[1751] 男女の別れ・男たちの別れ

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1751    2005/05/20.Fri.14:00発行
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   1998/04/13創刊   前号の発行部数 18515部
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<まあ脳内でそれなりに幸せだから、いっか>

■映画と夜と音楽と…[255]
 男女の別れ・男たちの別れ
 十河 進

■Otaku ワールドへようこそ![4]
 薔薇の乙女人形に愛の誓いを:ローゼンメイデン決起集会
 GrowHair


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■映画と夜と音楽と…[255]
男女の別れ・男たちの別れ

十河 進
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●日本映画界にとっては損失だった

Nさんをライター稼業に引き込んだのは僕ではないか、とずっと気になっていた。Nさんは元々、自主映画の監督だった。それも16ミリを使った本格的な映画制作だ。Nさんの仲間だった人たちは山本政志監督を始め、現在、いろいろと活躍している人が多い。

たまにNさんと呑むと、やはり映画の話になる。今でも昔の仲間たちとは交流もあり、映画もよく見ているらしい。しかし、Nさんは現在、奥さんと編集プロダクションを運営している。ライター稼業も二十数年になる。

Nさんと初めて会ったのは1970年代末だった。僕が編集していた月刊「小型映画」に「シネマパワー」という自主映画のコーナーを創ることになり、その世界に詳しいNさんを紹介してもらったのだ。Nさんには自主映画のヒロインをインタビューしてもらったり、映画学校のルポをやってもらったりした。

雑誌のライターとしての仕事は初めてだとNさんは言ったが、文章は簡潔でハードボイルドだった。しかし、そんな仕事が続いたのも数年のことだった。8ミリ機材がビデオカメラに移行し、「小型映画」という雑誌は休刊になった。1982年9月のことである。

「残念ですね」とNさんは言い、僕らは縁が切れ、Nさんとは会う機会がなくなった。しかし、数年後、「呑みましょう」と電話がかかってきて会うと、Nさんは「あれ以来、ライター稼業になってしまいました」という。いろいろなジャンルをやっているが、主な仕事はAVライターだという。

AVといってもオーディオ・ビジュアルではない。アダルトビデオである。ハードコアからソフトポルノまで何本も見て、その紹介を雑誌に書いたり、AV女優のインタビューをまとめたりする仕事だ。「アサヒ芸能」などの週刊誌からエッチ系の出版社が出している雑誌まで幅広く手掛けていた。

もちろんそれだけではない。ボクシングに詳しいNさんは、自らもジムに通っていたが、専門誌に記事を書くようになり、ある時から畑山のルポを書きためていた。「ボクサー畑山隆則」という単行本が出たのは、1998年秋のこと。畑山の世界チャンピオン戦の前日だった。

その後、専門誌の編集をしていた現在の奥さんと知り合い結婚し、Nさんはふたりで編集プロダクションを立ち上げたが、今でもAV女優インタビューの仕事は続けているという。「話を聞いているとね、みんないい娘なんですよ」と50を越えたNさんは父親のように目を細める。

そんな時、「ああ、もしかしたらこの人は日本の映画史に残るような名作を創ったかもしれない。ライター稼業に引き込み、それを潰してしまったのは僕じゃないのか」とすっかり丸くなったNさんを見ながら思う。

●戦後の映画から10本を選ぶ

Nさんから「女性誌のパイロット版を請け負ったんですよ。その中で恋愛映画の特集ページを創るので、ソゴーさんお得意の邦画の恋愛映画ベストテンを書いてくれませんか」と電話があったのは、21世紀になった年のことだった。

僕はすぐに原稿を書き、数カ月後、雑誌が送られてきた。表紙は菊川怜を使いメジャーな雰囲気の女性誌だった。後半のモノクロページで「恋愛度胸は映画で学べ」という特集が展開されていた。僕の記事は「邦画の恋愛映画おススメはコレ」という2/3ページほどの囲みになっていた。

