《「私ってなに?」》
■羽化の作法[119]現在編
ロボマインド・プロジェクトとフォノグラム
武 盾一郎
■LIFE is 日々一歩(132)[コラム]
ライブ授業に取り組んだ、2020年を振り返る
森 和恵
■羽化の作法[119]現在編
ロボマインド・プロジェクトとフォノグラム
武 盾一郎
■LIFE is 日々一歩(132)[コラム]
ライブ授業に取り組んだ、2020年を振り返る
森 和恵
━━━━━━━━━━━━━━━━━
■羽化の作法[119]現在編
ロボマインド・プロジェクトとフォノグラム
武 盾一郎
https://bn.dgcr.com/archives/20201215110200.html
─────────────────
先日プログラマの伊澤伸さんと一緒に、ロボマインド・プロジェクトの田方篤志さんと、フォノグラム(音の図形)研究者の小野田智之さんに会いに、神戸・京都に行ってきました。
AIに意識を発生させるロボマインド・プロジェクト
https://www.youtube.com/channel/UCF7k8BrfIwPSennLMByxyuQ
おにょTVー音の図形ー
https://www.youtube.com/channel/UCUx2sYkHw0U5HugvkvpqSBA
私は意識の謎に関心がありまして、デジクリでも何回も書いているのですが、動画は2017年9月16日にセーラー服おじさんことケバヤシさん(デジクリでは「GrowHair」)たちと一本だけあげています。
知に串刺せば香ばしい #chinikushi Vol.01 機械に意識は宿るのか?
なぜ意識に興味があるのかというと、「私ってなに?」という素朴な疑問って子どもの頃に誰しもが持ったと思うんですよ。今もなお、まだその素朴な疑問に関心を持ってるだけなんです。
他にもあります。「音楽ってなんでこんなに胸がキュンとなるの?」とか、「絵を観るとどうしてふわ〜って引き込まれていくの?」とか、「宇宙ってなに?」とか。
そういう子どもの頃に抱いた不思議感が持続しているだけなんだなあって思うわけです。幼い頃、誰もが抱いた素朴な疑問ほど、なぜか解明されていないんですよね。
最も根源的なことが分からなくて、その謎を土台にして、いろんなことが分かった風になっているだけなんですよ。だから、大人になってからの悩みって根源的ではないとも言えるんです。悩んでるだけ無駄なんですよ、きっと。そうは言っても、あれこれと悩んだりしちゃうんですけどね。
今回は、先日訪ねた「ロボマインド・プロジェクト」と「フォノグラム」について書きます。
●ロボマインド・プロジェクト
ロボマインド・プロジェクトのコンセプトはシンプルです。ひとことで言うと「ドラえもんを作りたい」なんです。
ドラえもんは「心」を持っています。チューリング・テストに合格して、「哲学的ゾンビ」問題を克服した未来の人類が作ったロボットです。
科学はこれまで、多くの迷信や神々たちの存在を否定して来ました。お月様でウサギは餅をついてなくて、あれはクレーターだとか、雷は雷神様の仕業ではなく電気だとか。
ところが意識に関しては、「機械に意識が宿って然るべき」が主流で、まるで「つくも神」やら「もののけ」を肯定しちゃうようなベクトルになっていて興奮するのである。
もし、「機械に意識は宿らない」が正解だった場合、「ドラえもん」は、「雷神」や「月に住む餅をつくウサギ」と同様の、「科学で否定されてしまった存在」になるわけですが、それでも人はそれらを愛でるんですよ。
とは言うものの、現在の対話するAIはすべて心はありません。そして、どんなに性能をアップさせても、現在のAIの対話方法では心は持ち得ません。なぜなら仕組みが違うからです。
ロボマインド・プロジェクトは「意識の仮想世界仮説」を唱えています。この仕組みでプログラムを作れたら、「ドラえもん」が誕生すると主張しているのです。
「意識の仮想世界仮説」とはざっくりと説明すると、「この世界は脳で作らている」と言うことなんです。
ここ、ちょっと哲学的になっちゃうので面白いのです。私たちが見ている、聞いているこの風景、この世界、星空、etc……。これらはそのような形や色で存在しているのではなく、私の脳内で作られたものである、ということで、したがって、私たちは外の世界の本当の姿を知ることはできないのです。
「この世界はあなたの作り出した夢なんです」とアヤシイことを言ったとして、これ、恐らく正解なわけなんです。私たちは脳の中で仮想世界を構築して、それを世界だと思っているのですから。
ならば、ドラえもんを作るには、まず仮想世界を作る必要がります。そうやってプログラムを組み立てているのがロボマインド・プロジェクトです。「あれこれ理論をこねくり回してるだけでなく、ともかく作ってみよう」。このアプローチは清々しい。
人類初の有人飛行を成し遂げたライト兄弟の最初の飛行は1903年、飛行時間はたった12秒、距離は36.5mですよ。ロボマインドプロジェクトがドラえもんのような会話プログラムを作れたとして、「カタコト」だと思うのですが、もしそうだとしても素晴らしいことです。
いや待て、そんなことは潤沢な資金と人材がある、世界中のアカデミズムがやるんじゃないの? と思わなくもないですが、私は在野の個人の活動に胸を踊らせてしまうのです。
音楽に例えるならば、マイケルジャクソンやマドンナはもちろん素敵だけど、インディーレーベル「4AD」の「コクトーツインズ」とか「デッドカンダンス」とか、日本でいえば松田聖子は嫌いじゃなかったけど、インディーレーベル「ナゴムレコード」の「ばちかぶり」とか「人生」の方がワクワクした、みたいな。
Cocteau Twins Alice HD
Dead Can Dance - The Carnival Is Over(Official Video)
ばちかぶり Only You 田口トモロヲ オンリーユー
人生 / オールナイトロング
メジャーとインディーズ、大学と在野、どっちも大切ですが、私自身はストリートから始めたアーティストなので、インディーズ・在野に惹かれるのです。両者の違いは「既存コミュニティに参加するのか」、「コミュニティを自分で作るのか」だと思っていますが、だた、そこに分断があるとは思いたくないので、あんまりこだわらないようにはしたいです。
ところで、仮想世界仮説を使ってドラえもんのように受け答えするプログラムができたとして、果たしてそこに意識が宿っているかは分かりません。
もし、哲学的ゾンビだったとしても、なんの違和感もなく会話ができたら、私はそのロボットに心を見出してしまうでしょう。その時どうするのか? 壊れたら普通に捨てるのか? 破壊していいのか? 所有されるモノでいいのか?
