<スーパーカーブームでデザイナーを志した小学1年生>
■わが逃走[19]
スーパーカーブームを思い出してみる。の巻
齋藤 浩
■伊豆高原へいらっしゃい[12]
バーチャルドールの制作と立体出力の可能性
松林あつし
■イベント・展覧会案内
小島健一「見学に行ってきた。」出版記念イベント
荒木経惟写真展「YAMI NO HANA(ARAKI's jewelry and flower)」
■わが逃走[19]
スーパーカーブームを思い出してみる。の巻
齋藤 浩
■伊豆高原へいらっしゃい[12]
バーチャルドールの制作と立体出力の可能性
松林あつし
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小島健一「見学に行ってきた。」出版記念イベント
荒木経惟写真展「YAMI NO HANA(ARAKI's jewelry and flower)」
■わが逃走[19]
スーパーカーブームを思い出してみる。の巻
齋藤 浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20080410140400.html
>
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その節は三回もの長きにわたり「キュビズム」ネタを引っ張ってしまい、失礼しました。編集長からもやんわりと「次はばかばかしいのでいこう」と釘をさされましたので、今までに取れたいちばん大きな耳くその話とか書こうと本気で考えたのですが、それはまだ時期尚早であると判断しまして、今回はスーパーカーでいきたいと思います。特に理由なんてないです。たまたまデザイナーのO氏と仕事中にこの話題になったもので……。
1■そもそも“ブーム”というものが存在した時代
最近『◯◯ブーム』ってないでしょ。「あらやだ、ちょっと前だけど、韓流ブームってあったじゃないの、ほら、ヨン様。」とか言われても、そういうのとあの日本中を熱狂させたスーパーカーブームって、ちょっと違うんだなあ。
時は1977年。ケータイもインターネットも当然存在しないあの頃、いちばんの情報源といえばテレビだった。学校での話題といえば、前日のテレビ番組がその大半を占めていたのだ。
CMから流行語が生まれ、歌番組からアイドルが生まれた。クラス全員ピンクレディが大好きだったし、クラス全員がドリフの東村山音頭を踊れたし、クラス全員がハトヤの電話番号を知っていたのだ。
そんな中で、突然クラス全員が夢中になってしまったもの。それがスーパーカーなのである。
そもそも誰が仕掛けたのかは知らない。たまたま複数の要因が重なったのかもしれない。なんだかわかんないけど、当時小学1年生だった私の記憶では、ある日突然、ランボルギーニ・カウンタックが大好きになり、その時にはもう、テレビをつければスーパーカーってなことになっていて、毎週月曜の夜は、山田隆夫司会の『スーパーカークイズ』なる番組が高視聴率をもって迎えられていたのだ。
駄菓子屋に行けばスーパーカー消しゴムが売られ、コーラを飲めば王冠の裏にスーパーカーがプリントされており、小学生達はそれらを夢中になって集めたのだ。
ところで、スーパーカーの概念とは? と聞かれても困る。これはおそらく永遠の謎なのである。よくわからんけどスーパーカーとは、スピードが速くてカッコよくて値段がばかみたいに高い車、ってとこだろうか。走ることだけが目的の超高級車ともいえる。
ランボルギーニ・カウンタックやフェラーリ512BBに代表されるようなこれらスーパーカーはピンクレディ同様、突然我々の前に現れて、あっというまに国民的アイドルになってしまったと言っても過言ではない。とにかくこれはスゴイ現象だったのだ。
2■美とは何かを知った瞬間。
初めて背中に電流が走るくらいのショックを覚えたのが、雑誌でランボルギーニ・カウンタックLP400を見たときだ。
当時の親世代は、おそらく幼児期における“じどうしゃが好き”の再来程度にしか考えてなかったのだろう。しかしあれは衝撃だった。価値観が変わる瞬間というか。子供だましという言葉の意味が解った瞬間というか。
例えば、変身ヒーローが乗ってる車なんかはわざと子供にウケがいいような形や色をしている。無駄に大きい羽根が付いていたり、ボンネットに炎の模様がペイントされてたり。そんな“オトナによる作為”は子供なりになんとなく感じていた。でも今度のは違う!
もちろんカウンタックにはヒーロー的な要素があふれている。速い。力強い。スマート。しかし、こういった記号はあくまでも導入口となったにすぎなかったのだ。
そしてこれらのスタイリングは、かっこよさを追求した結果のかっこよさではないことに気づく。その形に意味があるということを知ったとき。まさにこれが美とは何かを知った瞬間だったように思う。
空気抵抗を抑えるためリトラクタブル式とされたヘッドライト、吸気効率向上のためボディ側面に唐突に設けられたエアダクト。それぞれの形が機能している様はまさに衝撃的だった。
当時7歳だった私はこの衝撃をどう表現していいかわからず、とにかく絵を描いて、粘土をこねた。スーパーカーを描きまくって、スーパーカーを作りまくったのだ。
描いたり作ったりすると、それらの特徴が見えてくる。カウンタックやランチャ・ストラトスは直線的な形状であるのに対し、フェラーリは曲線主体のものが多い。で、いろいろ調べてみたら、前者はベルトーネ、後者はピニンファリーナがデザインしているという。
なるほど、デザインしている人が違うと、こんなにもかっこよさが違うのかー。今思えば、私はこのとき初めてデザインという仕事を知り、またこのことがデザイナーとしての道に進むきっかけとなっているのだ。
「そんなものにいつまでも夢中になってないで、もっと勉強しなさい!!」と、なんでもかんでも否定した当時のお母さん達、私はスーパーカーブームのおかげで、いま立派に飯を食ってますよ。
3■ランボルギーニ・カウンタックにおけるLP400派とLP500派
面白いことに、同じ小学生男子で同じランボルギーニ・カウンタック好きでも、LP400派とLP500派の二種類に分類できることができた。
ちなみにLP400とは最高時速300キロ、最大出力375馬力のベーシックかつシンプルなモデル。それに対しLP500とは、LP400ベースにチューンナップしたようなマシンで、最高時速315キロ、最大出力447馬力。車体後部に巨大なウィングを持ち、タイヤも太くデカイ。それに合わせてオーバーフェンダーが装着されている、まあ見た目も派手なモデルだ。
私は俄然すっきりした美しさのLP400派だった訳だが、友人のほとんどがLP500派だったことを記憶している。理由を尋ねても「速いから」とか「羽根がついてるから」とか、思わず「オマエは子供かーっ!」とツッコミを入れたくなるようなものがほとんど。まあ実際小学1年生なんだけどさ。
そんな彼らは「いちばん速い車に憧れを持たないオマエは変だ、弱虫だ」とかもう訳わかんないこと言ってくる。ホントこのときは、集団生活って難しいなあと実感したものだ。
