[2889] GDP世界2位なんて、忘れてしまえ。

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《失うものなど既にない、チャレンジのみ。》

■わが逃走[69]
 「東京のパキパキしたもの」の巻
 齋藤 浩

■電網悠語:日々の想い[160]
 GDP世界2位なんて、忘れてしまえ。
 三井英樹

■■?×?×CrossOver Talk[11]
 本当に自分が求めているものを探す旅に出よう
 ──勉強会、セミナーなどイベント参加でワクワクできるお話
 杏珠



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■わが逃走[69]
「東京のパキパキしたもの」の巻

齋藤 浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20100715140300.html
>
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デザイン事務所を営んでいるオレであるが、この不景気で貧乏暇だらけ状態が続いている。あまりにも仕事が減ってしまい、通帳に記載されている数字の額がどんどん減っていく。こわい!!!!!! 隣の部屋を見ると、手下のYとMが暇そうにしている。

オレが言うのもなんだが、奴らはスジがイイ。Yはシンプル&ソリッド路線でエッジの利いた美しいデザインが得意だし、Mはその真逆であるゆるくて安心系なデザインが売りだ。設計と表現の方向性が全員違うから、3人で仕事をしていると実に良いバランスなのである。

こうも完璧な役者が揃っているというのに、ステージが激減している。こりゃいかん、なんとかしなければ貴重なデザイナーが絶滅してしまう! そんな訳で日々営業活動にいそしんでいる齋藤です。仕事ください。

さて、今回は何を語ろうかなーと日々考えていたのですが、景気が悪いとどうにも気持ちも滅入る。シアワセな写真でもながめていればシアワセな気分になるかも、ということで、昔撮った写真の中から自分なりにグッとくる物件をセレクトしてみた。

すると、どの写真もパキパキしている! という訳で、今回は東京のパキパキしたもの、ということで手短にダラダラ語ることにする。

さて、今回のパキパキしたものとは何かというと、建築というか構造物というか、そういったものだ。これらをずらっと並べてみると、モダニズムとかアールデコとかキュビズムとかドイツ表現主義とかいう言葉が浮かぶのだが、ではそれらの言葉が何を示すのかと言われればよくわからんのです。なので総じてパキパキしたものと呼称する。

その1・マーキュリー像
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/07/15/images/fig01 >

東京メトロという名前もすっかり定着したようだが、オレ的には営団地下鉄と言ってくれた方がしっくりくるね。で、その地下鉄の入口に昔こんな像があった。今では構内に移設されたものが多いようだが、まだいくつか残っているらしい。

この像、子供のころからなんか気になっていたのだ。スピード! って感じがする。と思ったら、マーキュリーはスピードと商業の神なのだそうだ。うーむ、かっこいい。スピードといえば未来派! そう思って見ると、なんかそれっぽい。しかし、年代的には1951年制作ってことらしいのでわりと最近。鼻から髪の毛へ流れる面と面が作り出す線が好みだ。立体としては上下方向の形状なのにもかかわらず、前後方向への流れを感じるってところがオレ的にグッとくるポイント。

その2・東京都庭園美術館の丸窓
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/07/15/images/fig02 >

ご存知旧朝香宮邸。日本に現存する数少ないアールデコ建築として有名だが、この物件に関しては建物全体よりそのディテールが好きだ。柱やランプ、通気口など見所は多いが、中でもこの窓枠の美しさは群を抜いている! と私は勝手に思っている。

蝶つがいを含めた鉄の質感と、軽やかで繊細な形状との対比がイイ。季節ごとの植物や空を反射させるガラスとそれを区切る窓枠。かなりグッときます。

その3・小石川植物園本館
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/07/15/images/fig03 >

この悪役な感じ! たまらなくカッコイイです。私はモダニズム建築に対してある種の上から目線を感じたら「モダニズムというよりナショナリズムというべきだね」とか知ったかぶりをするのですが、ホントかどうかは知りません。同様の悪役的建築に根岸競馬場一等貴賓席があります。あくまでもオレ基準ですが。装飾を排して面と線で魅せてるところがイイです。素晴らしい建築です。ぶっこわさないでほしい。

