音喰らう脳髄[80]ただのロックだけど、それだけじゃない。
── モモヨ ──

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リザードIVこのところ、新型インフルエンザにかかったり、近所で大規模な火事があったりと、ろくなことがない。特に火事の方は、熱伝導率のよいメタル電線をつたって災禍がひろがり、離れた場所のトランスが破裂炎上したり、電線の被覆部が熱で劣化したりして完全復旧に数日かかかるほどで、いまだに現場の跡地近辺では異臭を嗅ぎ取ることができるといった按配。ということで、今回は、本来、先週書きたかったことを書く。

私自身がうかつにも新型インフルエンザに罹患したせいで、発売直前の京都大学でのライブをキャンセルせざるを得なかったわけだが、その後、ロフトでの11月11日のライブは何とか敢行。アルバムの方も21日に無事発売できた。その新作について少し書いてみたい。



新作、タイトルは、『リザードIV(4)』。サブタイトルが『ロックンロール・アンデッド』だ。すでに読売新聞11月26日付夕刊の音楽面や、『ミュージックマガジン』など各音楽誌最新号にレビューが掲載されており、いずれかを目にした方もあろうかと思う。そうしたメディアでの評判はいずれも好評で、すでに多くが語られた今、これ以上、何か語ることがあるのかというと、それがあるのだ。いいたいことを一言でいえば、

「今作がただのロックだ」

ということだ。もちろん、上記のレビューの中にも、言い方は異なるものの、それを指摘したものはある。例えば『ミュージックマガジン』の「本編はリザード史上、もっともストレートな"パンクロック・アルバム"である」という結語、これなどは至言だ。

なのに、なぜ私が「ただのロック」と繰り返し言わなければならないかといえば、これらの評言に私たちバンドの年齢を加えて脳内加工し「老熟したロック」などと読み違える人が出やしないか、という心配があるからに他ならない。

はっきり言おう。パンクにもロックも年齢など関係ない、そう、私は思っている。だから、ロックンロール・アンデッドなのだ。老練したテクニックだの、老熟したロックだの、世の中にはいろいろな言われようをする音楽がある。世界にはいろいろな価値観があっていい。しかし、だ。こと私の場合はそうした価値観に興味がないし、問題はそれがロックしているかどうかだと思う。

レコーディングの際に最も注意を払ったのも、ロックしているかどうか、その一点だった。こういうところが、私がパンクロッカーと呼ばれる所以かもしれない。三つ子の魂というか何と言うか、その根本のところは音楽を始めてこのかた変わっていないようだ。最新のデジタルレコーディング技術を用いて、ロックな、パンクな感性に形を与えていく。今回のアルバムはそんな作業の一つの結果。

ただのロックだけど、それだけじゃないんだよ。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>

photo
リザードIV
リザード
Independent Label Council Japan(IND/DAS)(M) 2009-11-21
おすすめ平均 star
starリザード史上、《最高傑作》。

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