さて、当時小学生だった彼らのその後の人生を検証してみると、LP500好きは女に積極的に打って出るタイプに。そしてシンプルなLP400を好む者は妄想だけで思春期を乗り切るタイプにほぼ分類が可能ということが判明しました。心当たりの方、いらっしゃると思います。
4■その後のいろいろ
ブームはまだまだ続く。とにかく日本中、どこを見てもスーパーカーだった。書店にはスーパーカーの本、おもちゃ屋にはスーパーカーのミニカーやプラモデルが所狭しと並べられ、自転車屋には『スーパーカーライト』と称するリトラクタブル式ヘッドライトを搭載した自転車なんてのが普通に置かれていた。
そして、なんとレコード屋ではスーパーカーの走行音レコードなるものまで売られていたのだ。当時はまだ家庭用ビデオがなかったか、あったとしてもほとんど普及していない時代だったので、少年達はこのようにレコード(もちろんCDではない)に針を落とし、目を閉じてフェラーリやランボルギーニの音を聴きながらその姿を想像していたのだ。中にはランボルギーニ社でカウンタックを作っている工場の音、なんてものまであった。
各地ではスーパーカーショーが催されていた。私も親にせがんで東京・晴海の国際展示場に連れていってもらっていた。初めて科学博物館で恐竜の骨格を見たときと同じくらい感動したのを覚えている。
が、そうこうしている間に熱は急激に冷めていき、“本気”の人達が重い腰を上げて『童夢-零』なんて車を発表した頃には、もうブームはすっかり沈静化していたのだ。
その間わずか一年ちょっとだったかな? 私も2年生になった頃にはすでに落ち着いて、3年生の頃にはもう『ブルートレインブーム』にどっぷりと浸かっていたのだった。ほんと、あっという間の出来事だった。
以上、スーパーカーブームの頃の話でした。当時私がもう少し大きかったらもう少し詳しく語れたのですが。まあ小学1年生の体験談というのもそうないと思うので、貴重な証言ってことにしといてください。また、今回書ききれなかったこと……プラモデル、スーパーカー消しゴム、駄菓子屋のカード等については、また機会があったら書きたいと思っています。ではまた。
【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
< http://www.c-channel.com/c00563/
>
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■伊豆高原へいらっしゃい[12]
バーチャルドールの制作と立体出力の可能性
松林あつし
< https://bn.dgcr.com/archives/20080410140300.html
>
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今までとりとめのない話を色々してきましたが、デジタルイラストレーターである以上、たまには作品制作の事も書かなければいけないなあ……ということで、今回は僕の作業の流れと「立体出力」についてお話したいと思います。
以前も書きましたが、僕は3Dソフトをメインに使って作品を作っています。これを「イラスト」と呼ぶかどうかは見る人に任せたいと思いますが、印刷物を媒体としてビジュアル表現をするという意味では、手描きのイラストやペイントソフトで描かれたイラストと変わりないと思っています。
もちろん制作手順や制作感覚はそれぞれ大きく違いますし、手描きが不可逆制作であるのに対し、CGを使ったイラストは修正が効く「可逆制作」と言えるかもしれません。不可逆の産物だからこそ手描きに魅力を感じる人もいるかも知れませんし、可逆だからこそ試行錯誤の可能なCGに意味を見いだす人もいるかも知れません。
そんな中、3Dを使ったイラストとは、どのような感覚で制作するのかを今回紹介したいのです。
●自分の作品を手で触りたい!
いまPainterと言うソフトがすばらしい進化を遂げ、様々なブラシを駆使して描くことで、手描きと見分けがつかないほどの作品作りが可能となりました。これは実際のアナログ作業をデジタルでシミュレートした結果が、それがまるで本物のキャンバスに描かれた絵であるかのように表現できるレベルまで来たという事だと思います。
つまり、バーチャルな世界で本当に絵を描いているという事なんですね。個人的要望としては水彩の「にじみ」の偶然性をよりリアルに表現できるようになってほしい事と、タブレットペンが筆の描きごこちまで伝えてくれれば(タブレット筆の開発)……という感じです。
しかし、同じCGでも、ペイント系と3D系とでは大きな違いがあります(最近ZBrush など、3Dとペイント系を融合させるようなソフトも登場してきていますが)。
最もわかりやすい違いは、ペイント系は「バーチャル絵画」であるのに対し、3Dは「バーチャル彫刻(彫像)」である事だと思うのです。制作手順もポリゴン系3Dに限って言えば、形状を荒削りし、出したり引っ込めたり、穴を開けたりしながら細かくしていく……という部分は、まさに彫刻の作り方だなと感じます(最初はイラストである、と言っておきながら、今度は彫刻か? って思われるかも知れませんが、「立体イラスト」という分野もあることですし、そのへんは同等と見なしてください)。
ただ、実際の彫刻は作品が完成すればそれまでですが、バーチャル彫刻は作品を設置する「スタジオ」まで作らなければならないのです。つまり、光を反射する壁や、ライティング、カメラのセッティングや空気感ですね。そういう意味では、単なる彫刻を越えた「作品のトータルプロデュース」と言えるかもしれません(ちょっと大げさですが)。
あとは質感をどうするかで、作った物がブロンズ像になったり、石膏像になったり、ソフトビニールのフィギュアになったり、生きたように見える動物になったりするわけです。
「いやいや、自分は正確な資料を元にリアルな車を3Dで作っている! 彫刻なんかじゃない、本物の車だ」と言う人もいるかも知れません。しかし、その車がバーチャル燃料とバーチャルエンジンを使って走らない限り、仮想空間に「本物」の自動車を作った事にはならないと思います。ジュラシックパークの恐竜もポリゴンの中にはボーンがあるだけで、他は空っぽの空間です。それらはあくまで動く彫像だと思うのです。
話がずれましたが、3D彫刻も可逆的で、大きくさかのぼって修正が可能です。これは商業ベースに乗せる上では非常にありがたいことです。そういうメリットがあるからこそ、CG作家人口が大きく広がっているのでしょう。ただ、アナログ絵画やアナログ彫刻にはできるが、デジタル系には決してできない事があります。それは「自分の作品を手で触る事」なのです。
僕も3D、2Dに限らず、作品をプリント出力し、展示会に出品したりしますが、それはあくまで作品のレプリカであって、作品そのものではありません。では、作品はどこにあるかと言えば、パソコンのハードディスクの中で、決して現実空間には取り出す事ができない状態で眠っているのです。映画マトリックスのように、我々が仮想空間に入らない限り、自分の作品を現実の物として捉える事はできないでしょう。
