?×?×CrossOver Talk[11]本当に自分が求めているものを探す旅に出よう──勉強会、セミナーなどイベント参加でワクワクできるお話
── 杏珠 ──

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デジクリ読者の皆さん、こんにちは。studio H.M代表のディレクター/デザイナーの杏珠(あんじゅ)です。

先日、デジクリも実行委員会の一員である「DTP Booster」というイベントがありました。今、注目を浴びている電子書籍がテーマということで、400人以上の参加者があったとても熱気あるイベントでした。最近ではさまざまなテーマで勉強会やセミナーが開催されていて、規模の大小に係らず、とても熱心に参加されている方も多くいるようです。

そんなイベントや勉強会、セミナー(以下、ひっくるめてイベントとします)ですが、自分が興味あるテーマの勉強のためだけに参加するのはもったいない!と思いまして、私の視点から、イベント参加でワクワクできるお話をします。このことが、新しい自分の発見のお役に立てれば幸いです。一緒にイベントのこと、考えてみませんか?



●イベントに参加するメリットとは?

イベントに参加したい人からよく聞かれるのは「参加するメリットは?」ということです。自分の気になるテーマを勉強するためには、本を読んだりネットで調べたりしますが、今ではUstreamなどで無料でイベントを見ることも可能になってきました。自宅にいながら勉強できる環境の中であっても、イベントに直接参加したい理由があります。

1)自分は何が本当に気になっているのかが分かる
2)勉強したいテーマに対する自分のモチベーションを高い状態にしてキープできる。
3)同じ志を持った人たちの熱意が伝わって、自分の心の中で新しい変化が生まれる。
4)普通に過ごしていては到底会えないような人との、新しい出会いがある。

そういった新しい発見があるからこそ、私は積極的にイベントに参加したいと思っています。イベントのテーマを元にして、もっと先に自分が欲している目標や目的があるということに気付くことも多い、ということもありました。よく考えてみると、参加したイベントのテーマとはまったく関係ないこともあります。でも、学びたいテーマだけに小さくまとめず、もっと大きなそのことに気がつくだけでも、十分に参加する価値はあると思います。

●イベントに参加するのが怖い?

小人数のワークショップに参加すると、司会から意見を聞かれたり、参加者全員がプレゼンやライトニングトークをしなければならないのか、そういう心配をする人もいますが、予告がないかぎりなにかやらされることはありません。そして、周りにはその道の永年のプロや知識の豊富な方も多くいることもありますが、勉強会やセミナーは、参加者がそれぞれ学びを得ようとする場所なので、他人を攻撃するようなことはありません。

「それでも、なんとなく会場の雰囲気に負けそうだし、気が引ける...」という方には、もう少し気軽に参加できるように敷居を下げる方法を4つほど紹介します。

1)たとえばアップルストアで開催されるイベントは、予約が不要で途中入場や退場ができます。そのようなイベントを選んでみます(たとえイベントに参加できなくても、その場所に行ったということだけでも、参加しようと思った本人にとっては大きな進歩です)。

2)気になるテーマのイベントレポートを読んで、雰囲気をつかむ。個人ブログの方が雰囲気はよくわかると思います。

3)一人での参加が不安なら、そのテーマに興味がありそうな人を誘ってみる(会社の同僚、友人、知人、行きつけのお店の人など)。声をかけると「実は自分も気になっていて...」と言われること、結構あります。

4)個人のブログやソーシャルメディアなどの交流を軸にして参加してみる(Twitter、mixi、Facebook、コミュニティサイトなど)。
mixiのような友だちが数人集まったコミュニティで、お茶会のノリで勉強会を何度かやってみるというのも手です。Twitterでは、イベント関係の多くの人が気軽に受け答えしてくれますし、イベントの公式アカウントを作るようなグループは、初心者にも丁寧に対応してくれますから、そういった所をチェックしてみるのもいいでしょう。どんな小さな一歩でもいいですから、まずはアクションを起こすことが大事です。

●イベントでインプットしたものをアウトプットする楽しみ

イベントに参加した後、高いモチベーションを維持するためにも、ぜひアウトプット(記録、思い出しなど)することをオススメします。アウトプットにはもうひとつ重要なことがあります。それは「自分にとって、なにが一番気になったかを整理するために行う」ということです。それが分かれば、次につながる目標がつかめますし、どういったことを考えながら勉強や行動をすれば、高いモチベーションが継続できるのかがだんだん分かってきます。

