[3409] 朽ちないデータ、という幻想

投稿:  著者:  読了時間:27分(本文:約13,400文字)


《濱村:「そんな、人生踏み外した人みたいなっ!?」》

■まにまにころころ[22]
 今日は何の日? ふっふー♪
 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito

■クリエイター手抜きプロジェクト[341]電子書籍編
 Kindle Fire HD その2
 古籏一浩

■データ・デザインの地平[26]
 朽ちないデータ、という幻想
 薬師寺 聖




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■まにまにころころ[22]
今日は何の日? ふっふー♪

川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito
< http://bn.dgcr.com/archives/20130128140300.html >
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みなさん、こんにちわん。寒さに震えながらまにころ書いてる川合です。

突然ですが、今日が何の日か知ってますか?bb紀貫之が土佐日記の旅に出た日?コピーライターの日? データ・プライバシーの日? いやいや確かにそうですが、もっと大事な記念日。そう、デジクリデスクの濱村さんの誕生日です!

濱村さん、おめでとー☆

濱村さんの誕生日と言えば、かぷっと設立の時、書類に必要だからって言ってるのになかなか生年月日を教えてくれなかったことを思い出しました。さすが、データ・プライバシーの日に生まれただけのことはある。データ・プライバシーの日ができたのは2008年らしいですけど。(笑)

ついでに今日は、まにゼミP8を開催する日でもあります。セキュリティの話。今日は席数に余裕のある会場なので、ドタ参もOKです。
< http://m2.cap-ut.co.jp/event/semi08.html >

一昨日のまにゼミP7の疲れもまだ抜けてないんですけどね......

◎──「ハッカソン」はやだ。

その一昨日のまにゼミP7は、Firefox OSをみんなで触ろうというイベントで、半分はいわゆる「ハッカソン」のような、その場で何か制作物を作り上げようというものだったんですが、実は私は、個人的にはこの「ハッカソン」という名前があまり好きじゃない。あ、個人的には、というか、まにカレ主催者的に、かな。

ハッカソンという開発イベントは、プログラマーさんたちソフトウェアエンジニアの世界で生まれたイベントなので、非エンジニアな人にとってはとっても馴染みが薄くてとっつきにくい。でも多くの制作物は、エンジニア以外の色んな人、デザイナーやプロジェクトマネージャーが関わった方が、良いものが生まれることが多いはず。

そんなことはみんな分かってて、参加しようよ、一緒に作ろうよって呼びかけはされるんだけど、でもやっぱ、とっつきにくくて、参加してくれない。

「ハッカソン」という名前がもう、イメージ出来上がりすぎちゃってて、この名前で呼びかけてるうちはなかなかエンジニア以外には声が届きにくいと思うんです。とりあえず、広く呼びかける時は名前を変えちゃえばいいんじゃない?

◎──「ハンドシェイク」

プログラマーさんだけじゃなく、デザイナーさん、プロジェクトマネージャーさん、ディレクターさんなどなど、色んな技術を持った人が集まり、手を取り合って何かを開発していく。そんなイメージのイベントを、新たに始めたい。

そう思って「ハンドシェイク」というイベント名を考えてみました。名前だけでなくて、中身もそうありたいと、あれこれ悩んでるうちに、命名から一度も実施しないままに二年以上も経っちゃってますけど。(爆)

今年はやりたいな。

◎──関西版プロデューサー・ディレクター

新しく名前を考えると言えば、最近もひとつ。人材についての話をしていると、「プロデューサー」や「ディレクター」が必要って話がよく出てくる。特に、関西にはそういう人材が少ないという話も。

でも、そういう話をしていながら、改めて「プロデューサーって何する人?」「ディレクターって?」というと、なかなかはっきりしない。言ってる人によって定義もまちまちだったりして。

関西に少ないというのも、そういう「肩書き」を名乗ってる人が少ないだけで、役割としてはその仕事をしている人はいるように思う。ただ役割の分け方とか、動き方が「プロデューサー」という言葉の枠組みにきれいに収まらないことが多くて、そう名乗ってないという話のような気もする。それになんか、言葉の響きが「ええ格好しい」な感じで、胡散臭くも感じるし。(笑)