その10本は戦後の日本映画から年代順に選んでいったものだ。女性読者を意識したが、結果として、あまり女性向けではなかったかもしれない。

「浮雲」……一度、見たら忘れられない映画がある。「浮雲」は男女の真実を教えてくれる映画だ。人生の哀しさも学べるだろう。妻がいる男はいつも優柔不断。そんな男を愛し、ついには地の果てのようなところまで男を追っていくヒロインが悲しい。名匠・小津安二郎が脱帽したという映画である。

「秋津温泉」……男と女の関係はどこまで続けられるのだろうか。大学生と女学生として出会ったふたりは純愛の関係を経て10年後に初めて結ばれる。女は男を待ち続け、男は救いを求める時にだけ女を訪れる。男女の想いは次第にすれ違っていくのだろうか。渓流が流れる秋津の四季が美しい。

「けんかえれじい」……かつては、好きになった女性に「好きだ」と告白するのは男の沽券にかかわることだった。硬派の男は男を磨き喧嘩に明け暮れねばならない。しかし、想いは募るのだ。そんな時は、また喧嘩をすればいい。男の純情が悲しく、ふたりの最後の別れのシーンが心に残る。

「めぐりあい」……60年代、勤労青年たちは苦悩した。いや、青年たちの未来への不安や現状に対する閉塞感はいつの時代も変わらないのかもしれない。そんな鬱々とした心は、愛する相手がいれば癒されていく。男は躯だけではなく、心も求めるものなのだ。酒井和歌子の初主演映画。黒沢年男との純愛が眩しく美しい。

「恋する女たち」……80年代の少女たちは強い。その言動はハードボイルドである。ハードボイルドな言動とは、つまり「やせ我慢」だ。彼女たちはナイーブで傷つきやすい心を持ちながら、恋する相手の鈍感さを許すのである。しかし、高校生の頃の男ってホントに鈍感だ。「少女をなめるなよ」という言葉が効いている。

「あ・うん」……テレビ版もよかったけれど、親友の人妻に恋心を抱き、ひたすら耐え続ける役を演じる健サンが悲しい。向田邦子は男を描くのが上手かったけれど、実は女の心の奥底の怖さを見つめ続けた人ではなかったか。健サンが忘れた帽子を秘かに被る富司純子のシーンに女心の凄さが見える。

「Love Letter」……人は時間を留めておくことはできない。時は過ぎゆき、記憶だけが残っていく。その記憶さえいつか失われていく。しかし、忘れてしまった記憶が甦ることもある。フィアンセの死をきっかけにヒロイン(中山美穂)は中学時代の自分を思い出す。淡い恋、そして…。生きるとは、何かを失うことか。

「Shall we ダンス?」……男が何かを始めるきっかけになるのは、やはり恋である。中年男の純情な恋は相手の拒絶にあって、初めて明確な目的を見出す。それは自尊心の問題だ。不倫が当たり前のようになった時代に登場した映画だが、おそらくこの主人公は現実の男たちの等身大の姿だ。世の中には純情でシャイな中年男もいる。

「身も心も」……若い頃に愛し合った男女が再び出会ったらどうなるか。昔を取り戻そうとするのだろうか。身も心もむさぼり合おうとするのだろうか。かたせ梨乃と柄本明のハードなベッドシーンからは、過ぎ去った青春時代の恋を取り戻そうとするような激しさが伝わってくる。同時に長い人生を経た諦念も見えてくる。

「コキーユ・貝殻」……中学生の頃の淡い初恋の記憶は、どんな人にとっても宝物だ。しかし、30年後の同窓会で初めて相手の気持ちを知った主人公はどうすればいい? 妻子はいる。仕事もある。でも、どうしょうもなく惹かれていくのだ。「私の耳は貝の殻、海の響きをなつかしむ」というフレーズが切ない。

●まるで異なる視点から映画を選ぶ人もいた

パイロット版が出てすぐの頃、僕はNさん夫妻が主催した打ち上げに呼ばれた。デザイナー、カメラマン、筆者たちが集まっていた。そこで僕はKさんに紹介された。阿久悠の弟子だったという作詞家で、やはり映画の特集の原稿を書いていた。

そのKさんのことは事前にNさんから聞いていた。「Kさんにセレクション頼んだら、全部ホモ・セクシャル映画になっちゃった」とNさんは言い、記事を改めて読んで僕は納得した。