参加するイベントのテーマを自分なりに勉強する一方で、イベントのテーマとは別に、大きな意味で「なんでこのテーマに興味を持ったんだろう?」と、さらに広い視野で物事を考えられるようになります。アウトプットを続けると、これが徐々に分かってきますし、自分がどんなことに興味を持ちやすいかということも客観的にわかってきますので、ぜひ試してみてください。

アウトプットには、大まかに3つの方法があります。

1)友人、知人とのディスカッション
難しく考えることはなく、参加したイベントのどのへんが気になったかを、お互いに言い合うだけです。大事なのは、自分が気になった点を誰かに話すときに、相手に分かってもらえるように頭の中で整理するクセをつけるということです。

2)参加しているSNSなどでの自発的な発言
Twitter、mixi、Facebookやコミュニティサイトで「○○のイベントに参加しました!」と発言してみる。それだけでもイベントに参加したことを振り返るきっかけになります。さらには一緒に参加した人や、イベント会場で知り合った人、スタッフや関係者の人が発言していたら、できれば返事をしてみる。「今日はありがとうございます」とか「勉強になりました」とか、感謝の気持ちを伝えてみる。この後にも話しますが、何かひとつでも、感謝の気持ちを誰かに伝えるだけでも、参加したイベントがとてもいい思い出になります。

3)ブログや日記、自分宛にメールを書いてみる
もしあなたが日記を書いているなら、参加したイベントのことを記録する。ブログがあれば書きこむ。「勉強会に出てみました」といった、簡単な内容で十分です。日記やブログをやっていない人なら、イベントに参加した旨のメールを自分宛に送ってみる。日記やメールを書くわずかな時間を確保することで、自分がイベントに参加したことを思い返す。それだけでも十分です。次の日に自分が書いた日記やブログ、自分宛に送ったメールを見ることで、昨日のことを思い出せます。

以上、3つのアウトプットの方法を紹介しました。アウトプットをする内容の中で、できれば3つほど、よかったこと、勉強になったことを書き出すと、より効果的だと思います。

●参加イベントの内容が、自分が考えていたものと違っていたら?

参加したイベントが、自分の予想とは違った内容だったり、「もう知っている」というレベルだったりで、「参加はしたけど...なにか損をしたなぁ」と思う方もいるようなので、そういったときのための対処法をお話します。

1)自分に何かしら変化があったという事実にフォーカスする

それまでイベントに参加したことのない人にとっては、イベント参加という未知の体験をしただけでも、自分が変化したことになります。これはやろうと思ってできることではありません。大いに自分を褒めてやりましょう。

初めてのことにチャレンジするという行動は、すこしずつ続けることによって、自分が成長しているという実感が持てるようになります。いままでやったことのないことに、自然にチャレンジできる自分が構築されること、ここがすごく大事です! 『自信』とは自分を信じると書きます。自分が信じられるようになると、自信につながります。もう一度いいます。自分が何かしら変化したことだけにフォーカスしてください。それができれば、どんな体験をしても自信につながりますから。

2)「損得勘定」でイベントに参加しない

自分の考えている内容とは違った場合、「ああ、こんな内容なら来た意味がないや...」と、思い通りにならなかった部分にフォーカスしてしまうと、別のイベントに参加したときも、無意識に「このイベントも、また来た意味がないかも...」というあら探しを始めてしまいます。

簡単にいうと「損得勘定」でイベントに参加するから、損をしたという気持ちが出てくるんですよね。怖いことに、損をしたと思えば思うほど、それは自己暗示となってしまうんです。とかく自己暗示というと「自分はできる、自分はできる」といった、催眠誘導みたいなことを思い浮かべると思いますが、自分が無意識に習慣化していることは、すべてが自己暗示になります。「損か得か」ですべてを判断すると、常に二択でしか選べなくなる暗示がかかります。

しかし「ここから何を学べるのだろう?」と、新しい可能性を探すような質問を常に投げかければ、常になにか新しい発見を見つけることの暗示をかけることになります。あなたは「損か得か」のような、いつもギャンブルみたいな選択をしたいですか? それとも、常に新しいワクワクが見つかるかも! 何か学べることはないか? そこにフォーカスすれば「損するかも...」という考えは自分の習慣から外れていくことになります。

「自分が望んでいるものを手に入れたい」ということだけにフォーカスしてしまうと、望んでいたことが手に入らなかった時に不平、不満しか残りません。ここで勘違いをしてほしくないのは、自分の意見を言うことと、物事に対してただ不平、不満を言うのとでは、似ていてもまったく違うものであるということです。

「損得勘定」でイベントに参加する理由を考えると、「損するかも...」と不安要素が少なからず発生するので、参加する意欲が削がれる要因にもなります。そうならないように、イベントに参加するときに考えて欲しいのは、そのテーマ自身も大事だけど、テーマとは別の軸で「ここから何を学べるだろう?」ということを考えておいて欲しいということです。

