[3320] 夏のお嬢さん

投稿:  著者:  読了時間:26分(本文:約12,800文字)


《土曜日の朝くらいゆっくり寝かせてください......》

■私症説[40]
 三波春夫先生の功罪
 永吉克之

■ショート・ストーリーのKUNI[123]
 夏空
 ヤマシタクニコ

■歌う田舎者[36]
 夏のお嬢さん
 もみのこゆきと




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■私症説[40]
三波春夫先生の功罪

永吉克之
< http://bn.dgcr.com/archives/20120830140300.html >
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「客」と「店員」が対等な立場で向き合える時代が来るまでは、決して地上に平和は訪れないだろう。たとえ領土問題や貿易摩擦、宗教対立が完全に解消されても、商売というものは give-and-take なのだということを客が理解しない限り、人類の心に巣食う憎しみは解消されないのだ。

店員もその業務を離れれば、どこかの店の客になるわけだし、客も自分の職場に入れば顧客を相手にしなければならない。接客をしなくても、モノを売るための仕事をしているのだから広い意味で「店員」である。にもかかわらず、人はいったん客になったが最後、店員の心がまったく理解できなくなるのだ。

では警察官も店員なのか? 政治家は? 気象予報士は? 豆腐屋は? ......そんな揚げ足取りにいちいち構っているヒマはない。万物はすべて客と店員という二大元素に還元することができるのである。

                ■

芸だけではおよそ食べていけないので、サイドビジネスとして食料品販売にかかわる仕事を《たまに》している。品出しや配送などの業務であるが、忙しい時にだけ仕事がもらえる日雇い派遣なので、期間が短く交通費も支給されない不安定な立場である。だから、これはあくまで負け惜しみで言うのだが、私はこの仕事を誇りを思っている。

死ぬ直前までこの仕事を続けたいくらいだ。そして生きている間に必ずレギュラー派遣に昇格してやる。人生の終末を勝ち組として過ごすこと。それが私の悲願なのである。

それはともかく、売り場に出ることもあるから当然、客と接することになる。いろんな客が来るが、どの客もみな自分を神様だと思い込んでいる。そんな誇大妄想に陥った暴君たちを年中相手にしているのだから、正社員やレギュラー派遣の店員はみな精神を蝕まれ、向精神薬の世話になっている。レギュラー派遣でなくてほんとうによかったと、いま感慨にひたっているところだ。

ところで三波春夫先生が残した名言「お客様は神様です」は、金を払ってくれるからお客様は神様だという意味ではなく、「歌う時は神前での祈りのように雑念を払い、客を神と見る」(Wikipedia)という意味なのだそうだ。

この神聖な御言葉を、厚かましくも己の征服欲を満たすための大儀に利用する。それが客の実態なのである。三波先生が登場するまでは横柄な客などひとりとして見た記憶がない。「買ってもらう」「売ってもらう」という対等の関係が成立していた。このあたり、先生の功罪相半ばするところであろう。

                ■

仕事中、客に襲いかかりそうになったことが何度もある。例えばあるとき、菓子売り場を通りかかった中年と思しき女性客が、買い物の入ったカゴから1.8リットルのパック入り焼酎を取り出して、陳列棚に並べてあったコアラのマーチの上に置いて行ってしまうのを見た。

買うのをやめた商品を元の場所に戻すのが面倒だから近くの棚に置き去りにしたのだろう。そのマナーには呆れたが、それよりももし幼い子供が、コアラのマーチと間違えて焼酎を飲んでアル中になったらどうするんだと思うと怒りで理性を失い、気がついたら手許にあったスーパードライ350mlのケース(12本入り)を頭上に掲げて、その客に投げつけようとしていた。

たまに電車内でジュースなどの空き缶が放置してあるのを見るが、あれと同じである。放置した賊どもには、誰かが片付けてくれるだろう、という企みすらない。片付けられようがどうされようが知ったこっちゃないのだ。

                ■

親が神様になるのを見れば、その子供も自分を神様だと思い込むようになるのは自明の理である。先日も、親子連れの客がレジで支払いをしている間、男児が買い物カゴを載せるカートを通路に押し出して遊んでいた。もし他の客に当たってトラブルに発展したら店の責任も問われることになるので、というより、なぜ止めなかったと上司から叱られるのが怖いので私は決然としてその餓鬼に言った。「危ないからカートは片付けましょうね〜」

