[2338] シテヤラレタ オブ ザ イヤーの巻

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<なんか熱く語っちゃったなあ>

■わが逃走[12]
 シテヤラレタ オブ ザ イヤーの巻
 齋藤 浩

■伊豆高原へいらっしゃい[5]
 映画「コンタクト」に星空を重ねて
 松林あつし

■マガジンガイド&プレゼント
 『Web Designing』2008年1月号 毎日コミュニケーションズ刊

■マガジンガイド
 『コマーシャル・フォト』2008年01月号


■わが逃走[12]
シテヤラレタ オブ ザ イヤーの巻

齋藤 浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20071220140400.html
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1●作り手の思想に共感したい。

20世紀の終わり頃のことだけど、iMacが初めて登場したときは衝撃的だった。それまでのパソコンといったら、ただの事務的な白い箱とブラウン管モニタとの組合せを意味していたが、そんな常識を覆す半透明の一体型ボディ、ネットワークに接続されることを前提として装備されたさまざまな機能。

そして、何よりも画期的だったのは“フロッピーディスクドライブを内蔵していなかった”ことだと思う。iMacはAppleが提唱するこれからのパソコンのあり方を、そのまま具現化したプロダクトだった(つまり、フロッピーの容量程度の情報は、これからはネットワークを介してやりとりすべきだ、ということを消費者に提唱したのだ。これはある意味“教育”ともいえる)。

そのときのAppleのスローガンコピーは、Think different.“美しい国”じゃないけど、広告代理店の言われるがままに高い金を払って、どうとでも解釈できるようなうわべだけスローガンを掲げる企業がいまだ多い我が国ですが、Appleは10年も前に、自ら掲げたスローガンをiMacという商品として世に送り出していた訳だね。

ご存知のとおりiMacは大ヒット商品となった。この場合の“買った人”とは、Appleの考え方に賛同した人、ということになる。

ここには作り手側と使い手との幸福な関係があった。「こんなパソコンがほしい」というアンケートの結果に基づいた最大公約数的な商品なんかじゃない。想像力のはるか先にあったであろうものを目の前につきつけられた我々は、こいつを使って、こんどはAppleがびっくりするようなものを作ってやるぜ! 的な気持ちになり、ある意味メーカーとユーザーの共鳴現象のようなものを感じたものだ。

2●マーケティング信奉者に告ぐ。

そういった訳で、少なくともモノやコトを世に送り出す立場の企業や人は、自らを作り手と考えるべきなのではないか、と思うのだ。売り手と買い手の関係にはなくて、作り手と使い手の関係にあるものとは何ぞや? それは「ものづくり魂」なのではないか。

最近、広告がつまらなくなってきたと思う。最近テレビ番組がつまらなくなってきたと思う。世の中が何を求めているかを知ることは必要なことだが、主導権はあくまでも設計者が持つべきでしょう。

スカイラインという車があります。スポーツカーでもあり、ファミリーカーでもある車です。この車、おもしろいことにモデルチェンジの度に車内が狭くなったり広くなったりを繰り返しているのだ。なぜか?

スカイラインをスポーツカーとして乗っているユーザーからは適度にタイトな空間が好まれ、ファミリーカーとして乗っているユーザーからは家族四人がゆったりと乗れる空間を求められる。なので、スポーツ寄りのコンセプトで世に出たモデルに対しては居住性に対する不満がアンケート結果の上位に入り、その結果を踏まえた上で設計された次世代モデルに対してはスポーティさを求める声がアンケート上位を占る結果となる。そんなことがずっと繰り返されてきたのだ。アホくさー。

ところが最近、ちょっとした事件があった。今までスポーツ仕様最高のグレードだったスカイラインGT-Rが日産GT-Rとしてデビュー、スカイラインブランドと決別し、スポーツカーとして独自の路線を歩むことになったのだ。

エラい。やれ、ネームバリューだ伝統だなどという過去のしがらみを捨て、目的に則した日産ならではのスポーツカーの考え方をプロダクトとして示したことは英断といえましょう。

あの強面な顔つきや妙に角張った体つき、好きか嫌いかといえば嫌いだが、ある意味喧嘩神輿的なドメスティックな美意識を感じるともいえる。オレは美しいとは思わないけどね。

