昨夜、10月5日から始まる新宿ロフトの《Drive to 2010》のイベントに寄せるコメントを書き上げてから、十六夜の月を眺めていたところ、どうにも眠れなくなり、つい11月7日(土)からシアターN渋谷で公開予定の映画、《ドキュメンタリー頭脳警察》三部作のDVDに手を出してしまった。
ロックバンド、頭脳警察の再結成に至る顛末を記録しつつ、パンタの私生活にまで踏み込んで彼の内面世界をさぐる、そんな内容の作品だ。三部作全てで何と5時間14分におよぶ。これまでの常識を打ち破る大作といえる。
ロックバンド、頭脳警察の再結成に至る顛末を記録しつつ、パンタの私生活にまで踏み込んで彼の内面世界をさぐる、そんな内容の作品だ。三部作全てで何と5時間14分におよぶ。これまでの常識を打ち破る大作といえる。
見始めたのは夜中の3時頃。途中、子供たちを学校に送り出すなどしなければならなかったため間があいてしまい、見終わったのは結局昼近い11時過ぎ。正直、三部作全てを通して観ることなどできやしないだろうと思っていたのだが、意外なことに、あっさりと三部全編を観てしまった。
単純な音楽映画であれば、よほどの好演が記録されていなければ途中で飽きてしまうに決まっている。
本作の場合、そうした一般的音楽映画の要素のみならず、例えば、パンタが、太平洋戦争当時、従軍看護婦として南方で働き病院船・氷川丸で働いていた御母堂の死を契機に、氷川丸関係者のもとを訪ねて歩く、その様子を克明に描いていたりする。さらに御母堂の葬儀の様子までが記録されており、その席上で彼自らが、自分の代表作のひとつ《マラッカ》が実は御母堂の戦争体験をベースにしたものである、と明かしていたりするのである。
実を言えば、私はパンタとは旧知の仲で、彼が《マラッカ》を発表した前後、けっこう現場で顔をあわせていたはずなのだが、うかつにも、こうした事情を一切知らないでいた。
他にも、獄中の重信房子とパンタとの交流の様子が描かれていたりして、音楽的要素以外の部分がそうとうに多く含まれていて、音楽的興味を抜きに観ていても飽きるところがない。であるからこそ5時間を越える作品として劇場公開される運びになったわけだ。
ある意味、残酷とすらいえる視点で描かれた音楽映画だ。その残酷さの点でも稀有の作品である。
渋谷を皮切りに全国で順次公開される予定なので、機会があれば是非ご覧になることをお勧めする。
Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
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by G-Tools , 2009/10/06