<心に猫が足りなくなったら>
■装飾山イバラ道[2]
猫動画を見る
武田瑛夢
■新連載 気になるデザイン
来年の年賀状について気になる少々のこと。
津田淳子
■全国写真展カレンダー・11月 Ver.2.00
■装飾山イバラ道[2]
猫動画を見る
武田瑛夢
■新連載 気になるデザイン
来年の年賀状について気になる少々のこと。
津田淳子
■全国写真展カレンダー・11月 Ver.2.00
■装飾山イバラ道[2]
猫動画を見る
武田瑛夢
< https://bn.dgcr.com/archives/20071113140200.html
>
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iPod touchを買ったはいいけれど、未だ大した活用ができていない毎日。これがはじめてのiPod購入なので、音楽を持ち歩くということが必要な人ではなかったらしい。
私が家でWEBを見るにはリビングのWindowsノートPCを使うし、メールを書くのは自分の部屋のMacだ。iPod touchが活躍する場は最初からあまりなかったのかも?
iPod touchではYouTubeのプレーヤーがついているので、これを見てみた。すると、動画がフル画面に再生されて驚くほどきれいだ。もちろん元になる動画の画質にもよるけれど、PCで見るよりもなめらかで美しく感じる。
iPod touchの入力システムは慣れれば不思議とスムーズだけど、まだまだ長い文を入れるのはおっくう。私がYouTubeの検索ワードに入れる言葉はたいがいいつも「kitten」。子猫ですね。私はマンション住まいの猫を飼えない猫好きなので、新しい猫動画をチェックするのが楽しみなのだ。
でも、そうそうレベルの高い猫動画は新しく上位のランクに来ないので、いつも同じ動画を見てしまう。iPod touchの画面ではYouTubeの必要部分だけがうまく表示されるようになっているので、画面をタップして快適に動画を選ぶことができる。
最近人気の猫動画は「Kitten and his box(ティッシュの箱の中にいる子猫)」や「Kitten eating melone(メロンを食べる子猫)」「Husky & Kitten(ハスキーと子猫)」などだ。
これが世界の猫好きが見ずにいられない旬の猫動画なのだ。ほとんどの猫動画は、飼い主が猫のおもしろい動きをただずっと撮っている。特にストーリー性もなく、最初から最後まで同じシーンの連続だったりする。
例えば「メロンを食べる子猫」は、最初から最後まで子猫がメロンを食べ続けて終わるのだ。そんな起承転結のない動画になぜ心奪われてしまうのだろう。
猫好きは猫が何をしていようとかわいいので、動画のスタートと同時に「!」と嬉しい驚きが起こる。猫の動作に勝手に期待したり、がっかりしたり、たいしたオチがなくとも満たされて許したりする。だからきっと、見てる側の心の中の一喜一憂による起承転結が作られているようなものなのだ。
しかし、どうもこれは相当な猫好きに限るようで、猫をそんなに好きでもない人にとってはただの緩やかな動画に過ぎないみたい。他人の家の子供の運動のビデオみたいに(興味がないとつらいですよね)。見ている人の心の中にこそコンテンツの旨味が存在しているんだと思う。
動画サイトでは、動画の再生された回数でその魅力を確認し、「みんながおもしろい」と思うものに加わることができる。そして一度見たら気が済むタイプの動画と違って、動物ジャンルの動画は何度見ても楽しい。同じ動画を何度も見る感覚は、好きな音楽を何度も聴くのと似ている。癒し感覚のリピートみたいな感じだ。
時間的には音楽の一曲分くらいの短さで、自分を楽しませることができる猫動画はとっても手軽な気分転換になる。そういう意味では、iPod touchは「動画を身近に置く」ための道具として、私にとっても十分に役に立っているのかも。心に猫が足りなくなったらすぐに補給できるので安心だ。
iPod touchを寝転がって見ると、手のひらの中に猫動画が動く幸せ。他のipodシリーズのようにかっこいいケースが欲しいところだけど、ほとんどが画面のこの形を美しく包むのはむずかしいだろうな。
【たけだ・えいむ】eimu@eimu.com
ibookを運ぶリュックが背中をこすって服が傷むのが最近の悩み。
装飾アートの総本山WEBサイト“デコラティブマウンテン”
< http://www.eimu.com/
>
新刊「やさしいデザイン」誰でもかんたん、レイアウト・配色・文字組
エムディエヌコーポレーション発行 インプレスコミュニケーションズ発売
< http://www.mdn.co.jp/content/view/3983/
>
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■新連載 気になるデザイン
来年の年賀状について気になる少々のこと。
津田淳子
< https://bn.dgcr.com/archives/20071113140100.html
>
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デジクリ読者のみなさま、こんにちは。編集者の津田淳子と申します。私はグラフィック社という小さな専門出版社でデザイン系書籍の編集をする毎日ですが、そんな日々の中で気になった話を、気の赴くままに書かせていただきます。
今月1日から2008年の年賀状が売り出されましたが、郵政民営化のせいなのかなんなのか、すごいことになってますね。まず驚いたのが、佐藤可士和さんデザインの「デザイン年賀」。
