[4868] 自然の猛威と恵みは裏表だ◇お茶に行きませんか/宇宙の喫茶店

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《あまりにも対比が鮮やかで》

■海浜通信[004]
 自然の猛威と恵みは裏表だ
 池田芳弘

■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[39]
 お茶に行きませんか
 宇宙の喫茶店
 松岡永子




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■海浜通信[004]
自然の猛威と恵みは裏表だ

池田芳弘
http://bn.dgcr.com/archives/20190926110200.html
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海が好き、ただそれだけの理由で、大阪市内から和歌山の漁港に移住した。

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台風、こちらは木々が家を囲んでいるため、夜通し雨音と共に風音が激しく聞こえる程度で収まったが、みなさんの周囲はいかがでしたか。

私の家は自分の年と同じ築年数の木造のため、冬は風通しが良すぎるくらいだが、一家族を受け入れる用意は充分にある。

布団も食器も、以前住んでいたご家族の物を少々残している。漁村とはいえ、トイレは水洗で小さいが風呂もあるから、良い方たちなら一年くらいは過ごして頂ければこちらも功徳を積める。

JRと南海、双方の和歌山駅までのバスは一時間に一本で、スーパーまでは徒歩三十分と遠いが、近くの路上に車やバイクを停めておくことは可能だし、風光明媚なことは言うまでもない。

ちょっと小腹が空いたから、歩いてコンビニに行ってアイスでも、という訳にはいかないが、家の前にはワイルドストロベリーを数株植えているので、実を付けなくなる真夏と真冬以外はそんなに困らない。

直接面識がない方でも、連絡を下されば相談に乗らせていただきたい。

●トンネルを抜けると被災地だった

十年ほど前に熊野から大阪に帰る国道を、我々からほんの一時間後に通ったご夫妻が、山崩れの下敷きになって亡くなった。また、偶然見ていた番組では、陳情のため上京された北山村の村長さんが、通学路で中学生が転落する事故があるため、路肩を整備して頂きたいと訴えておられた。

こちらで暮らしていると、自然の猛威と恵みは裏表だと痛感させられる。

八年前の台風では、日高川町の美山温泉愛徳荘がかなり長い期間、近隣住民の避難場所となり、より山奥にある美山療養温泉館は閉鎖された。気になった私は二週間後、寸断された道路が開通した日曜日に菓子を少々携えて、湯浅でセーリングした後で時折泊まっていた温泉館へと向かった。

潮にまみれて過ごした後、御坊のオークワで大好物の海鮮巻と鯖寿司、唐揚に果物、もちろん酒と朝食用のドーナツを買って、日高川沿いの道を遡る。

日は暮れたものの薄明かりが残る頃、小さいが極上の温泉に入り、山奥でしか聞けない種類の鳥や虫の声を聞きながら眠るのが好きだった。

今回は有田川から修理川へと遡り、道中から見る水量は多いものの、比較的平穏な様子で私は少し拍子抜けした。しかし、トンネルを抜けると景色も空気も一変。そこは紛れもない被災地だった。

美山の役場や学校が集まっているあたりに着いたのだが、溢れた土砂で道路の舗装は見えず、空気中には日差しに照らされ乾いた土ぼこりが舞っている。

私は温泉館へ行くため日高川沿いを上流に向かったが、数人のボランティアであろう真っ黒に日焼けした方達が自転車で走っていたり、もう七十歳は優に超えているようなご婦人がご自宅の横だろうか、土砂をシャベルで掘っている。

温泉館に着くと数人の方達が集まっていて、聞けばソフトバンクから電波測定のため赴いたとのこと。

この近辺ではつい数年前までは携帯の電波が届かなく、私はドコモだがその時はもちろん遊びに来ていたため、しばらく外界から隔絶されるのが喜びでもあった。しかし、非常時には電波通信が生死を分けることになるのだ。

彼らから、落石のために温泉館は閉鎖されているということと、当該地域の区長さんの連絡先を聞き、さっそく会いに向かった。

苦みばしった風貌の区長さんに携えた菓子を託し、話を聞かせていただいた。温泉館で働くお二人も、朝、掃除に来られていたお婆さんも無事であること。

つい数日前まで、国道から寸断されていたので工事の車が入れず、やっと電気が復旧したが、水道は集落近くのポンプが破損しているため、近くの谷川から水を汲んでいるとのこと。