そこで「じゃあ、関西のプロデューサーには新しい名前つけてみよっか」と、そんな話になりまして。もう一度改めて「プロデューサーって何する人?」と考えるところから始めたところ、「話にきれいにオチをつける人じゃない?」と、これまた絵に描いたような関西人思考で。

この話、かぷっとのミーティング中なんですが、これ以降の会話を再現すると、

川合:「オチ考える人......ドロップシンカーでええんちゃう? 魔球ぽいけど」

深川:「うちのオチ担当は濱村さん」

濱村:「私、ドロップシンカー?」

川合:「ドロップシンカーは、話の落としどころを考える人だから。オチそのものの濱村さんは......ドロッパー?」

濱村:「そんな、人生踏み外した人みたいなっ!?」

名前はそんな感じの適当な流れでつけましたが、そっから先は割としっかりと考えていくつもりですので、どうなるのか気長にお待ちください。とりあえず、ドロップシンキング得意な人を大募集。あと、ちゃんとした名前も募集。(爆)

◎──オチは特にありません

またこれといってヤマもオチもイミもない感じの話になりましたけど、今年もイベント事に色々と関わっていきそうな予感のする1月でした。急遽開催の2回のまにゼミもそうですが、他にもセミナー企画の相談やら講師依頼やら。うち、Web屋さんなんですけど......呼ばれて行ったら3つに2つはそういう話って。考えるし、やりますけど、倒産しないようにその分ギャラ弾んでくださいよぅ......

ちょっと最後ため息混じりになりつつも、めげずにまたイベントの告知協力ふたつして締めたいと思います。ひとつ目は前回もお知らせした配色の。ふたつ目は、大阪DTPの勉強部屋さんの連続セミナーです。どぞ。

◇2月8日(金)「ウェブ配色 決める!チカラ」刊行記念イベント
「ウェブ配色 決める!チカラ」を育むワークショップ
< http://www.wgn.co.jp/store/blog/item-1285.html >

フォルトゥナの坂本邦夫さんの新刊刊行記念イベントです。大阪を皮切りに、2/9には名古屋で、2/14には東京で開催予定。

そういえば、先週のまにころで書籍プレゼントのお知らせしましたよ。

◇大阪DTPの勉強部屋「第12回勉強会」は4日間開催です。
< http://www.osakadtp.com/?p=1912 >

2月23日(土)14:00〜18:30
・「横田流進行管理術」〜なんとなく進行管理から楽しい進行管理へ
・カラーマネジメント【前編】

2月24日(日)13:00〜17:30
・「Illustratorのアピアランスを使って、イラレDTPを少しでもラクに」
・イラレラボ出張版「Illustrator積極的に使っていきたい新機能」

3月9日(土)14:00〜18:30
・「ADPSでiPadで見られるポートフォリオを作ってみよう」
・カラーマネジメント【後編】

3月10日(日)13:00〜17:30
・「数式組版の初歩」ルールとスタイルを学ぶ

参加費(当日会場でお支払いください)
1日のみ参加/2,000円 2日間参加/3,500円
3日間参加/5,500円 4日間参加/7,000円

会場:クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック扇町交流スペース3
定員:各日申込先着 72名

申込み、詳細は大阪DTPの勉強部屋の告知ページをご覧ください。
< http://www.osakadtp.com/?p=1912 >

◎──それでは

まにゼミP8参加の方は、今夜お会いしましょう☆

【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
< https://www.facebook.com/korowan >
< https://www.facebook.com/caputllc >


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■クリエイター手抜きプロジェクト[341]電子書籍編
Kindle Fire HD その2

古籏一浩
< http://bn.dgcr.com/archives/20130128140200.html >
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年末年始はKindle Fire HDがメインの端末で、iPad miniはほとんど触らず。Kindle PaperwhiteもKindle Fire HDがあれば、実際には用がないため、箱に入れたままです。kobo miniも来ましたが、さすがにこれを使うことはないでしょう。