< http://www.yubin-nenga.jp/main/html/products/design/index.html#dn
>
表面(宛名面)が5種類、裏面は7カテゴリ各5種類ずつのデザインがあり、計35種類。デザインについては、みな思うことそれぞれだと思いますが、民営化されたとはいえ、郵便はがきという超オフィシャルなものにまで佐藤可士和さんが登場したことに、改めてその人気(?)がすごいものなんだなと驚いた次第です。
今まで「人気デザイナー」といっても、その業界の中でのスターという位置づけがほとんどだったと思うのですが、日本経済新聞社から単行本を出したり(かつそれが売れているそうですね)、『AERA』の表紙になったりと、デザイナーというと「洋服を作ってるの?」なんていう認識しかなかったであろう一般の方々にも、広くその名が知れ渡っているんですね。すごい。
このデザイン年賀状、発行枚数は1050万枚だそうですが(ちなみに年賀はがき全部の発行枚数は39億1650万枚)、どのくらい売れるんでしょうかね。私は年に一度の挨拶状くらいは自分でつくりたいと思うので買いませんが、他のみなさんはどう思うものなんでしょうか。気になります。
で、まあ、デザイン年賀状はそれはそれなんですが、それより気になるのが、同じく今年から新登場した「カーボンオフセット年賀状」!
< http://www.carbonoffset-nenga.jp/index.html
>
※カーボンオフセット
二酸化炭素を相殺する「カーボンオフセット」が注目されている。みずから排出した二酸化炭素の量を何らかの方法で計算。その結果に応じて、二酸化炭素の吸収に寄与する環境保護事業に対して、相応分の寄付などを行う仕組み。寄付の対象になる事業には、植林、森林保護、代替エネルギーの開発や利用などがある。「オフセット」(offset)には、埋め合わせや相殺の意味がある。このカーボンオフセット年賀状は定価が55円で、そのうち5円が寄付金。その寄付金は「「グリーン開発メカニズム」を活用して、CO2の削減プロジェクト(国連承認済)を支援し、京都議定書で定められたマイナス6%達成のために役立てられます(日本郵便Webサイトより)」というものらしいのです。
環境問題を考えた商品自体はいいと思うのですが、その年賀状の宛名面の印刷、どうにかならないもんですか? サイトで実物を見てもらえるとわかると思いますが、通常の年賀状は朱色1色(+くじ番号のバリアブル印刷1色)ですんでいるのに、カーボンオフセット年賀状は、そのマークを入れるために4色印刷になっちゃってるんですよ! なんて無駄なことを……。
< http://www.carbonoffset-nenga.jp/design.html
>
ある大手企業の名刺も、今までは墨1色で刷っていたのに、温暖化防止のためのCO2削減プロジェクト「チームマイナス6%」のシンボルマークを入れたためにプラス2色印刷になっちゃってて、なんだかなぁ……と思っていましたが、まったくもうちょっと根本的に考えた方がいいのではないでしょうか。
インキの使用量や印刷コストがかさむことが、温室効果ガスの排出とどう関係しているのかということは正直わかりませんが、でも「無駄な」インキやコストがかかっていることは確かなわけで、この無駄を省いても、同じ効果をあげるデザインってできるんではないでしょうか。とかなんとか思う訳です。
……と、そ〜んなこと言っている私が、「お前の作っている本の方が無駄ばっかりじゃないか!」などと言われそうな、紙やインキをめちゃめちゃ使っている本ばかり作っているので、反応が怖いのですが(苦笑)、今後ともお見知りおきのほどよろしくお願い致します。
【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp
今、一番ほしいものはUV(紫外線)照射器。なんでかって? へへへ、それは内緒です(笑)。
最近作った本は『デザインのひきだし vol.3』『田名網敬一 デイドリーム』『デザイン・制作のセオリー』『しかけのあるブックデザイン』など。
< http://www.graphicsha.co.jp/
>
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■全国写真展カレンダー・11月 Ver.2.00
< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/01.pdf
>
< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/02.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/03.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/04.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/05.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/06.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/07.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/08.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/09.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/10.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/11.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/12.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/13.pdf
