[5181] 質問はいつでもウエルカム

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《アイデア出しに力を入れるような授業》
 
■ネタを訪ねて三万歩[198]
 質問はいつでもウエルカム
 海津ヨシノリ




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■ネタを訪ねて三万歩[198]
質問はいつでもウエルカム

海津ヨシノリ
https://bn.dgcr.com/archives/20210305110100.html

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唐突ですが、知人からBlogの更新頻度に関してご心配をいただいたので、内情をコッソリ公開します。

私はかなりの心配性なので、何かを始めるときには予備を必ず用意するようにしています。Blogで「一日一発芸(Tips)」を始めるにあたり、構想三か月で二週間程度のストックを作成してからスタートしました。

あとは気がついたときにストックを貯めるので、多いときは一か月分ほどストックがたまってしまうことがあります。毎日作成しているわけではありません。ですから、一番大変な処理は原稿をアップすることよりも、予定を変更するやりくりかもしれません。

ただし、この三年あまりの間で、諸般の事情によりストックゼロの日が四回だけありました。一回目はお休みする予定でしたが、夕食時にふとアイデアが浮かび、速攻で三日分ほど作成して事なきを得ました。

二回目はオンライン原稿の公開があったので、その告知で乗り切りました。三回目は常用ソフトのアップデートが入ったので、その紹介ネタでクリア。四回目は後述する貧乏工作編のスタートという、反則技で乗り切りました。もしかすると、ある意味、私なりのゲームかもしれません。スリル満点ですよ。

そんなわけで、今はだいたい少ないときでも一週間分は確保しています。また、それとは別に箸休め的に、Tips化する前の連載ネタも混ぜてみたりしていますが、年に数回ですね。

とにかく、お休みなしを心がけているので、これを維持するために姑息にも、ソフト以外のネタも加えるようにしたわけです。身近の変な小道具を活用した怪しい撮影方法の「カメラ編」や、ペットボトルやかまぼこ板などを活用した「貧乏工作編」などがソレです。

これはデジクリ編集部には内緒ですが、季節感などに無関係なオタクネタの原稿ストックが四本あります。日の目を見る日は来ないかもしれませんけれどね(^o^)

●バラエティー豊かな守備範囲

話を戻すと、原稿は作成後に寝かせておき、さらに有益な処理を発見して、全面書き換えもかなりの頻度で行なっています。中には、よりよい方法を見つけたことにより、まったく違う展開になったこともありました。

それでも、メモを残していたはずなのに、そのメモ用紙を紛失してしまい、結果としてネタを忘れてしまったことも多々あります。間抜けですね。メモはスマホで記録した方が安全かもしれませんが、手書きの感覚が捨てきれません。

それと、ネタは私自身のアイデアだけでなく、学生からの質問に対する回答からの派生という展開もかなりあります。もちろん、質問が入ってすぐに対応できないケースがほとんどですが、その場合はメールで学生に回答を先渡ししておき、Blogには後日整理したものをアップしています。

実際の質問は色々ありますが、意外と同様なことに集中する場合もあります。また、質問内容によっては公開できないものもあります。質問内容の素材が特定の場所または人物で、Blogにアップするための代用画像などが見つからない場合などです。人物写真って色々難しいですからね。専属モデルもいませんし……。

授業との連動では、Adobe CC、Microsoft 365、modo、ZBrush。それに映像、楽曲関係として、MikuMikuDance、AviUtl、Sakura、StudioOneなどがあります。

Adobe CCがあるので、Premiere ProやAfter Effectsを使わないの? と突っ込まれそうですが、Adobe CCを導入しても、すべてのPC教室ですべてのAdobe CCツールが使えるわけではないのです。

とくに人文系の大学などは、そんな感じですね。環境がないからできないという結論は、愚の骨頂です。なければ手の届く範囲で代用、という切り返しがとっても大切。世の中はその繰り返しだと思っています。

もちろん、Adobe CCの全製品が使える環境はベストですが、フリー素材や他の敷居の低い環境で、興味を持ってもらうことが一番大切だと感じています。自宅の環境でもすぐに続きができますからね。

ですから、機能説明は最低限とし、アイデア出しに力を入れるような授業をしています。実は映像などの課題では、かなり本格的にフリーソフトで作り込んでくる学生がいます。

1966年に放映されていた「ウルトラQ」で使われたような、アナログ手法による作品を見たときは本当に驚きました。映像がたとえ荒削りであっても、アイデアが優れていることが大切ですね。作品を作り続けることで技術は後から付いてきますから。

ちなみに、質問は授業に関係ないものも受け付けているので、かなり頭の体操になっています。過去最高のやりとりは、往復90回を超えるメール交換でした。

問題が解決したときは、本当に学生とハグして飛び上がるような感じでした。なぜそんな回数になったのかというと、お互いが言葉の意味を勘違いしていたわけです。思い込みと、間違った記憶の積み重ねって、大きなスレ違いを生むんですね。