ロボマインド・プロジェクトの取組にはワクワクしますが、その先に本質的問題が横たわっているのは確かです。さて、もう一つの訪問がフォノグラムの小野田智之さんです。
●フォノグラム
京都で小野田さんの教室を訪ねると、玄関先に机があってノートパソコンが置いてあり、ネットで質疑応答中でした。その奥の部屋では生徒さんたちが板を削っていて教室の真っ最中でした。
「おぉー、ネットで見た場所だー」と教室を見渡して思いました。小野田さんと一緒に動画配信している小飯田吉史さんもいらっしゃいました。
第67回「12/10 店頭販売開始~!!」1/4
ちょうど教室も休憩になり、小野田さんと少しお話をしました。そこで「このまま、もじもじ体操を頑張っても武さんがフォノグラムを見るのは難しい」と言われました。
どうやら後頭葉ゲシュタルトに移行しずらい、前頭葉ゲシュタルトつまり自我意識とか言葉とか論理に縛られ過ぎている、というのです。
ちょっと痛いけど、前頭葉ゲシュタルトから後頭葉ゲシュタルトに移す施術をしてあげましょうか? と聞かれたので、痛くても全然構わないのでやって欲しいと答えました。
そして玄関のところにマットを敷いて、小野田さんの施術を受ける流れとなりました。訪ねて行っていきなり技をかけられるなんて、幸運でございます。ありがとうございました。
技をかけられてしばらくは、頭の中に言葉が湧き出してこない状態となりました。とても楽でスッキリしていました。
ユヴァル・ノア・ハラリの『ホモ・デウス』に次のような一節があります。
“この実験のせいでサリーの人生が変わった。その後の数日で、彼女は自分が「スピリチュアルなものに近い体験」をしたことに気づいた。「その経験の特徴は、自分が前より賢くなったと感じたり、物覚えが良くなったりするというものではなかった。
愕然としたのは、生まれて初めて、頭の中の何もかもが、ついに口をつぐんだことだった⋯自己不信と無縁の自分の脳というのは新発見だった。頭の中が突然、信じられないほど静まり返った⋯この経験の後の数週間というもの、いちばんやりたくてしかたなかったのは、あそこに戻ってもう一度電極をつけることだったと言ったら、共感してもらえるといいのだが。
私はじつに多くの疑問を抱くようにもなった。私の心には怒りと敵意に満ちた小鬼たちが住みついて、私を怖がらせて、やりもしないうちから物事を諦めさせてきたけれど、やつらを別とすれば、私は何者だったのか? そして、あの声はみな、どこから聞こえてきていたのか?”
これは軍事用の経頭蓋刺激装置を装着して、戦場シュミレーターに入った「ニューサイエンティスト」誌の記者サリー・アディーの感想の記述なのですが、ちょっとこれに近いのかなあと思いました。
頭の中って頼んでもいないのに言葉が沸き上がっていませんか? それは過去の失敗を思い出してバカだなあと自分を嘆いたり、不安材料をあれこれ考えていたり、誰かの気に食わないところをあげ連ねいていたり、自分の能力を限定していたり……ずっとずっとなんだかくだらないことをグダグダとぐるぐるとさせていたことに気が付いたのです。まさに小鬼たちが住み着いていたのです。
私もサリーと同様にそれらの小鬼たちががしばらく消えてくれたのです。昔の呪術師とか陰陽師による悪霊退散の技ってこういうのだったのかもなあと思いました。
そんなフォノグラム研究者の小野田さんですが、12月10日に本が出版されています。
『物質と精神を繋ぐ フォノグラムー音の図形』
https://www.amazon.co.jp/dp/4910169040/dgcrcom-22/
まえがきから気になったところをピックアップします。
“聴覚は視覚と異なり、二つの形式が存在しています。アブミ骨、キヌタ骨、ツチ骨などを経由し、大脳に送られるデジタル信号としての音認知、そしてもう一つは、蝸牛のリンパ管から全身のリンパ節に至るアナログ信号としての音認知です。
この二つの形式は、平均律と純正律としても理解することができます。また、大脳が認知しているデジタル信号と、身体が認知しているアナログ信号の埋めようのないギャップが、ピタゴラスカンマの存在理由なのです。
視覚認知に基づく現代科学とは、大脳のデジタル信号のみを扱う科学のため、それは数学表現とよく合うのですが、身体のアナログ情報や内観情報は前頭葉(★1)を介さないため、それらの世界観の枠の外にあるという訳なのです。
ここに、新たな科学の可能性と、なぜ、内観認知をもとにした宗教と、前頭葉ゲシュタルト認知(★2)をもとにした現代科学に断絶があるのかの理由がわかってきます。そしてそれを結び付けているのは、他でもない私たちの身体なのです。
★1 前頭葉:大脳皮質と言わずにあえて前頭葉という言い方をしています。
生理学的な定義とは異なった表現をしていますが、フォノグラムが観えるようになりますと、「前頭葉」という言い方が実態をよく表しています。もし、どうしてもこの表現に違和感のある方は、形而下の情報処理をする脳部位のことであると思ってください。ここでは前頭葉という言い方で統一します。
★2 前頭葉ゲシュタルト認知:五感から大脳に入ってくるデジタル信号が見せている世界像。普通の意味での意識状態が見せているこの三次元物理宇宙での認知形式のこと。夢の世界や内観認知は前頭葉ゲシュタルト認知ではない。”
音の認知にデジタル信号とアナログ信号の二種類あるというのが、事実かどうか調べても分からないのですが、かなり興味深いです。それらが前頭葉ゲシュタルトと後頭葉ゲシュタルト、平均律と純正律に対応しているというのも、なんとなく頷けます。けど、よく考えるとまるで理解できません。しかし興味深いです。
そしてまえがきの最後の方にはこんな文章もあります。
“前頭葉ゲシュタルト科学とは物質の科学でしたが、非前頭葉ゲシュタルト科学とは意識の科学なのです。そして、意識とはずばり重力のことです。重力を制御する方法は実は意識のコントロールなのです。”
意識とは重力である、と。これはかなりビックリする文章です。確かに、心は重いとか軽いとか重力で表現します。それに重力は他の3つの力、電磁力、強い力、弱い力と比べて極端に小さいことも知られています。重力だけが謎なんですよね。でも、どのように意識と重力が繋がるのかはまるで分かりません。気になった方はぜひ読んでみてください。(つづく)
【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/断酒341日目】
・ガブリエルガブリエラ
Twitter https://twitter.com/G_G_jp
Instagram https://www.instagram.com/G_G_jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━
