[1502] 心奪われるとき

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1502    2004/04/06.Tue発行
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   1998/04/13創刊   前号の発行部数 18605部
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<うぇるかむ、降霊ツアー>

■買い物の王子さま 34
 心奪われるとき
 石原 強

■デジクリトーク
 青山ぼちぼち歩き
 GrowHair

■セミナー・イベント案内
 LightWave 3D [8] Launch Party
 TAKEO PAPER SHOW 2004「haptic(ハプティック)」
 「デジタルフォト始めの一歩」セミナー


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■買い物の王子さま 34
心奪われるとき

石原 強
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ネットで買い物を続けているとショップからのメールが増えてきます。店主の個性が発揮されるメルマガを読むのは、仕事の合間の楽しみです。最近では、文字だけではなく、写真やカラーがふんだんに使われたhtmlメルマガが目につくようになりました。

先日届いたhtmlメルマガで、中でもひときわ目立ったのが「スイスの赤い牛」というおもちゃ。真っ赤な体に白い十字の目というスイス国旗さながらの美しいコントラストに目を奪われました。

真っ赤な色も、直線的な形も動物にはありえないのに、どうみても牛にしか見えないのが不思議ですシンプルなのに牛の特徴をしっかり捉えた素朴なフォルムは、どう見てもただ者ではありません。この「赤い牛」が知る人ぞ知るネフ社の製品とわかって納得。

ネフ社は木製の知育玩具メーカーで、単なるおもちゃを超えた精度と色彩の美しさを兼ね備えた「積み木」で有名です。その積み木は作る過程の楽しさだけでなく、積んだその姿が美しく、遊ぶだけで誰もがアーティストになれる積み木なのです。

デザインを学んでいた学生の時から憧れて、いつか買おうと思っていたけれど、おもちゃというには、一桁違う価格に躊躇して手に入れるには至りませんでした。しかしこの愛らしい「赤い牛」は6ピースのパズルという小ぶりなもので、お値段もネフ社にしてはお手頃です。

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このかわいさの前に、バラバラにしようなんて気持ちはどこへやら…。場所を、角度を変えて、ついつい見つめてしまうこの魅力に、あなたは抗うことができるでしょうか?
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もちろん、抵抗はできません。数日後には白い小さな箱が届きました。開けると草原のようなグリーンの上に赤い牛が横たわっています。シンプルな直線で構成されているにもかかわらず、見れば見るほど味わいが出てきます。しかも手に取るとなんとも柔らかくて懐かしい感触がたまらない。

何とも豊かな表情を感じるのが不思議で、眺めるだけで誰もが和みます。その証拠に「また高いおもちゃを買って」と冷ややかだった家族が、すぐに気に入ってしまったくらい、その「癒し効果」は抜群なのです。

パズルを買ったお店「BEYES Father's Garden」
http://www.beyes.jp/fgarden/top.html


【いしはら・つよし】info@webanalyst.jp
日本にも「赤い牛」がいます。会津若松の伝統工芸品「あかべこ」です。「べこ」とはこの地方の方言で牛のこと。赤ものとも呼ばれて赤色は昔は厄病除けのおまじないでもあり、子育ての縁起物として用いられたんだそうです。
福島の伝統工芸  http://www.pref.fukushima.jp/syoko/k_d/dento/k_4.html

【いしはら・つよし】info@webanalyst.jp
ウェブアナ  http://www.webanalyst.jp/

メルマガ「お金をかけないサイト運営術」

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■デジクリトーク
青山ぼちぼち歩き

GrowHair
https://bn.dgcr.com/archives/20040406140400.html

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仕事でコンピュータのソフトを書く必要が生じると、最近は自分で書いている余裕がないもんだから、外注している。その外注先の古池さんという方が実に頼りになる。何というか、人並みはずれた生産性なのである。多作のプログラマー。多少の無理を言っても楽々と乗り越えてくれる。

つい最近、古池さんの同僚の方が東京に来た折に「かのスーパーマンはいつもさぞかし猛烈にばりばり働いているのだろう」と聞いてみた。

ところが意外とそうでもないらしく、午後はいつもしばらく窓から外を眺めてぼーっとしているのだそうで。同僚たちは「あれは『降りてくる』のを待っているのだ」と噂しているのだとか。

