[2978] 「宙玉」小ブレイクの一年

投稿:  著者:  読了時間:23分(本文:約11,300文字)


《質の高いクリエイティブこそ最も効果的な営業だ!》

■わが逃走[78]
 居酒屋トークの巻
 齋藤 浩

■デジアナ逆十字固め...[113]
 「宙玉」小ブレイクの一年
 上原ゼンジ

■ローマでMANGA[36]
 MANGAセミナーの反省
 midori



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■わが逃走[78]
居酒屋トークの巻

齋藤 浩
< http://bn.dgcr.com/archives/20101216140300.html >
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1──仕事

こんにちは。最近ホントに暇で、危機感をおぼえる齋藤です。あまりに恐くなったので、知り合いの超一流デザイナーA氏に会いに行っておこぼれでももらおうかとご機嫌伺いに赴くと「ウチも暇なんだよー」と言う。B氏にいたっては事務所を閉めたとのこと。

なにやらほんとにどこも暇らしい。暇と言えば聞こえはいいが、実力も名前もあるデザイナーに仕事がないという状況はかなり異常だ。

いままでバンバン外注に出してた大きいところが、一斉に内部で制作する方針にチェンジしたというのも原因のひとつかもしれないが、オレ的に最も気になる点は、良いデザインと粗悪なものとの違いを理解できる発注者が激減したことなのだ。

見た目が似ているというだけで、素人が作った"伝わらない"デザインを採用し「デザインなんてどれも同じだから安い方がいい」とか言って、あんたは自分で自分の首を絞めていることがわからないのか??

質の高いクリエイティブこそ最も効果的な営業だ! と言い続け、今もそう思っているが、確かにメシが食えなきゃどうしようもない。

バブル崩壊直後のことだ。ダサくて伝わらない自己満足的な新聞広告の原稿を作っていた先輩デザイナーに、新人だった私は「あんた、恥はないのか?」と言ったことがある。

その先輩はアムロを諭すララァのように「齋藤よ、お前には守るべきものがないからそういうことが言えるのだ。俺の後ろでは子供がミルクを飲みたいと泣いている。俺はその子を守るために、クライアントの要望どおりダサいデザインをして金を稼ぐしかないのだ」。「でも...だからって...」「ふっ、お前にもわかる時が来るさ。いつか...きっと...」

おおおお、それが今なんですね、先輩! やっとわかりましたー!!って、わかりたくもねーや。まあこんな状況下ではあるが、妥協したら終わりだな。今の時代、いくら稼げないとはいえ死ぬことはそうないと思うので、なんとかこのまま行こうと考えている。

たとえ死んだとしても、宇宙戦艦ヤマトのキャラクターのように都合良く復活できるのではないか? という自信もあるし。そう、この『根拠のない自信!』これこそ生き抜くために最も必要な要素なのではないか。

2──ヤマト

ヤマトといえば、見てきましたよー、キムタクヤマト。少なくともあのムーブメントをリアルタイムで知っている方なら、見ておいて損はないと断言できます。美しい宇宙空間の映像と、宮川泰センセイの音楽。あのスキャットを聞くだけで1,800円モトがとれるはず。

内容は「悪く言えば金をかけた学芸会な感じ?」「それって予算をふんだんに使った芸能人新春隠し芸大会みたいな? ほら、2日にわけて前編後編で放映するような...」「おお、うまいこと言うなあ!」とか、居酒屋における議論のテーマとして最適な内容。まあ、ツッコミどころ満載な訳ですよ。

「ガミラス人が思念体であるなら、そもそも地球に遊星爆弾を落とす意味がないのではないか?」「スターシアが憑依している森雪をスタンガンで撃ったら、中の人が出てきちゃうのでは?」などネット上でもさまざまな意見が飛び交っているようですが、オレ的にはコスモゼロとブラックタイガーのキャノピーが、平面ガラスだったことがいちばん不満でした。

と、久々にヤマト熱が蘇ってきたところで(最近暇なので)テレビシリーズ第1作(1974)のDVD全26話を改めて見直してみたところ、やはりツッコミどころ満載だということがわかる。

しかし、である。まだSFアニメをテレビマンガと呼称していたこの時代に、よくぞここまで野心的な作品を世に出したもんだなあと感心する。SFなのかどうかは置いといて、純粋にドラマとして面白いのだ。

