つはモノどもがユメのあと[01]……新連載 mono00:定義は「押し入れの恥物件」
── Rey.Hori ──

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昨年夏以来の登場となるわけだが、どうやら今回はしばらく定期的にお目を汚すことになるらしい。どれぐらい続けられるか不安な限りなのだが、広いお心で見守って戴ければ幸いである。

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている、のはおなじみの坊っちゃんであるが、筆者の場合は、心配性、神経質、人見知り、旅行嫌い、乗り物酔い、喉風邪体質、頭痛持ち、等々ロクなものを親譲りされていない。それら負の親譲り属性の中に貧乏性というものがある。

この貧乏性のおかげでだと思うのだが、押し入れの中には買ったはいいが、とっくに役目を終えてなお捨てられないもの達がごろごろしている。その中には単に面倒から先送りしているだけで、捨ててももはや何も惜しくないものだってあるのだが、逆にどうにも捨てるに忍びないまま数次の引っ越しを生き延びたものもあるのだ。



そうしたものの中にはどうかすると時折ごく稀によみがえり、現役としてお役目を果たすものがあったりするので、ひょっとすると他にも現役復帰の可能性のあるものがあるんじゃないか、などと考え始めてしまって始末におえない。

この連載ではそうした「主として妙な思い入れが原因で捨てられずに取ってあるもの」、平たく言えば「押し入れの恥物件」を便宜上「モノ」と呼ぶことにする。本棚を見るとその人の思想信条趣味嗜好言行知能がかなり判るというが、では押し入れのモノはどうだろう。供養も兼ねて一つ一つ取り出して何かヒネリ出してみよう、というのが今回の趣向である。

一応本誌の存在理由に合わせて、モノは情報家電系を中心にしたい。とはいえ本誌連載陣で言えば吉井宏さんのように前向きに新しいものに挑戦してガンガン書く、ようには筆者の性格は出来ておらず、ならばこそこうした企画に至るわけで、いささか後ろ向きで極私的、R255G0B0な恥付きの想い出話に終始することになると思われるがお許し戴きたい。

お許し戴きたいことなら他にもある。なるべくモノの写真画像をご覧戴けるようにしたいという気持ちはあるのだが、後述の理由で100%のお約束ができない。また、モノのスペックなどについて書くこともあると思うが、これの正確性や資料性にも100%の信頼度をお約束できない。更に、モノの悪口は書かないつもりだが、万一お気に障ったら誌上土下座にてお許し戴きたい。どんなモノにだって設計者・開発者・愛用ユーザがいるはずなのは含んでおきたい。

あと、これは最初から言い訳めいてしまうのだが、仕事用マシンとして買った歴代Macはひとまず採り上げないつもりでいる。強烈なコレクター的マニアの方々がいらっしゃるからだ(ことによるとネタに詰まってコロぶかもしれない気もするが)。

さて、こうして書き始めるのにあたって、改めて押し入れの一角に踏み入ってみてわかったことが幾つかある。まず、どうやらモノには幾つかタイプがあるようだ:

type1・欲しかったものを買い、一定期間キチンと現役を勤めて今は退役したものの、使っていた時の思いが残っていて捨てられないモノ。

type2・欲しかったものの代替品(多くは価格的な問題が原因)だが、それなりに使ったので、その時の思いが残っていて捨てられないモノ。

type3・欲しかったものの代替品だが、機能/性能の不足や規格的に先細るなどの理由で、やっぱり初心を貫いておけばよかったという残留思念にまみれているモノ。

type4・何がベストなのかわからず、色々試行的に買い込んだものの、後に現れた本命に取って代わられてしまったモノ。

type5・上記以外の、何でここにあるのかもはやよくわからないモノ。

こうして書き並べてみると、整然とカテゴライズされているように思われるかもしれないが、決してそうではなく、上記の各タイプが混じっていることも多い。

type1はともかく、2と3は色々な思いが交錯する。結局後になって最初に欲しかったもののほうを買って、それまで持ち上げていたくせに以後見向きもしなくなったモノは、今見るとなかなか味わい深いものである。また、タイプ分類とは別に、今後の現役復帰可能性が少しでもあるか、全くゼロか、という点も今手に取った時の思いに違いが出る。

更に、現時点においてはどこへしまい込んだか分らなくなったものもある。こうなると「押し入れの恥物件」というモノの定義に矛盾しそうなのだが、捨てた記憶のない、きっと捨てていないハズなモノ、というものもあるのだ。写真画像を100%お約束できない理由は実はここにあったりする。書いている間に鋭意発掘に努める所存である。

以上、イントロが終わったところで、最初のモノについてお試しサンプル的に書こうと考えていたのだが、意外に行数を消化(って言うな)できてしまったので、最初のモノを抱えたまま次回方面へと去るのである。

【Rey.Hori/イラストレータ】reyhori@yk.rim.or.jp
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>
文中でお名前を挙げた吉井宏さんや柴田編集長や濱村デスクにだってきっとモノはあるはず、あるどころかウナっているかも、とニラんでいますが、ここには書かないで下さいね。貴重なネタがカブると痛いのであります←貧乏性。3DCGイラストとFlashオーサリング/スクリプティングを中心にお仕事をお請けしてます。