やだやだー! と泣くのならまだ可愛いが、その餓鬼はカートを掴んで離さないばかりか無言で私を睨みつけるのである。それは子供の眼つきではなかった。客の立場から威嚇することに味をしめたサディストの眼つきであった。

私はあからさまな作り笑いをかろうじて保ちつつ、しばらく餓鬼とカートの奪い合いを演じていたが、支払いを済ませた父親がやっと「〇〇、行くぞ」と言ってくれたので私が勝利を収めることができたものの、他人の子供でも叱ろう、というスローガンは相手が客の子供の場合は無力であることを痛感したのでありましたとさ。

その他にも、レジで精算している時に「これ、もうひとつ買うわ」といって商品を店員に持ってこさせる客。本人は売り上げに協力してやったのだから、もう店を挙げて欣喜雀躍しているに違いないと確信しているのだろうが、まったくのお笑いぐさである。店員は、この忙しいのに仕事増やしやがってくらいにしか思っていないのだ。

また、「保健衛生上ペットの持ち込みはご遠慮ください」と店内でアナウンスしているにもかかわらず小型犬を抱いて持ち込むなども、自分は神だから許されると信じていなければできない悪魔の所業である。

                ■

いささか大袈裟に書き過ぎたかもしれない。実際のところ、神の威光をかざして買い物をする客は年輩者に多く、若い人たちの方がおおむね謙虚である。神様意識が感じられない。どっちが客かわからないほど遠慮深い人も多い。

たいして長い時間でもないのに、待たされるとすぐに痺れを切らすのはたいてい年輩者だ。包装や配送の方法などにいろいろ注文をつけて、それが聞き入れられないと怒り出すのも年輩者の専門分野である。自分ひとりのために店員に多大な時間を費やさせても、それが客の権利だと思っているのだ。

若人の諸君、君らの将来は明るい。あと20〜30年もすれば、私も含めて年輩者はみなくたばり、日本は若者だけの国になるだろう。そうなれば客と店員の間に対等な give-and-take の関係が実現するのだ。私も、もし輪廻転生があるとしたら来生は若者に生まれ変わりたいものだ。

【ながよしのかつゆき/永吉流家元】thereisaship@yahoo.co.jp

以前、デジクリにコラムを連載していたタイ在住の白石昇氏(通称=のぼるちゃん)が「出稼ぎ」のために一時帰国して大阪に住んでいるというので、氏の知人といっしょに大阪の難波で飲んだ。以前からFBやTwitterで交流があり、非常に精力的で内戦下のシリアでも生き抜いていけそうな生命力のある人物を想像していたが、果たしてその通りの迫力であった。持参の凄まじく磨耗したギターが氏の来歴を物語っているようで私は畏怖の念を禁じ得なかった。

・ここでのテキストは、ブログにも、ほぼ同時掲載しています。
無名芸人< http://blog.goo.ne.jp/nagayoshi_katz >

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■ショート・ストーリーのKUNI[123]
夏空

ヤマシタクニコ
< http://bn.dgcr.com/archives/20120830140200.html >
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夏の空の美しさはぼくたちにさまざまな思いを抱かせる。あらゆるものに濃い陰影を投げかける太陽への畏怖。生き物のようにみるみる形を変えては流れ去る雲の不思議さ。自分が小さな砂のひと粒になったような恐怖。そして、もしやこの空は、つくりものではないかと思う一瞬。

ぼくたちは国によって定められた居住区に住んでいる。毎日、朝になると居住区から「ゲート」を通ってそれぞれの活動場所におもむく。会社に行って仕事をしたり、農園で野菜を作ったり、あるいは研究所で難しい研究に取り組む。

ゲートには機械が並んでいて、ぼくたちはそこを通るとき、機械におでこをくっつける。異常がなければゲートを通過できる。たくさんの人がやってきては次々にゲートの前で立ち止まり、少し体をかがめておでこをくっつけていく様子は、少々滑稽にみえるかもしれない。

ぼくにはくわしいことはわからないが、それは21世紀初頭に存在した自動改札機をモデルにしたものだと聞いたことがある。その時代の人々は鉄道に乗る際にプラスティック製のカードをポケットから取りだし、機械にくっつけたりかざしたりしたそうだ。すると機械がカードの情報を読み取り、それを所持する人間を駅の中に入れてもよいかどうか判断した。