その4・東京大学のポンプ室のような建物
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/07/15/images/fig04 >
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/07/15/images/fig05 >

三四郎池の近くにこんな建物があるのだ。なんか妙にアールデコな感じ。用途不明。小さいけど非常にリズミカルな構成で、どこから見ても面白い形状なのだ。これと対をなす感じでもう一件コンクリートの小屋があるのだが、こちらは階段と一体化したシンプルな造形美。残念なことに両者ともかなり状態が悪く、ぶっこわされないか心配である。この素敵な建築は何なのか? 知ってる人、おしえてください。

その5・公園のゾウ
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/07/15/images/fig06 >

かっこいい! 実に見事なディフォルメ。ゾウに似せた遊具はよく見かけるが、これはゾウを想起させる遊具である。この想起させるってところが教育の根源なんじゃないか? クリエイティビティを刺激する、美しく無駄のない形状。曲線と曲面からなる全体のマッスと、シャープな階段+窓部分との対比が良い。ミニチュアがあったら欲しい。ないだろうから自分で作るか。と思い立ってメジャー片手に夜中の公園で寸法測ってたら近隣住民に通報された! なんてことになりそうなのでまだ実行していない。

以上、東京のパキパキしたものたちを紹介しました。
東京は広いので散歩しているうちにもっと見つかるかもしれない。
そのうちまた第2弾をやりたいなどと思う齋藤浩でした。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/
>

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

これと対をなす感じでもう1件コンクリートの小屋があるのだが、こちらは階段と一体化したシンプルな造形で、こっちもまた美しい。

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■電網悠語:日々の想い[160]
GDP世界2位なんて、忘れてしまえ。

三井英樹
< https://bn.dgcr.com/archives/20100715140200.html
>
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威勢のよい講演だった。日本の低迷を嘆く話の流れで、この台詞が飛び出した。「GDP世界2位なんて、忘れてしまえ」。あの米国に次ぐ成長を達成したなんて成功体験があるゆえに、もう一歩先に進めないのだ。失うものなど、既にない、チャレンジのみ。壇上から、振り下ろされるように叫ばれた言葉は、そんな栄光に彩られた記憶がない私にもビンビンと響くものだった。

  講演とは無関係ですが、日本のGDPに関しては、下記などをご参照を:
  ・大前研一「ニュースの視点」Blog:KON284 日中GDP逆転の衝撃
  〜自滅しつつある日本経済〜大前研一ニュースの視点〜
  < http://www.ohmae.biz/koblog/viewpoint/1415.php
>

過去の成功体験が、次の一歩を踏み出すブレーキになることは多々ある。ドラマでも、自分の体験でも。少し上の目線から俯瞰すれば、きっと何にしがみついているんだろうと思えるほど可笑しな事なのだろう。けれど、その時の本人的には、様々な比較が脳内を走り巡り、失敗したときの恥ずかしさや不名誉ばかりが浮かんで、体がますます重くなり、決断がますます鈍くなる。

そうした時の処方箋は、ほぼ確定している。過去のことなど忘れてしまえ。新しき挑戦者として課題に対峙せよ。恐らく、これ以外にないのだろう。自らの判断力や即応性を縛るものから開放されなければ、大きな挑戦が成功する可能性は少ない。


10年以上も虜になっている「蒼天航路」にも同じような(真逆とも言えますが)台詞がある。「いいか! 呂布(りょふ)という名なぞ忘れてしまえ!」。猛将呂布と戦うと決めた曹操が、自国の穀物の取れ高から兵卒数を算出し、理詰めで決戦の構図を決めようとした時である。計算上、収穫作業を優先すると、最強とも言われる呂布に対峙できる兵力は、余りに小さく絶望的なものだった。

  mitmix@Amazon - 極厚 蒼天航路(3)(モーニングKCDX)
  < http://astore.amazon.co.jp/milkage-22/detail/4063757560
>
  第97話:誘いの王

しかし、それで戦わねばならないのだ。兵力の計算と、戦地の選定、戦術の策定。それぞれを軍師に負わせ。他人事ではなく、自分事として、戦いに臨ませた。その時に発したのが、「呂布という名なぞ忘れてしまえ!」だ。