お正月にTwitterでkobo一発逆転方法を考えたけど、いいのが思い浮かばず。koboは絶体絶命から起死回生の戦略などを考えるのには、いい端末かもしれません。ただ、原稿のネタにするにはkoboが一番面白かったりするのが困りものですが。

さて、本題のKindle Fire HDですが、書籍(有料)、青空文庫、漫画本を購入してみました。漫画本は例によって「ジョジョの奇妙な冒険」を購入。この漫画は、どの端末でもあるので比較には便利です。購入といっても、すでに購入しているのでKindle Fire HD端末で読むという状態になります。

早速いつもの第1巻をKindle Fire HDで見てみました。Kindle Paperwhiteは白黒でしたが、Kindle Fire HDだとカラー。やはりカラーは違う。目につきささるくらい鮮明。

画面サイズはiPad miniよりも小さいので、ルビなども若干小さめ。とは言え十分判読できるサイズ。もちろん二本指で拡大できるので、文字が小さくても大丈夫です。

ページめくりは指でタッチするか、なぞるようにします。ゆっくり読む場合はよいのですが、素早くめくっていくと、データ読み込みのマークが表示されてしまいます。

内蔵メモリが少ないのか、端末の処理が遅いのか、場合によっては1〜2秒表示されるまでに待つ必要があります。Kindle Fire HDは同時期に発売された端末と比べると速度が遅いのですが、確かにこういう待ち時間を体験すると、もっと速い方がよいかなとも思ってしまいます。普通にゆっくり読む分には問題ないのでしょうけど。

漫画本の次は、テキスト主体の本を購入。おなじみの青空文庫からは「人間失格」。テキスト主体なので、ページめくりの後は漫画本より待たされることはほとんどありません。どちらかというと、タッチした方が高速にページをめくれます。

Kindle Fire HDはRetina Displayではありませんが、画面サイズが小さく、それなりに解像度があるので明朝体でも鮮明です。さすがにiPad Retina Modelのような鮮明さはありませんが。

Kindle Fire HDはアマゾンで本を購入するのには便利なのですが、手にもって本を読むとなると辛いかもしれません。ずっしりと重いのです。kobo glo、Sony Reader、iPad mini、Nexus 7と比べるとダントツに重く感じます。

頑丈な作りになっているのかもしれませんが、手にもって読みたい人にとってはKindle Fire HDはイマイチです。どちらかというと、机や布団の上に置いて使うのがよいでしょう。持つと疲れます。

パソコンを使わずにアマゾンで手軽に本を購入したい、すぐに読みたい、落としても壊れにくい端末が欲しいならKindle Fire HDがよいと思います。そうでないのであれば、手持ちのスマートフォンやタブレットを使った方がよさそうです。Kindle Fire HDはNexus 7やiPad/iPhoneのように万能ではありませんので、これ一台で全てOKという具合にはなりません。アマゾンお買い物専用端末として利用するならばベストなタブレットです。調子にのって買い物をすると、後の請求が大変なので誘惑に負けるタイプの人には、すすめない方がいいでしょう。

ということで次回はSony Readerです。

【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/ >

Kindle Fire HDもNexus 7もいまいちな部分があり、そうなるとiPad miniでどうぞ、ということになってしまいます。Nexus 7は背面カメラもつけて、もっとカメラ性能アップした方がいいと思うのですが。Kindle Fire HDは、重すぎるので軽くして、もうちょっと内蔵メモリを増やして高速化した方がいいかも。スライダーも要改良。

少し時間があったのでAdobeソフトの自動化のページを用意しました。

・Adobe Premiere CS6自動化作戦
< http://www.openspc2.org/book/PremiereCS6/ >

・Adobe Media Encoder CS6自動化作戦
< http://www.openspc2.org/book/MediaEncoderCS6/ >

・ExtendScript Toolkit CS6自動化作戦
< http://www.openspc2.org/book/ExtendScriptToolKitCS6/ >

・Adobe Premiere Pro CS6使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/PremiereCS6/ >

・Sony Reader 使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Sony/Reader/PRS-T2/ >