■LIFE is 日々一歩(132)[コラム]
ライブ授業に取り組んだ、2020年を振り返る
森 和恵
https://bn.dgcr.com/archives/20201215110100.html
─────────────────
こんにちは、森和恵です。しいたけ占いの2021年上半期が発表され、年末感を噛みしめています。今年の最後を締めくくる今回は、『ライブ授業』にかけた試みを紐解きたいと思います。
……と本題の前に、ウェブ制作のスキルが学べるYouTubeライブ授業のお知らせです。
いよいよ本シリーズ最終章、グリッドレイアウト編に入り、2回目まで放送しました。
『CSSグリッドレイアウト(2)・グリッドラインに配置編』
あと2回、12月20日と27日に配信して、本シリーズが完結する予定です。
配信URLなどは、日が近づいたらツイートします。日曜日の夜、23時にお目にかかりましょう。
https://twitter.com/r360studio
●授業のテーマをHTML&CSSにした理由
昨年の11月から一年を経て、HTML&CSSの基礎からレイアウトまでが学べる授業を配信し続けてきました。『コーディング』と『レイアウト』に分けて、再生リストを公開しています。
『いまどきのHTML&CSSコーディングにチャレンジ』(全11回+4回)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL7LtdGFp5DwR1hvpf39m2IJPe15hRZ6kg
『いまどきのHTML&CSSレイアウトにチャレンジ』(全27回予定)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL7LtdGFp5DwSevXeQeEF2kHqiTRjTo1cL
一回の配信で1時間半ぐらいお話しているので、おおよそ4000分ぐらいの授業を無料で公開していることになります。
今月あと2回配信したら全教材が揃いますが、いちから系統立ててこのテーマを学べるコンテンツになったなと改めて感じています。
毎週のライブ配信をリアルタイム視聴されている方々もおられ、ウェブコーディングの基礎力アップの一助になっているとも実感しています。
さて。お仕事として講義をしている身でありながら、授業を無料公開しているのには理由があります。
ひとつは、私自身のスキルアップの継続のためです。いっとき、アドビ系ソフトの授業ばかりを担当し、ウェブコーディングから離れた時期がありました。
しばらくぶりにみると、ウェブページのコーディング手法はまるっきり変化していて、これはヤバイ! ともう一度勉強を始めました。
まずは情報収集からと、ブログ記事、動画の学習コンテンツをとにかくたくさん探してみました。
いろんなコンテンツを見比べていくうちに驚きました。『正しい情報が少ない』のです。
原典となる仕様書をきちんと調べて裏取りし、ブラウザーの対応状況も鑑みて、最新で正しい情報を伝えているコンテンツはわずかでした。
単純に古い記事だったり、聞きかじった情報を試しもせずにそのまま丸写ししてる記事だったり。玉石混合のようなものから、本当に必要で正しい情報を取り出すのには骨が折れました。
わたしはウェブコーディングの経験者のため、「この情報では検討が不十分/実用に使えない」ことが肌感覚でわかるのですが、初学者の段階なら、鵜呑みにしてしまうかもしれません。
それならばと、再勉強するにあたって現状を調べてまとめ、ライブ授業のテーマにしました。
日付を決めて定期的にライブ授業にすることで、定期的にきちんと勉強するようにもなり、一年間続けられたこともよかったなと思います。
●テーマの裏の戦略
もうひとつの理由は、自身のYouTubeチャンネルの成長のためです。
チャンネルを継続するには、視聴回数と視聴時間が必要です。『チャンネル内のコンテンツが多くの人に支持されている』状態が、チャンネルの成長につながります。
そのためには、他と差別化できる、まとまったテーマのコンテンツのストックが必要だと考えました。
その特徴的なコンテンツを何にするか考えたとき、うちのチャンネルなら『HTML&CSS』だなと思いつきました。
HTML&CSSを扱ったコンテンツは、
・ウェブ制作のどこを担当しても必要な基礎知識
・ルールや仕組みの変化が、ある程度緩やか
という特徴があります。
以前に、バージョンアップが激しいものをテーマに作った動画が、あっという間に古くなって困った経験からそう考えたのです。
このコンテンツは、爆発的に視聴数が伸びるわけではないけれど、長寿番組のように長いスパンで見られるコンテンツとして根付くのではと思っています。
●今後の方向性、したいこと
という感じで、ライブ配信の舞台裏話、いかがでしたか? YouTuberが、チャンネルの成長のためにいろいろと考えながら、動画を作っている様子がお伝えできていればいいなと思います。
最後に、今後の方向性についてもお話ししておきます。
まずは、HTML&CSSのライブ配信コンテンツを冊子にまとめたいと考えています。
実は前から取り組んでいて、秋に目をケガしてしまってから延期していましたが、次の技術書典向けに執筆を進めています。
▼いまどきのHTML&CSSレイアウトにチャレンジ:r360study
https://techbookfest.org/product/5510911596953600
冊子化を考えたきっかけは、「授業を聞きながら、ノートを取っています」という視聴者さんからのコメントでした。短期間にガッと勉強するには動画が向いていますが、知識を継続して覚えておくためにはテキスト情報があるとなおいいですよね。
次は、来年から始める予定のコンテンツの紹介です。
ひとつは、わたしが日々収集している業界情報をまとめてシェアする「朝のニュース」コンテンツです。朝早く定刻に動画を公開するので、通勤時間や仕事を始める前のスキマ時間に、楽しみながらお役立ててもらえたらいいなと思います。
私が毎朝視聴しているドリキンさんのVLOGのように、自身の生活に密着したパーソナル感も出したいと思っています。
『drikin』
https://www.youtube.com/user/drikin
もうひとつは、ライブ配信授業の次のシリーズですが、『WordPress・テーマカスタマイズとブロックエディタ活用』に決めました。
ライブ配信中にチャット欄で伺った時に、支持が多かったテーマをそのままやってみようかなと思います。年末年始は、これらの準備で大わらわになりそうです。
デジクリの今年最後に配信される、年末あいさつ号(5147)でお正月明けの特番も告知しますので、ぜひお見逃しなく。(編集部:じつは大晦日も配信あります)
ではまた、来年にお目にかかりましょう!