>
< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/14.pdf
>
姉妹紙「写真を楽しむ生活」編集上の整理のためにつくったもので、まだ不完全ですが、日本全国約220か所のギャラリー、美術館の11月の写真展を一覧できるカレンダーです。
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■編集後記(11/13)
・「デートDV(ドメスティック・バイオレンス)」なる変な言葉があるのを初めて知った。内閣府が、若い恋人同士の間で起きる「デートDV」の調査結果を発表したという新聞記事からである。DVはわかるが、デートまで範囲を広げて問題にしているのはどういう意図か。ジェンダー系、人権系の運動だろうか。なんだかいや〜な感じがする。その内閣府の調査といっても、ネットをつかいながらわずか358人からの有効回答しかないというのもずいぶんお粗末。そのなかで、通信手段であるべき携帯電話が相手に干渉したり束縛したりする道具になり、精神的被害を与えているというケースには注目。電話やメールにすぐ返信しないと怒られる、一日に何度も定期的に行動を報告するよう命じられた、なんてデートDV(?)が男女別に数字を挙げられていた。う〜ん、これは煩わしいだろうな。便利と引き換えに、とんでもないストレスを背負い込んじゃったわけね、お気の毒に、と携帯電話持っていてもほとんど使わない(メールもつかわない)わたしは思う。そういえば、防衛省が幹部の夜間、休日の行動の把握に、衛星利用測位システム(GPS)対応の携帯電話の導入を検討し、省内から反発が出ているとの報道もあったが、未だにそれが導入されていなかったのかという方に驚きがある。でも、常識的に考えて、制服組の幹部は非常時にそなえて常に居場所を分かるようにしているはずだ。平常時の行動を把握されるのが嫌だというのは背広組なんだろう。しかし、「品位を保つ義務」が定められ、倫理規定で「職務に従事していない場合でも、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならない」のが自衛隊、防衛省なのだ。でもそれは防衛省に限らず、すべての公務員に求められている倫理である。トンデモ公務員にはみせしめになるような超厳罰が必要と思う昨今。わたしのことえり君はいつも「防衛賞」と変換する。教育が必要。(柴田)
・調査範囲を広げること自体には異議はないです。結婚前や不倫でも物騒な事件はありますし。ただ「デートDV」という言葉がいやですね。「援助交際」とか「いたずら」「いじめ」「万引き」なども。それらは暴力だったり、猥褻強姦だったり、売春買春に恐喝に窃盗。「デートDV」も単語だけだと軽めに思っちゃいますね。デートやん、って。でも結婚という形をとってなくても、暴力(精神的暴力含む)を受けながら離れられない人って多そうですよね。男女関係なく。気付いていないだけで、耐えている人は多そうな気がします。気付くことが大切だから、調査と発表は続けていって欲しいな。実例を挙げていってくれたら、マスコミが取り上げて広まるから。自殺については自殺対策基本法が立法されてからは統計報告やニュースが増えているし。「WHOによる自殺予防の手引き」を読んで、話を聞いて、世に広まっている間違いを知ったよ。/何のテレビ番組かは知らないのだが、恋愛達人らが、異性の考えがわかっているかどうかテストされるというものがあるらしい。教えてもらった例。男性は何と言ってもらったら嬉しいか。「かっこいい」「やさしい」「おもしろい」「センスいい」。私は「かっこいい」を選んだ。恋愛達人らもそうらしい。答えは「おもしろい」。「かっこいい」だと外見だけを褒められているような気がするからだって。うーん、「かっこいい」には生き方や対応方法も含まれるのだが。でも内面を示す「やさしい」もダメなんだって。(hammer.mule)
< http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/
> 手引き
< http://www.tv-asahi.co.jp/londonhearts/
>
聞いたぞ。オトコ試験だって。一週間限定配信。急げ。
猫動画を見る
武田瑛夢
< https://bn.dgcr.com/archives/20071113140200.html
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iPod touchを買ったはいいけれど、未だ大した活用ができていない毎日。これがはじめてのiPod購入なので、音楽を持ち歩くということが必要な人ではなかったらしい。
私が家でWEBを見るにはリビングのWindowsノートPCを使うし、メールを書くのは自分の部屋のMacだ。iPod touchが活躍する場は最初からあまりなかったのかも?