信じられないことだが、当時は乗り物によってカードは何種類もあったし、買い物をしたり映画を観るときにもそれぞれのカードを使いわけなければならなかった。人々の生活は煩雑をきわめた。財布はカードであふれ、人によっては何10というパスワードを覚えておく必要があったという。

すべての情報の一元管理が望まれるのは時間の問題だった。今のようなシステムになったのは自然な流れだ。だれもが常に持ち歩いていて、たくさんの情報を保存しておける場所は「脳」だからだ。

でも、そのような説明はぼくが見てきたわけでもなんでもない。ぼくたちは何も知らない。そんなことはぼくたちが生まれるずいぶん昔、「大リセット」以前のことだからだ。人口は今の何百倍もあったし、世界は広かった。だれにも統御できないくらい。それはぼくの想像力を超えている。

ゲートを抜けたところには広大な芝生広場がある。頭上に広がる空の、あまりの美しさにぼくたちは一瞬立ち止まる。そして空を仰いで大きく息を吸い込む。

ある朝、ぼくはゲートの機械におでこをくっつけた。一瞬のうちに機械はぼくの脳にしかけられたロックをはずし、脳のある部位にアクセスする。目の前のバーがすうっと開く。その瞬間、ぼくは隣のゲートにいる女の子と目が合った。ふたりともおでこを機械にくっつけた姿勢で、そうした姿勢をとっていることを少し恥ずかしいと思いながら。ぼくたちはにっこりと笑い合った。

3日後にはぼくたちは一緒に暮らしていた。茶色の柔らかな髪と同じ色の虹彩を持った女の子。

「ねえ、こんな話を聞いたことある? ゲートの話」
「ゲートがどうか?」
「あるとき、ゲートに早く入ろうとして、あっちから走ってきた女の子とこっちから走って行った男の子がぶつかったの。すごい勢いで。それも、たまたまおでことおでこが激突。そしたら、脳の中身が入れ替わってしまったんだって。男の子は一瞬後に『あら、あたし、どうしたのかしら?』」
「ははは」

「あると思う? そんなこと」
「ないに決まってるだろ」
「そう?」
「ああ、ふだんはロックがかかっていて、ゲートの読み取り装置以外はそれを読み取れないようにできてる」

「ぶつかった拍子にロックがはずれたら?」
「ないだろ。それに、ロックがはずれても中身がそっくり入れ替わるってありえない」
「そうよね」
彼女は笑った。

「一種の都市伝説ってやつさ」
「そうよね」
彼女も笑った。「あたしたち何も知らないよね。ゲートのこと」と言いながら。

知らないといえば確かに知らない。ぼくたちがなんとなく理解しているのは次のようなことだ。毎日の労働で得た収入はきちんと管理され、その中から税金が徴収され、そのかわり病気になったら無償で治療を受けられ、結婚して子どもが生まれたらその子はやがて無償で教育を受けられる。

それらすべてにゲートが関与しているらしいこと。ぼくたちは余計なことを考える必要はない。日々の行動はすべてゲートを通してどこかに記録されているらしいから、日記をつける必要もない。ぼくたちがここに存在していること、かつて存在したことが必ず残っていく。それはなんてすばらしいのだろう! 

都市伝説といえば最近もうひとつ、聞いたことがある。あるとき、ひとりの女の子がゲートを通過しようとして機械におでこをくっつけたそのとき、機械に異変が起きた。何人かが悲鳴を聞いた。およそ1分の後、係員が駆けつけたが、手遅れだった。彼女はすべてを機械に吸い取られたあとだったという。

一瞬ぞっとする話ではある。しかし、いったいだれがそれを目撃して、どうして「すべてを吸い取られた」と確認できたのかとなるとだれも確かなところを知らない。都市伝説とはそういうものだ。いや、これはほとんど怪談である。そうだ。真夏には怪談がはやるものなのだ。

彼女がすっきりしない顔で朝のコーヒーを飲んでいる。
「調子が悪そうだな」
「ええ。なんだか変なの」
「変? どんなふうに」
「ゆうべから急に・・・私は梱包材料についてくわしくなってしまったの」
「はあ?」