・Kindle Fire HD使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Kindle/Fire_HD/ >

・Nexus 7(アンドロイドタブレット)使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Android/Nexus7/ >

・iPad mini(アイパッドミニ)使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/iPad/mini/2012/ >

・JavaScript逆引きハンドブック
< http://www.amazon.co.jp/dp/4863541082 >

・改訂5版JavaScriptポケットリファレンス
< http://www.amazon.co.jp/dp/4774148199 >

・ハイビジョン映像素材集
< http://www.openspc2.org/HDTV/ >

・クリエイター手抜きプロジェクト
< http://www.openspc2.org/projectX/ >

・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集
< http://www.openspc2.org/book/PDF/Adobe_Illustrator_CS3_JavaScript_Book/ >
吉田印刷所の「印刷の泉」でも購入できるようになりました。


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■データ・デザインの地平[26]
朽ちないデータ、という幻想

薬師寺 聖
< http://bn.dgcr.com/archives/20130128140100.html >
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●技術進化からこぼれ落ちるデータ

1997年、Windows 95 対応の Microsoft Internet Explorer 4.0 Platform Preview 1(ベータ版)の時代、筆者は、Actve X 仲間の VB プログラマとコラボレーション・ユニットを結成し、Direct Animation コンテンツを制作していました。

Direct Animation は、Direct X の流れを汲む、マルチメディア機能を強化したコントロールで、VBScript で 制御することにより、オブジェクトの位置や形状を変化させることができるというものでした。

Direct Animation は、その後、XML 利用のインタラクティブな UI 実装技術である Choromeffects に受け継がれました(※1)。

XML で記述された XAML を Expression Blend から操作する Silverlight の萌芽は、90年代後半に既にあったのです。しかしながら、Direct Animation は、OS やブラウザのバージョンアップに伴って徐々に動作しなくなりました。

手塩にかけたコンテンツも、いつかは眠りにつきます(※2)。データベースに登録された情報も同様です。データが長期利用できるかどうかという問題は、少なからずプラットフォームに依存します。(※3)

XMLのような、OS やアプリケーションに依存することなく、将来にわたって利用できるよう設計されている仕様ですら、それに基づいて作成されたデータが未来永劫使用可能かといえば、完全な保証はありません。

実行環境だけでなく、ハードディスクにせよ、SSDにせよ、データを蓄積するメディアも変わるからです。

メディアが劣化してデータを読み出せなくなることもあります。また、新しい技術で作られたメディアに、既存のデータを引っ越す作業が追い付かないこともあります(※4)。

計算機の性能が向上すればするほと、メディアの容量が増えれば増えるほど、ファイルサイズへの気配りは薄れ、引っ越すデータも肥大化し続けます。長期にわたり全てのデータを維持し続けることは困難です。

そして、データ作成者が病気のために廃業したり、亡くなった時には、メディアの中に残されたデータは、野ざらしになるでしょう。一人世帯が大幅に増加している現在、遺族の手によってデータ整理や HDD の廃棄が確実に実行されるとも思えません。

ネット上を彷徨い続けたり、サーバの片隅で忘れ去られ、ひっそりと消滅するデータも増えるでしょう。

デジタル・データの永続性は、現時点では、幻想にすぎません。古い時代の書物や絵などの紙媒体が、長期保存に耐えているのは、じつに皮肉な話です。

●重篤化する、記録メディア依存

しかしながら、もはや我々の生活の中から、記録用のメディアを消し去ることは不可能です。

なぜなら、記憶という作業を外部メディアに依存しているからです。検索エンジン利用が日常的になり、ヒトは、データそのものよりもむしろ、データを読み出すために必要な分類や日付などのメタデータを記憶するようになりつつあります。

もはや記憶の主体は外部メディアであり、ヒトの記憶はデータを探すためのトリガーにすぎません。PC やスマホが失われたら、近々のスケジュールさえ思い出せない人も少なくないことでしょう。

このまま外部メディアへの依存を強めると、我々の脳は、廃用症候群のように、メタデータを記憶することすら億劫になり、脳機能を直接補完する記憶装置を切望するようになるかもしれません。