「ベニスに死す」「狼たちの午後」「日曜日は別れの時」「太陽と月に背いて」「ブエノスアイレス」「真夜中のパーティ」「フィラデルフィア」「モーリス」などなど…、それはもう徹底的に男と男の愛の物語ばかりなのである。

「日曜日は別れの時」の監督ジョン・シュレシンジャーは自ら同性愛者であることを公表していたが、まだ二十歳になったばかりの頃の僕は男同士のキスシーンをこの映画で初めて見てショックを受けたものだった。前作「真夜中のカーボーイ」以上の衝撃だった。

しかし、男たちがレスビアンを嫌わないように、女性誌の読者はゲイ・シネマには寛容なのだろう。「ブエノスアイレス」のようにトニー・レオンとレスリー・チャン(自殺した後、私生活でもゲイだったと報道された)のハードなベッドシーンを見ても僕のようにショックを受けないのかもしれなかった。

その夜、Kさんは僕の正面の席に座り、静かに穏やかに微笑んでいた。僕にはない大人の落ち着きがあった。酒が進むうち、僕は「阿久さんは70年代前半が絶好調でしたね」などと話しかけ、Kさんも重い口を開いた。

──特に森進一と組んだ「冬の旅」「さらば友よ」は凄かったですね。

僕がそう言った時から、Kさんとは意気投合した。しばらく「冬の旅」の歌詞の斬新さについて盛り上がった。

「冬の旅」は、演歌の常識を外した論理的な詞で「泣いて一生 無駄に暮らすな」という説教じみたフレーズさえ出てくる。「もうあなたのところには帰らないだろう」という部分はリフレインされ、恋人と別れて旅にたつ男の決意と不安を伝えた。

──「冬の旅」は恋人と別れる男、「さらば友よ」は男と別れる男の心情を歌ってます。男と別れる方がずっとせつなく響くんですよね。

そう静かにつぶやいたKさんの口調が記憶に残った。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com
最近、原稿が書けなくて、四苦八苦している。時間をとれなくなっていることもあるが、締め切りに追い込まれないと書けなくなった。書きたいことがいっぱいあった昔が懐かしい。日曜日、ようやく書き上げたこの原稿を柴田さんに送り、Nさんが関係したという写真展のオープニングにいく予定。日曜の夜に都心まで出るのは気が重いのだけど…

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■Otaku ワールドへようこそ![4]
薔薇の乙女人形に愛の誓いを:ローゼンメイデン決起集会

GrowHair
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13年ぶりに左手の薬指に指輪をはめた。

嘘ではない。けれど実は、そういうこと、でもないわけで。どういうことかというと……。28歳のとき、聖書に右手を置いて「誓います」と言ったような覚えがある。けれど、1年2ヶ月後、それは結果的に嘘になってしまった。同じ過ちを繰り返しては進歩がないので、今度は人形と契りを交わすことにしたのである。

この指輪は「ローゼンメイデン」というテレビアニメのオフィシャルグッズである。銀色のリングに金色の薔薇の花がついている。リングには棘に見立てた突起がぽちぽちと。

今回レポートするイベント「ローゼンメイデン決起集会」で、一緒に行ったバレッタ氏から譲ってもらったものである。まるで測って作ったかのごとく、左手の薬指にぴったり。

つけ心地がすご~くいい。それに、簡単には抜けそうにない。それよりも何よりも、単行本で読んだコミック版、DVDで観たアニメ版ともに面白く、決起集会がすばらしかったので、作品に愛着し、キャラに惚れ、制作関係者全員に敬服するその思いを形として身につけていられるということが嬉しくて仕方なく、はずす気がしない。

2週間経つが、まだつけている。電車に乗って、会社に行ったりもした。こういうことに目くじら立てて大騒ぎするような職場ではなくて助かった。けど、イタいおっさんになってるかも。

●ひきこもり中学生の心を開かせる人形たち

まずは「ローゼンメイデン」という作品の紹介から入りましょう。原作者は PEACH-PIT(女性2人)、月刊コミック BIRZ(バーズ)に連載中。コミック版とアニメ版とではストーリー展開の異なるところがあるが、設定はほぼ同じである。

