[4617] 都市伝説の伝説◇東京大学駒場寮の事◇「新感染 ファイナル・エクスプレス」

投稿:  著者:  読了時間:13分(本文:約6,400文字)



《新たな謎の出現が少ない理由は》

■装飾山イバラ道[227]
 都市伝説の伝説
 武田瑛夢

■Scenes Around Me[32]
 東京大学駒場寮の事(11)
 寮生と学外生の確執
 関根正幸




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■装飾山イバラ道[227]
都市伝説の伝説

武田瑛夢
http://bn.dgcr.com/archives/20180731110200.html
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仕事部屋のMACでYouTubeを見ている時に、夫がドアをノックして開けることがある。大抵は猫動画的なものや、スクイーズの動画の可愛い系だけれど、今日はおどろおどろしい画面なのでびっくりしていた。

最近流行りの都市伝説の動画だ。私はUMAに興味があるぐらいなので、都市伝説ものも好きだ。あれ? UMAも都市伝説の一部なのかな。オーパーツってものもあるし。正しいジャンル分けのことはよくわからない。

都市伝説とは、よくわかっていないけれど興味を持つ人が多くて、説明を聞くと妙に納得させられてしまうもの。雑誌やテレビで特集されたり、YouTubeでも人気チャンネルがたくさんある。

だがしかし、「伝説」と呼ぶからには長年ずっと伝説のままで、決して解明されたり決着がついていないものなのだ。だって伝説だから。

私は「〜事件」とか、「〜説」について新たな発見があったらしい! などと言われると、興味を持たずにはいられない。

そもそもそれらのほとんどの内容がウロ覚えなので、事件を一から整理するところから見る必要がある。大抵の視聴者がそうだと思う。都市伝説の記憶ファイルに「重要」と貼って覚えている人は少ないのだ。

どの番組もそのへんのこともわかっているので、既存の事件の総まとめに半分以上の時間が使われる。興味をそそり、記憶を引っ張り出し、新たな発見とやらへの期待を煽るのだ。

自分が最初に興味を持った時は若かった、というのも都市伝説が人気の理由だと思う。あの頃のゾクゾク感が何だったのかを、自分でも確かめたいのだ。

噂が広まった当時にはなかった鑑定技術で調べたところ、さらなる謎が生まれていることがほとんどのようだ。本命とされているあっちの証拠とこっちの証拠が、まったく時代的に一致しなかったことがわかった! とかである。

どちらかが嘘をついているのである(もしかしたらどちらもかもしれない)。

私の好きな都市伝説は、フィラデルフィア事件や多次元宇宙、未来人のタイムワープ的なもの。過去から来た人、未来から来た人の話はとても面白い。

動画で見たのは、現代人風の装いの未来人とのインタビュー動画だ。未来人が未来から持ってきたという写真がなぜかピンボケで、磁気やら何かの影響でそうなるんだという。それはボケた未来都市っぽい写真だった。

きっとオゾン層が今とは違っていて、太陽からの影響が現在とは比べものにならないのかも。なるホドォ。とは言っても、カメラも進化しとるんやないのかい! というツッコミをしながら見る。

未来人や都市伝説のストーリーテラー。なぜか不思議とそういう人はチャーミングでもある。モテる詐欺師や、だめんずに近い魅力があるのである。

霊感がある女の子などもクラスに数人はいて、皆ちょっとだけ話を聞いてみたことがあるはずだ。この魅力の謎こそ解明してもらいたい。伝説やオカルト話をする人にまつわる都市伝説があったら楽しそう。

私が思うには都市伝説を語る人は、人に興味を持ってもらうことが好きで、長時間その興味が続くネタとして、最適なのが都市伝説なのではないだろうか。

だって伝説だから、決着がつきにくいという特性を持っているのだ。あの人とこの人付き合ってるらしいよ的な噂では、すぐに謎が解けてしまうのだ。解けにくく複雑で、信ぴょう性もそこそこある面白い話。すぐに確かめようがないのがいい。

しかし、現在では物理的証拠のDNA検査や、環境DNAの調査でかなり早期にわかってしまうことが増えた。あらゆる機械を通せば、証拠をまったく傷つけることなく、内部の調査もできるのだ。新たな謎の出現が少ないのもこのせいかもしれない。

そういえば、未来人が持っていた未来で撮影した写真を年代測定してみれば、いつのものかすぐにわかるのではないか。私が見た動画では、未来人はなぜかとても焦っていて、長く面会の場にいることは難しく、すぐにどこかに行ってしまったようだ。

やっぱり謎は解明しない方が、ロマンが残って皆幸せなのだ。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

マジックの世界でも、ネタバレ動画が流行って賛否両論だ。知りたいけれど、好きなものは終わらせないでほしいのに。

実はスクイーズの動画の世界でも、ネタバレジャンルが人気だ。「スクイーズを切る」動画というのが、圧倒的な再生数になるのである。

スポンジだけでなく、水系やねん土系スクイーズの中身がどうなっているのか知りたい人が多いらしく、普通に触るだけの動画よりもヒットしてしまうことがあるのだ。

新品のスクイーズをハサミで切るのはもったいないし、見たくない人も多くて賛否両論。私もほぼ見ない。最近はいったん切ってから、新たな作品に作り変えるデコ動画へと、人気の流れは移っているのでちょっとホっとしている。


