
パティ・スミスって誰? という人は別として、彼女を知っている者、それも彼女の魅力に一度でもはまった者にとっては、けっこうな大問題。私も行きたい。ひどく行きたい。何が何でも行きたいくらいだが、その前後の私は、これまでデジクリで書いてきたように、新作のレコーディングにどっぷりつかっている。行きたくても8月末まで動けそうもないのだ。
ということで、8月にレコーディングが終わったら、絶対に観にいきたい、そう思っている映画が、彼女のドキュメンタリー映画《Dream of Life/パティ・スミス ドリーム・オブ・ライフ(原題)》。
< http://pattismith-movie.com/
>
上記サイト記事によると、8月29日から東京の二つの映画館で上映が開始されるようだから、スケジュール的にはバッチリ。レコーディングで疲れた頭をパティで癒す……いや、ぐちゃぐちゃに、もっともっと疲れさせてしまうつもりでいる。
実は、この映画、この4月に、すでに初号試写を観ている。字幕なしのヴァージョンも先行して観ていたが、初号試写を観た際、私は、パティの次から次へと乱射される言葉の洪水におぼれそうになった。
エドガー・アラン・ポーのことや《荒地》の詩人エリオットの言葉が引用されたり、バロウズやギンズバーグも登場する。つい、字幕に意識を奪われそうになる。ロック映画でありながらもそうとうに文学的だ。そして、ラストはランボーへのオマージュで終わる。
……映画が終わった後、パティという自我、スフィア=ガラス玉、水晶球の球面内部に投影された記憶のモンタージュをそのままに直覚させられたような、不可思議な気分を味わった。そんな混乱状態のままに真昼の街をさまよい、いつかしら映画とは直接関係ないヘルマン・ヘッセのことだとかをあれこれ考えていたのを覚えている。
いずれにしろ、そうとうに疲れた。人ひとりの人生、記憶を無理やり頭に詰め込まれたような気がする。パティという人格の移植。当然だが、咀嚼するにはまだ相当に時間がかかりそうだ。
モンタージュというのは映画の使い古された技法であるが、ここまで時間軸を切り刻んで、順序を錯簡させたものは、そう類を見ない。文学でいえば、プルーストの《失われた時を求めて》を読んだときの、あの酩酊感覚に似ている。
あと二度三度パティという水晶球の内部にどっぷりとつかって、そんな酩酊感覚をとことん味わいたいと思っている。ちなみに、大阪でも秋に公開が決定しているようだから、関西圏の皆さんにも、パティ体験、おすすめである。
Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>

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