ひきこもり中学生の桜田ジュンの唯一の楽しみは、ネット通販で胡散臭い商品を注文し、届いた商品を笑ったら、期限ぎりぎりに返品してスリルを味わうことだった。ある日「まきますか、まきませんか」と書かれた紙を見つけ、「まきます」に丸をつけると、人形が届く。精巧な乙女人形。

同封されたぜんまいを背中の穴に差し込んで巻いてみると、ぱっちりと目を開き、ジュンを下僕(しもべ)と宣言する。いつの間にか、ジュンの左手の薬指には指輪がはまっていて、抜けない。これが件の指輪である。

人形の名前は「真紅(しんく)」。丸顔にぱっちりとした目、小さな鼻と口。金髪の髪はストレートで長く、先の方だけくるくるくると巻いている。真紅 (色)のベルベットのドレスに緑色の大きなリボン。リボンのまん中にはピンクの小さな薔薇の花。凛とした気品があり、女王様口調。紅茶の淹れ方になかなかうるさい。

真紅は伝説の人形師ローゼンが作った七体の生きた人形のうちのひとつ。他の人形たちも徐々に登場する。水銀燈、雛苺、翠星石、蒼星石、……。一人が勝ち残るまで、お互いに戦わなければならない宿命にある。

ジュンは高校生の姉のりと二人で暮らしている。両親はどういう経緯か、外国へ行ったきり。ジュンは過去に負った心の傷に縛られ、外の世界のすべてに敵対心を抱き、家から一歩も出られない。何もできない自分は眠ったまま目覚めなければいいと思っている。のりはジュンを心配し、何とか学校へ行かせようとする。やさしい心を持っているが、天然ボケなところも。ジュンはのりに対してもかたくなに心を閉ざし、反発する。

そんなジュンも根はやさしい心をもっている。人形のために、必死でトラウマを乗り越えて、外へ出ようとしたり。次第に人形たちと心が通い合うようになる。この作品、生きた人形という現実離れした設定でありながら、心に刺さった棘の痛みはリアルに感じ取ることができる。

●特異なテーマソング

アニメ版のオープニングとエンディングのテーマソングもよい。アニソン(アニメソング)によくありがちな幼稚っぽさが微塵もないところが。

オープニングの「禁じられた遊び」は、ALI PROJECTが手がけている。「マリア様がみてる」のときはバッハの平均律を思わせる崇高な美を表現していたが、こちらでは背徳の快楽を思わせるような黒い美を表現している。

refio+霜月はるかによるエンディングテーマ「透明シェルター」は絵の美しさとあいまって、幻想的だ。夢の世界に引っ張り込まれて、出て来られなくなりそう。

両方ともカラオケの曲目に入っているが、特に後者、難しすぎてなかなか歌えない。いい曲なのでマスターしたいのだが。

●決起集会って?

ヘルメットかぶってゲバ棒持って、エイエイオー! ではない。だけど行くまではどんなイベントなのか、ちょっと不安だった。

テレビアニメ版は昨年の10月から12月まで12回構成で放送された。毎週木曜日の25:55~26:25に一体誰が起きてるんだ、なんてことは聞かないで下さい(オタクに決まってるでしょ)。その第2期「ローゼンメイデン トロイメント」の製作決定を記念して4月30日に新宿のロフトプラスワンで開催されたイベントがこの「ローゼンメイデン決起集会」である。

事前には、監督の松尾衡氏と脚本の花田十輝氏が出演して何かしゃべってくれる、ということぐらいしか知らされていなかった。それって面白いのかなー、などと逡巡していると、4月2日に販売開始されたチケット(1,500円)は3日で売り切れた。4月15日に追加販売されたチケットはその日のうちに売り切れ。その人気ぶりを見てから急に行きたくなった私はヤフオクにて元値の3倍で落札するはめに。