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■Scenes Around Me[32]
東京大学駒場寮の事(11)
寮生と学外生の確執

関根正幸
http://bn.dgcr.com/archives/20180731110100.html
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1998年3月の中旬のことだったと思います。

その晩は、たまたま早く仕事が終わり、午後7時過ぎにアリテンに顔を出しました。

アリテンには、ヒデさん(バンビ高橋)の北大時代の先輩で、のざらし画廊のパーティーで知り合いになった内藤くんがいました。

内藤くんは、私に「たまには、キョージュが食材を買ってきてよ。お好み焼きが食べたいな」と言いました。

そういえば、私はいつも遅い時間に顔を出していたので、宴会のお相伴にあずかることが多かったのです。

そこで、私はヤノ君を連れて駒場東大前の商店街に行き、3〜4千円のお金で油と卵、小麦粉と野菜類を買いました。



アリテンに戻ると早速、お好み焼きパーティーが始まりました。

お好み焼きはコックが焼いてくれたと思います。

コックはヒデさんや内藤くんと同様、北大の出身でしたが、名前の通り料理好きで、当時、アリテンに寝泊まりしていました。

しばらくすると、お好み焼きパーティーの噂を聞きつけたのか、アリテンの常連以外にも、駒場寮の住人が入れ替わり立ち代わりやって来ました。

私自身、自分が用意した食材で多くの人が楽しんでいるのを見て、悪い気持ちはしませんでした。

しかし、明け方になって、その気分を台無しにする事件が起こりました。



私は窓際に置いてあったソファーの上で寝ていましたが、目を覚ますと、ゼロバーを運営していたエキンと、一人の寮生が激しく言い争っていました。

私はエキンの口調のあまりの激しさに危険を感じたので、エキンの方には目をやらず、寝ているふりを続けました。

この頃、駒場寮委員会と学外生の関係が険悪になっていて、特にアリテンは4月以降の部屋の契約更新を認めないという噂が流れていました。

そこで、エキンはお好み焼きパーティーにかこつけて、寮委員の一人をアリテンに呼び出し、契約更新に関する言質を取ろうとしたようです。

ところが、寮委員もそのことに感づいていたため、エキンの思い通りにはなりませんでした。

勢い、エキンの口調も激しくなり、エキンは寮委員に酒を飲ませ続けたようです。とうとう、寮委員は何か叫んだかと思うと、飲んだ酒を床の上にもどし、そのまま潰れました。

その後、エキンはその場にいた内藤くんを激しくなじったらしく、精神的に追い詰められた内藤くんは、しばらくおかしな言動を取っていました・・・



これまで書いた様な状況から、寮委員がアリテンの更新を認めなくて当然だと思われるかも知れません。

ここではそのことを含め、寮委員と学外生の確執について、私が理解していることを書いてみます。



駒場寮の廃寮問題が起きた後、寮委員会が空き部屋対策として、学外サークルを誘致したことは前に書きました。

その後、寮委員会は空き部屋を住居として、個人に安く貸し出す事にしました。

部屋を貸す相手は、まず、学外サークルの関係者、ついで、彼らの口コミでの紹介者だったようです。

その結果、話を聞きつけた金のないミュージシャンやアーティスト達が駒場寮に住もうとしたことから、駒場寮は芸術村のようになりました。

アーティスト達が駒場寮に住んだことと、学外サークルの活動自体、駒場寮廃寮へのブレーキにはなったのですが、一方で問題を引き起こします。

それは、駒場寮に不特定多数の人間が出入りするようになって、寮内の治安が悪化したことでした。

私自身も、寮の前に止めた自転車のパーツ(メーターなど)を盗まれたことが数度ありました。

また、幸か不幸か、暴力沙汰については聞いた記憶はありませんが、それ以外の、ここには書けないようなことは耳にしたことがあります。

寮委員会はこうした治安の悪化が、廃寮に関する裁判に不利に働くと心配したのです。



また、年度が変わって、学外生の受け入れを決めた寮委員が代替わりしたことも、寮委員と学外生の関係を悪化させました。

新しく寮に入った東大生にとって、元から寮内にいる有象無象の学外生は奇異に見えたことは想像に難くありません。

また、駒場寮は教養学部の学生寮なので、留年しなければ寮生は2年しか寮に居られないのに対し、学外生はそのような規定がなかったため、寮生に不公平感が生じたようです。

そこで、寮委員の間に学外生を排除しようとする機運が高まります。

一方、エキンのように当時の寮委員にお願いされて寮に住むようになった学外生は、自分達が廃寮を阻止しているという自負があったため、寮委員と対立するようになりました。



佐藤久順(ひさとし・Kujun)君とは、駒場寮で知り合い、後にオブスキュアギャラリーが制作したアートブックでも関わりがありました。

2004年に、ひさとし君は淡島通り沿いに自分の作業場を兼ねたバー「ComeOnPeople」を作りました。