「梱包材料を扱っている会社で14年ほど働いていた......ような気がするの。あ、その袋も扱ってた。品番はNK-0014......だったかな」
彼女はサラダパックの入っていた袋を指さして言う。
「君の言ってる意味がわからないけど。夢でもみたの?」
「そうね。夢かもしれない」

「梱包材料にくわしくなったのならいいじゃないか。次の就職口にどうだい」
「まさか! 14年もいたのよ。もうたくさんだわ!」
彼女は急に激しい口調になった。ぼくがあっけにとられていると彼女もはっとしたようだった。
「ごめん。つまらない冗談を言って。何かいやなことがあったんだね? 夢で」

夢に決まっている。彼女はまだ24歳なのだ。14年も梱包材料の会社で働いていたはずがない。

ぼくたちはその日もいつもの時間に居住区を出て、機械におでこをくっつけてゲートを出た。そして、いつものように空を仰いだとき、不意にだれかの声が聞こえたような気がした。

(パパ、見て、これ)
(ぼくが作ったんだ、この飛行機)

あたりにはだれもいなかった。その声はぼくの脳内にあった。ぼくにはもちろん子どもはいないが、その声をよく知っている。ぼくの子どもだ。ぼくはその子をとてもかわいがっていた。その子の成長を生きがいにしていた。
なぜだ? なぜそんなことを知っている?

(パパ、あぶない!)

視界の端に豆粒ほどのトラックが見えたと思う次の瞬間には、それは小山のようにふくれあがり、ぼくは脳内におそろしいイメージが映し出された。いや、それはほとんどぼく自身の記憶であり、体験だった。ぼくの手足はばらばらにひきちぎられ、骨は砕け、ぼくは自分自身の血のにおいをかいだ。悲鳴をあげ、頭をかかえこみ、ぼくはその場にうずくまった。

拷問としか言いようのない時間が過ぎ、目を開けると、制服を着た固い表情の男たちが何人も広場に現れ、壁に張り紙をして去っていくところだった。

「本日現在、ゲートに関してごく軽微な不具合が確認されているが、取るに足らないものである。この不具合はまもなく修復の見込みである。」

居住区を出るときはぼくのすぐ後ろにいたはずの、彼女の姿が見えないことにぼくは気づいた。でも、だいじょうぶだろう。そこらでだれか友達と出会って、おしゃべりしているにちがいない。

ぼくは立ち上がり、空を見た。なんてみごとな夏の空だ。そう思うぼくの心臓はまだばくばくと波打っていた。思わず指先を額に持っていくが、血糊がついてくるわけではない。

ゲートに不具合? そうか。そのうち回復するのだろう。特に気にすることもないだろう。ぼくは空のまぶしさに顔をゆがめつつ思った。まっ白な雲が流れていく、真っ赤な空。まるでつくりもののような、美しい、真夏の赤い空。

【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
< http://midtan.net/ >
< http://yamashitakuniko.posterous.com/ >

年に何回かある団地の草刈りがゆううつだ。といっても業者さんまかせなのだけど、騒音がひどい。団地だから反響して、ますますひどい。どうしてもっと静かな草刈り機が発明されないのだろうと思う。とりあえず土曜日の朝くらいゆっくり寝かせてください......。

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■歌う田舎者[36]
夏のお嬢さん

もみのこゆきと
< http://bn.dgcr.com/archives/20120830140100.html >
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いまさら『冬のソナタ』を見ている。
「そげなものを見っとじゃなか!」
お盆前後からの竹島・尖閣諸島騒動で、ノンポリなわたしの母まで、竹槍持ってペ・ヨンジュンに飛びかかりそうな勢いである。まぁ、この時期に韓流ドラマを見るなぞ、いわゆるひとつの非国民、国賊、売国奴と呼ばれても仕方がない行為であろう......この"いわゆるひとつの"で長嶋茂雄を思い出す人は、もう少数派なのであろうか。

もとい、常日頃は愛国者なわたしであるからして、当然、わが母とともに竹槍持って参戦すべきところである。しかし、この『冬のソナタ』は、電気機器・ITまるでダメな、遅れてきた韓流ファンのわが妹が、涙ぐましい努力の末やっとのことでブルーレイに焼いて送ってきたものなのだ。それを無下に放置するような侠気のないことができようか。まぁ、見終わったあとは感想でもしたため、親書として李明博大統領に郵送すればよかろう。

しかし、まことにもって突っ込みどころの多いドラマである。だいたい女に結婚断られたくらいで、入院して死にそうになってる男ってどうよ?(←パク・ヨンハ)。で、死にそうになってるからって、やっとそいつと別れた自分の女を、病院に見舞いに行かせちまう男もどうなんだ(←ペ・ヨンジュン)。アホではないか。女返す前に、竹島返せ! 

