[5075] 専門学校新人講師 目に見えない戦い

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《キーになるのはコミュニケーション》

■crossroads[93]
 専門学校新人講師 目に見えない戦い
 若林健一
 



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■crossroads[93]
専門学校新人講師 目に見えない戦い

若林健一
https://bn.dgcr.com/archives/20200903110100.html

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こんにちは、若林です。

今年の6月から大阪の専門学校で、非常勤講師として実習系の授業を担当しています。

6月からという中途半端な時期なのは、新型コロナウイルス感染症による休校措置の影響。

本当は4月から始まるはずだったのですが、2か月遅れてのスタートとなったためです。そんな波乱のスタートを切ってからの3か月、私の日々の戦いについてお話したいと思います。

■学生たちのIT環境

スマートフォンの所有率は非常に高く、私が見た限りでは100%です。

iPhone、Androidの割合は半々というところでしょうか。特にどちらが多いということはありません。比較的新しい機種を持っている方が多いので、親のおさがりではなく自分用に購入したもののようです。

一方、PCの所有率は高くはありません、持っていない学生が目立ちます。もちろん、比較的高性能なPCを使っている学生、自分で組んだPCを使っている学生もいます。

私が担当しているのは工業系の授業なので、この分野の学生であればPC所有率は高いのかなと思っていましたが、半数ぐらいは所有していませんでした。

話を聞いてみると、個人でPCを持つ必要性を感じていない、スマートフォンでこと足りるとのこと。

確かにそうなのかもしれません。就職活動で作成する履歴書やお礼状も手書きが基本のようですし、であればわざわざ高いお金を出してPCを持つ必要はないというのもうなずけます。

とはいえ、働き始めたらPCは必須。

いつかは仕事も、タブレットやスマートフォンだけでできる時代がくるかもしれませんが、まだまだ当面は仕事をする上ではPCが必要。

企業側もある程度はPCに慣れていることを期待しているはずなので、できれば日頃からPCを道具として使う感覚はもっておきたいところ。

PC選定の目安を伝えた上で、事情が許すのであれば自分のPCをもつことを勧めています。

【初心者向け】Windows PCを購入する時に知っておくべきポイント(2020.8)
https://crssrds.jp/note/what-to-look-for-when-buying-a-Windows-PC


もちろん、強制することはできませんから、私たちにできることはここまで。個別に相談があった場合は対応しますが、それ以上踏み込むことはありません。

PCが生活する上で必須アイテムになっている私としては、なんとかできないものかと思いますが、必要性を感じていないのであれば大きなお世話なのかもしれません。

そう思うと、とても悩ましいところです。

■学生とのコミュニケーション

週初めの授業では、必ず「この一週間で気になったニュースや記事について話す時間」をとっています。

それぞれがどんなことに関心を持っているのかを知ることができますし、コミュニケーションの練習にもなるだろうというのが大きな目的。

ここで私がやってるのはあくまでも雑談ですが、雑談というのは意外と難しく、日頃からやっておかないと、いざやろうとしてもできないものです。

とはいえ、積極的に発言してくれるメンバーは、ほぼ固定しているというのが実情。もちろん、ここでできなくても必要な場面でできれば、まったく問題はありません。でも、ここでできないのに、他でできるのかなぁとも思う……。

また、学生から見ると先生というのは「偉そうに見える」かもしれません。しかし、実際のところは学生からの反応をとても気にしています。

こちらが話している時に、うなづくなどのレスポンスを返してくれると、とても安心できます。ポジティブなレスポンスでなくても構いません、わからない時は首をかしげるでもいいのです。反応がないよりは全然いいです。

反応のないのが一番やりにくい……。

レスポンスを返してくれる学生がいると、話しやすいのでついその方ばかりを見て話してしまいそうになります。

そうすると反応の薄い学生さんとのギャップが、さらに広がるかもしれない。

この悪循環を起こさないように、常に意識してクラス全体を見渡して話すようにしています。これは会社の会議の時にも実践していたことなのですが、なぜか学生相手だとより難しく感じますね。

講師側もいろいろと気苦労を負っていることを、学生のみなさんにもわかってもらいたい、というのが正直なところです。

学生と私では、親子ほど歳が離れているので、価値観や考え方が違っていてあたりまえ。

私も自分の価値観を押し付けるつもりはありませんが、とはいえ学生たちの好きなようにしていたのでは、講師としての存在価値がない。

ある程度は自分の価値観を前面に押し出すことも必要、ここのバランスを取るのがとても難しいのです。

ここでも、キーになるのはコミュニケーション。

学生たちがどう考えているのかがわかれば、それに対してアプローチを考えることもできるのですが、何しろ学生からのレスポンスが薄い。

いや、学生を責めるつもりはありません。

ただ、学生時代を終えてからの長い人生、コミュニケーションはとても重要な要素。今のうちに経験を積んで欲しいのです。

「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」といわれるように、最後は本人次第なので難しいところです。

「コミュニケーション」という軸では、とうてい書ききれないほどの苦悩を抱えています。

■学校の先生ではなくスポーツジムのトレーナーのように

私は教育分野の専門家ではなく、社会人経験者のひとりとして指導にあたっているので、「生きるための武器を与える」ことをイメージして授業を進めています。

これから生きていく上で役に立つけれど、教科書には載っていないようなこと、学校の先生からは得られないことを提供していこうと。

それらを進める上での私の役割のイメージは、学校の先生というよりもスポーツジムのトレーナー。

スポーツジムで普段使っていない筋肉を伸ばしたり、今まで使ってこなかった筋肉を鍛えるように、学生が今まで経験したことがないこと、やってこなかったことを、少しずつ一緒にやっていくイメージでいます。

