音喰らう脳髄[89]基地問題をめぐるちょっとした謎
── モモヨ ──

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新聞報道によると、社民党の連立政権離脱や内閣支持率の低下を受けて、民主党内でも鳩山首相の早期退陣を求める声が広がっているらしい。社民党連立離脱のトリガーを直接ひいたのは、先日、発表された沖縄基地問題に関する日米合意、その内容である。実を言うと、この中身について、私にはどうしてもわからないところがある。


沖縄の負担軽減のためというエクスキューズは別として、今回の日米合意の内容を物理的に点検すると、以前の合意に比べて、徳之島等につくるというキャンプが一つ増えている。そこが謎なのだ。つまり、自民党案に戻るどころか、日本全体としてさらに負担が増えていることになる。新聞などは、なぜかその点に触れず、ひたすら「自民党案に戻った」という報道に徹しているが、その理由がわからない。

沖縄の負担軽減だの、エコな視点での基地建設だのというレトリックを横に置き、物理的・即物的な視点で眺めると、米軍基地を減らすどころか、増やしているようにしか見えない。あるいは、一年間という貴重な時間を空費し、問題をさらに紛糾させ、悪化させたことに対するお詫びとして、おまけに一つ基地を進呈しようというのだろうか。

国と国の合意文書は、とどのつまり契約である。不動産の契約として眺めれば、明らかにおかしい。「付帯物件が増えている」のである。これでは日本国に住むものとして黙っているわけにはいかない。一年間空費し、事の紛糾によって悪影響をこうむったのは、米国政府だけではない。私たち国民、そして沖縄の人々の心的被害だって相当なものだ。被害をこうむった上に付帯条件を増やされたのでは堪ったもんではない。このような契約を軽々に結ぶなど、どう見ても無責任という以外にない。

今度は参院選がどうのこうのという話で騒いでいるが、そんなことは私たちには無関係だ。あれやこれやと心情的エキュスキューズ、レトリックをひねりだすことに汲々とするのではなく、本質的な部分にどっしりと腰をすえてとりかかり解決していく、そのような政治家がいれば、私たち国民は彼に投票する。

そこのところを見損なわないでほしい。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
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