しかし、多くの3D作家は自分の作品を手で触れてみたい、と思うはずです。バーチャルスペースでは紛れもなく「立体物」である3D作品ですが、実際それを取り出す際は2Dになってしまう……3Dアニメーションですら、映像で表現する以上、最終形態は2Dなのです。そういったジレンマを解決してくれる一つの方法が「立体プリント」です。
これは、3Dデータを元に実際手で触れる事ができる形状に出力する、という物です。もちろんこれもレプリカであって作品そのものではありません。しかし、今まで2D作品のように出力することすらできなかった3Dデータが、立体物として姿を現す……これだけで大きな進歩と言えるのではないでしょうか。
●立体プリントを試してみた
今現在の主な立体出力方式を紹介します。
1)3Dプリンタ Dimension
熱溶解積層法:ABS樹脂を熱して押し出しながら積み重ねていく
ABS樹脂を使うので多数の樹脂色に対応
対応ファイルフォーマット:STL
プリンタ価格:約300万〜550万
2)Z Printer
パウダー吹きつけ方式:特殊な素材パウダーを吹き付け、接着剤で固定しながら階層を重ねていく
吹きつけ素材:石膏、デンプン、セラミックなど
フルカラー着色可能
対応ファイルフォーマット:STL VRML PLY
3)光造形プリンター(光触媒)
インクジェット方式:アクリル系樹脂を0.016mmの厚さで吹き付けながら紫外線によって硬化させる
吹きつけ素材:ABS相当品、ゴム質樹脂
素材が限定しており、黄ばんだ半透明の仕上がりになる
対応ファイルフォーマット:3DM 3DS LWO MB MGX OBJ DXF など多数
これ以外でも色々あるようですが、今回はよく使われている三種類を紹介しました。
どれも、機械は高価でおいそれと手を出せない価格ですが、サービスビューロも少しずつ出てきているようです。ただ、ほとんどの出力サービスがCADを対象としており、作品データの出力を念頭に置いたサービスはまだあまりありません。出力サイズも最大で20cmほどです。さらに最大サイズで出力を依頼すると、一点50万円も60万円もかかります。とても、2Dの出力センターで扱える価格ではありませんね(大きさを10cmに限定しても15万円です)。
ただ、大きさだけで一概に見積もりも出せないようで、出力価格を決める要因は、部材の量とモデルの「厚み」だということです。どの形式も「階層方式」で、部材を積み上げていきます。つまり、厚みが厚いほど時間がかかる……モデルそのものの大きさや複雑度にはそれほど依存しないようです。
今回、なんとか立体プリントを試してみたいという事で、色々見積もってもらいましたが、一番安かったのが(3)の光造形プリンターでした。本当は真っ白な石膏プリントをしたかったのですが、予算の都合で今回は光造形を扱っている大阪の「エアフォルク」という会社にお願いしました。
< http://www.erfolg.co.jp/company/index.html
>
CADメインの業界の中にあって、ここは「フィギュア」を扱っています。その分フィギュア系の出力経験も豊富だろうというのがお願いした理由ですが、やはり、17cmほどの作品を10万円以下でやってくれるというのが一番の魅力でした(見積もりは条件によって変わってくるので、今回正確な価格は提示しません)。
作品制作から出力までの流れは以下の通りです。
1)3dsMaxでキャラクターのオブジェクトを製作
2)キャラクターはできるだけ閉じた形状で作る
3)細分化はサービスビューロでやってもらえるので、こちらでは行わない
4)モデルデータを元に価格の見積もり
5)体積、厚みが大きかったため、予算オーバー
6)再度、厚みを少なくしたものでモデルを作成
7)予算内に収まったため入稿(3dsフォーマットのまま)
8)約一週間で完成品が送付される
制作したオブジェクトデータと完成品はこちらをご覧ください。
< >
中身が詰まった状態で出力してもらいましたが、中抜きでモデルを作れば部材を少なくできるのではないかと思いました。表面のざらつきが多少気になりますが、まつげやリボンなど細かいディテールもちゃんと出ています。難を言えば、材質がどうしてもこのような黄ばんだ透明になってしまうという事でしょうか。そういう意味では、Z Printerの方が希望の質感に近い仕上がりになる可能性はありますが、いかんせん値段が高すぎます。(Z Printerでもっとお安くできますよ、という情報をお持ちの方、ご一報ください^^;)
さて、立体出力の今後の展望ですが…… 僕はどんどんコストパフォーマンスが良くなり安くなっていくのでは? と思っています。今ではあたり前のインクジェットプリンタが出る前は、「昇華型プリンタ」など超高価なプリンターでなければ写真クオリティのプリントはできませんでした。それを考えると、この立体出力も技術の進歩とニーズの拡大で、数年後には一気に安くなると(希望的に)思っています。
3Dスキャンを使って立体化した家族の写真をを3D出力し、立体写真として居間に飾ったり、地下鉄の構内に手で触れる立体ポスターが貼られる日も遠くないかも知れませんね。
最後にちょっと宣伝させていただきます。
僕が所属する「e-space」の展覧会があります。
題して「イラストレーターe-space18の小宇宙展」
< http://www.youchan.com/blogs/e-spc/2008/04/e-space18.html
>
会期:4月10日(木)〜16日(水) ※13日(日)はお休みです
時間:11:00〜18:00 10日は14:00よりオープン / 最終日14:00まで
オープニング・パーティー 4月10日(木)17:00〜19:00
会場:YAMAWAKIギャラリー(東京都千代田区九段南4-8-21 TEL.03-3264-4027)
僕は今回紹介した立体物を含む作品を出展する予定です。
みなさんぜひご来場ください。
【まつばやし・あつし】pine2656@art.email.ne.jp
イラストレーター・CGクリエーター
< http://www.atsushi-m.com/
>
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■イベント案内
小島健一「見学に行ってきた。」出版記念イベント
< http://www.loftwork.com/user/7292/
>
< http://www.loftwork.com/user/7292/blog/27406/
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20080410140200.html
>