いいなあ、それ。こっちは誰も憑依しに来てくれないから、何でもかんでも自力でぼちぼちやるしかなく、進まざること首都高速のごとしである。

ここはひとつ、私にも何かに憑いていただけたら。鬼でも悪魔でも蛇でも龍でもなんでもいいから。ということで、何かに遭遇できそうな予感の赴くままに、青山墓地に出向いてみた。「うぇるかむ、降霊ツアー」。

早い話が花見である。いちおう人を誘ってみたのだが、気味悪がって誰も来やしない。墓なんて、いつか入るんだから、今から慣れておいた方がいいのに。結局ひとり。午後3時ぐらいに現地に着いた。

広いっ! 大都会のド真ん中の一等地に広々と横たわる落ち着いた空間。すごい贅沢。生きている人の人口密度は極めて低い。あれがもし最初から更地だったら誰も墓地にしようなどとは言い出さないに違いないが、最初から墓地だと、それを郊外に移転させて跡地にマンションを建設しようなどとは、やはり誰も言い出さない。だからあの場所は墓地であるのが正しい。

昼間は、まあ探せば撮るものがある、程度だったが、夜になってから、俄然、風情が出てきた。おでんや焼き鳥の屋台がいくつも出ていて、モーターの音をぶんぶんうならせながら、白熱電球を煌々と灯している。そこここに花見の輪ができて、おじさんたちのソーラン節の合唱と手拍子が聞こえてくる。

墓地内を抜ける縦横一本ずつの広い道には街灯がついているが、奥へ入ると明かりがない。毎年来ていると思しき集団は心得たもので、ちゃんと照らすものを用意してきている。中にはろうそくを灯しているグループもあり、こちらは風情ありすぎ。思わず足の存在を確認してしまった。

どんちゃん騒ぎをやっているのは、さすがに明るい通りのすぐそばだけで、墓地の奥の方に入っていくと、もう誰もいない。桜、独り占め。通りから見ると真っ暗闇のように見えるが、入ってみると、遠くの明かりのおかげでやっと歩ける程度には明るい。渋谷の方角を見ると、上空まで明るく、墓石や彫像や卒塔婆が桜の枝とともにシルエットで浮かび上がり、美しさ格別である。これは、いい。

夜9時ぐらいにいちおう撮影に区切りをつけ、ワンカップ酒を買ってきた。屋台で燗をつけて売っているのが早い時間から気になっていたのだが、写真を撮り終わるまではと我慢していたのである。墓の前の三段ばかりの石段に腰掛けて、ちびちびと飲む。至福のひととき。

西行法師の句
「願わくば 桜の下にて 春死なん その如月の 望月のころ」を思い出した。

幸せというのは死と隣り合わせだからそう言うのかなーなどと考えた。その辺の土の中からにゅっと手が伸びてきたら、思わず握手しそうである。

とりとめもない空想に耽るうちにワンカップも空になった。さて、と立ち上がると、おやっ? 写真の機材が重くて持ち上がらない。一眼レフにレンズ3本に三脚、それと小物が少々。大した荷物ではないのだが。まるで「もう少しゆっくりしてけや」と言われているようである。

それもいいかとは思ったが、ここで立ち去る機会を逸すると永久にその機会が来ないような予感がして、「それは困る」と思いなおした。えいやっと気合いを入れると何とか持ち上がったが、なんだかやけにずしりと来る重量感にふらふらしながら帰途についた。

「ゲゲゲの鬼太郎」という漫画に「子泣きじじい」という妖怪がいた。泣いている赤ん坊を抱き上げると石になり、どうやっても離れない。それがどんどん重くなっていき、しまいには押しつぶされてしまうのである。どうやら変なものに憑かれてしまったらしい。重いよ、重いってば、重い。

なんだか、余計に仕事が進まなくなった気がする。

【GrowHair】写真を趣味として楽しむサラリーマン、41歳。
< http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Studio/2967/
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■イベント案内
LightWave 3D [8] Launch Party
< http://www.dstorm.co.jp/event/LW8Launch/
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ディ・ストームは4月下旬リリース予定「LightWave 3D [8]」の日本語版の発売を記念し、Launch Partyを開催する。同ソフトのの新機能を含めたデモンストレーションのほか、著名なLightWave 3Dユーザーによる活用事例や作品紹介、Worley Labの新しいプラグイン「FPrime」の紹介など、大型スクリーンを使用した実演がライブで見られる。

日時:4月15日(木)15:00~19:30
場所:渋谷WOMB  http://www.womb.co.jp

入場料:無料・1ソフトドリンクチケット付(事前登録制)
主催:株式会社ディ・ストーム、NewTek Inc.