オンライン原稿などをはじめ、仕事で文章を書いているときは、専門用語のミスには編集の方に色々と助けられています。デジクリも同様です。いつもありがとうございます。

そんなわけで、バラエティー豊かな守備範囲を、実は意外と楽しんでいたりします。頭の体操ですね。

20年ぐらい前に散々PCゲームをやって飽きてしまったので、今の私にとっては壮大なロールプレイングゲーム的な感じですね。難問が舞い込んだときなどは、ときどき現れる強敵ボスキャラのような感じで楽しんでいます。

ただ、広範囲なのと、私自身が普段使っていないソフトの場合は、間をあけると忘れてしまいますね。ですから、Blogにアップしていることが、私自身の備忘録にもなっているのです。だんだんこの頻度が高くなってくるかもですね〜。

とにかく学生からの質問は多種多様で、「おっ、こんな答えもいいかも、いや、新しい技で〜」と、私自身の頭の体操になります。そのため、場合によってはオンライン対面で、質問内容の詳細説明を受ける場合もあります。

やはり会話って大切ですね。文字だけのキャッチボールは、誤解を生みやすいですからね。人文系大学の学生でも、自宅にPC環境を本格的に揃えて、映像やイラスト、はたまた3Dを独学している強者も少なくありません。
楽しみですね。

今は自発的に学ぼうと思えば、ネットからいくらでも情報を仕入れることができます。質問はいつでもウエルカムなので、そんな学生と盛り上がるのが本当に楽しいです。だからこそ、はやく通常の対面授業に戻ってほしいのですが、今年の春学期もオンライン授業のようで少々残念です。

■えこひいきミュージックと映画

"Dead in a Week(Or Your Money Back)" on Directed by Tom Edmunds in 2018(UK)

邦題「やっぱり契約破棄していいですか!?」。直訳の「一週間で死ぬか(金を返すか)」の方がいい感じかも。

自殺に何度も失敗している売れない小説家が、英国暗殺者組合の会員として、ノルマまであとひとりと迫った老齢のヒットマンに、自身の暗殺を依頼することで繰り広げられるアクション・コメディー。

イギリスのブラックコメディー的な要素はそれほど期待できませんが、文句なくおもしろい映画です。とにかく、キャスティングが最高です。

売れない小説家のウィリアム・モリソン役に「ダンケルク」のアナイリン・バーナード、ヒットマンのレスリー・オニール役に「きみがくれた物語」のトム・ウィルキンソン、ヒットマンの奥さんペニー・オニール役にマリオン・ベイリー。ウィリアム・モリソンの作品を高く評価している編集者のエリー・アダムズ役にフレイア・メイヴァー。

最後までムダのないシーンの連続と、ラストの大どんでん返しと、予想外の結末……。すっかり気に入ってしまいました。最後まで観ないと分からないのですが、とくにヒットマンの奥さんのキャラクターが最高です。

カメラワークもムダがないし、本当にあっという間の90分でしたが、180分鑑賞しました。つまり連続2回。メチャクチャオススメです。

『やっぱり契約破棄していいですか!?』予告編


"Rhythm Of The Rain" by THE CASCADES 1962(USA)

邦題「悲しき雨音」。ザ・カスケーズ最大のヒット曲。1979年のイギリス映画「さらば青春の光」で、サウンドトラックとして使用されています。映画は知らなくても、この曲を知らない人はいないでしょう。

翌年にはシルヴィ・ヴァルタンがフランス語でカバーするなど、多くのアーティストにカバーされていますね。リラックスしたいときのBGMとして私の定番のひとつです。

Rhythm Of The Rain(悲しき雨音)/THE CASCADES


Sylvie Vartan - En écoutant la pluie(The Cascades - Rhythm of the Rain)



【海津ヨシノリ】
グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/お菓子研究家

私にとって、お茶は普段の生活で欠かせないのですが、ひとつ困ったことがあります。犬派の私が、なぜか超猫舌なのです。お茶の適温って50〜100度と、茶葉によって色々違うようですが、たぶん私は50度ぐらいでないとダメかもしれません。

仕事部屋ではさんざん飲み物をこぼして大惨事になった経験から、水筒を用いています。お茶を入れてから水筒に氷を入れて温度調整しているわけです。なんとも間抜けな話ですが、こればかりはどうしようもありません。

