装飾山イバラ道[227]都市伝説の伝説
── 武田瑛夢 ──

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仕事部屋のMACでYouTubeを見ている時に、夫がドアをノックして開けることがある。大抵は猫動画的なものや、スクイーズの動画の可愛い系だけれど、今日はおどろおどろしい画面なのでびっくりしていた。

最近流行りの都市伝説の動画だ。私はUMAに興味があるぐらいなので、都市伝説ものも好きだ。あれ? UMAも都市伝説の一部なのかな。オーパーツってものもあるし。正しいジャンル分けのことはよくわからない。

都市伝説とは、よくわかっていないけれど興味を持つ人が多くて、説明を聞くと妙に納得させられてしまうもの。雑誌やテレビで特集されたり、YouTubeでも人気チャンネルがたくさんある。

だがしかし、「伝説」と呼ぶからには長年ずっと伝説のままで、決して解明されたり決着がついていないものなのだ。だって伝説だから。

私は「〜事件」とか、「〜説」について新たな発見があったらしい! などと言われると、興味を持たずにはいられない。





そもそもそれらのほとんどの内容がウロ覚えなので、事件を一から整理するところから見る必要がある。大抵の視聴者がそうだと思う。都市伝説の記憶ファイルに「重要」と貼って覚えている人は少ないのだ。

どの番組もそのへんのこともわかっているので、既存の事件の総まとめに半分以上の時間が使われる。興味をそそり、記憶を引っ張り出し、新たな発見とやらへの期待を煽るのだ。

自分が最初に興味を持った時は若かった、というのも都市伝説が人気の理由だと思う。あの頃のゾクゾク感が何だったのかを、自分でも確かめたいのだ。

噂が広まった当時にはなかった鑑定技術で調べたところ、さらなる謎が生まれていることがほとんどのようだ。本命とされているあっちの証拠とこっちの証拠が、まったく時代的に一致しなかったことがわかった! とかである。

どちらかが嘘をついているのである(もしかしたらどちらもかもしれない)。

私の好きな都市伝説は、フィラデルフィア事件や多次元宇宙、未来人のタイムワープ的なもの。過去から来た人、未来から来た人の話はとても面白い。

動画で見たのは、現代人風の装いの未来人とのインタビュー動画だ。未来人が未来から持ってきたという写真がなぜかピンボケで、磁気やら何かの影響でそうなるんだという。それはボケた未来都市っぽい写真だった。

きっとオゾン層が今とは違っていて、太陽からの影響が現在とは比べものにならないのかも。なるホドォ。とは言っても、カメラも進化しとるんやないのかい! というツッコミをしながら見る。

未来人や都市伝説のストーリーテラー。なぜか不思議とそういう人はチャーミングでもある。モテる詐欺師や、だめんずに近い魅力があるのである。

霊感がある女の子などもクラスに数人はいて、皆ちょっとだけ話を聞いてみたことがあるはずだ。この魅力の謎こそ解明してもらいたい。伝説やオカルト話をする人にまつわる都市伝説があったら楽しそう。

私が思うには都市伝説を語る人は、人に興味を持ってもらうことが好きで、長時間その興味が続くネタとして、最適なのが都市伝説なのではないだろうか。

だって伝説だから、決着がつきにくいという特性を持っているのだ。あの人とこの人付き合ってるらしいよ的な噂では、すぐに謎が解けてしまうのだ。解けにくく複雑で、信ぴょう性もそこそこある面白い話。すぐに確かめようがないのがいい。

しかし、現在では物理的証拠のDNA検査や、環境DNAの調査でかなり早期にわかってしまうことが増えた。あらゆる機械を通せば、証拠をまったく傷つけることなく、内部の調査もできるのだ。新たな謎の出現が少ないのもこのせいかもしれない。

そういえば、未来人が持っていた未来で撮影した写真を年代測定してみれば、いつのものかすぐにわかるのではないか。私が見た動画では、未来人はなぜかとても焦っていて、長く面会の場にいることは難しく、すぐにどこかに行ってしまったようだ。

やっぱり謎は解明しない方が、ロマンが残って皆幸せなのだ。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/


マジックの世界でも、ネタバレ動画が流行って賛否両論だ。知りたいけれど、好きなものは終わらせないでほしいのに。

実はスクイーズの動画の世界でも、ネタバレジャンルが人気だ。「スクイーズを切る」動画というのが、圧倒的な再生数になるのである。

スポンジだけでなく、水系やねん土系スクイーズの中身がどうなっているのか知りたい人が多いらしく、普通に触るだけの動画よりもヒットしてしまうことがあるのだ。

新品のスクイーズをハサミで切るのはもったいないし、見たくない人も多くて賛否両論。私もほぼ見ない。最近はいったん切ってから、新たな作品に作り変えるデコ動画へと、人気の流れは移っているのでちょっとホっとしている。