六十年前にも同じような出来事があり、その時の方が状況はより深刻で、私が通ってきたトンネルの近辺には、死体がいくつも流れ着いていたという。皆さんによろしくと伝え、少し安心して帰途についた。

●マリーナの災難

日高川を下り、川辺あたりに差し掛かるともう影響は軽微で、御坊などまったく平穏だった。せっかくなので海岸線を走り、広川町にある知人が経営するマリーナに寄ろうと道路から見下ろすと、四十人以上のJET乗りの集団が集まっているのが見えた。しかも、大声が聞こえ、パトカーも見える。

現場に着くとグループ同士で乱闘寸前なのを、当の知人が必死に仲裁している真っ最中だった。警官は見ているが積極的に関わる様子はなく、周囲では小学生くらいの女の子が「お父さんが、お父さんが、」と母親と一緒に泣いている。しかも何組も。そう、暴れる彼らは三十代から四十代の家族を抱える男達。

少し収まってきた様子なので私は知人に簡単に挨拶を済ませたが、彼が不憫でならなかった。以前は本当のマリーナとして運営されていたため、抜群の環境と設備を持っている。防波堤を隔てた浜に船を下ろすクレーンもあり、シャワーもトイレも芝生まで完備している。

しかしここ数年は、JETの連中が集まる傾向にあり、彼も経済上受け入れざるを得ないのには同情する。しかしながら、JETの連中は粗暴な者も多く見受けられ、各地で締め出されている。そのため、規制が比較的緩い和歌山に高速を飛ばして、流入する傾向にある。

私はヨットスクール時代に、他のマリンスポーツをも手がけていたため、各地でイベントやリゾートホテルのスタッフを教育していた。

もちろん、JETはスピードが出るので走らせると爽快だし、スクリューが露出していないため要救助者を傷つける可能性が少なく、海水浴場に張られたロープも乗り越えられるため、レスキュー活動にはこれしかない、と思えるくらい素晴らしい乗り物だと思う。

しかし、なぜ粗暴な連中に好まれるのか、残念でならない。広川町でも推察するに、海上でのトラブルではなく、トイレが長いとか、カップラーメンに使うポットの湯が、自分の前の客でなくなったとかの理由ではないだろうか。

そもそも、家族の前で大声で罵り合うのは常軌を逸している。和歌山県は来シーズンに向けて早急に規制しないと、一度入り込まれた地域から締め出すのは難しい。

話が脱線したが、図らずも同じ日にボランティアに励む方達と、暴れる者達を同時に見たため、あまりにも対比が鮮やかで書かずにいられなかった。

●若き日の自転車一人旅

私は中学生時代から自転車で紀伊半島を周り、当時は「一人旅でしかも野宿」が男らしいスタイルと思っていたので、駅の待合室で寝たり、漁師の道具小屋に侵入して寝たりしていた。

今でも、座布団が敷かれているなど快適そうなバス停を見ると、ちょっと入って寝転んでみたいなと思う。

もちろん自分では冒険を楽しんでいるのだが、色んな方達と出会い、話を聞いたり、食べ物をもらったり、なかにはご自宅に泊めて頂いたりしたのが、今ではかけがえのない経験だと思っている。

そのため、もう番組は終わってしまったが「田舎に泊まろう」を見ながら、泣いてしまうことも多々あった。本当に他人事とは思えない、田舎の夜は真夏でも冷えるのだ。

この番組でも、和歌山や三重ではあっけないほど簡単に泊めてもらっている。恐竜ランドのあるかつらぎ町の家など、驚くほど質素な寝床であるにもかかわらず。特に内陸部では当たり前のように断る家も多いのに、なんて暖かい人達なんだろう。

数年後、温泉館は日帰り入浴のみではあるが営業を開始した。その直前に偶然、当時ヘルプデスクとして勤務していた、国保日高総合病院で温泉館の方と再会した。すぐに診察が始まったので、あまり話せなかったが本当にうれしい。

願わくは、温泉館の宿泊が再開して、私が美山に通うきっかけとなった「やまびこ花火大会」も復活すると最高だ。

台風通過後も地盤はゆるみ、日本列島は長いのでまだ数日は心配の種が尽きない。もっとも自分のヨットが数年後、台風による高潮で流されるとは想像できなかったが。


【Ikeda Yoshihiro】
ikeda@brightocean.jp
http://www.brightocean.jp/
https://www.instagram.com/brightocean_official/


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■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[39]
お茶に行きませんか
宇宙の喫茶店