トンデモオヤジな面ばかり一人歩きしている西崎プロデューサーだが、確かにこの人はスゴいことをやっている。この作品がなければ、後のガンダムもエヴァンゲリオンも当然存在し得ないし、現在のコンテンツビジネスとされるもの自体が全く違うものになっていたはずだ。

最終話、沖田艦長が航海の果てに地球を見つめるシーンでは、今年6月に帰還を果たした『はやぶさ』が最後に送り届けた地球の写真と、オレの中で重なる。そして全く古さを感じさせない宮川泰の音楽にのせて、まるで1974年から2010年を経て2200年へと、脳内で自分自身がワープするような奇妙な陶酔感を覚えるのであった。

とまあ、ここまでは良かった。続編である映画『さらば宇宙戦艦ヤマト』までは良かったうちに入るか。ここで主要キャラクターがほぼ全員死んで、ヤマトも敵に特攻して地球の危機を救う。しかし、幸か不幸かこの映画が大ヒットしてしまった。そうすると、さらに続編作りたくなっちゃうんだろうね。

死んだはずのキャラクターが次々と死ななかったこととなって復活したと思えば、毎年のように地球に現れる侵略者に対して、簡単に自爆や特攻するようになる。

おまけに、セリフの中にやたらと愛だの正義だのって言葉が目立ってくる。見てる方としては裏切られた気分で、だんだんシラケてくる訳だ。オレなんかの世代が"シラケ世代"なんて言われたのは、この大人による裏切り行為を体験してるからなんじゃないか?

この時の気持ちを思い出そうと『さらば宇宙戦艦ヤマト』『新たなる旅立ち』『ヤマトよ永久に』を(最近暇なので)立て続けにDVDで見たのだが、もう笑っちゃいますよ、本気でちゃぶ台ひっくり返そうかと思いました。あれから30年以上経っているのに、少年の頃の怨みは根深かった。

これっていわゆるマーケティングって奴なのかね? 登場人物が死ぬと映画がヒットするなら、その都度生き返らせてその都度殺せば大ヒット間違いなし。まるで『オネアミスの翼』における「巨大な蟲が出て来るアニメ映画がヒットしたので、この作品にも巨大な虫を出しなさい」的。(参考文献:遺言/岡田斗司夫著)やっぱ大人ってすげえや。

でも、宇宙戦艦のデザインは回を重ねるごとに良くなってきている。ストーリーはいらないので、宇宙戦艦だけずーっと映してるDVDを出してくれればオレは買うと思う。

3──痴女

などと、世田谷の超ハイクオリティ居酒屋Tで同世代のデザイナー(漫研出身)と小声で語っていたところ、常連のY氏がやってきて「昨日ね、すごいことがあったんだ」と言う。

「都内某所の美容院に行った帰りに商店街を歩いていたら、じっと僕のこと見てるきれいな女の人がいるのね」
「うんうん」
「道でも聞かれるのかなーって思いながらその人の前を通りすぎたら、案の定声かけられて」
「ほうほう」
「清楚な感じの30歳くらいの美人で」
「それで?」
「あの、私、すごい便秘で苦しんでいるんです。浣腸してもらっていいですか?って言われて」
「うげー!」
「手にイチヂク浣腸持ってるんだよ! で、僕もう頭の中真っ白になっちゃって、無理っす! って言ってダッシュで逃げた」
「すげー!!!」
「もう、恐くて恐くて...」
「そういうときは"ポマード!"って言えばいいんですよー、ぎゃはは、ぎゃはは」

落ち着いた雰囲気の大人の隠れ家的居酒屋なのに、こんな話...。でもまあ常連客しかいないからいいか。店主も面白がって聞いてるし。しかし、なんなんだろうね、この女。単純に痴女なのか、趣味に偏りのある美人局か、隠し撮りAVとか?

痴女といえば、オレはよく電車の中で男に尻を触られたが、いちばん最初に出くわした奴は女だった。あれはムサビに通う20歳のときだ。大宮駅から通勤ラッシュの埼京線に乗った直後、臀部に違和感を感じた。偶然接したのではない、明らかに不自然な手の感触。

男の尻が触られるはずなどないと思い込んでいたオレは、ポケットに財布を入れていたこともあり「スリか?」と感じ、体をずらした。すると意外にもその手は尻から股間に移動し、オレのキンタマをもみはじめたのだ!

