《まともな敬語を使え!》
■ショート・ストーリーのKUNI[210]
神様お願いさせていただきます
ヤマシタクニコ
■3Dプリンター奮闘記[92]
3Dプリンターと楽しい未来
織田隆治
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■ショート・ストーリーのKUNI[210]
神様お願いさせていただきます
ヤマシタクニコ
https://bn.dgcr.com/archives/20170302140200.html
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20XX年、敬語の混乱は止まるところを知らず、それはついに天上にまで届いた。
「ニュースをお伝えします。今日、○○県××町のコンビニで暴行事件がありました。店員の言葉遣いが気に入らないと怒った客が、店員をぼこぼこにしたものです。
店員が客に『おにぎりあたためますか』と聞いたところ、客は『なんだと、客に向かってその言葉遣いはなんだ、いまどきそんな敬語で通用すると思ってるのか、まともな敬語を使え!』と怒り出し、あわてた店員が『おにぎりあたためさせていただきましょうか』と言うと、客は『おまえはものの言い方を知らんのか! その程度で敬語と言えるのか!』となおも激高、店員がさらにあわてて『おにぎりさまをおあたためさせていただきましょうか』と言うも客は許さず『まともな敬語を使えと言ってるのがわからんのか!』と店員をどつき、どつかれながら店員が『おにぎりさまをおあたためさせていただいて申してもよよよよろしゅうござ、ござ、いませんでしょうか』と言うも客はパンチをゆるめず、とうとうパトカーが出動する騒ぎになったということです」
「あーあ、まただ。ほんとに最近おかしいんじゃないの」
「なんだって?」
聞き返したのは神様である。「あーあ」と言ったのはその妻。
「なんか地上では最近、敬語がいきすぎてて、変なことになってんのよねー」
地上のニュースを放映しているテレビを指さして、妻が言う。
「次のニュースです。**県の×○町のサラリーマン、○○▽▽さんが自殺未遂しました。上司から『敬語の使い方がなってない』と叱責され、気に病んでのことであったそうです。
○○▽▽さんが得意先に『私のメールは届いたでしょうか』と聞いたところ、気分を害した得意先が上司に『君は部下にどんな教育をしているんだ。うちは得意先なんだ。私めの拙いメールがもしやそちらさまに届いているかいないかを、よければご確認させていただきたいのですがお差し支えございませんでしょうか、くらい言うのがふつうだろっ!』と言い、上司が『おまえのおかげで恥をかいた』と○○▽▽さんを厳しく叱ったというものです」
「なんだこりゃ」
そう言ってる間にも
「失礼しました。先ほど視聴者の方からご指摘がありました。『ニュースをお伝えします』ではなく『ニュースをお伝えさせていただきます』ではないのか、アナウンサーが敬語を使えなくてどうする、とのご指摘でした。申し訳ありません。今後はそのように」
「へ〜〜」
「もう、ばかすぎて見てらんない。これ、なんとかならないの?」
「はあ? おれに言ってんの?」
「あんた、前にやったじゃない。ほら、人間たちが何だっけ、ほら、あのでかい塔、えっとえっと」
「バベルの塔かい」
「そうそう、その塔を造ろうとしたとき、あんた怒って人間たちの言葉をばらばらにしちゃったじゃない、あのときのあんたって、かっこよかったわ」
「ああ、そんなこともあったなあ……遠い目」
「あれができるんなら、たとえば敬語をなくしちゃうとか簡単にできるんじゃない。こんないざこざの元になるだけでつまんないもの、なくしちゃえば」
「あー、できないこともないけどなあ。うーん。バベルの塔のときはおれも若かったからなあ」
「うふ、今でも若いじゃない」
「なんだいなんだいその目つきは。いやだなあ。そんなふうに言われるといやと言えないじゃないか」
「やった。じゃ、頼むね!」
神様はひそかに当時の日記を探して該当ページを読みふけり、なんとか方法を思い出した。そうか。こんなふうにしたのだったか。へ〜。よくこんなめんどくさいことやったもんだ。
