音喰らう脳髄[28]いつか来た道?
── モモヨ ──

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葉桜の季節だなどとうそぶいているうちに、ひどく暑い時節に突入してしまった。このところ、寒いか暑いかのいずれだ。それがどうも気にくわない。いわゆる快適な時節はどこへいったものか、どうも妙である。4月から普通に夏日があったりしているわけで、これは、もうどう考えても温暖化の影響だろう。すでにぬきさしならないところに人類は来ているのだ。

そんなことがあからさまだというのに、国際会議ではぬるい応酬が続いている。先進国が温暖化の責任を負うべきだと発展途上国が主張しているとか、ニュースを耳にしたが、どうもよくわからない。発展途上国という曖昧な表現は避けたほうがいいのではないか、そう思う。なにしろ地球の未来を占う大事な会議だ。出席者それぞれの態度は、せめて国別に明示すべきである。


例えばアメリカの場合、京都議定書の時に、温暖化に対して、ある科学者の仮説にすぎないと主張し、冷たい態度をとったことを世界中が目撃している。かの大国は、その後、すべてを曖昧に晦ましながら、環境汚染に対して致命的ともなりうる決断を下したことを誤魔化そうとしているわけだが、そうはいかない。私は、絶対に忘れないだろう。何か行動するつもりはない。生涯、アメリカのとった態度を忘れない。そして代々言い伝えてやる。

先進国対発展途上国という単純化した図式はどうでもいい。どっちにしたって各国代表がぬるいのは目に見えている。

ヨーロッパで温暖化など環境の問題が国家規模で認識されたのだって、ここ数年のことだ。それまでは、ずっと『温暖化が進行している《かも》知れない』程度の物言いを貫いてきた。

こんな悠長なことを続けていてどうなるか、そんなことは誰だって知っている。しかし歯止めがかからない。馬鹿みたいなものだ。後の世の歴史家はこの事態を指して人類の愚かさを云々するだろうが、弁解のしようもない。たしかに愚かなのだ。どうしようもない。

現在、我が国がかかえている問題、年金制度の破綻や自治体の破産だって、どうにもならないような壊滅的な事態となってからやっと対外的に認めたわけで、そのパターンでいえば、地球がボロボロで再生不可能になってはじめて、この危機的状況を認めるに決まっている。国際政治だろうと市町村のそれだろうと根源的なありようは似たようなものなのかもしれない。誰が、ということが見えないうちは、平気で馬鹿なことをしでかす。匿名性を利用して呆けてみせる。

発展途上国といわれている国が環境対策に真剣でない、ということも、よくわからない。地球温暖化、海面上昇や砂漠の肥大化で影響を被るのは多くそうした国である。そればかりではない。こうした問題に国家運営にたずさわる者が無頓着でいると、かつて日本が高度成長期に体験した工場の廃液や煤煙による公害だって再現されることになる。そうなれば、自国民に対するテロに等しい。そんなことまで考えてしまう。

国民の命を大事にしない国家というものを私たちはなかなか想像できない。が、たしかにそういう地獄は存在する。例えば、ミャンマーではいまだに多くの人々が政治犯として獄に繋がれているし、国民虐殺の噂もささやかれる。ミャンマーだけではない。他にも、民人の不幸をくらって国家中枢の要職につく者だけが贅沢な生活をしている国が、私達に身近なこのアジアには幾らもある。

直接、暴力をふるわなくても、こうした公害で国民を損なうのも似たようなものだ、そう考えるうちに、ミャンマーに昭和の工業地帯が二重写しに見えた。

この道はいつか来た道。

Momoyo The LIZARD
管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>


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