クリエイター手抜きプロジェクト[636]ロジカルすぎる人、コンピューター関係の人は農業不向きです
── 古籏一浩 ──

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今回は農業編ということで、今年(2020年)の失敗について、反省しつつ書いてみます。まあ、プログラム関係だと堅苦しいせいか、時々編集長から「わからん!」という声が飛んでくるので、今回はがんばってやわらかめ(?)に書いてみます。

まず前提として、うちは昔から専業農家ではなく兼業農家です。長くなりますが、これまでの経緯を書いておきます。





祖父が現在の土地に移住・独立開業した時に、畑と田んぼなどの土地を借りました(住居の土地も借地)。大正時代で兄弟が多い(8人)なかでの独立開業です。祖父が15歳の時です。

農地の中で畑は4畝、田んぼは離れた別地区に1反4畝程度、家の前に3畝程度でした。この土地の規模では生活できませんので、精米所と製綿所を夫婦で営むという状態でした。昭和は戦争などがあり、祖父が満州に行ったりしている間は、祖母が精米所と農業をやっていました。

終戦後、農地改革がありましたが土地は変わらず借地のままでした。その後、1反5畝の畑も借りました(ここらへんは戦後か戦前か、明確には分かりません)。

隣の畑は一大産業であった養蚕のための桑畑でした。桑の葉はお蚕様の食料です。その後、養蚕業は急激に衰退したため、桑畑はほとんどなくなりました。全部なくなったわけではなく、まだ桑畑は近くに少しだけ残っています。

高度経済成長の時期になると、高速道路(長野道)の話が持ち上がります。高速道路のために1反5畝の畑は整理され、少し違う場所に移されることになりました。問題は移された場所が、もともと河原であり石だらけだったことです。

とにかく石だらけで、拾っても拾っても石だらけ(今も石だらけのままです)。隣の専業農家は、大きなトラクターに石を取り除く機械をつけてどうにかしてましたが、畑が40〜50cmへこんだだけという状態で、思ったほど改善されませんでした。

石畑なので、作れる作物は限られます。レタス・キャベツ・白菜・野沢菜・人参・とうもろこし・トマト・茄子・キュウリ・いんげん・ピーマン・ヤーコン・アスパラガスなど、いろいろやってみましたが、結局のところ出荷レベルになったのは、レタスとアスパラガスくらいでした。

野沢菜は20cmくらいしか育たず、石畑で作物が焼けてしまうので、キュウリなど水を要するものは駄目でした。周辺でも結局のところ、レタス以外作ってない状態です。

ちなみに、とうもろこしなどはハクビシンがやってきて食べられてしまい、ほとんど何も残ってないようなこともありました。犬の糞をまけばハクビシンが来ない、という話でしたが、そんな面倒なことは誰もしません。結局、どこかのとうもろこし畑が犠牲になれば、こっちには来ないだろうみたいな具合で、現在に至ってます。

1反5畝の畑ですが、祖父・父がなくなってからは、必要な時に畑で作業できる人がいなくなったため、現在は専業農家に貸した状態になっています(でも、結局作物は作ってませんが)。

現在は4畝の小さい畑と、1反4畝の田んぼのみやっています。家の前にあった田んぼは、親が会社を始めた時に駐車場に変わりました。4畝の小さい畑は、どんな作物でもできるのですが、やはりいろいろ作って売ろうとすると、量が足りなさすぎて無理なので、実質家庭菜園みたいな状態になっています。少しは売ってみたのですが、あまりに量がなさすぎて駄目でした。

だいたいの経緯はこんな感じです。現在、農地を専業で見ることができないため、必要な時に手入れができません。畑は草だらけになったりするわけです。特に今年のような、一か月間雨降りばかりで畑仕事ができないと、もうお手上げ。完全に草畑になってしまいました。

幸い(?)にも、他の人達の畑も草畑になってましたので、今年はどこも似たようなものだったのかもしれません。トラクターでかき混ぜても、4日後には草が生えてるような具合でした。

雨降りの後は梅雨明けで、今度は猛烈な暑さ。畑仕事したら熱中症で死んでしまいます。暑さが和らぐ時間となると、午後5時過ぎです。そこから次の仕事までの、1時間半で作物の手入れ・草取りなどをするわけなので、かなり無理があります。