まあ個人的な好みは別として、新しいGT-Rには設計者の魂を感じるのだ。いままで割とどうでもよかった自動車メーカーだが、今後の動きに期待したい。また、GT-Rに共感する者たちが、どのような使い方を見せてくれるかが実に楽しみ。少なくとも、北関東のヤンキーの方々に好まれてしまったために、自らもヤンキーくさくモデルチェンジしたシルビアみたいにはならないでほしい。

3●シテヤラレタ オブ ザ イヤー

さて、以上が前置きです。で、年末ということもあり、2007年に私が購入したモノの中で、最も作り手に「してやられたー」と思ったものは何かを考えてみた。ふたつあります。

ひとつはMicro Music Monitor。BOSE製のちっこいスピーカーである。本当にちっこいのだが、たぶん今まで私が所有したどんなスピーカーよりもいい音がする。私はオーディオマニアではないし、音響のことはよくわからない。でも、この小さなボディからこんなに深く厚い音が? という驚きからいまだ醒めないのだ。

前回のワゴンRの話じゃないけど、いわゆるギャップ萌えである。腹に響く低音から脳に抜ける高音まで、見事に再生する。すげえ。今まで何度も聴いていたアルバムも、これを通して聴くと聞こえなかった音に気づいたりして、なにやら未知の領域に踏み込んでしまったような、戸惑いにも似た感動を覚えるのだ。まあ、あえて難癖をつけるとするなら、オレが49,980円で買った後にバッテリー駆動関係を削除したモデルが39,480円で出たことくらいかな。

設計者はおそらく「いかにして使い手を驚かすか」を日々考え、驚いた我々ユーザーの顔を想像しながら作り上げたに違いない。作り手が使い手の顔をきちんとイメージしながら作られた商品は、そのまま使い手が企業の人格を想像するためのイメージソースとなるのである。

さて、もうひとつの「してやられたー」はBESSA-T。2001年に発売されたちょっとクラシックなスタイルのカメラだ。もちろんフィルムカメラ。隣に住む某雑誌編集長おやびん氏(仮名・40代・男性)に激安で譲っていただいたのだが、これが人生でいちばんのお気に入りになってしまった。

いわゆるレンジファインダータイプと呼ばれるもので、一眼レフ台頭以前、最もポピュラーだった方式のカメラだ。おっさん達憧れの『ライカ』型のカメラと言えばわかりやすいかもしれない。

で、BESSAのスゴイところはまずその値段。いきなり値段の話でBESSAには恐縮だが、新品のライカが平気に50万円とかいう値段で売られているのに対して、店によってはその1/10程度の値段で購入が可能だ。もちろん新品が、である。

レンジファインダーカメラは使ってみたい。でもライカは高い。そんな使い手の気持ちを動かすきっかけとして、この値段設定は実に有効だ。

そして、質感。重さとか素材とか、作り手は使い手の気持ちをものすごく理解している。やたら小さく軽いプラスチックのカメラばかり見ていた私にとって、ほどよく手に馴染む大きさ、適度な重さ、そして金属のひんやりとした手触り。忘れていた所有する幸せ、触れる喜びを思い出す。

もちろん、能力もスゴイ。全自動のデジタルカメラでなまってしまった創造力を刺激しまくってくれる。オレ的に言うなら、自己克服型カメラだ。ちゃんと撮ればちゃんと写り、いいかげんに撮るといいかげんにしか写らない。写真を撮るってことは、こういうことだと教育してくれる。まるでカメラを通して、設計者と対話しているかのようだ。

そして改めてネガフィルムの潜在能力に驚く。デジカメで得られるものが「画像」だとすれば、BESSAで得られるものは「写真」。さすがに暗室にこもって現像作業をするほど余裕のある生活はしていないが、DPEであがったネガをフィルムスキャナで読み込み現像ソフトで調整するだけでも、デジカメでは得られないような微細な色が見えてくる。

これって、冒頭に書いたiMacとユーザーとの関係に似てると思う。BESSAは我々に、カメラとは写真とはこういうモンなんだぜ、と提示し、それを受けた我々はカメラに負けない写真を撮ってやるぜ! という気になっちゃうのだ。

4●「ものづくり魂」を呼び覚ませ。

どんな商品にも言えることだが、例えば「小さい方がいい」とか「軽い方がいい」とかいう単調な評価は、おそらく買い手のアンケート結果から生まれた薄っぺらな価値観でしかない。

でも、売り手は「アンケート結果に基づいてお客様の要望に答えた商品を作ったんですが…なんで売れなかったんでしょうねえ」というようにそれを逃げ場として使っていないか。

誰だって自分が担当した商品が販売的に失敗した場合、責任をとりたくない。でも、それを続けることは、使い手にその企業の顔をイメージさせずらくし、結果的に顧客離れを促すことになるのではないか。

どんな会社もどんな人も仕事をする。仕事をするということは頭を使い手をうごかすということだ。直接モノを作ってるとか作ってないとか、そんなことは関係ないかもしれない。どんな人でも「ものづくり魂」は持っているのではないか?