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写真家の小島健一氏が、写真集「見学にいってきた。」の出版記念イベントをロフトワークのイベントスペース「Ground」で開催する。小島氏は、昨今「テクノアート」として注目を集める巨大工場や地下世界、廃墟(産業遺産)などを撮影する写真家である一方、「社会科見学へ行こう!」の主催者。「社会科見学」では一人ではなかなか行けない場所へ、人数を集めて見学会を実施。研究所や建築現場、地下など変わったところへも訪れるため、最近ではテレビなどのメディアにも数多く取り上げられている。
今回のイベントでは、作品集に掲載された写真を中心とした作品展示のほか、トークセッションも予定されている。幻想的で迫力のある写真の数々は、構造物ファンはもちろん、これまで構造物に興味のなかった人も楽しめるだろう。
個展会期:4月18日(金)〜4月20日(日)11:30〜19:00 最終日18時
トークセッション:4月20日(日)16:30〜17:30
定員50名、事前申し込み不要、直接会場へ
会場:loftwork Ground(東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア1F)
アクセス< http://www.loftwork.jp/profile/access.html
>
個展会期:4月24日(木)〜4月27日(日)時間未定
トークセッション:4月27日(日)夕方
会場:マーブルトロンサロン(東京都杉並区高円寺南2-14-2)
アクセス< http://www.marbleweb.net/salon/access/
>
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■展覧会案内
荒木経惟写真展「YAMI NO HANA(ARAKI's jewelry and flower)」
< http://www.omotesandohills.com/info/press/press080218.html
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20080410140100.html
>
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会期:4月11日(金)〜4月20日(日)11:00〜21:00 日20時 4/11は14時〜18時
会場:スペース[O:](オー)(東京都渋谷区神宮前4丁目12番10号 表参道ヒルズ本館B3F)
内容:本展は、荒木氏にとっての日本における2008年の初めての個展。荒木氏が初めて撮影した世界のラグジュアルな「宝石」と美しく光る「花」の写真約40点が、闇の世界に浮かび上がるように展示されます。また、本展のために撮り下ろした多数の花の写真も出品。彼の独特なエロス観で表現された作品を通じ、今までとは違った荒木ワールドの妖しい夢を楽しんでいただける写真展となります。(サイトより)
入場料:100円(緑の東京募金への寄付金となる)
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■編集後記(4/10)
・「子どもとケータイ、Softbank」ってCMはじつに不愉快だ。小学生の娘が「ケータイもちたいもちたいもちたい〜」と足を踏みならす。イヤな子どもだ。『だめだってば』という父に、「だって家族は通話無料なんだし」「居所分かって安心だし」『まだ早いよ』「娘のことが心配でしょ」とたたみかける娘(芸達者な子だ)。『ぜんぜん』と茶化すのが精一杯の父。「そんな親なんかいないぞ。オレなんかまだ心配だ」と介入するパパ犬。なんだ、これは。ケータイ持たせれば本当に安心なのか、万事OKなのか、ケータイを持たせない親はダメ親なのか。子ども(の親に)ケータイを売りつけるための、じつに悪質、無責任な宣伝である。子どもにケータイなど不要である。というより有害である。とは思いながら、有効な理論を持っていないのでモヤモヤしていたら、「日刊!関西インターネットプレス」に望んでいた記事が出ていた。テクニカルライター佐橋慶信さんが「子供に持たせるなという考え方 ケータイ新事情2」で、子供にケータイを持たせることのデメリットを三つの側面からあげていた。1.子供が親の頭越しに社会と接点を持つ 2.ケータイ独自のクローズされたコミュニケーション 3.個人情報の漏洩。くわしくはこのシリーズを読んで欲しい。子どもとケータイについては、結局は立法や教育の問題になると思うのだが、かなりむずかしいだろう。しかし、手をこまねいている時間が長いほど深刻な事態になる。携帯電話屋も教育者も政治家も本気で取組んで欲しい。まずは、こんな愚劣なCMは即刻やめさせろ。もうひとつ、「学校裏サイトで、今何が行われているのか〜子どもとケータイの闇/群馬大学社会情報学部大学院研究科教授・下田博次先生」という「nikkei TRENDY net」の記事も必読だ。「一番の責任はそういう有害性の高い情報の受発信が簡単にできるツールであるケータイを、安易に子どもに与えた大人側にある」「そもそもインターネット機能付きのケータイを子どもに持たせているのは、世界の中でも日本だけです」……金儲けしか頭にないメーカーと、責任を放棄したバカ親のせいで子どもが壊されてゆく。(柴田)
< http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/col/20070424/121743/
>
学校裏サイトで、今何が行われているのか〜子どもとケータイの闇
< http://archive.mag2.com/0000000122/20080403155000000.html
>
ケータイ新事情3
< http://archive.mag2.com/0000000122/20080327170000000.html
>
ケータイ新事情2
< http://archive.mag2.com/0000000122/20080320004000000.html
>
ケータイ新事情1
・大阪ローカルでは以前からコメンテーターらが声高に叫んでいたが、ニュースジャパンで聞くとは思わなかった。「日頃、人権を訴えて活動している人権団体がチベット問題には静かなのは何故?」 先日、偏っているなぁと思ってYouTubeの動画を貼った番組でさえ、今はチベット問題報道に積極的だ。キー局は遠慮がちだったので、このあたりの話題はタブーなのかとさえ思ってた。後記に書くのもなんだか怖い気がするし(変人とも思われるし)。全然報道されないから気になってきて書いてしまったんだけど。思うのは、シーソーみたいだなぁと。軽くて上にいるんだけれど、少しずつ人が増え、均衡がとれ、そこから一人でも増えたら急にガタン、と下になる。大阪ローカルで叫んでらした数人のコメンテーターさんたちは、それを実感しているんじゃないかなぁ。(hammer.mule)
< http://jp.youtube.com/watch?v=wRFWH_1se5s
>
人権団体が守ろうとしているのは誰のための人権?