●声優さんたちも飛び入り参加

さて、当日。会場は地下2階にあり、居酒屋風のライブハウスといった感じのところ。丸テーブルにスツールが所狭しと並べられ、100人ほどの来場者ですし詰め状態。ざっと男性8割、女性2割。男性は秋葉原でよく見るタイプがほとんどだが、中にはパンク風のオシャレな人たちも。女性はみんなフリフリ、ヒラヒラ、ロリロリ、君たちお人形さんになりきってるだろ、な感じ。

最初はまったりとトーク。松尾監督と脚本の花田氏が、どのキャラが好きとか、声優オーディションはどうだったとか。途中から、ジュン、真紅、翠星石、くんくんの役の声優さんたちが飛び入り参加。会場、めっちゃ盛り上がる。桑谷さんが翠星石のキャラ声で大サービス。「ミーディアムになりやがれですぅ」に一同、撃沈。

番組制作の裏話もたくさん聞けた。特に失敗談。声優さんが来てみたらあるはずの出番がなかったり。台詞が足りなくてつけ足したり。これは松尾監督自身がずっと心に引っかかっていたことをこの場でさらけ出して謝ることで、すっきりした、という感じだった。花田氏の失敗談で可笑しかったのは、脚本の台詞の間違い。真紅が高いところを見ようと、ジュンに「抱っこしてちょうだい」と言うところが、「抱いてちょうだい」になっていた(もちろんアフレコ前には訂正された)。それってフロイディアンスリップ(フロイト的言い間違え、深層心理の露呈)だろ。

真紅の強さはどこから来るか、これは監督からの解説がなければ、自分では見過ごしていたところだ。真紅は女王様然として、強い。それは弱さを隠蔽する強がりではなく、本当に、心が強い。「生きることは戦うこと」と言い切り、戦いのときには全くひるまない。戦うドールとしての運命をしっかりと受け入れ、少しも逃げていない。なぜそんなに強い? ヒントは真紅の回想シーンにある。あれはつまり、真紅には過去があるということだ。

「それが全部うまくいってないから、今、ジュンといるんだよ」と監督。
「(清純そうに見えるからといって)だまされちゃ、いけない」。

もうひとつ、監督から聞けてよかったのは、ローゼンメイデンは「萌え」を意識して作ったのか、という話題。「全然」なんだそうで。他の作品で「なんだよ、萌えだけじゃん」みたいなのがあると、自分はあんな(中身のない)の作るもんかと思うんだけど、そういうのが売れたりすると嫉妬心を禁じえないのだとか。

作品は売れてナンボだから「萌え」を軽視しているわけではないし、ローゼンメイデンに結果として萌えてもらえるのは嬉しい、とのこと。それ聞いて、なぜ私がここに来ているかやっと気づかされた。萌えだけじゃ、きっと来なかっただろう。ちゃんと内容があるからこそなんだ。この作品のもつ、人を動かす力を「萌え」と表現したのでは安っぽすぎる。

6:00pmに始まった決起集会は10:30pmまで続いた。司会の小林氏の「ご満足いただけましたでしょうか」に盛大な拍手。

●ちょっとした出来事、邂逅

蒼星石の声優さんの名前「森永理科」に見覚えあると思っていたが、ふと思い出した。5年前だ。原宿の「橋」でビジュアル系のバンドのファンの人たちを撮ってたのだが、その中にLareineのえみるコスをしたコがいた。ライブネームを「羽藍(うらん)」といった。彼女は月蝕歌劇団に所属する女優さんで、誘われて阿佐ヶ谷へお芝居を見に行ったことがあった。そのとき同じ劇団に所属する新人女優として森永理科の名前があった。ということは姿を見ているはずだ。思い出せないが……。

ローゼンメイデンでは、夢の世界に「世界樹」という一本の木があって、その枝の一本一本が人間一人一人に対応している。人はみな根っこではつながっているのだ、という観念を象徴している。そう言えば羽藍さんともしばらく会ってないが、どうしているだろう。

そんなことを考えていた翌日、茨城のポティロンの森で開催されたコスプレイベントで声をかけられた。お~っ、羽藍さんではないか! わぉ! こりゃびっくり。デスノートの海砂(ミサ)のコスだね。