そういった訳で。売り手と買い手の関係から脱却せよ。使い手の顔を想像し、作り手であるという意識を持て。意識をし、覚悟をもつ。それだけで周りが変わってくるはずだ。

はい。という訳で、年内最後の『わが逃走』でした。なんか熱く語っちゃったなあ。ツッコミどころ満載の文章かもしれないけど、このところ気になっていたことを一気に書いてしまいました。スミマセン。でも、つまんないモノを作る資源を得るために温暖化が進み、沖縄の珊瑚礁が壊滅することを思うと悲しくなるのです。

あ、それと今回はちょっとしか触れてませんが、近いうちにBESSAについては、もっと深く狭く語りたいと思っています。それではみなさん、よいお年をー。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
< http://www.c-channel.com/c00563/
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■伊豆高原へいらっしゃい[5]
映画「コンタクト」に星空を重ねて

松林あつし
< https://bn.dgcr.com/archives/20071220140300.html
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今回もSF物で恐縮です。ただ、僕の場合、SFを語る上で映画「コンタクト」は外せないもので……またしばらくお付き合いください。

僕にとって「コンタクト」は好きな映画ベスト3に入る作品です。その魅力を一言で言えば、「哲学満載のSF」ということになるかもしれません。いや、別に堅苦しい映画ではありません。作品の根底にある、リアリティと考え方がしっかりとしている、という部分で共感できるということなのです(実際は頭の痛くなるような映画は大嫌いです)。

では、ストーリーの前半だけ簡単に紹介します。

天文学者であるアロウェイ博士(ジョディ・フォスター)は、巨大な電波望遠鏡(直径305m)を有するアレシボ天文台で電波観測による地球外生命体の探査を続けていた。しかし、天文学の権威、ドラムリンによって予算をカットされてしまい、研究継続のため企業に資金援助を求めるが、ことごとく断られてしまう。最後に訪れた、ハデン財団からようやく援助を取り付け、ニューメキシコの電波望遠鏡群(直径25m27基)を使い研究を続けることになる。4年後、こと座のヴェガ(おりひめ星:地球から約25光年)から送られてた、明らかに人工的な信号をキャッチし、解読に成功する。その内容は「ポッド」と呼ばれる、恒星間移動装置の設計図だった……

う〜ん、これだけだと、興味をそそるような内容は表現できませんね。やはり映像を見てもらわないと……監督が映像に神経を注いだ、というだけあって、見たこともない世界にリアリティを感じさせる映像は必見です。オープニングを例に取りますと……カメラが青い地球からどんどん遠ざかっていきます。それに連れて、背景に流れるサウンド(音楽やニュース)も新しい物から古い物へ変化していきます。カメラが太陽系から離れ、他の恒星系に達する頃にはサウンドはモールス信号になり、やがて無音になります。

これは「コンタクト」と見る上で、まず宇宙の大きさを実感して欲しいという、監督の意思の表れだと思うんです。モールス信号が国際的に使われるようになったのは、1850年頃です。その頃人類は初めて電波を発しました。その電波がどこまで届いているのかをビジュアルと音で表現しているのです(これは、異星人からのコンタクトがあったシーンへの布石となっています)。

では、人類が発した電波はどこまで届いているんでしょうか。最初の発信が1850年ごろだとすると、太陽系を中心に半径160光年ぐらいですね。「へ〜、そんなに?」って思いますか? 我々がいる銀河系の大きさは10万光年もあります。世の中で一番早い「光」のスピードで、銀河を横断するのに10万年かかるのです。もし、銀河系が知的生命で溢れていたとしても、半径160光年までしか文明の「光」を発していない人類の存在には、なかなか気が付かないでしょうね。