人間、若いときの自分って別人のように感じるもんだなって、だいたいおれ、人間じゃないじゃん。
で、神様は実行した。地上から敬語と分類されるものをきれーいになくした。
「ニュースを伝える。今日は春分の日で祝日だ。公園は家族連れでにぎわっている。あれ? これでよかったっけ?」
「上得意先の××物産へ。メールは届いたか。届いたら連絡くれ。え?! いや、ああっ、こここれは?!」
「1000円預かった。釣りの750円だ。にぎりあたためるか? いや、何言ってるんだ、おれは!」
「あんた、また、えらくすっぱりとなくしちゃったもんだね、敬語」
「ああ。けっこう手間だったよ。おまえは知ってるか知らないか知らないけど、日本語の敬語には尊敬語と謙譲語と丁寧語があってだな」
「知ってるよ」
「さらに敬称や敬意を表す接頭語なども含めて、一般に敬語と言われておる。このうち、丁寧語は残そうかと一瞬思ったんだけど、設定がややこしいじゃないか」
「設定するんだ」
「うん。その設定がめんどくさくて。だから、もう全部、すぱっと。『お』『御』などの接頭語も、敬称もなくしたよ。『さん』とか『様』とか『殿』『ちゃん』も全部。葬儀屋は困ってるだろうな。焼香の順番も呼び捨てだし……ぷはははは」
自分で言って自分でおもしろがっている。
「みんなうろたえてるよね」
「なくなったんだからわからないようなもんなんだけど、何だろ『あったものがなくなった』『何か足りない』という感覚はあるようだな、人間たち。ま、そのうち慣れるだろ」
「あ、この人も」
ニュースでは関西方面の映像が流れていた。見るからに大阪のおばちゃんが、「ほれ、アメあげよ……あれ?! 『アメ』のあとに何か足らんような?! 何やったやろ?」
チャンネルを変えると懐メロ番組で森進一がものすごく歌いにくそうに「ふくろ……ふくろ……」と額にしわを寄せて歌っていた。
「ちょっとやりすぎじゃないの。デパートの食堂の『子ランチ』なんて変だし、テンプターズの『神願い』ってどうよ」
「そんな古い歌は知らん。なんだよ、やれというからやったのに」
「やり方がおおざっぱなんだよ、もー。昔のあんたならもうちょっといろいろ考えてくれたと思うけどな」
「悪かったね」
「だいたいさ。よく考えたら相手を尊敬したり、大切にしようという気持ちを表すのは、おかしなことでもなんでもないじゃん。尊敬する気がないのに、うわべだけ敬語を使うから変になるのよね」
「急にまともなこと言うなよ、いい年して。ああこっぱずかしい」
「だからさ、新しい敬語表現を考えたらいいんじゃない。本来の敬語の意味にふさわしい表現ができるように。ね、ね、いいと思わない? ダーリ〜ン」
「おまえさ。甘い声を出せばおれが何でもやると思ってるだろ……もう、仕方ないな。確かにやり過ぎたかも知れん。ちょっと考えるよ」
翌日、神様は一晩考えたアイデアを妻に言った。
「なにそれ。基本的に必要かもしれない丁寧語および接頭語や敬称を復活させる、のはいいとして……あとは尊敬の度合いに応じた数だけ文末に『ぽん』をつけるって」
「いちいちこういう場合にはどんな言葉を組み合わせたらいいかとか、失礼じゃないとか、助動詞の活用形はどうだったかとか、考えなくていいんだ。
たとえば『先生が来たぽん』『王様が来たぽんぽん』『明日、御社に行くぽんぽん』『ではこれで帰るぽん』とか。シンプルでいいだろ。足りないと思えば付け加えることもできる。うん。われながらいい思いつきだ。画期的だ。ニュー敬語と呼んでくれ」
「頭おかしいんじゃないの。それともよっぽどめんどくさかったの」
「おかしくない。もう実行したし」
「ニュースをお伝えします。今日、○○県××町のコンビニで暴行事件がありました。店員の言葉遣いが気に入らないと怒った客が、店員をぼこぼこにしたものです。
