
大相撲、今場所こそは、大関陣に奮起してもらって、性懲りもなく連続優勝を続ける朝青龍の快進撃を阻止してもらいたいものだ。私は判官びいきが趣味だから、強すぎる力士は大嫌いなのである。全勝優勝までしておいて、悪びれる様子すらないところが腹立たしい。
その圧倒的強さで、このところ千秋楽を待たずに優勝を決めてしまうことが多いが、まったく興醒めである。強過ぎて強力なライバルがいないことが相撲人気を低迷させている一因になっているわけだが、朝青龍にはその自覚があるのだろうか。もし相撲中継の視聴率が下がって、深夜に録画放送される事態にでもなったら、自分の悪行の結果だということが分っているのか。

「ただいまの取り組みは、上手投げ〜上手投げで、朝青龍の勝ち〜」
といったぐあいに、勝ち力士が勝ち名乗りを受けることになっているが、これでは朝青龍を増長させるだけだ。そこで、これを逆にして「〜れる、〜られる」という受動態を使い、負け力士に「負け名乗り」を与えて、朝青龍に勝利を実感させなくするのだ。
「上手投げられ〜上手投げられで、千代大海の負け〜」
「押し出され〜押し出されで、魁皇の負け〜」
「うっちゃられ〜うっちゃられで、栃東の負け〜」
こうすれば朝青龍に、自分が強いからではなく、相手が弱いから勝てたかのような、あまり嬉しくない気分にさせることができるのである。負けた力士はたまらないだろうが、相撲の興隆のための人柱と覚悟してもらいたい。
またNHKのアナウンサーや解説者も協力して受動態を駆使し、いったい朝青龍が強いのか弱いのか分らなくする工夫をしてもらいたいものだ。
「しかし朝青龍は、今場所も琴欧州に負けられましたね。昨年の春場所から、一度も琴欧州には勝たれていません。朝青龍がどうしても琴欧州に負けられてしまうのはどういったあたりに原因があるんでしょうか、尾車親方」
「そうですねえ、いつも朝青龍がすばやく先手を取って琴欧州に攻め入るスキを与えないので、負けられてしまうんですね」
新聞も同じだ。スポーツ紙の第一面で「朝青龍、前人未踏の七連覇!」なんて持ち上げず、芸能欄の隅の小さなコラムで「またしても朝青龍に優勝される!」という見出しをつけて、猫ひろしのコメントでも添えておけばいい。それもこれも相撲界の将来のためなのだ。
【能動態】
プライドがあるなら絶対に受動態を使ってはならない。「おれ、真知子に振られた、彼女に飽きられた〜」などと男が言うのは見苦しい。特に、宿命的に女性とは縁のなさそうな風采の男が泣きながら言うのは、街の景観を守る意味からも、やめてもらいたい。
ふつう、女が男に振られた場合、かわいそうねと、周囲が同情してくれるうえに「あんなロクでもない男、さっさと忘れちゃいなよ」と、共闘してくれるものだが、逆に男が女に振られると、はははー格好わりー、お前ほんとうにモテないなあ、女はもう諦めて禅寺へ入るがよい、などと言って、誰も同情してはくれないのだ。
だからここは能動態で「真知子がおれを振った、彼女はおれを飽きた〜」と、何だか他人事のように言ってしまえば体面は保てる。しかも、日本語を習いたての外国人のように、助詞をすっ飛ばして「マチコ、オレ、フッタ」と言えば、いったいどっちがどっちを振ったのかよく分らず、うやむやにすることも可能なのである。
しかし、能動態ではどうも日本語として不自然だというのであれば、受動態をさらに受動態(〜れられる、〜られられる)にすればいい。つまり真知子が「おれが振られる」という行為を「おれ」にされた、ということにするわけで、「真知子はおれに振られられた、彼女は飽きられられた〜」と言えば、誰だって真知子が振られたと錯覚するだろう。これであなたのプライドは盤石だ。
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神代の昔から、男性は能動的、女性は受動的と決まっている。男性が能動的だからこそ社会が保たれているといっていい。実際、犯罪者のなかで男性の割合が大半を占めているが、そのおかげで女性の犯罪者の割合が低いのだから、女性犯罪への抑止効果があるといえる。もしこの世から男性がいなくなったら、犯罪者は女性ばかりになってしまうだろう。
男性が能動的なのは行動だけではない。趣味趣向にも言えるのだ。たとえば、mixi会員のトップページのプロフィール欄にはたいてい、好きな映画や有名人の名前が並べてあるが、たいていの男性会員が挙げている映画といえば、
『ダーティハリー』『ダーティハリー2』『ダーティハリー3』『ダーティハリー4』『ダーティハリー5』
などなど、いずれも能動的な作品ばかりである。一方、ほとんどの女性が挙げる好きな映画の代表といえば、
『猿の惑星』『続・猿の惑星』『新・猿の惑星』『猿の惑星・征服』『最後の猿の惑星』『猿の惑星』(リメイク版)
といった、どれもこれも非常に受動的な作品ばかりだ。このように、能動受動に関しては、男女の差が歴然としていて、それが社会の安定を生んでいるのだが、環境ホルモンによる男性のメス化のせいか、最近では男性の会員でも、

のような受動的な映画を挙げるようになり、逆に女性会員が、
『釣りバカ日誌』『釣りバカ日誌2〜6』『釣りバカ日誌スペシャル』『釣りバカ日誌7〜10』『花のお江戸の釣りバカ日誌』『釣りバカ日誌イレブン』『釣りバカ日誌12史上最大の有給休暇』『釣りバカ日誌13ハマちゃん危機一髪!』『釣りバカ日誌14お遍路大パニック!』『釣りバカ日誌15ハマちゃんに明日はない!?』『 釣りバカ日誌16浜崎は今日もダメだった♪』『釣りバカ日誌17あとは能登なれハマとなれ!』『釣りバカ日誌18』(8月公開予定)
といった極めて能動的な作品を挙げるようになってきた。私はこの男女の性質の逆転が、官僚の腐敗やダイオキシン汚染、天保の飢饉、ムガール帝国の滅亡、そして、隕石の衝突が引き起こした気象の激変による恐竜の絶滅といった災厄の原因になっているのではと危惧するのである。
【ながよしかつゆき/フン族】katz@mvc.biglobe.ne.jp
あれ、朝青龍が初日から連敗してしまった。勝ちまくってくれなければ今回のコラムの面白味が半減するではないか。ほんとに頭に来る力士だ!
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by G-Tools , 2007/03/15