スーパーカーブームを思い出してみる。の巻
齋藤 浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20080410140400.html
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その節は三回もの長きにわたり「キュビズム」ネタを引っ張ってしまい、失礼しました。編集長からもやんわりと「次はばかばかしいのでいこう」と釘をさされましたので、今までに取れたいちばん大きな耳くその話とか書こうと本気で考えたのですが、それはまだ時期尚早であると判断しまして、今回はスーパーカーでいきたいと思います。特に理由なんてないです。たまたまデザイナーのO氏と仕事中にこの話題になったもので……。
1■そもそも“ブーム”というものが存在した時代
最近『◯◯ブーム』ってないでしょ。「あらやだ、ちょっと前だけど、韓流ブームってあったじゃないの、ほら、ヨン様。」とか言われても、そういうのとあの日本中を熱狂させたスーパーカーブームって、ちょっと違うんだなあ。
時は1977年。ケータイもインターネットも当然存在しないあの頃、いちばんの情報源といえばテレビだった。学校での話題といえば、前日のテレビ番組がその大半を占めていたのだ。
CMから流行語が生まれ、歌番組からアイドルが生まれた。クラス全員ピンクレディが大好きだったし、クラス全員がドリフの東村山音頭を踊れたし、クラス全員がハトヤの電話番号を知っていたのだ。
そんな中で、突然クラス全員が夢中になってしまったもの。それがスーパーカーなのである。
そもそも誰が仕掛けたのかは知らない。たまたま複数の要因が重なったのかもしれない。なんだかわかんないけど、当時小学1年生だった私の記憶では、ある日突然、ランボルギーニ・カウンタックが大好きになり、その時にはもう、テレビをつければスーパーカーってなことになっていて、毎週月曜の夜は、山田隆夫司会の『スーパーカークイズ』なる番組が高視聴率をもって迎えられていたのだ。
駄菓子屋に行けばスーパーカー消しゴムが売られ、コーラを飲めば王冠の裏にスーパーカーがプリントされており、小学生達はそれらを夢中になって集めたのだ。
ところで、スーパーカーの概念とは? と聞かれても困る。これはおそらく永遠の謎なのである。よくわからんけどスーパーカーとは、スピードが速くてカッコよくて値段がばかみたいに高い車、ってとこだろうか。走ることだけが目的の超高級車ともいえる。
ランボルギーニ・カウンタックやフェラーリ512BBに代表されるようなこれらスーパーカーはピンクレディ同様、突然我々の前に現れて、あっというまに国民的アイドルになってしまったと言っても過言ではない。とにかくこれはスゴイ現象だったのだ。
2■美とは何かを知った瞬間。
初めて背中に電流が走るくらいのショックを覚えたのが、雑誌でランボルギーニ・カウンタックLP400を見たときだ。
当時の親世代は、おそらく幼児期における“じどうしゃが好き”の再来程度にしか考えてなかったのだろう。しかしあれは衝撃だった。価値観が変わる瞬間というか。子供だましという言葉の意味が解った瞬間というか。
例えば、変身ヒーローが乗ってる車なんかはわざと子供にウケがいいような形や色をしている。無駄に大きい羽根が付いていたり、ボンネットに炎の模様がペイントされてたり。そんな“オトナによる作為”は子供なりになんとなく感じていた。でも今度のは違う!
もちろんカウンタックにはヒーロー的な要素があふれている。速い。力強い。スマート。しかし、こういった記号はあくまでも導入口となったにすぎなかったのだ。
そしてこれらのスタイリングは、かっこよさを追求した結果のかっこよさではないことに気づく。その形に意味があるということを知ったとき。まさにこれが美とは何かを知った瞬間だったように思う。
空気抵抗を抑えるためリトラクタブル式とされたヘッドライト、吸気効率向上のためボディ側面に唐突に設けられたエアダクト。それぞれの形が機能している様はまさに衝撃的だった。
当時7歳だった私はこの衝撃をどう表現していいかわからず、とにかく絵を描いて、粘土をこねた。スーパーカーを描きまくって、スーパーカーを作りまくったのだ。
描いたり作ったりすると、それらの特徴が見えてくる。カウンタックやランチャ・ストラトスは直線的な形状であるのに対し、フェラーリは曲線主体のものが多い。で、いろいろ調べてみたら、前者はベルトーネ、後者はピニンファリーナがデザインしているという。
なるほど、デザインしている人が違うと、こんなにもかっこよさが違うのかー。今思えば、私はこのとき初めてデザインという仕事を知り、またこのことがデザイナーとしての道に進むきっかけとなっているのだ。
「そんなものにいつまでも夢中になってないで、もっと勉強しなさい!!」と、なんでもかんでも否定した当時のお母さん達、私はスーパーカーブームのおかげで、いま立派に飯を食ってますよ。
3■ランボルギーニ・カウンタックにおけるLP400派とLP500派
面白いことに、同じ小学生男子で同じランボルギーニ・カウンタック好きでも、LP400派とLP500派の二種類に分類できることができた。
ちなみにLP400とは最高時速300キロ、最大出力375馬力のベーシックかつシンプルなモデル。それに対しLP500とは、LP400ベースにチューンナップしたようなマシンで、最高時速315キロ、最大出力447馬力。車体後部に巨大なウィングを持ち、タイヤも太くデカイ。それに合わせてオーバーフェンダーが装着されている、まあ見た目も派手なモデルだ。
私は俄然すっきりした美しさのLP400派だった訳だが、友人のほとんどがLP500派だったことを記憶している。理由を尋ねても「速いから」とか「羽根がついてるから」とか、思わず「オマエは子供かーっ!」とツッコミを入れたくなるようなものがほとんど。まあ実際小学1年生なんだけどさ。
そんな彼らは「いちばん速い車に憧れを持たないオマエは変だ、弱虫だ」とかもう訳わかんないこと言ってくる。ホントこのときは、集団生活って難しいなあと実感したものだ。
さて、当時小学生だった彼らのその後の人生を検証してみると、LP500好きは女に積極的に打って出るタイプに。そしてシンプルなLP400を好む者は妄想だけで思春期を乗り切るタイプにほぼ分類が可能ということが判明しました。心当たりの方、いらっしゃると思います。
4■その後のいろいろ
ブームはまだまだ続く。とにかく日本中、どこを見てもスーパーカーだった。書店にはスーパーカーの本、おもちゃ屋にはスーパーカーのミニカーやプラモデルが所狭しと並べられ、自転車屋には『スーパーカーライト』と称するリトラクタブル式ヘッドライトを搭載した自転車なんてのが普通に置かれていた。
