[2440] 気になるデザイン沖縄の選挙ポスター

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<にわとりとにわとりとりとわにとりとわに>

■気になるデザイン[13]
 極太丸ゴシック赤文字の沖縄の選挙ポスター
 津田淳子

■装飾山イバラ道[15]
 パリ旅行記(5)ムーラン・ルージュ
 武田瑛夢

■デジクリトーク
 回文で綴る物語「小鳥と鰐と鶏と子」
 中野 潔


■気になるデザイン[13]
極太丸ゴシック赤文字の沖縄の選挙ポスター
 
津田淳子
< https://bn.dgcr.com/archives/20080610140300.html
>
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先週末、沖縄県議選があり、県政与党の自公が過半数割れした。というニュースが流れましたが、与党が破れたということより(だって当然の結果でしょ)私が気になっていたのが、そこで使われていたであろう、選挙ポスターだ。

私は、沖縄・離島好きで、年間、十指に余るほど沖縄へ行く。それほど行っていると、当然、選挙期間中に当たることもあり、そうなるとどうしても選挙ポスターに目が行ってしまう。

だって、沖縄の選挙ポスターは、変わっているのだ。

いや、変わっていないからこそおもしろいのかもしれない。どの候補者のポスターも概ね同じデザインなのだ。写真がドーンと全面に敷かれ、そこに極太の丸ゴシック体で名前が載る。そしてその名前は、ほとんどがひらがなかカタカナに開かれ、おまけに下の名前を大きく目立たせている人が多いのだ。

< http://image.blog.livedoor.jp/tandega/imgs/1/9/192b2efe >
< http://image.blog.livedoor.jp/tandega/imgs/2/c/2c5ecca4 >
< http://image.blog.livedoor.jp/tandega/imgs/d/c/dc9e7a9b >

名前をひらがなやカタカナに開いているのは、戦後アメリカの占領下だったため、漢字が読めなかった人がいたから、ということらしいが、それにしてもこの極太丸ゴシック体の赤い名前表記は、そろいも揃ってどうしてこうなっているのだろうか。

他にも沖縄ではのぼりのようなものもよく見かけるが、すべてこの選挙ポスターのデザインが踏襲されている。うーむ。まあ、文字は目立つかもしれないし、大事なのはその人の政策の方なので、ポスターはどうでもいいっちゃいいんだけど、でもここまで同じビジュアルなのは気になるなぁ。

沖縄もだけど、私はもちろん、地元の選挙ポスターも非常に気になって、選挙のたびにじっくり見ている。これはきちんと統計をとっているわけではないけれど、ベーシックで奇を衒わず、写真がきれいに印刷されているポスターをつくっている人が当選しているような気がする。

私は二年程前に東京の杉並区に引っ越してきたのだが、いわゆる「泡沫候補」が多く(?)、それらの候補者のポスターは、一様に文字だけが一色刷りされていたり、自分で撮ったようなスナップ写真であったり、妙なビジュアルのポスターで、一見して当選しそうにない。そして実際に当選しない。やはり、当選する人のポスターは、それなりに安定感があって、好感を持てるビジュアルになっていると思う。

一時期、「選挙に勝てる、必勝ポスターデザイン」なんていう本を作ると売れるかな、と考えて、Webサイトを検索したりしたことがあったのだが、やはりそういうことを考えている人たちはいるんですね。
< http://k-gengo.com/senkyoposter.html
>

ちなみにこのサイトに都心の選挙ポスターが集められていたので、先ほどの沖縄のものと比べてみると、一目瞭然です。
< http://k-gengo.com/senkyodb_tochiji.html
>

東大のゼミでも、選挙ポスターのビジュアルは研究対象になっていたんですね。うーむ。読んでみたいけど高い。
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833223295/dgcrcom-22/
>
選挙ポスターの研究 東大法・蒲島郁夫ゼミ

あとこれは全国どこのポスターでもそうですが、候補者の写真をレタッチしている人、白目を修正液で塗ったように真っ白に修正するのはやめた方がいいと思うのです。人の目って血管があったり、少し青みがかっていたりしているわけで、それを真っ白にするのは変だと思うんですが。細かいこと気にし過ぎ?