他の銀河はどうなんでしょうか。「お隣さん」のアンドロメダ銀河までの距離は230万光年……人間がまだ「サル」と見分けが付かなかった頃の光がようやく今届いているんですね。そんな銀河がこの宇宙には3000万個とも4000万個ともいわれています。宇宙規模で見ると、光なんて止まっているに等しいですね。人間の寿命なんて瞬きほどの長さもありません。地球なんて、サハラ砂漠の一粒の「砂粒」より小さい存在です。そんな砂粒の中で「聖地」がどうの、「境界線」がどうのと争っているのはむなしい限りです。

話はそれましたが、そういう観点で星空を眺めてみれば、また見え方も違ってくるかもしれません。そして「コンタクト」はまさに「そういう観点」で作られた映画なのです。

この映画を語る上でのキーワードが3つあります。まずは「カール・セーガン」、そして「SETI」、最後に「宗教裁判」です。

●カール・セーガン

天文学者であり、宇宙物理学者であり、作家です。そして、この「コンタクト」の原作者でもあります。監督ロバート・ゼメキス(フォレスト・ガンプ、バック・トゥ・ザ・フューチャーなど手がける)と一緒に、映画「コンタクト」の製作にも深く関わりましたが、完成を見ることなく骨髄形成異常症と言う難病で1996年、この世を去りました。僕がカール・セーガン博士を知ったのは1980年放送の、朝日放送「コスモス(宇宙)」というシリーズ番組です。高校生だった僕が、初めて宇宙の深遠さを知らされ愕然とした覚えがあります。同時にBGMとして使われていた「ヴァンゲリス」の音楽に魅了され、シンセミュージックというものを知りました。

●SETI

ジョディ・フォスター演じる、主人公アロウェイ博士が「私はSETIなの」と言うシーンがあります。(フェチではありませんよ^^;)SETIとは、電波観測を中心とした地球外生命体の探査をする機関の「総称」です。知的生命体なら人間と同じく電波を発しているはず、という観点から明らかに人工的と思われるパターンの信号をキャッチしようという試みなのです。その代表格が「SETI@home」です。

SETI計画を進めるには、予算もハードも人員も足りません。そこで、ネットに繋がっている世界中のパソコンをデータ解析の端末として使おうというアイデアが生まれました。SETI@homeのホームページから無料でスクリーンセーバをダウンロードできます。セーバが機能している間にデータの解析を行う仕組みになっています(このSETI@homeは2005年に一旦終了しています。今は母体が変わったのか、新たなSETI@homeとして科学全般の需要に答える仕組みになっているようです)。

●宗教裁判

異星人からのメッセージを解読し、巨大なポッドを5000億ドルかけて制作することになります。しかし、ポッドに乗れるのはたった一人……全世界から候補者が選ばれ、最後にアロウェイ博士とドラムリンが残ります。最終選考の会場で、アロウェイ博士に選考委員から次のような質問が投げかけられます……「宗教的側面をどう考えるか(神を信じているのか?)」しかし、実証主義者である博士は「証拠を提示できない」神の存在を否定します。結果、世界の多くの人々の心情に対する配慮が足りない、という理由で選考から落とされてしまうのです。

このシーンはまさに、有名な「ガリレオ裁判」をモチーフにしているのではないでしょうか。会場も意識的に裁判所のような造りにしてあります(地動説を唱えたガリレオは裁判で自らの間違いを告発する書類に無理矢理サインさせられますが、その後「それでも地球は回る」という名言を残したのはあまりにも有名です)。

アロウェイ博士は結局、秘密裏に造られた「2基目のポッド」に乗り込み、ヴェガへと旅立ちますが、帰ってきた彼女を待っていたのは「本当に行ってきたのか? 狂言ではないのか?」という疑惑の目でした。審議委員会が開かれ、またもや「裁判」にかけられる博士……しかし、今回は「科学的証拠を提示できない報告は信じるに足らない」という内容だったのです。つまり、出発時は「神の名の下の裁判」であり、帰ってきた後は「科学の名の下の裁判」だった、という訳です。

宗教と科学……永遠のテーマです。しかしてその実態は紙一重ということでしょうか……ホーキング博士はじめ、多くの科学者が「神の介在しない宇宙モデル」を確立しようとがんばっていますが、結局それも数学的理論の産物であって、実証不可能ということを考えると、科学もまた宗教と似た側面を持っているのかもしれませんね(何故宇宙があるのか、という問いに科学は未だ答えられません)。