松岡永子
http://bn.dgcr.com/archives/20190926110100.html
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◎お茶に行きませんか

http://bn.dgcr.com/archives/2019/09/26/images/001.jpg

昨年こちらでもご紹介した、梶本奈美さんの個展が今年も平岡珈琲でおこなわれます(9月26日〜10月7日)。画像は昨年展示されていた作品です。

平岡珈琲は、雑誌で大阪の喫茶店特集が組まれるときなどには、必ず取りあげられる老舗店です。まもなく開業100年になります。

平岡珈琲のサイト
https://www.cafe-hiraoka.jp/

この店は「カフェ」ではなく、絶対「喫茶店」。

言葉ではその違いを説明しにくいのですが、雰囲気はなんとなくおわかりいただけるのではないでしょうか。長い時間をかけてはじめて醸し出されるたたずまい。

と書いていて思うのですが、なぜ「喫茶店」なのでしょう。

平岡珈琲は、名前の通り自家焙煎された「コーヒーのお店」です(メニューには紅茶もミックスジュースもあります。注文のたび一杯分ずつミキサーにかけられるミックスジュースは実においしい)。

でも、喫茶店。珈琲店という言い方もなくはないですが、ほとんどしません。わたしの周囲にはコーヒーが苦手な人もいて、「お茶に行こう」と言ってほんとうにお茶を飲みにいったりもしますが、そういうのは少数派ですよね。

多くの人が、「お茶に行きませんか」と言ってコーヒーを飲みにいく。いつごろからそうなんでしょう。

実は最初からそうなんじゃないか、という気がしています。はじめから喫茶店は、お茶ではなくコーヒーを飲むところだった。

喫茶店で日本茶を飲むことは今でも少ない。では、紅茶は? 

以前、新聞で堂島にあったムジカが紅茶専門店の草分けと紹介されていたと思いますが、あのお店の創業は戦後だったはず。アフタヌーンティーが一般的になったのは、ごく最近のことでしょう。

・自宅ではなく、わざわざ喫茶店に足を運んで飲むのは、昔からコーヒーだった(?)

・「カフェー」という名称はお酒を出す店に取られてしまったから、「喫茶店」という呼び名を作った(?)この辺りが、今のわたしの仮説です。

わたしの場合は、どんなお店にお茶しにいくにしろ、読むか書くか、作業をするために行くことがほとんどです。平岡珈琲のような喫茶店の場合、お店の人とおしゃべりしてしまって、作業がはかどらないことが難点かもしれません。


◎宇宙の喫茶店

図書館が開くまで、駅前の喫茶店でモーニング。客のほとんどはお年寄りで、みんな常連さんらしく、座っただけでコーヒーやジュースが出てくる。だいたい席も決まっているようだ。こんな時間に喫茶店にはいったことがなかったから知らなかった。

入り口近くに座っていた男性が、携帯電話でしゃべりながら出ていく。営業マンだろうか、忙しそうだ。

夏休みで遊びにきていたいとこが、興奮したようすでささやく。

「すごいね、あのひと。宇宙飛行士なのかなあ。オリオンの支部に寄ってからセンターにいく、だって。お兄ちゃんの住んでるところって、もしかして宇宙なの」

そうだよ。ぼくらは宇宙に住んでる。銀河系宇宙の地球支部だ。いつもは忘れてるけどね。


【松岡永子】
mail nifatadumi@gmail.com
blog http://blog.goo.ne.jp/nifatadumi

大阪市住吉区には「遠里小野(おりおの)」「千躰(せんたい)」という難読地名があります。読める人は少ないですし、耳で聞いて分かる人はほとんどいません。


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編集後記(09/26)

●偏屈読書案内:福島香織「習近平の敗北 紅い帝国・中国の危機」2

現在の中国の監視システムは急激に進化している。ほとんどの市民、中国に入国する在住者(普通の旅行者も含めて)のデータは、とりあえずすべて集められるようになった。インターネットユーザー8億人(うちスマートフォンユーザー97%)、モバイル決済普及率98%時代が、これを可能にしたのだ。

習近平政権のネット統制は、ますます厳格化されている。携帯電話、ネットのSNSアカウント登録の実名制が徹底され、SNSの発言などがネット検閲システムサイバーポリスによって厳密に監視され、大量の「ネット水軍・五毛」と呼ばれる、オンラインコメンテーターによる世論誘導が行われるようになった。