なんだコイツ?? と思ったオレは振り向きざまにその手の主をにらみつけたーっ!!! すると、ああ、なんということでしょう。もう、ものすごい美人というか、かわいいおねえさんというか、25歳くらいの清楚な美女がにっこりと微笑んだのでした。

もう、絶句ですよ、何も言えなくなっちゃいました(こういうときは何ていえばいいんだ..."キャー、このひとチカンですぅ"か? 言えねえよ、ああ、キンタマが気持ちわりぃ...)通勤快速に乗っちまったので、次の駅で降りようにも降りられず、そのまま武蔵浦和駅までずーっとオレは尻とキンタマを触られ続けたのでした。

という訳でだらだらとくだらない話でしたー。
ほんと、起承転結なくてごめんなさいねー。
ではまた次回ー。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/ >

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

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■デジアナ逆十字固め...[113]
「宙玉」小ブレイクの一年

上原ゼンジ
< http://bn.dgcr.com/archives/20101216140200.html >
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今年私が一番つぶやいた言葉は「宙」だそうだ。そうか、Twitterでも「宙玉、宙玉」とつぶやいていたんだな。「そらたま」という言葉を思いついてまだ一年経ってないんだけど、自分にとってはかなり大きな展開のあった年だった。

デジクリで私の文章を読んでくれてる方はご存知のことと思うが、私がいろんな写真の実験をやることになったのは、このデジクリのせいだ。「せいだ」っていうことはないな、「おかげだ」に訂正。カラーマネージメントネタの後、いろんな写真に関するアイディアを実行してみるという企画を考えて、書かせてもらうようになった。

ただ、問題は連載のスパンが1週間だったということ。1週間なんてすぐに経ってしまうので、次から次へとネタを出していくうちに、なんかそれが専門のようになっていった。ある編集者が「実験写真家」という肩書きを考えてくれたので、最近はずっとそれで通している。

私はもともといろんなことをやっているから、「何をやっているのか?」と面と向かって問われると言葉に窮することがある。しかし「実験写真家」と言っておかば、相手は不審に思いつつもスルーしてくれるのだ。これは便利な肩書きだ。以前の私は、分からなかればそれでいい! というような態度だったが、最近は少しサービスをするようにしている。

名刺も分かりやすいものにした。片面を10個に分割して、宙玉レンズや蛇腹レンズなどの写真を入れて、「こんな写真を撮ってるんですよ」という説明ができるようにした。これはすごく便利。どんな写真を撮っているのかと問われても、写真なしで説明するのはなかなか難しいけど、小さいながらも写真があれば、簡単に分かって貰える。これがあればiPadもいらない。

それから、パーティーなんかでは、宙玉レンズの現物を持っていくようにした。カメラを首から下げておけば、「さっきから気になってたんですけど」などと言って相手から声をかけて貰える。初対面の人にこちらから声をかけていくなんていうことは、ほぼしないタイプの人間なのでこれはありがたい。スイッチさえ入れてくれれば、動作はするんだよ。

プロフィールもニッコリ笑った写真をホームページに出すようにした。営業が出来ない人間なので、せめてホームページを訪れた人に「悪いヤツじゃないんだよ」ということをアピールするための作戦だ。自分が依頼する立場だったら、訳の分からない、おっかなそうな人に連絡取るのはためらうもんな。

●ワークショップがきっかけとなった

宙玉レンズが形になっていったのは、ワークショップがきっかけになっている。自分では面白いと思って、ほかの人達にも広めたかったのだが、工作をするという部分でハードルがあるらしく、著作や雑誌でも紹介をしたが、反応はいまいちだった。

そこでワークショップなどの機会に、参加者に体験して貰うようにした。最初は、hanaさんとデイズフォト通信が主催する撮影会「目で歩く」で使って貰った。この時はリコーのGX200を借りてきて、GXに合うように自分で手作りした宙玉レンズを持っていった。

参加者の反応は良かったんだけど、問題は特定の機種でしか使えないということ。たまたま直径50mmの紙管がGXのアダプターにぴったりあったこと。GXの最短撮影距離は約1センチと短く、クローズアップ撮影が必要な宙玉レンズには最適だったので、GX200を使ったわけだが、やっぱりいろんな機種で使えるようにしたい。そこで考えついたのが、チップスターの空き箱を使った工作だ。