名を巨大な実(じつ)として捉えるから、縮こまってしまうのだ。萎縮しないで戦うには、最強という冠の付く名など忘れてしまってよい。敵は、単に敵なのだ。後先考えない猛進にも見えるけれど、人生そんなことが必要な時もある。


過去の栄光に縛られる。虚実に関わらず、名(声)に縛られる。今、対峙している何かを、別の何かとして捉え違いをして、残念な方向に進む。そんないつものこととも言えるルートを考えている。

それは、頭の中で声がするからだ。「Webなんてことは、忘れてしまえ」。クライアントの求めるものを探り、アイデアを練るうちに、ネットの常識を尊重すべきところと、そんな常識など忘れてしまえという両面の心境になる。

人と商品、人と企業。人と人。様々な結び付きをデザインしている、実は。時々何をデザインしているか迷子になるけれど、生業の根底はここなのだ。アウトプットの形として、「技術」や「表現」が占める割合は多いだろうけれど、ここの中心軸がぶれると、良いプロジェクトという印象が薄いものになる気がする。

クライアントのリクエストや、諸々の政治的課題に対して解をゴニョゴニョしたり、ユーザテストの結果とそのユーザの属性との間でモンモンとしたりしている日々の中、「あれ? 俺何やってるんだろう」と立ち返る瞬間がある。その時に明確な答えが出たり、疑問の発端が単なる疲労だと認識できているプロジェクトは大丈夫だろう。でもそうでないプロジェクトも多々ある。

そんな時に、「Webなんてことは、忘れてしまえ」と誰かが囁く。Webの流儀を軽視する訳ではない、今までの実績や考え方を否定する訳でもない。でも諸々の諸事情から解き放たれた場所で、課題を検討すべき時だと声がする。

その時が訪れないまま完了するプロジェクトは幸せなのだろう。でも、設計や開発が進む中で、そうした根底部分を再考する機会がないというのも、どこか淋しい。頭の中では、毎回問われ答えているループ的問題のひとつではあるだろうから。


冒頭の講演に戻ろう。過去の名声なぞ忘れてしまえ、と言い放ちつつ。彼がセッションの最後に見せたのは、広島の写真。戦後の爆心地となった痛ましい写真と、今の写真。これが、どれ程の「希望」になっているか、と続く。

特に中近東の人たちにとって、数十年でのこの復興は奇跡であり希望である。日本に住みながらも、この2枚の写真の連続性に驚き息を呑む。遠い国、更に焼け野原や荒地が続く国の人たちから見れば、インパクトは否応なく大きいのだろう。

自分の、自分達のなし得て来たことは、自分のためにはあらず、なのかもしれない。自分にとっては「忘れてしまえ!」の対象であり、でも他者にとっては大きな励ましであったり、目標であったり。

そうした想いの絡み合いが、綿々と続く。ネットやWebが、10年前とは異なる定義になりつつある今、その織りなす先に、更に興味が湧いて来る。どこまで、どんな形で、この織物は続くのだろう。ワクワク。

【みつい・ひでき】 感想などはmit_dgcr(a)yahoo.co.jpまで
・前にも触れたクラウドの講演です。言葉が忘れられずに脳内リフレイン。
・mitmix : < * http://www.mitmix.net/
>
・Twitter : < * http://twitter.com/mit
>

RIAC:RIAコンソーシアム:ビジネスセミナー XVI
ユーザ視点での開発プロセス:成功事例の裏側
< http://www.riac.jp/2010/07/b-xvi.html
>
日時:7月28日(水)14:00〜17:30(13:30より受付開始)
会場:秋葉原UDXカンファレンス
※司会やります、お時間あればお越し下さいm(_"_)m

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■?×?×CrossOver Talk[11]
本当に自分が求めているものを探す旅に出よう
──勉強会、セミナーなどイベント参加でワクワクできるお話

杏珠
< https://bn.dgcr.com/archives/20100715140100.html
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デジクリ読者の皆さん、こんにちは。studio H.M代表のディレクター/デザイナーの杏珠(あんじゅ)です。

