クリエイター手抜きプロジェクト[638]IoT マイクロビット編 新しくなったマイクロビット
── 古籏一浩 ──

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今回は、11月25日に発売されたマイクロビット(micro:bit)v2のレポートです。v2、つまりバージョン2ということになります。ちなみに、前のバージョンは1.5だそうです。日本ではスイッチサイエンス社などから発売されています。今回購入したのは以下の製品です。

https://www.switch-science.com/catalog/6600/


マイクロビットは、M1チップを搭載したMacBook Airのような人身御供になる可能性は低いので、安心して使えます。大きく変わったのは、スピーカーが搭載されたことです。今まではオーディオケーブルでスピーカーに接続するか、サードパーティ製のスピーカーモジュールを使う必要がありました。




マイクロビットv2では標準になったことで、手軽に音を使ったプログラムを利用できるようになりました。また、音を出すだけでなく音を検知することができるようになりました。大きな音がしたら処理する、といった事が簡単にできるようになりました。

スピーカーはありがたいのですが、それ以上にメモリ容量(RAMは128KB)が2倍になっていますので、大きなプログラムも動かせるようになりました。これまではグラフィックを描画したりすると、メモリ不足のため複雑な描画があまりできませんでした。これで、心おきなくグラフィック処理を堪能できます。

あと、さりげない追加としては、マイクロビットのロゴ部分がタッチセンサーになっています。この部分はボタン以外の入力としても使えます(これまではタッチ検知は端子だけでした)。

・マイクロビット仕様(公式)
https://tech.microbit.org/hardware/


ということで、購入したマイクロビットの箱を開封します。すると、中にはマイクロビットと細かい注意書きと、Get startedの紙が入っています。Get startedの紙を開くと、期待とは違って簡単なイラストが載っているだけです。

実際にはどうすればよいかというと、Get startedのページの下にあるmicrobit.org/startのURLにアクセスしてください、ということです。アクセスすると、どうやってプログラムするかの手順が表示されます。

マイクロビットには最初からプログラムが入っているので、電源を入れるだけでもゲームをプレイすることができます。ゲームは二種類入っています。とはいえ、すぐにゲームをプレイできるわけではありません。電源を入れると、以下のような順番でプログラムが実行されていきます。

(1)派手なオープニングLED点滅(音あり)
(2)HELLO! のメッセージを表示
(3)ニコニコマーク表示
(4)左右のボタンを押すように指示される
(5)SHAKE! するように指示される(5回くらい)
(6)マイクロビットを傾けて点灯しているLEDに当てるゲーム
(7)手を叩いたりして音を出すように指示される(音検知)
(8)LEDにハートマークなどの表示
(9)スネークゲーム(自分自身に当たるとゲームオーバー)

マイクロビットでプログラミングするには、コンピューター(Windows、Mac、Linux)か、スマートフォン・タブレットが必要です。スマートフォン・タブレットの場合は、マウスを使うようにした方が便利です。ただ、古いタブレットではうまくいかなかったりするので、やはりコンピューターを使うのがよいと思います。詳しい手順については、以下の公式ページに説明があります。

・マイクロビットを簡単に使うための5つのステップ
https://archive.microbit.org/ja/guide/quick/


マイクロビットで簡単にプログラムを作るには、MakeCodeのブロックエディタを使うのがよいでしょう。これまでと同様に、JavaScriptのコードを入力してプログラミングすることもできますし、Pythonも使うことができます。

・Python Editor v2
https://python.microbit.org/v/2


以前のPython Editorを使いたい場合は、以下のURLにアクセスすれば使えます。ただし、サポート期限があるので、新しいPyhthon Editorを使いましょう。

・Python Editor v1
https://python.microbit.org/v/1


マイクロビットv2に追加されたブロックは多くありません。入力と音楽だけです。入力は音の入力と、追加されたロゴのタッチセンサーです。音楽は本体にスピーカーが内蔵されているため、外部に接続したスピーカーと同時に音がなってしまいます。本体から音を出さないようにするための、ブロックなどが追加されています。

プログラムの作り方はこれまでと同じで、作り終わったら保存します。ダウンロードフォルダにプログラムファイルが生成されるので、そのファイルをUSB接続されたマイクロビットにコピーするだけです。

音を検知して静かな状態かどうかを、LEDに表示するプログラムを作ってみました。実行してみるとLEDが明るすぎる気もします。このLEDの明るさもプログラムで設定できるのですが、電源供給されていることを示すLEDの方は、明るさは変更できません(5×5のLED面のみプログラムで制御可能)。

でも、まあこれから子供にプログラム体験させてみたいという人には、マイクロビットは選択肢の一つだと思います。必ずしもおすすめと書けないのは、コンピューターを持っていない人が結構いるからです。スマートフォンは持っていても、パソコンは持ってない人は多くなっています。

マイクロビットはスマートフォン、タブレットでもプログラミングできますが、やはりうまくいかなかったり、画面が狭くて全体を把握しにくかったりすることもあります。iPhone/iPadならまだいいのですが、Android系でどうしてもうまくいかず、結局Windows 10マシン購入で、ということがありました。

特に古いタブレットだと、なかなかうまくいかず、子供の方が興味をなくしてしまうということもあります。今年はプログラミング教育が始まるはずでした。パソコンやネットワーク環境が整っていないということが、“コロナのせいで”分かった年だったかもしれません(これは日本だけでなく、海外でも同様の事例がありました)。

低価格で全部揃うのは、結局のところラズベリーパイということになってしまいそうです。ただ、いきなりラズベリーパイを使って、子供にプログラミングさせるのは敷居が高いので、ラズベリーパイとマイクロビットという組み合わせにするのがよいのかもしれません。

マイクロビットは子供の学習用に作られているだけあって、案外と壊れません。今まで100個くらいは買っていると思いますが、不良品はひとつもなく故障も0です(電源入ってる状態で水没させたり、踏みつけて破壊するような、故意に故障させるのは別)。

だいたい、動作がおかしくなるのは使っているUSBケーブルのせいか、ケーブルがしっかりと差し込まれていないからでした。WindowsでなくUNIX (Linux:Ubuntu) を使っても、子供はすぐに覚えるので問題ありません。古いマシンにLinux(Ubuntu)を入れて、マイクロビット専用機にするのもよいのではないかと思います。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


今年はコロナの影響もあったせいか、目新しいIoT・デバイス製品少なかった感じがしました。買った中で現状手つかずなのは、Wio TermilaとM5Stackの電子ペーパー。しかし、電子ペーパー8000円近くだったので迷ってるうちに売り切れ……。でも、他にも買ったままのものがあるので、お正月にトライしたいところ。

なんだけど、正月ってよくても1〜2日しか休みがないんですよねぇ。

・創って学ぼうプログラミング
https://news.mynavi.jp/series/makeprogram


・8K/4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/