音喰らう脳髄[62]革を改めるということ
── モモヨ ──

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2008年の漢字は『変』だった。年をしめるに際して、私は、来るべき2009年の漢字を『革』として、是非『変革』を実現したいものだとここで書いた。そのアイデアに今でもこだわっている。

辞書によると、『革』の字は、基本的に動物の皮(かわ・なめしがわ)を表すものだという。今年が丑年だから『革』なんて安直なことは考えたこともないが、これもありだと思う。

そして、もう一つ、辞書で面白い記事を見つけた。『革』は中国の楽器分類名称でもあるというのだ。「中国では、振動膜は皮革製であることが大半であるため、鼓のような膜鳴楽器のほとんどがこれに含まれる」とある。いまでいうドラムのようなもの全般、打楽器全般にあたる名称と考えれば、まず間違いなさそうだ。

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こうした意味が先行して、後に「あらためること、あらたまること」がある。私たちに馴染みの『革』の意味である。こんな辞書の記述を目にしてから、何故、「あらためる」というような意味を持ったかを年始の間、考えていた。

それが先日、ふとした拍子に勝手に解決した。

私は、この2月5日、新宿ロフトで、1979年から1980年を同時に生きた友人達とステージに立つことなっているが、そのリハでの会話だ。目の前で、ドラムを担当するキース(元ARB)がスネアをチューニングしていた。その様子を呆然と見ていて「ワカさん(ベーシスト)、早くから来ててベース弦もはりかえて臨戦体制ととのってるみたい」というキーボード担当のコーの言葉を耳にした。その時に全てのイメージが繋がった。

ドラムだけじゃない。ギターだって、ベースだって、その鳴動部分、弦や皮をはりかえれば、その響き、鳴り方は一変する。鳴らなくなった楽器、響きに濁りが生じたものに弦や皮を張り替えれば、楽器はたちどころに再生する。変革、改革というのは、スネアドラムの皮をかえることだと思えばいい。

「ああ、これなんだ」私は勝手に思い込んだ。

くすんだ響きではなく、きらめくビートを鳴らすには、皮をあらたにしなければならない。時代に響く音もまた然りか?

ちなみに、今度のライブのリズムセクションは、ひどく調子いい。ある意味で当然のことかもしれない。なにしろ、あのパンクの時代、音楽雑誌の人気投票で常に上位に位置したベースとドラムのコンビだから。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>

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