朝早く起きてやればいいのでは、という意見もありそうですが、夜は配達の仕事があるのと、食品絡みなので終わった頃には明るくなってます。その数時間後には、また配達に行かないといけないので、とても無理です。ここで20年に一度の役が回ってくると、実質2時間以下の睡眠時間になってしまいます。

畑は面倒ですが、田んぼの方は割と楽です。ルーティーンが決まっているからです。とは言え、今年のように一か月も雨が続くと、いつものようにはいきません。

天気予報なんてものは7〜10日間しか分からない上に、基本的に今のスーパーコンピューターの計算では、明後日までの天気しか高確率で確定しません(雑誌NEWTONによれば)。

結局のところ、自分の経験と勘に頼るしかありません。ロジカルすぎる人、コンピューター関係の人に農業が向いていないのも、こういう経験と勘によるところが大きいせいかもしれません。

さらに今年は、最初に中国でコロナが発生し、工場が停止したためか、気候がいつものよりも二週間遅れみたいな感じでした。4月の田んぼの側溝の掃除も、例年よりもかなり寒い状態でした。

中国でコロナが収まった途端に猛暑みたいな感じになりましたが、こうなると米国よりも中国の方を見て、農業しないといけないのかもしれません。もっとも肥料に必要なものは、中国なしでは話にならないのですが。

日本で農業をやるなら中国依存、やめるなら米国の小麦(パン食)依存みたいな感じかもしれません。猛烈な円安にでもなれば、国内だけでやるしかなくなる可能性はあります。ただ、その時点ではほとんどのノウハウが失われていて、難しい状況になるかもしれません。

それはさておき、田んぼの方は何とか稲刈り・脱穀まで終わりました。が、昨年稗(ひえ)が大量に発生したので、藁とともに燃やしたせいか、米の収量は少なめでした。まあ、穂が出る時にまく肥料も、例年の半分もまかなかったせいもあるかもしれません。

他の家のお米も作ってるのですが、それを渡したら2袋しか残らないという状態になってしまいました。もっとも、作付面積を量り間違えたのも大きな理由ですが。田植え後に、植えてもらった人との会話で、何か少ないねぇ、みたいな話になったのですが、本当に少なかったというオチになってしまいました。ただ、たくさん作ると最悪の場合、一人で処理できないので、ここらへん難しいところです。

まあ、とりあえず今年も野沢菜とネギを収穫すれば終わりなので、失敗はあったけど何とかなった、というところ。あと田んぼの監視カメラ(ラズパイ)が、壊れたまま動かないという事故もありました。まあ、農業いろいろです。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


畑とは別に、自宅前でも作物を少し作っています。ミニトマトなどは大量にできすぎたので干してみたものの、なんか虫がわいて結局捨てるはめに。畑でできたジャガイモは食べ過ぎで、種芋の分がなくなりそうな状態に。

IT/IoTと農業の記事は注意して読んだ方がいいです。コンサル・投資絡み・企業系のは基本的に駄目。IT+農業でミニトマトや苺が多いのは高単価だから。トマトは収量が多く見込めて高単価、水耕栽培もできる。インチキコンサル・投資家の言う通りにしていたら、ほとんどの野菜は誰も作らなくなるんじゃないでしょうかね。

それでもIT/IoT+農業で生計たててみたいなら、広大な時(水源含む)を購入して、一括管理できるようにするといったところでしょうか。でも、これはもう1970年代から行われている事なので、今やるなら農地ではなく工場跡地などを再利用して、工場で高単価の野菜を作るといったところかもしれません。

でも、皆が参入すると失敗するので難しいところ。もやしみたいな低単価商品になる。もやしは生産サイクルが早いけど、そうでない野菜だと大赤字で撤退という流れに。

こうなると、自宅でプランターなどを利用して作物を作るのが、低コストで安全・新鮮という具合になります。自作IoT機器を使って管理するのもよいと思います。これまでの大規模農業から、再び小規模農業・兼業農家などが見直される時期に入っていくのかもしれません。

・創って学ぼうプログラミング
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