iPod touchではYouTubeのプレーヤーがついているので、これを見てみた。すると、動画がフル画面に再生されて驚くほどきれいだ。もちろん元になる動画の画質にもよるけれど、PCで見るよりもなめらかで美しく感じる。
iPod touchの入力システムは慣れれば不思議とスムーズだけど、まだまだ長い文を入れるのはおっくう。私がYouTubeの検索ワードに入れる言葉はたいがいいつも「kitten」。子猫ですね。私はマンション住まいの猫を飼えない猫好きなので、新しい猫動画をチェックするのが楽しみなのだ。
でも、そうそうレベルの高い猫動画は新しく上位のランクに来ないので、いつも同じ動画を見てしまう。iPod touchの画面ではYouTubeの必要部分だけがうまく表示されるようになっているので、画面をタップして快適に動画を選ぶことができる。
最近人気の猫動画は「Kitten and his box(ティッシュの箱の中にいる子猫)」や「Kitten eating melone(メロンを食べる子猫)」「Husky & Kitten(ハスキーと子猫)」などだ。
これが世界の猫好きが見ずにいられない旬の猫動画なのだ。ほとんどの猫動画は、飼い主が猫のおもしろい動きをただずっと撮っている。特にストーリー性もなく、最初から最後まで同じシーンの連続だったりする。
例えば「メロンを食べる子猫」は、最初から最後まで子猫がメロンを食べ続けて終わるのだ。そんな起承転結のない動画になぜ心奪われてしまうのだろう。
猫好きは猫が何をしていようとかわいいので、動画のスタートと同時に「!」と嬉しい驚きが起こる。猫の動作に勝手に期待したり、がっかりしたり、たいしたオチがなくとも満たされて許したりする。だからきっと、見てる側の心の中の一喜一憂による起承転結が作られているようなものなのだ。
しかし、どうもこれは相当な猫好きに限るようで、猫をそんなに好きでもない人にとってはただの緩やかな動画に過ぎないみたい。他人の家の子供の運動のビデオみたいに(興味がないとつらいですよね)。見ている人の心の中にこそコンテンツの旨味が存在しているんだと思う。
動画サイトでは、動画の再生された回数でその魅力を確認し、「みんながおもしろい」と思うものに加わることができる。そして一度見たら気が済むタイプの動画と違って、動物ジャンルの動画は何度見ても楽しい。同じ動画を何度も見る感覚は、好きな音楽を何度も聴くのと似ている。癒し感覚のリピートみたいな感じだ。
時間的には音楽の一曲分くらいの短さで、自分を楽しませることができる猫動画はとっても手軽な気分転換になる。そういう意味では、iPod touchは「動画を身近に置く」ための道具として、私にとっても十分に役に立っているのかも。心に猫が足りなくなったらすぐに補給できるので安心だ。
iPod touchを寝転がって見ると、手のひらの中に猫動画が動く幸せ。他のipodシリーズのようにかっこいいケースが欲しいところだけど、ほとんどが画面のこの形を美しく包むのはむずかしいだろうな。
【たけだ・えいむ】eimu@eimu.com
ibookを運ぶリュックが背中をこすって服が傷むのが最近の悩み。
装飾アートの総本山WEBサイト“デコラティブマウンテン”
< http://www.eimu.com/
>
新刊「やさしいデザイン」誰でもかんたん、レイアウト・配色・文字組
エムディエヌコーポレーション発行 インプレスコミュニケーションズ発売
< http://www.mdn.co.jp/content/view/3983/
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■新連載 気になるデザイン
来年の年賀状について気になる少々のこと。
津田淳子
< https://bn.dgcr.com/archives/20071113140100.html
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───────────────────────────────────
デジクリ読者のみなさま、こんにちは。編集者の津田淳子と申します。私はグラフィック社という小さな専門出版社でデザイン系書籍の編集をする毎日ですが、そんな日々の中で気になった話を、気の赴くままに書かせていただきます。
今月1日から2008年の年賀状が売り出されましたが、郵政民営化のせいなのかなんなのか、すごいことになってますね。まず驚いたのが、佐藤可士和さんデザインの「デザイン年賀」。