チップスターの空き箱なら、安く簡単に入手することができる。そこで今度はチップスターにぴったり合うような宙玉レンズを加工業者に依頼して作って貰うことにした。自分で作るとあまりきれいに出来ないし、面倒だからだ。4月から始めたワークショップ用にとりあえず10個発注してみた。

そして、今度は一眼レフカメラを対象に宙玉を装着できるようにした。ワークショップをやってみて良かったと思ったのは、いろんなカメラやレンズを持っている人が集まったということ。やってみると問題点が出てくるのだが、それをクリアしていけば、さらに広がりが出てくる。つまりいろんなカメラに対応できるようになっていったのだ。

●宙玉レンズでの撮影法

撮影に関しても、いろんな人からヒントを貰っている。私が宙玉を始めた頃は、望遠系のマクロを使っていた。さらに手持ちで接写をすることが多かったので、絞りは浅くピントが合うのは一点であとはボケボケだった。透明球の輪郭もはっきりしていなかったけど、それが当たり前と思っていた。

しかし、いろんな人が撮影を始めると、球の輪郭をハッキリさせたいという人が出てきた。あんまり絞りこむと、球の接着面やフィルター部分の汚れなども写ってしまうので、美しくなくなってしまうのだが、球が浮かんでいる感じ、というのはボケている場合よりも面白い。

一方、絞り込むと宙玉の持ち味である周囲のボケがくっきりしてきてしまい、つまらない。そこで、ある程度球の輪郭をはっきりさせつつ、周囲のボケを損なわない、という絞り値を見つけるというのが、ポイントになってくる。

あるいは、球の内側の絵柄は面白いんだけど、外側が無地だったりするとつまらないので、球の内と外とで、絵柄や配色などのバランスを考えてみると面白い。最初はただ、宙に浮かんだような絵に喜んでいたけど、突き詰めていけば、まだまだ面白そうなことはできそうだ。

●宙玉写真のコミュニティー

宙玉写真のコミュニティーを作ってみた。flickrとフォト蔵だ。まだ人が集まっていないので、ぜひ参加して写真をアップしてみて欲しい。flickrの方は海外の人達ばかりだから、やりとりがちょっと面倒だけど、世界中の人たちに宙玉レンズを広めるというのが現在の野望だ。

flickr Soratama
< http://www.flickr.com/groups/soratama/ >

フォト蔵 宙玉人[そらたまんちゅ]
< http://photozou.jp/community/show/2896 >

【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com
< http://www.zenji.info/ >
< http://twitter.com/Zenji_Uehara >
Soratama─宙玉レンズの専門サイト
< http://www.soratama.org/ >

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■ローマでMANGA[36]
MANGAセミナーの反省

midori
< http://bn.dgcr.com/archives/20101216140100.html >
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●当たり前のことが当たり前じゃないとき

MANGAセミナーが始まって、4回の講義を終えた。1回につき2時間の持ち時間。1時間目は講義、2時間目は4ページの作品を作る実技に当てている。

来年5月末のセミナー終了までに2篇、各4ページの作品を作ってもらうことにしたのは前回にも書いた。1作目は、ともかく作品を最初から終わりまでつくってみる。その体験をしてもらうことを主な目的にしている。2回目、3回目とコマ割りの意味だとか、物語展開の基本としての起承転結だとか、わざと白板に漢字を書いて「おっ」などという声を聞きつつやっている。

実技については、まず、主人公になるキャラ(性格設定が簡単にできるので、なるべく自分をモデルにする。すでになにか持ってる人はそれでも良い)の全身像、2〜3の顔アップ、それに姓名、年齢、性格を描いてもらった。そして、5W1Hを書く。

A4の紙に横長長方形を4つ描き、それぞれを二分して見開きとみなし、最初の見開きの右を1ページ目(左には斜線)。次の見開きを2〜3ページ。最後の見開きの左ページを4ページ目(右には斜線)とする。それぞれのページに1行で何を描くのかを書く。

ということを伝えた。。。。つもりだった。つい最近の4回目の講義で、(当然)ここまでやってない人もいるだろうから、この授業内でここまでやってね。できた人は持ってきて見せて、と言ったところ、二人がすぐに持ってきた。

そうしたら、な、なんと、二人ともケント紙を横長に置き、真ん中で割って見開きにして、すでにペン入れをしてきていた。全4ページではないんですけど。チガーーーウ、ワタシハソレヲノゾンデイナーイ!!