そして、なんとレコード屋ではスーパーカーの走行音レコードなるものまで売られていたのだ。当時はまだ家庭用ビデオがなかったか、あったとしてもほとんど普及していない時代だったので、少年達はこのようにレコード(もちろんCDではない)に針を落とし、目を閉じてフェラーリやランボルギーニの音を聴きながらその姿を想像していたのだ。中にはランボルギーニ社でカウンタックを作っている工場の音、なんてものまであった。
各地ではスーパーカーショーが催されていた。私も親にせがんで東京・晴海の国際展示場に連れていってもらっていた。初めて科学博物館で恐竜の骨格を見たときと同じくらい感動したのを覚えている。
が、そうこうしている間に熱は急激に冷めていき、“本気”の人達が重い腰を上げて『童夢-零』なんて車を発表した頃には、もうブームはすっかり沈静化していたのだ。
その間わずか一年ちょっとだったかな? 私も2年生になった頃にはすでに落ち着いて、3年生の頃にはもう『ブルートレインブーム』にどっぷりと浸かっていたのだった。ほんと、あっという間の出来事だった。
以上、スーパーカーブームの頃の話でした。当時私がもう少し大きかったらもう少し詳しく語れたのですが。まあ小学1年生の体験談というのもそうないと思うので、貴重な証言ってことにしといてください。また、今回書ききれなかったこと……プラモデル、スーパーカー消しゴム、駄菓子屋のカード等については、また機会があったら書きたいと思っています。ではまた。
【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
< http://www.c-channel.com/c00563/
>
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■伊豆高原へいらっしゃい[12]
バーチャルドールの制作と立体出力の可能性
松林あつし
< https://bn.dgcr.com/archives/20080410140300.html
>
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今までとりとめのない話を色々してきましたが、デジタルイラストレーターである以上、たまには作品制作の事も書かなければいけないなあ……ということで、今回は僕の作業の流れと「立体出力」についてお話したいと思います。
以前も書きましたが、僕は3Dソフトをメインに使って作品を作っています。これを「イラスト」と呼ぶかどうかは見る人に任せたいと思いますが、印刷物を媒体としてビジュアル表現をするという意味では、手描きのイラストやペイントソフトで描かれたイラストと変わりないと思っています。
もちろん制作手順や制作感覚はそれぞれ大きく違いますし、手描きが不可逆制作であるのに対し、CGを使ったイラストは修正が効く「可逆制作」と言えるかもしれません。不可逆の産物だからこそ手描きに魅力を感じる人もいるかも知れませんし、可逆だからこそ試行錯誤の可能なCGに意味を見いだす人もいるかも知れません。
そんな中、3Dを使ったイラストとは、どのような感覚で制作するのかを今回紹介したいのです。
●自分の作品を手で触りたい!
いまPainterと言うソフトがすばらしい進化を遂げ、様々なブラシを駆使して描くことで、手描きと見分けがつかないほどの作品作りが可能となりました。これは実際のアナログ作業をデジタルでシミュレートした結果が、それがまるで本物のキャンバスに描かれた絵であるかのように表現できるレベルまで来たという事だと思います。
つまり、バーチャルな世界で本当に絵を描いているという事なんですね。個人的要望としては水彩の「にじみ」の偶然性をよりリアルに表現できるようになってほしい事と、タブレットペンが筆の描きごこちまで伝えてくれれば(タブレット筆の開発)……という感じです。
しかし、同じCGでも、ペイント系と3D系とでは大きな違いがあります(最近ZBrush など、3Dとペイント系を融合させるようなソフトも登場してきていますが)。
最もわかりやすい違いは、ペイント系は「バーチャル絵画」であるのに対し、3Dは「バーチャル彫刻(彫像)」である事だと思うのです。制作手順もポリゴン系3Dに限って言えば、形状を荒削りし、出したり引っ込めたり、穴を開けたりしながら細かくしていく……という部分は、まさに彫刻の作り方だなと感じます(最初はイラストである、と言っておきながら、今度は彫刻か? って思われるかも知れませんが、「立体イラスト」という分野もあることですし、そのへんは同等と見なしてください)。
ただ、実際の彫刻は作品が完成すればそれまでですが、バーチャル彫刻は作品を設置する「スタジオ」まで作らなければならないのです。つまり、光を反射する壁や、ライティング、カメラのセッティングや空気感ですね。そういう意味では、単なる彫刻を越えた「作品のトータルプロデュース」と言えるかもしれません(ちょっと大げさですが)。
あとは質感をどうするかで、作った物がブロンズ像になったり、石膏像になったり、ソフトビニールのフィギュアになったり、生きたように見える動物になったりするわけです。
「いやいや、自分は正確な資料を元にリアルな車を3Dで作っている! 彫刻なんかじゃない、本物の車だ」と言う人もいるかも知れません。しかし、その車がバーチャル燃料とバーチャルエンジンを使って走らない限り、仮想空間に「本物」の自動車を作った事にはならないと思います。ジュラシックパークの恐竜もポリゴンの中にはボーンがあるだけで、他は空っぽの空間です。それらはあくまで動く彫像だと思うのです。
話がずれましたが、3D彫刻も可逆的で、大きくさかのぼって修正が可能です。これは商業ベースに乗せる上では非常にありがたいことです。そういうメリットがあるからこそ、CG作家人口が大きく広がっているのでしょう。ただ、アナログ絵画やアナログ彫刻にはできるが、デジタル系には決してできない事があります。それは「自分の作品を手で触る事」なのです。
僕も3D、2Dに限らず、作品をプリント出力し、展示会に出品したりしますが、それはあくまで作品のレプリカであって、作品そのものではありません。では、作品はどこにあるかと言えば、パソコンのハードディスクの中で、決して現実空間には取り出す事ができない状態で眠っているのです。映画マトリックスのように、我々が仮想空間に入らない限り、自分の作品を現実の物として捉える事はできないでしょう。
しかし、多くの3D作家は自分の作品を手で触れてみたい、と思うはずです。バーチャルスペースでは紛れもなく「立体物」である3D作品ですが、実際それを取り出す際は2Dになってしまう……3Dアニメーションですら、映像で表現する以上、最終形態は2Dなのです。そういったジレンマを解決してくれる一つの方法が「立体プリント」です。
これは、3Dデータを元に実際手で触れる事ができる形状に出力する、という物です。もちろんこれもレプリカであって作品そのものではありません。しかし、今まで2D作品のように出力することすらできなかった3Dデータが、立体物として姿を現す……これだけで大きな進歩と言えるのではないでしょうか。