そもそもペ・ヨンジュンは第2話で交通事故に遭って"取りあえず"死ぬのだが、実は生きていたという設定である。おまいら、葬式ってもんはやらんかったのか。墓はどうしたんだ、墓は。

ペ・ヨンジュンは、セルフレームの眼鏡の奥、優しい眼差しで、チェ・ジウに語りかける。

「すべての星が移動しても、ポラリス(北極星)はずっと同じ場所で輝いているんだ。僕が君のポラリスになってあげる。もう道に迷うことなんてないよ」

そして星をかたどったネックレスをプレゼントする。韓流オバサマたちは、このへんで溶けた白くまみたいになっておられるのであろう。

【白くま】薩摩藩の有名なかき氷の名称
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E3%81%8F%E3%81%BE >

ちなみにそのポラリスのネックレスは、ペ・ヨンジュン演ずるところの、羽振りのいい建築会社理事のプレゼントと考えると、チェーンと星型のベースはK18WG、埋め込まれているダイヤはクラリティVS2クラス以上、カラーはFクラス以上といったところか。

しかし、冬ソナブームがとっくの昔に終わっているせいか、ネットでいくら検索しても、正面からの写真しか出てこない。サイドから、あるいは裏からのショットがないと、ダイヤモンドをより輝かせるための光を取り入れる穴が開けてあるのかどうか、わからんではないか。

そういうわけで、スケバンまで張ったこの麻宮サキが、何の因果か今じゃ宝石屋の手先。誰が麻宮サキなんだ! という質問はせんでよろしい。それとも、GlowHairさんに加えて、わたしのセーラー服姿も拝みたいか? "セーラー服熟女 今日も濡れ濡れ"に出演したら、1000万円くらいギャラくれんかのう。

それはさておき話を元に戻すと、わたくし、ただいま宝石屋で通販用ジュエリー撮影のバイトをしているのである。もちろん実際に手に取らずに買っていただくわけであるからして、前からも横からも後ろからも撮らなければならない。♪うしろからまえから〜どうぞ〜♪である。

しかし、写真撮影とはなんと難しい仕事であることか。自分の撮影した宝石を見ても、全く買う気が起こらない。この素敵に見えなさ加減は、いったいどうしたことであろうか。

Facebookの中にいる宝石撮りカメラマンに、わたしの処女作を見せて感想を聞いてみたところ「うん、中古品にしか見えないね」
ぎゃーーーーーーーっ!!

♪わったっしは〜泣いて〜います〜 ベ〜ッド〜のう〜えで〜♪

写真って、カメラのシャッター押せば写るんじゃないんですか違うんですかそうですか。わたしもいよいよ「写真を楽しむ生活」の購読をしなければならないのではないか。始めたばかりのバイトであるが、クビになる日も近いような気がする。

ところで、このバイトを始めるにあたって、非常に困った事態が発生した。着ていく服がないのだ。南米から帰ってきたまでは良かったが、その後の動かない失業生活で、夏だというのに、脂肪の腹巻きがまた一枚増えているのである。前屈みになったときの、腹の肉の邪魔さ加減が、わたしに「なんとかしろ、その肥満」と訴えている。

「悲しみのなかに幸福をもとめるがよい。働くんだ、たゆみなく働くんだ」このようにドストエフスキー先生もおっしゃっておられる。バカ高い保険料や市県民税を支払うには、やはり働かねばならぬ。しかしながら、千里の道も通勤着から。たゆみなく働き、立派な仕事を成し遂げるためには、腹に食いこまぬ服が必要なのだ。