店員が客に『おにぎりあたためますか』と聞いたところ、客は『なんだと、客に向かってその言葉遣いはなんだ、いまどきそんな敬語で通用すると思ってるのか、まともな敬語を使え!』と怒り出し、あわてた店員が『おにぎりあたためますかぽん』と言うと客は『おまえはものの言い方を知らんのか! その程度で敬語と言えるのか!』となおも激高、店員がさらにあわてて『おにぎりあたためますかぽんぽんぽん』と言うも客は許さず『まともな敬語を使えと言ってるのがわからんのか!』と店員をどつき、どつかれながら店員が『おにぎりあたためますかぽんぽんぽんぽんぽんぽんぽんぽんぽんぽんぽぽんがぽん』と言うも客はパンチをゆるめず、とうとうパトカーが出動する騒ぎになったということです。店員は全身あざだらけになりながらも、最後までぽんぽんぽんと叫び続けていたそうです」
「失礼しました。先ほど視聴者の方からご指摘がありました。『ニュースをお伝えします』ではなく『ニュースをお伝えしますぽんぽんぽん』ではないのか、
アナウンサーが敬語を使えなくてどうする、とのご指摘でした。申し訳ありません。今後はそのように」
「結局いっしょじゃないの、これ」
「そうだな」
神様は面目なさそうにチャンネルを変えた。
【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
http://midtan.net/
http://koo-yamashita.main.jp/wp/
食器洗いのスポンジ(ネットで覆われたやつ)をどこに置くか。私はずっと、横長のトレー型のスポンジ置きを使っていた。穴あきといっても裏側がすぐ汚れるし、場所もとるし、なんとなく不満なんだけど、まっいっか……と後回しに後回しを重ねることウン十年。
この間ふと、みんなどんなのを使ってるんだろう? 使い心地は? とネットを検索。そしたら、シンクの内側にぺたんと吸盤で取り付ける、ちっさいやつ(スポンジ1個だけはさむ型式)がどうも一番コンパクトで良さそう。
さっそく買ってきてそれに替えたら、流し周りが急にすっきりしたような! 今まで何やってたんだと思った。それにしても今は便利な時代だ。
向こう三軒両隣、どころか膨大なご近所さんに囲まれているようなもの。こんなことでいちいち悩むのは私くらいかと思ってると、たいていの場合、そうじゃなかったりするしね。
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■3Dプリンター奮闘記[92]
3Dプリンターと楽しい未来
織田隆治
https://bn.dgcr.com/archives/20170302140100.html
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あっと言う間に2月が終ってしまいました。普通なら30日あるのに、この2日は大きい! ですよねぇ…。とにかく頑張るしかないのです。
さて、すでにコンシューマー機として、3Dプリンターが世間に登場して5年ほどの時間が流れてきました。
大型家電量販店等にも、少しながらも3Dプリンターのコーナーができたり、企業内にも3Dプリンターが設置されたり、大学や専門学校等にも3Dプリンターが導入され、それを教える学科も設けられてきました。
僕的には、かなり3Dプリンターの普及度、認知度も上がってきたなぁ〜って思っています。そういったお問い合わせも多くなってきていますし。
しかし、現実はまだまだなんだと実感する出来事がありました。
「3Dプリンター、というモノが、あるのは知っている」というのが、実際のところなのです。「3Dプリンターというモノがあり、簡単に立体を作る事が出来ることは知っている」という感じが正しいですかね。
先日、僕が以前勤めていた会社の先輩デザイナーから電話がありました。先輩も、会社を辞めて独立されて、色々な世界で活躍されている方です。
「織田君、久しぶり! ちょっと相談があるんだけど……」
という言葉から始まったのが、ある展示会に出品する展示物の一部を、せっかくなので3Dプリンターで作ってみたいんだけど、その制作をお願い出来ないか? というものでした。
僕的には、先輩デザイナーのお役に立てるし、面白い展示会なので協力したいところ。内容を聞いてみると、3Dプリンターで出来る案件。
先輩「そこをさ、ちゃちゃっと作って欲しい訳なのよね」
……ん!?