先日、デジクリも実行委員会の一員である「DTP Booster」というイベントがありました。今、注目を浴びている電子書籍がテーマということで、400人以上の参加者があったとても熱気あるイベントでした。最近ではさまざまなテーマで勉強会やセミナーが開催されていて、規模の大小に係らず、とても熱心に参加されている方も多くいるようです。

そんなイベントや勉強会、セミナー(以下、ひっくるめてイベントとします)ですが、自分が興味あるテーマの勉強のためだけに参加するのはもったいない!と思いまして、私の視点から、イベント参加でワクワクできるお話をします。このことが、新しい自分の発見のお役に立てれば幸いです。一緒にイベントのこと、考えてみませんか?

●イベントに参加するメリットとは?

イベントに参加したい人からよく聞かれるのは「参加するメリットは?」ということです。自分の気になるテーマを勉強するためには、本を読んだりネットで調べたりしますが、今ではUstreamなどで無料でイベントを見ることも可能になってきました。自宅にいながら勉強できる環境の中であっても、イベントに直接参加したい理由があります。

1)自分は何が本当に気になっているのかが分かる
2)勉強したいテーマに対する自分のモチベーションを高い状態にしてキープできる。
3)同じ志を持った人たちの熱意が伝わって、自分の心の中で新しい変化が生まれる。
4)普通に過ごしていては到底会えないような人との、新しい出会いがある。

そういった新しい発見があるからこそ、私は積極的にイベントに参加したいと思っています。イベントのテーマを元にして、もっと先に自分が欲している目標や目的があるということに気付くことも多い、ということもありました。よく考えてみると、参加したイベントのテーマとはまったく関係ないこともあります。でも、学びたいテーマだけに小さくまとめず、もっと大きなそのことに気がつくだけでも、十分に参加する価値はあると思います。

●イベントに参加するのが怖い?

小人数のワークショップに参加すると、司会から意見を聞かれたり、参加者全員がプレゼンやライトニングトークをしなければならないのか、そういう心配をする人もいますが、予告がないかぎりなにかやらされることはありません。そして、周りにはその道の永年のプロや知識の豊富な方も多くいることもありますが、勉強会やセミナーは、参加者がそれぞれ学びを得ようとする場所なので、他人を攻撃するようなことはありません。

「それでも、なんとなく会場の雰囲気に負けそうだし、気が引ける...」という方には、もう少し気軽に参加できるように敷居を下げる方法を4つほど紹介します。

1)たとえばアップルストアで開催されるイベントは、予約が不要で途中入場や退場ができます。そのようなイベントを選んでみます(たとえイベントに参加できなくても、その場所に行ったということだけでも、参加しようと思った本人にとっては大きな進歩です)。

2)気になるテーマのイベントレポートを読んで、雰囲気をつかむ。個人ブログの方が雰囲気はよくわかると思います。

3)一人での参加が不安なら、そのテーマに興味がありそうな人を誘ってみる(会社の同僚、友人、知人、行きつけのお店の人など)。声をかけると「実は自分も気になっていて...」と言われること、結構あります。

4)個人のブログやソーシャルメディアなどの交流を軸にして参加してみる(Twitter、mixi、Facebook、コミュニティサイトなど)。
mixiのような友だちが数人集まったコミュニティで、お茶会のノリで勉強会を何度かやってみるというのも手です。Twitterでは、イベント関係の多くの人が気軽に受け答えしてくれますし、イベントの公式アカウントを作るようなグループは、初心者にも丁寧に対応してくれますから、そういった所をチェックしてみるのもいいでしょう。どんな小さな一歩でもいいですから、まずはアクションを起こすことが大事です。

●イベントでインプットしたものをアウトプットする楽しみ

イベントに参加した後、高いモチベーションを維持するためにも、ぜひアウトプット(記録、思い出しなど)することをオススメします。アウトプットにはもうひとつ重要なことがあります。それは「自分にとって、なにが一番気になったかを整理するために行う」ということです。それが分かれば、次につながる目標がつかめますし、どういったことを考えながら勉強や行動をすれば、高いモチベーションが継続できるのかがだんだん分かってきます。