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp
目に飛び込んでくる、銅色箔押ししたでっこぼこな表紙が目印の『デザインのひきだし vol.5』は現在、好評発売中!  特集は「凸凹な印刷・紙・加工テクニック」と「いい文字組みのために目を鍛えよ!」です。
最近作った本は『デザイン・配色のセオリー』『デザイン事務所の封筒・名刺・ビジネス文具コレクション』『しかけのあるブックデザイン』など。
< http://www.graphicsha.co.jp/
>

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■装飾山イバラ道[15]
パリ旅行記(5)ムーラン・ルージュ

武田瑛夢
< https://bn.dgcr.com/archives/20080610140200.html
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3月に六本木でロートレック展を見た時から、想像をめぐらせていたパリのムーラン・ルージュ。現在はレビューのショーが行われている。

夜は周辺の治安があまりよくないということで、バスでの送迎がついたオプショナルツアーを手配しておいた。泊まっていたホテルから集合場所へと向かい、それらしい日本人のグループと合流してバスに乗り込む。さほど遠くないはずだけれど、夜の繁華街は車が混んでいて思ったより時間がかかった。

ムーラン・ルージュに着くと、名前の通りの赤い風車が目立つ外観。映画で見たような古めかしさはないけれど、電飾で飾られた風車を目の前にすると、ついに来たという感じで嬉しい。風車の羽根はゆっくりと回っているので、写真を撮るのは意外と難しかった。良い角度の時にシャッターを押すのがなかなか大変。

・ムーラン・ルージュ
< http://www.eimu.com/dgcol/rou >

バスからガイドさんに誘導されて、スムーズに店内に進んでクロークに服を預ける(有料)。すると、ばっちりアイラインのメイクのお姉さんが近づいてきて、パンフレットを差し出す。当然これも有料なので、いくらかと聞いて確か日本円で1600円くらいだったと思うけれど記念なので買う。

「ジャポネ」の一言で日本語版をゲット。中にはムーラン・ルージュの歴史とダンサーについてなどの情報が書いてあった。

通された座席は、テーブル席が並んでいる斜め中央の席。前の人たちから一段上がったところで、舞台からはけっこう離れている。満席だ。ショーが始まる前に食事を済ませるので、その間は舞台で歌手が歌っている。

同じテーブルの日本の女性二人組みは卒業旅行だという。若くて羨ましい。二人に一本のワインがつくので、飲んでと言ってくれたけれど、私たち夫婦もそう飲む方でもないのでワインはけっこう残ってしまったな。食事の味は普通。温かいのがありがたかったのと、この日の体調はまぁ良かったので元気に食べられた。

クロークにデジタルカメラを預けることがお約束なので、劇場内の写真を自分たちで撮ることはできない。記念写真はプロの女性がテーブルを回って撮ってくれる仕組み。これももちろん有料で、パンフレットの2倍以上の値段。他の場所でショーを見た時も同じようなシステムだった。そんな訳で、今回のコラムには写真が少ない。

いよいよショーが始まる。たくさんのダンサーが揃って動くのでとても迫力がある。次々にイメージの変わった演出でダンスが切り替わり、めくるめく感じで圧倒される。なによりダンサーの美しさがすごい。全力で歌い踊る人たちの美男美女ぶりもムーラン・ルージュの個性なのかもしれない。動くバービー人形のよう。

パンフレットには、ムーラン・ルージュのダンサーになるには男性で185cm以上、女性で175cm以上の身長が必要であるという。これはフランスでは稀にみる条件なので、各国から集っていて最近ではオーストラリアからのダンサーが多いという。

このショーはトップレスの衣装も多く、お子様連れに向かないという注釈がツアー情報にあるのだけれど、実際にトップレスのダンサーを見ると均整のとれた美しい体なのでいやらしい感じはまったくしない。