●私がイベント参加中に考えていること

この別の軸の内容は、人によって違ってきますが、私は参加したイベントで、以下に述べることも考えながら聞いています。

・セミナーの進行の仕方
・講演陣、スピーカーの話し方、スピード、掛け合いの間
・プレゼンの見せ方やスライドのバリエーション
・関係者、スタッフの会場内での対応
・自分ならこういう話し方、考え方、例えをするかも...という考えの置き換え
・自分とは違う立場の人間だったらどう思うか? と、違う視点で考えてみる(性別が違ったら? 年齢が自分より20才上だったら? 外国人だったら? など)。
・今まで経験してきたことの復習

「なんでそこまで考えるの?」と思われるかもしれませんが、これには理由があります。私はデザインの仕事がもちろん大好きなのですが、最終的には自分のモットーである「人と人、機械と人との架け橋的な存在」になることが一番ワクワクするんです。なので、参加するイベントでのテーマ以外にも、別の軸でこういったことも見るようになりました。

今回、勉強会やセミナーの参加をオススメしている私ですが、実は積極的にイベントに参加し始めたのはつい一年前ぐらいからです。そのとき参加したセミナーは印刷会社の帆風が主催で、デザイナー向けのIllustratorについての内容でした。

とてもラッキーなことに、その時の講師が「DTP Booster」や「CSS NITE」でおなじみのswwwichの鷹野雅弘さんでした。講演内容もすばらしかったんですが、鷹野さんの進行のうまさと、しゃべりの面白さ。これはすでに名人芸だな!って思ったんです。その時のテーマはもちろんIllustratorの操作方法やTipsだったんですが、受講者を退屈させないしゃべり方のテンポ、PCの不備によるアクシデントも機転がきいた対応で、待つ時間も飽きさせないという、まるでショーを見ている気分でした。

「そうか、プレゼンや講演って、こういう見せ方もあるんだな」と、感動すら覚えました。しかも受講者に対する『愛』がにじみ出ている...これは自分でも身につけたい! そして何か自分が必要とされている人に対しても、こういった対応をしたい! って思ったんです。その後、私自身がスピーカーとして参加するチャンスも頂き、それからは、どんなテーマのセミナーを受けても、私はいつでも楽しめる自分になれました。そのことは本当にすごい財産になりました。

●「自分にとって必要がないものは目の前に現れない」という法則

そして上記の内容を踏まえて、「この内容は見たこと、聞いたことがあるな?」という気持ちになった時に、必ず自分で確認することがあります。それは、「自分にとって必要がないものは目の前に現れない」という法則です。これ、わたしにとってはすごく大事な法則です。自分が既に知っていることが、なぜ今の時点で目の前に表れたのかということを、別の視点から冷静に考えます。

どんな本を読んでも同じ内容のものが目に飛び込んでくる、会いたくない人が目の前に頻繁に現れる、仕事の中でつまらないミスを何度もやってしまう...こんな経験ってありませんか? これって、自分にとって必要なのに、まだ自分が気付いていない点があるんじゃないか? もしかしたら勘違いしたとらえ方をしていないか? 分かったつもりになっていないか? いろいろあると思うんですけど、自分にとって必要だからこそ、目の前に現れるんだ、という不思議な力が働いているということを信じるようになりました。

精神論的で納得してもらえないところもあると思いますが、どんな状況でも「そこから何を学べるのか?」という考えが習慣化すれば、「これは知っている」という思考停止の考えは出てこなくなるので、必然的に「目の前に表れることは、自分にとって必要なもの」という法則が成り立つわけです。

勉強会やセミナーのテーマ自体が何なのか? ということも大事ですが「そこから何を学べるのか?」「自分はどんな考えを持っているのか?」「思考停止になっていないか?」など、イベントでのテーマ以外に気付くことはたくさんあります。自分の興味のあるものから、本当に自分が求めているものを探す旅に出てみませんか? その旅の切符は勉強会やセミナーにも必ずあると私は信じています。一人でも多くの人が、新しい自分の発見に出会えますよう、心から願っています。

【あんじゅ】ask@happy-montblanc.com

東京都八王子市出身。デザイン事務所「studio H.M」代表。
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7月25日に第1回目が行われる「東京ライフハック研究会」という実行委員会の運営スタッフとして参加しています。イベントの裏方、出演者という面でもさまざまな所で積極的に参加していこうと思います。変化し続ける自分...考えただけでもワクワクします!!
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