参加するイベントのテーマを自分なりに勉強する一方で、イベントのテーマとは別に、大きな意味で「なんでこのテーマに興味を持ったんだろう?」と、さらに広い視野で物事を考えられるようになります。アウトプットを続けると、これが徐々に分かってきますし、自分がどんなことに興味を持ちやすいかということも客観的にわかってきますので、ぜひ試してみてください。

アウトプットには、大まかに3つの方法があります。

1)友人、知人とのディスカッション
難しく考えることはなく、参加したイベントのどのへんが気になったかを、お互いに言い合うだけです。大事なのは、自分が気になった点を誰かに話すときに、相手に分かってもらえるように頭の中で整理するクセをつけるということです。

2)参加しているSNSなどでの自発的な発言
Twitter、mixi、Facebookやコミュニティサイトで「○○のイベントに参加しました!」と発言してみる。それだけでもイベントに参加したことを振り返るきっかけになります。さらには一緒に参加した人や、イベント会場で知り合った人、スタッフや関係者の人が発言していたら、できれば返事をしてみる。「今日はありがとうございます」とか「勉強になりました」とか、感謝の気持ちを伝えてみる。この後にも話しますが、何かひとつでも、感謝の気持ちを誰かに伝えるだけでも、参加したイベントがとてもいい思い出になります。

3)ブログや日記、自分宛にメールを書いてみる
もしあなたが日記を書いているなら、参加したイベントのことを記録する。ブログがあれば書きこむ。「勉強会に出てみました」といった、簡単な内容で十分です。日記やブログをやっていない人なら、イベントに参加した旨のメールを自分宛に送ってみる。日記やメールを書くわずかな時間を確保することで、自分がイベントに参加したことを思い返す。それだけでも十分です。次の日に自分が書いた日記やブログ、自分宛に送ったメールを見ることで、昨日のことを思い出せます。

以上、3つのアウトプットの方法を紹介しました。アウトプットをする内容の中で、できれば3つほど、よかったこと、勉強になったことを書き出すと、より効果的だと思います。

●参加イベントの内容が、自分が考えていたものと違っていたら?

参加したイベントが、自分の予想とは違った内容だったり、「もう知っている」というレベルだったりで、「参加はしたけど...なにか損をしたなぁ」と思う方もいるようなので、そういったときのための対処法をお話します。

1)自分に何かしら変化があったという事実にフォーカスする

それまでイベントに参加したことのない人にとっては、イベント参加という未知の体験をしただけでも、自分が変化したことになります。これはやろうと思ってできることではありません。大いに自分を褒めてやりましょう。

初めてのことにチャレンジするという行動は、すこしずつ続けることによって、自分が成長しているという実感が持てるようになります。いままでやったことのないことに、自然にチャレンジできる自分が構築されること、ここがすごく大事です! 『自信』とは自分を信じると書きます。自分が信じられるようになると、自信につながります。もう一度いいます。自分が何かしら変化したことだけにフォーカスしてください。それができれば、どんな体験をしても自信につながりますから。

2)「損得勘定」でイベントに参加しない

自分の考えている内容とは違った場合、「ああ、こんな内容なら来た意味がないや...」と、思い通りにならなかった部分にフォーカスしてしまうと、別のイベントに参加したときも、無意識に「このイベントも、また来た意味がないかも...」というあら探しを始めてしまいます。

簡単にいうと「損得勘定」でイベントに参加するから、損をしたという気持ちが出てくるんですよね。怖いことに、損をしたと思えば思うほど、それは自己暗示となってしまうんです。とかく自己暗示というと「自分はできる、自分はできる」といった、催眠誘導みたいなことを思い浮かべると思いますが、自分が無意識に習慣化していることは、すべてが自己暗示になります。「損か得か」ですべてを判断すると、常に二択でしか選べなくなる暗示がかかります。

しかし「ここから何を学べるのだろう?」と、新しい可能性を探すような質問を常に投げかければ、常になにか新しい発見を見つけることの暗示をかけることになります。あなたは「損か得か」のような、いつもギャンブルみたいな選択をしたいですか? それとも、常に新しいワクワクが見つかるかも! 何か学べることはないか? そこにフォーカスすれば「損するかも...」という考えは自分の習慣から外れていくことになります。