< http://www.yubin-nenga.jp/main/html/products/design/index.html#dn
>
表面(宛名面)が5種類、裏面は7カテゴリ各5種類ずつのデザインがあり、計35種類。デザインについては、みな思うことそれぞれだと思いますが、民営化されたとはいえ、郵便はがきという超オフィシャルなものにまで佐藤可士和さんが登場したことに、改めてその人気(?)がすごいものなんだなと驚いた次第です。
今まで「人気デザイナー」といっても、その業界の中でのスターという位置づけがほとんどだったと思うのですが、日本経済新聞社から単行本を出したり(かつそれが売れているそうですね)、『AERA』の表紙になったりと、デザイナーというと「洋服を作ってるの?」なんていう認識しかなかったであろう一般の方々にも、広くその名が知れ渡っているんですね。すごい。
このデザイン年賀状、発行枚数は1050万枚だそうですが(ちなみに年賀はがき全部の発行枚数は39億1650万枚)、どのくらい売れるんでしょうかね。私は年に一度の挨拶状くらいは自分でつくりたいと思うので買いませんが、他のみなさんはどう思うものなんでしょうか。気になります。
で、まあ、デザイン年賀状はそれはそれなんですが、それより気になるのが、同じく今年から新登場した「カーボンオフセット年賀状」!
< http://www.carbonoffset-nenga.jp/index.html
>
※カーボンオフセット
二酸化炭素を相殺する「カーボンオフセット」が注目されている。みずから排出した二酸化炭素の量を何らかの方法で計算。その結果に応じて、二酸化炭素の吸収に寄与する環境保護事業に対して、相応分の寄付などを行う仕組み。寄付の対象になる事業には、植林、森林保護、代替エネルギーの開発や利用などがある。「オフセット」(offset)には、埋め合わせや相殺の意味がある。このカーボンオフセット年賀状は定価が55円で、そのうち5円が寄付金。その寄付金は「「グリーン開発メカニズム」を活用して、CO2の削減プロジェクト(国連承認済)を支援し、京都議定書で定められたマイナス6%達成のために役立てられます(日本郵便Webサイトより)」というものらしいのです。
環境問題を考えた商品自体はいいと思うのですが、その年賀状の宛名面の印刷、どうにかならないもんですか? サイトで実物を見てもらえるとわかると思いますが、通常の年賀状は朱色1色(+くじ番号のバリアブル印刷1色)ですんでいるのに、カーボンオフセット年賀状は、そのマークを入れるために4色印刷になっちゃってるんですよ! なんて無駄なことを……。
< http://www.carbonoffset-nenga.jp/design.html
>
ある大手企業の名刺も、今までは墨1色で刷っていたのに、温暖化防止のためのCO2削減プロジェクト「チームマイナス6%」のシンボルマークを入れたためにプラス2色印刷になっちゃってて、なんだかなぁ……と思っていましたが、まったくもうちょっと根本的に考えた方がいいのではないでしょうか。
インキの使用量や印刷コストがかさむことが、温室効果ガスの排出とどう関係しているのかということは正直わかりませんが、でも「無駄な」インキやコストがかかっていることは確かなわけで、この無駄を省いても、同じ効果をあげるデザインってできるんではないでしょうか。とかなんとか思う訳です。
……と、そ〜んなこと言っている私が、「お前の作っている本の方が無駄ばっかりじゃないか!」などと言われそうな、紙やインキをめちゃめちゃ使っている本ばかり作っているので、反応が怖いのですが(苦笑)、今後ともお見知りおきのほどよろしくお願い致します。
【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp
今、一番ほしいものはUV(紫外線)照射器。なんでかって? へへへ、それは内緒です(笑)。
最近作った本は『デザインのひきだし vol.3』『田名網敬一 デイドリーム』『デザイン・制作のセオリー』『しかけのあるブックデザイン』など。
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■全国写真展カレンダー・11月 Ver.2.00
< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/01.pdf