この映画……色々な意味で考えさせられるテーマでありながら、ちゃんとエンターテインメントを保っているところがすごいですね。しかし、ぼくの知人は以前「コンタクト見たけど、笑っちゃったよ!」って感想を言っていました。な〜んか、イマイチだったな、って思う人も当然いると思います。その要因の一つが、「おかしな日本人」の描き方ではないでしょうか。映画のキーパーソンとして、ハデンという財閥のボスが計画の援助をしていきますが、その部下にやたら日本人が多いのです。それも「変な」……何兆円ものお金をポンと出す財団の本拠地が「北海道」ってところも不自然ですね。

しかし、1990年前後の映画には、よく日本人が登場したり、文化的背景が日本的だったりするものが多かったように思います(ブレードランナー等もそうですが)。バブルの影響でしょうか。まだ日本が世界を席巻すると恐れられていた(かどうか?)時代ですね。「コンタクトは」1997年の映画でしたが、まだ「お金持ち」のイメージが残っていたのでしょうね。変わって今、アメリカに対抗する「脅威」として描かれているのは「中国」が多いです。ちょっと寂しいですね……まあ、前記のように「宇宙的観点」で見れば、まさに「そんなの関係ね〜」ってことになるのですが……

最後になりましたが、「コンタクト」の話を締めるには、亡きカール・セーガン博士の原作本のエンディングに触れなければなりません。これは映像では表現できそうもなかったのか、映画ではカットされています。

研究期間で、ある数式の計算が行われていました。それは小学生でも知っている「円周率(π)」の無限計算でした。無秩序な羅列と思われた、決して割り切れない数値が、ある桁数まで行くと、一定のパターンを示し始めます。そのパターンをコンピュータで分析したところ、ひとつの形状が浮かび上がります……なんとそれは「円」の画像だったのです。つまり、宇宙不変の自然法則の中に、丸い画像が隠されていた……「宇宙には人知を越えた意味がある」という結末です。

【まつばやし・あつし】mail@atsushi-m.com
イラストレーター・CGクリエーター
< http://www.atsushi-m.com/
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■マガジンガイド&プレゼント
『Web Designing』2008年1月号 毎日コミュニケーションズ刊
< http://book.mycom.co.jp/wd/
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< https://bn.dgcr.com/archives/20071220140200.html
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<編集部より>

「Web Designing」編集部の井原です、皆さんこんにちは。さあ、いよいよ2008年です。今月号の特集用に2007年1月〜12月までのIT系ニュースをピックアップしていたのですが、出るわ出るわでまとめるのがたいへんでした。せっかくですから、ここで個人的に選んだニュースベスト3を発表したいと思います。

1. 「ReadMe!」がランキング集計休止を発表
テキストサイト全盛期を象徴する老舗ランキングサイトが、11年という長い歴史に幕を下ろしました。一つの時代が終わった、と言えるかもしれません。

2. Tim Berners-Lee氏が騎士爵位に続き、英国有功勲章を受賞
今やインターネット関連企業が球団を持ち、NASDAQがインターネットインデックスを開始する時代。この新しい世界を作り出した“インターネットの父”が、まだ52歳で現役とは驚きです。

3. O'Reilly Media氏が「Web 2.0バブル」を懸念
高騰し続けるWeb2.0系企業の買収額。最近ではGoogleがDoubleClickを31億ドルで買収しました。Web 2.0の提唱者さえ懸念する「バブル崩壊」後は、一体どうなるのでしょうか。

旧時代の終焉に、現代の栄光、将来の不安‥‥。これら2007年の業界トピックスは、今月号の特集1「みんなで語ろう、2007年」の欄外に掲載しています。ぜひチェックしてみてください。

●特集1:みんなで語ろう、2007年
2007年を振り返ると、テレビ番組の内容にねつ造があったり、食品の表示に虚偽があったりと、作り手側が消費者の信頼を裏切るような事件が相次ぎました。一方Web業界では、これまでと少し違うコミュニケーションを楽しめるニコニコ動画やTwitterがブームになるなど、作り手側がユーザーの心を上手くとらえたWebサイト、Webサービスがたくさん登場しました。今年最後の号を飾る本特集では、話題のコンテンツを開発した“あの人”や、Webキャンペーンを成功させた“この人”が大集合。一年を振り返ってもらいました。彼らの話から2007年のキーワードと、これからはじまる2008年の明るい兆しが見えてきます。