(^^)
【森 和恵 r360studio ウェブ系インストラクター】
mail: r360studio@gmail.com
YouTube: https://youtube.com/r360studio
サイト: https://r360studio.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(12/15)
●偏屈BOOK案内:デビッド・A・シンクレア「LIFE SPAN 老いなき世界」東洋経済新報社 2020
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492046747/dgcrcom-22/
分厚いうえに手強い内容の本で、「生命は老いるようにはできていない」「老化は治療できる病である」「もはや老いを恐れることはない」「老化の情報理論が導く長寿革命が、私たちの世界観や人生観を一変させる!」などと、ハードカバーの袖にある。本文495ページ、原註98ページと分厚い。凶器としても使用可能(冗談です)。
人間は時間をかけて苦しみながら死んでいく。人間は寿命を延ばすことに成功したものの、そのせいで「晩年=医療を受けること」という図式を生んだ。だが、そうでなくてもいいのだとしたら? 時間が刻々と過ぎていくのを気にやまなくてもいいのだとしたら? そういう未来が実際にすぐそこまで迫っているとしたらどうだろうか。そういうことを書いた本である。
人生最後の数十年が、人工呼吸器と種々雑多な薬、股関節骨折とおむつ、化学療法に放射線、手術に次ぐ手術、そして忌々しい医療費。人は時間をかけて苦しみながら死んでいく。人間は寿命を延ばすことに成功したものの、そのせいで「晩年=医療を受けること」という図式を生んだ。わたしも今ソコ(の少し前)。
筆者は30年近くにわたり、生物としての仕組みや機能を研究しながら真実を追い求めてきた。そして、老化研究で世界を代表する科学者20名からなる「健康・寿命研究アカデミー」を共同設立した。だが老化の研究者にとって状況は厳しい。「老化の生物学的仕組み」を解明する研究には、アメリカの医学研究予算全体の1%も振り向けられていない。なぜ健康長寿を目指す研究に金を回さないのか。
その理由は、医学研究に民間の資金を投じている国ならどこも同じである。病気をどう定義するかによって、金の使い方、研究のあり方が縛られてしまうのだ。心臓疾患、がんなどは公的研究助成機関から支援がある。人口の50%に影響を及ぼし10年あまりも寿命を縮めている肥満には、わずか10億ドル足らずだ。「人生をもっと良くしようとしている老化研究者からしては嘆きたくなる」。
2018年に連邦議会は老化研究に対して約40万ドルの支出を承認したが、内訳を見るとほぼすべてがアルツハイマー病の研究とホルモン補充療法の臨床試験、老齢者の生活調査などに充てられ、「老化研究」と銘打っておきながら、老化の生物学的仕組みを研究する予算は全体の3%足らずだった。がん研究の1/10だ。死因としてのアルツハイマー病を研究しても、平均寿命は僅かしか延びない。
老化を引き起こす根本的な仕組みについては何もわからない。実際には人口の90%の命を奪う〈病気以外の何物でもない〉というのに。「老化は病気だ。これほどわかりきったことを何度も繰り返さなければならないなんて、ほとんど常識を逸している。老化は病気だ。しかもただの病気ではない。あらゆる病気の母であり、私達の誰もがその魔手から逃れられない」とかなり憤っている。
健康寿命を延ばす研究分野の革新を加速し、薬品やテクノロジーの発見につなげる一番手間がなくて簡単なのは、老化を病気と位置づけることだ。それ以外は何も変えなくていい。そうすれば老化の研究者も、ほかの個別の病気に取り組む世界中の研究者と対等に競えるようになる。老化は病気だったのか! わたしは甲状腺の病気持ちだが、さらに病気が加わったのか。まあ、いいけど。つづく。(柴田)
●Amazon定期便続き。夕方遅くに、宅配ボックスの裏で、ずーっと作業している若い人がたまにいる。宅配ボックスはほぼ満杯。
全部入れ終えてから、不在票を郵便受けに入れるんだろう。不在票がなくても、キーをかざせばどのボックスに入っているかわかるし、扉は開けられる。
作業音を聞きつつ、ボックスを開けて、自分の荷物を受け取った。その荷物は、注文履歴では「配達中」表示のままになっていたが、届いているので気にしていなかった。ステータスを変更してないだけだと思ってた。
翌月になって、その4点のうち3点が届いたというわけだ。注文履歴を見ると、請求額は0円で、先の分は「配達できませんでした」という表示に変わっていた。続く。(hammer.mule)
■羽化の作法[119]現在編
ロボマインド・プロジェクトとフォノグラム
武 盾一郎
https://bn.dgcr.com/archives/20201215110200.html
─────────────────
先日プログラマの伊澤伸さんと一緒に、ロボマインド・プロジェクトの田方篤志さんと、フォノグラム(音の図形)研究者の小野田智之さんに会いに、神戸・京都に行ってきました。
https://twitter.com/Take_J/status/1337931323030319106
AIに意識を発生させるロボマインド・プロジェクト
https://www.youtube.com/channel/UCF7k8BrfIwPSennLMByxyuQ
おにょTVー音の図形ー
https://www.youtube.com/channel/UCUx2sYkHw0U5HugvkvpqSBA
私は意識の謎に関心がありまして、デジクリでも何回も書いているのですが、動画は2017年9月16日にセーラー服おじさんことケバヤシさん(デジクリでは「GrowHair」)たちと一本だけあげています。
知に串刺せば香ばしい #chinikushi Vol.01 機械に意識は宿るのか?