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■イベント案内
TAKEO PAPER SHOW 2004「haptic(ハプティック)」
< http://www.spiral.co.jp/event/index.html
>
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会期:4月15日(木)~17日(土)11:00~20:00 
会場:スパイラル 1F スパイラルガーデン、ショウケース、M2F エスプラナード、3F スパイラルホール
内容:紙の専門商社、竹尾が毎年開催しているTAKEO PAPER SHOW。テーマは「haptic(ハプティック=触覚的)」。1Fではクリエーター23組によるhapticな日用品のデザインを展示する。3Fではデスク周辺の書類を整理整頓するための、ファイリングツールの整理法に対応する理想形の提案。この他にも竹尾が取扱う紙の紹介等もある。入場無料。
問合わせ:株式会社竹尾販売促進本部製品企画グループ TEL.03-3292-3619

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■セミナー案内
日本写真家ユニオン「デジタルフォト始めの一歩」セミナー
< http://pro-photo-union.jp/
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<主催者情報>
日時:4月23日(金)13:00~17:00
会場:アップルコンピュータ本社 セミナールーム(東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティータワー 48階)
受講料:日本写真家ユニオン組合員4,000円、一般8,000円
定員:24名
主催:協同組合 日本写真家ユニオン
内容:大きな画像データを扱うプロレベルのデジタルフォトは、メーカー出荷状態のパソコンをそのまま使うと大変ストレスある作業環境となります。またデジタルフォトにおいてもっとも重要な機材はディスプレイであり、これを手軽なもので済ませると写真家の意図通りの印刷結果が得られないなどの問題を発生させる原因になります。「デジタルフォト始めの一歩」では、デジタルフォトで必要充分なコンピュータの選び方から、コンピュータの環境設定までを受講者様にPowerMac G5とAdobe Photoshop CSを1人1台お使い頂いて体験できるセミナーを行います。

<応募受付中のプレゼント>
DTPWORLD70号(2004.4月号) 1496号
Web Site Design vol.10 1497号
グラフィックデザイナーズ年鑑2004-2005 1498号
CG&映像クリエイターズ年鑑2004-2005 1498号
 
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■編集後記(4/6)
・気の毒としかいいようのない小諸市の会社員二人。巨人戦の年間券を191万円で買って、ネットオークションでもうけようとしたが売れずに、仕方なく上京して素人ダフ屋をやって現行犯逮捕というニュース。小遣い稼ぎしようとして失敗したうえ犯罪者になっちゃったんだから悲惨だ。まぬけな人たちだけど同情してしまう。恨む相手は巨人軍だね。それにしてもふがいない金満球団だ。センバツの決勝戦の方が視聴率高かったんじゃないの? ところで、センバツの中継の解説に関西のイントネーションが多いのはなぜ? また、イージーな野球用語(?)「これは大きいですね」を連発するのはなぜ?(じつはプロ野球でも多用)。大ホームランの形容ではなく、バントに成功したときも失敗したときも三振をとったときもヒットを打ったときも失策したときも、なんでも「これは大きいですね」と言うばか解説者が多い。また、プロ野球ナイトゲームを夕食時に見ながら、あれこれ悪口を言うシーズンがやってきた。(柴田)

・赤バスがいい感じ。15人乗りくらいの小さなバスで、通常のバス路線よりも停留場間隔が短く、細い道をくねくね走る。終点のないループ運行。乗車するのはお年寄りか子連れのお母さんばかり。小さいバスだしアットホームな感じなのだ。100円でどこまでも乗れるので、一度は一周してみたい。うちの母親は用事がなくても甥を連れて乗る。ドライブ気分らしい。(hammer.mule)
http://www.kotsu.city.osaka.jp/
 大阪市交通局
http://www.kotsu.city.osaka.jp/ssl/koe/akabasu_guid.html
 赤バス

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発行   デジタルクリエイターズ < http://www.dgcr.com/
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デスク     濱村和恵 < zacke@days-i.com >
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リニューアル  8月サンタ < santa8@mac.com >
アシスト    鴨田麻衣子< mairry@mac.com >

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