それは、決して荒唐無稽な話ではありません。薬剤によるエンハンスメントの延長線上で十分にありうることです。現在では、物忘れを改善したり集中力を高めたりする、マイナスをゼロに近づける(社会生活を送りやすくする)ための薬剤もあるのですから、ゼロをプラスにする脳ドーピング目的の薬剤が議論の的になるのも時間の問題でしょう(※5)。

さらには、脳の一部を置き換えて記憶機能を強化するパーツや、まるでメモリを増設するかのごとく追加できる記憶装置が登場するかもしれません。それらは、装着に外科的処置を伴うものかもしれませんし、血流に乗って運ばれて特定の位置にセットされるものかもしれません。あるいは(セキュリティ上の情報については)遠隔地にメディアをおいて、通信し合うものになるかもしれません。

そして、その装置は、「無機質で冷たい機器」ではなく、再生医療に基づく、記憶の主体であるヒトから生成される有機的なものとなっていくのではないかと考えられます。

その記憶装置とは、ヒトがプログラミングして命令を与えなければ、自らの「意思」では何も実行できない「機械」ではありません。ヒトを動力源とし、ヒトの中にあるパラメータに基づいて自動処理を実行する、有機的な記憶装置です。

データを記憶しているヒトが生きている限り、データは維持されます。ヒトが亡くなったときにはデータを吸い上げる機器も登場するでしょう。

●脳エンハンスメントが仕掛けるサバイバル

そのような新しいメディアに対する人々の反応は、千差万別になると考えられます。装置の使用を拒否し、生まれもった自身の脳で生きてゆく決意をする人々(※6)。受け入れようとはするものの、拒絶反応を起こして泣く泣く諦める人々。そして、問題なく受容し、能力を強化する人々。この三つに分かれていくでしょう。

ありのままの自分にこだわる人もいれば、たとえ重篤な副作用の懸念があっても、試験結果や業務成績の勝敗を優先する人もいます。増強された記憶力を持つことが社会のデフォルトになってしまうと、抵抗していた人々も、一歩を踏み出さざるをえない状況に追い込まれてしまいます。

新しいメディアを規制の対象にしようとしても、短期間でユーザーが増加すれば法整備は後手にまわるでしょう。

ユーザーの細胞から生成された記憶装置が、ユーザー自身の脳と連携するとき、ヒトとメディアの境界は実に曖昧になります。

さらに、そのメディアが、出生前から「成長にしたがって強化されるように」遺伝子レベルで操作されるようになったなら、増強の可能性ある記憶力を持って生まれた子はヒトでしょうか、それとも、「ヒトの形をした有機コンピューター」でしょうか。

ロジャー・ペンローズが推測する、プラトン的世界にある数学的真理への気付き(Awareness)をもたらす人の意識を生じさせる、そのような役割を果たす器官が生成可能となった暁には(※7)、ヒトと計算機の違いを見出すことすら難しくなるにちがいありません。

マン・マシン・インタフェースの、マン・マシンが一体化した時代には、「インタフェース」という概念自体がなくなることでしょう。

●記憶に執着する心、記憶をクリアしたい心

ただし、記憶力を増強したところで、それによって人間の幸福度も増すわけではありません。むしろ、記憶力を増強されたヒトよりも、忘れっぽいヒトのほうが幸せかもしれません。

数10年前には文章や写真でしか遺せなかった思い出も、いまや簡単に YouTube に遺すことができます。

ビデオの中にしかないデータが失われそうになるとき、我々は、何の感情の動きも伴わずにそれを看過できるでしょうか。データが失われることは、記憶が失われることに等しい重大事のように感じられるのではないでしょうか。

すでに我々は、自らの力だけでは記憶を維持できなくなっています。記憶装置を、設計し、その原料を採掘し、製造し、組み立て、配送し、サポートする人たちがいなければ、記憶を維持することは困難です。

近しい人の生命が失われそうになったときには医療に頼るように、データが失われそうになった時には、藁をもすがる思いで、データ復旧センターに頼りたくなるのではないでしょうか。