生徒は入学金を納めると、大きな作画用紙が入る黒いバッグと鉛筆とA4のブロックノートをもらう。だから、その「ブロックノートに鉛筆で」と言ったのに。

だいたい、下書きとかコマ割りの案を練るとかは鉛筆でやるもんじゃないのか。プロの中には直接仕上げ用のケント紙に、コマ割りをしてみて描いちゃうという人もいるようだけど、それはもう何作も描いてるからできる技でしょ。

ガシガシやる気があって、ペン入れまでガシガシやってくるやる気はとりあえず評価。そして、私にとって当たり前なことが、まだ1作も自分の作品を作ったことがない子達にとってはまったく当たり前でないことに、久々に気がついてしまった。

昨年はこういうことがなかった。昨年の参加者は、私の言葉を逐一ようく聞いていたのか、私がなんども説明したのか。ともかく、来週は講義を一旦おいといて、実技のやり方をもう一度説明しなくちゃ、と思った。当たり前のことを当たり前として置きっ放しにしてはいかん。

●やる気はどこに

昨年から、GmailのブロガーにMANGAセミナーブログを開設した。昨年は生徒の作品をスキャンして講評をしていたのだけど、今年は生徒のみ閲覧できる状態にして、授業内容をやや簡潔にしてアップすることにした。

閲覧できるのは生徒だけにしたいので、まず、生徒のメルアドを聞いて招待を送った。それが11月の始め。12月半ばになって招待を受けて閲覧可能にしたのは11名。残りの11名はまだ招待を受けるをチェックしていない。

私のセミナーには学校に在籍している人は無料で参加できる。午後の授業なので、待っていないといけなくて、やる気がなければ出ないだろうと思うのだけど、出てくる人のどこまでやる気があるのかわからなくなってしまう。Facebookはよくチェックするみたいなのに。復習は要らないってわけですか。

●矛盾

どんな盾も通してしまう矛と、どんな矛も通さない盾。その二つを相合わせたらどうなるか、という故事が元でしたね、この言葉。

言いたいことは毎回同じなのだけど、なるべく毎年例などを変えるようにしている。参加者は毎回違うので、同じでも構わないのだけれど、もっとわかり易い例とか言い回しはないものか、と探っているから。

今年は、ふと見ていた講談社の「月刊アフタヌーン」で示唆を受け、1ページ3コマ構成しているものをスキャンして教科書にした。3コマはひとつのエピソードを構成できる最小単位。そしてそれが1ページに収まっていれば、他のコマに目移りせずにしっかりと分析できると思った。

3コマで構成されたページをコマの分け方(上中下の3段、上下に分けて上2つ下ひとつ、とその逆。縦に分けて右にひとつ、左に上下2つとその逆)、表現しているスピード、誰の目線で語られているか、などに分けた。

で、1ページづつ見せながら説明していく。ただ、あるひとつの規則を説明するために構成された例ではなくて、ひとつの物語の中の1ページだから、その中に語られている情報量は、たったの3コマなのにとても多い。時には、ある事項、例えば「速い動作」を説明しつつコマの絵を差していくと、それと逆を示唆する要素に気がついてしまったりして、説明がふっと止まってしまったりする。説明が矛盾してしまう。

私がMANGAのようなものを描いて、掲載してもらっていた時期はとても短く経験が不足しているせいもあって、説明したいことが自分のものになっていないことを感じてしまう。

同じ物語の中の同じような3コマ、同じようなシーンなのに、よく見ると1枚には背景があり、もう1枚には背景がない。で、言いたいことが少し変わっている。少し変わってることを感じているのだけど、それがなんなのかすぐにピッと分からなかったりする(背景がないと、キャラの感情へよりシフトするのだ。と、今はわかる)

ここで何度か書いている私の教科書、菅野博之氏の「漫々快々」と「漫画のスキマ」ばかりに頼ってないで、自分の頭で考えてみろということだな、と今さら思ったり。

【みどり】midorigo@mac.com

東京都青少年健全育成条例改正案というのがあって、9日に総務委員会があり、13日に委員会採決、そして15日に本会議。

これは「非実在青少年規制」という名で話し合っていて6月に否決されたものが、名を変え、規制条項がますます曖昧になって議会にかけられている。6月には反対していた民主党が今回は「問題点が改正されている」ということで賛成に回り、可決必至。

規制内容で特に問題なのが第三章、第七条の一と二「一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」

一の青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるかどうか、誰がどう決めるのか?