僕「えっと、3Dプリンターで作るには、3Dデータからまず制作しないといけないんですよね」
先輩「そうなの? 3Dプリンターがあったら、簡単にササっと出来るものだと思ってた!」
僕「3Dデータを現実の世界に出現させるのが3Dプリンターなんですよ」
先輩「そうなんだ。知らなかった。3Dデータってどうやって作るの?」
僕「ええっと、まずデザイン画なんかを用意して、それを見ながら僕が3Dモデリングする訳です」
先輩「それって、結構手間かかるよね〜」
僕「そうなんですよ。形にもよりますけど、ある程度はかかりますね」
先輩「それじゃ、二〜三日はかかるよね」
僕「そうですね〜。それから出力して、研磨して仕上げて……」
先輩「え! テレビとか見たら、きれいなのがササっと出てくるじゃん」
僕「あ…。あれ、テレビだからです……。面倒なところはカットされてる事多いっすよ。実際、積層して立体を造形して行くわけで、等高線みたいに積層痕が出来るんですよ」
先輩「うわぁ、そうなんだ…。知らなかった。って事は、結構コストもかかるよね」
僕「そうなんですよねぇ」
先輩「めちゃくちゃ急ぎで、しかもコストが結構かかるんじゃ、ちょっと無理かなぁ」
僕「そうですねぇ……。さすがにその納期では難しいかも……」
という感じで、結局時間的、諸費用的に協力する事は出来ませんでした。
ジャンルは違えど、デザイナーとして活躍している人がこんな感じですので、まだまだ一般には浸透してないんだろうなぁ……なんて思ってしまいます。
僕が学校等で教えているのは、まさにそういった「手間」の部分です。
やっぱりテレビなどの特集では、そういった「手間」の部分がハショって放送される事がほとんどで、3Dプリンターによる制作の一部しか紹介されていないんですよね。
まあ、自分から日頃興味を持って、情報を取っている人は別なんですが、一般
的にはまだまだこんな感じなんでしょうね。
そういえば、そういった工程を紹介している記事や番組を見た事ないですね。
猛烈に簡単にその工程を説明すると、こんな感じになる訳です。
1)まず、3Dモデリングをして3Dデータを制作
2)後工程の事を考えて分割等
3)3Dプリンターに合ったデータを制作して出力角度調整
4)出力。結構時間かかる。たまに失敗する(笑)
5)出来上がったものの積層痕をひたすら研磨して消す
6)下地処理をして塗装する
7)出来上がり〜
そこまでの工程を説明する必要があるのか、って事にもなるんですが、今の現状はそんなものです。正しい知識として、こういった事も取り上げて欲しいなぁ、なんて思います。
模型雑誌や、専門書にはそういった事もかなり書かれてきていますが、一般向けにね。
前にも紹介しましたが、コンシューマー向けの3Dプリンターも、積層ピッチがかなり細かくなり、積層痕もかなり目立たなくなってきたり、プリント速度も上がってきました。
3Dデータもフリーデータがかなり出て来ていますし、そういった3Dデータを販売するサイトも出て来ました。
でも、今のところまだ一般的に普及、もしくは認知された、という状況ではなく、まだまだ発展途上なんですね。
その原因として、やっぱり「3Dデータ」という壁があるんですね。現在のところはまだ「3Dデータ」ってのは敷居が高いもので、気軽に扱えるものではありません。
インクジェットプリンターの普及の時にも、同じような段階を踏んでましたね。
いつか、そう遠くない未来(って聞いた事あるフレーズだな)、インクジェットプリンターみたいに普及する時が来るのかもしれませんね。
ま、その時が来るまでは、僕の仕事もなくならない訳でして(笑)
今、IoTなんかの発展で、3Dプリンターもそうとう注目されています。3Dプリンターって、ある意味、転送装置でもある訳ですよ。そう、あの「スタートレック」や「ザ・フライ」の「立体物の転送装置」ですね。
離れた所に「Gコード」(3Dプリンターで出力するための積層データ)を送ると、それが3Dプリンターで再現される。
まあ「元の物体」が消えてしまう訳ではないので、「スタートレック」って訳にも行かないんですけど。
世界のどこにいても。同じ3Dプリンターと環境さえあれば、そういった事も可能な訳です。いやはや、ちょっと前までは「SF」的なモノですねぇ。
今では、宇宙にもデータが送れる時代になってますし、そういった「Gコード」さえ送れたら、いつでもどこでも同じものが手元に出現する時代になりました。
そう考えると、「3Dプリンター」ってロマンがありませんか?
まさに「夢の機械」!
ま、現実はそう簡単には行かないんですけど、完璧なデータと3Dプリンターさ
えあれば、それが本当に出来ちゃうんですよね。
裏には色々な問題も沢山あるんですが……。特に著作権の問題とか、意匠権の問題とかね。
簡単に(昔から比べると)そういったコピーが出来る時代になった訳ですが、そういうデータの取り扱いにも、色々な工夫が考え出されて来るんでしょう。
未来は楽しい!(はず!)