そういうわけで、まだもらってもいないお給金を当てに、今の体型に合うストレッチのきいたパンツを二本、ウエストが総ゴムのマキシ丈スカートを一着買った。特にマキシ丈のスカートはウエストが2倍になっても問題ないサイズだ。これで人生は盤石。心おきなく仕事に取り組めるというものよ。

しかしながら、このスカートにはとんでもない罠がかくされていた。

♪罠 罠 罠〜にお〜ち〜そ〜う〜♪

今日も今日とてバイトが終わり、バスから降りようとしたときのこと。後部に立っていたわたしが前方に移動しようとして一歩、二歩、足を進めたときである。バスが急ブレーキをかけた。足元がよろけた瞬間、右足がスカートの裾を踏んづけた。そのままバランスを崩し、左足もスカートの裾を踏んづけた。

しかしながら、これはウエスト総ゴムのスカートである。力が加わると、チャックやジッパーのスカートと違って、引っ張られた方向にずり下がっていくのである。数歩よろけて転んだときには、スカートのウエスト部分は、ひざ上のあたりまでずり下がって来ていた。

季節は夏である。ジージー、ツクツクボーシ、ツクツクボーシ。広葉樹の濃い緑の葉陰からこぼれる太陽の光は、バスの中にいても肌を刺すようだ。

「夏休みも終わろうというのに、まだまだ暑いわね......今日もわたしの心は夏模様だわ」そんな風流な台詞をつぶやいている場合ではない。このクソ暑い気温であるからして、スリップなどというエレガントなランジェリーは身につけていなかったのだ。つまり、ひざ上までスカートがずり下がった結果、どのような景色が乗客の前で展開されたかは......説明したくない。

転んでもタダで起きてはいけないと言われるが、転んだら尻を見せろとは聞いたことがない。なぜだ、なぜこんな目に遭うのだ! ......わたしはもう人生やめたい。もごもごとスカートをウエストまで引き上げ、這々の体で転がり出るようにバスから降りた。乗客たちはどこを見ていいのかわからず、目を泳がせたまま、微妙な沈黙が車内を支配していた。何も知らないのは、急ブレーキをかけた運転手だけである。

♪夏の〜お嬢さん〜
♪お尻がとっても素敵で〜 刺激的さ〜
♪クラクラしちゃう〜
♪チュ〜ウ〜チュウ〜チュチュ

『夏のお婆さん』とは歌わないでほしい。ほんとに人生やめたくなるから。この顛末を鑑賞していた乗客は、帰宅後、みなみな夕飯を喰らいながら一家団欒のネタにしたことであろう。このように今日も薩摩藩の家庭の平和に貢献しているわたしであるからして、薩摩藩名誉市民の称号くらい贈られてもいいのではないか。

本来ならば、尻を見た奴らからはおひねりのひとつも頂戴したいものである。でなければ、わたしの人生の尻が、いや、帳尻が合わぬではないか。

はて、それにしても本日のコラムは、竹島・尖閣諸島に関する近隣諸国の非礼なるふるまいの話から、平和ボケした日本国民に警鐘を鳴らすべく書き始めたのであったが、なぜ尻の話になったのか。平和ボケしているのはわたしの頭か。誰か教えてタムレ。

※「夏のお嬢さん」榊原郁恵
< >
※「冬のソナタ」
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003Z6PXI0/dgcrcom-22/ >
※「スケバン刑事」
< http://www.dailymotion.com/video/xa2sv7_yy-yyyyyyy-yyyy-yyy-yyyy-ep1-jp-tv_shortfilms >
※「後から前から」畑中葉子
< >
※「私は泣いています」リリィ
< >
※「カラマーゾフの兄弟」ドストエフスキー
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334751067/dgcrcom-22/ >
※「キッスは目にして」ザ・ヴィーナス
< >
※「愛してタムレ」谷啓
< http://www.nicovideo.jp/watch/sm12072471 >

【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

かつてはシステムエンジニア。その後、働くおじさん・働くおばさんと無駄話するのが仕事の窓際事務員。ただいま通販用ジュエリー撮影のバイト中。

カメラなど、旅行中にしか使ったことがないのである。押せば写るとしか思っていなかったのである。コンデジ以外は触ったこともなかったのである。最近、露出をいじるという技を覚えて、一頃よりずいぶんマシになった気がする。