●特集2:WebデザイナーのためのCMSツール選び
CMS(Content Management System:コンテンツ管理システム)と呼ばれるツールは、オープンソース系から商用サービスまで、数多く存在しています。この特集ではWebデザイナーが、与えられた予算やサイトイメージ、クライアントの要望をにらみながら、より最適なCMSを選ぶことができる着眼点をまとめました。各CMSの機能について詳しく解説しているほか、それぞれを相対的に比較できる評価チャートも用意しています。

さらに今月号は新連載が目白押し。短期集中連載「非PCデバイスのためのHTML+Flashリファレンス」(樋口泰行)と、コラム「Beyond the Browser_インタラクションの舞台裏」(石橋素/真鍋大度)がスタートしました。短期集中連載では、iPod touchやWiiといった特定端末向けWebサイトの作り方を解説。コラムでは、メディアアート作品とその制作の舞台裏を紹介します。お見逃しなく! 定価1,280円で発売中です。

●本誌を毎日コミュニケーションズよりデジクリ読者2名様にプレゼント。
応募フォームをつかってください。締切は12月25日(火)14時。
当選者(都道府県、姓)はサイト上に1月上旬掲載予定です。
< http://www.dgcr.com/present/list.html
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■マガジンガイド
『コマーシャル・フォト』2008年1月号
< http://www.genkosha.co.jp/np/detail.do?magazine_id=1
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< https://bn.dgcr.com/archives/20071220140100.html
>
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【特集】RETOUCHERS' FILE 2008
広告やエディトリアルなどで使われる写真にとって、もはや不可欠となったデジタルレタッチ。デジタル上で写真をブラッシュアップしたり、フォトグラファーやアートディレクターとともに写真の表現の幅を広げるレタッチャーの存在も、ますます大きなものとなっている。本特集では、広告、雑誌、音楽などの分野でプロとして活躍しているレタッチャー40人と、複数のレタッチャーを擁するプロダクション9社のプロフィールと仕事を紹介する。
12月15日 玄光社刊 定価1,300円(税込み)

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■編集後記(12/20)

・飼い犬のハニー号が今月満10歳になった。人間年齢57歳との説がある。いままでと変わったのは(いきなりじゃないけど)、短気になったというのか、我慢できなくなったというのか、不平不満をあらわにし、やかましい。朝のおやつ(というのはおかしいけど)は、妻が部屋に掃除機をかけたあとにジャーキー、床を拭いたあとに野菜ビスケットという約束になっているようだが、このごろは与えた後すぐにまた要求し「あげたばっかじゃないの」とあきれられている。ボケたじいさんが「かずえさん(仮名)ワシの朝ご飯はまだですかいのぉ」と何度も要求するのに似ている。かつては、よその犬が吠えついてきてもさっさと道をゆずる寛大な犬だったのに、このごろは「なにおー」とばかり攻撃的だ。飼い主のわたしに似るのか。ハニー号はそうは思っていないが(自分の方が上だと思っている)。(柴田)

・コンタクト見たなぁ。感動し、憤った覚えがある。笑うことはなかったなぁ。終わった後、興奮して友人とべらべら話しこんでいたのだが、今はもう記憶が遠のき……また見てみようかな。違う視点で見られるかもしれない。/「ホビットの冒険」が映画化。監督さんは代わっちゃうのね。/iPhoneはドコモかソフトバンクになりそうって。/自民党がYouTube内に公式チャンネル。次に参入するのはどこ?/サンレコ誌のワークショップがアップルストア銀座であったそう。睡蓮のトーク&ライブ。嬉々とした友人からのメールは、満席だった、大満足〜、というようなもの。Logic Pro 8を使用し、調整前調整後の音の聞き比べや、編集画面が見られたらしい。CDが出たって。聞いてみようっと。生好きな私なのだが、睡蓮は生よりCDだなぁ。(hammer.mule)
< http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200712190012.html
>  映画化
< http://www.asahi.com/digital/mobile/TKY200712180398.html
> ドコモか?
< http://jp.youtube.com/LDPchannel
>  LDPチャンネル
< http://www.apple.com/jp/retail/ginza/week/20071216.html
>  これか
< http://www.rittor-music.co.jp/hp/sr/
>  Sound & Recording
< http://www.apple.com/jp/logicstudio/
>  Logic Studio
< http://www.suilen.net/
>  睡蓮