なぜ意識に興味があるのかというと、「私ってなに?」という素朴な疑問って子どもの頃に誰しもが持ったと思うんですよ。今もなお、まだその素朴な疑問に関心を持ってるだけなんです。
他にもあります。「音楽ってなんでこんなに胸がキュンとなるの?」とか、「絵を観るとどうしてふわ〜って引き込まれていくの?」とか、「宇宙ってなに?」とか。
そういう子どもの頃に抱いた不思議感が持続しているだけなんだなあって思うわけです。幼い頃、誰もが抱いた素朴な疑問ほど、なぜか解明されていないんですよね。
最も根源的なことが分からなくて、その謎を土台にして、いろんなことが分かった風になっているだけなんですよ。だから、大人になってからの悩みって根源的ではないとも言えるんです。悩んでるだけ無駄なんですよ、きっと。そうは言っても、あれこれと悩んだりしちゃうんですけどね。
今回は、先日訪ねた「ロボマインド・プロジェクト」と「フォノグラム」について書きます。
●ロボマインド・プロジェクト
ロボマインド・プロジェクトのコンセプトはシンプルです。ひとことで言うと「ドラえもんを作りたい」なんです。
ドラえもんは「心」を持っています。チューリング・テストに合格して、「哲学的ゾンビ」問題を克服した未来の人類が作ったロボットです。
科学はこれまで、多くの迷信や神々たちの存在を否定して来ました。お月様でウサギは餅をついてなくて、あれはクレーターだとか、雷は雷神様の仕業ではなく電気だとか。
ところが意識に関しては、「機械に意識が宿って然るべき」が主流で、まるで「つくも神」やら「もののけ」を肯定しちゃうようなベクトルになっていて興奮するのである。
もし、「機械に意識は宿らない」が正解だった場合、「ドラえもん」は、「雷神」や「月に住む餅をつくウサギ」と同様の、「科学で否定されてしまった存在」になるわけですが、それでも人はそれらを愛でるんですよ。
とは言うものの、現在の対話するAIはすべて心はありません。そして、どんなに性能をアップさせても、現在のAIの対話方法では心は持ち得ません。なぜなら仕組みが違うからです。
ロボマインド・プロジェクトは「意識の仮想世界仮説」を唱えています。この仕組みでプログラムを作れたら、「ドラえもん」が誕生すると主張しているのです。
「意識の仮想世界仮説」とはざっくりと説明すると、「この世界は脳で作らている」と言うことなんです。
ここ、ちょっと哲学的になっちゃうので面白いのです。私たちが見ている、聞いているこの風景、この世界、星空、etc……。これらはそのような形や色で存在しているのではなく、私の脳内で作られたものである、ということで、したがって、私たちは外の世界の本当の姿を知ることはできないのです。
「この世界はあなたの作り出した夢なんです」とアヤシイことを言ったとして、これ、恐らく正解なわけなんです。私たちは脳の中で仮想世界を構築して、それを世界だと思っているのですから。
ならば、ドラえもんを作るには、まず仮想世界を作る必要がります。そうやってプログラムを組み立てているのがロボマインド・プロジェクトです。「あれこれ理論をこねくり回してるだけでなく、ともかく作ってみよう」。このアプローチは清々しい。
人類初の有人飛行を成し遂げたライト兄弟の最初の飛行は1903年、飛行時間はたった12秒、距離は36.5mですよ。ロボマインドプロジェクトがドラえもんのような会話プログラムを作れたとして、「カタコト」だと思うのですが、もしそうだとしても素晴らしいことです。
いや待て、そんなことは潤沢な資金と人材がある、世界中のアカデミズムがやるんじゃないの? と思わなくもないですが、私は在野の個人の活動に胸を踊らせてしまうのです。
音楽に例えるならば、マイケルジャクソンやマドンナはもちろん素敵だけど、インディーレーベル「4AD」の「コクトーツインズ」とか「デッドカンダンス」とか、日本でいえば松田聖子は嫌いじゃなかったけど、インディーレーベル「ナゴムレコード」の「ばちかぶり」とか「人生」の方がワクワクした、みたいな。
Cocteau Twins Alice HD
Dead Can Dance - The Carnival Is Over(Official Video)
ばちかぶり Only You 田口トモロヲ オンリーユー
人生 / オールナイトロング
メジャーとインディーズ、大学と在野、どっちも大切ですが、私自身はストリートから始めたアーティストなので、インディーズ・在野に惹かれるのです。両者の違いは「既存コミュニティに参加するのか」、「コミュニティを自分で作るのか」だと思っていますが、だた、そこに分断があるとは思いたくないので、あんまりこだわらないようにはしたいです。
ところで、仮想世界仮説を使ってドラえもんのように受け答えするプログラムができたとして、果たしてそこに意識が宿っているかは分かりません。
もし、哲学的ゾンビだったとしても、なんの違和感もなく会話ができたら、私はそのロボットに心を見出してしまうでしょう。その時どうするのか? 壊れたら普通に捨てるのか? 破壊していいのか? 所有されるモノでいいのか?