「自分が望んでいるものを手に入れたい」ということだけにフォーカスしてしまうと、望んでいたことが手に入らなかった時に不平、不満しか残りません。ここで勘違いをしてほしくないのは、自分の意見を言うことと、物事に対してただ不平、不満を言うのとでは、似ていてもまったく違うものであるということです。

「損得勘定」でイベントに参加する理由を考えると、「損するかも...」と不安要素が少なからず発生するので、参加する意欲が削がれる要因にもなります。そうならないように、イベントに参加するときに考えて欲しいのは、そのテーマ自身も大事だけど、テーマとは別の軸で「ここから何を学べるだろう?」ということを考えておいて欲しいということです。

●私がイベント参加中に考えていること

この別の軸の内容は、人によって違ってきますが、私は参加したイベントで、以下に述べることも考えながら聞いています。

・セミナーの進行の仕方
・講演陣、スピーカーの話し方、スピード、掛け合いの間
・プレゼンの見せ方やスライドのバリエーション
・関係者、スタッフの会場内での対応
・自分ならこういう話し方、考え方、例えをするかも...という考えの置き換え
・自分とは違う立場の人間だったらどう思うか? と、違う視点で考えてみる(性別が違ったら? 年齢が自分より20才上だったら? 外国人だったら? など)。
・今まで経験してきたことの復習

「なんでそこまで考えるの?」と思われるかもしれませんが、これには理由があります。私はデザインの仕事がもちろん大好きなのですが、最終的には自分のモットーである「人と人、機械と人との架け橋的な存在」になることが一番ワクワクするんです。なので、参加するイベントでのテーマ以外にも、別の軸でこういったことも見るようになりました。

今回、勉強会やセミナーの参加をオススメしている私ですが、実は積極的にイベントに参加し始めたのはつい一年前ぐらいからです。そのとき参加したセミナーは印刷会社の帆風が主催で、デザイナー向けのIllustratorについての内容でした。

とてもラッキーなことに、その時の講師が「DTP Booster」や「CSS NITE」でおなじみのswwwichの鷹野雅弘さんでした。講演内容もすばらしかったんですが、鷹野さんの進行のうまさと、しゃべりの面白さ。これはすでに名人芸だな!って思ったんです。その時のテーマはもちろんIllustratorの操作方法やTipsだったんですが、受講者を退屈させないしゃべり方のテンポ、PCの不備によるアクシデントも機転がきいた対応で、待つ時間も飽きさせないという、まるでショーを見ている気分でした。

「そうか、プレゼンや講演って、こういう見せ方もあるんだな」と、感動すら覚えました。しかも受講者に対する『愛』がにじみ出ている...これは自分でも身につけたい! そして何か自分が必要とされている人に対しても、こういった対応をしたい! って思ったんです。その後、私自身がスピーカーとして参加するチャンスも頂き、それからは、どんなテーマのセミナーを受けても、私はいつでも楽しめる自分になれました。そのことは本当にすごい財産になりました。

●「自分にとって必要がないものは目の前に現れない」という法則

そして上記の内容を踏まえて、「この内容は見たこと、聞いたことがあるな?」という気持ちになった時に、必ず自分で確認することがあります。それは、「自分にとって必要がないものは目の前に現れない」という法則です。これ、わたしにとってはすごく大事な法則です。自分が既に知っていることが、なぜ今の時点で目の前に表れたのかということを、別の視点から冷静に考えます。

どんな本を読んでも同じ内容のものが目に飛び込んでくる、会いたくない人が目の前に頻繁に現れる、仕事の中でつまらないミスを何度もやってしまう...こんな経験ってありませんか? これって、自分にとって必要なのに、まだ自分が気付いていない点があるんじゃないか? もしかしたら勘違いしたとらえ方をしていないか? 分かったつもりになっていないか? いろいろあると思うんですけど、自分にとって必要だからこそ、目の前に現れるんだ、という不思議な力が働いているということを信じるようになりました。