会うのは実に4年ぶりだ。この前は大学に入りたてで、仏教の大学行って何するんだよ、なんて言ってたわけだが。卒業してた。卒論、何書いたのか聞いたら、袈裟を制作したんだとか。コスプレイヤーの得意技発揮かよ。やるなあ。やっぱりあのとき森永理科さんと一緒に舞台に立っていたか。この邂逅、ひょっとして指輪の力? いよいよはずせんぞぃ。

●付記:関連情報

・アニメ版公式サイト
< http://www.tbs.co.jp/rozen-maiden/
>
・アニメ版のDVDは第一期放送分の12話を6巻に収録して発売中。
・コミック版は単行本が第4巻まで出ている。
・グッズはTBSのページに陳列されている。指輪の画像もあるが、品物は売り切れ。
< http://www.tbs.co.jp/rozen-maiden/part1/menu/info/goods.html
>

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
イタいおっさん。孔子は不惑の域に達したという歳なのに、迷いに迷って人形と契ってしまった。まあ脳内でそれなりに幸せだから、いっか。これを書くにあたってバレッタさんから絶大な協力をいただきました。彼はコミック連載の頃からのコアなファン。ところで、前回「カメコる技術」の前編を書いたので、今回は後編を書くつもりでしたが、ちょいと後回し、旬の話題を優先しました。
・GrowHair Photo Gallery
< http://i.am/GrowHair/
>


<応募受付中のプレゼント>
「ActionScript ポケットリファレンス Flash MX 2004/MX/5対応」
「Web Designing 2005年6月号」#1750号 5月26日(水)14時締切


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■編集後記(5/20)
・月刊コマーシャル・フォトの「100 PHOTOGRAPHERS 2005」をパラパラ眺めている。この企画では1968年生まれ以降をひとつの目安として、編集部が独自の視点で選んだのだという。8割が70年代の生まれで、80年代生まれもいる。こういうデータベース的なモノを見ると、つい統計をとりたくなる。ネットとのかかわりだ。自分のサイトを持っている人50人、E-mailアドレスのある人42人、ネット関係ナシという人が8人。この年代ではネットユーザーの比率が多い職種ではないだろうか。しかし、8人のフォトグラファーは携帯電話のiモードさえも使っていないのか。こういうご時世、自分のプレゼンテーションにネットを使わない、使えないクリエイターなんて期待できそうにないのだが。面白かったのは表紙の写真だ。ハーバード・ビジネススクールの学生たちが清水寺の前に一列に並んで笑顔を見せている。その数30人、左右が切れているが一行は100人だとか。1200wsストロボ(フル発光)を8台使っての日中シンクロ、人物がくっきり現れてじつにいい感じ。おりこうさん揃いのはずだが、そういう団体とも見えず(笑)、人は見かけで判断してはいけませんね。(柴田)
http://www.genkosha.co.jp/np/detail.do?magazine_id=1


・ミクシィで同年生まれオフというのがあるらしい。友人の年だけなのかもしれないが、なんだかいろんなネットワークがあるんだなぁと思ってしまった。考えてみると私の同年生まれネットワークというのはクラスメイトだけで、ネットから発生したものではない。ネットでは興味対象が近い人たちのネットワークばかりだ。リアルでの異業種交流というのもあるけれど、結局は仕事がらみになっちゃうし。広そうに見えてなんだか狭いのよね。先日書いた「複雑な世界、単純な法則」を1章だけ読んで(まだそれだけかい!)、まっさかー、じゃあ小泉首相と6人で繋がるわけ? と考えたら4人で繋がった。対象を少人数で食事をしたことのある人と広げたら3人で繋がる。いや2人かもしれない。有名な人は知人も多いから当然か。ということは、ブッシュ大統領には5人までで繋がるってこと? 天皇にも?/本の中には、普通の人が他人の権威の元で何の罪もない人に大きな苦痛を与えるという実験もあった。椅子に縛られた男に電気ショックを与えるというもの。そんなことできるかと怒る人がほとんどだと思ったら、6割以上の人が最終電圧までショックを与え続けたらしい。事故の被害者であり、上司に戻れと言われて通常勤務についたJR西日本社員らは統計から言えばノーマルってことか。(hammer.mule)

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