ヒトとメディアの境界なき「マン・マシン」は、記憶に感情を紐づけ、情報への「執着心」を獲得するでしょう。そして、自分の力だけではデータを維持できないことに苛立ち、情報が失われる不安に常時さいなまれるようになるでしょう。

記憶力に優れた「マン・マシン」は、辛い記憶の定着に悩み、情報をクリアすることを望むようになります。

たとえば、過去に傷つけられたマン・マシンは、脳のエンハンスメントによってある日突然聖人君子になった加害者と向き合う時、強まった記憶力をむしろ苦痛に感じるでしょう。

記憶力増強のメリットと、不安や払しょくできない記憶というデメリットのどちらを優先するかは、ユーザーによって異なります。

未来のカウンセリングルームは、二種類の希望を持つ患者で混雑しています。そこは、記憶を回復したいマン・マシンと、記憶を消去したいマン・マシンが、せめぎあう場所です。

そのうちの何人かはエンハンスメントによって生まれ変わった加害者で、何人かは逆エンハンスメントを希望する被害者かもしれません。

我々に「永遠の記憶」は必要でしょうか、それとも......?


※1 Choromeffectsの概要については、過去の筆者ページを参照してください。
< http://user.shikoku.ne.jp/kyss/chromeffects.htm >

※2 筆者だけでなく、Flash や SVG のクリエイターの皆さんも経験していることでしょう。コンテンツとは、農作物のようなものです。農作物が身体を作るように、コンテンツは脳内の記憶とニューロンを作るものであり、消費財です。消費財ですから、ユーザーに取り込まれた時点で、生産者の役目は終わりなのです。

※3 量子コンピュータのように、計算機の概念が根底から覆る技術進化も考えられます。

※4 使われる可能性の薄いデータが、社会から消えていくことにより、データ爆発に一定の効果はあるでしょう。一方で、直接市場経済に影響しない、文化的価値を持つデータの失われるリスクがあります。

※5 脳に作用する薬剤が、医療機関を通さず入手できる、サプリメント並みに手軽なものになってしまうと、抵抗感なく試すヒトは少なからずいると思われます。

※6 筆者の楽曲「Change The Brain」では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を常用している男が釣りメール中のリンク先を開いてしまい、オーダーメイドの記憶メディアの購入を勧められて困惑する場面があります。海馬を交換して生き抜くか、そのままの自分で一生を終えるかという問題は、歌の中だけの非現実的なものではありません。
< https://itunes.apple.com/jp/album/change-the-brain-single/id543503183 >

※7 ロジャー・ペンローズ著「皇帝の新しい心」「心の影 I II」林一訳、みすず書房


□ Microsoft Surface with Windows 8 Pro、2月9日、いよいよお目見え!
899ドル、ペン付き! PCに遜色ないハイスペック、これぞ究極のタブレット!
< http://www.microsoft.com/Surface/en-US/surface-with-windows-8-pro/home >


【薬師寺聖/個人事業所 セイザインデザイン】
個人事業所 < http://www.seindesign.net/ >
< infosei@seindesign.net >

絵・音・詩・文・コードを扱うフリーのクリエイター、思索家。エンジニアリング会社を経てデザイン事務所に勤務後、XML1.0勧告翌月に退職して開業。科学技術や医療・福祉分野のXML案件を手がけながら、書籍や記事を多数執筆(PROJECT KySS名義)。現在は、受託業務から独自開発にシフト中。
Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2013)


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編集後記(01/28)

●騒々しい一週間が終わった。昨日、わが戸田市の市議選の投開票が行われた。今回は定数26で候補者36の激戦(?)だった。とにかく連日選挙カーが走り回り、あの静かだった衆院選とはえらい違い。名前の連呼に次ぐ連呼、やかましいったらない。ウォーキングしている人に「お散歩がんばってください」と誰かが言うのを聞いてあきれたし、わたしがテラスを掃除していたら「ベランダのお掃除ご苦労さまです」と誰かから言われたのには笑った。