しかし、それらは学生には理解しにくいだろうとも思っています。

スポーツジムのトレーニングであれば、体がやわらかくなった、筋肉がついたことを実感できます。しかし、私がやっていることは働き始めてから、もしかすると何年か働いてみて、ようやくわかるようなことかもしれません。

教科書に沿って勉強するようなことの方が、学びの実感を得やすいとは思うのですが、だからといってそこに合わせにいくのは違う。

今すぐに全員に理解してもらうことは難しいかもしれないけれど、私は私にできること、私だからできることをやっていこうと、自分に言い聞かせています。

学生との目に見えない戦い(戦いと思っているのは私だけかもしれない)は、まだまだ続きます。

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【若林健一 / kwaka1208】
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編集後記(09/03)

●この欄では政治的な生臭い発言はなるべく避けようと思いながら、ついつい軽率な事を書いてしまい反省しきり。そこでわたしが賛同する方の意見を紹介する、引用するという姑息な手段を用いることにした。「ロシア政治経済ジャーナル」を主宰する北野幸伯さんの「なぜ無視する? 政治家・安倍晋三が『日本の名宰相』だった究極の証拠」(8/31配信)の内容をご紹介する。

まず、安倍総理の「悪かったこと」「よかったこと」を挙げている。安倍総理の失策は、一般的には、憲法を改正できなかったこと、拉致問題を解決できなかったこと、北方領土問題を解決できなかったこと、新型コロナ対策の失敗などが挙がる。でも「拉致問題」「北方領土問題」は誰がやっても解決は困難である。批判者に「では、あなただったらどうするのですか?」と聞きたい。

そして、「新型コロナ対策」の失敗。確かにそうかもしれないが、世界を見ても「成功している」といえる国はわずか(NZ、台湾など)。だから、「安倍総理だけが際立ってひどい」とはいえない。北野さんが挙げた安倍総理の失策は、三つある。まず消費税率を二回引き上げたこと。イケイケだった日本経済はボロボロになってしまった。二つ目は3K外国人労働者の大量受け入れである。

三つ目は失策というか「無策」は、少子化問題。現在、日本の人口は、一年間に50万人というすさまじいスピードで減少している。「このままだと、80年後、日本の人口は5,000万人を切るといわれています。今の韓国レベルですね。その時、日本のGDPは世界10位以下になるでしょう。中国からの移民が、全人口の半分ぐらいを占めているかもしれません。はたして日本は、独立国家でありつづけることができるでしょうか?」

「安倍内閣は、『出生率1.8』という目標を掲げていました。ですが、事実上何もしていないようです。少なくとも、状況は何も変わっていません。というわけで、消費税率を二回引き上げたこと、3K外国人労働者を激増させたこと、少子化問題にほとんど何も取り組んでいないこと、この三つは、安倍内閣の失策だと思います」。まったくその通りである。

「ポジティブな話では、まず経済。株価は上がりました。民主党時代8,000円台まで下がりましたが、今では2万3,000円台。約3倍上がった。もう一つ、失業率が下がりました。民主党時代の2010年、5.1%だった完全失業率。2019年7月には、2.2%まで下がりました。失業率、今は上がっているでしょう。しかし、これは新型コロナ禍の影響。世界的な現象で、『安倍総理のせいで』とはいえません。次に外交。一番の功績は、『自立外交するようになった』こと」。

「『安倍は、トランプのポチだ』という人は、たくさんいます。これは、無知だからそういっているのか、あるいはポジショントーク(=安倍嫌いで、はじめから結論が決まっている)なのでしょう。実際、安倍さんは、トランプのポチでは全然ありません」。その証拠は、6つのテーマですべて、トランプとまったく反対の意見を述べている。安倍首相はトランプと全然違うことが分かる。

「二番目の功績は、日米関係を復活させたこと。民主党政権(特に鳩山政権)は、日米同盟をボロボロにしました。安倍総理は、民主党政権から『最悪の日米関係』を引き継いだのです。しかし、総理は、日米関係を復活させることに成功しました。これは勝手によくなったのではなく、安倍さんが『よくした』のです」。安倍総理は、きまぐれで猛獣のようなトランプとも、良好な関係を築いた。三番目の功績は、日ロ、日中、日韓との関係を修復したことである。

「最後に、安倍総理が『史上最長政権だった』件について。日本人にとっては、『史上最長』ですが、世界的には『ごくごく普通の長さ』です。アメリカ大統領が二期務めたのとだいたい同じ長さ。小泉総理から第二次安倍政権まで、日本では短期政権がつづきました。だいたい一年で総理が代わっていた。こういう状態は、日本の国益になりません。世界の指導者たちは、『日本のリーダーと何か話しても、来年はもういない』と思うからです。安倍総理は、長期政権だったので、(世界の指導者たちと)『一緒に何かできる』存在だったのです」

「以上、安倍政権の『悪かったこと』『良かったこと』をあげました。良かったことも、悪かったこともありますが、他の総理大臣と比べれば、『ずいぶんマシだった』といえると思います。民主党3政権と比較すれば、『偉大な総理だった』ともいえるでしょう」。北野さん、ありがとうございます。(柴田)

北野幸伯 Official Home Page
https://rpejournal.com



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