最近は暗い未来しか話題にならないですが、そういった事だけでなく、「楽しい未来」も、もっと取り上げられてもいいんじゃないかなぁ。
ほら、オッサン世代の子供の頃って、「楽しい未来」ってのが色々あった訳です。未来はこんな感じになる! とか、少年雑誌には特集されてたりして。
そういった「楽しい未来」ってのをどんどん作っていかないと、若い人の夢とか希望とかなくなっちゃうじゃないですか。
やっぱり未来は「ロマン」ですよ。ね? そう思いませんか?
【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
oda@f-d-studio.jp
http://www.f-d-studio.jp
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編集後記(03/02)
●サイキック・ホラー・アクションと銘打った「マインズ・アイ」を見た(アメリカ、2015)。超能力者のパワーで人間や自動車が空を舞うナイスなジャケ写だが、これが真っ赤な偽物。こんなシーンはありません。こんな大嘘ついていいのかしら。35年も前のクローネンバーグ「スキャナーズ」の有名なワンカットを思い浮かべたが、そんな感じもあったB級超能力バトルであった。数十年前が舞台らしい。超能力者による事故・事件が増加し、政府は超能力を兵器化するために民間研究所を支援し、超能力者狩りを行っている。主役のザックもあっさり捕まって研究所送り、そこには恋人レイチェルが確保されていた。
所長スロヴァクはマッドサイエンティストで、研究材料である超能力者から髄液を抜き出し、自らの首筋に注入を繰り返している。ってもしかしたら、超能力を得るため? 非科学的なこと言うな、と思ったが本気だった。超能力って髄液(どんなものか知らないけど)に含まれる成分なの? そこにDNAがなんたらかんたら、ここまでトンチキな設定の映画も珍しい。部下には「ニューヨーク1997」(アメリカ、1981)の主役、スネーク・プリスキンのようなアイパッチ男がいる。間違いなくコピーしている。舞台は主に研究所と田舎の一軒家の二か所、出演者人数も少なく、ストーリーも一直線だからわかりやすい。
お約束どおりレイチェルも超能力者で、二人が逃れた先はザックの実家、ってあまりにイージーな設定。まあ、予算の関係で、かな。アイパッチたちが襲撃してきて、普通の肉弾戦、銃撃戦に加えてサイキック。美人のレイチェルも鼻血を流しながら(派手に超能力を使うときのお約束)戦う。この室内乱戦はなかなか迫力があってよかった。でも、やっぱり拳銃が一番強いね、早いね。超能力で物理的な動きを実現するには、集中力とその持続力が必要で、その間は無防備になるのと違うか。超能力者に集中する時間を与えず、絶え間なく攻撃を加えることができれば、普通人にも勝機があると思う。だが人数が足りない。
所長スロヴァクのほうも、髄液注入で首筋はもちろん顔もひどい状態になっている。どうやら超能力を獲得できたようだが、もはや怪物な容貌と性格になってザックと対決する。自分以外の超能力者は抹殺したい博士、ザックにとっては父親を殺された復讐戦。大袈裟な身振り手振りに顔芸(笑)で戦う二人。サイキックパワーには顔の表情の全力動員と出血と大声が必要らしい。昔から超能力者同士の戦いというと、こんなタイプが多かったような気がするが、そんなお約束はいい加減あきてきた。ふたつのバトルシーンでかなり凄惨な場面もあり、その方面がお好きな人にはおいしいだろう。わたしは嫌いだ。 (柴田)
「マインズ・アイ」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01KLX2G4I/dgcrcom-22/
●好きだわ〜、ヤマシタさんのん。ほんとどんどん「いただきます」になってて、社会がそうなっているから合わせないとまずくて。
/近畿では「〜しはります」で統一したい。何にでもつけられ、敬語をミスった時でも最後に追加すれば形になる。
「○○さんがおっしゃられました」→「○○さんが言って(しまったと気づく)……はりました」。「○○さんが言っておられました」みたいなもので、汎用性が高い。「○○さんがしゃべっておられました」は使えないけど、「○○さんがしゃべってはりました」はセーフ! たぶん。
/3Dプリンター出力比較をiMedioで見た。同じデータでも機種によって出力バラバラ。斜めやアーチ構造のものは、機種によってはダミーデータが追加されないと出力ができていなかった。これらは後で削るのだと教わった。プラモデルのランナーみたいなものなんだって。 (hammer.mule)
「まずは部品をランナーから切り離しますが」
http://www.1mokei.jp/html/work_04.htm