とにかく名前しか言わないから、どんな人物かわからない。そんな中で、姓名の名のほうを連発する若い女性候補は、騒々しいBGM付きに反感を買っていた。さらに高学歴でわりとかわいくて、選挙カーの中の男が全員金髪(!)だったということから、こりゃダメだ、女性票は取れないと思ったのであった。

誰に投票すべきか、選挙公報をじっくり読み込んで研究する。地域の政治活動は一定の組織力のある共産党や公明党が、実績をあれこれ羅列していて、たしかに評価できる。だが、へんてこな人権条例など持ち出されると困るので、あまり大きな勢力になって欲しくない。結局、しがらみのない無所属で、「既得権を持つ一部の人にではなく、市民が最優先」とうたう、わりと攻撃的な2期目の若手を推すことにした。

結果は、無所属16、公明5、共産4、みんなの党1。民主はひとつしかなかった議席も失った。驚いたことに、絶対ダメだこりゃーと思っていた件の女性がダントツの一位当選であった。あらためて経歴を見ると、もしかしたら期待できるかもしれないと思った。唐突にわたしの思いつき傑作見出しを披露したい。「戸田市民暴徒化!」、どこがおもしろいかというと、戸田市のシンボルであるボートを組み込んでいること。「戸田市民ボートか?」だ。意味ないけれど。今回はローカルネタですいません。(柴田)


●げっ! そんな大々的に発表されるなんて(汗)。はい、データプライバシーの日に生まれたドロッパーです。人生楽しく踏み外してます。生年月日ではありません。生年のみです。Facebookはロックかけてます。月一アクセス程度なので、オープンにしても問題ないのですが、生まれに関係したんでしょうねぇ。/Kindle Fire HDを勝手にiPadの大きさと思い込んでいた。/データの消える「Snapchat」にワクワクした。後日遊び方を書きますっ。

「ハッカソン」と聞いて、最初に浮かんだ文字は「八家村」。デザイナーさんの参加が少なくて、ハッカソンタイムの10分ほど前に川合氏から無茶振りされて、デザイナーとしてチーム参加。エンジニアさんたちの中だと、過大評価されて、とっても楽しい。エンジニアさんたちの興味深い会話を耳にできるし、デザイナーさんも参加すればいいのに〜と思ったよ。他の人たちのアイデアが見られて面白かったよ。/Firefox OSだと、HTML5がわかれば一人でアプリ開発できるから、コーダーさんの参加があっても良かったのになぁ。

続き。体重と同時に重視しているのが筋肉量と体脂肪率。体重を以前のものに戻しつつ、筋肉をつけたい。筋肉は脂肪より重いので、相反することを書いているのは承知。筋肉と持久力をつけるために運動しなきゃなぁと思いつつ、忙しさにかまけてしまう。

『gooからだログ ヘルスアシスト』の他の機能として、走行記録がある。GPSで走行距離を記録し、歩数やカロリーを自動表示してくれる。これまた『gooからだログ』に記録される。

今日はたくさん歩いたから、摂取カロリーを増やしてもいいよ、という連動がないのが惜しいところ。これだけは頭の中で自動計算できるから自分でも驚くけれど。189kcalか。おやつの○○を食べようかな、なんて。

レコーディングダイエットの効力ってこういうことなんだなぁと。間食したくなくなってくるのよ。食べたいと思うのは、珍しいものや、食べたことのない甘い物とかそういうものぐらい。

これらがすべて体組成計を替えたことから始まっているんだから驚きだ。無理なく簡単にダイエットできているのだ。運動不足なので、まずは歩いて体力つけて、時間作ってジムにも行けるようにして、徐々に筋トレなんかもやりたいなぁと思っている。(hammer.mule)
< http://www.snapchat.com/ >  Snapchat
< http://www.mozilla.jp/firefoxos/ >  Firefox OS
< https://itunes.apple.com/jp/app/gookaradarogu-herusuashisuto/id547463790?mt=8 >
gooからだログ ヘルスアシスト  iOS版
< https://play.google.com/store/apps/details?id=net.nttcloud.ft.karada >
からだログ ヘルスアシスト
< http://karada.goo.ne.jp >  gooからだログ