母は逆に、熱湯でもなんともないような人でしたので、私は突然変異じゃなくて退化したのかも。まっ、温度よりも茶葉を楽しむですね。

最近はノンカフェのお茶も色々出ているので、夕食後はそれを楽しんでいます。お酒を飲む習慣がないので、もっぱらコーヒーとお茶ですね。夏場は麦茶とウーロン茶が加わります。今は玄米茶、煎茶、ほうじ茶、紅茶、ルイボスティーあたりを色々と楽しんでいます。

ところで猫といえば、なぜか犬派の私の周りには猫派の方がやたらと多く、ここ数年ですっかり感化されて、犬対猫の感覚が脳内では6対4ぐらいに迫っています。

yoshinori@kaizu.com
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編集後記(03/05)

●偏屈BOOK案内:本郷和人「歴史のIF(もしも)」扶桑社、2020
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594086411/dgcrcom-22/


日本は二度目のモンゴル侵攻を阻止した。なぜ勝利することができたのか。

「博多に築いた防塁が極めて威力があった」説がある。筆者は異論を唱える。その防塁は現在でも博多で見られるが、非常にお粗末な代物だ。

ではモンゴル軍の敗因はなにか。日本の軍事対策のせいではない。「神風」といわれたが、おそらく台風であろう。台風が来なければ、日本がモンゴル軍に勝利できた理由が思いつかない。

一連の流れを見た上で、やはり元寇の最大の疑問は「そもそも、どうして鎌倉の武士たちは、丁寧に書かれた元の国書に対して、強硬姿勢をとったのか」ということである。

幕府側がきちんと対応しておれば、元寇という戦い自体が起きなかった可能性は極めて高い。筆者は「鎌倉武士の教養レベルが大きく関係しているのではないか」と考える。

この当時、貴族たちは「この国書は丁寧に書かれたものである。きちんと返信しなければならない」と考えるだけの教養はあった。一方の武士たちの文化レベルといえば、読み書きができるのはごく少数派。

源氏の出身で、教養があり、十分に読み書きができた初代将軍の頼朝が、ありがたられるのはよくわかる。北条時政も伊豆国の国衙役人だったから読み書きができ、頭もよかった「経済ヤクザ」だ。

ところが、鎌倉武士の大半は文字の読み書きができなかった。モンゴルから来た国書がいかに丁寧に書かれていたとしても、その意を汲み取れなかったのだ。この説を初めて読んだとき、んな馬鹿な〜と思ったが、ホントかもしれない。

モンゴル帝国のフビライ・ハンが、強い執着をみせたのは中国大陸である。当時の中国には漢民族の王朝である宋が弱体化し、かろうじて残っていたが、モンゴルが滅ぼし「元」を建国する。

モンゴルが大陸へ執着するのは理解できるが、日本に対して同じような興味を持っていたかどうかは、はなはだ疑問である。

地政学的に見ても、大陸から遠く海を隔てた陸の孤島である日本を占領するのはかなり大変である。海の向こうに日本という国があるらしい、程度の認識だったのではないか。それなのに、なぜ元寇が起こったのか。

モンゴル帝国は漢民族ではないものの、中国大陸で王朝を築くのだから、中華思想(中国は世界の中心でありあらゆる文化の中心であるという伝統的思想)の実践を図ろうとしたのだという説があるが、違うような気がする。モンゴル帝国の版図は凄まじく広大であるが、中華思想とは関係ないとわたしは思う。

「もし、あのとき、こうだったら? 日本史の『仮定』を解く!」「些細な出来事が、後の世界を大きく変える転換点に!」と本の帯にある。わかった、この本が退屈なわけが。肝心のIF(もしも)がけっこうしょぼいからだ。「畠山持国が、男としての自信にあふれていたら」とか「豊臣秀頼が女の子だったら」とか。「本郷史学」と呼ばれ、ファンも多いらしい。ふーん。(柴田)


●海津さん、いつも原稿ありがとうございます! 海津さんオススメの映画を見たりしています〜。/お茶といえば、『ルピシアだより』についてくる一期一会のお茶2種(サンプル)が結構楽しみだったりする。

/『Bloomee LIFE』続き。ギフトサービスがいいのは、一回きりじゃないところ。生花を長く楽しんでもらえる。届くお花は数本のものなので、さりげないし、もらう側も日常使いにいい。みなさま、ホワイトデーもあるし、いかがですか?

自分用のだって、開ける楽しみがある。今週はどんなのが届くのかなぁって。自分で契約しているのに、プレゼントされているみたいだよね、きっと。

とは書きつつ、徒歩圏内に思いつくだけでも、花屋さんは三店舗ある。『青山フラワーマーケット』なら、4〜500円のミニ花束も売ってるから、選ぶ楽しさ優先ってのもアリよね。日持ちは期待できないけど。

母が最近お花屋さんで花を見ていたと知り、私もそうだったので、親子だなぁと思ったよ。(hammer.mule)

ルピシアだより
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