キャッシュレス決済は、ネットや携帯電話の個人情報と銀行口座やカード情報を紐付け、消費動向、趣味・興味の傾向、行動範囲や人間関係なども解析できようになった。街中に急激に増えるAI付き監視カメラによる顔認証、スマホや家電、オンラインバンクに使われる指紋認証、声紋認証によって国民のほとんどの個人情報を、生体情報も含めて集積できるシステムができつつある。

2022年になれば、中国の街中の監視カメラは顔認識カメラを含め27億6000万台になると米IT専門調査会社IDCは推計する。14億人民一人に2台の監視カメラ!これら膨大なデータは中国共産党及び政府、公安警察と共有され、人民管理・コントロールに使われる。データ収集は外国人旅行者にも例外ではないはずだ。

当の中国人はどう思っているのか。こういう社会を肯定する人もいる。「中国はいまだかつてないほど治安が良くなった」と。置き引きやスリといった犯罪はなくなり、タクシーや店舗で置き忘れたスマホも返ってくるようになった。人や車の信号無視、ゴミやたばこのポイ捨てなどマナー違反も急減して、快適で安全な都市になったと言う。基本的に性悪説の中国人らしい反応だ。

習近平政権は国家戦略としてハイテク産業の国産化を目指す「中国製造2025」を推進しているが、その中心には情報通信技術、AI技術などがあり、これらを人民監視プロジェクトのために実用化している。それが社会信用スコアの構築、公安による人民監視システム「天網工程」や農村監視システム「雪亮工程」などで、社会信用度の低い人は圧倒的に暮らし難い環境に追いやられている。

指導者層やインテリなど、選ばれし優秀な人間は、人民は無知蒙昧だからきっちり支配し、導いてやらないと動乱が起きたり、めちゃくちゃになってしまう、と考えているらしい。超窮屈な監視社会に大衆は怒っていると思いきや、臆病で怠惰なので、自分でものを考えたり決断したりするより、強い指導者についていく方が楽だという人が少なくないという。どこかに独裁者待望論がある。

しかし、習近平も低層の権利要求から起きる「動乱」を予感している。だからハイテクと人的資源とあらゆるソースを投入して完璧な人民監視・コントロールシステムを作ろうと必死である。「人民を恐れ、信じることの出来ない人間が、人民の指導者であり続けることはありえないと思いませんか」と筆者は正しいことを言うが、特定アジアにおいてはありえちゃうんだよねえ。(柴田)

福島香織「習近平の敗北 紅い帝国・中国の危機」2019 ワニブックス
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4847098153/dgcrcom-22/

「小松左京全集」全50巻が株式会社イオから、10月12日より販売開始である。必要なときに必要な冊数のみ印刷製造できるプリント・オン・デマンド方式の印刷で、全50巻A5版ハードカバー。各巻本体3600円、全巻そろえると18万円
https://www.atpress.ne.jp/news/190936


●爪が弱いの続き。キーボードやマウスを使う仕事をしてるので、ハンドクリームでさえ塗るのを躊躇するのに乾かないオイルですよ。これを普段使いって。

オイルを爪の裏に塗る。次に表面の爪と皮膚の間、そして根元に塗り、爪の周囲をマッサージして浸透を早める。その上にさらっとタイプのハンドクリーム(私はアトリックスのハンドジェル)を塗るとべたつきがマシになったよ。

冬に、このキューティクルオイルの爪裏使いをしたら、爪が割れなくなった。爪が厚く堅くなったのがわかる。春になってからはオイルを塗っていないけれど、冬から今まで一度も割れてないよ〜。

それまで、カルシウム入りのベースコートだの、補強コートだのを使っていても効果があまり感じられなかったので、同じように困っている人がいたら試してみてくだされ。(hammer.mule)

アトリックス ハンドジェル
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001PMGHLI/dgcrcom-22/

ディーアップ プレミアム キューティクルオイル
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000TKDGOS/dgcrcom-22/
私が去年使っていた手持ちのはこれ。5年以上前に買ったもの。今も売っていて驚いた

クシオ キューティクル リバイタライザー コンプレックスオイル ザクロ&イチジク
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004MNMBIU/dgcrcom-22/
次に使ってみようと買ったのはこれ。爪が短いとスポイトタイプは使いにくい

ネイルホリック キューティクルオイル
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07CMP39R1/dgcrcom-22/
これも買ってみた

グラスネイル ギタリストトライアルキット
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職業的に爪を使う人はグラスネイルがいいらしい