●立体プリントを試してみた
今現在の主な立体出力方式を紹介します。
1)3Dプリンタ Dimension
熱溶解積層法:ABS樹脂を熱して押し出しながら積み重ねていく
ABS樹脂を使うので多数の樹脂色に対応
対応ファイルフォーマット:STL
プリンタ価格:約300万〜550万
2)Z Printer
パウダー吹きつけ方式:特殊な素材パウダーを吹き付け、接着剤で固定しながら階層を重ねていく
吹きつけ素材:石膏、デンプン、セラミックなど
フルカラー着色可能
対応ファイルフォーマット:STL VRML PLY
3)光造形プリンター(光触媒)
インクジェット方式:アクリル系樹脂を0.016mmの厚さで吹き付けながら紫外線によって硬化させる
吹きつけ素材:ABS相当品、ゴム質樹脂
素材が限定しており、黄ばんだ半透明の仕上がりになる
対応ファイルフォーマット:3DM 3DS LWO MB MGX OBJ DXF など多数
これ以外でも色々あるようですが、今回はよく使われている三種類を紹介しました。
どれも、機械は高価でおいそれと手を出せない価格ですが、サービスビューロも少しずつ出てきているようです。ただ、ほとんどの出力サービスがCADを対象としており、作品データの出力を念頭に置いたサービスはまだあまりありません。出力サイズも最大で20cmほどです。さらに最大サイズで出力を依頼すると、一点50万円も60万円もかかります。とても、2Dの出力センターで扱える価格ではありませんね(大きさを10cmに限定しても15万円です)。
ただ、大きさだけで一概に見積もりも出せないようで、出力価格を決める要因は、部材の量とモデルの「厚み」だということです。どの形式も「階層方式」で、部材を積み上げていきます。つまり、厚みが厚いほど時間がかかる……モデルそのものの大きさや複雑度にはそれほど依存しないようです。
今回、なんとか立体プリントを試してみたいという事で、色々見積もってもらいましたが、一番安かったのが(3)の光造形プリンターでした。本当は真っ白な石膏プリントをしたかったのですが、予算の都合で今回は光造形を扱っている大阪の「エアフォルク」という会社にお願いしました。
< http://www.erfolg.co.jp/company/index.html
>
CADメインの業界の中にあって、ここは「フィギュア」を扱っています。その分フィギュア系の出力経験も豊富だろうというのがお願いした理由ですが、やはり、17cmほどの作品を10万円以下でやってくれるというのが一番の魅力でした(見積もりは条件によって変わってくるので、今回正確な価格は提示しません)。
作品制作から出力までの流れは以下の通りです。
1)3dsMaxでキャラクターのオブジェクトを製作
2)キャラクターはできるだけ閉じた形状で作る
3)細分化はサービスビューロでやってもらえるので、こちらでは行わない
4)モデルデータを元に価格の見積もり
5)体積、厚みが大きかったため、予算オーバー
6)再度、厚みを少なくしたものでモデルを作成
7)予算内に収まったため入稿(3dsフォーマットのまま)
8)約一週間で完成品が送付される
制作したオブジェクトデータと完成品はこちらをご覧ください。
< >
中身が詰まった状態で出力してもらいましたが、中抜きでモデルを作れば部材を少なくできるのではないかと思いました。表面のざらつきが多少気になりますが、まつげやリボンなど細かいディテールもちゃんと出ています。難を言えば、材質がどうしてもこのような黄ばんだ透明になってしまうという事でしょうか。そういう意味では、Z Printerの方が希望の質感に近い仕上がりになる可能性はありますが、いかんせん値段が高すぎます。(Z Printerでもっとお安くできますよ、という情報をお持ちの方、ご一報ください^^;)
さて、立体出力の今後の展望ですが…… 僕はどんどんコストパフォーマンスが良くなり安くなっていくのでは? と思っています。今ではあたり前のインクジェットプリンタが出る前は、「昇華型プリンタ」など超高価なプリンターでなければ写真クオリティのプリントはできませんでした。それを考えると、この立体出力も技術の進歩とニーズの拡大で、数年後には一気に安くなると(希望的に)思っています。
3Dスキャンを使って立体化した家族の写真をを3D出力し、立体写真として居間に飾ったり、地下鉄の構内に手で触れる立体ポスターが貼られる日も遠くないかも知れませんね。
最後にちょっと宣伝させていただきます。
僕が所属する「e-space」の展覧会があります。
題して「イラストレーターe-space18の小宇宙展」
< http://www.youchan.com/blogs/e-spc/2008/04/e-space18.html
>
会期:4月10日(木)〜16日(水) ※13日(日)はお休みです
時間:11:00〜18:00 10日は14:00よりオープン / 最終日14:00まで
オープニング・パーティー 4月10日(木)17:00〜19:00
会場:YAMAWAKIギャラリー(東京都千代田区九段南4-8-21 TEL.03-3264-4027)
僕は今回紹介した立体物を含む作品を出展する予定です。
みなさんぜひご来場ください。
【まつばやし・あつし】pine2656@art.email.ne.jp
イラストレーター・CGクリエーター
< http://www.atsushi-m.com/
>
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■イベント案内
小島健一「見学に行ってきた。」出版記念イベント
< http://www.loftwork.com/user/7292/
>
< http://www.loftwork.com/user/7292/blog/27406/
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20080410140200.html
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写真家の小島健一氏が、写真集「見学にいってきた。」の出版記念イベントをロフトワークのイベントスペース「Ground」で開催する。小島氏は、昨今「テクノアート」として注目を集める巨大工場や地下世界、廃墟(産業遺産)などを撮影する写真家である一方、「社会科見学へ行こう!」の主催者。「社会科見学」では一人ではなかなか行けない場所へ、人数を集めて見学会を実施。研究所や建築現場、地下など変わったところへも訪れるため、最近ではテレビなどのメディアにも数多く取り上げられている。