ショーの中にはマジックや筋肉系の男性が見せるバランス芸などもあって、サーカス的な要素も含まれている。これはロートレックの時代からそうだったようだ。マジックは言葉の壁を超えた笑いがあって見る人を飽きさせない。

びっくりしたのは、トコトコ歩いてきた本物の犬が言葉をしゃべるマジック。いまだに、あれがどういう仕掛けでできていたのかわからなくて謎だ。終わったら普通に歩いて帰っていったし。

ラスト近くには有名なフレンチ・カンカンが踊られる。ハデなスカートをふりながらテンポの良い曲に合わせて、多数の女性ダンサーが出てきて壮観だ。この曲は運動会などでもよく聞く、スピードを出す時にぴったりの元気の良いイメージで耳について離れない。「3時のおやつは文明堂〜♪」の曲(古い人しかわからないが)。

ショーはとても楽しめた。全体の構成で緩急のバランスがしっかり取られているので、時間が経つのを忘れてしまう。拍手がなりやまないくらい、みんな感動していた。

帰りはおみやげのショップも混んでいて見られなかったけれど、別の日の昼間に行った時、赤い風車にちなんだグッズを何点か買った。ショップではDVDが流れていて、あの華やかな夜を思い出すことができた。

旅行中にショーを見ると、自分のために座席があるというのがとても有難くていいものだと思う。世界中の人が今日この場所に集まっていて、自分も一緒にこの時を楽しむという贅沢。日本と違って、外国だと本当に座るまではきちんと確保できているか心配だけれど、少々めんどくさくても手配しておいて良かったと思う。

いつの時代も魔法のような夜は人の力で作られてきた。観光名所として昔とはだいぶ変わったムーラン・ルージュだけれど、人を楽しませるプロであるのには変わりないと思った。

次回もパリ旅行記がつづきます。

【武田瑛夢/たけだえいむ】 eimu@eimu.com
最近はWiiのマリオカートが楽しい。Wi-fiでいろいろな国の人とレースできるとは、なんて良い時代なんだろう。

装飾アートの総本山WEBサイト“デコラティブマウンテン”
< http://www.eimu.com/
>

「やさしいデザイン」誰でもかんたん、レイアウト・配色・文字組
エムディエヌコーポレーション発行 インプレスコミュニケーションズ発売
< http://www.mdn.co.jp/content/view/3983/
>

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■デジクリトーク
回文で綴る物語「小鳥と鰐と鶏と子」

中野 潔 
< https://bn.dgcr.com/archives/20080610140100.html
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第一幕 庭に、鶏と鰐とがいる。
  「にわとりとわに」

第二幕 鶏を狙って鶏捕り、鰐を狙って鰐捕りが登場。
   庭に、鶏と鶏捕りと鰐捕りと鰐とがいる。
  「にわとりとにわとりとりとわにとりとわに」

第三幕 鶏捕りと鰐捕りとが喧嘩して退場。人気がなくなって小鳥が登場。
   庭に、鶏と小鳥と鰐とがいる。
  「にわとりとことりとわに」

第四幕 小鳥に魅かれて子が登場。
   庭に、小鳥と鰐と鶏と子とがいる。
  「ことりとわにとにわとりとこ」

第五幕 鶏捕りが戻る。鶏と小鳥とが逃げる。鰐に狙われそうで子が退場。
   庭に、鶏捕りと鰐とがいる。
  「にわとりとりとわに」

第六幕 鶏捕りが鰐に食われる。鰐は熟睡。鶏が戻る。
   庭に、鶏と鰐とがいる。 (第一幕と同じ状態)
  「にわとりとわに」

第七幕 鰐捕りが戻る。鰐捕りがいるので安心してニワトコ捕り登場。
    ニワトコの実が好物の子も戻る。
   庭に、鶏とニワトコ捕りと子と鰐捕りと鰐とがいる。
  「にわとりとにわとことりとことわにとりとわに」