この頃、私はComeOnPeopleで行われたパーティーによく顔を出していました。

今回は2004年10月に撮影した写真を紹介します。

https://farm1.staticflickr.com/926/42643812904_bfa0c70a63_c.jpg

この時はサンマパーティーで、店の前でサンマを焼いて皆で食しました。


【せきね・まさゆき】
sekinema@hotmail.com
http://www.geocities.jp/sekinemajp/photos

1965年生まれ。非常勤で数学を教えるかたわら、中山道、庚申塔のような自転車で移動中に気になったものや、ライブ、美術展、パフォーマンスなどの写真を雑多に撮影しています。記録魔


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編集後記(07/31)

●「新感染 ファイナル・エクスプレス」を見た(2016/韓国)。最近見た映画の中で一番の面白さ。アメリカでリメイクが決まっている。それにしてもこのタイトルはナントモ。原題の「釜山行き」では意味不明だから、舞台となる高速鉄道を新幹線に見立ててもじったものだろうが、貧相なダジャレである。

時速300キロ超で走る列車内で、人間を襲う凶暴なゾンビと乗客との攻防を描いているのだが、従来のゾンビ映画のお約束に囚われない、見たこともない敏捷な動きをするゾンビだった。高速で走る。走る。いや、そもそもゾンビではない。この映画の中でゾンビという表現は一切ない。感染者か。しかし、もはや「者」ではない。怪物化したモノたちのメークやアクションが素晴らしい。

人間を見つけると襲って噛みつく。でも食してはいない。知性はない、らしい。車輌の仕切りドアの開け方がわからない。ナイスな設定だ。暗闇では目が見えない。だからトンネルに入ると動きを止める。しかし音には敏感になる。その設定での主人公らのハラハラどきどき、まさかの網棚移動シーンが生きる。

ファンドマネージャーで超仕事人間のソグは、妻と別居し娘のスアン、母と暮らしている。こういう夫婦崩壊の設定は、アメリカ映画のお約束だが、韓国もそんな傾向になっているのだろうか。娘の学校行事にも参加しないし、娘へのプレゼントもいい加減なダメ父だ。尊大で人を見下し、老人に席を譲ったスアンを咎め、平然と人を見殺しにできるイヤな男である。美男子ではあるが。

スアン役の少女はむしろブーちゃんだが、演技はたいしたものである。二人が、釜山へ向かって走行中の高速列車に乗っていて、この災難に遭遇する。一緒に行動する人物は、愛想がない屈強な男・サンファとその妻ソンギョン、身重である、美人である。それに野球部の高校生男女ペア。じつに分かりやすい。

オレ様だったソグも、この状況では堅実なリーダーとして仲間を引率。サンファは凄まじい腕力の持ち主で、襲ってくるモノどもを迎撃する。が、力尽きるのはお約束だ。自分さえ助かればいいという醜悪な人間もいる。安全な車輌にいながら、主人公らが入るのを拒否する徹底的に利己主義、身勝手な奴で、もちろん相応の罰を受けるわけだが、ぶざまな悪人はこの男だけだったと思う。

逃げようがない高速走行中の列車内という極限空間で、怪物どもからどう逃げるか、どう反撃するか、これはじつに面白いお話である。ソグがケータイで情報を得るが、それは映画を見ている者への状況説明でもある。やがて釜山に着く。列車を降りた生存者たちを襲ってくるものすごい数の怪物たち、それらの動きが驚くほど早い。「ワールド・ウォーZ」で見たようなビジュアルが〜。

スアンとソンギョン、この二人は死なせてはならない。絶対生き残るという、わたしの予感は当たった。学校行事に父親が来ず、スアンの独唱が続かないエピソードがあったが、最後に希望を感じるかたちで生かされるとは、落涙ものである。苛酷な運動を強いられた、美しい妊婦さんももちろん生還。最近遠ざかっていた韓国映画だったが、この夏休みにチェックしてみようっと。(柴田)

新感染 ファイナル・エクスプレス
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B077DGKY8B/dgcrcom-22/


●もう最近では「〜を使っている人が知るべき(やるべき)なんとか」とか「〜の5つの〜」「〜のまとめ」「〜だと損するなんとか」「裏技」「スゴワザ」「上級者がみんなやってるなんとか」「これだけは押さえておきたい」などはクリックしない。

ほとんど知っていることだし、本文を読んで、浅いくせにこんなタイトルつけるのか! と怒りがわくことが多いから精神衛生上良くない。だいたい、なぜ「知るべき」などと決めつけるのか。

「〜5つのアイデア集」「ちょっと便利になるなんとか」は、その人のアイデアだし、そうよね、ちょっと便利になる機能よね、これ、知ってるけど、で済むからクリック。

Appleサイトの直訳ですよね、これ? という「しましょう」にも最初の頃はイラッとした。なぜしなければならないのかと思った。いま見に行ったら、「しましょう」はなくなってたわ。 (hammer.mule)