精神論的で納得してもらえないところもあると思いますが、どんな状況でも「そこから何を学べるのか?」という考えが習慣化すれば、「これは知っている」という思考停止の考えは出てこなくなるので、必然的に「目の前に表れることは、自分にとって必要なもの」という法則が成り立つわけです。

勉強会やセミナーのテーマ自体が何なのか? ということも大事ですが「そこから何を学べるのか?」「自分はどんな考えを持っているのか?」「思考停止になっていないか?」など、イベントでのテーマ以外に気付くことはたくさんあります。自分の興味のあるものから、本当に自分が求めているものを探す旅に出てみませんか? その旅の切符は勉強会やセミナーにも必ずあると私は信じています。一人でも多くの人が、新しい自分の発見に出会えますよう、心から願っています。

【あんじゅ】ask@happy-montblanc.com

東京都八王子市出身。デザイン事務所「studio H.M」代表。
Design × Lifehack × CrossOver Lab:
< http://happy-montblanc.com/blog/
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studio H.M作品集:< http://gallery.me.com/powerangix
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Twitter:< http://twitter.com/powerangix
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Facebook:< http://www.facebook.com/powerangix
>

7月25日に第1回目が行われる「東京ライフハック研究会」という実行委員会の運営スタッフとして参加しています。イベントの裏方、出演者という面でもさまざまな所で積極的に参加していこうと思います。変化し続ける自分...考えただけでもワクワクします!!
「東京ライフハック研究会」は、随時参加者、会員を募集中です。ライフハックに興味のある方は、一度公式サイトをごらんください。

東京ライフハック研究会BLOG | 仕事術をもっとカジュアルに!
< http://tokyo.lifehacklabs.com/
>

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■編集後記(7/15)

・林望「かくもみごとな日本人」を読む(光文社、2009)。四六判で232ページの普通の書籍だが、意外にチープなつくりであった。日本人および日本人のために気を吐いてくれた外国人が70人登場するが、ひとりあたり3ページ、行間は全角、余白が多く、文字数は800字程度と短い。全体にスカスカな印象だ。一人あたりの文章量が少ないのは理由があって、日経夕刊に6年間連載していたスタッフサービス社の広告コラム「リンボウ先生のオー人事録」を加筆、再構成したものだからだ。リンボウ先生は室町からごく最近までの約300年間の伝記類を広く渉猟して、取捨選択し、知られざる偉人から殆ど無名の人まで、読んで元気のでるような人生のあらましを短かな文章でまとめてくれた。さすが日本書誌学の専門家、取り上げた人物は半端ではない。70人中わたしが名前だけでも知っている人といえば、小泉信三、川瀬巴水、アーネスト・サトウ、上野彦馬、橘曙覧、村田清風、大黒屋光太夫、契沖、中江藤樹のわずか9人しかいない。あとの61人は芸術家、教育者、学者、政治家、職人、医者など多岐にわたるが、本当に初めての出会いだ。このように艱難を凌いで努力勉励した人たちの姿には大きな励ましになる、とリンボウ先生は力説するが、いまの若い人たちの心に響くかどうか。内容はスカスカでなくて濃いが、800字ではやはり物足りない。ちょっと残念。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334975615/dgcrcom-22/
>

・昨日の後記、すみません、わたくし勉強不足でございました。「ケミーキラー」というユニットを存じておりませんでした。ああ、世の中知らないことがいっぱい......。まだまだ修行が足りないわ。残念な美人、無駄に美人と呼ぶにふさわしいお二人。女子校時代、こういう人たちが学年に一組は、いたような気が......。「あらびき団」に出るべきよっ。(hammer.mule)
< http://www.nicovideo.jp/watch/sm6476501
>
あなたたち凄いよ、何なのそのパワー
< http://www.nicovideo.jp/watch/sm6912608
>
ケミーキラーはたぶん日本全国にいるはずだっ
< http://www.nicovideo.jp/watch/sm9105993
>
この狭さがいいんだよなぁ
< http://dic.nicovideo.jp/a/ケミーキラー
>
「視聴者にエロさを感じさせる余裕を全く与えない」
< http://www.tbs.co.jp/arabikidan/
>
あらびき団