しかし、ダイヤモンドのリングを写してPCのモニタで拡大すると、プラチナの腕の部分に、思いっきり部屋の蛍光灯やカメラを構えている自分が写っているのだった。嗚呼、一難去ってまた一難。人が買う気になる宝石撮りへの道は険しい。とほほ。

ところで、薩摩藩と日向の国との境には、韓国岳という山がある。霧島連山の最高峰であるが、名前が韓国岳なだけに、今に「韓国岳は我が国の領土だ」と李明博が言い出すのではないかと心配である。そもそもなんだってそんな名前を付けたのかと思ったら、韓国まで見渡せるほど高いから、という説があるそうだ。実際は見えないが。どーせ見えないんなら、インド岳とかモンゴル岳くらいに改名したほうがいいのではないか。

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編集後記(08/30)

●日本テレビ「鳥人間コンテスト2012」を見る。もう35回目になる。25回目くらいまでは録画もして楽しむ熱心なファンだった。最近は番組を見落とすこともあり、やや熱が冷めている。京都の佐藤さんという(まだ一度も会ったことのない)知り合いが、毎年この時期に「鳥人間コンテスト」情報を送ってくれる。ご本人は何度か琵琶湖で開かれる大会を見に行っているし、鳥人間用ヒコーキも設計しているらしい。

柴:昔ほど感動できなくなったのはなぜでしょうか。突っ込みを入れるシーンも少なくなったし......。佐:なんだかみんな洗練されてしまって、面白みは薄くなった気がしますね。しかし、如何なる洗練も自然のコンディションの前には、それを超える力は持ちません。ま、自然の大きな営みのホンの端っこを使わせてもらって遊ばせてもらっているわけですから......。

柴:芝浦工大がプロの女子競輪選手ふたりをパイロットに起用するなんてズルイと思ったけど、840mしか飛べなかった。こういうやりかたは以前からあったのですか。佐:鳥人間のプロっていないですし、いいんじゃないんですかね。ボートの上からワーワーいっている双子の元スキー選手も、かつてはどこかのチームにもぐり込んで飛んでいたような記憶が...。去年だったか、関西出身の某キャスターも飛んでましたよね。この際だからマラソン選手とかツールドフランスに出場してる選手だとかに、理論と操縦テクを叩きこんで飛ばせてみるのもいいかも。パワーと持久力のあるエンジンは必要です。

柴:日大機の主翼フィルムが飛行中に剥がれたのはお気の毒でした。佐:かわいそうでしたよねぇ。あのフィルムは多分ポリエステル製で薄いんですが、3層とか4層構造でアイロンで貼付けてます。熱をかけることで接着し、さらに熱収縮しますので、キレイに貼れ(張れ)ますが、暑い日にたるんだり、下地の表面を滑らかにしていないとペロッと剥がれたりすることがあります。当日は相当暑かったと思われますので、接着力が落ちていたのかもしれませんね。かなりのエアブレーキになったようです。

......といった、高尚で熱いチャットが延々と続くのでありました。36回大会では、京都で一緒にテレビ見ながら語り合いたいなあ。(柴田)

●現役タカラジェンヌ、春日野八千代先生が亡くなられた。96歳。あと2年で宝塚歌劇創立100周年だった。最後に舞台を拝見したのはいつのことだったろう。サバサバした性格で、お年を召しても、文字に起こせないような過激な色話をされていたそうな。大好きな、れおんちゃん(柚希礼音)表紙の生徒一覧誌『宝塚おとめ』を買いそびれてる。春日野先生の最後のおとめを買っとかなくっちゃな。

DropboxとTotalFinderの組み合わせでトラブル。Dropboxは更新しているのに、Finderには出てこない。ダイアログには表示される。何これ? 調べるとTotalFinder側で対応アップデートが出ているとのこと。インストールしたが出ない。何これ? 日本語とか関係ないよなぁ......。念のためDropboxのアップデートを確認したら、新しいものが出ていた。インストールしたら表示されるようになった。食い合わせもあったようだ。

しかしTotalFinderでの表示がいまいち不安定で、再起動させるとツールバーが消えてしまい、毎回「ツールバーを表示」しないといけない。ツールバーはいいんだけど、サイドバーが表示されないのは困る。ショートカットを入れているからだ。これがあるとないとでは全然効率が違うんだよ〜。(hammer.mule)

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