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< http://www.dgcr.com/photo/cal/200711/14.pdf
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姉妹紙「写真を楽しむ生活」編集上の整理のためにつくったもので、まだ不完全ですが、日本全国約220か所のギャラリー、美術館の11月の写真展を一覧できるカレンダーです。
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■編集後記(11/13)
・「デートDV(ドメスティック・バイオレンス)」なる変な言葉があるのを初めて知った。内閣府が、若い恋人同士の間で起きる「デートDV」の調査結果を発表したという新聞記事からである。DVはわかるが、デートまで範囲を広げて問題にしているのはどういう意図か。ジェンダー系、人権系の運動だろうか。なんだかいや〜な感じがする。その内閣府の調査といっても、ネットをつかいながらわずか358人からの有効回答しかないというのもずいぶんお粗末。そのなかで、通信手段であるべき携帯電話が相手に干渉したり束縛したりする道具になり、精神的被害を与えているというケースには注目。電話やメールにすぐ返信しないと怒られる、一日に何度も定期的に行動を報告するよう命じられた、なんてデートDV(?)が男女別に数字を挙げられていた。う〜ん、これは煩わしいだろうな。便利と引き換えに、とんでもないストレスを背負い込んじゃったわけね、お気の毒に、と携帯電話持っていてもほとんど使わない(メールもつかわない)わたしは思う。そういえば、防衛省が幹部の夜間、休日の行動の把握に、衛星利用測位システム(GPS)対応の携帯電話の導入を検討し、省内から反発が出ているとの報道もあったが、未だにそれが導入されていなかったのかという方に驚きがある。でも、常識的に考えて、制服組の幹部は非常時にそなえて常に居場所を分かるようにしているはずだ。平常時の行動を把握されるのが嫌だというのは背広組なんだろう。しかし、「品位を保つ義務」が定められ、倫理規定で「職務に従事していない場合でも、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならない」のが自衛隊、防衛省なのだ。でもそれは防衛省に限らず、すべての公務員に求められている倫理である。トンデモ公務員にはみせしめになるような超厳罰が必要と思う昨今。わたしのことえり君はいつも「防衛賞」と変換する。教育が必要。(柴田)
・調査範囲を広げること自体には異議はないです。結婚前や不倫でも物騒な事件はありますし。ただ「デートDV」という言葉がいやですね。「援助交際」とか「いたずら」「いじめ」「万引き」なども。それらは暴力だったり、猥褻強姦だったり、売春買春に恐喝に窃盗。「デートDV」も単語だけだと軽めに思っちゃいますね。デートやん、って。でも結婚という形をとってなくても、暴力(精神的暴力含む)を受けながら離れられない人って多そうですよね。男女関係なく。気付いていないだけで、耐えている人は多そうな気がします。気付くことが大切だから、調査と発表は続けていって欲しいな。実例を挙げていってくれたら、マスコミが取り上げて広まるから。自殺については自殺対策基本法が立法されてからは統計報告やニュースが増えているし。「WHOによる自殺予防の手引き」を読んで、話を聞いて、世に広まっている間違いを知ったよ。/何のテレビ番組かは知らないのだが、恋愛達人らが、異性の考えがわかっているかどうかテストされるというものがあるらしい。教えてもらった例。男性は何と言ってもらったら嬉しいか。「かっこいい」「やさしい」「おもしろい」「センスいい」。私は「かっこいい」を選んだ。恋愛達人らもそうらしい。答えは「おもしろい」。「かっこいい」だと外見だけを褒められているような気がするからだって。うーん、「かっこいい」には生き方や対応方法も含まれるのだが。でも内面を示す「やさしい」もダメなんだって。(hammer.mule)
< http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/
> 手引き
< http://www.tv-asahi.co.jp/londonhearts/
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聞いたぞ。オトコ試験だって。一週間限定配信。急げ。