ロボマインド・プロジェクトの取組にはワクワクしますが、その先に本質的問題が横たわっているのは確かです。さて、もう一つの訪問がフォノグラムの小野田智之さんです。
●フォノグラム
京都で小野田さんの教室を訪ねると、玄関先に机があってノートパソコンが置いてあり、ネットで質疑応答中でした。その奥の部屋では生徒さんたちが板を削っていて教室の真っ最中でした。
「おぉー、ネットで見た場所だー」と教室を見渡して思いました。小野田さんと一緒に動画配信している小飯田吉史さんもいらっしゃいました。
第67回「12/10 店頭販売開始~!!」1/4
ちょうど教室も休憩になり、小野田さんと少しお話をしました。そこで「このまま、もじもじ体操を頑張っても武さんがフォノグラムを見るのは難しい」と言われました。
どうやら後頭葉ゲシュタルトに移行しずらい、前頭葉ゲシュタルトつまり自我意識とか言葉とか論理に縛られ過ぎている、というのです。
ちょっと痛いけど、前頭葉ゲシュタルトから後頭葉ゲシュタルトに移す施術をしてあげましょうか? と聞かれたので、痛くても全然構わないのでやって欲しいと答えました。
そして玄関のところにマットを敷いて、小野田さんの施術を受ける流れとなりました。訪ねて行っていきなり技をかけられるなんて、幸運でございます。ありがとうございました。
技をかけられてしばらくは、頭の中に言葉が湧き出してこない状態となりました。とても楽でスッキリしていました。
ユヴァル・ノア・ハラリの『ホモ・デウス』に次のような一節があります。
“この実験のせいでサリーの人生が変わった。その後の数日で、彼女は自分が「スピリチュアルなものに近い体験」をしたことに気づいた。「その経験の特徴は、自分が前より賢くなったと感じたり、物覚えが良くなったりするというものではなかった。
愕然としたのは、生まれて初めて、頭の中の何もかもが、ついに口をつぐんだことだった⋯自己不信と無縁の自分の脳というのは新発見だった。頭の中が突然、信じられないほど静まり返った⋯この経験の後の数週間というもの、いちばんやりたくてしかたなかったのは、あそこに戻ってもう一度電極をつけることだったと言ったら、共感してもらえるといいのだが。
私はじつに多くの疑問を抱くようにもなった。私の心には怒りと敵意に満ちた小鬼たちが住みついて、私を怖がらせて、やりもしないうちから物事を諦めさせてきたけれど、やつらを別とすれば、私は何者だったのか? そして、あの声はみな、どこから聞こえてきていたのか?”
これは軍事用の経頭蓋刺激装置を装着して、戦場シュミレーターに入った「ニューサイエンティスト」誌の記者サリー・アディーの感想の記述なのですが、ちょっとこれに近いのかなあと思いました。
頭の中って頼んでもいないのに言葉が沸き上がっていませんか? それは過去の失敗を思い出してバカだなあと自分を嘆いたり、不安材料をあれこれ考えていたり、誰かの気に食わないところをあげ連ねいていたり、自分の能力を限定していたり……ずっとずっとなんだかくだらないことをグダグダとぐるぐるとさせていたことに気が付いたのです。まさに小鬼たちが住み着いていたのです。
私もサリーと同様にそれらの小鬼たちががしばらく消えてくれたのです。昔の呪術師とか陰陽師による悪霊退散の技ってこういうのだったのかもなあと思いました。
そんなフォノグラム研究者の小野田さんですが、12月10日に本が出版されています。
『物質と精神を繋ぐ フォノグラムー音の図形』
https://www.amazon.co.jp/dp/4910169040/dgcrcom-22/
まえがきから気になったところをピックアップします。
“聴覚は視覚と異なり、二つの形式が存在しています。アブミ骨、キヌタ骨、ツチ骨などを経由し、大脳に送られるデジタル信号としての音認知、そしてもう一つは、蝸牛のリンパ管から全身のリンパ節に至るアナログ信号としての音認知です。
この二つの形式は、平均律と純正律としても理解することができます。また、大脳が認知しているデジタル信号と、身体が認知しているアナログ信号の埋めようのないギャップが、ピタゴラスカンマの存在理由なのです。
視覚認知に基づく現代科学とは、大脳のデジタル信号のみを扱う科学のため、それは数学表現とよく合うのですが、身体のアナログ情報や内観情報は前頭葉(★1)を介さないため、それらの世界観の枠の外にあるという訳なのです。
ここに、新たな科学の可能性と、なぜ、内観認知をもとにした宗教と、前頭葉ゲシュタルト認知(★2)をもとにした現代科学に断絶があるのかの理由がわかってきます。そしてそれを結び付けているのは、他でもない私たちの身体なのです。
★1 前頭葉:大脳皮質と言わずにあえて前頭葉という言い方をしています。
生理学的な定義とは異なった表現をしていますが、フォノグラムが観えるようになりますと、「前頭葉」という言い方が実態をよく表しています。もし、どうしてもこの表現に違和感のある方は、形而下の情報処理をする脳部位のことであると思ってください。ここでは前頭葉という言い方で統一します。
★2 前頭葉ゲシュタルト認知:五感から大脳に入ってくるデジタル信号が見せている世界像。普通の意味での意識状態が見せているこの三次元物理宇宙での認知形式のこと。夢の世界や内観認知は前頭葉ゲシュタルト認知ではない。”
音の認知にデジタル信号とアナログ信号の二種類あるというのが、事実かどうか調べても分からないのですが、かなり興味深いです。それらが前頭葉ゲシュタルトと後頭葉ゲシュタルト、平均律と純正律に対応しているというのも、なんとなく頷けます。けど、よく考えるとまるで理解できません。しかし興味深いです。
そしてまえがきの最後の方にはこんな文章もあります。
“前頭葉ゲシュタルト科学とは物質の科学でしたが、非前頭葉ゲシュタルト科学とは意識の科学なのです。そして、意識とはずばり重力のことです。重力を制御する方法は実は意識のコントロールなのです。”
意識とは重力である、と。これはかなりビックリする文章です。確かに、心は重いとか軽いとか重力で表現します。それに重力は他の3つの力、電磁力、強い力、弱い力と比べて極端に小さいことも知られています。重力だけが謎なんですよね。でも、どのように意識と重力が繋がるのかはまるで分かりません。気になった方はぜひ読んでみてください。(つづく)
【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/断酒341日目】
・ガブリエルガブリエラ
Twitter https://twitter.com/G_G_jp
Instagram https://www.instagram.com/G_G_jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━
