1970年代まで日本のライブ会場は、すべて着席式のものばかりだった。スタンディング形式のものは皆無であり、クラシックなどの会場ではアンコールを求める際に立ち上がることが許されていたものの、ことロックコンサートにおいては自席ですら立ち上がる、腰を浮かすことすら許されなかったのだ。
......などと書くと、皆さん信じてくださらないかもしれないが、これは紛れもない事実である。私も実際、トイレに行こうとして立ち上がった際に、四方から駆けつけた数人のガードマンに無理やり押さえつけられたことがある。もちろん、トイレへ行きたいことを説明すれば許可されるが、時には暴力をふるわれる客すらあったのだ。これも事実。
当然ながら、当時のライブ現場のあちこちで、立ち上がる客とガードマンの小競り合いが見受けられたわけだ。
......などと書くと、皆さん信じてくださらないかもしれないが、これは紛れもない事実である。私も実際、トイレに行こうとして立ち上がった際に、四方から駆けつけた数人のガードマンに無理やり押さえつけられたことがある。もちろん、トイレへ行きたいことを説明すれば許可されるが、時には暴力をふるわれる客すらあったのだ。これも事実。
当然ながら、当時のライブ現場のあちこちで、立ち上がる客とガードマンの小競り合いが見受けられたわけだ。
The Stranglersが初来日したのは、そんな時代だった。バンドの来日に先立ち空手修行のために来日していたベーシスト、ジャン・ジャック バーネルと邂逅した際に、私はそのことを訊ねられた。
「日本のファンは本当に音楽を楽しんでいるのだろうか?」
という彼の質問に、私は前述の体験を語ったのを憶えている。
......そして、彼らの初公演がおこなわれた後楽園ホール。
ジャンに招かれ私もその客席にいたが、その現場でも席を立とうとした客とガードマンの間での小競り合いがあちこちで見受けられた。
が、そうこうするうちに突如ジャンがベースを置いて客席に跳び下り、ガードマンと客の揉め事に介入した。というより、ガードマンをぼこぼこにしてしまったのだ。これを機に、会場内はアナーキー状態になり、客は椅子を蹴りだしてステージ前に殺到。まさに暴動寸前のパンキッシュな現場と成り果ててしまった。
その混乱状況の中でバンドは、Something Better Changeという代表ナンバーを三回繰り返し演奏して、その日のステージを終えた。
Something Better Change
その同じナンバーを、この4月5日の新宿ロフト、ジャンをヴォーカルに迎えた私達は演奏する。
EU、ヨーロッパ諸国、諸民族の協和を早くから求めたジャンは、その実現の結果に失望していた。統一後、そこに実現したのは、どこもかしこも同じような相貌をした街角でしかなかったから......。
彼が求めたのはポリフォニックな統一感だったといえる。多響的統一感、いうまでもなく音楽における美意識である。音楽内の美的概念とはいえ、私達はそれを認識できるのだ。この点が重要だ。人がそれを認識できる以上、同様の美意識の上に構築された何かが、現実の政治のうえで実現できないはずがない。多響的な統一を否定する世界を私もジャンも嫌忌する。少数派を無理やり暴力で押さえつける者を私達は嫌忌する。
Something Better Change
ジャンはヨーロッパで、私はアジアで、まだまだこの歌を歌わねばならないようだ。まだまだ変わらなくちゃいけないんだ、そうだろ?
Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>
- Decades Apart
- Stranglers
- EMI Gold 2010-03-01
- 曲名リスト
- Retro Rockets
- (Get A) Grip (On Yourself) (1996 Digital Remaster)
- Peaches (1996 Digital Remaster)
- Go Buddy Go (1996 Digital Remaster)
- Something Better Change (1996 Digital Remaster)
- No More Heroes
- 5 Minutes (1996 Digital Remaster)
- Nice N' Sleazy
- Walk On By
- Duchess
- Nuclear Device (The Wizard Of Aus)
- Waltzinblack
- Golden Brown
- La Folie
- Strange Little Girl
- European Female (Edit)
- Skin Deep
- No Mercy
- Always The Sun
- Nice In Nice
- All Day And All Of The Night
- 96 Tears
- Heaven Or Hell
- Time To Die
- Sugar Bullets
- Golden Boy
- Lies And Deception
- In Heaven She Walks
- Coup De Grace
- Norfolk Coast
- Big Thing Coming
- Long Black Veil (Album Version)
- Unbroken
- The Spectre Of Love
- I Don't See The World Like You Do
by G-Tools , 2010/03/23