二では、なぜ実写はOKなんだ? そして小説も含まれない理由は?(9日の総務委員会のレポートによると、浅川参事の答えで「小説は読む人によって様々な理解がある。その点、漫画やアニメは誰が見ても読んでも同じでひとつの理解しかできない」からだそうで。漫画原作でアニメ化されたものは誰がも見ても同じひとつの理解しかできないが、実写になるとそれが変わる?)
↓総務委員会レポートツィッター
< http://togetter.com/li/77486 >

何よりも問題なのは、この規制を決めようとしている人々が、問題となる漫画やアニメを知らないで審議しているということ。そして、何をもって「青少年の健全な成長を阻害」とするのか曖昧なこと。都民に説明されていないこと。石原知事はアニメMANGAは低俗と決めて掛かっていること。

東京都には大手出版社が集まっており、「自主規制」ということになると、マンガ表現の自由さがそがれ、枯れていく方に向かってしまうと思う。とりあえず来年3月に予定されている東京都のアニメフェアに出版社10社が参加拒否を決めたそうです。さ、どうなりますか。。。。。

イタリア語の単語を覚えられます! というメルマガ出してます。
< http://archive.mag2.com/0000075559/index.html >

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■編集後記(12/16)

・イラストレーターの田中靖夫さんとライターの田中弘子さん夫妻が、アート誌「黒白」を創刊した。英語のブラック&ホワイトをもじった誌名で「こくびゃく」と読む。A5判モノクロ80ページ。橋本治のエッセイ「なぜ書くか」を巻頭に、漫画家・日野日出志のインタビュー、写真編集者ロバート・スティーブンスが紹介するイヴォンのパリ写真、田中弘子の写真「荒川4丁目界隈」、田中靖夫のSCULPTURAL DRAWINGS、そのほか詩、短歌、習字、書評、映画評、展覧会評など、一見ばらばらのようだが「アート」で共通する多様なメニューが並ぶ。全体に古き良き時代の同人誌みたいなデザインで、活版の本のような懐かしい感じもする。後記に田中弘子さんが「アナログ時代の編集者がデジタル一色になった編集技術に、いちいちため息をつきながら作ったアナログ雑誌である」と書く。わたしは、この田中編集長の下で、印刷、写真、広告、デザインの季刊特集誌の駆け出し編集部員だった時期がある。写植や活字のアナログ時代である。物静かだが仕事には厳しい方で、ずいぶん叱られながら学んだことを思い出す。「黒白」の日野日出志のインタビューは、当時からインタビューの名手として知られた田中さんによる。なつかしい切れ味だ。500円。問い合わせはタナカ・インク tanakinc@nn.iij4u.or.jp まで。(柴田)
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/12/16/images/b%26w.jpg >

・「はやぶさの 五倍もかけて ローン終え」。今年のマネー川柳大賞作品だ。「百均は 高すぎますと ドルが言う」「つかめない 仕事と夢と 3D」「ギリシャから 飛び火は聖火 だけにして」「妻の愚痴 減って感じる 真の底」「20代 ゆとり世代に ゆとりなし」などなど。明るいネタはないんだよなぁ。「探し物 埋蔵金と レアアース」「電子本 ヘソクリ隠す 場所を変え」。趣のある「猛暑日の 名残を残す 電気代」「地デジにし 一つ昭和が 消えた部屋」は好き。買ったことないけど、毎年この時期は妙に気になる「チチチレレレ 心で唱え ジャンボ買う」。今年こそは買ってみるか? と迷いつつ、気がつくと発売時期が過ぎているんだよね。(hammer.mule)
< http://regist.orix-mail.net/cd/senryu/award/ >  受賞作品紹介
< http://www.takarakuji.mizuhobank.co.jp/topics/ >
24日までなんだって