■LIFE is 日々一歩(132)[コラム]
ライブ授業に取り組んだ、2020年を振り返る
森 和恵
https://bn.dgcr.com/archives/20201215110100.html
─────────────────
こんにちは、森和恵です。しいたけ占いの2021年上半期が発表され、年末感を噛みしめています。今年の最後を締めくくる今回は、『ライブ授業』にかけた試みを紐解きたいと思います。
……と本題の前に、ウェブ制作のスキルが学べるYouTubeライブ授業のお知らせです。
いよいよ本シリーズ最終章、グリッドレイアウト編に入り、2回目まで放送しました。
『CSSグリッドレイアウト(2)・グリッドラインに配置編』
あと2回、12月20日と27日に配信して、本シリーズが完結する予定です。
配信URLなどは、日が近づいたらツイートします。日曜日の夜、23時にお目にかかりましょう。
https://twitter.com/r360studio
●授業のテーマをHTML&CSSにした理由
昨年の11月から一年を経て、HTML&CSSの基礎からレイアウトまでが学べる授業を配信し続けてきました。『コーディング』と『レイアウト』に分けて、再生リストを公開しています。
『いまどきのHTML&CSSコーディングにチャレンジ』(全11回+4回)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL7LtdGFp5DwR1hvpf39m2IJPe15hRZ6kg
『いまどきのHTML&CSSレイアウトにチャレンジ』(全27回予定)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL7LtdGFp5DwSevXeQeEF2kHqiTRjTo1cL
一回の配信で1時間半ぐらいお話しているので、おおよそ4000分ぐらいの授業を無料で公開していることになります。
今月あと2回配信したら全教材が揃いますが、いちから系統立ててこのテーマを学べるコンテンツになったなと改めて感じています。
毎週のライブ配信をリアルタイム視聴されている方々もおられ、ウェブコーディングの基礎力アップの一助になっているとも実感しています。
さて。お仕事として講義をしている身でありながら、授業を無料公開しているのには理由があります。
ひとつは、私自身のスキルアップの継続のためです。いっとき、アドビ系ソフトの授業ばかりを担当し、ウェブコーディングから離れた時期がありました。
しばらくぶりにみると、ウェブページのコーディング手法はまるっきり変化していて、これはヤバイ! ともう一度勉強を始めました。
まずは情報収集からと、ブログ記事、動画の学習コンテンツをとにかくたくさん探してみました。
いろんなコンテンツを見比べていくうちに驚きました。『正しい情報が少ない』のです。
原典となる仕様書をきちんと調べて裏取りし、ブラウザーの対応状況も鑑みて、最新で正しい情報を伝えているコンテンツはわずかでした。
単純に古い記事だったり、聞きかじった情報を試しもせずにそのまま丸写ししてる記事だったり。玉石混合のようなものから、本当に必要で正しい情報を取り出すのには骨が折れました。
わたしはウェブコーディングの経験者のため、「この情報では検討が不十分/実用に使えない」ことが肌感覚でわかるのですが、初学者の段階なら、鵜呑みにしてしまうかもしれません。
それならばと、再勉強するにあたって現状を調べてまとめ、ライブ授業のテーマにしました。
日付を決めて定期的にライブ授業にすることで、定期的にきちんと勉強するようにもなり、一年間続けられたこともよかったなと思います。
●テーマの裏の戦略
もうひとつの理由は、自身のYouTubeチャンネルの成長のためです。
チャンネルを継続するには、視聴回数と視聴時間が必要です。『チャンネル内のコンテンツが多くの人に支持されている』状態が、チャンネルの成長につながります。
そのためには、他と差別化できる、まとまったテーマのコンテンツのストックが必要だと考えました。
その特徴的なコンテンツを何にするか考えたとき、うちのチャンネルなら『HTML&CSS』だなと思いつきました。
HTML&CSSを扱ったコンテンツは、
・ウェブ制作のどこを担当しても必要な基礎知識
・ルールや仕組みの変化が、ある程度緩やか
という特徴があります。
以前に、バージョンアップが激しいものをテーマに作った動画が、あっという間に古くなって困った経験からそう考えたのです。
このコンテンツは、爆発的に視聴数が伸びるわけではないけれど、長寿番組のように長いスパンで見られるコンテンツとして根付くのではと思っています。
●今後の方向性、したいこと
という感じで、ライブ配信の舞台裏話、いかがでしたか? YouTuberが、チャンネルの成長のためにいろいろと考えながら、動画を作っている様子がお伝えできていればいいなと思います。
最後に、今後の方向性についてもお話ししておきます。
まずは、HTML&CSSのライブ配信コンテンツを冊子にまとめたいと考えています。
実は前から取り組んでいて、秋に目をケガしてしまってから延期していましたが、次の技術書典向けに執筆を進めています。
▼いまどきのHTML&CSSレイアウトにチャレンジ:r360study
https://techbookfest.org/product/5510911596953600
冊子化を考えたきっかけは、「授業を聞きながら、ノートを取っています」という視聴者さんからのコメントでした。短期間にガッと勉強するには動画が向いていますが、知識を継続して覚えておくためにはテキスト情報があるとなおいいですよね。
次は、来年から始める予定のコンテンツの紹介です。
ひとつは、わたしが日々収集している業界情報をまとめてシェアする「朝のニュース」コンテンツです。朝早く定刻に動画を公開するので、通勤時間や仕事を始める前のスキマ時間に、楽しみながらお役立ててもらえたらいいなと思います。
私が毎朝視聴しているドリキンさんのVLOGのように、自身の生活に密着したパーソナル感も出したいと思っています。
『drikin』
https://www.youtube.com/user/drikin
もうひとつは、ライブ配信授業の次のシリーズですが、『WordPress・テーマカスタマイズとブロックエディタ活用』に決めました。
ライブ配信中にチャット欄で伺った時に、支持が多かったテーマをそのままやってみようかなと思います。年末年始は、これらの準備で大わらわになりそうです。
デジクリの今年最後に配信される、年末あいさつ号(5147)でお正月明けの特番も告知しますので、ぜひお見逃しなく。(編集部:じつは大晦日も配信あります)
ではまた、来年にお目にかかりましょう!