今回のイベントでは、作品集に掲載された写真を中心とした作品展示のほか、トークセッションも予定されている。幻想的で迫力のある写真の数々は、構造物ファンはもちろん、これまで構造物に興味のなかった人も楽しめるだろう。
個展会期:4月18日(金)〜4月20日(日)11:30〜19:00 最終日18時
トークセッション:4月20日(日)16:30〜17:30
定員50名、事前申し込み不要、直接会場へ
会場:loftwork Ground(東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア1F)
アクセス< http://www.loftwork.jp/profile/access.html
>
個展会期:4月24日(木)〜4月27日(日)時間未定
トークセッション:4月27日(日)夕方
会場:マーブルトロンサロン(東京都杉並区高円寺南2-14-2)
アクセス< http://www.marbleweb.net/salon/access/
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■展覧会案内
荒木経惟写真展「YAMI NO HANA(ARAKI's jewelry and flower)」
< http://www.omotesandohills.com/info/press/press080218.html
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20080410140100.html
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会期:4月11日(金)〜4月20日(日)11:00〜21:00 日20時 4/11は14時〜18時
会場:スペース[O:](オー)(東京都渋谷区神宮前4丁目12番10号 表参道ヒルズ本館B3F)
内容:本展は、荒木氏にとっての日本における2008年の初めての個展。荒木氏が初めて撮影した世界のラグジュアルな「宝石」と美しく光る「花」の写真約40点が、闇の世界に浮かび上がるように展示されます。また、本展のために撮り下ろした多数の花の写真も出品。彼の独特なエロス観で表現された作品を通じ、今までとは違った荒木ワールドの妖しい夢を楽しんでいただける写真展となります。(サイトより)
入場料:100円(緑の東京募金への寄付金となる)
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■編集後記(4/10)
・「子どもとケータイ、Softbank」ってCMはじつに不愉快だ。小学生の娘が「ケータイもちたいもちたいもちたい〜」と足を踏みならす。イヤな子どもだ。『だめだってば』という父に、「だって家族は通話無料なんだし」「居所分かって安心だし」『まだ早いよ』「娘のことが心配でしょ」とたたみかける娘(芸達者な子だ)。『ぜんぜん』と茶化すのが精一杯の父。「そんな親なんかいないぞ。オレなんかまだ心配だ」と介入するパパ犬。なんだ、これは。ケータイ持たせれば本当に安心なのか、万事OKなのか、ケータイを持たせない親はダメ親なのか。子ども(の親に)ケータイを売りつけるための、じつに悪質、無責任な宣伝である。子どもにケータイなど不要である。というより有害である。とは思いながら、有効な理論を持っていないのでモヤモヤしていたら、「日刊!関西インターネットプレス」に望んでいた記事が出ていた。テクニカルライター佐橋慶信さんが「子供に持たせるなという考え方 ケータイ新事情2」で、子供にケータイを持たせることのデメリットを三つの側面からあげていた。1.子供が親の頭越しに社会と接点を持つ 2.ケータイ独自のクローズされたコミュニケーション 3.個人情報の漏洩。くわしくはこのシリーズを読んで欲しい。子どもとケータイについては、結局は立法や教育の問題になると思うのだが、かなりむずかしいだろう。しかし、手をこまねいている時間が長いほど深刻な事態になる。携帯電話屋も教育者も政治家も本気で取組んで欲しい。まずは、こんな愚劣なCMは即刻やめさせろ。もうひとつ、「学校裏サイトで、今何が行われているのか〜子どもとケータイの闇/群馬大学社会情報学部大学院研究科教授・下田博次先生」という「nikkei TRENDY net」の記事も必読だ。「一番の責任はそういう有害性の高い情報の受発信が簡単にできるツールであるケータイを、安易に子どもに与えた大人側にある」「そもそもインターネット機能付きのケータイを子どもに持たせているのは、世界の中でも日本だけです」……金儲けしか頭にないメーカーと、責任を放棄したバカ親のせいで子どもが壊されてゆく。(柴田)
< http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/col/20070424/121743/
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学校裏サイトで、今何が行われているのか〜子どもとケータイの闇
< http://archive.mag2.com/0000000122/20080403155000000.html
>
ケータイ新事情3
< http://archive.mag2.com/0000000122/20080327170000000.html
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ケータイ新事情2
< http://archive.mag2.com/0000000122/20080320004000000.html
>
ケータイ新事情1
・大阪ローカルでは以前からコメンテーターらが声高に叫んでいたが、ニュースジャパンで聞くとは思わなかった。「日頃、人権を訴えて活動している人権団体がチベット問題には静かなのは何故?」 先日、偏っているなぁと思ってYouTubeの動画を貼った番組でさえ、今はチベット問題報道に積極的だ。キー局は遠慮がちだったので、このあたりの話題はタブーなのかとさえ思ってた。後記に書くのもなんだか怖い気がするし(変人とも思われるし)。全然報道されないから気になってきて書いてしまったんだけど。思うのは、シーソーみたいだなぁと。軽くて上にいるんだけれど、少しずつ人が増え、均衡がとれ、そこから一人でも増えたら急にガタン、と下になる。大阪ローカルで叫んでらした数人のコメンテーターさんたちは、それを実感しているんじゃないかなぁ。(hammer.mule)
< http://jp.youtube.com/watch?v=wRFWH_1se5s
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人権団体が守ろうとしているのは誰のための人権?