第八幕 子の前で殺生しずらい鰐捕りが鶏を追いかけながら退場。
   庭に、ニワトコ捕りと子と鰐とがいる。
  「にわとことりとことわに」

第九幕 鰐に狙われそうなニワトコ捕りと子とが退場。
   庭に、鰐だけがいる。
  「わにとにわ」

第十幕 子がいなくなったところで、鰐捕りが戻り、鰐を殺す。
   庭に、鰐捕りだけがいる。
  「わにとりとにわ」

第十一幕 用がなくなり、鰐捕り退場。鰐のいない庭に、小鳥が戻り、
     それに誘われて子も戻る。
   庭に小鳥と子とがいる。
   「ことりとこ」

終幕

【中野 潔/なかの きよし】メディア・リサーチャー
< http://www.nakano.net/kaibun/
> k_nakano◎1kw.jp

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■編集後記(6/10)

・愚劣な裁判員制度の実施を控え、日本の刑罰制度の大転換が起きる可能性がある。それは終身刑の創設である。「死刑と無期懲役の間に大きなギャップがある。その克服のためには、真ん中に終身刑を置くのが適切だ」というのが、「量刑制度を考える超党派の会」の考えだ。死刑では重過ぎるが、仮釈放のある無期懲役では軽過ぎる、終身刑という選択肢を加えれば、裁判員も量刑の判断がしやすいだろう、というのが量刑議連の考えだと新聞報道にあり、これはあきれるほど分かりやすい。でも、長い間議論が続いて来た超難問に、こんなあっさりと解答が出る契機となるなんて、裁判員制度とはますます危険な存在だ。裁判員制度のためなら何でもありか。終身刑という重刑をプラスするだけで、日本の犯罪と刑罰はどう変わるのか、もっとリアルに検討してくれと言いたい。死刑が相当だが、次のランクの無期懲役でも仕方がないかと感じたケースでも、その無期懲役とはじつは10数年で仮釈放があり得る刑だと知らされたら、普通の感覚ではとうてい納得はできない。絶対に社会復帰できない終身刑は必要だと思う。通り魔のような事件が続発すると、厳罰を求める気持ちは更に強まる。まさしく、終身刑論議はいまが旬。しかし、終身刑導入の賛成、反対の意見は山のようにあり、双方の考えがよく理解できる(もっともだなと思う)だけに、そう簡単に賛成の手をあげるわけにはいかない。実際は厳罰化や再犯抑止を求める世論の高まりで、仮釈放が認められにくくなっていて、事実上の終身刑化が進んでいるらしい。終身刑創設の次のステップは死刑の廃止であろう。それにはどうしても賛成できかねる。裁判員制度のせいで、空気で、終身刑のプラスが決まったらえらいことである。(柴田)
↓読むべし 現役世代はとくに
< http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz08q2/574219/
>
森永卓郎:“基礎年金の財源=消費税18%”の欺瞞(nikkei BPnet)

赤と黒 (上) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-1)・スタンダールの「赤と黒」の新訳に誤訳が多く見られるのだそうだ。ちょっとした誤訳はあるよなぁ、と思いながら記事を読んでいたが気になってくる。記事になるぐらいの「誤訳博覧会」ってどんなの? と2ちゃんねるを覗いたら(ただし時間ないので200レス程度しか読んでいない)、真面目に語り合っていて、具体的な指摘を読むことができた。学生さんに下訳させたのではという話や、成句での訳になっていないとか、直訳するよりもしっくりくる名訳をする翻訳家さんの話とか、映画DVDの日本語字幕を中国人にさせているために起こる弊害の話とか。訳については置いておくとして、日本語自体の間違いがあるらしくて、それは痛いなぁと。編集長に指摘され、勘違いして覚えていたものはもちろん、わかっているのにチェックミスする場合があって、他人様の目を通さないとあかんよな〜と思うことしばしば。文学作品の新訳における日本語間違いって編集さんの責任でもあるんだよね。(hammer.mule)
< http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080608-00000914-san-soci
> 記事
< http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1212949895/147
>
日本語ミス
< http://www.geocities.jp/info_sjes/
>  会報18号に指摘あり
< http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1212949895/l50
>
読むなら取捨選択しつつ