(^^)
【森 和恵 r360studio ウェブ系インストラクター】
mail: r360studio@gmail.com
YouTube: https://youtube.com/r360studio
サイト: https://r360studio.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(12/15)
●偏屈BOOK案内:デビッド・A・シンクレア「LIFE SPAN 老いなき世界」東洋経済新報社 2020
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492046747/dgcrcom-22/
分厚いうえに手強い内容の本で、「生命は老いるようにはできていない」「老化は治療できる病である」「もはや老いを恐れることはない」「老化の情報理論が導く長寿革命が、私たちの世界観や人生観を一変させる!」などと、ハードカバーの袖にある。本文495ページ、原註98ページと分厚い。凶器としても使用可能(冗談です)。
人間は時間をかけて苦しみながら死んでいく。人間は寿命を延ばすことに成功したものの、そのせいで「晩年=医療を受けること」という図式を生んだ。だが、そうでなくてもいいのだとしたら? 時間が刻々と過ぎていくのを気にやまなくてもいいのだとしたら? そういう未来が実際にすぐそこまで迫っているとしたらどうだろうか。そういうことを書いた本である。
人生最後の数十年が、人工呼吸器と種々雑多な薬、股関節骨折とおむつ、化学療法に放射線、手術に次ぐ手術、そして忌々しい医療費。人は時間をかけて苦しみながら死んでいく。人間は寿命を延ばすことに成功したものの、そのせいで「晩年=医療を受けること」という図式を生んだ。わたしも今ソコ(の少し前)。
筆者は30年近くにわたり、生物としての仕組みや機能を研究しながら真実を追い求めてきた。そして、老化研究で世界を代表する科学者20名からなる「健康・寿命研究アカデミー」を共同設立した。だが老化の研究者にとって状況は厳しい。「老化の生物学的仕組み」を解明する研究には、アメリカの医学研究予算全体の1%も振り向けられていない。なぜ健康長寿を目指す研究に金を回さないのか。
その理由は、医学研究に民間の資金を投じている国ならどこも同じである。病気をどう定義するかによって、金の使い方、研究のあり方が縛られてしまうのだ。心臓疾患、がんなどは公的研究助成機関から支援がある。人口の50%に影響を及ぼし10年あまりも寿命を縮めている肥満には、わずか10億ドル足らずだ。「人生をもっと良くしようとしている老化研究者からしては嘆きたくなる」。
2018年に連邦議会は老化研究に対して約40万ドルの支出を承認したが、内訳を見るとほぼすべてがアルツハイマー病の研究とホルモン補充療法の臨床試験、老齢者の生活調査などに充てられ、「老化研究」と銘打っておきながら、老化の生物学的仕組みを研究する予算は全体の3%足らずだった。がん研究の1/10だ。死因としてのアルツハイマー病を研究しても、平均寿命は僅かしか延びない。
老化を引き起こす根本的な仕組みについては何もわからない。実際には人口の90%の命を奪う〈病気以外の何物でもない〉というのに。「老化は病気だ。これほどわかりきったことを何度も繰り返さなければならないなんて、ほとんど常識を逸している。老化は病気だ。しかもただの病気ではない。あらゆる病気の母であり、私達の誰もがその魔手から逃れられない」とかなり憤っている。
健康寿命を延ばす研究分野の革新を加速し、薬品やテクノロジーの発見につなげる一番手間がなくて簡単なのは、老化を病気と位置づけることだ。それ以外は何も変えなくていい。そうすれば老化の研究者も、ほかの個別の病気に取り組む世界中の研究者と対等に競えるようになる。老化は病気だったのか! わたしは甲状腺の病気持ちだが、さらに病気が加わったのか。まあ、いいけど。つづく。(柴田)
●Amazon定期便続き。夕方遅くに、宅配ボックスの裏で、ずーっと作業している若い人がたまにいる。宅配ボックスはほぼ満杯。
全部入れ終えてから、不在票を郵便受けに入れるんだろう。不在票がなくても、キーをかざせばどのボックスに入っているかわかるし、扉は開けられる。
作業音を聞きつつ、ボックスを開けて、自分の荷物を受け取った。その荷物は、注文履歴では「配達中」表示のままになっていたが、届いているので気にしていなかった。ステータスを変更してないだけだと思ってた。
翌月になって、その4点のうち3点が届いたというわけだ。注文履歴を見ると、請求額は0円で、先の分は「配達できませんでした」という表示に変わっていた。続く。(hammer.mule)