな。内容的には復讐劇(ここのところ、こういうのばかり)なのですが、過激版「ホームアローン」といった方がいいかもしれません。

主演のライアンハートウィッグ演じるオーウェンは、劇中で一切セリフを言わないので、とても不気味でインパクトがあります。ちなみに普段の彼は、イケメンの好青年です。

85分という短い作品ですが、ムダがなくテンポもいいですね〜。ラストもいいです。

キッズ・リベンジ(日本語吹替版)(予告編)


The Aggression Scale Official Trailer #1


"The Rain, The Park and Other Things" by The Cowsills 1967(U.S.A)
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邦題「雨に消えた初恋」。グループ名のThe Cowsillsって、昔から意味が分からずモンモンと。"cows ills"とすると「牛の悪さ」「牛の不調」なのですが、深く考えても仕方がないですね。

色々カバーされていたようですが、肝心のオリジナルメンバーは家族構成かつ双子がいたので、後になって存在を知って調べて見ると、見間違うことが多かったように記憶しています。

ちなみに50代あるいは60代前半ぐらいで亡くなる方が多く、現在は4名が存命中で、ときどき活動しているようです。

The Cowsills - The Rain, The Park and Other Things


The Cowsills - The Rain, The Park and Other Things (Live)



【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/お菓子研究家

初対面で、瞬間的に「あっ、この人ダメだ〜」を強く感じる人が、ときどきいます。うまく説明できないのですが、拝金系あるいは打算系かな。

とにかく、相手の社会的な立ち位置で態度を変える人ですね。直ぐ解っちゃうんです。まっ、しかしさすがというか、そういった方達って人脈作るの凄く得意ですね。メリットのある人を見付けるのがうまいからでしょう。

見ていてビックリするほど気持悪いです。私はそういったことが苦手なので、ある意味尊敬してしまいますが、個人的には距離を取ります。その打算的なイヤラシイ眼差しは、見たくないですから。

それはそうと、これまで月に一度の出番が、編集の都合で二度になるそうです。
7月は三度になります。これは緊急出動です。多分これからも、こういうケー
スがありそうです。よろしくお願いします。

yoshinori@kaizu.com
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編集後記(07/16)

●偏屈BOOK案内:
武田邦彦「先入観はウソをつく 常識や定説を疑い柔軟な発想を生む方法」

先入観とは何か。辞書で引くと「前もって抱いている固定的な観念。それによって自由な思考が妨げられる場合にいう」とある。先入観は子どもより大人の方が多くなる。歳をとるにつれて頭が固くなるといわれている。大人は先入観が先に動いて失敗することは、日常生活においてしばしば見受けられる。

「やがて地球上の資源が枯渇する」と騒いでいる国は、世界中で日本しかない。石油を商売にしている会社は、「あと40年しか持たない」と言い張っている。石油原価を高い水準で保つために、いかなる場合においてもそう言う。1970年代前半に起きた石油ショックのとき、マスコミや専門家、とくに石油会社の関係者はしきりに「石油はあと40年で寿命が尽きる」と言って国民を脅した。

それから40年後の2010年にも「石油はあと40年で寿命が尽きる」と言って、また国民を脅した。「石油は無限にある」とは絶対に言わない。なぜ原油価格の変動が激しいのかといえば、世論操作して値段を上下させ、結果として利益を得ているからだ。これは商売で儲けるための基本からすれば当然のことである。

マスコミが「石油はやがて枯渇する」というから、煽動された国民は間違った行動に走る。第一次石油ショック時のトイレットペーパー、ティッシュペーパー買い占め騒動が起きたのは「服従の理論」が支配している国・日本ならでは。「石油はやがて枯渇する」というのは、オイルマネーで儲かっている人たちの口車にのせられているだけに過ぎない。石油はなくならない。それが真実だ。

武田教授は医者ではないが、科学者として統計的なデータを分析した上で、現在の医療における間違いを指摘する。それは混乱を極める血圧の正常値についてである。血圧の基準値は時代とともに変化している。たとえば2016年7月時点の人の数値を現在の基準でみると、ほとんどの人が高血圧だとされてしまう。

高血圧はすぐに治療をしなければならない病気かといえば、実はそうではない。20代と70代では数値が違って当然だ。若い頃は血管が柔軟で血管壁もきれいだから血液が流れやすく、血圧の数値は低い。男性より女性の方が血管が細く、血液の流れる量も少ないので、血圧の数値は低くなるので、男性よりも血圧が低めに設定されている。年齢が加わるにつれて、血管は固くなっていく。

心臓は圧力を上げて血液を流そうと試みる。血管が損傷するのを承知で無理に血圧を上げるのではなく、年齢が上がるとおのずと血圧を上げざるを得ない。これこそが、中高年以降の高血圧の原因の一つと考えられる。にもかかわらず、「高血圧は悪」という構図ができ上がっている。月一回通院する病院では、必ず血圧を計測されるが、問題ナシと言われ続けている。異常な老人だろうか。

血圧と塩分の摂取量について。減塩の傾向を教授は間違っていると断言する。「食塩を摂ると血圧が上がる」という間違った情報を医者が信じ、錯覚してしまったのか、それは科学の基本的な訓練を受けていないからだ。武田邦彦さんの本は、真実が書かれていると信じるが、どうしてもっとメジャーな出版社から大々的に出ないのか、そこには医学界の陰謀がwww(以下はまた)(柴田)

武田邦彦「先入観はウソをつく 常識や定説を疑い柔軟な発想を生む方法」SB新書 2017
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797389184/dgcrcom-22/



●昨日の続きみたいだ……。「やれることは、メニューと右クリックで出てくるものが全てです」と突き放してしまうことはある。「あれができない、これができない」とたくさん頼られると「とにかくメニュー眺めてみて」「できそうなことはググってみて」「とりあえず『環境設定』見て」と。

/昨日の補足。コンセント近くを占拠できたら、コンセント奉行になるわ。予約受け付けて、タイマーかけて、10分で利用者交代、次の人の呼び出し。一周したら、時間増やして……。/ふるさと納税するなら、被災地のどこかに。

/JTBでホテル予約続き。電話が苦手でドキドキしながらかけたら、超優しくて丁寧に対応してくれるお姉様で甘えられたわ。いいところが予約できたものの、オリンピックは延期に。

あー、キャンセルの電話しなくっちゃな〜、このまま延期後の日程にスライドしてくれないかな〜などと思いつつ、予約時に届いた確認書類や領収書一式を未処理箱に入れておいた。ら、お姉様から入電。

「オリンピックのためのご予約とお聞きしていましたので」と、キャンセルするかどうか問われた。なんて細やかなの、お姉様! 延期後の日程はわからないためスライドは不可だった。書類を用意していたので、返金手続きがスムーズだったさ……。

今はもうオリンピックは無理だろうなぁとは思っている。中止で返金してもらえたら、新型コロナで減った収入分に充当するわ。もし開催するなら、またJTBで予約したいな。(hammer.mule)

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